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血圧が高いとどうなる?身体への影響と原因をわかりやすく解説

血圧が高いとどうなる?身体への影響と原因をわかりやすく解説

健康診断で「血圧が高め」と指摘されたことはありませんか。

血圧が高い状態が続くと、身体にさまざまな影響が現れる可能性があります。

しかし、血圧が高いこと自体には自覚症状がほとんどないため、つい放置してしまいがちです。

血圧が高い状態を放置すると、心臓や脳、腎臓などの重要な臓器に負担がかかり、深刻な病気につながる可能性があります。

血圧が高いことによる身体への影響
  • 血管が硬くなり弾力性を失い動脈硬化が進行する
  • 心臓に過度な負担がかかり心筋梗塞や心不全のリスクが上昇する
  • 脳の血管が損傷し脳卒中や認知症のリスクが高まる
  • 腎臓の血管が傷つき腎機能が低下し腎不全につながる
  • 網膜の血管が損傷し視力低下や失明の可能性がある

日本では成人の約3人に1人が高血圧であるといわれており、年齢が上がるほど割合が高くなります。

決して他人事ではありません。

この記事では、血圧が高いとどのような影響が身体に起こるのか、なぜ血圧が高くなるのか、そして血圧が高い時にどんな症状が現れるのかを、わかりやすく解説します。

血圧が高い状態は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、症状がないまま身体を蝕んでいきます。

しかし、適切な対応をすれば予防や改善が可能です。まずは血圧が高いことの意味を正しく理解し、自分の健康を守るための第一歩としましょう。

この記事でわかること
  • 血圧が高いと身体にどんな影響があるか
  • 血圧が高くなる原因とメカニズム
  • 血圧140以上が注意すべき理由
  • 血圧が高い時の症状と気をつけるべきサイン
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

血圧が高いと身体にどんな影響がある?

血圧が高い状態が続くと、全身の血管や臓器に大きな負担がかかります。

血圧とは、心臓が血液を送り出す際に血管の壁にかかる圧力のことです。

この圧力が常に高い状態だと、血管や心臓は通常よりも強い力に耐え続けなければならず、徐々にダメージが蓄積していきます。

血圧が高いことによる身体への影響は、主に心臓と血管、脳、腎臓、目といった重要な臓器に現れます。

これらの臓器は細い血管が集まっている場所であり、高い圧力の影響を受けやすいのです。

アメリカ疾病予防管理センターによると、高血圧は心臓病や脳卒中といった重大な病気の主要なリスク要因となっています。

ここでは、血圧が高いことで身体にどのような影響が起こるのかを具体的に見ていきましょう。

早期に対処することで、これらの深刻な影響を予防したり遅らせたりすることが可能です。

血管や心臓に負担がかかる

血圧が高い状態では、血管の壁に常に強い圧力がかかり続けます。

この状態が長く続くと、血管の壁は少しずつ硬くなり、弾力性を失っていきます。

健康な血管は柔軟性があり、血液の流れに合わせて伸び縮みできますが、高血圧によって血管が硬くなると、この機能が低下してしまいます。

血管が硬くなると、血液の流れが悪くなり、心臓はより強い力で血液を送り出さなければなりません。

心臓は休むことなく働き続ける臓器ですが、過度な負担がかかると心臓の筋肉が厚くなったり、心臓の機能が低下したりします。

これは、重い荷物を持ち続けると筋肉が疲労するのと似ています。

高血圧によって血管が硬くなり狭くなると、心臓への血流が減少し、胸の痛みや心臓発作のリスクが高まる可能性があります。

心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割を果たしているため、心臓に問題が生じると全身の健康に影響が及びます。

