熊本市東区の内科・循環器内科・糖尿病脂質代謝内科・禁煙治療・在宅診療のグレースメディカルクリニック
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AGA(エージーエー、男性型脱毛症)は、思春期以降に発症してゆっくりと進行する脱毛症です。
日本人男性では20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降では約40%がAGAを発症する可能性があると報告されています。
一度AGAが発症すると自然に完治することは難しく、基本的には進行が止まらない脱毛症と考えられています。
近年はAGA治療薬(フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬、ミノキシジルなどの外用薬)が開発され、適切な治療によって薄毛の進行を抑えたり発毛を促すことが可能になってきました。
その一方で、AGA治療にはいくつかのデメリット(欠点)も存在します。
治療薬による副作用リスク、保険適用外による費用負担、効果を得るまで時間がかかることや継続治療の必要性など、患者にとって無視できないポイントです。
本記事では、AGA治療を検討する上で知っておきたいデメリットを科学的根拠に基づいて解説します。
さらに、AGA治療をしない場合に薄毛が進行するとどうなるのか、放置することによるデメリットについても説明します。
「治療するか迷っている」「副作用や費用が心配だ」という方に、落ち着いて判断するための材料を提供できれば幸いです。
本記事は、あくまでも一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、医療上の助言や診断、治療を推奨するものではありません。
AGA治療薬をはじめとする医薬品や施術は、個人の健康状態や体質によって効果・副作用が異なる可能性があります。治療を希望される方は、必ず医師をはじめとする医療従事者と相談のうえ、十分な説明を受けてから自己責任においてご判断ください。
AGA治療には発毛や抜け毛抑制の効果が期待できますが、その反面でいくつかのデメリットが指摘されています。
代表的な治療法である内服薬(フィナステリドやデュタステリド)や外用薬(ミノキシジルなど)は、科学的根拠に基づき高い推奨度で用いられています。
しかし、これらの薬剤には副作用のリスクが伴います。
例えばフィナステリドでは、ごく少数ながら性欲減退や勃起機能の低下といった報告があります。
またAGA治療は自由診療(保険適用外)のため費用は全額自己負担となり、長期にわたって治療を続ける場合は経済的な負担が大きくなりがちです。
さらに、髪が生えるまで時間がかかることもデメリットの一つです。
治療効果が現れるまで半年程度は継続が必要で、治療を中断すれば元の状態に戻ってしまう可能性があります。
AGA治療薬には副作用(好ましくない作用)のリスクがあります。
内服薬のフィナステリドやデュタステリドでは、性機能に関する副作用が報告されています。
具体的には性欲の低下(リビドー減退)や勃起不全、射精障害などですが、その発生率は低く、いずれも数%以下とされています。
製造元の報告によればフィナステリドで性欲減退は1~5%未満、勃起機能の低下は1%未満と頻度は高くありません。
ただしゼロではないため、特に若年で妊活中の場合などは注意が必要とされています。
また、フィナステリド内服では肝機能障害がまれに現れることが重要な副作用として挙げられています。
肝機能障害とは肝臓の数値異常や倦怠感などで、自覚しにくい副作用ですが、定期的な血液検査でチェックすることが望ましいでしょう。
一方、外用薬のミノキシジル(頭皮に塗布する発毛薬)では、頭皮のかゆみ・発疹といった皮膚トラブルが起こる可能性があります。
ミノキシジルによる刺激で皮膚炎(かぶれ)が生じるケースや、液剤の成分(アルコールなど)によるかゆみが見られることがあります。
加えて、ミノキシジルの使用初期には初期脱毛と呼ばれる現象が起こることがあります。
これは休止期にあった古い髪が一時的に抜け落ちる現象で、男女ともに外用開始からしばらく見られる可能性があります。
初期脱毛自体は薬が効いてきたサインとも言われますが、何も知らないと「余計に抜け毛が増えた」と不安になり中断してしまう原因にもなりえます。
以上のように、AGA治療薬には程度の差こそあれ副作用のリスクが存在します。
頻度は高くありませんが、体質や持病によって副作用が出やすい場合もあるため、治療を開始する際には医師から十分な説明を受け、少しでも体調に気になる変化があればすぐに相談することが大切です。
