血圧が高めだと診断され、日々の食生活を見直そうと考えている方の中には、ヨーグルトが血圧に良いという話を耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
確かに、ヨーグルトをはじめとする乳製品と血圧の関係については、世界中で多くの研究が行われており、食事全体や生活習慣の改善と合わせることで、血圧を下げる効果が期待できることが分かってきています。
しかし、どんなヨーグルトでも良いわけではありません。
砂糖がたっぷり入ったヨーグルトを選んでしまうと、かえって健康を損なう可能性もあります。
また、腎臓の機能が低下している方や糖尿病がある方は、ヨーグルトを食べる際に注意が必要な場合もあります。
高血圧の改善を目指すのであれば、適切なヨーグルトを選び、正しい量を継続して食べることが大切です。
- カリウムが余分な塩分を排出して血圧を調整
- カルシウムが血管の収縮を抑えて血圧を安定
- マグネシウムが血管を柔らかくして血流改善
- 善玉菌が腸を整えて血管を広げる物質を作る
この記事では、ヨーグルトが高血圧に与える影響について、科学的な根拠をもとに詳しく解説します。
なぜヨーグルトが血圧に良いとされるのか、どのような成分が働いているのか、そしてどんなヨーグルトを選べばよいのかを、できるだけ分かりやすくお伝えします。
さらに、1日にどのくらいの量を食べればよいのか、どのタイミングで食べるのが効果的なのか、また他の食品と組み合わせる際のポイントについても説明していきます。
高血圧の改善には、塩分を控えることや適度な運動、体重管理など、生活習慣全体を見直すことが必要です。
ヨーグルトは、そうした取り組みの一つとして補助的な役割を果たす可能性があります。
決してヨーグルトだけで血圧が正常になるわけではありませんが、毎日の食生活に上手に取り入れることで、血圧管理の手助けとなることが期待できます。
医師の指導のもと、適切な治療を続けながら、食生活の改善策としてヨーグルトを取り入れることを検討してみましょう。
- ヨーグルトが高血圧に良いとされる科学的根拠
- 高血圧の方に適したヨーグルトの選び方
- 効果的な食べ方と1日の適量
- ヨーグルトを食べる際の注意点
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
ヨーグルトは高血圧に良い効果が期待できる食品
ヨーグルトと血圧の関係については、1980年代から研究が進められており、現在では多くの証拠が集まっています。
特に2000年代以降、世界各地で大規模な調査や実験が行われ、乳製品を食べることが血圧を下げる可能性があることが繰り返し確認されてきました。
アメリカ心臓協会をはじめとする専門機関も、乳製品を含むバランスの取れた食事が高血圧の予防と管理に役立つことを認めています。
ヨーグルトが血圧に良い影響を与える理由は、一つの成分だけではなく、いくつもの栄養素が一緒に働いているからだと考えられています。
- 余分な塩分を体の外に出すカリウムが豊富
- 血管の健康を保つカルシウムとマグネシウムを含む
- 腸内環境を整える善玉菌(乳酸菌・ビフィズス菌)が含まれる
さらに、乳たんぱく質が体の中で分解されてできる物質にも、血圧を下げる働きがあることが分かっています。
ただし、ヨーグルトを食べるだけで高血圧が治るわけではないことを理解しておく必要があります。
研究で示されている血圧の低下は、上の血圧で2〜4mmHg程度、下の血圧で1〜3mmHg程度と、決して大きなものではありません。
しかし、このわずかな低下でも、長い目で見れば心臓や血管の病気のリスクを減らすことにつながると考えられています。
ヨーグルトは、塩分を控えることや適度な運動、医師から処方された薬をきちんと飲むことなど、高血圧対策全体の一部として取り入れることが大切です。
塩分を体の外に出す成分が含まれている
ヨーグルトにたくさん含まれるカリウムは、体の中の余分な塩分を尿として外に出す働きを助けることなどにより、血圧の調整に寄与します。
塩分の摂りすぎは高血圧の大きな原因の一つで、体に塩分が溜まると血液の量が増え、血管に圧力がかかって血圧が上がります。
研究では、カリウムをたくさん摂ることで血圧が下がることが確認されています。