また、血管の内側にコレステロールなどが溜まりやすくなり、動脈硬化が進行します。

動脈硬化は血管の老化現象ともいえますが、高血圧があるとこの進行が加速してしまうのです。

脳や心臓の病気につながる可能性

血圧が高い状態が続くと、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気のリスクが大きく上昇します。

アメリカ疾病予防管理センターによれば、高血圧は心臓病と脳卒中という2つの主要な死因のリスクを高める要因となっています。

高血圧に関連する脳や心臓の病気

病気名発症のメカニズム主な症状・影響
脳出血血管が傷つき破れる突然発症、後遺症のリスク
脳梗塞血管が硬化し血栓形成突然発症、後遺症のリスク
心筋梗塞動脈硬化の進行、冠動脈が狭窄・閉塞心筋壊死、生命の危険
心不全心臓への長期的な負担息切れ、むくみ
認知症中年期の高血圧が影響軽度認知障害のリスク

脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こります。

高血圧によって血管が傷つき、もろくなると、脳の血管が破れて脳出血を起こす可能性が高まります。

また、硬くなった血管に血栓ができやすくなり、脳梗塞を引き起こすこともあります。

脳卒中は突然発症し、後遺症が残ることも多い深刻な病気です。

心筋梗塞は、心臓に血液を送る冠動脈が詰まることで起こります。

高血圧によって動脈硬化が進むと、冠動脈が狭くなったり詰まったりしやすくなります。

心臓への血流が途絶えると、心臓の筋肉が壊死してしまい、生命の危険につながります。

世界保健機関の情報によれば、高血圧によって血管が損傷し、心臓への血流が減少すると、胸の痛み、心臓発作、心不全などを引き起こす可能性があります。

また、心臓が長期間にわたって過度な負担を受け続けると、心不全という状態に陥ることもあります。

心不全では、心臓が十分に血液を送り出せなくなり、息切れやむくみなどの症状が現れます。

さらに、特に中年期の高血圧は、将来の軽度認知障害や認知症のリスクと関連があることが報告されています。

ただし、降圧治療がこれらのリスクをどこまで減らせるかは、まだ十分に明らかになっていません。

ホノルル・アジア老化研究(HAAS)研究では、未治療の高拡張期血圧または高収縮期血圧(SBP)の人は認知症リスクが3~4倍高くなることが示されました。

引用:Oxford Academic Blood pressure and the brain: the conundrum of hypertension and dementia

腎臓や目にも影響が出ることがある

血圧が高いことの影響は、心臓や脳だけにとどまりません。

腎臓や目といった臓器にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

腎臓は、血液をろ過して老廃物を尿として排出する重要な臓器です。

高血圧による腎臓への影響

項目内容
影響を受ける理由腎臓には細い血管が多く、高い圧力により損傷を受けやすい
主なメカニズム高血圧が血管を収縮・狭窄させ、機能低下を招く
起こりうる変化老廃物を十分に排出できず、さらに血圧上昇する悪循環
主な疾患高血圧性腎障害、腎不全(米国では糖尿病に次ぐ原因)

腎臓には非常に細い血管が数多く集まっており、高い圧力の影響を受けやすい場所です。

アメリカ国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所によれば、高血圧は腎臓の血管を収縮させ、狭くし、最終的には損傷させたり弱くしたりする可能性があります。

血圧が高い状態が続くと、腎臓の血管が傷つき、腎臓の機能が徐々に低下していきます。

腎臓の機能が低下すると、老廃物を十分に排出できなくなり、さらに血圧が上がるという悪循環に陥ります。

アメリカでは、高血圧は糖尿病に次いで腎不全の第2の原因となっています。

目への影響も見逃せません。

目の網膜には非常に細い血管が網の目のように張り巡らされており、高血圧によってこれらの血管が損傷を受けることがあります。

高血圧による目への影響

項目内容
影響を受ける部位網膜(細い血管が多数存在)
主な変化血管の損傷・出血・むくみ
疾患名高血圧性網膜症
初期症状自覚症状が少ない/かすみ目
進行時の症状視力低下・失明の可能性

