この記事の監修者 | |
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塩澤宝<腸活薬剤師> | 東北医科薬科大学を卒業後、薬剤師として調剤薬局 チェーンで勤務。現在は腸活講師育成スクール 「腸活パズル」主宰。「一般社団法人日本腸活協会」 代表理事を務める。 |
市販の便秘薬には様々な種類がありますが、いざ使ってみようと思ってもどれを選んだらいいか迷いますよね。
成分によって効果や効き目の早さは違うため、自分に合った便秘薬を選ぶことが大切です。
この記事では症状に合わせた便秘薬の選び方や、おすすめの商品を解説していきますので、便秘にお悩みの方はぜひ参考にしてみてくださいね。
ご自身の症状に合わせた便秘薬を選んで、スッキリを目指しましょう!
便秘薬・下剤の種類を薬剤師が徹底解説!
種類 | 強さ | 即効性 | 安心 | 商品名 |
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大腸刺激性下剤 | ★★☆ | ★★☆ | ★☆☆ | ・コーラックⅡ ・タケダ漢方便秘薬 |
塩類下剤 | ★☆☆ | ★★☆ | ★★☆ | ・酸化マグネシウムE便秘薬 ・3Aマグネシア |
膨潤性下剤 | ★☆☆ | ★☆☆ | ★★☆ | ・オイルデル ・ハーブイン |
浣腸 | ★★★ | ★★★ | ☆☆☆ | ・イチジク浣腸 ・コトブキ浣腸 |
坐薬 | ★★★ | ★★★ | ★★☆ | ・新レシカルボン坐剤S ・コーラック坐薬タイプ |
整腸剤 | ☆☆☆ | ★☆☆ | ★★★ | ・新ビオフェルミンS ・強力わかもと錠 |
市販されている便秘薬には様々な種類がありますが、作用や効き目の強さによって以下の6種類に分けられます。
- 大腸刺激性下剤
- 塩類下剤
- 膨潤性下剤
- 浣腸
- 坐薬
- 整腸剤
便秘薬はその時の症状や目的によって使い分けることがポイント。
それぞれの特徴について、詳しく解説してきます。
【大腸刺激性下剤】腸を刺激して排泄を促す
大腸刺激性下剤は、腸を刺激して排泄を促すタイプの便秘薬で、早くすっきりしたいという方におすすめです。
即効性はありますが、お腹が痛くなったり効きすぎて下痢になってしまう可能性があるため注意しましょう。
また、大腸刺激性下剤を常用すると薬の効きが弱くなってきてしまうことも。連続して服用することは避け、どうしても辛いときのみ使うようにしましょう。
【塩類下剤】便を柔らかくする
塩類下剤は酸化マグネシウム便秘薬のことを指し、水分を集め便を柔らかくすることでスムーズな排便を促すタイプの便秘薬です。
大腸刺激性下剤と異なり、効果が穏やかで腸への刺激が少ないので、お腹が痛くなりにくく続けて服用しても癖になりにくい点が特徴。
酸化マグネシウム便秘薬は、おおよそ6時間から12時間で効果が出てくる方が多いです。
大腸での水分保持をする薬なのでコップ1杯くらいのお水とともに飲むとより効果的です。
デメリットが少ない酸化マグネシウム便秘薬ですが、飲む量が多いと腹痛や下痢を引き起こすことも。副作用が出た際には量を少し減らし、調整してみるようにしましょう。
【膨潤性下剤】便のかさ(量)を増やす
膨潤性下剤は便に水分を浸透させ量を増やすことで、大腸を刺激し排泄を促す便秘薬です。
ダイエットなどで便の量が少なくなり便通が滞っている場合には、このタイプがおすすめです。
お腹の痛みは少なく習慣化しにくいので、安全性も高く安心して使えますよ。
水分を吸収するため、服用する際はたっぷりと水分を取るようにしましょう。
【浣腸】便を滑りやすくする&腸を刺激する
浣腸はグリセリンの効果で便を滑りやすくし、腸を刺激することで排便させます。
即効性があり使用後数分で便意を感じるため、すぐにトイレに行ける環境で使用しましょう。
肛門付近の便にのみ作用するため、溜まって硬くなった便をすぐに出したいときに効果的です。
下剤同様、続けて使用すると効果が弱くなり効かなくなってしまう点に注意しましょう。
【坐薬】ガスを発生させて直接腸を刺激する
坐薬は体内に挿入すると、炭酸ガスを発生させて直接腸を刺激し排泄につなげます。
浣腸と同様即効性があり、使用後15~30分程度で便意を感じるようになるので、トイレにすぐ行ける状態で使用するのがポイント。
炭酸ガスを固めただけなので比較的安全性も高く、安心して使用できます。
【整腸剤】腸の働きを整える
整腸剤は善玉菌を増やすことで腸内環境を改善し、大腸が正常に動けるよう環境を整える効果に期待できます。
直接腸に刺激を与えるのではなく自然に排便をしやすい環境を作るので安心です。
即効性はないため、腸内環境を整えながら今の症状を改善したいという場合は、整腸剤と併用して他のタイプの便秘薬を使用するのもおすすめです。
【症状別】便秘薬・下剤の選び方を薬剤師が解説!
