今さらなんですが、コロナの検査についてお話したいと思います。
コロナの検査=PCRとなっている印象で、よく患者さんから検査方法はPCRですか?会社からPCRの検査をしてきてくださいと言われたんですけど……とよく聞きます。
新型コロナウイルスの検査には、ウイルスの遺伝子を増幅させて測定する「PCR検査」と、ウイルスの構成部分であるタンパク質などの抗原を検出する「抗原検査」があります。
PCR検査では新型コロナウイルスに特徴的な遺伝子の配列を検出して、陽性(+)、もしくは陰性(-)で判定します。PCR検査が陰性(-)であったとしても、感染していないとはいいきれません。精度(正確性)はデータにより異なりますが、感度(感染者がPCR検査で陽性になる割合)は70~90%前後ともいわれています。
抗原検査には、分析機器で測定する「抗原定量検査」と簡易なキット等を用いる「抗原定性検査」があります。
抗原定性検査キットは、PCR検査や抗原定量検査のような精度はありませんが、ウイルス量が多いときには高い確率で検出できるとされています。
抗原定量検査は、専用の機械によって抗原が検体にどれくらい含まれているかの検査です。基準値を超えれば陽性、超えなければ陰性です。数値による具体的な判断ができるため、診断の精度が高くなります。
PCR検査と同程度の正確性があると報告されています。
ちなみに、抗原定性検査キットには厚生労働省の薬事承認をうけたもののほか、「研究用」等と称して承認を受けていないものも流通しています。しかし、承認を受けていないものについては、精度が十分確認できていないものもあり、その分、偽陽性や偽陰性のリスクがあり、新型コロナウイルスの罹患の有無を調べる目的で使用すべきではないとされています。もし市販の抗原定性検査のキットで偽陽性や、何からしら風邪症状がある際は医療機関を受診して診断してもらいましょう。