高血圧が非常に高い状態が続いたり、適切に管理されない場合、視力の低下や、まれに失明につながる可能性があります。

高血圧性網膜症と呼ばれる状態では、網膜の血管が出血したり、網膜にむくみが生じたりします。

初期には自覚症状がないことも多いのですが、進行すると視力の低下やかすみ目といった症状が現れることがあります。

眼科の検査で網膜の状態を確認することで、高血圧の影響を早期に発見できる場合もあります。

このように、血圧が高い状態は全身のさまざまな臓器に影響を及ぼします。

しかし、適切な対応によってこれらのリスクを減らすことができます。

定期的な健康診断で血圧をチェックし、必要に応じて生活習慣の改善や治療を行うことが大切です。

なぜ血圧が高くなるの?原因とメカニズム

血圧が高くなる理由は人によってさまざまですが、大きく分けると「原因がはっきりしないタイプ」と「何か別の病気が原因で起こるタイプ」の2つに分類されます。

実は、高血圧の人の約9割は原因がはっきりしないタイプに当てはまります。

血圧が上がるメカニズムは複雑で、遺伝的な体質、食生活、生活習慣、加齢など、さまざまな要因が絡み合っています。

日本人の場合、特に食塩の摂り過ぎが血圧上昇の大きな原因となっていることがわかっています。

また、肥満や運動不足、飲酒、ストレスなども血圧を上げる要因です。

ここでは、血圧が高くなる原因とそのメカニズムについて、わかりやすく解説していきます。

自分の血圧がなぜ高いのかを理解することが、効果的な対策を立てる第一歩となります。

原因がはっきりしないタイプの高血圧が最も多い

高血圧の約90〜95%は「本態性高血圧」または「一次性高血圧」と呼ばれるタイプです。

これは、特定の病気が原因ではなく、複数の要因が組み合わさって起こる高血圧を指します。

本態性高血圧は、遺伝的要因と環境的要因の複雑な相互作用によって生じると考えられています。

本態性高血圧では、明確な原因を1つに特定することは難しいのですが、いくつかの要因が重なることで血圧が上がりやすくなることがわかっています。

主な要因として、遺伝的な体質、食塩の過剰摂取、肥満、運動不足、飲酒、加齢、ストレスなどが挙げられます。

本態性高血圧の主な要因
  • 遺伝的な体質:家族内で高血圧が多いと発症リスクが高まる
  • 食塩の摂り過ぎ:ナトリウムが水分を保持し、血液量を増やして血圧を上げる
  • 肥満:心臓が多くの血液を送る必要が生じ、血圧が上がりやすくなる
  • 運動不足:エネルギー消費の低下や血管機能低下につながる
  • 飲酒:アルコールの過剰摂取が血圧上昇を招く
  • 加齢:血管の弾力低下により血圧が上がりやすくなる
  • ストレス:自律神経やホルモンの乱れが血圧上昇を引き起こす

日本の厚生労働省の情報によれば、日本人の高血圧の最大の原因は食塩の摂り過ぎです。

食塩に含まれるナトリウムは、体内に水分を溜め込む働きがあります。

体内の水分が増えると、血液の量も増え、血管にかかる圧力が高くなります。

これが血圧上昇のメカニズムの1つです。

また、肥満も重要な要因です。

特に若年から中年の男性では、内臓脂肪が蓄積する内臓肥満が原因の高血圧が増えています。

体重が増えると、心臓はより多くの血液を全身に送らなければならず、血圧が上がりやすくなります。

遺伝的な体質も血圧に影響します。

両親や兄弟姉妹に高血圧の人がいる場合、自分も高血圧になりやすい傾向があります。

アメリカ心臓協会によれば、家族内で遺伝子、行動、生活習慣、環境が共有されることで、高血圧のリスクが高まる可能性があります。

ただし、遺伝的な体質があったとしても、生活習慣に気をつけることで高血圧を予防したり、進行を遅らせたりすることは十分に可能です。

本態性高血圧発症のメカニズム

メカニズム詳細
交感神経系の過剰な活性化ストレスや肥満などで血管収縮・心拍数上昇が起こる
血圧調整システムの異常血管収縮やナトリウム保持を引き起こし、血圧上昇につながる
腎臓でのナトリウム排泄機能の低下体内の水分が増え、血圧が高くなる

本態性高血圧の発症には、交感神経系の過剰な活性化や、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系と呼ばれる血圧調整システムの異常、腎臓でのナトリウム排泄機能の低下なども関わっていると考えられています。