高血圧の方を対象に複数の研究結果をまとめた分析では、カリウムを補給することで上の血圧が約4.5mmHg、下の血圧が約3.0mmHg下がったという結果が報告されました(効果は条件により異なります)。
全体的に、カリウム補給により収縮期血圧が4.48mmHg(95%信頼区間3.07~5.90)、拡張期血圧が2.96mmHg(1.10~4.82)低下した。
引用:PubMed The effect of potassium supplementation on blood pressure in hypertensive subjects: A systematic review and meta-analysis
特に、塩分を多く摂っている方ほど、カリウムの血圧を下げる効果が大きいことが分かっています。
ヨーグルト100gあたりのカリウム含有量
| 項目 | 含有量 |
|---|---|
| カリウム | 約150〜170mg |
ヨーグルト100g(小さめの容器1個分)には、だいたい150〜170mg程度のカリウムが含まれています。
これは食品の中では中くらいの量ですが、毎日食べ続けることで、カリウムの摂取量全体を増やすことができます。
ただし、腎臓の働きが悪い方は、カリウムを摂り過ぎないよう注意が必要な場合があるため、医師に相談してから食べるようにしましょう。
血管を健やかに保つ栄養素が豊富
ヨーグルトには、カルシウムとマグネシウムという2つの大切なミネラルが含まれており、これらは血管の健康を保つのに役立つ可能性があります。
カルシウムは、血管の壁を作っている細胞の働きを調整する役割を持っています。
体の中のカルシウムが足りなくなると、血管の細胞の中にカルシウムが必要以上に入り込んで、血管が縮みやすくなり、血圧が上がる可能性があると言われています。
十分なカルシウムを摂ることで、このような血管の縮み過ぎを防ぐことが期待できます。
マグネシウムは、血管を柔らかくしてリラックスさせる働きがあるとされています。
複数の研究結果をまとめて分析したところ、マグネシウムを摂ることで上の血圧が約2.8mmHg、下の血圧が約2.1mmHg下がったことが報告されています。
マグネシウム摂取は、プラセボと比較して、収縮期血圧を-2.81mmHg(95%信頼区間-4.32~-1.29)、拡張期血圧を-2.05mmHg(95%信頼区間-3.23~-0.88)低下させた。
引用:PubMed Magnesium Supplementation and Blood Pressure: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
マグネシウムは、血管の緊張をほぐして、血液がスムーズに流れるのを助ける働きがあると考えられています。
ヨーグルト100gあたりのミネラル含有量
| ミネラル | 含有量 | 働き |
|---|---|---|
| カルシウム | 約110〜120mg | 血管の細胞の働きを調整 |
| マグネシウム | 約10〜15mg | 血管を柔らかくする |
これらのミネラルを毎日摂ることで、血管の健康を保ち、血圧が上がるのを抑える効果が期待できるでしょう。
お腹の調子を整えることが血圧改善につながる
最近の研究では、お腹の調子(腸内環境)と血圧の間に深い関係があることが分かってきました。
腸の中には約40兆個もの細菌が住んでおり、これらの細菌のバランスが崩れると、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
高血圧の方では、腸の中の細菌のバランスが乱れている傾向があることが報告されています。
研究では、高血圧の患者さんと健康な方の腸内細菌を比べたところ、高血圧の方では体に良い細菌が減っていて、良くない細菌が増えていることが分かりました。
健康な対照群と比較して、微生物の豊富さと多様性の劇的な減少、プレボテラが優勢な腸内エンテロタイプ、健康状態に関連する細菌の減少とプレボテラやクレブシエラなどの細菌の過剰増殖を伴う明確なメタゲノム構成、および前高血圧症と高血圧症の両方の集団における疾患に関連した微生物機能を発見しました。
引用:Microbiome Gut microbiota dysbiosis contributes to the development of hypertension
