肌のたるみとは
加齢によって誰もが一度は「肌のたるみ」という問題に直面することでしょう。
肌がたるんでしまうと実年齢よりも老けて見えてしまい、表情も険しく見受けられることが多くなるなど、さまざまな外見上の問題が生じます。
では、肌のたるみとはどのような状態なのでしょうか?
加齢や紫外線などの影響によって真皮の構造に変化が生じ、肌のハリ感や弾力が低下し、皮膚が垂れ下がってしまう状態のことを「肌のたるみ」と言います。
肌は外側から順に表皮、真皮、皮下組織という3つの層から成り立っています。
このうち、真皮はコラーゲンやエラスチンなどの線維からできており、水分を豊富に保持するヒアルロン酸が線維同士のすき間を埋めています。
通常であれば真皮に含まれる豊富な繊維や水分によって肌の弾力やハリ感が維持されていますが、加齢や紫外線などの影響によって真皮が薄くなると肌がたるみます。
それに加え、表情筋などの筋肉の萎縮や脂肪の蓄積、浮腫みなどのさまざまな加齢性変化によっても肌のたるみが生じます。
肌のたるみの主な原因
肌のたるみの原因は顔の皮膚や脂肪における構造上の変化であり、具体的に2つ挙げられます。
- 肌のハリ、弾力の低下
- 顔の筋力の低下
それぞれについて解説します。
①肌のハリ、弾力の低下
肌のたるみの原因として、肌のハリ・弾力の低下が挙げられます。
肌のハリや弾力の保持にはコラーゲンやエラスチンが、肌のみずみずしさにはヒアルロン酸が必要不可欠です。
コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸は肌の3層構造(表皮・真皮・皮下組織)の中の真皮層に豊富に存在し、皮膚の弾性や潤いの保持に役立っています。
しかし、加齢や紫外線、活性酸素などによってコラーゲンやエラスチンは減少し、それと共に真皮層全体がどんどん薄くなっていきます。
また、コラーゲンはおもにアミノ酸で構成されており、アミノ酸からコラーゲンを生成するためにはビタミンCが必要です。
無理な食事制限やダイエット、偏った食生活によってアミノ酸やビタミンCの摂取が不足すると、コラーゲンをうまく作ることができず肌のハリや弾力が低下してしまいます。
また、真皮層のさらに奥深くにある皮下組織は脂肪と脂肪組織同士を繋ぐコラーゲンで構成されていますが、真皮と同様の理由でコラーゲンが減少すると組織が伸びてしまい、肌のたるみの原因となります。
②顔の筋力の低下
肌のたるみの原因として、顔の筋力の低下が挙げられます。
顔には30種類以上の筋肉が存在し、目や鼻、耳、口周辺の筋肉を動かすことで多彩な表情を作り出しています。
しかし、顔の筋肉には表情を作り出す以外に、顔の骨と皮膚をつなぐ役割も担っているため、顔の筋力が低下することで肌もたるんでしまいます。
この場合のたるみは、筋肉層からたるみが起こっているため、しわが深く刻まれやすい特徴があります。
顔の筋肉の低下は主に加齢や筋肉の使用頻度の低下が原因となるため、肌のたるみを予防するためには日頃から意識して表情筋を使用し、鍛えておくことが大切です。
積極的に笑顔を見せる、表情筋の体操を行うなどして、早期から対策しておきましょう。
肌のたるみの予防法・対処法
肌のたるみは加齢や紫外線、活性酸素などさまざまな要因で引き起こるため、進行を抑えるには日頃からの長期的なセルフケアが必要不可欠です。
また化粧のノリも悪くなるため、早期から対策を取る必要があります。
具体的に2つのセルフケアが挙げられます。
- 紫外線の対策
- 生活習慣の改善
一度たるんだ肌を元に戻すことは難しいため、肌のたるみが生じる前にしっかりとケアを行うようにしましょう。
①紫外線の対策
肌のたるみを予防するためには紫外線対策が必要です。
紫外線を浴びると光老化によって、肌へ悪影響を与えることがわかっています。
紫外線、特にUVAが真皮に到達することで、真皮内の線維芽細胞が破壊されコラーゲンの新たな産生が阻害されてしまいます。
その結果、真皮層でのコラーゲン含有量が低下することで、肌の弾力やツヤが失われ、たるみの原因となります。
また、一番表面にある表皮にも赤くひりひりした炎症が起こり、水ぶくれや皮膚の厚みの原因にもなります。
このように、慢性的な紫外線への被曝はたるみやシワの原因になるため、予防のためには早期からの紫外線対策が必要不可欠です。
具体的には、帽子や日傘・サングラスの使用、肌の露出を最低限に抑えるような服装、日焼け止めの使用、紫外線の多い時間帯の外出の制限などが挙げられます。
特に、顔の中で高い位置にある鼻や頬は紫外線の影響を受けやすいため、入念に日焼け止めを塗るようにしましょう。
長時間の外出のみならず、ちょっとした外出やベランダに出る程度の外出にも気を遣うようにしましょう。
日焼け止めを塗る際は、量や質も重要です。
環境やSPFに応じて適切な日焼け止めをしっかり塗るように心がけましょう。
紫外線のダメージは蓄積してしまうため、極力早期から対策することをおすすめします。
②生活習慣の改善
肌のたるみを予防するためには生活習慣の改善が必要です。
乱れた生活習慣によって活性酸素が増加し、肌に悪影響を与えることがわかっています。
活性酸素とは電子を相手から奪い取る性質を持った物質の総称であり、少量であれば免疫機能などとしての重要な役割を果たします。
一方で、過剰に産生された場合は他の細胞を傷付けて体に悪影響を与えることが知られており、真皮層のコラーゲンも影響を受けるため、肌のたるみの原因となります。
そこで、活性酸素の産生を抑制するためには、規則正しい生活習慣やストレスを抑えることが重要です。
まず食生活では、バランスの良い食事、特にビタミンCやビタミンEなどの抗酸化作用のある成分の摂取が大切です。
また過食による肥満には注意が必要です。
肥満は肌にハリが出るため、一見肌質が良くなっているようにも見えますが、内部の皮下脂肪が増加して表面の皮膚が膨らんでいるだけです。
一度伸展しきった皮膚は元に戻らないため、その後ダイエットしてもシワやたるみの原因になってしまいます。
また、喫煙によって活性酸素の産生が促進されることが知られているため、注意が必要です。
喫煙により発生した活性酸素を排除するために多量のビタミンCが消費され、ビタミンC不足によってコラーゲンの生成が妨げられるため、肌の弾力性が失われます。
次に、規則正しい睡眠も健康な肌作りには必要不可欠です。
睡眠によって分泌される成長ホルモンは肌のターンオーバーを正常にし、紫外線による肌の損傷の修復を促進する作用を持ちます。
不規則な睡眠習慣で成長ホルモンの分泌が低下すると、肌荒れや肌のたるみの原因となります。
ストレスを溜め込まないためにも、十分な睡眠時間の確保、適度な運動習慣などを取り入れて、健康的な生活習慣を送るように意識しましょう。