これらのメカニズムは医学的には複雑ですが、簡単に言えば、身体の血圧調整システムがうまく働かなくなっている状態だといえます。

病気が原因で血圧が上がるケースもある

高血圧の5〜10%は「二次性高血圧」と呼ばれ、何か別の病気や薬が原因で血圧が上がっているタイプです。

二次性高血圧には特定可能な原因があり、その原因を治療することで血圧が改善する可能性があります。

二次性高血圧の主な原因

原因の種類代表的な疾患・要因特徴
腎臓の病気慢性腎臓病、腎動脈狭窄症、多発性嚢胞腎など腎臓の機能低下により血圧調整がうまくいかなくなる
ホルモン異常原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症・低下症副腎や甲状腺のホルモン分泌異常により血圧が上昇
睡眠障害睡眠時無呼吸症候群睡眠中の酸素不足が交感神経を刺激して血圧上昇を招く
薬剤・物質経口避妊薬、一部の風邪薬、ステロイド薬、違法薬物など薬の作用によって血管収縮や水分貯留が起こる

二次性高血圧の最も多い原因は腎臓の病気です。

腎臓は血圧の調整に重要な役割を果たしているため、腎臓に問題があると血圧が上がりやすくなります。

慢性腎臓病、腎動脈狭窄症、多発性嚢胞腎などが二次性高血圧の原因となることがあります。

腎臓の血管が損傷すると、腎臓が適切に機能しなくなり、体内の余分な水分や老廃物を排出できなくなります。

その結果、血液中の水分が増えて血圧がさらに上昇し、悪循環に陥ることがあります。

ホルモンの異常も二次性高血圧の原因となります。

副腎という臓器から過剰にホルモンが分泌される病気(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫など)や、甲状腺の病気(甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症)などが血圧を上げる可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群も二次性高血圧の原因の1つです。

睡眠中に呼吸が止まることで、身体が酸素不足の状態になり、これが血圧上昇につながります。

また、特定の薬(経口避妊薬、一部の風邪薬、ステロイド薬など)や違法薬物も血圧を上げる原因となることがあります。

二次性高血圧が疑われる特徴
  • 若い年齢(30歳未満)で高血圧が始まる
  • これまで安定していた血圧が突然上昇する
  • 通常の降圧薬が効きにくい
  • 家族に高血圧の既往がないのに高血圧になる

二次性高血圧の特徴として、若い年齢(30歳未満)で高血圧が始まったり、これまで安定していた血圧が突然高くなったり、通常の降圧薬があまり効かなかったりすることが挙げられます。

このような場合は、原因となる病気がないか詳しく調べることが重要です。

二次性高血圧は、原因となっている病気を適切に治療することで、血圧が正常に戻ったり、降圧薬の必要性が減ったりする可能性があります。

二次性高血圧の病因と病態生理学の特定は、特定の患者群にとって不可欠です。適切な治療に導くだけでなく、高血圧を完全に治癒し、降圧療法を必要としない結果につながることもあります。

引用:National Center for Biotechnology Information Secondary Hypertension

そのため、特に若い年齢で血圧が高い場合や、治療してもなかなか血圧が下がらない場合は、医師に相談して原因を調べることが大切です。

血圧140以上は注意が必要な理由

血圧の値は、上の数字(収縮期血圧)と下の数字(拡張期血圧)で表されます。

一般的に、診察室での血圧が140/90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。

日本高血圧学会のガイドラインでも、収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上を高血圧の基準としています。

では、なぜ140という数字が重要なのでしょうか。

これは、この数値を超えると心臓や血管、脳、腎臓などへのリスクが明らかに高まることが、多くの研究によって示されているからです。

アメリカ心臓協会とアメリカ心臓病学会のガイドラインでは、血圧を以下のように分類しています。

アメリカ心臓協会(AHA)・アメリカ心臓病学会(ACC)の血圧分類

分類収縮期血圧(mmHg)拡張期血圧(mmHg)
正常血圧120未満80未満
血圧高値120〜12980未満
ステージ1高血圧130〜13980〜89
ステージ2高血圧140以上90以上