さらに、高血圧の方の腸内細菌を特殊な処理をしたマウスに移すと、そのマウスの血圧が上がったという報告もあり、動物実験レベルではありますが、腸内環境が直接血圧に影響を与えている可能性が示されています。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は、腸内環境を整える働きがあります。
善玉菌を含む食品について、9つの高品質な研究結果をまとめて分析したところ、8週間以上摂取し続けることで、上の血圧が約3.56mmHg、下の血圧が約2.38mmHg下がったという結果が報告されました。
プロバイオティクスの摂取により、プロバイオティクスを摂取しなかった成人と比較して、収縮期血圧(上の数値)が平均3.56ミリメートル水銀柱(mmHg)低下し、拡張期血圧(下の数値)が平均2.38 mmHg低下した。
引用:American Heart Association Eating probiotics regularly may improve your blood pressure
腸の中の善玉菌は、「短鎖脂肪酸」という物質を作り出します。
この物質には、血管を広げる働きや、体の中の炎症を抑える働きがあることが分かっており、これらが血圧を下げることにつながっていると考えられています。
ヨーグルトを毎日の食事に取り入れることで、腸内環境が良くなり、結果として血圧にも良い影響をもたらす可能性があるのです。
高血圧の方は無糖・低脂肪タイプのヨーグルトを選ぶ
ヨーグルトと一口に言っても、お店で売られている製品は実に様々です。
何も加えていないプレーンヨーグルトから、砂糖が入ったもの、フルーツ入り、脂肪分が少ないもの、特定の働きをうたった製品まで、たくさんの種類があります。
しかし、血圧への効果を期待するのであれば、どんなヨーグルトでも良いわけではありません。
研究結果を見ると、特に脂肪分が少ない乳製品が血圧を下げるのに適していることが多くの研究で示唆されています。
また、砂糖がたくさん入ったヨーグルトを選んでしまうと、血圧への効果を期待する以前に、カロリーの摂り過ぎや血糖値が上がるといった別の問題を引き起こす恐れがあります。
糖質を摂り過ぎると、太りやすくなったり糖尿病のリスクが高まったりして、結果的に高血圧を悪化させる可能性もあるのです。
さらに、一部のヨーグルトにはごく微量ですが塩分が含まれている場合もあり、高血圧の方はこの点にも気をつける必要があります。
- 無糖タイプ(プレーンヨーグルト)を選ぶ
- 低脂肪または無脂肪タイプを選ぶ
- カリウム、カルシウム、マグネシウムの含有量を確認
- ナトリウム(塩分)が少ないものを選ぶ
- 「生きて腸まで届く乳酸菌」表示があればなお良い
高血圧の方がヨーグルトを選ぶ際には、パッケージの成分表示をよく見て、自分の健康状態に合った製品を選ぶことが大切です。
以下では、高血圧の方がヨーグルトを選ぶ際の具体的なポイントについて、詳しく解説していきます。
砂糖入りヨーグルトは避けた方が良い理由
お店で売られているヨーグルトの中には、食べやすくするために砂糖や果汁、香料などが加えられているものがたくさんあります。
しかし、砂糖が加えられたヨーグルトは、思った以上に多くの糖質を含んでいることがあります。
砂糖を摂り過ぎると、太りやすくなったり糖尿病になるリスクが高まったりします。
太ることは高血圧の大きな原因の一つで、体重が増えると血管に負担がかかり、血圧が上がりやすくなります。
また、糖質を摂り過ぎると血糖値が急に上がって、血管を傷める可能性もあります。
ヨーグルトの種類別糖質比較(100gあたり)
高血圧の方がヨーグルトを選ぶ際には、できるだけ砂糖が入っていないもの(プレーンヨーグルト)を選ぶことをおすすめします。
砂糖が入っていないヨーグルトは酸っぱく感じるかもしれませんが、食べ慣れてくると牛乳本来の味わいを楽しめるようになります。
どうしても甘みが欲しい場合は、はちみつを少し加えたり、バナナなどの果物を混ぜたりすることで、自然な甘さを加えることができます。
ただし、はちみつや果物にも糖質は含まれているので、入れ過ぎないよう気をつけましょう。
脂肪分は控えめなものがおすすめ
ヨーグルトに含まれる脂肪の量も、選ぶ際の大切なポイントです。
研究では、脂肪分が少ない乳製品の方が血圧を下げるのにより効果的である可能性が示唆されています。
脂肪分が多いヨーグルトと比べて、脂肪分が少ないヨーグルトや脂肪分がほとんどないヨーグルトを食べた場合、血圧の低下効果がより大きかったという報告があります。
