血圧が高めで気になっている方は、「何か手軽にできることはないか」とお考えではないでしょうか。
高血圧は20歳以上の日本人の約半数が抱える健康課題であり、放置すると心筋梗塞や脳卒中といった重大な病気につながる可能性があります。
しかし、高血圧は初期の段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。
健康診断で「血圧が高めですね」と言われた方、ご家族に高血圧の方がいる方、日頃からストレスや疲労を感じている方など、血圧が気になる場面は多いものです。
そこで注目されているのが、東洋医学に基づく「ツボ押し」です。
- 合谷(ごうこく):手の甲の親指と人差し指の間、ストレスをほぐす
- 太衝(たいしょう):足の甲の親指と人差し指の骨の間、自律神経を整える
- 曲池(きょくち):肘を曲げた横じわの外側端、血圧調整の可能性
- 内関(ないかん):手首内側のシワから指3本分上、緊張をほぐす
- 湧泉(ゆうせん):足裏の土踏まずやや上、生命力を補うツボ
ツボを指で押すだけで、血管の緊張がほぐれ、心身がリラックスすることで、血圧の上昇を抑える可能性が報告されています。
実際に、いくつかの研究でツボ刺激による一時的な血圧低下の効果が報告されており、日常生活に取り入れやすいセルフケアの方法として関心が高まっています。
ツボ押しは特別な道具も不要で、自宅や職場でも簡単に実践できるため、忙しい毎日を送る方にとって取り組みやすい健康法と言えるでしょう。
ただし、ツボ押しはあくまでも補助的な手段です。
高血圧をしっかり管理するには、食事や運動といった生活習慣の見直しや、必要に応じた医療機関での治療が欠かせません。
この記事では、ツボ押しの効果や具体的な方法、注意点について、わかりやすく解説していきます。
高血圧の診断基準は、病院での測定で上の血圧が140以上、または下の血圧が90以上とされています。
ツボ押しは、こうした高血圧の方の補助的なケアとして、また血圧が正常より少し高めの方の予防策として活用できる可能性があります。
- ツボ押しが血圧に与える影響とそのしくみ
- 自分で押せる血圧対策に役立つ5つのツボの位置と押し方
- ツボ押しを安全に行うための注意点
- ツボ押しと併せて実践すべき血圧管理の基本
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
血圧を下げるツボ押しで期待できる3つの効果
東洋医学では、身体の特定の場所にある「ツボ」を刺激することで、さまざまな不調の改善が期待できるとされてきました。
ツボは身体のエネルギーが流れる道筋にある大切なポイントで、現代医学の視点から見ると、神経や血管が集まっている場所や、筋肉が緊張しやすい場所に位置していることが多いといわれています。
では、ツボ押しが血圧にどのような影響を与えるのか、科学的な研究をもとにわかりやすく解説します。
ツボを刺激することで得られる効果は、大きく3つに分けられます。
1つ目は血管への直接的な働きかけ、2つ目は心と身体のバランスを整える作用、3つ目は身体全体の調整機能への働きかけです。
これらが組み合わさることで、血圧を適切な範囲に保つ効果が期待されています。
ツボ押しで期待できる3つの効果
| 効果 | 身体への働き | 期待される結果 |
|---|---|---|
| 血管が広がる | 血管を拡張させる物質が増える | 血液の通り道が広くなり、血圧が下がる |
| 自律神経が整う | 緊張をほぐし、リラックス状態を促す | 過剰な交感神経の働きが抑えられ、血圧が安定する |
| 血圧調整機能が働く | 血圧を上げる物質の活性が抑えられる | 身体の血圧調整の仕組みが正常に働く |
血管が広がり血流がスムーズになる
ツボを刺激すると、血管が広がって血液の流れが良くなる可能性があります。
血管が広がると血液の通り道が広くなるため、血管の壁にかかる圧力が減り、結果として血圧が下がると考えられています。
