シミはなぜできるのか?
「目元や頬のシミが気になる」「加齢とともに頬のシミが目立つようになった」このようなお悩みをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか?
シミができるメカニズムはすでに解明されており、主な原因は紫外線です。
まず皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層に分かれており、最も表層に位置する表皮は紫外線などの外的刺激から体を守る役割を担っています。
紫外線などの刺激が表皮に加わると、チロシナーゼという酵素が活性化して、表皮に存在するメラノサイトと呼ばれる細胞を刺激することでメラニンが大量に分泌されます。
分泌されたメラニンは表皮の細胞を紫外線から守る働きを有しているため、本来であれば体の味方となる分泌物です。
表皮内に蓄積したメラニンは、通常であれば皮膚のターンオーバーによって徐々に表層に押し出され、最後は角質として体外に排除されて役目を終えます。
ターンオーバーとは皮膚の細胞が約28日周期で新しく生まれ変わる新陳代謝のことです。
しかし、何らかの原因でメラニンが過剰に生成され、ターンオーバーのサイクルが乱れて新陳代謝が滞ると、本来角質としてはがれ落ちるはずのメラニンが皮膚に残ってしまい、色素沈着やシミの原因となってしまいます。
シミ発生のメカニズム
シミ発生のメカニズムについてさらに詳しく解説します。
①紫外線から肌細胞を守るために、メラニンが生成されます。
人間の肌の細胞は紫外線によってダメージを受けると炎症を引き起こしたり、DNAに傷がつくことで長期的には発癌する可能性もあります。
そこで、皮膚の最も表層に位置する表皮には、紫外線をはじめとする外的刺激から体を保護する役割があります。
では、具体的に紫外線からどのように体を守っているのでしょうか?
表皮の中の最も真皮側には基底層と呼ばれる層が存在し、基底層にはメラノサイトと呼ばれる色素細胞が多く含まれています。
基底層の細胞が細胞分裂すると徐々に表皮上層部に押し上げられるため、基底層より上にはケラチノサイトと呼ばれる表皮細胞の層が存在します。
つまり、表皮内にはケラチノサイトとメラノサイトの2つが存在し、紫外線から体を守る役割を担っている細胞はメラノサイトです。
紫外線の刺激によってチロシナーゼという酵素が活性化すると、基底層のメラノサイトが刺激され大量のメラニン色素が分泌されます。
このメラニン色素がケラチノサイトに引き渡されることで、ケラチノサイトの細胞や内部のDNAが紫外線から守られます。
つまり、メラニン色素は肌の細胞を守る働きを持ち、本来であれば体にとって良い効果を持つ分泌物と言えます。
②ターンオーバーとともに、メラニンも排出されます。
表皮は体を守るために、常にフレッシュな細胞を作り出して肌の新陳代謝をおこなっています。
これをターンオーバーと言い、基底層にある細胞が細胞分裂して皮膚表面に押し上げられ、最後は表面から角質としてはがれ落ちていくという流れを周期的に繰り返します。
表皮では通常約28日周期でターンオーバーを繰り返し、古くなった表皮細胞は角質、いわゆるアカとして体外に排出されていきます。
メラニンも同様で、紫外線によってメラノサイトから分泌されたメラニンも皮膚のターンオーバーとともに表層部に押し上げられ、最終的にはがれ落ちます。
一度日焼けした人が数ヶ月後にはほとんど元の肌の色に戻ってしまう理由はこのためです。
③排出が滞ると、メラニンがシミとなってあらわれます。
では、なぜメラニンがシミの原因になってしまうのでしょうか?
正常なターンオーバーが得られていれば、基底層のメラノサイトから分泌されたメラニンはいずれ角質として体外に排出されます。
しかし、さまざまな原因によってメラニンが過剰に分泌される、もしくはターンオーバーのサイクルが滞ると、表皮内におけるメラニンの生成と排出のバランスが乱れてしまい、そのままメラニンが表皮内に滞留してしまうことでシミとなります。
メラニンが過剰に分泌される代表的な原因は紫外線への被曝です。
一方で、ターンオーバーのサイクルを乱してしまう代表的な原因は生活習慣の乱れなどが挙げられます。
メラニンが増加する要因
シミができる原因は、表皮内におけるメラニン分泌の増加、もしくはメラニンの排出の遅延です。
そのうち、メラニン分泌が増加する主な要因は紫外線、炎症、女性ホルモン、活性酸素です。
前述したように、紫外線、特にUVBの影響でチロシナーゼという酵素が活性化すると、基底層のメラノサイトが刺激され大量のメラニン色素が分泌されます。
この際生じるメラニンの量は正常なターンオーバーでも排出しきれないほどの量であり、その結果、表皮内に停留したメラニンが色素沈着やシミとして皮膚に色味が残ってしまいます。
シミが気になる方は、極力早期から紫外線対策を行いメラニンの分泌を抑えるようにしましょう。
肌に炎症が生じると免疫細胞である白血球が炎症部分に運ばれますが、その際白血球からの刺激でメラノサイトが刺激されてしまうため、メラニン分泌が増加します。
炎症の原因としては、ニキビなどの肌トラブルやメイク・スキンケアなどによる肌への強い摩擦が挙げられます。
日常的に適切なスキンケアは洗顔、保湿を行い、肌の炎症を抑えるようにしましょう。
女性ホルモンの一種であるプロゲステロンもメラニン分泌の増加に関わっています。
特に若いうちは女性ホルモンの分泌が盛んであり、体内におけるプロゲステロンの量が多いとメラノサイトが刺激されやすくなり、メラニン分泌が増加します。
そのため、若いうちは紫外線によるメラニン分泌の影響を受けやすく注意が必要です。
メラニン分泌増加の要因として、活性酸素も挙げられます。
活性酸素とは体内に入った酸素が他の物質と反応しやすい状態に変化したもので、メラノサイトを刺激する特徴を持つため、メラニン分泌が増加します。
活性酸素が蓄積してしまう原因として、ストレス・睡眠不足・喫煙などが挙げられるため、これらの生活習慣には注意が必要です。
メラニンが代謝されにくくなる要因
メラニンの代謝が遅れることもシミの原因であり、代謝が遅れる主な要因は紫外線、加齢、睡眠不足などが挙げられます。
紫外線はメラニン分泌の増加のみならず、直接的に肌の細胞を破壊することでターンオーバーの遅れを引き起こし、メラニンの沈着を招きます。
慢性的な紫外線の被曝によって、真皮内のコラーゲンやエラスチンなどの繊維も損傷し、肌の弾力性やハリも失われてしまうため、複合的な理由から肌年齢の衰えにつながってしまいます。
加齢によって細胞分裂の能力も低下するため、表皮細胞の新陳代謝が衰えてターンオーバーが滞ってしまいます。
分泌されたメラニンがうまく排出されず、シミの原因となります。
睡眠不足もターンオーバーの乱れの原因です。
睡眠不足によって女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌が不安定になりますが、実はエストロゲンはターンオーバーを亢進させる効果を持つホルモンです。
そのため、エストロゲンの分泌が乱れるとターンオーバーが滞ってしまいシミの原因になると言われています。
エストロゲン分泌を安定化させるためにも、規則正しい生活習慣を送り、過度なダイエットなどは控えましょう。