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睡眠時無呼吸症候群の原因とは?なりやすい人の特徴と予防法を解説

睡眠時無呼吸症候群の原因とは?なりやすい人の特徴と予防法を解説

夜中に何度も目が覚める、日中の強い眠気に悩まされる、家族からいびきがひどいと言われる。

これらの症状に心当たりはありませんか。

もしかすると、睡眠時無呼吸症候群が原因かもしれません。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気で、大規模な研究では軽症は男性22%・女性17%、中等症以上の有病率は4〜7%程度と報告されています。

睡眠時無呼吸症候群が起こる原因
  • 扁桃腺肥大や舌の肥大による上気道の物理的狭窄
  • 肥満による首周りの脂肪蓄積で気道が外側から圧迫
  • 下顎後退症など顎顔面の骨格構造による気道狭窄
  • 加齢による上気道の筋肉緊張低下で気道が虚脱
  • 脳の呼吸中枢機能不全による呼吸指令の伝達異常

この病気は単に睡眠の質を低下させるだけでなく、高血圧や心臓病、脳卒中などの重大な病気のリスクを高める可能性があります。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群がなぜ起こるのか、どのような人がなりやすいのか、そして日常生活でできる予防法について詳しく解説します。

原因を正しく理解することで、適切な対処法を見つけ、健康的な睡眠を取り戻すことができます。

この記事でわかること
  • 睡眠時無呼吸症候群が起こる仕組みと主な原因 
  • なりやすい人の特徴(年齢、性別、体質など)
  • 生活習慣の改善による予防法
  • 医療機関を受診すべきタイミング
目次

睡眠時無呼吸症候群の主な原因とメカニズム

睡眠時無呼吸症候群には、大きく分けて閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の2つのタイプがあります。

患者さんの約90%を占める閉塞性睡眠時無呼吸は、睡眠中に上気道(のどの奥の空気の通り道)が物理的に狭くなったり、完全に塞がったりすることで起こります。

一方、中枢性睡眠時無呼吸は、脳からの呼吸指令がうまく伝わらないことが原因で発生します。

睡眠中は全身の筋肉がリラックスし、のどの周りの筋肉も緩みます。

健康な人では、この筋肉の緩みがあっても気道は十分に開いたままですが、何らかの要因で気道が狭くなりやすい人では、呼吸の際の空気の流れが妨げられてしまいます。

この結果、血液中の酸素濃度が低下し、脳が危険を察知して一時的に覚醒反応を起こします。

これが一晩に何十回、何百回と繰り返されることで、深い眠りが得られなくなるのです。

気道が狭くなる物理的な原因

上気道が狭くなる最も重要な要因は、のどの周囲の軟部組織の肥大です。

扁桃腺の肥大、軟口蓋(のどちんこ周辺の柔らかい部分)の過剰な大きさ、舌の肥大などが気道を物理的に圧迫します。

また、鼻中隔湾曲症や慢性的な鼻づまりがある場合、鼻呼吸が困難になり、口呼吸に頼ることで舌の位置が後方に下がり、気道がさらに狭くなりやすくなります。

気道が狭くなる喉周辺・鼻の要因

分類主な要因気道への影響
喉周辺の軟部組織の肥大・扁桃腺の肥大
・軟口蓋の過剰な大きさ
・舌の肥大
物理的に気道を圧迫し、空気の通り道を狭める
鼻の問題による影響・鼻中隔湾曲症
・慢性的な鼻づまり
鼻呼吸困難により口呼吸に依存し、舌が後方に下がり気道を狭める

睡眠中の体位も重要な要因です。

仰向けで寝ると重力の影響で舌や軟口蓋が後方に落ち込みやすくなり、気道が狭くなります。

さらに、首周りの脂肪組織の蓄積も、外側から気道を圧迫する要因となります。

男性では首回り43cm以上、女性では41cm前後の場合、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まるとされています。

dSBQのBang項目は、BMI > 35 kg/m 2、年齢 > 50歳、首囲が男性で43 cm以上、女性で41 cm以上、および男性の場合に存在と評価されました。