脂肪乳製品を含む食事では、乳製品を含まない果物や野菜を多く含む食事よりも、より顕著な血圧低下効果が得られました。
引用:PubMed Central Effects of low-fat dairy intake on blood pressure, endothelial function, and lipoprotein lipids in subjects with prehypertension or stage 1 hypertension
脂肪、特に動物性の脂肪を摂り過ぎると、血液中のコレステロールが増えて、血管が硬くなる病気(動脈硬化)のリスクが高まる可能性があります。
動脈硬化が進むと血管が硬くなり、血圧が上がりやすくなります。
そのため、高血圧の方は動物性の脂肪を控えることが勧められています。
脂肪分が少ないヨーグルトは、脂肪が少ない一方で、カルシウムやカリウムなどの体に良いミネラルはほとんど減っていません。
むしろ、一部の研究では、脂肪分が少ないヨーグルトの方が普通のヨーグルトよりもカルシウムがわずかに多いことが報告されています。
これは、脂肪を取り除いた分、中身の中でミネラルの割合が相対的に高くなるためです。
ただし、脂肪分が少ないヨーグルトの中には、味を良くするために砂糖や人工甘味料が加えられているものもあります。
成分表示を確認して、砂糖や添加物が少ない製品を選ぶようにしましょう。
一番良いのは、砂糖が入っておらず、脂肪分も少ないプレーンヨーグルトです。
成分表示でミネラル量をチェックする
ヨーグルトを選ぶ際には、パッケージに書かれている栄養の表示を確認することをおすすめします。
特に注目したいのは、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった体に必要なミネラルがどれくらい含まれているかです。
これらのミネラルは、血圧の調整に大切な役割を果たすことが研究で示されています。
製品によってミネラルの量には違いがあるため、同じヨーグルトでも栄養価が違う場合があります。
できるだけこれらのミネラルがたくさん含まれている製品を選ぶと良いでしょう。
1日に摂りたいミネラルの摂取基準
| ミネラル | 成人男性(18〜64歳) | 成人女性(18〜64歳) |
|---|---|---|
| カリウム | 3,000mg以上 | 2,600mg以上 |
| カルシウム | 18〜29歳:800mg 30〜64歳:750mg | 650mg |
| マグネシウム | 18〜29歳:340mg 30〜49歳:380mg 50〜64歳:370mg | 18〜29歳:280mg3 0〜64歳:290mg |
カリウムについては、1日に摂った方が良い量が成人男性で3,000mg以上、成人女性で2,600mg以上とされています。
ヨーグルトだけで全てを補うことは難しいですが、野菜や果物などと組み合わせることで、効率よくカリウムを摂ることができます。
また、「生きて腸まで届く乳酸菌」や「特定の菌」などの表示にも注目してみましょう。
一部の研究では、特定の乳酸菌の種類が血圧を下げるのにより効果的である可能性が示されています。
ただし、どの菌が一番効果的かについては、まだ研究が続けられている段階です。
成分表示を見る際には、ナトリウム(塩分)の量も確認しましょう。
一部のヨーグルトには塩分が含まれている場合があります。
高血圧の方は塩分を控える必要があるため、できるだけナトリウムが少ない製品を選ぶことが望ましいです。
1日100〜200gを毎日続けて食べるのがおすすめ
ヨーグルトによる血圧への効果を期待するためには、適切な量を続けて食べることが何よりも大切です。
多くの研究では、1日あたり100〜200g程度(小さめの容器1〜2個分)のヨーグルトまたは脂肪分が少ない乳製品を毎日食べることで、血圧が下がる効果が得られる可能性が示されています。
また、効果が出るまでには一定の期間が必要で、多くの研究では8週間以上続けて食べることが良いという報告があります。
ヨーグルトの効果的な摂り方
| 項目 | 摂取の目安 |
|---|---|
| 1日の摂取量 | 100〜200g(容器1〜2個分) |
| 継続期間 | 8週間以上 |
| 食べるタイミング | 朝食時や間食として |