AGA治療の費用面もデメリットとして考えられます。
AGA治療は公的医療保険が適用されない自由診療であり、生命に関わる疾患ではなく美容目的の治療とみなされるため、診察や薬代は全額自己負担になります。
例えばフィナステリド錠やミノキシジル外用薬による治療の場合、月々約4,000~13,000円程度の薬代が目安とされています。
使用する薬の種類や用量によって費用には幅がありますが、効果を維持するには基本的に長期間の投与が必要なため、年間にすると数万円以上の出費となるでしょう。
加えて、AGA専門クリニックに定期的に通院する負担も考慮しなければなりません。
クリニックでは通常、月1回程度の診察や薬の処方が行われます。
毎月通院する手間や時間も継続治療における負担の一つです。
最近ではオンライン診療で薬を配送してもらえるサービスもありますが、いずれにせよ治療を続ける限り費用と手間がかかる点は避けられません。
さらに、自由診療のクリニックによっては治療内容に応じて初診料・再診料や各種検査料が発生する場合もあります。
広告で「○○円~」と安く見えても、実際にカウンセリングを受けてみたら想定以上の費用を提示されるケースも報告されています。
契約前に費用内訳や支払いプランについて十分な説明を受け、納得した上で治療を始めることが重要です。
このように、AGA治療は経済的コストと時間的コストの両面で負担となり得ます。
治療を開始する際は、自身の予算や生活スタイルを踏まえて無理のない計画を立てることが大切でしょう。
AGA治療のもう一つのデメリットは、すぐに効果が実感できない点と、根気強く治療を継続する必要がある点です。
髪の毛にはヘアサイクル(毛周期)という生え替わりの周期があり、新しい髪が太く成長するまで一定の時間がかかります。
治療薬を服用・使用しても、その効果が現れるまでにはタイムラグがあり、一般的に少なくとも6か月程度は継続して経過を見るよう推奨されています。
実際、国内臨床試験でもフィナステリド内服を6か月以上続けて効果を評価すべきとされており、即効性は期待できないことを理解しておく必要があります。
治療開始から1~2か月ほどで「抜け毛が減ってきた」「産毛が生えてきた」など変化を感じる人もいますが、見た目にわかる発毛効果を得るには半年~1年は要するのが一般的です。
この間、効果が出ないからといって途中で自己判断で中断しないことが重要です。
さらにAGA治療は、一度効果が出てもやめてしまえば元の状態に戻ってしまう点に注意が必要です。
AGAは進行性の疾患であり、治療薬によって抑制されていた脱毛症状は中止後に再び進行することが知られています。
フィナステリドやデュタステリドの内服を中断すると数か月以内に脱毛が再燃しうることが報告されており、せっかく維持していた髪が再び薄くなってしまう可能性があります。
以上より、AGA治療で効果を得るためには長期的な視野で取り組む必要があります。
治療開始から効果実感までのタイムラグを理解し、途中で投げ出さずに続ける覚悟が求められます。
裏を返せば、コツコツと治療を続ければ緩やかでも改善が期待できるということですので、医師と相談しながらモチベーションを維持して取り組むことが大切です。
では、AGAを治療せずに放置した場合、どのようなデメリット(悪影響)があるのでしょうか。
AGAは前述のとおり進行性の脱毛症であり、治療しなければ薄毛の進行が止まらない可能性が高いです。
個人差はありますが、薄毛は少しずつ確実に進行していくと考えられています。
特に若い頃に発症したAGAは進行スピードが速い傾向があるとの報告もあり、何も対策をしなければ薄毛の範囲が拡大していくケースが多いようです。
また、AGAを放置すると薄毛の程度が重度化し、後から取り返しがつかなくなる可能性があります。
髪の毛は一度細く短い産毛の状態まで弱ってしまうと、治療薬で元の太い毛に十分戻すのが難しくなります。
AGA治療薬は現存する毛包(毛根組織)に作用して発毛を促すため、毛包自体が消失してツルツルの地肌になってしまった部分に薬で毛を生やすことは困難です。
つまり、手遅れになる前に対策しないと十分な効果が得られない可能性があるのです。
実際、日本皮膚科学会のガイドラインでも「AGAは進行性であり早めに治療を始めるのが望ましい」とされています。
さらに、見た目や心理面への影響も無視できません。
髪の毛は外見の印象を大きく左右する要素であり、薄毛が進行することで与える印象が変化したり、本人の精神的な負担が増したりする恐れがあります。