ホースで水を流すとき、ホースが太ければ水圧が下がるのと同じイメージです。
研究では、鍼やツボ刺激によって、血管を広げる働きのある物質が血液中に増えることが確認されています。
鍼治療は皮膚領域での血管拡張剤 (NO) 放出の増加を誘発し、NO の増加は局所循環を改善し、局所の温かさと、痛みの緩和、発汗と炎症の改善などの鍼治療の有益な効果に寄与する。
引用:PubMed Central Nitric Oxide Signaling Molecules in Acupuncture Points: Toward Mechanisms of Acupuncture
また、血管を傷める原因となる物質の産生が抑えられることも報告されています。
血管が柔軟性を保ち、スムーズに血液を流せる状態になることが、血圧管理には大切です。
さらに、ツボ刺激によって、血圧を上げる働きをする物質の活性が抑えられたという報告もあります。
身体には血圧を調整するいくつもの仕組みがありますが、ツボ刺激がこうした仕組みに良い影響を与えることで、血圧の上昇を防ぐ可能性が示されています。
ストレスが和らぎ自律神経が整う
血圧の調整には、「自律神経」という身体の機能を自動的にコントロールする神経が深く関わっています。
自律神経には、身体を活動的にする「交感神経」と、身体をリラックスさせる「副交感神経」の2種類があります。
交感神経が働くと心臓の鼓動が速くなり血管が縮んで血圧が上がり、副交感神経が働くとリラックスして血圧が下がります。
自律神経と血圧の関係
| 神経の種類 | 働くとき | 身体の状態 | 血圧への影響 |
|---|---|---|---|
| 交感神経 | 緊張・ストレス時 | 心拍数が上がる、血管が縮む | 血圧が上がる |
| 副交感神経 | リラックス時 | 心拍数が下がる、血管が広がる | 血圧が下がる |
日頃からストレスや緊張が続くと、交感神経ばかりが働いて身体が休まらず、血圧が高い状態が続きやすくなります。
実際、高血圧の方の多くは、交感神経が過剰に働いていることが研究でわかっています。
ツボ押しには、こうした過剰に働く交感神経を落ち着かせ、副交感神経を活性化させることで、心身のバランスを整える効果が期待されています。
特に、手首や足にあるツボは、自律神経の中枢に信号を送り、リラックス状態を促す働きがあると考えられています。
ツボを刺激することで得られるリラックス効果は、単なる気持ちの問題ではなく、実際に身体の反応として血圧を下げる可能性があるのです。
研究で確認されているツボ刺激の降圧作用
ツボ刺激による血圧低下の効果については、多くの研究で報告されています。
ある研究では、足の甲にある「太衝」というツボを指で押したところ、押した直後から30分後にかけて、上の血圧が平均で約15〜22、下の血圧が約4〜8下がったことが確認されました。
また、手首にある「内関」というツボへの指圧を行った研究では、血圧の調整効果だけでなく、高血圧に関連する症状の改善も報告されています。
中国で実施された大規模な研究では、428名の軽い高血圧の患者さんを対象に、週3回、6週間にわたって鍼治療を行ったところ、偽の鍼治療を受けたグループや治療を受けなかったグループと比べて、血圧の低下傾向が示されました。
鍼治療群は、偽鍼治療群および待機リスト群と比較して、6週目に収縮期血圧(SBP)が低下した(7.2 ± 11.0 mmHg vs. 4.1 ± 11.5 mmHg vs. 4.1 ± 13.2 mmHg)。
引用:PubMed Central Acupuncture for patients with mild hypertension: A randomized controlled trial
血圧を下げる薬を飲んでいる患者さんに鍼治療を併用した研究でも、薬だけの治療よりも良い血圧コントロールが得られたという報告があります。
ただし、重要な点として、これらの研究のほとんどは施術直後や数週間後の効果を調べたものであり、ツボ刺激の効果が何ヶ月も続くかどうかについては、まだ十分にわかっていません。