| 注意点 | 食べ過ぎに注意、全体のカロリーバランスを考える |
一方で、「体に良いから」といって大量に食べることは良くありません。
ヨーグルトは健康に良い食品ですが、食べ過ぎると他の食品とのバランスが崩れたり、カロリーを摂り過ぎたりする恐れがあります。
また、腎臓の働きが悪い方や糖尿病の方は、ミネラルや糖質の摂取量について特に注意が必要です。
ここでは、ヨーグルトを上手に摂るための具体的な方法について説明します。
1日の適量はどのくらいか、どのタイミングで食べるのが続けやすいか、そして他の食品と組み合わせることでどのような良い効果が期待できるかについて、詳しく見ていきましょう。
食べ過ぎるとカロリー過多になる可能性がある
脂肪分が少ないプレーンヨーグルト100g(小さめの容器1個分)のカロリーは、だいたい40〜60kcal程度です(製品によります)。
1日200g食べた場合、約80〜120kcalを摂ることになります。
これは決して高いカロリーではありませんが、他の食事とのバランスを考えることが大切です。
ヨーグルトの種類別カロリー比較(100gあたり)
| ヨーグルトの種類 | カロリー |
|---|---|
| 無脂肪プレーン | 約40〜50kcal |
| 低脂肪プレーン | 約40〜60kcal |
| 普通のプレーン | 約60〜80kcal |
| 加糖タイプ | 約65〜100kcal |
※カロリーは商品により幅があります。
もし砂糖が入ったヨーグルトや脂肪分が多いヨーグルトを選んだ場合、カロリーはさらに高くなります。
砂糖が加えられたヨーグルト100gでは、65kcal前後から、濃厚なものでは100kcalを超えることもあります。
1日に何度も食べたり、たくさん食べたりすると、知らないうちにカロリーを摂り過ぎて、体重が増える可能性があります。
体重が増えることは、高血圧を悪化させる原因の一つです。
研究では、体重を減らすことで血圧が下がることが確認されており、太り気味の高血圧の方にとって、適切な体重を保つことは非常に大切です。
体重減少1kgあたりで血圧低下は、収縮期血圧で-1.05 mmHg(95% CI、-1.43~-0.66)、拡張期血圧で-0.92 mmHg(95% CI、-1.28~-0.55)でした。
引用:Wageningen University & Research Influence of Weight Reduction on Blood Pressure; A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials
ヨーグルトを食生活に取り入れる際は、全体のカロリーを意識して、他の食品の量を調整するなどの工夫が必要でしょう。
目安としては、1日100〜200g程度を上限として、それを1〜2回に分けて食べるのが良いでしょう。
たとえば、朝ごはんの時に100g、おやつ代わりに100gといった具合です。
食べ過ぎを防ぐためには、小さめの器に移して食べる量を目で見て分かるようにすることも良い方法です。
朝食や間食として取り入れると続けやすい
ヨーグルトの血圧への効果を得るためには、何よりも続けることが大切です。
研究では、善玉菌を含む食品を8週間以上続けて食べることで、血圧が下がる効果が現れやすいことが示されています。
短い期間だけ食べても十分な効果は期待できないため、毎日の習慣として取り入れることが大切です。
ヨーグルトを食生活に取り入れやすいタイミングとしては、朝ごはんが一番良いでしょう。
朝ごはんにヨーグルトを加えることで、1日を栄養バランスの良い食事から始めることができます。
何も加えていないヨーグルトにシリアルやグラノーラを入れたり、果物を混ぜたりすることで、食物繊維やビタミンも一緒に摂ることができます。
また、おやつとしてヨーグルトを食べることもおすすめです。
午後のおやつにお菓子を食べる代わりにヨーグルトを選ぶことで、余分な糖質や脂質を摂らずに済みます。
ヨーグルトはたんぱく質が豊富なため、満足感を得やすく、食べ過ぎを防ぐのにも役立つ可能性があります。
- 朝食と一緒に(シリアルやフルーツと組み合わせて)
- 朝食後のデザートとして
- 午後のおやつとして(お菓子の代わりに)
- 夕食後の軽いデザートとして
食べるタイミングについて、特に「いつ食べなければいけない」という決まりはありません。
