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GLP-1受容体作動薬

GLP-1受容体作動薬とは?

糖尿病は高血圧や高脂血症とともに生活習慣病の1つであり、様々な病気の原因になるためこれまでに多くの治療薬が開発されてきました。

しかし、今までの治療薬は血糖値を低下させてくれる反面、強く働きすぎてしまうことによる低血糖や体重増加などのデメリットを抱えていました。 特に体重増加は、糖尿病患者における肥満を引き起こしてしまうため、大きなデメリットと考えられています。

そこで、これらの課題をクリアした新たなる糖尿病治療薬として、2005年にGLP-1受容体作動薬が登場しました。 GLP-1受容体作動薬は低血糖のリスクが限りなく少ないだけでなく、なんと食欲を抑える効果によって体重減少効果も持つ理想的な治療薬だったのです。

GLP-1受容体作動薬の働き

GLP-1受容体作動薬の働きを説明する上では、人間の細胞を車、糖質をガソリン、インスリンを給油ノズルに例えると非常に分かりやすいです。

人間の細胞を車と考えたとき、エネルギー源である糖質はまさにガソリンであり、人が生活や運動を行う上では必要不可欠な成分です。
食べ物から摂取された糖質は、吸収されて血液中を流れ血糖と呼ばれます。
血糖はそのままではエネルギーとして使えず、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されることで血糖が細胞内に引き込まれて、ようやくエネルギーとして使えるようになります。
つまり、インスリンが給油ノズルのように働き細胞内にガソリンである血糖を注入してくれるのです。

逆に、血糖が枯渇してくると細胞がガス欠を起こしてしまいます。
そこで、血糖値が低下すると膵臓からグルカゴンと呼ばれるホルモンが分泌され、肝臓に貯蔵されている糖質を血液中に放出して血糖値を上昇させます。

このように、インスリンが分泌されれば血糖が細胞内に移行するため血糖値は下がり、グルカゴンが分泌されれば肝臓の糖質が血液中に放出され血糖値が上がるわけです。
しかし、糖尿病患者ではインスリンの効きが悪くなっているため、血糖を細胞内に上手く引き込めなくなり、血糖値が上昇してしまいます。

そこで、GLP-1受容体作動薬の出番です。
そもそもGLP-1とは、食事摂取に伴い腸管から分泌されるインクレチンホルモンの一種です。
体内で作られる自前のGLP-1は2-3分で分解されてしまいますが、GLP-1受容体作動薬はGLP-1が分解されにくいように改良された治療薬です。

では、GLP-1受容体作動薬はどのように糖尿病を改善させているのでしょうか?
この薬は、主に3つの特徴的な効果を持っています。
1つ目の効果として、直接膵臓に作用してインスリンの分泌を促し、グルカゴンの分泌を抑えることで効果的に血糖値を下げることができます。この時、食事から摂取した糖質量に合わせて血糖を下げてくれるため、過度な低血糖を誘発するリスクはほとんどありません。
2つ目の効果として、胃や小腸の蠕動運動を遅延させる効果があります。これにより、お腹の中の食べ物がゆっくりと消化されるため、食欲を抑制する効果があると言われています。
3つ目の効果として、脳の食欲中枢に直接作用して食欲を抑制する効果も報告されています。
これら3つの効果によって、血糖値を低下させるだけではなく、既存の糖尿病治療薬で問題になっていた体重変化に対しても、体重を減少させるというメリットがあるのです。

GLP-1受容体作動薬の特徴的な効果

  • 血糖値を
    下げる
  • 消化スピードを
    ゆっくりに
  • 食欲を
    抑える

GLP-1受容体作動薬を用いたダイエットについて

そこで最近では、GLP-1受容体作動薬の体重減少効果をダイエットに利用する方も増えています。
前述したように、GLP-1受容体作動薬は食欲を抑制するため痩せる可能性が高い薬です。 厳しい食事制限もないため無理のないダイエット効果が期待でき、一般的なダイエットと比較してリバウンドしにくいと言われています。

しかし、GLP-1受容体作動薬を投与しても食事量が低下していなければ痩せないため、その点に関しては注意が必要です。

また、ダイエット目的でのGLP-1受容体作動薬は保険適応にはならないため、全額自己負担になります。
発売当初は注射タイプのみでしたが、現在では錠剤タイプのGLP-1受容体作動薬やGLP-1の効果が期待できるサプリなども販売されており、以前よりも費用面で比較的安く購入できるようになってきました。

デュアルGIP/GLP-1受容体作動薬との違い

インクレチンホルモンにはGLP-1以外の成分としてGIPと呼ばれるホルモンも存在し、近年欧米では、GIPやGLP-1を利用したダイエット医薬薬の開発が進んでいます。
特に、GIPとGLP-1の両方の作用を有するデュアルGIP/GLP-1受容体作動薬が非常に注目されています。

デュアルGIP/GLP-1受容体作動薬の効果については、2021年に行われた国際臨床試験(SURPASS Program)で様々な検証が行われました。
結論から言えば、GLP-1受容体作動薬単独使用よりもデュアルGIP/GLP-1受容体作動薬の方が血糖値を効果的にコントロールでき、より体重の減少を認めるという結果が得られたのです。
つまり、ダイエット医薬品としても糖尿病治療薬としてもGLP-1受容体作動薬単独より素晴らしい結果を残したのです。

GLP-1受容体作動薬服用時の注意事項

GLP-1受容体作動薬はお腹の運動を抑制してしまうため、治療開始からしばらくの間は吐き気、下痢、便秘などの症状を催すことがあります。
通常、これらの症状は数週間以内に収まるのが一般的です。

また非常に稀ではありますが低血糖発作を招く危険性もあります。
万が一投薬中に悪心、手足の震え、ふらつき、脱力といった低血糖症状が現れた場合には、ブドウ糖など速やかに吸収される糖分を摂取する必要があります。
他の糖尿病治療薬の内服やインスリン製剤との併用は、さらに低血糖のリスクを高めてしまうため、インスリン導入などが行える糖尿病の知識のある医師から処方してもらいましょう。

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