ある研究では、鍼治療を終えて3ヶ月や6ヶ月後には血圧低下効果がなくなっていたという報告もあり、ツボ刺激は継続して行う必要があることが示されています。
3ヶ月および6ヶ月後、実治療群の平均収縮期血圧および拡張期血圧は治療前のレベルに戻った。
引用:PubMed Randomized trial of acupuncture to lower blood pressure
このように、ツボ刺激には一時的に血圧を下げる効果が期待できますが、それだけで高血圧を管理できるわけではありません。
食事や運動といった生活習慣の改善や医師の指導に基づく治療と組み合わせることで、より効果的な血圧管理につながる可能性があります。
自分で簡単に押せる血圧対策の5つのツボ
ここでは、自宅で簡単に刺激できる代表的な5つのツボをご紹介します。
どのツボも、特別な道具を使わず、指で押すだけで刺激できます。
これらのツボは、高血圧の改善に古くから用いられてきたもので、現代の研究でもその効果が確認されています。
ツボの位置を正確に見つけることが効果を得るコツですが、最初は多少位置がずれていても大丈夫です。
繰り返し押すうちに、「ここが気持ちいい」と感じる場所が見つかってくるはずです。
それぞれのツボには東洋医学的な意味があり、血圧以外にも頭痛や疲労などさまざまな症状に効果が期待できるものもあります。
日々の生活の中で、テレビを見ながら、お風呂上がり、寝る前など、リラックスできるタイミングで無理なく取り入れてみてください。
血圧対策に役立つ5つのツボ一覧
| ツボの名前 | 場所 | 期待される効果 | 押し方のコツ |
|---|---|---|---|
| 合谷(ごうこく) | 手の甲、親指と人差し指の間(人差し指寄り) | ストレスをほぐす、頭痛・肩こりの改善 | 人差し指の骨に向かって押し込む |
| 太衝(たいしょう) | 足の甲、親指と人差し指の間 | イライラを鎮める、自律神経を整える | 骨の間に親指を滑り込ませる |
| 曲池(きょくち) | 肘の横じわの外側の端 | 血圧調整の可能性(主に上の血圧) | 円を描くようにマッサージ |
| 内関(ないかん) | 手首内側、シワから指3本分上 | 精神的緊張をほぐす、心臓の働きを助ける | 腱の間に指を入れ込む |
| 湧泉(ゆうせん) | 足裏、土踏まずのやや上 | 気力を補う・リフレッシュ(東洋医学的な伝統説) | 両手の親指を重ねて強めに押す |
- 力加減:痛くならない範囲で
- 押す時間:数秒
- 繰り返し:数回
合谷(ごうこく)手の甲で押しやすい万能ツボ
合谷は、手の甲側で、親指と人差し指の骨が交わるあたり、やや人差し指寄りのくぼみにあるツボです。
探し方は簡単で、手の甲を上にして、反対の手の親指で押してみると、少しズーンとした痛みを感じる場所があります。
そこが合谷です。
このツボは、東洋医学では万能のツボとして知られており、頭痛や肩こり、ストレスによる不調など、幅広い症状に使われてきました。
血圧については、緊張をほぐして心身を落ち着かせる効果が期待されています。
研究では、合谷を含む複数のツボへの刺激が血圧を下げる可能性が示唆されていますが、合谷単独の効果については明確に確立されていません。
反対の手の親指を使って、やや人差し指の骨に向かって押し込むように刺激します。
痛いけど気持ちいいと感じる程度の強さで、数秒間押してから力を抜く、という動きを数回繰り返しましょう。
左右両方の手で行います。
太衝(たいしょう)足の甲のイライラ解消ツボ
太衝は、足の甲側で、親指と人差し指の間から足首に向かってなぞっていくと、2つの骨が合わさる手前にあるくぼみです。
足の親指と人差し指の骨の間を探ると、少しへこんだ場所が見つかります。
東洋医学では、イライラや怒りといった感情を鎮め、心を落ち着かせる作用があるとされてきました。
現代医学的には、心身のバランスを整えて、緊張をほぐすことで血圧を下げる効果が期待されています。
