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いびきの原因を徹底解説!メカニズムから改善方法まで医師が詳しく説明

いびきの原因を徹底解説!メカニズムから改善方法まで医師が詳しく説明

パートナーから「いびきがうるさい」と指摘されたり、自分のいびきで目が覚めたりして悩んでいませんか。

いびきは成人の約25〜50%が定期的に経験する一般的な症状ですが、その背景にはさまざまな原因が隠れています。

いびきが発生する主な原因
  • 肥満で首周囲に脂肪が増え気道が圧迫される
  • 就寝前の飲酒や睡眠薬で上気道筋が弛緩し狭窄する
  • 慢性鼻づまりで口呼吸となり舌が下がり気道が狭まる
  • 加齢に伴い咽頭筋力が低下し気道を保てなくなる
  • 睡眠中の筋弛緩で舌が落ち込み軟口蓋が振動する

単なる騒音の問題と軽視されがちですが、場合によっては睡眠時無呼吸症候群という深刻な病気のサインである可能性もあります。

本記事では、いびきが発生するメカニズムから具体的な原因、そして改善方法まで、医学的な観点から詳しく解説します。

いびきの原因を正しく理解することで、適切な対処法を見つけ、より質の高い睡眠を取り戻すことができるでしょう。

この記事でわかること
  • いびきが起こる基本的なメカニズムと音が発生する理由
  • 肥満、加齢、アルコール、鼻づまりなどの主要な原因
  • 睡眠時無呼吸症候群の可能性を示す危険なサイン
  • 生活習慣の改善から医療機関での治療まで、幅広い対処法
  • 女性特有のいびきの原因と対策
目次

いびきが起こるメカニズムと基本的な原因

いびきは、睡眠中に呼吸をする際、上気道の軟部組織が振動することで発生する音です。

睡眠中は、口蓋、舌、咽頭周辺の筋肉が弛緩し、気道が狭くなります。

この狭くなった気道を空気が通過する際、軟部組織が振動していびきの音が生じるのです。

気道が狭ければ狭いほど、空気の流速が増し、振動も大きくなるため、いびきの音も大きくなる傾向があります。

研究によると、いびきは主に軟口蓋の振動によって生じることが多いとされていますが、舌根部や咽頭側壁など、複数の部位が関与している場合もあります。

睡眠中に気道が狭くなる仕組み

睡眠に入ると、全身の筋肉がリラックスし、上気道を支える筋肉の緊張も低下します。

特に、舌を前方に保持する舌筋群や、咽頭を開いた状態に維持する咽頭筋群の活動が低下することで、舌が後方に落ち込んだり、咽頭側壁が内側に崩れ込んだりする可能性があります。

健康な人でも、ある程度の気道狭窄は起こりますが、通常は呼吸に支障をきたすほどではありません。

しかし、もともと気道が狭い人や、肥満などで気道周囲に脂肪が蓄積している人では、わずかな筋緊張の低下でも気道が著しく狭くなり、いびきが発生しやすくなります。

いびきの音が発生する理由

いびきの音は、狭くなった気道を通る空気の乱流によって生じます。

物理学的には、ベルヌーイの定理により、狭い部分を通る空気の流速は増加し、圧力は低下します

この圧力変化により、軟部組織が引き寄せられて振動し、特徴的ないびきの音が発生するのです。

音の大きさや質は、振動する組織の位置、大きさ、硬さなどによって異なります。

軟口蓋の振動は比較的低い周波数の音を生じさせ、舌根部の振動はより高い周波数の音を生じさせる傾向があります。

男女で異なるいびきの特徴

いびきの発生率には性差があり、一般的に男性の方が女性よりもいびきをかきやすいとされています。

これには、解剖学的な違いとホルモンの影響が関係しています。

男性は女性と比較して、上気道の長さが長く、咽頭腔が大きい傾向があります。

また、脂肪の分布パターンも異なり、男性は首周りに脂肪がつきやすく、これが気道を狭める要因となります。

一方、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは、上気道の筋緊張を維持する作用があるため、閉経前の女性はいびきから保護される傾向があります。