自分の生活スタイルに合わせて、無理なく続けられるタイミングを見つけることが大切です。
毎日同じ時間に食べる習慣をつけると、忘れずに続けやすくなります。
バナナやナッツと一緒に食べると相乗効果が期待できる
ヨーグルトだけでも血圧への効果が期待できますが、他の食品と組み合わせることで、さらに効果を高められる可能性があります。
特におすすめなのは、カリウムがたくさん含まれるバナナや、マグネシウムが多く含まれるナッツ類です。
ヨーグルトと相性の良い食品
| 食品 | 主な栄養素 | 期待できる効果 | 1回の目安量 |
|---|---|---|---|
| バナナ | カリウム(約360mg/100g) | 塩分の排出を促進 | 1本(100g) |
| アーモンド | マグネシウム、良質な油 | 血管の健康維持 | 10粒程度(10〜15g) |
| クルミ | マグネシウム、オメガ3脂肪酸 | 血管を柔らかく保つ | 3〜4個(10〜15g) |
| ブルーベリー | ポリフェノール | 抗酸化作用 | 一握り(30〜50g) |
| オートミール | 食物繊維 | 腸内環境改善 | 大さじ2〜3(20〜30g) |
バナナは、カリウムが非常に豊富な果物として知られています。
バナナ可食部100g(中くらいの大きさ約1本分)には、約360mg程度のカリウムが含まれています。
何も加えていないヨーグルト100gとバナナ1本を組み合わせることで、合わせて約500mg以上のカリウムを摂ることができます。
カリウムには余分な塩分を体の外に出す働きがあるため、高血圧の方にとって役立ちます。
ナッツ類も、血圧の管理に役立つ食品です。
アーモンドやクルミには、マグネシウムや体に良い油が豊富に含まれています。
これらの栄養素は、血管の健康を保ち、血圧を下げる効果が期待できます。
ヨーグルトに砕いたナッツを加えることで、食感も楽しめますし、栄養価も高まります。
ただし、ナッツはカロリーが高めなので、1日あたり一握り程度を目安にするなど、食べ過ぎないよう注意しましょう。
その他にも、ブルーベリーやイチゴなどのベリー類を加えるのもおすすめです。
ベリー類には、体の老化を防ぐ成分(ポリフェノール)が豊富に含まれており、血管の健康維持に役立つ可能性があります。
また、オートミールやシリアルを混ぜることで、食物繊維を増やすこともできます。
食物繊維は、お腹の調子を整えるだけでなく、コレステロール値を良くすることにも役立つとされています。
ヨーグルトを食べる時に注意したい3つのポイント
ヨーグルトは一般的に安全で健康に良い食品ですが、すべての方にとって無条件に良いわけではありません。
特に、すでに何かの病気がある方や、特定の栄養素を制限する必要がある方は、ヨーグルトを食べる際に注意が必要な場合があります。
また、ヨーグルトの効果を信じ過ぎて、他の大切な治療や生活習慣の改善をおろそかにすることも避けなければなりません。
- 腎臓の数値が悪い方(カリウム制限が必要な場合がある)
- 糖尿病の方(無糖タイプを必ず選ぶ)
- 牛乳アレルギーがある方
- お腹がゴロゴロする体質(乳糖不耐症)の方
腎臓の働きが悪い方は、カリウムの摂取に制限がかかることがあります。
また、糖尿病がある方は、ヨーグルトに含まれる糖質に注意する必要があります。
さらに、牛乳アレルギーがある方や、お腹がゴロゴロする体質(乳糖不耐症)の方は、ヨーグルトを食べること自体が適さない場合もあります。
そして最も大切なのは、ヨーグルトだけで高血圧が良くなることはないという点です。
高血圧を管理するには、塩分を控える、適度に運動する、体重を管理する、タバコをやめる、お酒を飲み過ぎないといった生活習慣全体の改善が必要であり、医師の指示に従った適切な治療も欠かせません。
ヨーグルトは、こうした全体的な取り組みの一部として位置づけるべきものです。
以下では、ヨーグルトを食べる際に特に注意すべき3つのポイントについて、詳しく解説していきます。
腎臓の数値が悪い方は食べる前に医師に相談を
ヨーグルトにたくさん含まれるカリウムは、健康な方にとっては血圧を下げる役に立つ栄養素ですが、腎臓の働きが悪い方にとっては注意が必要な成分でもあります。
腎臓は、体の中の余分なカリウムを尿として外に出す役割を担っています。
しかし、腎臓の働きが悪くなると、カリウムをうまく外に出せなくなり、血液中のカリウムが多くなり過ぎる「高カリウム血症」という状態になる恐れがあります。