研究では、太衝を指で押すことで上の血圧と下の血圧がともに下がることが確認されており、押した後30分まで効果が続いたという報告があります。
これらの知見は、太衝経穴への指圧が高血圧患者の収縮期血圧と拡張期血圧を少なくとも30分間低下させる可能性を示唆しています。
引用:PubMed Central Effectiveness of Acupressure on the Taichong Acupoint in Lowering Blood Pressure in Patients with Hypertension: A Randomized Clinical Trial
このツボは、ストレスが多い方や、緊張しやすい方に特におすすめです。
椅子に座った状態で、片足を反対の太ももに乗せ、親指でツボを押します。
骨の間に親指を滑り込ませるようなイメージで、足首に向かってやや押し上げるように刺激します。
数秒間押して緩める動作を数回繰り返し、両足とも行いましょう。
曲池(きょくち)肘の近くにある血圧調整ツボ
曲池は、肘の横じわの外側の端にあるツボです。
肘を直角に曲げると、肘の外側にシワができますが、そのシワの先端部分が曲池です。
このツボは、古くから高血圧の改善に用いられてきました。
曲池と合谷へ電気刺激を行った研究では、上の血圧が有意に低下することが確認されています。
ただし、同研究では下の血圧の低下は統計的に有意ではありませんでした。
治療前の平均収縮期血圧は117.8 ± 4.2 mmHgであったが、3週目には110.8 ± 5.5 mmHg(P <.05)、5週目には110.1 ± 5.8 mmHg(P <.05)に低下した。
引用:PubMed Central Effects of electrical stimulation of acupuncture points on blood pressure
反対の手の親指でツボを押さえます。
肘を軽く曲げた状態で、親指で円を描くようにマッサージしながら刺激すると効果的です。
数秒間の押し方を数回繰り返し、左右とも行いましょう。
内関(ないかん)手首の緊張をほぐすツボ
内関は、手首の内側、手のひら側にあるツボです。
手首のシワから指3本分(約4〜5cm)肘側に上がった場所で、2本の腱の間にあります。
手首を軽く曲げると、2本の腱が浮き出て見えるので、その間を探すとわかりやすいでしょう。
内関は、心臓の働きを助け、精神的な緊張をほぐす効果があるとされてきました。
現代の研究でも、内関を指で押すことで血圧が調整され、高血圧に伴う症状が改善する可能性が示されています。
特に、ストレスや不安による血圧上昇に対して効果が期待できます。
反対の手の親指をツボに当て、腱の間に指を入れ込むようにして押します。
やや強めに、数秒間押してから緩める動作を数回繰り返します。
左右の手首とも行いましょう。
湧泉(ゆうせん)足裏の疲れを取るツボ
湧泉は、足の裏の中央よりやや上、土踏まずのやや上あたりにあるツボです。
足の指を曲げたときに、足裏にできる「人」の字のようなくぼみの中心あたりが湧泉です。
このツボは、生命エネルギーが湧き出る場所として重視されてきました。
湧泉への刺激と血圧管理に関する研究は存在しますが、その多くは灸や温罨法などの温熱療法を用いたもので、指で押すセルフ指圧による血圧への効果については十分なエビデンスが確立されていません。
椅子に座って片足を反対の太ももに乗せ、両手の親指を重ねてツボを押します。
体重をかけるようにして、やや強めに数秒押し、緩める動作を数回繰り返します。
両足とも行いましょう。
これらのツボは1日に何回押しても構いませんが、無理のない範囲で続けることが大切です。
朝起きたときや寝る前、仕事の合間など、生活の中で取り入れやすいタイミングで実践してみてください。
ツボ押しで気をつけるべき3つのポイント
ツボ押しは比較的安全な方法ですが、やり方を間違えると効果が得られなかったり、かえって体調を崩したりすることがあります。