ただし、閉経後は女性ホルモンの減少により、女性のいびき発生率は男性に近づくことが知られています。

いびきを引き起こす主な原因と生活習慣

いびきの原因は多岐にわたり、複数の要因が組み合わさって発生することが多いです。

生活習慣や体質、年齢など、さまざまな要素が気道の狭窄に影響を与え、いびきの発生や重症度を左右します。

ここでは、最も一般的な原因について詳しく説明します。

これらの原因を理解することで、自分のいびきがなぜ起こっているのかを把握し、適切な対処法を選択する手がかりとなるでしょう。

肥満や体重増加による影響

肥満は、いびきの最も重要なリスクファクターの一つです。

体重が増加すると、首周りや咽頭周囲に脂肪が蓄積し、気道を物理的に圧迫します。

研究によれば、BMI(体格指数)が1単位増加するごとに、睡眠呼吸障害のリスクが約14%上昇することが示されています。

OSAの重症度の指標である無呼吸低呼吸指数(AHI)が上昇する可能性は、体格指数(BMI)が1ポイント増加するごとに14%増加し、ウエスト/ヒップ比が0.1単位増加するごとに61%増加する[ 12 ]。

引用:ScienceDirect Obstructive sleep apnea and obesity: A review of epidemiology, pathophysiology and the effect of weight-loss treatments

特に、首周りの脂肪蓄積は直接的に気道を狭めます。

男性では首回り43cm以上、女性では40cm以上が睡眠時無呼吸症候群のリスクファクターとされています。

また、舌にも脂肪が蓄積し、舌の体積が増加することで、咽頭腔をさらに狭める可能性があります。

体重が10%増加すると、睡眠時無呼吸症候群の重症度を示す無呼吸低呼吸指数(AHI)が32%増加するという研究結果もあります。

逆に、体重減少によっていびきや睡眠時無呼吸症候群が改善することも多く報告されています。

アルコールと睡眠薬がもたらす筋肉の弛緩

アルコールや睡眠薬などの中枢神経抑制薬は、上気道の筋緊張を低下させ、いびきを悪化させる要因となります。

アルコールは、咽頭筋の活動を抑制し、気道の虚脱を起こしやすくします。

就寝前のアルコール摂取は、レム睡眠の減少や睡眠の断片化を引き起こし、睡眠の質を低下させます。

さらに、アルコールは呼吸中枢の感受性を低下させ、低酸素状態に対する覚醒反応を鈍らせる可能性があります。

これにより、通常よりも長い無呼吸エピソードが生じる危険性があります。

睡眠薬、特にベンゾジアゼピン系薬剤も同様の作用を持ちます。

これらの薬剤は、上気道の筋緊張を低下させるだけでなく、呼吸ドライブも抑制する可能性があるため、睡眠呼吸障害のある人では慎重に使用する必要があります。

鼻づまりやアレルギーが与える影響

鼻閉は、いびきの重要な危険因子です。

鼻呼吸が困難になると、口呼吸に切り替わり、これがいびきを引き起こしやすくします。

研究によると、慢性的な夜間の鼻閉がある人は、そうでない人と比較して習慣的ないびきのリスクが3倍高いことが示されています。

習慣的ないびきをかく人と、重度の(常にまたはほぼ常に)鼻づまりがある人とのオッズ比(性別、年齢、体型、喫煙の有無で調整)は3.0(95%信頼区間、2.2~4.0)であった。

引用:PubMed Chronic nasal congestion at night is a risk factor for snoring in a population-based cohort study