AGAを放置して薄毛が目立つようになると、本人が自信を喪失したり、見た目のコンプレックスから消極的になってしまったりするケースもあります。
特に若い年代で薄毛が進むと周囲の目が気になりやすく、ストレスや不安の増加につながることが報告されています。
薄毛が進行するほど抑うつ状態(うつ症状)に陥るリスクも高まる可能性があるとの指摘もあり、実際にAGA患者はそうでない人に比べてQOL(生活の質)が低下する傾向が統計的にも示されています。
このように、AGAを治療しないまま放置すると「薄毛がどんどん進んでしまう」「いざ治療を始めても元に戻せなくなる」「見た目の悪化によるメンタルヘルスへの悪影響」といったデメリットが生じる可能性があります。
薄毛の進行度合いによっては、後から治療を開始しても薬の効果だけでは十分に改善できず、自毛植毛など外科的な手段を検討せざるを得なくなるケースもあります。
将来的に「もっと早く治療しておけばよかった」と後悔しないためにも、AGAの兆候に気づいたら早めに専門医に相談することが推奨されます。
AGA治療を放置した場合のリスク
治療せず放置した場合のリスク・デメリット | 説明(エビデンス) |
---|---|
薄毛の進行が止まらない | AGAは進行性の脱毛症であり、何もしないと時間とともに脱毛が進む。自然に治ることはまれで、むしろ放置で症状悪化が特徴です。 |
後から治療しても効果が出にくい | 薄毛が高度に進行すると、毛根が弱りきって治療薬の効果が十分発揮されにくくなる。早期治療開始で2〜3年継続すれば約78〜99%で効果が得られたとの報告もあるが、進行後ではこれより改善率が下がる傾向があります。 |
精神的ストレスの増大 | 薄毛の悩みが大きくなることで自信喪失や対人不安など精神的負担が増える可能性があります。髪の問題はQOL(生活の質)に影響するため注意が必要です。 |
誤った対策に頼る恐れ | 医学的に有効な治療を避けると、科学的根拠の乏しい民間療法や育毛サプリに手を出し、時間とお金を浪費してしまうリスクがあります。正しい治療を受けないまま効果の低い方法を続けるのは非効率です。 |
AGA治療(男性型脱毛症の治療)は、薄毛・抜け毛の進行を抑えたり発毛を促したりする有効な手段ですが、すべての人に必ずしも必要というわけではありません。
場合によっては、AGA治療をあえて行わないほうが良いケースも存在します。
例えば、現在の薄毛の原因がAGA(男性型脱毛症)ではない場合、AGA治療薬では根本的な解決にならない可能性があります。
また、AGAによる薄毛であっても、その薄毛が本人にとって受け入れられるものであれば、無理に治療を行う必要はありません。
AGAは命に関わる病気ではなく加齢に伴う変化の一つとも解釈されており、有効な治療法の多くが保険適用外の自由診療です。
さらに、持病や体調によってはAGA治療薬の副作用リスクが高くなる人もおり、そうした場合は治療を見合わせる判断も大切です。
加えて、AGA治療は効果を維持するために継続的な治療が求められるため、長期間にわたる費用や通院時間、意思の維持が難しい人は慎重に検討すべきでしょう。
薄毛の原因は人によって様々で、必ずしもすべてがAGA(男性型脱毛症)によるものとは限りません。
ストレスや栄養不足、急激なダイエット、内分泌疾患(甲状腺機能異常など)、自己免疫疾患(円形脱毛症など)、あるいは服用中の薬剤の影響など、AGA以外の要因で脱毛が生じるケースがあります。
これらAGA以外が原因の脱毛症では、原因に応じた対処が必要であり、AGA治療薬(フィナステリドやミノキシジルなど)を用いても十分な効果は期待できないと考えられます。
例えば、円形脱毛症であればステロイド治療などAGAとは異なる治療が有効ですし、甲状腺機能の異常が原因であればその治療が優先されます。
したがって、まずは専門医による正確な診断が重要です。
薄毛の原因が何かを突き止めず自己判断でAGA治療を始めるのは望ましくなく、原因に合った適切な治療法を選ぶことが大切です。
もし自身の薄毛の原因がAGAかどうか判断がつかない場合は、早めに皮膚科専門医に相談すると良いでしょう。
AGAによる薄毛は見た目に影響するため精神的負担になることがありますが、その感じ方は人それぞれです。
薄毛の進行が本人にとって大きな悩みでない場合、無理にAGA治療を行う必要はありません。
AGAそのものは病気というより加齢による変化の一つと考えられており、治療しなくても健康上の支障はありません。
実際、AGA治療の目的はあくまで見た目やQOL(生活の質)の改善であり、薄毛の進行を受け入れている人に対して治療を強制すべきではないでしょう。