引用:Journal of Clinical Sleep Medicine Using anthropometric measures to screen for obstructive sleep apnea in the Sleep Heart Health Study cohort

年齢とともに筋肉の張りが失われることも、気道が狭くなる原因の一つです。

加齢により上気道を支える筋肉の緊張が低下し、睡眠中に気道が虚脱しやすくなります。

このため、中高年以降で睡眠時無呼吸症候群の発症リスクが高まる傾向があります。

肥満と睡眠時無呼吸症候群の関係

肥満は睡眠時無呼吸症候群の最も重要なリスクファクターの一つです。

睡眠時無呼吸症候群患者の約60〜70%が肥満を合併しており、体重が10%増加すると睡眠時無呼吸の重症度が32%増加するという研究結果があります。

4年間で体重が10%増加すると、無呼吸低呼吸指数(AHI)が32%上昇し、逆に体重が10%減少するとAHIが26%減少すると予測されることが報告されています

引用:PMC Weight Loss Is Integral to Obstructive Sleep Apnea Management. Ten-Year Follow-up in Sleep AHEAD

肥満が睡眠時無呼吸症候群を引き起こすメカニズムは複数あります。

肥満が睡眠時無呼吸症候群を引き起こすメカニズム
  1. 首・喉の脂肪が気道を圧迫
  2. 腹部脂肪が横隔膜を押し上げる
  3. 肺容量が減り気道が虚脱しやすい
  4. 脂肪が炎症を引き起こし気道が腫れる
  5. 睡眠不足で食欲が増し肥満が進行

まず、首や喉の周囲に蓄積した脂肪組織が直接的に気道を圧迫します。

この咽頭周囲脂肪は、睡眠中の気道の虚脱を促進し、呼吸の妨げとなります。

また、腹部の脂肪蓄積は横隔膜を押し上げ、肺の容積を減少させることで、気道がより虚脱しやすい状態を作り出します。

さらに、肥満は体内の炎症反応を促進し、上気道の粘膜の腫脹との関与が示唆されています。

脂肪組織から分泌される炎症性サイトカインは、気道の炎症を悪化させ、睡眠時無呼吸症候群の発症や重症化に関与していると考えられています。

興味深いことに、睡眠時無呼吸症候群は肥満を悪化させる可能性が示唆されており、睡眠不足によるレプチン(満腹ホルモン)の減少とグレリン(空腹ホルモン)の増加により、食欲が増進し体重増加につながる悪循環が生じると考えられています。

顎や喉の構造による影響

顔面や顎の骨格構造は、睡眠時無呼吸症候群の発症に大きく関与しています。

特に東アジア人では、欧米人と比較して肥満度が低くても睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいことが知られており、これは顎顔面形態の違いが一因とされています。

同じ程度のOSA重症度の場合、白人はより過体重であったのに対し、中国人はより頭蓋顔面の骨の制限が見られました。

引用:PMC Differences in Craniofacial Structures and Obesity in Caucasian and Chinese Patients with Obstructive Sleep Apnea

下顎が小さい、または後退している(下顎後退症)場合、舌の収まるスペースが狭くなり、睡眠中に舌が後方に落ち込みやすくなります。

同様に、上顎が狭い場合も鼻腔の容積が小さくなり、鼻呼吸が困難になることで口呼吸に頼らざるを得なくなり、結果として気道の狭窄を招きます。

顔面の垂直的な長さも重要な要因です。

顔面高が長い人(面長な顔立ち)では、下顎が時計回りに回転した位置にあることが多く、これにより舌骨(舌の付け根にある骨)の位置が下方に変位し、気道が狭くなりやすい可能性が一部の研究で示唆されています。

