この記事の監修者 | |
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東北医科薬科大学を卒業後、薬剤師として調剤薬局 チェーンで勤務。現在は腸活講師育成スクール 「腸活パズル」主宰。「一般社団法人日本腸活協会」 代表理事を務める。 |
便秘を治すには食生活の改善が基本です。
しかし、世の中にはたくさんの情報がある分、具体的にどの食材をどの割合で取ると良いかを正しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
そこで、こちらのページでは腸内環境を整え便秘改善に効果がある食べ物や飲み物を紹介します。

便秘解消に効果的!おすすめの食べ物をカテゴリ別に紹介
- 乳酸菌・善玉菌を含む食べ物
- 善玉菌のエサになるオリゴ糖を含む食べ物
- 水溶性食物繊維を含む食べ物
- 不溶性食物繊維を含む食べ物
便秘を解消するためには、以下の4つの食べ物を意識して摂ることが重要です。
上記の食材をバランスよく食べることで、腸内で善玉菌が増え、腸内環境を改善することができますよ。
それぞれ具体的に食材を紹介していきますね。
【乳酸菌・善玉菌を含む食べ物】キムチ、ヨーグルト、発酵食品など
人の腸には100兆個以上もの腸内細菌(フローラ)が存在しています。
腸内細菌には、身体に良い働きをする「善玉菌」と、良くない影響を与える「悪玉菌」があり、善玉菌を増やすことが腸を整え、健康な状態を保つために重要なのです。
善玉菌の代表ともいえるのが乳酸菌。
乳酸菌をはじめとする善玉菌を含む食べ物を積極的に摂り、善玉菌そのものを増やすことで、腸内環境を改善する効果が期待できますよ。
具体的には、キムチやヨーグルト、味噌などの発酵食品が代表的です。
乳酸菌には大きく分けて動物性乳酸菌と植物性乳酸菌の2種類があります。
動物性乳酸菌
ヨーグルトやチーズなどの動物性乳酸菌は、胃酸に弱く生きたまま腸にまで届きにくいという特徴があります。
熱や塩にも弱いため、加熱など手を加えずに摂取することをおすすめします。
植物性乳酸菌
反対に植物性乳酸菌は、塩や酸、熱にも強く、食べた際に胃酸で分解されずに生きたまま腸に届くことが特徴。
植物性乳酸菌が含まれる食材は、味噌、醤油、ぬか漬け、キムチ、ザーサイ、サワークラフトなどが挙げられます。
ただし多くの塩分が含まれるため、血圧が高めの方やむくみが気になる方は摂り過ぎに注意しましょう。
和食中心の食生活にすることで、無理なく乳酸菌を摂ることができます。
【善玉菌のエサになるオリゴ糖を含む食べ物】ごぼう、たまねぎ、ニンニクなど
善玉菌そのものを増やす以外にも、善玉菌のエサになる食材を摂ることもポイントです。
善玉菌が好む食材を食べることで、腸内で善玉菌が増え腸内環境を整えることに役立ちます。
特に、善玉菌のエサになる「オリゴ糖」を含む食品を選ぶと良いでしょう。オリゴ糖を含む食材には、以下のものがあります。
- フラクトオリゴ糖:アスパラガス、にんにく、ごぼう、玉ねぎ、ニンニク、バナナ、りんご、ぶどう、キャベツ、じゃがいも、とうもろこし
- 大豆オリゴ糖:大豆、大豆製品(納豆、きなこなど)
- イソマルオリゴ糖:しょう油、味噌、みりん、はちみつ
- ガラクトオリゴ糖:ヨーグルト、牛乳
オリゴ糖は皮にも含まれるため、ごぼう、りんご、じゃがいもなど剥かずに食べられるものは皮ごと食べるのがおすすめです。
また40~50℃位に温めることで酵素の働きが活発になるので、加熱調理をするとより効率よくオリゴ糖を摂ることが出来ますよ。
【水溶性食物繊維を含む食べ物】ひじきやワカメはじめ海藻類など
食物繊維には水溶性食物繊維と、不溶性食物繊維の二つがあります。
水溶性食物繊維は、水に溶けやすく体内でゼリー状に変化する性質があるため腸管を刺激し動きを良くしたり、ぬるぬるした性質で便が腸内で停滞するのを抑える働きも。
水溶性食物繊維を含む食べ物は以下のものが挙げられます。
- ひじき、ワカメなどの海藻類
- オクラ
- 押し麦
- 果物(りんご、いちご、キウイなど)
- こんにゃく
【不溶性食物繊維を含む食べ物】ジャガイモはじめイモ類やキノコ類など
不溶性食物繊維には、水分を含んで膨らむことで便の量を増えるため、腸が刺激され動きを活発にする働きがあります。
ただし大量に摂りすぎたり、水分が不足してしまうと便が硬くなり腸内で詰まってしまい、排泄しにくくなってしまうため注意が必要です。
不溶性食物繊維を摂る際はしっかりと水分も摂取するようにしましょう。
不溶性食物繊維を含む食べ物は以下のものが挙げられます。
- おから
- 玄米
- 豆類
- キノコ類
- イモ類
- 甲殻類(エビ、カニなど)
食物繊維のバランスの良い比率は1(水溶性):2(不溶性)の割合です。
この割合を意識しながら、食事から取れるように工夫してみましょう。
食べ物だけじゃない!便秘に効く飲み物を紹介
食べ物からだけでなく、便秘に効く飲み物も意識することが大切です。
水分と便秘には深い関係があるため、日々の飲み物を工夫することで便秘の改善につながる効果が期待できますよ。
ここからは便秘に効く飲み物を紹介していきます。
そもそも水分をきちんと摂ることは大前提!