便秘薬や下剤の種類についてそれぞれ解説してきましたが「こんな時にはどの便秘薬を選べばいいの?」と迷うこともありますよね。
そこでここからは、症状別に便秘薬・下剤の選び方を解説していきます。ご自分に当てはまる症状のところをチェックしてみてくださいね。
5日以上排便がない人は大腸刺激性下剤を
5日以上排便がない方には、まず大腸刺激性下剤を使って一度すっきり出してしまうことをおすすめします。
便は腸内にとどまる時間が長ければ長いほど、大腸に水分を吸収されてどんどん硬くなってしまいます。
日にちが経つほどさらに排便しにくくなるという悪循環になってしまうため、大腸刺激性下剤で今の辛さを解消しましょう。
便が固くて腹痛が起こりやすい人は塩類下剤を
便が固くなり排泄しづらい場合は、塩類下剤(酸化マグネシウム)を使ってみましょう。
普段の生活の中で、忙しさなどからつい水分を摂るのを忘れてしまいがちな方にはおすすめです。
酸化マグネシウム便秘薬は、便に水分を与え柔らかくしてくれるため、自然な排便を促す効果があります。
連続して服用しても癖になりにくいため、しばらく続けて使い、排便習慣が身についてきたら徐々に回数や量を減らしていくと良いでしょう。
便の量が少なくて溜まっている感じがする人は膨潤性下剤を
便の量が少なく排便が滞っている場合は、膨潤性下剤タイプがおすすめです。
特にダイエットなどで食事量が減っている方は、便が作られる量が少なくなってしまっていることが多く、このタイプの便秘薬が効果的です。
体内の水分を含んで便のかさを増やすため、服用する際は意識して水を多めにとるようにしましょう。
いますぐに排泄したい人は浣腸や坐薬を
排泄できない日が続き肛門付近に溜まって苦しい場合は、浣腸や坐薬を使って今の症状を解消することをおすすめします。
浣腸はグリセリン、坐薬は炭酸ガスが直接腸を刺激することで排便を促します。即効性があるためすぐにトイレに行ける状況で使用するようにしましょう。
慢性化している場合は腸内環境を整える整腸剤も選択肢に
即効性がある、刺激が強い便秘薬は一時的に排泄を促す効果はありますが、根本的に便秘体質を解消するものではありません。
便秘が慢性化している場合は、整腸剤を使って腸内環境を改善することも大切です。
乳酸菌やビフィズス菌が生きて腸まで届き、腸内フローラが整うと便通改善に期待できます。即効性はありませんが、毎日服用することで徐々に効果が表れてくるでしょう。
種類別!人気のおすすめ便秘薬・下剤12選を薬剤師が解説!
便秘薬の種類について、それぞれの特徴や選び方を紹介してきましたが、ドラッグストアにはたくさんの種類が並んでいるためどれが良いのか迷いますよね。
ここからは市販薬で人気の便秘薬を種類別に解説していくので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【刺激性下剤】コーラックⅡ
発売元 | 大正薬品 |
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分類 | 第2類医薬品 |
用量 | 1日1回、1回1~3錠 |
成分 |
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便秘薬として有名なコーラックですが、その中でもしっかりとした効き目が欲しい方にはコーラックⅡがおすすめです。
コーラックⅡに含まれるビサコジルが腸を刺激することで、滞っていた腸の動きを促します。
ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)の作用で便の水分が増え、適度に柔らかくなるため、無理なくするっと排泄することができますよ。
【刺激性下剤】タケダ漢方便秘薬
発売元 | アリナミン製薬 |
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分類 | 第2類医薬品 |
用量 | 1日1回、1回1~4錠 |
成分 |
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タケダ漢方便秘薬には、大黄と甘草という2種類の生薬が配合されており、この成分が大腸をしっかり動かし、便をスムーズに運びます。
夜寝る前に服用すると、おおよそ8~10時間後の翌朝に効果が現われることが多いようですが、効果の出方には個人差があるため、特に初めて服用する際は注意しましょう。
漢方ですが腸を刺激するタイプの便秘薬のため、毎日服用することは避け、調子が悪いときのみ使用するようにしてくださいね。
【膨潤性下剤】オイルデル
発売元 | 小林製薬 |
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分類 | 第2類医薬品 |
用量 | 1日2回、1回3~4錠 |
成分 |
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小林製薬のオイルデルは、ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DDS)と麻子仁末の成分が入った便秘薬です。
ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DDS)は便の水分量を増やし、カチカチな便を軟らかくする働きがあります。
麻子仁末も比較的優しい緩下作用があり、オイルデルの名前の由来であるオイルはこの麻子仁からきています。
刺激性の便薬の中では優しい配合になってしますが、こちらも常用はさけてください。
【膨潤性下剤】ハーブイン
発売元 | アリナミン製薬 |
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分類 | 第2類医薬品 |
用量 | 1日1回、1回1~4錠 |
成分 |
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ハーブイン「タケダ」は、浸潤性下剤に使用されるDSSと刺激性下剤に使用されるダイオウエキスを配合した便秘薬です。
DSS(ジオクチルソジウムスルホサクシネート)は腸内に長くとどまってカチカチになった宿便に水分を引き寄せて柔らかくする作用があります。