特に、高血圧は心臓や血管に関わる問題ですから、安全面には十分な注意が必要です。
ここでは、安全にツボ押しを行うための注意点をお伝えします。
正しい方法で行えば、ツボ押しは副作用の少ない安全なセルフケアとなりますが、間違った方法や良くないタイミングで行うと、身体に負担をかけてしまう可能性があります。
特に、すでに高血圧と診断されている方、血圧を下げる薬を飲んでいる方、他の病気で治療中の方は、以下の注意点をよく読んで、安全に実践してください。
また、少しでも体調がおかしいと感じたら、無理をせずに中止し、必要に応じて病院を受診することが大切です。
ツボ押しの注意点まとめ
| 注意点 | 理由 | 対応方法 |
|---|---|---|
| 食後すぐは避ける | 消化の妨げになる | 直後は避け、少し時間を空ける(または気分が悪ければ避ける) |
| 入浴直後は避ける | 血圧が急変動する可能性 | 入浴前か、入浴後に休んでから |
| お酒を飲んだ後は避ける | 血管が広がりすぎる | 飲酒後は行わない |
| 強く押しすぎない | 筋肉や皮膚を傷める | 痛気持ちいい程度で |
| 長時間押さない | 過度な刺激になる | 1回数秒程度にとどめる |
食後や入浴直後などのタイミングに注意
食事の直後は消化の妨げになる可能性があるため、気分が悪い場合は避けましょう。
また、お風呂の直後も避けるべきタイミングです。
入浴後は血管が広がって血圧が低下しやすい状態にあるため、追加の刺激は控える方が安全です。
入浴後は少し休んでから、あるいは入浴前に行うことをお勧めします。
- お酒を飲んだ後:アルコールで血圧が影響を受けているため、控えることが望ましいです
- 激しい運動の直後:心臓や血管に負担がかかっている状態では、ツボ刺激が追加の負担となる可能性があります
- 極度に疲れているとき:身体が休息を必要としている状態では、刺激を与えるよりも休むことが優先されます
痛気持ちいい程度の強さで押す
ツボ押しの効果を得るためには、適切な力加減が重要です。
強く押せば効果が高まるというわけではありません。
押す強さの目安は「痛いけど気持ちいい」と感じる程度です。
痛みを感じるほど強く押すと、痛みやあざ、皮膚刺激などを引き起こしたりすることがあります。
また、皮膚や筋肉を傷める原因にもなります。
指の腹を使って、じんわりと圧をかけるイメージで行いましょう。
押す時間は1回あたり数秒程度が適切です。
これを数回繰り返すのが基本です。
あまり長い時間押し続けると、筋肉や神経に過度な刺激となり、痛みや不快感の原因になります。
正しい押し方と間違った押し方
| 項目 | 正しい方法 | 間違った方法 |
|---|---|---|
| 強さ | 痛気持ちいい程度 | 痛みを感じるほど強く押す |
| 使う部分 | 指の腹 | 爪を立てる、硬い物で突く |
また、爪を立てて押したり、ボールペンなど硬いもので突いたりするのは避けてください。
皮膚を傷つけたり、内出血を起こしたりする恐れがあります。
激しい頭痛や胸の痛みがあるときは病院へ
ツボ押しはあくまでも日頃のセルフケアの一つであり、急に激しい症状が出た場合には、すぐに病院を受診する必要があります。
以下のような症状がある場合は、高血圧による緊急事態の可能性があるため、ツボ押しをせずに直ちに病院を受診してください。
- 突然の激しい頭痛:脳に重大な問題が起きている可能性があります
- 胸の痛みや圧迫感:心臓に問題が起きている可能性があります
- 息切れや呼吸が苦しい:心臓の機能が低下している可能性があります
- 視界がおかしい(見える範囲が狭い、物が二重に見えるなど):脳に問題が起きている可能性があります
- 激しいめまいや意識がもうろうとする:脳に問題が起きている可能性があります
- 皮膚に傷や湿疹がある場所
- 骨折や捻挫などの怪我をしている場所
皮膚に傷や湿疹がある場所、骨折や捻挫などの怪我をしている場所へのツボ押しも避けてください。
炎症を悪化させたり、治りを遅くしたりする可能性があります。