高カリウム血症は、心臓のリズムが乱れる(不整脈)などの重い症状を引き起こす可能性があるため、非常に危険です。
腎臓病の方のカリウム制限の目安
| 腎機能の状態 | カリウム制限 | ヨーグルトの摂取 |
|---|---|---|
| 正常 | 制限なし | 問題なし |
| 軽度低下 | やや注意 | 医師に相談 |
| 中等度〜重度低下 | 1日1,500〜2,000mg以下(ステージによる) | 医師の指示に従う |
慢性腎臓病の方や、腎臓の検査で異常を指摘されたことがある方は、ヨーグルトをはじめとするカリウムが多く含まれる食品を食べることについて、必ず主治医に相談してください。
医師の指示に従い、自分に合った量を守ることが大切です。
場合によっては、カリウムの摂取量を1日あたり1,500〜2,000mg程度に制限する必要があることもあります。
また、腎臓病の方は、たんぱく質の摂取を制限する必要がある場合もあります。
ヨーグルトにはたんぱく質も含まれているため、この点についても医師や栄養士と相談することをおすすめします。
糖尿病の方は無糖タイプを選ぶのが基本
糖尿病がある高血圧の方は、ヨーグルトを選ぶ際に特に注意が必要です。
糖尿病の方にとって、血糖値を管理することは非常に大切であり、糖質の摂取量をコントロールすることが求められます。
砂糖が入ったヨーグルトには、思った以上に多くの糖質が含まれていることがあります。
砂糖が加えられたヨーグルト100gには、12g以上の糖質が含まれていることも珍しくありません。
これは、角砂糖に換算すると約4〜5個分に相当します。
こうした製品を食べると、血糖値が急に上がる可能性があります。
- 無糖タイプ(プレーンヨーグルト)を選ぶのが基本
- 成分表示で糖質量を確認する
- 「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」表示も選択肢の一つ
- 果物を加える場合は量を控えめに
- 血糖値の変動を記録して医師に報告する
糖尿病の方がヨーグルトを食べる場合は、できるだけ砂糖が入っていないプレーンヨーグルトを選びましょう。
砂糖が入っていないヨーグルト100gに含まれる糖質は、約5g程度です。
これは乳糖(牛乳に含まれる天然の糖)によるものであり、加えられた砂糖ではありません。
乳糖は、砂糖と比べて血糖値の上がり方が比較的緩やかとされています。
また、人工甘味料が加えられた「カロリーゼロ」や「糖質ゼロ」と書かれたヨーグルトも売られています。
これらの製品は、糖尿病の方にとって選択肢の一つとなり得ますが、人工甘味料の種類や量について心配な場合は、医師や栄養士に相談すると良いでしょう。
糖尿病と高血圧を両方お持ちの方は、食事の管理がより難しくなります。
ヨーグルトを食生活に取り入れる際は、全体の栄養バランスや血糖値の変動を考えて、専門家の指導を受けながら進めることをおすすめします。
ヨーグルトだけでなく減塩や運動も大切
ヨーグルトを食べることは、高血圧の管理に役立つ可能性がありますが、ヨーグルトだけに頼って血圧が正常になることは期待できません。
高血圧を改善するには、生活習慣全体を見直すことが欠かせません。
高血圧管理に必要な総合的な取り組み
| 取り組み | 具体的な内容 | 目標 |
|---|---|---|
| 減塩 | 塩分を控えた食事 | 1日6g未満 |
| 運動 | ウォーキング、軽いジョギングなど | 週150分(1日30分×週5日) |
| 体重管理 | 適正体重の維持 | BMI 18.5〜25未満 |
| 禁煙 | タバコをやめる | 完全禁煙 |
| 節酒 | お酒を控える | 適量を守り休肝日を設ける |
| 薬物療法 | 医師の処方に従う | 指示通りに服用 |
| 食事改善 | ヨーグルトなどの取り入れ | 補助的に活用 |
最も大切なのは、塩分を控えることです。
日本人の高血圧の大きな原因は、塩分の摂り過ぎとされています。
現在、日本人は平均して1日あたり約10g前後の塩分を摂っていますが、高血圧を予防したり治療したりするためには、1日6g未満に抑えることが勧められています。
塩分を控えることで、血圧は確実に下がります。
適度な運動も、血圧の管理において大切な役割を果たします。
ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの運動を、1週間に150分程度(1日30分×週5日)行うことが勧められています。
運動は血管を柔らかくして血圧を下げる効果があるだけでなく、体重を管理するのにも役立ちます。
お酒を飲む量にも気をつける必要があります。
お酒を飲み過ぎると血圧が上がる原因となります。
適量を守り、お酒を飲まない日を作ることが大切です。
また、タバコは血管を傷めて高血圧を悪化させるため、禁煙を強くおすすめします。
ストレスの管理も忘れてはいけません。
長く続くストレスは、血圧を上げることがあります。
十分に睡眠をとり、リラックスできる時間を作ることも、血圧の管理には効果的です。
そして何よりも大切なのは、医師の指示に従い、処方された薬を適切に飲むことです。
高血圧の治療では、生活習慣の改善だけでなく、必要に応じて血圧を下げる薬が使われます。
自分の判断で薬を飲むのをやめたり、量を変えたりすることは絶対に避け、必ず主治医に相談してください。
ヨーグルトは、こうした全体的な取り組みの一部として、補助的な役割を果たすものと考えましょう。
バランスの取れた食事、適度な運動、適切な医療ケアを組み合わせることで、高血圧をより効果的に管理することができます。
よくある質問
- ヨーグルトを食べれば薬を飲まなくても大丈夫ですか
-
ヨーグルトには血圧を下げる効果が期待できますが、医師から処方された薬の代わりにはなりません。
高血圧の治療では、必要に応じて血圧を下げる薬が使われており、これを自分の判断でやめることは大変危険です。
ヨーグルトは、薬での治療や生活習慣の改善と一緒に取り入れる補助的な食品と考えてください。
- どのくらいの期間食べ続ければ効果が出ますか
-
研究では、善玉菌を含むヨーグルトを8週間以上続けて食べることで、血圧が下がる効果が現れやすいことが示されています。
ただし、効果の出方には個人差があり、また血圧への影響は比較的穏やかなものです。
すぐに大きな変化を期待するのではなく、長く続ける健康習慣の一つとして捉えることが大切です。
- 飲むヨーグルトでも同じ効果がありますか
-
飲むヨーグルトも、成分が同等であれば、普通のヨーグルトと同じように善玉菌やミネラルを含んでいるため、、血圧への効果が期待できる可能性があります。
ただし、飲むヨーグルトには砂糖がたくさん入っている製品も多いため、成分表示を確認して、できるだけ糖質が少ないものを選ぶことをおすすめします。
まとめ
ヨーグルトには、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった体に必要なミネラルがたくさん含まれており、これらの栄養素が血圧の調整に役立つ可能性があることが、多くの研究で示されています。
また、ヨーグルトに含まれる善玉菌が腸内環境を整えることで、間接的に血圧を下げることも期待されています。
- ヨーグルトはカリウム、カルシウム、マグネシウムが豊富で血圧調整に役立つ
- 無糖で低脂肪のプレーンヨーグルトを選ぶことが大切
- 1日100〜200gを目安に毎日食べ続けることで効果が期待できる
- 腎臓病や糖尿病の方は医師に相談してから食べる
- ヨーグルトだけでなく総合的な生活習慣改善が必要
高血圧の方がヨーグルトを選ぶ際には、砂糖が入っておらず脂肪分が少ないプレーンヨーグルトを選び、1日100〜200g程度を目安に続けて食べることが勧められます。
ただし、腎臓の働きが悪い方や糖尿病の方は、食べる前に必ず医師に相談してください。
ヨーグルトを食べることは、あくまでも高血圧管理の補助的な手段の一つです。
塩分を控える、適度に運動する、適切な体重を保つ、タバコをやめる、お酒を控えるといった生活習慣全体の改善と、医師の指示に従った適切な治療を組み合わせることが、高血圧の効果的な管理につながります。
毎日の食生活にヨーグルトを取り入れながら、健康的な生活習慣を心がけていきましょう。
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文部科学省 日本食品標準成分表 乳類/<牛乳及び乳製品>/(発酵乳・乳酸菌飲料)/ヨーグルト/脱脂加糖 – 09.炭水化物-可食部100g
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