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高血圧の薬の種類と特徴を解説!効果・副作用・選び方について

高血圧の薬の種類と特徴を解説!効果・副作用・選び方について

高血圧と診断されて「薬を飲みましょう」と言われたとき、多くの方が「どんな薬なのだろう」「副作用は大丈夫だろうか」「一生飲み続けなければいけないのか」と不安を感じられることでしょう。

高血圧の薬は、心筋梗塞や脳卒中といった重大な病気を予防するための大切な治療手段です。

高血圧の治療には複数の薬があり、それぞれ血圧を下げる仕組みが異なります。

高血圧の薬の種類と特徴
  • カルシウム拮抗薬:血管を広げて血圧を下げる
  •  ARB・ACE阻害薬:血圧を上げるホルモンを抑制する
  • 利尿薬:余分な塩分と水分を尿として排出する
  • β遮断薬:心拍数を減らして心臓の負担を軽減する
  • 患者の70%以上は複数の薬を組み合わせて使用
  • カルシウム拮抗薬はグレープフルーツと併用禁止
  • ARBとACE阻害薬の同時使用は避けるべき

医師は患者さんの年齢、体質、合併症の有無などを総合的に判断して、最適な薬を選択しています。

この記事では、高血圧の薬について、一般の方にもわかりやすく解説します。

薬の種類や効果、副作用、日常生活で気をつけるべきことまで、正しい知識を身につけて、安心して治療に取り組めるようサポートします。

この記事でわかること
  • 高血圧の薬にはどんな種類があるのか
  • それぞれの薬がどのように血圧を下げるのか
  • 年齢や体質によってどう使い分けられるのか
  • 主な副作用とその対処法
  • 飲み忘れたときの対応や生活習慣との関係
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

高血圧の薬は主に6種類!それぞれの特徴について

高血圧の治療に使われる薬は、血圧を下げる仕組みの違いによって複数のグループに分けられます。

主要な降圧薬としては、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬の5つのクラスがあり、その他にα遮断薬や中枢性交感神経抑制薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬などが使用されます。

それぞれの薬は体の異なる部分に働きかけることで血圧を調整します。

多くの患者さんには、まずカルシウム拮抗薬、ARB(またはACE阻害薬)、サイアザイド系/類似利尿薬といった薬が処方される可能性があります。

これらは効果が確認されており、比較的副作用が少ないとされているためです。

また、適応がある場合にはβ遮断薬が選択されることもあります。

ただし、心臓や腎臓に持病がある場合、糖尿病を合併している場合など、患者さんの状態によって最適な薬は変わってきます。

また、1種類の薬だけでは十分に血圧が下がらない場合には、複数の薬を組み合わせることもあります。

カルシウム拮抗薬は血管を広げて血圧を下げる最も多く使われる薬

カルシウム拮抗薬は、日本で最も多く使用されている高血圧の薬のひとつです。

この薬は、血管の壁にある筋肉の細胞にカルシウムが入り込むのを防ぐことで、血管を広げて血圧を下げる働きがあります。

血管が広がると血液が流れやすくなり、心臓が血液を送り出すときの負担が軽くなります。

カルシウム拮抗薬の代表的な薬
  • アムロジピン(商品名:アムロジン、ノルバスク)
  • ニフェジピン(商品名:アダラート)

多くの場合、1日1回の服用で24時間効果が持続します。

カルシウム拮抗薬は高齢の方にも比較的安全に使える薬とされており、心臓や腎臓への血流を保つ効果も期待できます。

ただし、人によっては顔のほてりや足のむくみ、頭痛といった副作用が現れることがあります。

これらの症状が気になる場合は、医師に相談することで薬の種類や量を調整できる可能性があります。

ARB・ACE阻害薬は血圧を上げるホルモンをブロックして心臓や腎臓も守る

ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)とACE阻害薬は、体内で血圧を上げる働きをするアンジオテンシンⅡというホルモンに関係する薬です。

私たちの体には、血圧が下がったときに元に戻そうとする仕組みがあります。

その中心となるのがアンジオテンシンⅡというホルモンで、血管を収縮させて血圧を上げる働きをしています。

ACE阻害薬はこのホルモンが作られるのを防ぎ、ARBはホルモンが血管に作用するのを邪魔することで、血管を広げて血圧を下げます。

これらの薬には血圧を下げるだけでなく、心臓や腎臓を保護する効果も期待できるとされています。

特に糖尿病や慢性腎臓病を持つ方では、これらの薬が優先的に選ばれることがあります。

ARB・ACE阻害薬の代表的な薬

ARB阻害薬

  • バルサルタン(商品名:ディオバン)
  • カンデサルタン(商品名:ブロプレス)

