お子さんが大きないびきをかいていたり、寝苦しそうに口を開けて呼吸していたりすることはありませんか。
これらの症状は、子供の睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群は大人の病気と思われがちですが、実は子供の約1~4%に発症する比較的頻度の高い疾患です。
- アデノイドや扁桃腺の肥大が主因
- 2~8歳でピークとなる
- AHIが1/h超過で異常と判定、成人より厳格な診断基準が採用される
- 日中は多動・集中力低下が目立つのが特徴
- 治療の第一選択はアデノイド・扁桃摘出術
- 思春期以降は男児リスク増、肥満や先天疾患も要注意
子供の睡眠時無呼吸症候群は、成長期の心身の発達に深刻な影響を与える可能性があります。
集中力の低下や学習能力への影響、成長の遅れなど、適切な治療を受けないと長期的な問題につながることもあります。
しかし、早期に発見し適切な治療を行えば、多くの場合で症状は改善し、健康的な成長を取り戻すことができます。
- 子供の睡眠時無呼吸症候群の特徴的な症状
- 大人との違いと年齢別の特徴
- 主な原因と危険因子
- 成長発達への影響
- 診断方法と受診のタイミング
- 効果的な治療法と家庭でのケア方法
子供の睡眠時無呼吸症候群とは?大人との違いと特徴
睡眠時無呼吸症候群の基本的な仕組み
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に上気道(鼻から喉にかけての空気の通り道)が狭くなったり、完全に閉塞したりすることで、呼吸が一時的に止まる病気です。
子供の場合、主に閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea:OSA)が問題となり、中枢性睡眠時無呼吸はまれです。
睡眠中は全身の筋肉がリラックスするため、喉の周りの筋肉も緩みます。
健康な子供では、この状態でも空気の通り道は十分に確保されていますが、睡眠時無呼吸症候群の子供では、何らかの原因で気道が狭くなっているため、呼吸が妨げられてしまいます。
子供特有の症状と見分け方
子供の睡眠時無呼吸症候群では、以下のような特徴的な症状が現れます。
- 大きないびきをかく(特に仰向けで寝ているとき)
- 呼吸が止まる、または不規則になる
- 口を開けて呼吸している
- 寝汗をかきやすい
- 寝相が悪く、頻繁に体位を変える
- 胸の真ん中がへこむような呼吸(陥没呼吸)
- 首を過度に伸ばして寝る
- 朝の頭痛
- 日中の眠気や疲労感
- 集中力の低下
- 落ち着きがない、多動傾向
- 学習能力の低下
- 情緒不安定(イライラしやすい)
- 夜尿(おねしょ)の継続
特に注意すべきは、子供の場合、日中の眠気よりも多動や注意力散漫といった行動面の問題として現れることが多い点です。
これらの症状は注意欠如・多動症(ADHD)と誤診されることもあるため、睡眠の様子をしっかりと観察することが重要です。
大人の睡眠時無呼吸症候群との違い
子供と大人の睡眠時無呼吸症候群には、診断基準から症状まで、いくつかの重要な違いがあります。
- 診断基準の違い
-
成人では「10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上」が診断基準となります。
子供の場合は無呼吸の定義として「気流が90%以上低下した状態が2呼吸周期以上」とされ、診断にはAHI(無呼吸低呼吸指数)が1/h以上(1–3/hを正常上限とする場合もあり)であることが異常とされます。
- 主な原因の違い
-
大人の睡眠時無呼吸症候群の主な原因は肥満や加齢による筋力低下ですが、子供の場合はアデノイドや扁桃腺の肥大が最も一般的な原因です。
- 症状の現れ方の違い
-
大人では日中の過度な眠気が主な症状となりますが、子供では逆に多動や集中力低下として現れることが多いのが特徴です。
また、子供は大人に比べて覚醒閾値(目が覚める基準)が高いため、無呼吸があっても睡眠が中断されにくく、睡眠構造が比較的保たれやすいという特徴もあります。
子供の睡眠時無呼吸症候群の原因と危険因子
アデノイド・扁桃肥大が主な原因
子供の睡眠時無呼吸症候群の最も一般的な原因は、アデノイド(咽頭扁桃)と口蓋扁桃の肥大です。
これらは免疫機能を担うリンパ組織で、成長期の子供では生理的に大きくなる傾向があります。
アデノイドは鼻の奥、のどの上部にあるリンパ組織で、2歳頃から大きくなり始め、6歳頃にピークを迎えます。