血圧が140/90mmHg以上になると、血管や心臓への負担が大きくなり、動脈硬化が進みやすくなります。

多くのガイドラインでは、持続的に140/90mmHg以上の血圧がある場合、一般的に130/80mmHg以下を治療目標として推奨しています(年齢や合併症などにより目標値は個別に設定されます)。

ただし、血圧140/90mmHg未満であれば安心というわけではありません。

血圧は正常範囲内でも、高めの値が続くと将来的に高血圧になるリスクが高まります。

また、糖尿病や腎臓病などの持病がある人では、より厳しい血圧管理が必要とされることもあります。

重要なのは、血圧は一度測っただけでは正確に評価できないということです。

正確な血圧評価のポイント
  • 診察では複数回の測定を行い、平均値で判断する。
  • 家庭血圧測定も推奨される。

血圧は1日の中でも変動しますし、緊張や運動によっても変わります。

そのため、高血圧の診断は、複数回の測定を行い、その平均値をもとに判断されます。

家庭での血圧測定も非常に有用です。

家庭血圧の場合、診察室での血圧よりも低い基準(135/85mmHg以上)で高血圧と判断されます。

診察室と家庭血圧の比較

測定場所高血圧の基準値
診察室140/90mmHg以上
家庭135/85mmHg以上

診察室では緊張して血圧が上がる「白衣高血圧」という現象もあるため、家庭での測定値の方がより正確な血圧を反映していることもあります。

血圧が180/120mmHg以上になると、高血圧クリーゼという緊急事態の可能性があります。

この場合、特に胸の痛みや息切れ、視力の変化、激しい頭痛などの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。

血圧が高い時にはどんな症状が出る?

高血圧の厄介なところは、ほとんどの場合、自覚症状がないという点です。

痛みやはっきりとした不調を感じないため、血圧が高い状態が続いていても気づかず、健康診断で初めて指摘されることが多いのです。

このため、高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれています。

しかし、血圧が非常に高くなった場合や、急激に上昇した場合には、何らかの症状が現れることがあります。

また、高血圧が長期間続いて臓器に障害が起きた場合にも、その影響による症状が出てくることがあります。

ここでは、血圧が高い時にどのような症状が出る可能性があるのか、そしてどんな時に注意が必要なのかを解説します。

実は症状を感じにくいのが高血圧の怖いところ

高血圧の最も大きな特徴は、症状がほとんどないということです。

アメリカ心臓協会によれば、高血圧のある人のほとんどは、深刻な健康問題を引き起こすまで症状を感じることはありません

これが高血圧を「サイレントキラー」と呼ぶ理由です。

血圧が少し高い程度(軽度から中等度の高血圧)では、ほぼ確実に症状はありません。

そのため、自分では何も感じていなくても、血管や臓器はダメージを受け続けている可能性があります。

これは、例えば虫歯に似ています。

初期の虫歯は痛みを感じませんが、放置すると徐々に進行し、やがて激しい痛みや歯を失うことにつながります。

高血圧も同じように、症状がないからといって放置すると、心臓発作や脳卒中といった深刻な事態を招く可能性があります。

臨床研究によれば、軽度(140〜159/90〜99mmHg)から中等度(160〜179/100〜109mmHg)の慢性的な高血圧では、頭痛を引き起こすことはないとされています。

研究対象としたステージ1-2の高血圧患者群において、頭痛は一般的に血圧上昇と直接関連していなかった。

引用:PubMed Headache in patients with mild to moderate hypertension is generally not associated with simultaneous blood pressure elevation