ACE阻害薬

  • エナラプリル(商品名:レニベース)など

副作用としては、高カリウム血症(血液中のカリウムが高くなる)が起こる可能性があるため、定期的な血液検査が必要です。

また、ACE阻害薬では空咳が出ることがあり、その場合はARBに変更されることがあります。

利尿薬は体内の余分な塩分と水分を排出して血圧を下げる

利尿薬は腎臓に働きかけて、体内の余分な塩分と水分を尿として排出させることで血圧を下げる薬です。

体の中の水分量が減ることで、血管を流れる血液の量が減り、血圧が下がります。

高血圧の治療では、サイアザイド系利尿薬やサイアザイド類似利尿薬と呼ばれるタイプが主に使われます。

利尿薬の代表的な薬
  • ヒドロクロロチアジド
  • トリクロルメチアジド

利尿薬は古くから使われている薬で、他の降圧薬と組み合わせることでより効果的に血圧を下げられることが知られています。

特に高齢の方や塩分摂取が多い方では効果が期待できる可能性があります。

ただし、利尿薬には注意すべき副作用もあります。

尿の回数が増えるため、外出時や就寝前の服用タイミングに配慮が必要です。

また、カリウムやマグネシウムなどのミネラルも一緒に排出されてしまうことがあり、脱力感や筋肉のけいれんといった症状が現れる場合があります。

定期的な血液検査でミネラルバランスをチェックすることが大切です。

β遮断薬は心臓の拍動を穏やかにして血圧をコントロールする

β遮断薬は、心臓の拍動を遅くして、1回の拍動で送り出す血液の量を減らすことで血圧を下げる薬です。

私たちの体には交感神経という神経があり、緊張したり運動したりすると心臓の動きを速くしたり強くしたりします。

β遮断薬はこの神経の働きを抑えることで、心臓をゆっくり休ませながら血圧を下げます。

β遮断薬の代表的な薬
  • アテノロール
  • ビソプロロール
  • カルベジロール

β遮断薬は高血圧だけでなく、心不全や狭心症、不整脈の治療にも使われることがあります。

また、心筋梗塞を経験した方では、再発予防のために処方されることもあります。

ただし、β遮断薬は高血圧の第一選択薬として単独で使われることは少なく、心不全や狭心症などの適応がある場合に選択されたり、他の薬と組み合わせて使用されることが多い薬です。

副作用として、脈が遅くなりすぎたり、疲労感、手足の冷感などが現れることがあります。

喘息の持病がある方では原則として使用を避けますが、β1選択的薬は強い心血管適応がある場合に慎重投与されることもあります。

重度徐脈や房室ブロックがある方には使えないため、医師による慎重な判断が必要です。

その他の降圧薬|特定の症状や難治性の高血圧に使われる薬

上記の主要な薬以外にも、特定の状況で使われる高血圧治療薬があります。

α遮断薬は血管を広げることで血圧を下げる薬で、前立腺肥大症を合併している男性患者さんに処方されることがあります。

中枢性交感神経抑制薬は脳に作用して血圧を下げる薬ですが、眠気やめまいなどの副作用があるため、他の薬で効果が不十分な場合に検討されます。

また、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(アルドステロン拮抗薬)は、体内の塩分と水分のバランスを調整するホルモンの働きを抑える薬で、治療抵抗性高血圧(複数の薬を使っても血圧が下がりにくい状態)の治療に用いられることがあります。

これらの薬はそれぞれ特徴があり、患者さんの状態に応じて医師が選択します。

年齢・体質・合併症で変わる!あなたに最適な薬の選び方

高血圧の薬は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて慎重に選ばれます。

同じ高血圧でも、年齢、性別、合併症の有無、他に飲んでいる薬など、さまざまな要素によって最適な薬は変わってきます。

医師は患者さんの全体像を把握したうえで、最も効果的で副作用の少ない薬を選択しています。

血圧を下げることだけが目的ではなく、将来的な心筋梗塞や脳卒中といった重大な病気を予防することが治療の大きな目標です。

そのため、単に血圧の数値を下げるだけでなく、心臓や腎臓、脳などの臓器を守ることも考慮に入れて薬が選ばれます。

若年層・中年層・高齢者による薬の選び方

年齢による薬の使い分けには地域差があります。

英国のガイドラインでは55歳未満の患者さんにはARBやACE阻害薬を、55歳以上の患者さんにはカルシウム拮抗薬を推奨するなど、年齢を基準とした選択が示されています。