ツボ押しだけに頼らない血圧管理のコツ
ツボ押しは血圧管理の補助的な手段として役立ちますが、それだけで高血圧を改善できるわけではありません。
しっかりと血圧を管理するためには、毎日の生活習慣を見直すことと、必要に応じて病院での治療を受けることが欠かせません。
高血圧の原因の多くは、塩分の摂りすぎ、運動不足、肥満、ストレス、タバコ、お酒の飲みすぎといった生活習慣にあります。
これらを改善することで、薬に頼らずに血圧をコントロールできる可能性もありますし、すでに血圧を下げる薬を飲んでいる方でも、生活習慣の改善により薬の量を減らせることがあります。
世界保健機関や日本の厚生労働省をはじめ、各国の医療ガイドラインでも、生活習慣の改善が高血圧予防と治療の基本であることが強調されています。
ここでは、ツボ押しと併せて実践すべき血圧管理の基本についてお伝えします。
減塩や運動など毎日の生活習慣が最も重要
高血圧を管理するうえで、最も大切なのは毎日の生活習慣を改善することです。
世界保健機関や各国のガイドラインでも、生活習慣の改善が高血圧予防と治療の第一選択として推奨されています。
血圧を下げる6つの生活習慣
| 生活習慣 | 具体的な方法 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 減塩 | 1日6g未満を目標。加工食品・外食を控える、だしや香辛料で味付けを工夫 | 血圧を直接下げる |
| 適度な運動 | ウォーキング・ジョギング・水泳など週150分(1日30分×週5日) | 血圧を下げる、体重管理、ストレス解消 |
| 適正体重の維持 | BMI 25未満を目安に、特にお腹周りの脂肪を減らす | 血圧を下げる、他の生活習慣病予防 |
| 節酒 | 男性:日本酒1合程度/日、女性:その半分程度 | 血圧の上昇を防ぐ |
| 禁煙 | 完全に禁煙する | 血管の健康を保つ、動脈硬化予防 |
| ストレス管理 | 十分な睡眠、趣味の時間、リラックス法の実践 | 交感神経の過剰な働きを抑える |
塩分を減らすことの重要性
日本人の高血圧の最大の原因は、塩分の摂りすぎです。
厚生労働省によると、高血圧の予防・治療のためには、男女ともに1日6g未満の塩分摂取が推奨されていますが、実際にはそれよりも多く摂っているのが現状です。
塩分を減らすことで、血圧を下げる効果が期待できます。
塩分を減らすコツとしては、加工食品や外食を控える、醤油やソースをかけすぎない、だしや香辛料で味付けに工夫をする、などが挙げられます。
適度な運動
定期的に体を動かすことは、血圧を下げるだけでなく、体重管理やストレス解消にも役立ちます。
ウォーキングやジョギング、水泳などが特に効果的です。
週に150分程度(1日30分×週5日)の軽い運動が推奨されています。
適正体重を保つ
太りすぎは高血圧の大きな原因です。
体重を減らすことで、血圧が下がることが多くの研究で示されています。
特にお腹周りに脂肪が多い方は、体重管理が重要です。
高血圧対策としては、肥満の基準であるBMI 25未満を目標にしましょう。
お酒を控えめに
お酒の飲みすぎは血圧を上げます。
飲む場合は、男性で1日あたり日本酒1合程度、女性ではその半分程度に抑えることが推奨されています。
タバコをやめる
タバコは血管を縮めて、動脈硬化を進めます。
高血圧とタバコが重なると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが大幅に高まるため、禁煙は非常に重要です。
ストレスをためない
慢性的なストレスは心身を緊張させ、血圧に影響を与える可能性があります。
十分な睡眠、趣味の時間、リラックスできる時間などを確保し、ストレスを上手に管理しましょう。
これらの生活習慣の改善は、軽い高血圧であれば薬を使わずに血圧をコントロールできる可能性があります。
また、すでに血圧を下げる薬を飲んでいる方でも、生活習慣の改善により薬の量を減らせることがあります。
家庭での血圧測定で数値の変化を把握する