ダイオウエキスは腸を刺激してぜん動運動を促し、便を排出に導く作用をそれぞれ持っています。
「ハーブ」という言葉から体に優しそうなイメージを持ちがちですが、腸を刺激するタイプの下剤の要素も持ち合わせているため、長期の連用は避けましょう。
【塩類下剤】酸化マグネシウムE便秘薬
発売元 | 健栄製薬 |
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分類 | 第3類医薬品 |
用量 | 1日1回、1回3~6錠 |
成分 |
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酸化マグネシウム系便秘薬の中でも人気なのは、酸化マグネシウムE便秘薬です。
腸内の水分を便に集め柔らかくするため、スムーズな排便を促す効果があります。
腸に刺激を与える刺激性便秘薬ではないため、お腹が痛くなりにくく定期的に服用しても癖になりにくいのが特徴。
5歳以上の子供や妊婦の方も安心して使用できますよ。
【塩類下剤】3Aマグネシア
発売元 | フジックス |
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分類 | 第3類医薬品 |
用量 | 1日1回、1回3~6錠 |
成分 |
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酸化マグネシウムE便秘薬と同様、3Aマグネシアも酸化マグネシウム系の便秘薬です。
3Aマグネシアの特徴は、通常の酸化マグネシウムよりも粒子が細かい活性酸化マグネシウムを配合していること。
粒子が細かい分、多くの水分を集めることができるため、より効果を感じやすいと言えるでしょう。
【浣腸】イチジク浣腸
発売元 | イチジク製薬 |
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分類 | 第2類医薬品 |
用量 | 1日2回まで、1回1本 |
成分 |
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イチジク浣腸はグリセリンと精製水から作られた浣腸薬で、グリセリンが腸を刺激することで排便を促す効果があります。
グリセリンは安全性が高く、0歳の赤ちゃんからでも使用可能です。ただし年齢や月齢によって用量が決まっているため、特に赤ちゃんの場合は注意が必要です。
使用して3~10分程度で効果が表れるため、すぐにトイレに行ける環境で使うようにしましょう。
【浣腸】コトブキ浣腸
発売元 | ムネ製薬 |
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分類 | 第2類医薬品 |
用量 | 1日2回まで、1回1本 |
成分 |
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コトブキ浣腸にも小さな赤ちゃん向けからしっかり効果を感じたい方向けまでたくさんの種類の浣腸薬があります。
使用するときに液のこりが少ないよう、指で押す部分がジャバラ型になっているタイプもあり、初めてでも使いやすいように設計されています。
即効性があるため今すぐ出したい!という時には効果的ですが、連続して使うと癖が付いてしまうため常用は避けるようにしましょう。
【坐薬】新レシカルボン坐剤S
発売元 | ゼリア新薬工業 |
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分類 | 第3類医薬品 |
用量 | 1日1回、1回1~2個 |
成分 |
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新レシカルボン坐剤Sは、挿入すると体内で溶け、炭酸ガスを発生させることで腸を刺激し排便を促します。
炭酸ガスを固めたものなので比較的安全性も高く、自然に近いお通じが期待できますよ。
使用後、15~30分程度で排便効果があり即効性が高いため、肛門付近で固くなってしまった便がある方におすすめです。
【坐薬】コーラック坐薬タイプ
発売元 | 大正製薬 |
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分類 | 第3類医薬品 |
用量 | 1日1回、1回1~2個 |
成分 |
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飲む便秘薬で有名なコーラックから販売されている坐薬です。
服用タイプと異なり、使用後30分以内に排便効果が表れる速攻性があることが特徴です。
【整腸剤】新ビオフェルミンS
発売元 | ビオフェルミン製薬 |
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分類 | 指定医薬部外品 |
用量 | 1日3回、1回3錠 |
成分 |
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新ビオフェルミンSは、ヒト由来の乳酸菌を配合することにより、人間の腸の中に定着しやすいことが特徴。
ビフィズス菌と、フェカリス菌、アシドフィルス菌の3種類の乳酸菌が生きたまま腸まで届くことにより、小腸から大腸まで幅広く腸内環境を整えてくれます。
また、生後三カ月から飲める整腸剤で、赤ちゃんから高齢者まで飲むことができる薬です。
【整腸剤】強力わかもと錠
発売元 | わかもと製薬 |
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分類 | 指定医薬部外品 |
用量 | 1日3回、1回3錠 |
成分 |
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強力わかもとは、弱った胃腸の働きをサポート、腸内フローラの改善、栄養の補給という3つの効果があることが特徴です。
強力わかもとに含まれるアスペルギルス・オリゼーNK菌には、腸内に入ると消化酵素ができ、胃腸で消化しきれなかった食材の消化を助ける働きがあります。
また、ビール酵母に含まれるアミノ酸、ミネラル、食物繊維、ビタミンなどを補給することができます。
【便秘薬・下剤のQ&A】よくある疑問に薬剤師が回答!