一方、米国や日本では年齢で機械的に分けるのではなく、個々の患者さんの合併症や体質を総合的に判断して、主要な降圧薬クラスから最適なものを選択することが重視されています。

若い世代では将来の妊娠の可能性も考慮する必要があり、妊娠中に使用できない薬もあるため、女性の場合は特に慎重な選択が求められます。

高齢者では複数の病気を抱えていることも多く、他の薬との飲み合わせや副作用のリスクも慎重に評価されます。

また、高齢者では急激な血圧低下によるふらつきや転倒のリスクにも注意が必要です。

そのため、薬は少量から開始して、様子を見ながら徐々に調整していくことが一般的です。

人種や体質によっても薬の効きやすさが異なることが知られています。

たとえば、一部の研究では特定の降圧薬が人種によって効果に差がある可能性が報告されていますが、個人差も大きいため、実際の治療では患者さん個々の反応を見ながら最適な薬を見つけていくことになります。

糖尿病・腎臓病・心臓病がある方の薬の選び方

高血圧以外に病気を抱えている場合、その病気に応じて薬が選ばれます。

糖尿病を合併している方では、ARBやACE阻害薬が優先的に選択されることが多くあります。

これらの薬は腎臓を保護する作用があるとされ、糖尿病性腎症の進行を遅らせる効果が期待できる可能性があるためです。

合併症に応じた薬の選び方

合併症・併存疾患主に選ばれる薬理由・注意点
糖尿病ARB、ACE阻害薬腎臓を守り、腎症の進行を抑える
慢性腎臓病ARB、ACE阻害薬腎保護作用あり。腎機能低下時は注意
心不全β遮断薬、ARB、ACE阻害薬心臓の負担を軽くする
狭心症・心筋梗塞の既往β遮断薬、カルシウム拮抗薬心臓の働きを助ける
前立腺肥大症(男性)α遮断薬血圧を下げ、排尿を改善

慢性腎臓病の患者さんでも、同様にARBやACE阻害薬が推奨されることがあります。

ただし、腎機能が著しく低下している場合は、これらの薬によって腎機能がさらに悪化するリスクもあるため、定期的な血液検査による慎重な管理が必要です。

心不全の患者さんでは、β遮断薬とARB(またはACE阻害薬)を組み合わせた治療が基本となることがあります。

これらの薬は心臓の負担を軽減し、心不全の進行を遅らせる効果が期待できるとされています。

狭心症や心筋梗塞の既往がある方では、β遮断薬やカルシウム拮抗薬が選ばれることがあります。

これらの薬は心臓への酸素供給を改善したり、心臓の仕事量を減らしたりする効果が期待できる可能性があります。

前立腺肥大症のある男性患者さんでは、α遮断薬が選択肢となることがあります。

この薬は血圧を下げると同時に、排尿障害の改善にも役立つ可能性があります。

複数の薬を組み合わせる理由と方法

多くの高血圧患者さんでは、1種類の薬だけでは目標とする血圧に到達できないことがあります。

研究によれば、高血圧治療を受けている成人の70%以上が、最終的に2種類以上の薬を必要とするとされています。

原発性高血圧症の治療を受ける成人の 70 % 以上は、最終的には少なくとも 2 種類の降圧剤が必要になります。

引用:American Academy of Family Physicians Managing Hypertension Using Combination Therapy

複数の薬を組み合わせることには、いくつかのメリットがあります。

作用の仕組みが異なる薬を併用することで、より効果的に血圧を下げられる可能性があります。

また、それぞれの薬を少量ずつ使用できるため、副作用のリスクを抑えながら治療効果を高められる場合があります。

推奨される組み合わせとしては、次のものがあります。

推奨される組み合わせ
  • ARB(またはACE阻害薬)とカルシウム拮抗薬の組み合わせ
  • ARB(またはACE阻害薬)と利尿薬の組み合わせ

これらの組み合わせは、互いに補完し合う作用によって、単剤よりも優れた降圧効果が期待できるとされています。

一方、避けるべき組み合わせもあります。

ARBとACE阻害薬を同時に使用することは、通常推奨されません。

両薬剤の併用は、ベネフィットの向上とは無関係に、有害事象の増加と関連していた。

引用:The New England Journal of Medicine Telmisartan, Ramipril, or Both in Patients at High Risk for Vascular Events