また、顎関節から下顎角までの角度(下顎角)が大きい場合も、気道の狭窄リスクが高まることが知られています。

睡眠時無呼吸症候群になりやすい人の特徴

睡眠時無呼吸症候群は誰でも発症する可能性がありますが、特定の特徴を持つ人では発症リスクが高くなります。

これらの特徴を理解することで、早期発見や予防につながる可能性があります。

年齢・性別による違い

睡眠時無呼吸症候群の発症リスクは年齢とともに増加し、特に中年期以降で顕著になります。

40歳を過ぎると発症率が急激に上昇し、高齢になるほど有病率は増え続ける傾向があります。

これは加齢による筋肉の緊張低下、体重増加、ホルモンバランスの変化などが複合的に影響していると考えられています。

性別による違いも明確で、男性は女性の2〜3倍発症しやすいとされています。

現時点では限定的な研究に基づく仮設段階ですが、男性では男性ホルモン(テストステロン)の影響により、首周りに脂肪が蓄積しやすく、また上気道の筋肉の緊張も女性と比べて低い傾向があると考えられています。

さらに、男性は女性と比較して気道の長さが長く、虚脱しやすい構造をしています。

男性の気道が女性の気道よりも著しく虚脱しやすいことを、解剖学的な差異のみに基づいて実証しました。

引用:American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine The Male Predisposition to Pharyngeal Collapse | Importance of Airway Length

女性では閉経前後で発症リスクが大きく変化します。

閉経前の女性では、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が上気道の筋肉の緊張を維持し、呼吸中枢の感受性を高める保護的な役割を果たしています。

しかし、閉経後はこれらのホルモンが急激に減少し、男性と同程度の発症リスクになります。

実際、閉経後の女性は閉経前と比較して2.6倍睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいという研究結果があります。

統計によると、閉経後女性は閉経していない女性に比べてOSAを発症する可能性が2.6~3.5倍高いことが分かっています

引用:PMC  Sleep Disorders and Mental Health in Menopausal Women in Tehran

妊娠中も睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まる時期です。

妊娠による体重増加、ホルモンバランスの変化、子宮の増大による横隔膜の圧迫などが要因となります。

妊娠中の睡眠時無呼吸症候群は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクを高める可能性があるため、注意が必要です。

生活習慣が与える影響

日常の生活習慣は睡眠時無呼吸症候群の発症や重症化に大きく影響します。

特にアルコール摂取は重要なリスクファクターです。

アルコールは中枢神経系を抑制し、上気道の筋肉を弛緩させる作用があります。

定期的な飲酒者は非飲酒者と比較して約25%睡眠時無呼吸症候群を発症しやすく、飲酒量が多いほどリスクが高まります。

就寝前の飲酒は特に危険で、無呼吸の回数や持続時間を増加させることが知られています。

アルコール摂取の影響
  • 中枢神経系を抑制
  • 上気道の筋肉を弛緩させる
  • 定期的な飲酒者は非飲酒者と比較して約25%発症しやすい
  • 飲酒量が多いほどリスクが高まる
  • 就寝前の飲酒は無呼吸の回数や持続時間を増加

喫煙も睡眠時無呼吸症候群の重要なリスクファクターです。

タバコの煙は上気道の炎症を引き起こし、粘膜の腫脹や分泌物の増加により気道が狭くなります。

一部の研究では、喫煙者は非喫煙者と比べて睡眠時無呼吸症候群を発症しやすく、リスクは約1.5倍前後高いと報告されています。

また、受動喫煙も同様のリスクがあることが明らかになっています。

喫煙の影響
  • 上気道の炎症を引き起こす
  • 粘膜の腫脹や分泌物の増加により気道が狭くなる
  • 喫煙者は非喫煙者と比べて発症リスクが約1.5倍前後高い
  • 受動喫煙も同様のリスクあり

睡眠薬や筋弛緩薬、精神安定剤などの薬物も、上気道の筋肉の緊張を低下させ、睡眠時無呼吸症候群を悪化させる可能性があります。

これらの薬を服用している場合は、医師と相談の上、適切な管理が必要です。

運動不足や不規則な生活リズムも間接的に影響します。

定期的な運動は体重管理に役立つだけでなく、睡眠の質を改善し、上気道の筋肉の緊張を維持する効果があります。

一方、不規則な睡眠時間や慢性的な睡眠不足は、体重増加や代謝異常を引き起こし、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める可能性が示唆されています。