血圧は常に変わっているため、病院での測定だけでは不十分です。
家庭で定期的に血圧を測ることで、自分の血圧の傾向を把握し、治療の効果を確認することができます。
家庭で血圧を測るときのポイント
| 測定のタイミング | 具体的な方法 |
|---|---|
| 朝 | 起床後1時間以内、トイレを済ませた後、朝食前、薬を飲む前 |
| 夜 | 就寝前 |
| 測定前の準備 | 座って1〜2分安静にしてから測定する |
| 使用する機器 | 上腕式の血圧計が推奨(手首式は位置合わせなどで誤差が出やすい) |
| 記録 | 測った値は必ずノートやアプリに記録する |
血圧の基準値
| 測定場所 | 高血圧の判定基準 |
|---|---|
| 病院での測定 | 140/90以上 |
| 家庭での測定 | 135/85以上 |
家庭で測る血圧の基準値は、病院での血圧よりもやや低く設定されています。
家庭で測る血圧が135/85以上の値が続く場合は、高血圧の判定基準に該当するため、病院での相談が必要です。
なお、より望ましい血圧レベル(正常血圧)は120/80未満とされています。
140/90mmHg以上が続く場合は必ず受診を
高血圧の診断基準は、病院での測定で上の血圧が140以上、または下の血圧が90以上とされています。
この基準を超える値が続く場合は、必ず病院を受診しましょう。
高血圧の診断基準と対応
| 血圧の分類 | 上の血圧(収縮期) | 下の血圧(拡張期) | 必要な対応 |
|---|---|---|---|
| 正常血圧 | 120未満 | かつ 80未満 | 生活習慣の維持 |
| 正常高値血圧 | 120〜129 | かつ 80未満 | 生活習慣の改善 |
| 高値血圧 | 130〜139 | または 80〜89 | 生活習慣の改善 |
| I度高血圧 | 140〜159 | または 90〜99 | 生活習慣の改善、医師と相談 |
| II度高血圧 | 160〜179 | または 100〜109 | 速やかに病院受診、薬物治療の検討 |
| III度高血圧 | 180以上 | または 110以上 | 速やかに病院受診、薬物治療の検討 |
高血圧は自覚症状がほとんどないため、「体調に問題はない」と感じていても、血管や心臓には確実に負担がかかっています。
放っておくと、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎不全といった重大な病気を引き起こすリスクが高まります。
また、すでに高血圧と診断されて治療を受けている方も、定期的に病院を受診し、血圧のコントロール状況を確認してもらうことが大切です。
薬物治療が必要かどうかは、血圧値だけでなく、年齢、合併症、心血管リスクなどを総合的に判断して決定されます。
生活習慣の改善だけでは血圧が下がらない場合や、血圧が高い場合は、血圧を下げる薬による治療が検討されます。
血圧を下げる薬にはいろいろな種類があり、それぞれ働き方が違います。
医師は患者さんの年齢、他の病気、血圧の程度などを考えて、最適な薬を選びます。
薬の効果や副作用についてわからないことがあれば、遠慮せずに医師や薬剤師に相談しましょう。
ツボ押しは、こうした通常の治療に加えて行う補助的な方法として位置づけられます。
医師の指導を受けながら、生活習慣の改善、必要に応じた薬による治療、そしてツボ押しなどのセルフケアを組み合わせることで、より効果的な血圧管理が可能になります。
よくある質問(FAQ)
- ツボ押しだけで高血圧は治りますか
-
ツボ押しだけで高血圧を治すことは難しいと考えられます。
研究では、ツボを刺激すると一時的に血圧が下がることが確認されていますが、その効果が何ヶ月も続くという十分な証拠はまだありません。
高血圧を管理するには、塩分を控えることや適度な運動といった生活習慣の改善が最も重要であり、必要に応じて医師が処方する血圧を下げる薬による治療が必要です。
ツボ押しは、こうした通常の治療を補助する手段として取り入れることをお勧めします。