これらは同じような仕組みで血圧を下げるため、併用しても効果が増強されにくく、副作用のリスクが高まる可能性があるためです。

近年では、2種類または3種類の薬を1つの錠剤にまとめた配合剤も多く使われています。

配合剤を使用することで、飲む薬の数が減り、飲み忘れのリスクが下がる可能性があります。

また、薬代の負担が軽減される場合もあります。

高血圧の薬の副作用と対処法

高血圧の薬は多くの患者さんで安全に使用できますが、どんな薬にも副作用の可能性があります。

副作用の現れ方や程度は人によって異なり、同じ薬を飲んでいても全く副作用を感じない方もいれば、何らかの不快な症状を経験する方もいます。

大切なのは、副作用について正しく理解し、もし気になる症状が現れたときには早めに医師や薬剤師に相談することです。

多くの場合、薬の種類や量を調整することで副作用を軽減できる可能性があります。

副作用を恐れて自己判断で薬を中止してしまうと、血圧が再び上昇して危険な状態になることがあるため、必ず医療者に相談しましょう。

カルシウム拮抗薬のむくみ、利尿薬の頻尿といった薬ごとの主な副作用

カルシウム拮抗薬では、血管が広がることによる副作用が現れることがあります。

顔のほてりや頭痛、動悸といった症状は、血管拡張の作用によるものです。

また、足首のむくみ(浮腫)が起こることもあります。

これは血管が広がって血液が足にたまりやすくなるためで、夕方になると特に目立つことがあります。

むくみは軽減する場合もあれば持続することもあるため、気になる場合は医師に相談しましょう。

カルシウム拮抗薬の主な副作用

主な副作用原因・特徴対応・注意点
顔のほてり・頭痛・動悸血管拡張作用による一時的な血流増加多くは軽度で時間とともに軽減する
足首のむくみ(浮腫)血液が足にたまりやすくなる夕方に目立つことが多い。改善しない場合は医師相談

ARBとACE阻害薬では、血液中のカリウムが高くなる高カリウム血症が起こる可能性があります。

通常は軽度ですが、腎機能が低下している方では注意が必要です。

また、ACE阻害薬では空咳(痰の出ない乾いた咳)が現れることがあり、この場合はARBへの変更が検討されます。

まれに、顔や舌が腫れる血管浮腫という重大な副作用が起こることもあり、このような症状が現れたらすぐに医療機関を受診する必要があります。

ARB・ACE阻害薬の主な副作用

主な副作用原因・特徴対応・注意点
高カリウム血症カリウム排泄の低下腎機能が低下している場合は特に注意
空咳(乾いた咳)ACE阻害薬特有の副作用ARBへの変更が検討される
血管浮腫(顔や舌の腫れ)血管拡張物質の増加重大な副作用。症状が出たらすぐ受診

利尿薬では、尿の回数や量が増えることで脱水症状が起こる可能性があります。

特に夏場や運動時には注意が必要です。

また、カリウム、マグネシウム、ナトリウムといった電解質のバランスが崩れることで、脱力感、筋肉のけいれん、不整脈などが起こることがあります。

定期的な血液検査でこれらのミネラルのバランスをチェックすることが重要です。

利尿薬の主な副作用

主な副作用原因・特徴対応・注意点
脱水症状尿量の増加夏場・運動時に注意。水分補給を忘れずに
脱力感・けいれん・不整脈電解質異常に伴う症状定期的な血液検査でバランス確認が必要

β遮断薬では、心拍数が遅くなりすぎる徐脈が起こることがあります。

また、疲労感や倦怠感、手足の冷感、運動時の息切れなどを感じる方もいます。

喘息の持病がある方では、気管支が収縮して呼吸困難が悪化する恐れがあるため、使用できません。

β遮断薬の主な副作用

主な副作用原因・特徴対応・注意点
徐脈(脈が遅くなる)心拍数抑制作用強いめまいやふらつきがあれば受診
倦怠感・手足の冷感末梢循環の低下軽度なら経過観察、強い場合は相談
息切れ・呼吸困難気管支収縮作用喘息持ちの方は使用禁忌