ただし、因果関係にはまだ不明な点も多く、今後の研究が必要とされています。

遺伝的要因と体質

睡眠時無呼吸症候群には明確な遺伝的要素があることが分かっています。

第一度近親者(親、兄弟姉妹、子供)に睡眠時無呼吸症候群の患者がいる場合、発症リスクは約50%増加します。

双子研究では、睡眠時無呼吸症候群の重症度を示すAHI(無呼吸低呼吸指数)の約40%が遺伝的要因で説明できることが示されています。

遺伝的要因は主に顔面骨格の形態、上気道の解剖学的構造、体脂肪の分布パターン、呼吸調節機能などに影響を与えます。

特に顎顔面形態は高い遺伝性を示し、小顎症や下顎後退症などの特徴は親から子へ受け継がれやすいことが知られています。

遺伝的要素とその影響
  • 家族歴(第一度近親者): 発症リスクが約50%増加
  • AHIの遺伝:無呼吸低呼吸指数の約40%が遺伝的に決定される
  • 顎顔面骨格の形態(小顎症、下顎後退など):上気道が狭くなりやすく、無呼吸リスクが高まる
  • 体脂肪の分布パターン:上気道周囲の脂肪蓄積により閉塞が起こりやすい
  • 呼吸調節機能:覚醒反応や呼吸中枢の働きに個人差が生じる

人種による違いも重要です。

アジア人は欧米人と比較して、肥満度が低くても睡眠時無呼吸症候群を発症しやすい傾向があります。

これは、アジア人特有の顔面骨格(短い顔面長、後退した中顔面、小さい下顎など)が気道の狭窄を起こしやすいためと考えられています。

一方、アフリカ系の人々では、軟部組織の量が多い傾向を示唆する報告があり、これが気道狭窄の要因となる可能性があります。

特定の遺伝性疾患も睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めます。

ダウン症候群では、顔面形態の特徴(扁平な顔面、大きな舌、筋緊張低下)により、約50〜75%の患者が睡眠時無呼吸症候群を合併します。

最近のデータによると、OSAおよびDS患者の50%から75%は術後に臨床的に有意な残存病変を残すことが示されています

引用:PMC  Obstructive sleep apnea in patients with Down syndrome: current perspectives

その他、ピエール・ロバン症候群、トリーチャー・コリンズ症候群などの顎顔面異常を伴う疾患でも睡眠時無呼吸症候群を高頻度で合併することが知られています。

睡眠時無呼吸症候群の原因別対処法

睡眠時無呼吸症候群の治療は、その原因や重症度に応じて個別化される必要があります。

軽症の場合は生活習慣の改善で症状が改善することもありますが、中等症以上では医学的な治療が必要となることが多いです。

ここでは、原因に応じた対処法について詳しく説明します。

生活習慣の改善による予防

体重管理は睡眠時無呼吸症候群の最も効果的な予防・改善方法の一つです。

体重を10%減少させることで、AHI(無呼吸低呼吸指数)を26%改善できるという研究結果があります。

特に首周りの脂肪を減らすことが重要で、有酸素運動と適切な食事管理を組み合わせることが推奨されます。

地中海式食事法のような、野菜、果物、全粒穀物を多く含む食事パターンは、主に体重減少を介して睡眠時無呼吸の症状を改善することが報告されており、体重調整後もわずかな改善効果が認められています。

体重管理のポイント
  • 体重10%減少でAHI26%改善
  • 首周りの脂肪を減らすことが重要
  • 有酸素運動と適切な食事管理の組み合わせ
  • 地中海式食事法(野菜、果物、全粒穀物を多く含む食事パターン)

