「最近、日中の眠気がひどい」「朝起きても疲れが取れない」「家族からいびきがうるさいと言われる」このような症状に心当たりはありませんか?
これらは睡眠時無呼吸症候群の代表的なサインかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まったり浅くなったりする病気です。
推定では世界で約10億人、日本では約500万人が罹患していると言われていますが、実際に適切な治療を受けている人は1割程度に過ぎません。
その理由の一つは、睡眠中の症状のため自分では気づきにくいことにあります。
- 家族・パートナーからの指摘(大きな不規則ないびきや呼吸停止)
- 日中の症状への注意(強い眠気・集中力低下・イライラ・朝の頭痛・口の渇き)
- アプリ・ウェアラブルデバイスの活用(睡眠中の呼吸パターンや体動を検出)
- セルフチェックの実施(STOP-BANGアンケート、エプワース眠気尺度(ESS))
- その他症状との関連性(治療抵抗性高血圧・夜間頻尿・性機能低下・体重増加など)
この記事では、睡眠時無呼吸症候群に早期に気づくための具体的なサインや確認方法について、最新の医学的知見を基に詳しく解説します。
日中の症状から睡眠中の兆候、セルフチェックの方法、そして最新のスマートデバイスの活用法まで、包括的にご紹介します。
- 睡眠時無呼吸症候群の基本的な知識と気づきにくい理由
- 日中に現れる代表的なサインと症状
- 睡眠中の症状と確認方法
- セルフチェックリストとスクリーニングツール
- 医療機関での検査と早期発見のメリット
睡眠時無呼吸症候群の基本知識と気づきにくい理由
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)は、睡眠中に10秒以上の呼吸停止(無呼吸)が1時間あたり5回以上、または一晩に30回以上繰り返される病気です。
この病気には主に2つのタイプがあります。
睡眠時無呼吸症候群の種類と特徴
| 項目 | 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA) | 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA) |
|---|---|---|
| 原因 | 喉が塞がる | 脳の呼吸指令が出ない |
| メカニズム | 気道の閉塞 | 呼吸運動が止まる |
| 背景要因 | 肥満・加齢・解剖学的特徴など | 心疾患・脳卒中など |
| 発症頻度 | 約90〜95% | 約5〜10% |
| 主な症状 | いびき・日中の眠気など | いびきは少なく眠気など |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は最も一般的なタイプで、地域や背景疾患によって変動はありますが、全体の約90-95%を占めます。
睡眠中に喉の筋肉が緩み、空気の通り道(上気道)が狭くなったり塞がったりすることで起こります。
一方、中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)は、脳から呼吸をする指令が適切に送られないことで発生し、心臓の病気や脳卒中の後に見られることがあります。
無呼吸が起こると血液中の酸素濃度が低下し、それを補うために心臓が過剰に働きます。
また、呼吸が止まるたびに脳が覚醒反応を起こすため、深い睡眠が得られなくなります。
これが毎晩繰り返されることで、日中の強い眠気や集中力低下といった症状が現れるのです。
なぜ自分では気づきにくいのか
睡眠時無呼吸症候群が「隠れた病気」と呼ばれる理由は、その症状の多くが睡眠中に起こるため、本人が自覚しにくいことにあります。
実際、多くの患者さんは「自分はよく眠れている」と思っていることが少なくありません。
睡眠中の無呼吸や呼吸の再開時に起こる覚醒反応は、完全に目を覚ますほどではないため、朝になっても覚えていないことがほとんどです。
また、日中の眠気や疲労感といった症状も、仕事のストレスや加齢による体力低下と誤解されやすく、病気のサインとして認識されにくいのが現状です。
さらに、睡眠時無呼吸症候群の症状は徐々に進行することが多く、慢性的な睡眠不足状態に体が慣れてしまうため、異常だと感じにくくなります。
このような理由から、推定患者数の80%以上が未診断のまま過ごしていると言われています。
特に一人暮らしの方の場合、いびきや無呼吸を指摘してくれる人がいないため、発見がさらに遅れる傾向があります。