副作用が現れたら医師に相談しよう!薬の調整で改善できる可能性

副作用らしい症状が現れたとき、まず大切なのは自己判断で薬を中止しないことです。

高血圧の薬を急に中止すると、血圧が急激に上昇して危険な状態(リバウンド現象)になる可能性があります。

軽い副作用の場合は、しばらく様子を見ることで症状が軽減することもあります。

ただし、カルシウム拮抗薬による足首のむくみなど、持続する副作用もあります。

ただし、日常生活に支障が出るほどの症状や、時間が経っても改善しない症状がある場合は、我慢せずに医師に相談しましょう。

副作用への対処法はいくつかあります。

副作用への対処で検討される方法
  • 薬の量を減らすことで副作用が軽減される場合がある
  • 薬の種類を変更することも選択肢のひとつ

たとえば、ACE阻害薬で咳が出る場合はARBに変更する、カルシウム拮抗薬でむくみが強い場合は利尿薬を追加したり別の系統の薬に変更したりすることなどが検討されます。

副作用の記録をつけておくことも役立ちます。

いつから、どのような症状が、どの程度の強さで現れているかを記録しておくと、医師に相談する際に正確な情報を伝えられます。

副作用が心配なときの相談先と緊急時の対応

副作用について不安や疑問があるときは、遠慮せずに医療者に相談しましょう。

まず、処方した医師が最も適切な相談相手です。

定期的な診察の際に、気になる症状や変化について積極的に伝えましょう。

「こんなことで相談していいのだろうか」と遠慮する必要はありません。

小さな変化でも、重要な情報となる場合があります。

薬剤師も頼りになる相談相手です。

薬局で薬を受け取る際に、気軽に質問できます。

薬剤師は薬の専門家として、副作用の詳しい情報や日常生活での注意点などを教えてくれます。

緊急を要する副作用のサインもあります。

呼吸困難、激しい頭痛、胸の痛み、顔や舌の腫れ、意識がもうろうとするなどの症状が現れた場合は、すぐに救急外来を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。

高血圧の薬を飲むときに知っておきたいこと

高血圧の薬を効果的に、そして安全に使用するためには、日常生活でのいくつかのポイントを知っておくことが大切です。

薬の飲み方や生活習慣との関係を理解することで、より良い治療効果が期待できます。

高血圧の治療は長期にわたることが多いため、無理なく続けられる方法を見つけることが重要です。

薬を飲むことを特別なことと考えず、毎日の生活の一部として自然に組み込んでいくことが、治療を継続するコツといえるでしょう。

飲み忘れたときの正しい対処法と予防策

どんなに注意していても、薬を飲み忘れることは誰にでも起こり得ます。

大切なのは、飲み忘れに気づいたときに適切に対応することです。

飲み忘れに気づいたタイミングによって、対応が変わります。

飲み忘れたときの対応方法

状況対応方法注意点
次の服用時間まで十分ある気づいた時点で1回分を服用次の服用時間が近い場合は服用しない
次の服用時間が近い飲み忘れた分は飛ばし、次の決まった時間に1回分のみ服用2回分をまとめて飲まないこと
どちらかわからない場合医師・薬剤師に確認薬によって判断基準が異なるため要相談

次の服用時間までまだ十分な時間がある場合は、気づいた時点で飲むことが一般的です。

ただし、次の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分は飛ばして、次の決まった時間に1回分だけ飲むようにします。

どの程度の時間間隔で判断するかは薬によって異なるため、処方時に医師や薬剤師に確認しておきましょう。

絶対にしてはいけないのは、飲み忘れた分を取り戻そうとして2回分を一度に飲むことです。

これは血圧が下がりすぎて危険な状態になる可能性があります。

飲み忘れを防ぐ工夫もいくつかあります。

飲み忘れを防ぐ工夫
  • 朝食後や歯磨きの後、就寝前など、日常の行動とセットにする
  • 朝の薬はダイニングテーブルに、夜の薬は寝室など目につく場所に置く
  • お薬カレンダーで曜日ごとに整理
  • 服薬支援アプリやスマホのアラームで時間を通知
  • 飲み忘れが多い場合は、1日1回タイプや配合剤への変更を相談