例えば「将来ハゲても構わない」「今の薄毛でも特に支障がない」と本人が思っているのであれば、その人にとってAGA治療は必須ではなく選択的なものとなります。
治療にはコストも伴いますし、時間や手間もかかります。
むしろ髪型を工夫したり帽子やウィッグを利用したりすることで十分対応できる場合もあります。
重要なのは本人の意思であり、本人が必要性を感じないうちは無理に治療を始めなくても良いのです。
AGA治療薬を使用するにあたり、健康状態によっては副作用リスクが通常より高くなる人もいます。
そのような場合には、無理にAGA治療を行わず回避・延期する判断も必要です。
代表的な例としては、女性や未成年のケースがあります。フィナステリドやデュタステリドは基本的に成人男性のみを対象とした薬であり、妊娠中または妊娠の可能性がある女性、および授乳中の女性には投与してはいけません。
これらの薬剤を妊婦が服用すると、男性胎児の生殖器発育に影響を及ぼすおそれがあるためです。
また、海外臨床試験では18歳以上で安全性確認されていますが、日本国内では20歳以上が対象となった経緯から、20歳未満の未成年への安全性は確立されておらず推奨されません。
さらに、持病がある場合にも注意が必要です。
例えば肝臓の病気を持つ方は、フィナステリドのまれな副作用として肝機能障害(頻度不明)が報告されているため注意が必要です。
心疾患をお持ちの方や低血圧の方は、ミノキシジル(血管拡張作用があります)の使用に際し医師と十分相談すべきでしょう。
過去にAGA治療薬で強い副作用が出た人や、薬剤アレルギーの既往がある人も同様です。
このように副作用リスクが高いと考えられる健康状態では、AGA治療を避けたり、主治医と相談の上で代替策(外用薬のみの使用や生活習慣の改善等)を検討することが望ましいでしょう。
AGA治療は継続性が重要で、一度治療を開始したら効果を維持するために長期間続ける必要があります。
治療を中断すれば効果が失われてしまうため、一時的に発毛効果が出ても薬をやめれば再び薄毛が進行してしまう可能性が高いのです。
したがって、経済的負担や時間的余裕、治療を続ける意思の維持といった点で「継続が難しいかもしれない」と思われる場合、安易に治療を始めることは避けたほうがいいかもしれません。
AGA治療薬の内服・外用は健康保険が効かない自由診療であり、費用は全額自己負担となります。
月々の薬代やクリニック受診料が積み重なれば負担を感じる人もいるでしょう。
また、クリニックへの定期的な通院や毎日の薬の服用を数年単位で続けるには相応の時間とモチベーションが求められます。
途中で治療を投げ出してしまうと、それまでにかけたコストや時間が無駄になり、かつ髪も元の状態に戻ってしまいかねません。
以上のことから、経済的・時間的に長期継続が難しい場合や治療を続ける自信が持てない場合は、AGA治療を開始すべきか慎重に判断する必要があります。
どうしても治療を続けることが難しいと感じる場合には、無理にスタートせず状況が整ってから検討したり、他の対処法(育毛ケアやウィッグの利用など)を考えるのも一つの選択肢です。
最後に、AGA治療に関して読者の方からよく寄せられる質問とその回答を紹介します。
「治療をしないとどうなるの?」「治療は一生続ける必要があるの?」「副作用は大丈夫?」「誰でも治療できるの?」「治療費はどのくらい?」など、AGA治療を検討する中で生じがちな疑問について、一つひとつ回答していきます。
科学的根拠や専門家の見解に基づいて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
AGA(男性型脱毛症)は進行性の脱毛症です。放置すれば時間とともに薄毛がゆっくり進行していく可能性が高いと考えられています。思春期以降に発症し、何もしなければ徐々に脱毛範囲が広がったり毛が細く弱くなったりする傾向があります。個人差はありますが、一般にAGAは自然に治ることはなく、むしろ加齢とともに進行することが多いです。ただし進行のスピードは人それぞれで、急激に禿げ上がる人もいればゆっくり進む人もいます。いずれにせよ、「今は気にならないから」と放置すると将来薄毛が進んで後悔するケースもあるため、将来的に薄毛の進行が気になる場合は早めのケアや予防が勧められます。逆に、前述のように薄毛自体が気にならない人は無理に治療する必要はありません。