そのため、日中の症状や体調の変化に注意を払い、積極的に自己チェックを行うことが重要になってきます。
睡眠時無呼吸症候群に気づくための日中のサイン
強い眠気や集中力低下
睡眠時無呼吸症候群の最も特徴的な日中の症状は、過度の眠気です。
十分な睡眠時間を取っているはずなのに、日中に強い眠気を感じる場合は注意が必要です。
この眠気は単なる疲労とは異なり、会議中や運転中など、通常なら集中すべき場面でも抑えきれないほど強いものです。
実際、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは健康な人と比べて交通事故のリスクが2〜3倍高いことが報告されています。
最近のメタアナリシスでは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者は、睡眠時無呼吸症候群のない人に比べて衝突事故リスクが約2.5倍高いと結論付けられました
PMC Sleep deficiency and motor vehicle crash risk in the general population: a prospective cohort study
集中力の低下も重要なサインです。
仕事でミスが増えた、物忘れが多くなった、判断力が鈍くなったと感じる場合は、睡眠の質が低下している可能性があります。
脳は睡眠中に記憶の整理や老廃物の除去を行いますが、無呼吸によって睡眠が分断されると、これらの機能が十分に働かなくなるのです。
また、イライラしやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりすることもあります。
睡眠不足は感情のコントロールを司る脳の部位にも影響を与えるため、些細なことで怒りやすくなったり、うつ症状が現れたりすることがあります。
実際、うつ病と診断された患者さんの中に、実は睡眠時無呼吸症候群が原因だったケースも少なくありません。
朝の頭痛や倦怠感
起床時の頭痛は、睡眠時無呼吸症候群の重要なサインの一つです。
無呼吸によって血液中の酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が上昇すると、脳の血管が拡張して頭痛を引き起こします。
この頭痛は通常、起床後比較的短時間で改善する傾向があります。
朝の倦怠感や疲労感も見逃せない症状です。
「寝ても寝ても疲れが取れない」「朝起きるのがつらい」「体が重い」といった感覚は、睡眠の質が低下している証拠かもしれません。
健康な睡眠では、朝にすっきりと目覚め、活力を感じるはずです。
口の渇きや喉の痛みを朝に感じることも多くあります。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、呼吸が苦しいため口呼吸になりやすく、その結果、口腔内が乾燥します。
また、いびきによって喉の粘膜が振動し、炎症を起こすこともあります。
夜間の頻尿も関連症状として重要です。
無呼吸によって胸腔内の圧力が変化すると、心房性ナトリウム利尿ペプチドというホルモンが分泌され、尿量が増加します。
OSA患者では、無呼吸時には覚醒時と比較して血漿ANPおよび尿中ANP排泄量が増加しました。
引用:PubMed Changes of circulating atrial natriuretic peptide and antidiuretic hormone in obstructive sleep apnea syndrome
夜中に2回以上トイレに起きる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を考慮する必要があります。
その他の日常生活で現れる症状
性欲の低下や勃起不全(ED)も睡眠時無呼吸症候群と関連があることが分かっています。
慢性的な酸素不足や睡眠不足は、性ホルモンの分泌に影響を与え、性機能の低下を引き起こすことがあります。
高血圧も重要な関連症状です。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんの30〜70%が高血圧を合併しているという報告があります。
特に、薬を飲んでもなかなか血圧が下がらない「治療抵抗性高血圧」の場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を強く疑う必要があります。