便秘薬、その中でも特に刺激性便秘薬(下剤)は刺激が強いだけに、使用するときに疑問や不安があるかもしれません。
便秘薬は用途や目的に合わせて、正しく使うことが大切です。
ここからは便秘薬についてよくある疑問に回答していきます。
便秘薬でお腹が痛くなったことがあり飲むのが怖いです。お腹が痛くならない便秘薬はありますか?
比較的効き目が穏やかな便秘薬でも、体質や体調によって効果の表れ方は異なります。
そのため、全くお腹が痛くならない便秘薬を紹介するのは難しいのですが、強さによって腹痛の出にくさがありますので以下を参考にしてください。
過去にお腹が痛くなった便秘薬の名前を控えて、病院を受診されるかドラッグストアの薬剤師に相談してみるのもおすすめです。
お腹が痛くなった便秘薬より優しいお薬を選んでもらえると思います。
便秘薬はお腹がぺったんこになり痩せる気がするので、主にダイエット目的で便秘薬を飲んでいるのですがやっぱり危険ですか?
便秘を解消するために便秘薬を使用するのであれば、長期間服用せずに、許容範囲内で飲む分には問題ありません。
しかし、ダイエット目的で便秘薬を服用することは大変危険です。
SNSなどでは痩せるために便秘薬を乱用している方を散見しますが、これはとても危険な行為です。
痩せたいのであれば、腸内フローラを整え、しっかりとした量の自力排便が毎日あるようにする方が、長い目でみると痩せ体質となりダイエット成功の近道と言えます。
過度な炭水化物抜きダイエットも、食物繊維不足となり便秘症におちいってしまうためおすすめしません。
便秘薬を使って無理に出すだけのダイエットは、サウナで汗をかき、喉が渇いて水を飲み、体重が元に戻るという現象に似ています。
一時的に体重は減ったように見えますが、すぐに元に戻る上に健康を損なう危険性があるため、便秘薬の力を使ってのダイエットは控えるようにしましょう。
便が硬くカチカチの便が出る際、お尻が切れてしまい切れ痔になります。便秘も辛いし切れ痔も痛いし両方で困っています。痔の人でも飲める便秘薬はありますか?
硬すぎるお通じは肛門へ負担がかかるため痔の原因となります。便が硬いと長時間いきんでしまい、トイレに座っている時間も長くなりがちですが、どちらも痔を悪化させる一因です。
また便秘だけではなく下痢でも肛門への負担が大きく、痔になりやすいと言われています。
痔を根本的に解決するには、丁度良い硬さでバナナ1本分くらいの量の排便ができるようにするのがポイント。
薬を選ぶ際は便秘薬(下剤)で無理に排便するのではなく、水分保持系の便秘薬でお通じを軟らかくして排便するか、整腸剤や乳酸菌サプリで腸内フローラを整える方法が安心です。
数ある便秘薬から最適な商品を選ぼう!
便秘薬の選び方やおすすめの商品を解説してきました。
便秘薬は自身の症状や目的に合わせて選ぶことが、効果を最大限に引き出すポイントです。
特に刺激の強い即効性のある便秘薬(下剤・浣腸)は、あくまでも辛い便秘の時だけの補助として使用するようにしましょう。
そして、便秘解消の基本は生活習慣、食習慣の改善です。
この基本の便秘対策を行わず薬に頼ってしまうと、常に薬の力が必要となり、便秘の根本解決になりません。
便秘薬と併用しながら腸内フローラを整え、体質改善を目指しましょう!