アレルギー性鼻炎は、鼻粘膜の腫脹と鼻汁の増加により鼻腔を狭め、鼻呼吸を困難にします。

また、副鼻腔炎や鼻中隔彎曲症などの構造的な問題も、慢性的な鼻閉の原因となります。

口呼吸は、舌の位置を変化させ、下顎を後退させる傾向があり、これらはいずれも咽頭腔を狭める要因となります。

さらに、口呼吸による口腔内の乾燥は、軟部組織の振動を増加させ、いびきの音を大きくする可能性があります。

加齢による筋力低下といびきの関係

加齢に伴い、全身の筋力が低下しますが、これは上気道の筋肉にも当てはまります。

咽頭筋の筋力低下により、睡眠中の気道維持が困難になり、いびきが発生しやすくなります。

研究によると、睡眠時無呼吸症候群の有病率は60-65歳頃まで年齢とともに増加し、その後プラトーに達することが示されています。

地域ベースの睡眠心臓健康研究のデータによると、疾患の有病率は加齢とともに着実に増加し、60 歳を過ぎると横ばいになることが示されています

引用:PubMed Central The Epidemiology of Adult Obstructive Sleep Apnea

加齢による変化には、筋肉量の減少だけでなく、神経筋制御の低下、組織の弾性低下なども含まれます。

女性では、閉経に伴うホルモン変化が加齢によるいびきの増加に大きく寄与します。

エストロゲンとプロゲステロンの減少により、上気道の筋緊張が低下し、男性と同程度のいびき発生率となることが報告されています。

注意が必要ないびきの見分け方

すべてのいびきが医学的な問題を示すわけではありませんが、中には睡眠時無呼吸症候群など、健康に深刻な影響を与える可能性のある病気のサインである場合があります。

睡眠時無呼吸症候群は、心血管疾患、高血圧、糖尿病、脳卒中などのリスクを高めることが知られており、適切な診断と治療が重要です。

ここでは、単純ないびきと病的ないびきを見分けるポイントと、医療機関を受診すべきタイミングについて解説します。

睡眠時無呼吸症候群の可能性があるいびきの特徴

睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、睡眠中に気道が繰り返し閉塞し、呼吸が10秒以上停止する病気です

以下のような特徴があるいびきは、OSAの可能性を示唆します。

大きく不規則ないびきで、突然静かになったかと思うと、あえぐような音や息を吸い込むような音とともに再開するパターンは、典型的なOSAの兆候です。

ベッドパートナーが、患者の呼吸停止を目撃することも多くあります。

いびきの音量も重要な指標となる可能性があります。

会話よりも大きな音や、ドア越しでも聞こえるような大きないびきは、より重度の気道閉塞を示唆する場合があります。

ただし、音量だけでOSAの重症度を判断することはできず、総合的な評価が必要です。

また、睡眠体位によるいびきの変化も重要です。

仰向けで寝ているときに特にいびきがひどくなる場合は、体位依存性OSAの可能性があります。

日中の眠気や疲労感との関連性

睡眠時無呼吸症候群の重要な症状の一つが、日中の過度な眠気です。

夜間の頻繁な覚醒により、深い睡眠が得られず、日中に強い眠気や疲労感を感じることがあります。

具体的には、会議中や運転中など、本来は覚醒していなければならない状況でも眠気を感じたり、実際に居眠りしてしまったりすることがあります。

また、集中力の低下、記憶力の低下、イライラ感、気分の落ち込みなども、睡眠の質の低下に関連する症状です。

朝起きたときの頭痛、口の渇き、のどの痛みなども、夜間の口呼吸やいびきに関連する症状として重要です。

これらの症状が継続的に認められる場合は、睡眠の質に問題がある可能性が高いでしょう。

医療機関を受診すべきタイミング

以下のような症状がある場合は、医療機関での評価を受けることをお勧めします。

医療機関を受診すべきタイミング
  • 毎晩大きないびきをかく場合→ 睡眠時無呼吸の可能性がある
  • 呼吸停止をベッドパートナーに指摘された場合→ 無呼吸が疑われる
  • 日中の強い眠気で生活に支障がある場合→ 睡眠障害の可能性が高い
  • 高血圧・心臓病・糖尿病があり、いびきもある場合→ 併存症との関連が懸念される
  • BMI30以上や首回りが太い場合(男性43cm以上、女性40cm以上)→ OSAのリスクが高い