基本的には長期的な継続が前提となります。というのも、AGA治療薬の効果は服用・使用を続けている間のみ持続するため、途中でやめてしまうと効果がなくなり元の状態に戻ってしまうからです。日本皮膚科学会のガイドラインでも、内服薬フィナステリドは少なくとも6ヶ月程度は継続して効果を確認すべきであり、内服を中止すると効果は消失するとされています。これは外用薬のミノキシジルについても同様で、やめれば再び抜け毛が増える傾向があります。したがって、AGA治療は「いつまで」という明確なゴールがあるわけではなく、発毛・育毛効果を維持したい限りは半永久的に続ける必要があると考えられます。症状が落ち着いた後も維持療法を続けるのが一般的です。ただし、効果や副作用の出方には個人差があるため、定期的に経過を見ながら医師と相談し、治療継続の是非を判断していくことになります。
AGA治療薬にも薬である以上副作用の可能性はありますが、適切に使用すれば深刻な副作用はまれです。代表的な内服薬フィナステリド(プロペシア)では、性機能に関する副作用が低頻度で報告されています。臨床試験では、リビドー減退(性欲減退)や勃起機能不全といった症状が1〜3%程度の患者にみられたものの、プラセボ(偽薬)投与群と大きな差はないレベルでした。具体的には、フィナステリド1mg投与群で性機能関連の副作用が2.9%、プラセボ群で2.2%と報告されており、主な症状はリビドー減退(1.1%)と勃起機能不全(0.7%)でした。一方、重大な副作用としては肝機能障害がごくまれに報告されています。外用薬ミノキシジルの場合、局所のかゆみ・かぶれなど皮膚症状が出ることがあります。また内服薬と比べ副作用は少ないとされていますが、まれに動悸やめまいなど血行動態への影響が指摘されています。いずれの薬剤も副作用発現率は低く、安全性の高い治療薬と評価されていますが、もし異常を感じた場合は自己判断で継続せず速やかに医師に相談してください。
基本的に成人男性のみを対象とした治療になります。女性、とくに妊娠中や妊娠の可能性のある方、授乳中の方はAGA治療薬(フィナステリド・デュタステリド)の使用は禁止されています。これらの薬が体内に入ると胎児(男児)の発育に悪影響を及ぼす恐れがあるためで、妊婦は触れることすら避けるべきとされています。また、未成年(20歳未満)へのAGA治療薬の安全性は確立されていません。国内臨床試験の対象が20歳以上だったためで、発育途上の年齢への影響が不明なことから処方は控えられています。以上より、AGA治療薬は成人男性限定と考えるのが基本です。ただし女性の薄毛(女性型脱毛症:FAGA)の場合は、ミノキシジル外用など女性でも使える治療法がありますので、薄毛が気になる女性は皮膚科医に相談すると良いでしょう。未成年であっても思春期以降にAGAが進行してくるケースはありますが、その場合も保護者と医師を交えて慎重に相談する必要があります。
AGA治療は原則として保険適用外(自費診療)です。AGAは「どちらかといえば加齢に伴う生理的な現象」であり「病気」とみなされない側面があるため、有効な治療薬であっても保険診療の対象にならないのです。したがって、診察代・薬代は全額自己負担となります。費用は治療内容やクリニックによって異なりますが、一般的な内服薬治療では月に数千円から1万円前後の薬代がかかることが多く、これに診察料が加わります。年間では数万円〜十数万円程度になるため、人によっては経済的負担と感じるでしょう。また、発毛効果を維持するには治療を継続する必要があるため、費用も継続的に発生します。費用面が心配な場合は、医師に相談すれば予算に応じた治療プラン(例えばジェネリック医薬品の利用など)を提案してもらえることもあります。いずれにせよ、AGA治療は自由診療であり費用負担があることを念頭に置き、自身の経済状況に合わせて無理のない範囲で検討すると良いでしょう。
AGA治療は、科学的に効果が認められた薄毛対策であり、多くの方に有効な選択肢となり得ます。
しかし一方で、すべての人が治療を受けるべきというわけではなく、個々の状況に応じて慎重に判断することが大切です。
薄毛の原因がAGA以外であれば、その原因に合った対処を優先すべきですし、薄毛自体が気にならないのであれば無理に治療を始める必要はありません。
持病や体質などで薬のリスクが高い場合は、まず健康を優先して考えるべきです。
また、AGA治療を始めるからには長期的な継続が求められるため、続ける覚悟があるか、経済的・時間的に問題ないかも含めて検討しましょう。
今回解説したように、「AGA治療をしないほうがよい場合」も確かに存在します。
大切なのは、ご自身の状態や価値観に合った選択をすることです。
不安な点や判断に迷う点があれば、遠慮なく専門の医師に相談し、納得した上で治療するかしないかを決めると良いでしょう。
自分に合った正しい判断で、将来の後悔を防ぎ、健康的な生活と髪との付き合い方を見つけてください。