睡眠姿勢の工夫も重要です。

仰向けで寝ると舌や軟口蓋が重力により後方に落ち込みやすくなるため、横向きで寝ることが推奨されます。

背中にテニスボールを入れた特殊な睡眠用ベストや、体位を感知して振動で知らせる機器なども開発されています。

体位療法はAHIを54.1%(平均値比[ROM] 0.459、95%信頼区間[CI] 0.394–0.534)有意に減少させ、最低酸素飽和度を3.3%(ROM 1.033、95%信頼区間[CI] 1.020–1.046)上昇させた。

引用:Sleep Medicine Research Positional Therapy for Obstructive Sleep Apnea: Therapeutic Modalities and Clinical 

また、上半身を少し起こした状態で寝ることも、気道の開通性を保つのに役立つ可能性があり、試してみる価値があるとされています。

睡眠姿勢の工夫
  • 横向きで寝る(仰向けは舌や軟口蓋が後方に落ち込みやすい)
  • 背中にテニスボールを入れた特殊な睡眠用ベスト
  • 体位を感知して振動で知らせる機器
  • 上半身を少し起こした状態で寝る

アルコールは就寝の数時間前から控えることが重要です。

どうしても飲酒する場合は、適量(日本酒1合、ビール中瓶1本程度)にとどめ、休肝日を設けることが臨床的に推奨されます。

禁煙も必須で、禁煙により上気道の炎症が改善し、睡眠時無呼吸症候群のリスクが低下します。

定期的な運動は、体重管理だけでなく、睡眠の質を改善し、上気道の筋肉の緊張を維持する効果があります。

一般的な健康維持の目安である週150分以上の中強度の有酸素運動(早歩き、水泳、サイクリングなど)は、睡眠時無呼吸症候群の改善にも有益とされています。

また、舌や喉の筋肉を鍛える口腔筋機能療法も効果的で、舌の運動や発声練習などを継続することで、軽症から中等症の睡眠時無呼吸症候群の改善が期待できます。

医療機関での検査と診断の重要性

睡眠時無呼吸症候群は自覚症状だけでは診断できないため、適切な検査が不可欠です。

いびき、日中の眠気、起床時の頭痛、夜間頻尿などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。

特に、高血圧、糖尿病、心臓病などの生活習慣病を持つ人は、睡眠時無呼吸症候群を合併している可能性が高いため、積極的な検査が推奨されます。

診断の第一歩は問診と身体診察です。

医師は睡眠習慣、日中の症状、既往歴などを詳しく聞き取り、BMI、首回り、血圧などを測定します。

口腔内の診察では、扁桃腺の大きさ、軟口蓋の形状、舌の大きさなどを評価します。

スクリーニング検査として、エプワース眠気尺度やSTOP-Bangアンケートなどの質問票が用いられることもあります。

初診時の検査項目

検査種類内容
問診睡眠習慣、日中の症状、既往歴
身体測定BMI、首回り、血圧
口腔内診察扁桃腺の大きさ、軟口蓋の形状、舌の大きさ
スクリーニング検査エプワース眠気尺度やSTOP-Bangアンケートなどの質問票

確定診断には睡眠ポリグラフ検査(PSG)が必要です。

これは一晩入院して行う精密検査で、脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸状態、血中酸素濃度などを同時に記録します。

最近では、自宅で行える簡易型睡眠検査も普及していますが、中枢性睡眠時無呼吸の診断や、他の睡眠障害との鑑別が必要な場合は、入院でのPSG検査が必要となります。

睡眠ポリグラフ検査(PSG)の記録項目
  • 脳波
  • 眼球運動
  • 筋電図
  • 心電図
  • 呼吸状態
  • 血中酸素濃度

診断後は、重症度や原因に応じた治療法が選択されます。

中等症以上の場合は、CPAP(持続陽圧呼吸療法)が第一選択となることが多いです。

CPAPは睡眠中に一定の空気圧を送り込むことで気道を開いた状態に保つ治療法で、適切に使用すれば劇的な改善が期待できます。

軽症の場合や、CPAPが使用できない場合は、口腔内装置(マウスピース)による治療も選択肢となります。

外科的治療は、扁桃腺肥大や鼻中隔湾曲症など、明らかな解剖学的異常がある場合に考慮されます。

よくある質問(FAQ)

痩せているのに睡眠時無呼吸症候群になることはありますか?