毎晩のように大きないびきをかく場合、特にベッドパートナーから呼吸停止を指摘された場合は、早めの受診が必要です。

日中の強い眠気により、仕事や日常生活に支障をきたしている場合も、睡眠障害の可能性が高いため、専門的な評価が必要です。

高血圧、心臓病、糖尿病などの既往がある人で、いびきの症状がある場合は、これらの疾患とOSAが相互に悪影響を及ぼす可能性があるため、積極的な評価が推奨されます。

BMIが30以上の肥満がある人、首回りが太い人(男性43cm以上、女性40cm以上)も、OSAのハイリスク群として、症状の有無にかかわらず定期的な評価を受けることが望ましいでしょう。

いびきの原因別対処法と予防策

いびきの改善には、その原因に応じた適切な対処法を選択することが重要です。

軽度のいびきであれば、生活習慣の改善や市販のグッズで改善する可能性がありますが、中等度から重度の場合は医療機関での治療が必要になることもあります。

ここでは、さまざまな対処法について、その効果と適応を含めて詳しく解説します。

自分のいびきの原因と照らし合わせながら、最適な方法を見つけていただければ幸いです。

寝姿勢の工夫による気道確保の方法

睡眠時の体位は、いびきの発生に大きく影響します。

研究によると、OSA患者の約56%が体位依存性を示し、仰臥位(仰向け)での睡眠時に症状が悪化することが報告されています。

寝姿勢の工夫による気道確保の方法
  • 側臥位(横向き)で寝る:舌根の落ち込みを防ぎ、気道を確保しやすくする
  • 左側臥位を選ぶ:胃酸の逆流を防ぎ、逆流性食道炎がある人に有効
  • 背中にテニスボールを縫い付けたパジャマを着用:仰向け寝を防ぎ、横向き姿勢を保ちやすくする
  • 体位維持用の枕を使う:側臥位の維持を補助する
  • ベッドの頭側を10〜15cm挙上する:重力で気道が開きやすくなる

側臥位(横向き)での睡眠は、舌根の後方への落ち込みを防ぎ、気道を開いた状態に保つのに有効です。

特に左側臥位は、胃酸の逆流も防ぐ効果があるため、逆流性食道炎を合併している人には特に推奨されます。

側臥位を維持するための方法として、背中にテニスボールを縫い付けたパジャマを着用する方法や、体位維持用の特殊な枕を使用する方法があります。

また、ベッドの頭側を10〜15cm程度挙上することで、重力を利用して気道を開きやすくする方法も有効とされています。

ただし、すべての人に体位療法が有効というわけではなく、重度のOSAや肥満がある場合は、体位変換だけでは十分な改善が得られない可能性があります。

生活習慣の改善ポイント

体重管理は、いびき改善の最も重要な要素の一つです。

研究によると、10%の体重減少により、AHIが約26%改善することが示されています。

特にBMIが25以上の人では、減量による改善効果が期待できます。

生活習慣の改善ポイント

改善項目具体的な方法・効果
体重管理・10%の体重減少でAHIが約26%改善
・BMI25以上の人で減量効果が期待できる
アルコール摂取制限・就寝3〜4時間前からのアルコール摂取を避ける
・上気道筋の過度な弛緩を防ぐ
薬剤使用の制限・睡眠薬や筋弛緩薬の使用を避けるか減量
・医師と相談の上で実施
禁煙・上気道の炎症、粘膜腫脹、分泌物増加の改善
・いびきの軽減が期待できる
規則正しい睡眠習慣・毎日同じ時間に就寝・起床
・7〜8時間の十分な睡眠時間を確保
・睡眠不足による上気道筋の緊張低下を防ぐ