その後、8~10歳頃には自然に小さくなっていきます。
一方、口蓋扁桃は口を開けたときに見える扁桃腺で、3歳頃から大きくなり、7歳頃にピークとなり、10歳頃には小さくなります。
この時期に扁桃組織が過度に肥大すると、空気の通り道が狭くなり、睡眠時無呼吸症候群を引き起こします。
特に、繰り返す上気道感染により慢性的な炎症が起きている場合、扁桃組織がさらに肥大しやすくなります。
その他の原因(肥満、顎の形状、神経筋疾患など)
扁桃肥大以外にも、以下のような要因が子供の睡眠時無呼吸症候群の原因となることがあります。
- 肥満
-
近年、小児肥満の増加に伴い、肥満が原因の睡眠時無呼吸症候群も増加しています。
多くの研究では、BMIが1 kg/m²上昇するごとに小児OSAのリスクが約12%高まると報告されています。肥満により首周りに脂肪が蓄積すると、気道が狭くなりやすくなります。
- 顎顔面の形態異常
-
小顎症(顎が小さい)、下顎後退症、高口蓋(口蓋が高い)などの顎顔面の形態異常は、舌根部のスペースを狭くし、気道閉塞を起こしやすくします。
特に、Pierre Robin症候群、Crouzon症候群、Apert症候群などの先天性疾患を持つ子供は高リスクとなります。
- 神経筋疾患
-
ダウン症候群などの筋緊張低下を伴う疾患では、咽頭筋の緊張が低下し、気道が虚脱しやすくなります。
現在、小児期の有病率はおよそ 50~100%、成人期にはこの有病率がほぼ 100% になると推定されています。
引用:PMC Obstructive sleep apnea in patients with Down syndrome: current perspectives
年齢別にみる発症リスク
子供の睡眠時無呼吸症候群は、年齢により発症パターンが異なります。
- 2~8歳:発症のピーク
-
この年齢層で発症率が最も高くなります。
アデノイドと扁桃腺の生理的肥大がピークを迎える時期と一致しており、この時期の発症は主に扁桃肥大が原因となることが多いです。
- 乳幼児期(2歳未満)
-
早産児、ダウン症候群、先天性の顎顔面異常を持つ子供で発症リスクが高くなります。
また、保育園に通う子供は、頻繁な上気道感染により扁桃肥大を起こしやすく、扁桃摘出術のリスクが上昇するという報告もあります。
- 思春期以降
-
男児では思春期以降にリスクが上昇しますが、思春期前では男女差はありません。
この時期は肥満が主な原因となることが多く、成人型の睡眠時無呼吸症候群に近い病態を示すようになります。
年齢別にみる睡眠時無呼吸症候群の発症リスク
| 年齢層 | 発症リスクの特徴 | 主な原因・背景 |
|---|---|---|
| 乳幼児期(2歳未満) | 早産児・ダウン症・顎顔面異常のある子に多い | 解剖学的異常、早産 |
| 幼児〜学童期(2〜8歳) | 発症のピーク。最も発症率が高い | アデノイド・扁桃肥大 |
| 保育園児 | 頻繁な上気道感染により扁桃肥大 →無呼吸リスク増加 | 上気道感染、扁桃摘出の可能性 |
| 思春期以降 | 特に男児でリスク上昇。成人型OSAに近い病態 | 肥満、気道の閉塞 |
- その他のリスク因子
-
アフリカ系アメリカ人の子供(白人の2~4倍のリスク)、受動喫煙にさらされている子供(リスク比1.8)、低所得家庭の子供で発症率が高いという報告もあります。
これらは、環境要因や医療へのアクセスの問題が関与していると考えられています。
睡眠時無呼吸症候群が子供に与える影響
成長発達への影響
睡眠は子供の成長にとって極めて重要な役割を果たします。
特に、深い睡眠(徐波睡眠)の間に成長ホルモンの分泌がピークを迎えるため、睡眠時無呼吸症候群により睡眠の質が低下すると、成長に深刻な影響を与える可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群の子供では、頻繁な覚醒や低酸素状態により深い睡眠が妨げられ、成長ホルモンの分泌が低下します。
その結果、身長の伸びが悪くなったり、体重増加不良(成長障害)を起こしたりすることがあります。
特に幼少期の子供では、この影響が顕著に現れやすいとされています。
また、睡眠中の呼吸努力の増加により基礎カロリー消費量が上昇し、成長障害の一因となる可能性が示唆されています。
発育不全の原因として仮説されているのは、呼吸仕事量の増加とそれに伴う基礎カロリー消費量の増加です。睡眠の断片化による成長ホルモンの産生低下は、発育不全のさらなる一因となる可能性があります。