- ツボ押しはどのくらいの頻度で行えばよいですか
-
ツボ押しの頻度に厳密な決まりはありません。
研究では週に数回の鍼治療やツボ刺激で効果が見られたという報告がありますが、日頃のセルフケアとしては、毎日続けて行うことで、より安定した効果が期待できる可能性があります。
ただし、やりすぎは痛みやあざ、皮膚刺激などを引き起こしたりすることがあります。
1回のツボ押しは1つのツボにつき数秒を数回程度にとどめ、無理のない範囲で続けることが大切です。
- ツボを押しても効果を感じられない場合は
-
ツボ押しの効果の感じ方には個人差があります。
すぐに効果が現れない場合でも、数週間続けることで徐々に変化を感じられることもあります。
また、ツボの位置が正確でない場合や、力加減が適切でない場合は、効果が得られにくいことがあります。
もし効果を感じられない場合は、ツボの位置を再確認し、押し方を見直してみてください。
それでも効果が実感できない場合は、ツボ押しが体質に合っていない可能性もあります。
無理に続ける必要はありませんので、食事や運動といった生活習慣の改善や病院での相談を優先しましょう。
- 降圧薬を服用中でもツボ押しをして大丈夫ですか
-
基本的には問題ありませんが、念のため主治医に相談することをお勧めします。
研究では、血圧を下げる薬を飲んでいる患者さんがツボ刺激を併用した場合、薬だけの治療よりも良い血圧コントロールが得られたという報告があります。
ただし、ツボ押しによって血圧が下がりすぎる可能性もあるため、家庭での血圧測定を続け、異常に低い値(上の血圧が100未満など)が続く場合や、めまい、ふらつきなどの症状が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。
まとめ
血圧を下げるツボ押しは、東洋医学に基づく伝統的な方法ですが、現代医学の研究でも一定の効果が確認されています。
ツボを刺激することで血管が広がり、心身のバランスが整うことで、一時的に血圧が下がる効果が期待できます。
この記事でご紹介した合谷、太衝、曲池、内関、湧泉の5つのツボは、自宅で簡単に刺激できるものばかりです。
痛いけど気持ちいい程度の強さで、数回繰り返すのが基本です。
食後すぐやお風呂の直後は避け、激しい頭痛や胸の痛みがあるときは、ツボ押しではなく病院を受診してください。
ただし、ツボ押しはあくまでも補助的な手段です。
高血圧をしっかり管理するには、塩分を控えることや適度な運動、適正体重の維持、お酒を控える、タバコをやめる、ストレスをためないといった生活習慣の改善が最も重要です。
家庭での血圧測定を習慣づけ、上の血圧が135以上、または下の血圧が85以上の値が続く場合は必ず病院を受診しましょう。
生活習慣の改善、必要に応じた血圧を下げる薬による治療、そしてツボ押しなどのセルフケアを組み合わせることで、より効果的な血圧管理が可能になります。
自分に合った方法を見つけ、無理なく続けていくことが、健康な血圧を保つための鍵となります。
e-ヘルスネット(厚生労働省) 高血圧
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e-ヘルスネット(厚生労働省) ナトリウム
World Health Organization Physical Activity
e-ヘルスネット(厚生労働省) 肥満と健康
e-ヘルスネット(厚生労働省) アルコール
Mayo Clinic Stress and high blood pressure: What’s the connection?
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特定非営利活動法人 日本高血圧学会「一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子」


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