アルコール摂取の制限も重要です。

就寝3〜4時間前からのアルコール摂取を避けることで、上気道筋の過度な弛緩を防ぐことができます

同様に、睡眠薬や筋弛緩薬の使用も、医師と相談の上、可能な限り避けるか減量することが推奨されます。

禁煙も効果的な対策の一つです。

喫煙は上気道の炎症を引き起こし、粘膜の腫脹や分泌物の増加により気道を狭めます。

禁煙により、これらの炎症性変化が改善し、いびきの軽減が期待できます。

規則正しい睡眠習慣の確立も重要です。

睡眠不足は上気道筋の緊張を低下させ、いびきを悪化させる可能性があります。

毎日同じ時間に就寝・起床し、7〜8時間の十分な睡眠時間を確保することが推奨されます。

市販グッズの活用と選び方

鼻腔拡張テープは、鼻翼を外側に引っ張ることで鼻腔を広げ、鼻呼吸を促進します。

軽度の鼻閉がある人や、アレルギー性鼻炎による一時的な鼻づまりがある人には有効な場合があります。

口腔内装置(マウスピース)は、下顎を前方に保持することで気道を広げる効果があります。

市販のものもありますが、歯科医師による個別調整が必要な場合が多く、適切なフィッティングが重要です。

鼻腔内挿入型の拡張器も利用可能です。

これらは鼻腔内に直接挿入し、内側から鼻腔を広げる効果があります。

ただし、使用感には個人差があり、慣れるまでに時間がかかる場合があります。

これらの市販グッズは、軽度のいびきには有効な場合がありますが、中等度以上のOSAには効果が限定的である可能性があります。

医療機関での治療選択肢

中等度から重度のOSAに対する第一選択治療は、持続陽圧呼吸療法(CPAP)です。

CPAPは、鼻マスクを通じて一定の陽圧を気道に送り込むことで、気道の虚脱を防ぎます。

研究によると、CPAPは最も効果的な治療法であり、適切に使用すれば、多くの患者でAHIを大幅に改善できることが示されています。

中等度のOSA患者は、1晩に4時間CPAPを使用すると(AHI 0~5)、AHIが33.3~48.3%低下します。

引用:PubMed Central Reliable Calculation of the Efficacy of Non-Surgical and Surgical Treatment of Obstructive Sleep Apnea Revisited

口腔内装置療法は、CPAPに耐えられない患者や軽度から中等度のOSA患者に対する代替治療として推奨されています。

アメリカ睡眠医学会(AASM)のガイドラインでは、下顎前方固定装置が最も一般的に使用されており、研究では約55〜78%の患者で有効性が報告されています。

外科的治療としては、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)、舌根部の手術、上下顎前方移動術などがあります。

これらは、解剖学的な異常が明確で、他の治療法が無効な場合に考慮されます。

新しい治療法として、舌下神経刺激療法も開発されています。

これは、睡眠中に舌下神経を電気刺激することで舌の前方位置を維持し、気道を開存させる治療法です。

よくある質問(FAQ)

いびきは遺伝するのでしょうか?

いびきには遺伝的要因が関与することが研究で示されています。

双子研究や家族研究により、いびきの遺伝率は18〜28%程度と推定されています。

これは、顔面骨格の形態、上気道の構造、肥満傾向などが遺伝することによると考えられています。

ただし、生活習慣や環境要因の影響も大きいため、遺伝だけで決まるわけではありません。

女性のいびきは男性と原因が違いますか?

女性のいびきには特有の要因があります。

閉経前は女性ホルモンの保護作用によりいびきが少ないですが、閉経後はホルモン低下により男性と同程度の発生率となります。

妊娠中は、ホルモン変化による鼻粘膜の腫脹や体重増加によりいびきが増加する傾向があります。

また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性では、男性ホルモンの影響でいびきのリスクが高まる可能性があります。

子どものいびきも心配すべきでしょうか?