薬を飲む時間を毎日の習慣と結びつける方法があります。

たとえば、朝食後すぐ、歯磨きの後、就寝前など、毎日必ず行う行動と一緒に薬を飲むようにすると忘れにくくなります。

薬の保管場所も工夫できます。

朝飲む薬ならダイニングテーブルの見える場所に、夜飲む薬なら寝室に置くなど、目につく場所に置いておくと飲み忘れが減るかもしれません。

お薬カレンダーや服薬支援アプリなども役立ちます。

曜日ごとに区切られたケースに薬を入れておけば、飲んだかどうかが一目でわかります。

スマートフォンのアプリには、服薬時間にアラームで知らせてくれる機能があるものもあります。

飲み忘れが頻繁に起こる場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。

1日1回タイプの薬に変更したり、配合剤を使って錠数を減らしたりすることで、飲み忘れのリスクを下げられる可能性があります。

血圧が下がっても自己判断で薬をやめてはいけない理由

「血圧が下がったから薬をやめても大丈夫だろう」と考える方がいらっしゃいますが、これは大変危険です。

高血圧の薬は、飲んでいる間だけ血圧を下げる効果があるため、薬をやめると血圧は元の高い状態に戻ってしまう可能性が高いのです。

高血圧の薬は、高血圧の原因そのものを治すわけではありません。

多くの場合、高血圧の背景には遺伝的要因や長年の生活習慣などがあり、これらは簡単には変わりません。

薬は血圧を適切な範囲に保つことで、心筋梗塞や脳卒中といった深刻な合併症を予防しているのです。

薬を急に中止すると、血圧が急激に上昇する「リバウンド現象」が起こることがあります。

特にβ遮断薬などの一部の薬では、急な中止が危険とされています。

血圧が急上昇すると、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる恐れがあります。

HF における β 遮断薬療法の急激な中止は、たとえ明らかな HF のない患者であっても、リバウンド効果や罹患率および死亡率の上昇につながる可能性があるため、避けるべきです。

引用:American Heart Association Journals β-Blockers in Chronic Heart Failure

ただし、「一生薬を飲み続けなければならない」というのは必ずしも正確ではありません。

適切な生活習慣の改善を続けることで、将来的に薬を減らせたり、中止できたりする可能性もあります。

減塩、適度な運動、体重管理などの努力によって血圧が安定的に下がれば、医師の判断のもとで慎重なモニタリングを行いながら薬を減量・中止できることもあります。

ただし、減量・中止後も定期的な血圧測定と医学的管理が必要です。

薬の中止や減量を考える際は、必ず医師と相談してください。

医師は血圧の推移、心臓や腎臓などの状態、その他の危険因子を総合的に判断して、薬の継続や変更について決定します。

自己判断での中止は絶対に避けましょう。

食事と生活習慣の注意点

高血圧の薬を飲んでいるからといって、生活習慣を気にしなくてよいわけではありません。

薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせることで、より効果的に血圧をコントロールできる可能性があります。

食事との関係では、いくつか注意すべき点があります。

薬と食事の組み合わせで注意すべき点

薬の種類注意すべき食品・飲み物理由・注意点
カルシウム拮抗薬グレープフルーツ、スウィーティー、ダイダイ成分が薬の分解を妨げ、薬の作用が強く出る恐れ
利尿薬水分不足脱水に注意。特に夏場や運動時はこまめに補給
ARB・ACE阻害薬カリウムを多く含む食品(バナナ、アボカド、ほうれん草など)高カリウム血症のリスク。医師の指示に従う
共通(全ての降圧薬)塩分のとりすぎ薬を飲んでいても減塩が基本(1日6g未満推奨)

カルシウム拮抗薬を飲んでいる方は、グレープフルーツジュースとの併用を避ける必要があります。

グレープフルーツに含まれる成分が薬の分解を妨げ、薬の効果が強く出すぎて血圧が下がりすぎる恐れがあるためです。

グレープフルーツジュースの影響を受ける薬剤のほとんどについて、「グレープフルーツジュースはより多くの薬剤を血液中に取り込む」とFDAのシュー・メイ・フアン博士は述べています。