体重増加や肥満も、原因であると同時に結果でもあります。
睡眠不足は食欲を増進させるホルモン(グレリン)を増加させ、満腹感を感じるホルモン(レプチン)を減少させます。
その結果、過食につながり、体重増加を招きます。
食欲不振を引き起こすホルモンであるレプチンの平均減少 (減少、18%、P = 0.04)、食欲増進因子であるグレリンの増加 (増加、28%、P < 0.04)、および空腹感 (増加、24%、P < 0.01) と食欲 (増加、23%、P = 0.01) の増加
引用:PubMed Brief communication: Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite
そして肥満は上気道を狭め、睡眠時無呼吸症候群を悪化させるという悪循環に陥ります。
その他にも、胃食道逆流症(GERD)や慢性的な鼻づまりなどが関連症状として現れることがあります。
これらの症状が複数当てはまる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を考えて、専門医への相談を検討することをお勧めします。
睡眠中の症状から睡眠時無呼吸症候群に気づく方法
家族やパートナーが確認できる症状
睡眠時無呼吸症候群の発見において、家族やパートナーの観察は非常に重要な役割を果たします。
本人が気づけない睡眠中の症状を、身近な人が発見することで、早期診断につながることが多いのです。
最も特徴的な症状は、大きないびきです。
睡眠時無呼吸症候群のいびきは、単調な音ではなく、大きな音と静かな時間が交互に現れる不規則なパターンを示します。
特に注意すべきは、いびきが突然止まり、10秒以上の無音状態が続いた後、大きな音とともに呼吸が再開するパターンです。
これは典型的な無呼吸の兆候です。
- 不規則ないびき:大きな音と静寂が交互に現れる
- いびきの突然の停止と再開:無音(10秒以上)→「ガッ」という音とともに呼吸再開
- 呼吸の停止:胸やお腹の動きが止まる
- 苦しそうな表情や体の動き:呼吸が止まっている間に見られる
- 大量の寝汗:呼吸困難による自律神経の乱れが原因
呼吸の停止を直接観察することもあります。
胸やお腹の動きが止まり、苦しそうな表情をしたり、体を動かしたりすることがあります。
その後、「ガッ」という音とともに呼吸が再開し、何事もなかったかのように眠り続けます。
このような現象を一晩に何度も繰り返す場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと考えられます。
また、寝汗を大量にかくことも特徴的です。
これは、呼吸が苦しいために交感神経が活発になり、体温調節がうまくいかなくなるためです。
パートナーには、これらの症状を記録してもらうことが大切です。
可能であれば、スマートフォンなどで動画を撮影しておくと、医師への説明時に役立ちます。
「いびきの大きさ」「無呼吸の回数と長さ」「寝汗の量」などを記録することで、より正確な診断につながります。
一人暮らしでも確認できる方法
一人暮らしの方でも、睡眠時無呼吸症候群のサインを見つける方法はいくつかあります。
まず、朝起きた時の状態を注意深く観察することが重要です。
口の中が異常に乾燥していたり、喉が痛かったりする場合は、口呼吸やいびきをかいている証拠かもしれません。
覚醒時の口渇の有病率は、OSA患者では31.4%で、一次性いびき患者(16.4%、P < 0.001)の2倍高く、軽度、中等度、重度のOSAではそれぞれ22.4%、34.5%、40.7%と直線的に増加した(P < 0.001)。
引用:PubMed Dry mouth upon awakening in obstructive sleep apnea
睡眠の記録をつけることも有効です。
就寝時刻、起床時刻、夜中に目が覚めた回数、朝の気分や体調などを毎日記録することで、睡眠のパターンが見えてきます。
特に、十分な睡眠時間を取っているのに疲れが取れない日が続く場合は要注意です。
- 口の乾き・喉の痛み→ 口呼吸・いびきの可能性
- 朝の疲労感が続く→ 睡眠の質が悪い
- 睡眠記録をつける→ 時間・覚醒回数・体調を記録
- いびき録音アプリの活用→ 音の確認ができる(診断不可)
- 部屋のこもり感・暑さ→ 呼吸の乱れのサイン
- 朝の高血圧→ 無呼吸の影響の可能性
スマートフォンのアプリを活用する方法もあります。
いびきを録音するアプリを使えば、自分のいびきの有無や程度を確認できます。