高血圧があっても頭痛がない、または頭痛があっても高血圧とは関係ないことが多いのです。

このため、高血圧の早期発見には定期的な血圧測定が不可欠です。

アメリカ疾病予防管理センターによれば、高血圧のあるアメリカ成人の約5人に1人は、自分が高血圧であることを知らず、報告していません。

日本でも同様の状況があると考えられます。

症状がないからといって高血圧を軽視してはいけません。

症状が出る頃には、すでに臓器に重大な障害が起きている可能性があるからです。

少なくとも年に1回は血圧を測定し、自分の血圧の状態を把握しておくことが重要です。

こんな症状があったら要注意

血圧が非常に高くなった場合(特に180/120mmHg以上)には、症状が現れることがあります。

このような状態は高血圧緊急症または高血圧クリーゼと呼ばれ、すぐに医療機関を受診する必要があります。

高血圧が急激に上昇した場合、頭痛が起こる可能性があります。

高血圧による頭痛は、通常、頭の両側に現れ、拍動するような痛みが特徴です。

ただし、頭痛があるからといって必ずしも高血圧が原因とは限らないため、血圧を測定して確認することが大切です。

アメリカ心臓協会の情報によれば、血圧が180/120mmHg以上に急上昇した場合、頭痛とともに以下のような症状が現れることがあります。

血圧180/120mmHg以上で現れる可能性のある症状
  • 胸の痛みや圧迫感(心臓への血流が妨げられているサインの可能性)
  • 息切れ(心臓や肺に問題が生じている可能性)
  • 視力の変化(ぼやけ、二重視、一時的な視力喪失)
  • めまいやふらつき
  • 吐き気や嘔吐

血圧が180/120mmHg以上で、これらの症状のいずれかがある場合は、すぐに救急車を呼ぶべきです。

これは高血圧緊急症という危険な状態であり、臓器に障害が起きている可能性があります。

一方、血圧が180/120mmHg以上でも症状がない場合は、5分程度安静にしてから再度測定します(アメリカ心臓協会では1分後の再測定を推奨)。

それでも高い場合は、当日中に医療機関を受診することが推奨されます。

また、高血圧が長期間続いて臓器に障害が起きた場合、その影響による症状が現れることもあります。

例えば、慢性的な頭痛、鼻血、めまい、息切れ、胸の痛みなどです。

ただし、これらの症状は高血圧以外の原因でも起こるため、症状だけで高血圧を判断することはできません。

日本の高血圧診療ガイドラインによれば、血圧が180/120mmHg以上の場合、脳、心臓、腎臓、大血管などの臓器に急性の障害が生じる可能性があります。

血圧180/120mmHg以上で起こる可能性のある臓器障害
  • 高血圧性脳症
  • 脳血管障害
  • 冠動脈疾患
  • 急性心不全
  • 大動脈解離
  • 急性腎障害

重要なのは、症状が出るのを待つのではなく、定期的に血圧を測定して、早期に高血圧を発見し対処することです。

症状がなくても、血圧が高ければ身体はダメージを受けています。

逆に、頭痛やめまいがあっても、それが必ずしも高血圧のせいとは限りません。

自己判断せず、定期的な健康診断や血圧測定、そして気になる症状がある場合は医師に相談することが大切です。

よくある質問

血圧が高くても症状がない場合、治療は必要ですか?

はい、症状がなくても治療や対策は必要です。

高血圧は症状がほとんどないまま、心臓や血管、腎臓などにダメージを与え続けます。

症状が出る頃には、すでに重大な合併症が起きている可能性もあります。

医師の指示に従って、生活習慣の改善や必要に応じた薬物療法を行うことで、将来的な心臓病や脳卒中のリスクを大きく減らすことができます。

一度血圧が高いと診断されたら、一生薬を飲み続けないといけませんか?

必ずしもそうとは限りません。

生活習慣の改善(減塩、減量、運動、節酒など)によって血圧が下がり、医師の管理のもとで減薬や中止ができることもあります。

ただし、多くの場合は長期的な薬物療法が必要です。

薬を自己判断で中断すると血圧が再び上昇するリスクがあるため、必ず医師と相談しながら治療方針を決めることが大切です。

家族に高血圧の人がいると、自分も必ず高血圧になりますか?

遺伝的な要因は高血圧のリスクを高めますが、必ず高血圧になるわけではありません。

生活習慣(食事、運動、体重管理、飲酒、喫煙など)を改善することで、遺伝的なリスクがあっても高血圧を予防したり、発症を遅らせたりすることが可能です。

定期的な血圧測定と健康的な生活習慣の維持が重要です。

血圧は1日の中でどのくらい変動しますか?