引用:American Family Physician Obstructive Sleep Apnea in Children
さらに、慢性的な低酸素状態は、骨の成長や筋肉の発達にも悪影響を及ぼす可能性があります。
学習能力・集中力への影響
睡眠時無呼吸症候群は、子供の認知機能や学習能力に重大な影響を与えることが多くの研究で明らかになっています。
- 認知機能への影響
-
睡眠の断片化により、記憶の定着や情報処理能力が低下します。
特に、ワーキングメモリー(作業記憶)や実行機能(計画立案、問題解決能力)に影響が出やすく、学習効率が著しく低下することがあります。
- 学業成績への影響
-
睡眠時無呼吸症候群の子供は、健康な子供と比較して学業成績が低い傾向にあることが報告されています。
特に、数学や読解力などの高次認知機能を要する科目で差が顕著に現れます。
- 注意力・集中力の低下
-
日中の眠気や疲労により、授業中の集中力が維持できず、教師の指示を聞き逃したり、課題の完成に時間がかかったりすることがあります。
これらの症状は、注意欠如・多動症(ADHD)と類似しているため、誤診される可能性もありますが、実際の誤診率を示す大規模なデータは不足しています。
情緒面・行動面への影響
睡眠時無呼吸症候群は、子供の情緒発達や社会性にも大きな影響を与えます。
- 行動上の問題
-
睡眠不足により、イライラしやすくなったり、攻撃的になったりすることがあります。
また、多動性や衝動性が増加し、クラスでの問題行動につながることもあります。
一方で、内向的になり、社会的な交流を避ける子供もいます。
感情面(不安、抑うつ、身体的訴えなど)および行動面(不注意、多動、攻撃的行動、規則違反など)の困難度が高いことが明らかになりました。
引用:PMC Increased behavioral problems in children with sleep-disordered breathing - 情緒的な問題
-
慢性的な睡眠不足は、抑うつ症状が高くなることが複数の研究で報告されています。
特に思春期の子供では、自己肯定感の低下や対人関係の困難さにつながることがあります。
扁桃腺摘出術後に抑うつ症状の改善も報告されていますが、因果関係の詳細な機序は未だ十分に解明されていません。
- 日常生活への影響
-
夜尿(おねしょ)、夢遊病、夜驚症などの睡眠時随伴症状が現れることがあります。
これらは深い睡眠が妨げられることと関連していると考えられています。
- 長期的な影響
-
未治療の睡眠時無呼吸症候群は、将来的に心血管系の問題(高血圧、心臓病)のリスクを高める可能性があります。
高血圧を発症する可能性が約3倍高いことを発見しました。10代の頃に睡眠時無呼吸症が始まり、成人の診断基準を満たした子供は、睡眠時無呼吸症のない子供に比べて、高血圧を発症する可能性が約2倍高くなりました。
National Heart, Lung, and Blood Institute Study links sleep apnea in children to increased risk of high blood pressure in teen yearsまた、長期間にわたる重度のOSAでは肺高血圧症のリスクが高まることが報告されており、肺性心や心不全などの重篤な合併症につながる可能性があります。
診断方法と受診の目安は?病院へ行くべきサイン
家庭でチェックできる症状リスト
お子さんに以下のような症状が見られる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
複数の項目に該当する場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
- ほぼ毎晩大きないびきをかく
- いびきの途中で呼吸が止まることがある
- 苦しそうな呼吸や、あえぐような呼吸をする
- 口を開けて寝ている □ 寝汗をたくさんかく
- 寝相が悪く、頻繁に体位を変える
- うつぶせ寝や、首を過度に伸ばして寝る
- 夜中に何度も目を覚ます
- 朝起きるのが困難
- 朝の頭痛を訴える
- 日中に眠そうにしている
- 集中力がなく、落ち着きがない
- 学習成績が低下している
- イライラしやすい、または気分の変動が激しい
- 夜尿(おねしょ)が続いている
- 口呼吸が習慣になっている