ただし、これらのアプリは医療機器ではないため、診断の代わりにはなりません。
あくまでも参考程度に留め、異常を感じたら医療機関を受診することが大切です。
部屋の環境からも手がかりを得ることができます。
朝、寝室の空気がこもっていたり、異常に暑く感じたりする場合は、夜間に過度に呼吸をしている可能性があります。
また、朝の血圧が異常に高い場合も、睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれません。
スマートフォンアプリやウェアラブルデバイスの活用
近年、テクノロジーの進歩により、睡眠時無呼吸症候群の早期発見に役立つツールが増えてきました。
特にスマートウォッチやフィットネストラッカーなどのウェアラブルデバイスは、睡眠中の体の状態を継続的にモニタリングできる点で注目されています。
2024年2月にはSamsung Galaxy Watchが、2024年9月にはApple Watchが相次いでFDA(米国食品医薬品局)の承認を受け、睡眠時無呼吸症候群の検出機能を搭載しました。
これらのデバイスは、手首の動きを検知する加速度センサーを使って、呼吸パターンの異常を検出します。
睡眠中の呼吸が止まると、体が無意識に動くことを利用した技術です。
ただし、これらのスマートウォッチは、中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群のリスクを検出するものであり、軽度の症状は見逃される可能性があります。
Samsung Galaxy Watchは22歳以上が対象で、2晩以上それぞれ4時間以上の睡眠データが必要です。
Apple Watchは18歳以上が対象で、30日間のうち10夜以上のデータが必要です。
既に診断を受けている方はいずれも対象外となっています。
Samsung Galaxy Watch と Apple Watchの比較表
| 項目 | Samsung Galaxy Watch | Apple Watch |
|---|---|---|
| FDA承認時期 | 2024年2月 | 2024年9月 |
| 対象年齢 | 22歳以上 | 18歳以上 |
| 測定条件 | 2晩以上・各4時間以上の睡眠が必要 | 30日間のうち10夜以上のデータが必要 |
| 検出対象 | 中等度〜重度の睡眠時無呼吸のリスク | 中等度〜重度の睡眠時無呼吸のリスク |
| 検出方法 | 加速度センサーによる体の動きと呼吸の解析 | 加速度センサーによる体の動きと呼吸の解析 |
なお、これらの詳細な条件や制限事項は機種ごとに異なるため、実際の使用前には各メーカーの公式資料で最新情報を確認することをお勧めします。
スマートフォンアプリも進化しています。
いびきの録音だけでなく、睡眠の質を総合的に評価するアプリが登場しています。
ただし、現時点で一般向けに提供されているアプリで、睡眠時無呼吸症候群の診断に使えるFDA承認を受けたものはありません。
医師の処方が必要なアプリ(Drowzle、SleepCheckRxなど)は存在しますが、これらも「スクリーニング」目的に限定されています。
重要なのは、これらのデバイスやアプリはあくまでも「気づきのきっかけ」として活用すべきだということです。
異常を検出した場合は、必ず医療機関で正式な検査を受ける必要があります。
また、デバイスが「正常」と判定しても、自覚症状がある場合は医師に相談することをお勧めします。
睡眠時無呼吸症候群かもと思ったときの対処法
セルフチェックリストで確認する
睡眠時無呼吸症候群の可能性を自己評価するために、医療現場でも使用されているスクリーニングツールがあります。
最も広く使われているのが「STOP-BANGアンケート」です。
STOP-BANGアンケートは8つの質問で構成されており、それぞれに「はい」か「いいえ」で答えます。
質問内容は以下の通りです。
- S(Snoring):大きないびきをかきますか?
- T(Tired):日中、疲れや眠気を感じますか?
- O(Observed):睡眠中に呼吸が止まっているのを指摘されたことがありますか?
- P(Pressure):高血圧がありますか、または治療を受けていますか?
- B(BMI):BMIが35以上ですか?
- A(Age):年齢が50歳以上ですか?
- N(Neck):首回りが男性で43cm(17インチ)以上、女性で40cm(16インチ)以上ですか?
- G(Gender):男性ですか?