便秘を改善するためには、きちんと水分を摂取することは欠かせません。
水分の摂取量が便の硬さに影響するため、そもそも水分が少ないと便が硬くなってしまい排便しづらくなってしまいます。
水は1日当たり1.5~2リットルを目安に、意識して補給するようにしましょう。
特に、朝一番にコップ一杯の水を飲むと腸が刺激され動き出すため、便意が起こりやすくなりますよ。
ヤクルトやR-1などの乳酸菌飲料は腸内の善玉菌の数を増やす
便秘に効く飲み物として代表的なのが、ヤクルトやR-1などの乳酸菌飲料。
乳酸菌やビフィズス菌を含む飲料は、腸内環境を整える効果があり便秘の改善が期待できます。
ヤクルトやラブレ、R-1、LB81など様々な種類がスーパーやコンビニでも手に入り値段も比較的安いため、手軽に毎日乳酸菌を摂るのに適していると言えます。
硬水に含まれるマグネシウムは便を柔らかくする
軟水と硬水の違いは水分中のマグネシウム・カルシウムの含有量の差で、マグネシウム・カルシウムが1リットル中120ml以上が硬水です。
硬水に含まれるミネラル成分であるマグネシウムは、腸の中の水分を保持する作用があり便を柔らかくするため、便秘改善に効果があるのです。
日本の場合、水道水は軟水に分類されるため、硬水を飲む場合はミネラルウォーターを購入しましょう。
一度に飲み過ぎると下痢をすることがあるため、状況によって飲む量を調整してくださいね。
自分に合ったサプリメントで不足しがちな要素を補う
毎日の食生活や飲み物を改善することの大切さを解説してきましたが、毎日続けるのは大変だったり、食事だけで十分な量を取り切れないこともありますよね。
そんな時にはサプリメントを併用して、不足しがちな要素を補うと良いでしょう。
便秘改善に効果があるとされるサプリメントは非常に多くの種類があり、どれを選べばいいのか迷いますよね。
その場合はトクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品の表示があるものから選ぶのがおすすめですよ。
【できれば避けたい】便秘につながりかねない食べ物・飲み物まとめ
便秘に効果があるとされる食べ物や飲み物を紹介してきましたが、逆に便秘を悪化させてしまう食べ物や飲み物もあるのはご存じですか?
ここからは便秘につながりかねない食べ物・飲み物について解説していきます。
肉類や卵など、動物性食品は悪玉菌の増加につながるので食べすぎには注意
肉類や卵などの動物性食品は腸の中に入ると悪玉菌のエサとなり、繁殖を助けてしまいます。
悪玉菌が多く繁殖すると、腸内がアルカリ性に傾き腸の動きが悪くなってしまうだけでなく、有毒なガスを発生させお腹の張りや血行不良を引き起こします。
また肉や卵はタンパク質のため、ほとんどが腸で吸収されて便の量が減り、腸の動きが弱まることも便秘になりやすくなってしまう一因です。
肉類や卵は骨や筋肉を維持するのに役立つため全く食べないという事は難しいですが、必要量以上の食べ過ぎには注意をしましょう。
便秘茶は「便秘茶や下剤がないと排泄できない体質」につながる可能性があるので注意
ドラッグストアや市販品には、たくさんの便秘に効くとされるお茶が売られていますが、選ぶ際には注意が必要です。
便秘茶には大きく分けて二種類あり、腸に優しい食物繊維タイプと、下剤並みの効果があるキャンドルブッシュタイプが存在します。
腸に優しいタイプ
食物繊維や乳酸菌、オリゴ糖などの成分が配合されている便秘茶です。
これらの商品は腸内細菌のバランスを整えることを目的にしているため、定期的に飲んでも安全です。
即効性のあるものではありませんが、継続的に飲むことで優しく作用してくれるお茶がこれに当たります。
強力タイプ
「キャンドルブッシュ」(別名:ゴールデンキャンドル)という成分が入ったもので、医薬品として使用されるセンナと同様、下剤を飲んでいるのと似た作用が現れる可能性があります。
実際に国民生活センターからも注意喚起されており、腹痛や下痢などといった症状が報告されています。
キャンドルブッシュは腸を刺激し排便を促す下剤と同様の効果があるため、効きすぎる可能性があるだけでばなく、定期的に飲むことで体が慣れてしまい飲まないと排泄できない体質になってしまう可能性も。
コーヒーやお茶(緑茶・紅茶)などカフェインを含む飲み物は飲みすぎに注意
コーヒーや緑茶・紅茶など、カフェインが多く含まれる飲み物は飲み過ぎないよう注意が必要です。
カフェインには利尿作用があり、これらの飲み物を飲み過ぎると尿として水分が出て行ってしまいまい脱水を進めてしまいかねません。
コーヒーやお茶は水分補給をしているつもりでも逆効果になってしまうことがあります。
また、コーヒーやお茶には便を硬くする働きのあるタンニンという成分が含まれていることも飲み過ぎに注意しなければいけない理由のひとつです。
食後に1杯程度なら問題ありませんが、3杯も4杯も飲むのは避けたほうが良いでしょう。
普段の食生活からため込まない体質を目指そう
便秘を改善するためには、主食・主菜・副菜などバランスの取れた日々の食事が欠かせません。
善玉菌、オリゴ糖、食物繊維を意識した食事で、腸内環境の改善が期待できます。
腸内環境が改善すると、腸が元気に動く環境ができ、便秘薬に頼らずにスッキリ毎日を過ごすことができるように!

食事や飲み物だけですぐに便秘が解消されるわけではありませんが、継続することで確実に体質は改善されていきます。
ゆっくりと溜め込まない体質を目指していきましょう!