はい、痩せている方でも睡眠時無呼吸症候群になることがあります。

特にアジア人では、顎が小さい、顔面が平坦などの骨格的特徴により、BMIが正常でも発症することがあります。

また、扁桃腺肥大や鼻の病気なども原因となる可能性があります。

子どもでも睡眠時無呼吸症候群になりますか?

子どもでも睡眠時無呼吸症候群は起こります。

主な原因は扁桃腺やアデノイドの肥大で、成長障害や学習障害の原因となることもあります。

いびきや口呼吸、寝相の悪さなどの症状がある場合は、小児科や耳鼻咽喉科での相談をお勧めします。

いびきがひどいと必ず睡眠時無呼吸症候群ですか? 

いびきがあっても必ずしも睡眠時無呼吸症候群とは限りません。

単純いびき症の場合もあります。

ただし、大きないびきに加えて、呼吸が止まる、日中の眠気が強いなどの症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いため、検査を受けることをお勧めします。

睡眠時無呼吸症候群は遺伝しますか?

直接的に遺伝する病気ではありませんが、顎の形や気道の構造、肥満しやすい体質など、睡眠時無呼吸症候群になりやすい要因は遺伝する可能性があります。

家族に睡眠時無呼吸症候群の方がいる場合は、発症リスクが約1.5倍高くなるとされています。

お酒を飲むと症状が悪化しますか?

はい、アルコールは上気道の筋肉を弛緩させるため、睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させます。

就寝前の飲酒は特に避けるべきで、飲酒する場合は就寝数時間前までに済ませることが推奨されます。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、上気道の狭窄により睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気です。

主な原因として、肥満による気道周囲の脂肪蓄積、顎や顔面の骨格的特徴、加齢による筋肉の緊張低下、アルコールや喫煙などの生活習慣が挙げられます。

この病気は誰でも発症する可能性がありますが、特に中高年の男性、閉経後の女性、肥満の方、家族歴がある方は注意が必要です。

放置すると、高血圧や心臓病、脳卒中などの重大な合併症のリスクが高まるため、早期発見・早期治療が重要です。

予防と改善のためには、適正体重の維持、禁煙、節酒、横向きでの睡眠、定期的な運動などの生活習慣の改善が効果的です。

いびきや日中の眠気、起床時の頭痛などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査を受けることをお勧めします。

睡眠時無呼吸症候群は適切な治療により改善可能な病気です。

生活習慣の見直しと医療機関での適切な診断・治療により、質の高い睡眠と健康的な生活を取り戻すことができます。

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この記事を書いた人

伊藤 信久のアバター 伊藤 信久 医師・グレースメディカルクリニック院長

福岡県出身。鹿児島大学医学部卒業後、大学病院の心臓外科に勤務。冠動脈バイパス術・弁置換術などの高度な心臓手術を多数担当。
その後、恩師が開業したクリニックで一次診療に従事。地域医療の最前線で多くの患者と向き合う中で「患者さんに最も近い距離で診療すること」の重要性を再認識し、開業医として地域医療に貢献することを決意。2014年に熊本市でグレースメディカルクリニックを開設した。現在は院長として、ポリソムノグラフィーなど最新の睡眠検査設備を導入し、CPAP療法・口腔内装置・生活習慣指導を組み合わせた包括的なSAS診療を提供。心臓外科で培った循環器の知見を活かし、「眠りから全身を守る医療」をモットーに地域の健康づくりと啓発活動に取り組んでいる。

主な資格・所属学会
・日本外科学会
・日本循環器学会
・点滴療法研究会

地域の“かかりつけ医”として、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする生活習慣病の早期発見と予防に力を注ぎ、患者一人ひとりの「より良い眠りと健康」の実現を目指している。

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