子どものいびきは、特に3〜6歳で扁桃腺やアデノイドの肥大により多く見られます。

習慣的ないびき(週3回以上)は小児の約7%に見られ、約2%が睡眠時無呼吸症候群を合併しています。

日中の多動、集中力低下、成長障害などを伴う場合は、小児科や耳鼻咽喉科での評価が必要です。

多くの場合、扁桃腺・アデノイド切除術により改善が期待できます。

いびき対策グッズは本当に効果がありますか?

市販のいびき対策グッズの効果は、いびきの原因や重症度により異なります。

鼻腔拡張テープは軽度の鼻閉には有効な場合がありますが、OSAには効果が限定的です。

口腔内装置は、適切にフィッティングされれば軽度から中等度のOSAに有効とされています。

ただし、中等度以上のOSAには医療機関での適切な診断と治療が必要です。

いびきの検査はどのような内容ですか?

いびきの検査は、まず問診と身体診察から始まります。

重症度評価には睡眠ポリグラフ検査(PSG)が標準的で、睡眠中の呼吸、酸素飽和度、心電図、脳波などを記録します。

簡易検査として、自宅で行える携帯型睡眠検査装置もあります。

必要に応じて、上気道の形態評価のための内視鏡検査やCT検査が行われることもあります。

まとめ

いびきは、睡眠中に上気道が狭くなることで発生する一般的な症状ですが、その背景にはさまざまな原因が存在します。

肥満、加齢、アルコール摂取、鼻閉など、複数の要因が組み合わさって発生することが多く、場合によっては睡眠時無呼吸症候群という深刻な病気のサインである可能性もあります。

いびきの改善には、まず自分のいびきの原因を正しく理解することが重要です。

軽度のいびきであれば、体重管理、側臥位での睡眠、アルコール制限などの生活習慣の改善で改善する可能性があります。

しかし、大きないびき、日中の強い眠気、呼吸停止の目撃などがある場合は、医療機関での評価が必要です。

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合でも、CPAP療法や口腔内装置など、効果的な治療法があります。

適切な治療により、睡眠の質が改善し、心血管疾患などの合併症リスクを減らすことができます。

いびきに悩む方は、まず生活習慣の見直しから始め、改善が見られない場合や症状が重い場合は、躊躇せずに医療機関を受診することをお勧めします。

質の高い睡眠は、健康で充実した生活の基盤となるものです。

参考文献・参考サイト

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PubMed Central Head-Of-Bed Elevation (HOBE) for Improving Positional Obstructive Sleep Apnea (POSA): An Experimental Study

University of Wisconsin–Madison「Longitudinal Study of Moderate Weight Change and Sleep-Disordered Breathing

PubMed Central Nasal Dilators (Breathe Right Strips and NoZovent) for Snoring and OSA: A Systematic Review and Meta-Analysis

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PubMed Central Epidemiology of Pediatric Obstructive Sleep Apnea

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この記事を書いた人

伊藤 信久のアバター 伊藤 信久 医師・グレースメディカルクリニック院長

福岡県出身。鹿児島大学医学部卒業後、大学病院の心臓外科に勤務。冠動脈バイパス術・弁置換術などの高度な心臓手術を多数担当。
その後、恩師が開業したクリニックで一次診療に従事。地域医療の最前線で多くの患者と向き合う中で「患者さんに最も近い距離で診療すること」の重要性を再認識し、開業医として地域医療に貢献することを決意。2014年に熊本市でグレースメディカルクリニックを開設した。現在は院長として、ポリソムノグラフィーなど最新の睡眠検査設備を導入し、CPAP療法・口腔内装置・生活習慣指導を組み合わせた包括的なSAS診療を提供。心臓外科で培った循環器の知見を活かし、「眠りから全身を守る医療」をモットーに地域の健康づくりと啓発活動に取り組んでいる。

主な資格・所属学会
・日本外科学会
・日本循環器学会
・点滴療法研究会

地域の“かかりつけ医”として、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする生活習慣病の早期発見と予防に力を注ぎ、患者一人ひとりの「より良い眠りと健康」の実現を目指している。

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