これらの症状が3つ以上当てはまる場合、特に睡眠中の呼吸に関する症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと考えられます。
医療機関での検査方法(睡眠ポリグラフ検査など)
睡眠時無呼吸症候群の確定診断には、睡眠ポリグラフ検査(Polysomnography:PSG)が必要です。
これは睡眠中の様々な生理機能を記録し、睡眠の質と呼吸状態を詳しく調べる検査です。
- 脳波(睡眠の深さを評価)
- 眼球運動(レム睡眠の判定)
- 筋電図(筋肉の活動)
- 心電図(心拍数やリズム)
- 呼吸(鼻と口の気流、胸部と腹部の動き)
- 血中酸素飽和度
- 体位(寝ている姿勢)
- いびきの音
検査は通常、病院の睡眠検査室で一晩かけて行われます。
子供の場合、保護者の付き添いが可能な施設も多くあります。
検査自体は痛みを伴わず、センサーを体に取り付けるだけですが、小さな子供では協力が得られない場合もあります。
- レントゲン検査:アデノイドの大きさを確認
- 内視鏡検査:鎮静下で気道の狭窄部位を特定
- 簡易睡眠検査:自宅で行える簡易的な検査(ただし、子供では精度が低い)
受診すべき診療科と準備すること
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、以下の診療科を受診することができます。
- 耳鼻咽喉科:扁桃肥大やアデノイド肥大の評価と治療
- 小児科:総合的な評価と他の疾患の除外
- 睡眠外来・睡眠センター:専門的な睡眠検査と治療
- 睡眠日誌:1~2週間の睡眠パターン(就寝時刻、起床時刻、夜間覚醒の回数など)を記録
- 症状の記録:いびきの頻度、呼吸停止の有無、日中の症状など
- 動画撮影:可能であれば、睡眠中の様子(特にいびきや呼吸の様子)を動画で記録
- 成長記録:身長・体重の推移がわかる母子手帳など
- 既往歴:繰り返す扁桃炎などの情報
米国小児科学会のガイドラインでは、すべての子供に対して定期健診時にいびきについてスクリーニングすることが推奨されています。
特に以下の場合は、早急な受診が必要です。
- 睡眠中の呼吸停止を目撃した
- 日中の症状が学校生活に支障をきたしている
- 成長や発達の遅れが見られる
子供の睡眠時無呼吸症候群の治療法と家庭でのケア
医療機関での治療法(手術療法、保存的治療)
子供の睡眠時無呼吸症候群の治療は、原因や重症度により異なりますが、多くの場合、適切な治療により症状は大幅に改善します。
- 手術療法:アデノイド・扁桃摘出術
-
扁桃肥大が原因の場合、アデノイド・扁桃摘出術(アデノトンシレクトミー)が第一選択の治療法となります。
この手術による成功率(AHIが正常化または大幅に改善)は60~80%程度と報告されています。
手術は全身麻酔下で行われ、通常1~2時間程度で終了します。
入院期間は施設により異なりますが、一般的に2~3日程度です。
手術後は、のどの痛みや軽度の出血が見られることがありますが、多くの場合1~2週間で回復します。
ただし、以下の場合は術後も注意深い観察が必要です。
術後も注意深い観察が必要なケース- 3歳未満の子供
- 重度の睡眠時無呼吸症候群(AHI>10)
- 神経筋疾患や先天性疾患を持つ子供
- 出血傾向がある子供
- 保存的治療
-
手術が適応とならない場合や、手術後も症状が残存する場合は、以下の保存的治療が検討されます。
- 1. CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
-
マスクを装着し、気道に陽圧をかけることで気道の閉塞を防ぐ治療法です。効果は高いですが、子供では装着の受け入れが困難な場合があり、平均アドヒアランス(使用率)は46%程度と報告されています。家族のサポートが重要となります。
- 2. 薬物療法
- 3. 口腔内装置
-
成長期の子供では、顎の発育を促進する装置などが試みられることがあります。しかし、十分な規模の臨床試験が不足しており、現時点では治療効果が確実に証明されているとは言えません。
- 4. 体重管理
-
肥満が原因の場合、適切な食事指導と運動療法による体重減少が推奨されます。
家庭でできる改善方法と環境づくり
医療機関での治療と並行して、家庭でも睡眠環境を整えることが重要です。
- 睡眠環境の改善
-
- 寝室の環境整備
- 快適な室温と湿度の維持(一般的に快適とされる環境を保つ)
- アレルゲンの除去(ダニ、ほこり、ペットの毛など)
- 静かで暗い環境の確保
- 寝姿勢の工夫
- 仰向け寝を避け、横向き寝を促す