血圧は1日の中でかなり変動します。

一般的に、朝起きた時から日中にかけて上昇し、夜間は低下します。

また、運動、食事、ストレス、緊張などによっても変動します。

そのため、1回の測定だけで高血圧かどうかを判断することはできません。

複数回、異なる時間帯に測定し、平均的な血圧の傾向を把握することが大切です。

若い人でも高血圧になることはありますか?

はい、若い人でも高血圧になることがあります。

最近では、肥満や不健康な食生活、運動不足などから、若年層でも高血圧が増えています。

特に30歳未満で高血圧が見つかった場合は、二次性高血圧(何か別の病気が原因の高血圧)の可能性もあるため、詳しい検査を受けることが推奨されます。

年齢に関係なく、定期的な血圧チェックが重要です。

まとめ

血圧が高い状態は、自覚症状がほとんどないまま、心臓、血管、脳、腎臓、目などの重要な臓器に深刻な影響を与える可能性があります。

日本では高血圧有病者が成人の約3人に1人おり、特に中高年以降で割合が高く、決して他人事ではありません。

血圧が高くなる原因の約9割は、特定の病気によるものではなく、遺伝的体質、食塩の過剰摂取、肥満、運動不足、飲酒、加齢、ストレスなど、複数の要因が組み合わさって起こる本態性高血圧です。

日本人の場合、特に食塩の摂り過ぎが大きな原因となっています。

血圧が140/90mmHg以上の場合は高血圧と診断され、心臓病や脳卒中などのリスクが高まります。

血圧が180/120mmHg以上になると、頭痛、胸の痛み、息切れ、視力の変化などの症状が現れることがあり、すぐに医療機関を受診する必要があります。

高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれるように、症状がないまま進行します。

そのため、定期的な血圧測定が非常に重要です。

少なくとも年に1回は健康診断で血圧をチェックし、家庭用の血圧計を使って日常的に測定することもおすすめです。

血圧が高めと指摘された場合は、生活習慣の改善(減塩、適正体重の維持、定期的な運動、節酒、禁煙、ストレス管理など)を始めましょう。

必要に応じて医師の指導のもと薬物療法を行うことで、将来的な深刻な合併症のリスクを大きく減らすことができます。

血圧のコントロールは、健康で長生きするために欠かせません。

自分の血圧を知り、適切に管理することで、心臓病や脳卒中といった深刻な病気を予防しましょう。

参考文献・参考サイト

特定非営利活動法人 日本高血圧学会「一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子

Centers for Disease Control and Prevention About High Blood Pressure

National Center for Biotechnology Information Hypertensive Heart Disease 

World Health Organization Hypertension

Oxford Academic Blood pressure and the brain: the conundrum of hypertension and dementia

National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases High Blood Pressure & Kidney Disease

Centers for Disease Control and Prevention Chronic Kidney Disease Basics

National Center for Biotechnology Information Hypertensive Retinopathy

厚生労働省 e-ヘルスネット 高血圧

American Heart Association Know Your Risk Factors for High Blood Pressure

National Center for Biotechnology Information Essential Hypertension

National Center for Biotechnology Information Secondary Hypertension

特定非営利活動法人 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019

American College of Cardiology 2017 Guideline for High Blood Pressure in Adults

American Heart Association What is High Blood Pressure?

Mayo Clinic High blood pressure (hypertension)

PubMed Headache in patients with mild to moderate hypertension is generally not associated with simultaneous blood pressure elevation 

Centers for Disease Control and Prevention High Blood Pressure Facts

American Heart Association What Are the Symptoms of High Blood Pressure?

American Heart Association When to Call 911 for High Blood Pressure

The Lancet Pharmacological blood pressure lowering for primary and secondary prevention of cardiovascular disease across different levels of blood pressure: an individual participant-level data meta-analysis

JAMA Network Effect of Antihypertensive Medication Reduction vs Usual Care on Short-term Blood Pressure Control in Patients With Hypertension Aged 80 Years and Older: The OPTIMISE Randomized Clinical Trial

American Heart Association Journals Comparison Between Home and Ambulatory Morning Blood Pressure and Morning Hypertension in Their Reproducibility and Associations With Vascular Injury

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