「はい」の数が0〜2個の場合は低リスク、3〜4個の場合は中リスク、5個以上の場合は高リスクと判定されます。
研究によると、STOP-BANGアンケートは睡眠時無呼吸症候群の検出において93~100%という高い感度を示しています。
STOP-Bang スコア ≥ 3 の場合、中等度から重度の OSA (無呼吸低呼吸指数 [AHI] > 15) と重度の OSA (AHI > 30) を検出する感度は、それぞれ 93% と 100% です。
引用:ScienceDirect STOP-Bang Questionnaire: A Practical Approach to Screen for Obstructive Sleep Apnea
もう一つよく使われるのが「エプワース眠気尺度(ESS)」です。
これは日中の眠気の程度を評価するツールで、8つの状況でどの程度眠くなるかを0〜3点で評価します。
合計11点以上の場合、過度の日中眠気があると判断されます。
これらのセルフチェックツールは、インターネット上でも簡単に見つけることができます。
ただし、これらはあくまでもスクリーニング(ふるい分け)のためのツールであり、診断を確定するものではありません。
リスクが高いと判定された場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
医療機関での検査について
セルフチェックで睡眠時無呼吸症候群の可能性が示唆された場合、次のステップは医療機関での正式な検査です。
検査には大きく分けて2つの方法があります。
簡易検査(アプノモニター)は、自宅で行える検査です。
小型の機器を借りて、鼻や指にセンサーを装着して一晩眠るだけで、呼吸の状態や血中酸素濃度を測定できます。
入院の必要がなく、普段の睡眠環境で検査できるメリットがあります。
費用は保険適用で3割負担の場合、約3,000円程度です。
医療機関での睡眠時無呼吸症候群の検査方法
| 項目 | 簡易検査(アプノモニター) | 精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査・PSG) |
|---|---|---|
| 検査場所 | 自宅 | 病院(一泊入院) |
| 測定項目 | 呼吸の状態、血中酸素濃度 | 脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸、血中酸素濃度など |
| 装着機器 | 小型機器(鼻・指にセンサー) | 多数のセンサーを装着 |
| 検査環境 | 普段の睡眠環境 | 病院の検査室 |
| 診断精度 | 基本的な診断 | より正確な診断が可能 |
| 評価内容 | 呼吸状態の基本評価 | 睡眠の深さや質も総合評価 |
| 費用 | 保険適用3割負担で約3,000円 | 記載なし(一般的により高額) |
| メリット | 入院不要、普段通りの睡眠環境 | 詳細な睡眠状態の把握が可能 |
より詳細な検査が必要な場合は、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行います。
これは病院に一泊して行う検査で、脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸、血中酸素濃度など、多くの項目を同時に測定します。
睡眠の深さや質も評価できるため、より正確な診断が可能です。
検査の結果は、無呼吸低呼吸指数(AHI)という数値で表されます。
これは1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数を示し、5回以上で睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
さらに、5〜15回は軽症、15〜30回は中等症、30回以上は重症と分類されます。
検査を受ける際は、できるだけ普段通りの生活を心がけることが大切です。
アルコールや睡眠薬は検査結果に影響を与える可能性があるため、医師の指示に従って制限する必要があります。
早期発見のメリット
睡眠時無呼吸症候群の早期発見と治療には、多くのメリットがあります。
最も重要なのは、生命に関わる合併症のリスクを大幅に減少させることができる点です。
未治療の重症睡眠時無呼吸症候群患者は、健康な人と比べて心血管事象のリスクが2〜4倍高いことが報告されています。
しかし、適切な治療を受けることで、これらのリスクは大幅に改善することが分かっています。
生活の質の改善も大きなメリットです。
CPAP(持続陽圧呼吸療法)などの治療を開始すると、多くの患者さんが「こんなに楽に眠れるなんて」「朝の目覚めがこんなに違うなんて」と驚かれます。
- 日中の眠気が改善
- 集中力や記憶力が向上
- 仕事のパフォーマンスが改善
- うつ症状やイライラが改善
- 家族関係が良好になる
- 性機能の改善
- 血圧の低下
- 血糖値の改善
日中の眠気が改善し、集中力や記憶力が向上し、仕事のパフォーマンスも改善します。
精神面での改善も見逃せません。
うつ症状やイライラが改善し、家族関係が良好になったという報告も多くあります。
また、性機能の改善、血圧の低下、血糖値の改善など、全身の健康状態が向上することも期待できます。
経済的な観点からも、早期発見にはメリットがあります。
睡眠時無呼吸症候群による交通事故や労働災害のリスクが減少し、また将来的な心血管疾患の治療費を削減できる可能性があります。
企業によっては、従業員の睡眠時無呼吸症候群スクリーニングを健康診断に組み込んでいるところも増えてきています。
よくある質問
- いびきをかく人は全員、睡眠時無呼吸症候群なのですか?
-
いびきは睡眠時無呼吸症候群の重要なサインですが、いびきをかく人全員が睡眠時無呼吸症候群というわけではありません。
単純ないびきと病的ないびきを区別することが重要で、呼吸の停止を伴う不規則ないびきや、日中の強い眠気を伴う場合は検査を受けることをお勧めします。
- 痩せている人でも睡眠時無呼吸症候群になることはありますか?