- 枕の高さを調整(高すぎず低すぎない適切な高さ)
- 上体をやや起こした姿勢(セミファーラー位)での睡眠
※小児の体位依存性OSAでは、一部の改善効果が報告されているものの、さらなる研究が必要とされています。
- 生活習慣の改善
- 規則正しい睡眠スケジュールの確立
- 就寝前のスクリーンタイム(テレビ、ゲーム、スマートフォン)の制限
- 適度な運動習慣(ただし就寝直前は避ける)
- バランスの取れた食事と適切な体重管理
- 鼻呼吸の促進
-
- 鼻洗浄(生理食塩水による鼻うがい)
- 加湿器の使用(特に冬季)
- 口呼吸防止テープの使用(医師の指導のもとで)
治療後の経過観察とフォローアップ
治療開始後も、定期的な経過観察が重要です。
症状の改善を確認し、必要に応じて治療法を調整します。
- 手術後のフォローアップ
-
経過観察について明確な標準はありませんが、手術からの回復と正常な睡眠パターンの確立を考慮して、術後3ヶ月での睡眠検査実施が適切とされていることが多いです。
手術により多くの場合症状は改善しますが、約20~40%の子供では症状が残存することがあります。
特に以下の場合は注意が必要です。
- 肥満がある場合
- 顎顔面の形態異常がある場合
- 長期的な管理
-
睡眠時無呼吸症候群は成長とともに変化する可能性があるため、長期的な観察が必要です。
特に思春期には体型の変化により残存・再発しやすいと報告されています。
定期的に以下の点を確認します。
- 睡眠の質(いびき、無呼吸の有無)
- 日中の症状(眠気、集中力)
- 成長発達の状態
- 学業成績や社会生活への影響
また、治療により症状が改善した後も、健康的な睡眠習慣を維持することが重要です。
十分な睡眠時間の確保、規則正しい生活リズム、適切な体重管理などを心がけることで、再発のリスクを低減できます。
よくある質問(FAQ)
- 子供のいびきは睡眠時無呼吸症候群のサインですか?
-
いびきは睡眠時無呼吸症候群の重要なサインの一つですが、すべてのいびきが病的というわけではありません。
週に3回以上の大きないびきや、呼吸停止を伴ういびきは注意が必要です。
症状が続く場合は医療機関での評価をおすすめします。
- 何歳から睡眠時無呼吸症候群になる可能性がありますか?
-
睡眠時無呼吸症候群は乳児期から発症する可能性があります。
特に2~8歳で発症率が高く、アデノイドや扁桃腺が生理的に大きくなる時期と一致します。
早産児や先天性疾患を持つ子供では、より早期から注意が必要です。
- 手術をすれば完全に治りますか?
-
アデノイド・扁桃摘出術により約60~80%の子供で症状が改善しますが、完全に治るとは限りません。
肥満などの他の要因がある場合、手術後も症状が残ることがあります。
個々の状況に応じた継続的な管理が重要です。
- 睡眠時無呼吸症候群は遺伝しますか?
-
直接的な遺伝ではありませんが、顎の形状や肥満体質など、睡眠時無呼吸症候群のリスク因子となる体質は遺伝する可能性があります。
家族に睡眠時無呼吸症候群の方がいる場合は、より注意深く観察することが推奨されます。
- 検査は子供にとって負担が大きいですか?
-
睡眠ポリグラフ検査は痛みを伴わず、センサーを体に取り付けるだけです。
多くの施設では保護者の付き添いが可能で、子供が安心して検査を受けられるよう配慮されています。
検査への不安がある場合は、事前に検査室を見学することも可能です。
まとめ
子供の睡眠時無呼吸症候群は、単なるいびきの問題ではなく、成長発達、学習能力、情緒面に大きな影響を与える可能性がある重要な疾患です。
しかし、早期に発見し適切な治療を受けることで、多くの場合症状は改善し、健康的な成長を取り戻すことができます。
重要なポイントは以下の通りです。
- 週3回以上の大きないびきや口呼吸は要注意
- 2~8歳で発症率が高く、主な原因はアデノイド・扁桃肥大
- 日中の多動や集中力低下も睡眠時無呼吸症候群のサインの可能性
- 睡眠ポリグラフ検査による正確な診断が重要
- アデノイド・扁桃摘出術が第一選択の治療法(成功率60~80%)
- 家庭での睡眠環境の整備も治療効果を高める
お子さんの睡眠に気になる症状がある場合は、決して様子を見過ぎることなく、早めに専門医に相談することをおすすめします。
適切な診断と治療により、お子さんの健やかな成長と明るい未来を守ることができます。
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