-
はい、痩せている人でも睡眠時無呼吸症候群になることがあります。
顎が小さい、扁桃腺が大きい、舌が大きいなどの解剖学的な要因や、アルコールの摂取、加齢による筋力低下なども原因となります。
体型に関わらず、症状がある場合は検査を受けることが大切です。
- 子供でも睡眠時無呼吸症候群になることはありますか?
-
子供でも睡眠時無呼吸症候群になることがあり、推定では1〜4%の子供が罹患しているとされています。
子供の場合、扁桃腺やアデノイドの肥大が主な原因となることが多く、成長や学習に大きな影響を与える可能性があるため、早期の診断と治療が特に重要です。
- 検査は痛みを伴いますか?入院は必要ですか?
-
睡眠時無呼吸症候群の検査は痛みを伴いません。
簡易検査は自宅で行え、センサーを装着して普通に眠るだけです。
精密検査(PSG)は一晩の入院が必要ですが、検査自体に痛みはなく、多くのセンサーを装着しますが慣れれば問題なく眠れる方がほとんどです。
- スマートウォッチの結果だけで診断できますか?
-
スマートウォッチやアプリの結果だけでは診断はできません。
これらのデバイスは睡眠時無呼吸症候群のリスクを示唆するツールであり、異常が検出された場合は必ず医療機関で正式な検査を受ける必要があります。
診断は医師が総合的に判断して行います。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、適切に診断・治療されれば劇的に改善する病気です。
しかし、その症状の多くが睡眠中に起こるため、自分では気づきにくいという特徴があります。
この記事で紹介した日中の眠気、朝の頭痛、集中力低下などの日中のサインや、いびき、呼吸停止などの睡眠中の症状に心当たりがある方は、まずセルフチェックを行ってみることをお勧めします。
STOP-BANGアンケートで中リスク以上と判定された場合や、複数の症状が当てはまる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
最新のテクノロジーを活用したスマートウォッチやアプリも、睡眠時無呼吸症候群に気づくきっかけとして有用です。
ただし、これらはあくまでも補助的なツールであり、最終的な診断は医療機関での検査が必要です。
睡眠時無呼吸症候群は、放置すると心血管疾患のリスクを高め、生活の質を大きく低下させる可能性があります。
しかし、早期に発見し適切な治療を受ければ、これらのリスクを回避し、質の高い睡眠と健康的な生活を取り戻すことができます。
「最近疲れやすい」「いびきがうるさいと言われる」といった些細なサインを見逃さず、積極的に自己チェックを行い、必要に応じて専門医に相談することが、あなたの健康を守る第一歩となります。
良質な睡眠は、健康で充実した人生の基盤です。
今日から、自分の睡眠に注目してみませんか。
藤田幸男, 山内基雄「睡眠時無呼吸症候群の診断」
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Sleep Foundation Understanding the Apnea-Hypopnea Index (AHI)
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PMC Central sleep apnoea—a clinical review
PMC Prevalence of Obstructive Sleep Apnea Syndrome: A Single-Center Retrospective Study
PMC Sleep deficiency and motor vehicle crash risk in the general population: a prospective cohort study
PMC Erectile Dysfunction and Obstructive Sleep Apnea: A Review
PMC The Association of Obstructive Sleep Apnea and Hypertension
MedlinePlus Obstructive sleep apnea – adults
PubMed Independent association between hypoxemia and night sweats in obstructive sleep apnea
PubMed Dry mouth upon awakening in obstructive sleep apnea
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American Academy of Sleep Medicine Novel devices and applications for diagnosing obstructive sleep apnea
ScienceDirect STOP-Bang Questionnaire: A Practical Approach to Screen for Obstructive Sleep Apnea
PMC Measuring Sleep in Rheumatologic Diseases: The ESS, FOSQ, ISI, and PSQ
American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea
American Heart Association Journals Association of Obstructive Sleep Apnea With Cardiovascular Outcomes in Patients With Acute Coronary Syndrome
Journal of Clinical Sleep Medicine Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea

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