引用:U.S. Food and Drug Administration Grapefruit Juice and Some Drugs Don’t Mix

グレープフルーツだけでなく、スウィーティーやダイダイなども同様の作用があるとされています。

一方、オレンジやみかん、レモンなどは問題ありません。

利尿薬を飲んでいる方は、脱水に注意が必要です。

特に夏場や運動時には十分な水分補給を心がけましょう。

ただし、過度な水分摂取も避けるべきです。

減塩は高血圧治療の基本です。

薬を飲んでいても、塩分の取りすぎは血圧を上げる要因となります。

日本高血圧学会のガイドラインでは、1日の塩分摂取量を6g未満にすることが推奨されています。

ARBやACE阻害薬を飲んでいる方は、カリウムを多く含む食品(バナナ、アボカド、ほうれん草など)の過剰摂取に注意が必要な場合があります。

これらの薬は体内のカリウムを増やす作用があるため、食事からも多く摂取すると高カリウム血症になる恐れがあります。

ただし、通常の食事で極端に制限する必要はなく、医師の指示に従いましょう。

生活習慣で意識したいポイント

項目内容注意点
アルコール適量を守る飲みすぎは血圧上昇や副作用を招く恐れ
運動適度な運動を継続医師に相談のうえ、無理のない範囲で実施
食事減塩・栄養バランス重視高カリウム食品・塩分に注意
水分補給適度な水分摂取脱水・過剰摂取のどちらも避ける

アルコールは血圧に影響を与えます。

適量を超えるアルコール摂取は血圧を上昇させる可能性があります。

また、一部の降圧薬はアルコールと相互作用して副作用を強める恐れもあります。

適度な運動は血圧を下げる効果が期待できます。

ただし、運動を始める前に医師に相談し、体調に合わせた運動計画を立てることが大切です。

よくある質問(FAQ)

高血圧の薬は一生飲み続けないといけないの?

必ずしも一生飲み続ける必要があるとは限りません。

適切な生活習慣の改善を続けることで、将来的に薬を減らせたり中止できたりする可能性があります。

減塩、適度な運動、体重管理などの努力を続け、血圧が安定的にコントロールできるようになれば、医師の判断のもとで薬の減量や中止を検討できることもあります。

ただし、薬の中止や減量は必ず医師と相談して決める必要があり、自己判断で薬をやめることは大変危険です。

薬を飲んでも血圧が下がらない場合は?

薬を正しく飲んでいても血圧が十分に下がらない場合は、いくつかの理由が考えられます。

薬の量が不足している、薬の種類が合っていない、複数の薬の組み合わせが必要、または生活習慣の改善が不十分である可能性があります。

また、薬以外の原因で血圧が上がっている(二次性高血圧)可能性もあります。

血圧が下がらない場合は、医師に相談して治療方針を見直すことが重要です。

薬の増量や変更、配合剤の使用などが検討されます。

ジェネリック医薬品でも効果は同じ?

ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品と同じ有効成分を含み、効果や安全性が同等であることが確認されています。

厳しい審査を経て承認されているため、基本的には安心して使用できます。

価格は先発医薬品より安価なため、医療費の負担を軽減できる可能性があります。

ただし、添加物が異なることがあり、まれに体質に合わない場合もあります。

ジェネリック医薬品への変更を希望する場合や、不安がある場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。

飲む時間帯は朝と夜どちらがいい?

薬の種類や個人の生活パターンによって最適な服用時間は異なります。

多くの降圧薬は1日1回の服用で24時間効果が持続するため、朝食後に飲むことが一般的です。

利尿薬は夜に飲むと夜間の尿意で睡眠が妨げられる可能性があるため、朝または昼に飲むことが推奨されます。

大規模な研究では、朝の服用と夜の服用で心血管イベントのリスクに差がないことが示されており、服用時間よりも飲み忘れずに継続することが重要です。

医師の指示に従って、ご自身の生活パターンに合った服用時間を決めることが大切です。

薬を飲むと献血はできない?

高血圧の薬を服用していても、血圧がコントロールされていれば原則として献血が可能です。

日本赤十字社では、降圧薬を服用中でも献血できるとしています。

献血を希望する場合は、献血会場で服用している薬について申告し、当日の健診医による問診と血圧測定を受けてください。

最終的な献血の可否は、体調や血圧の状態によって判断されます。

まとめ

高血圧の治療には主に6種類の薬があり、それぞれ異なる仕組みで血圧を下げます。

カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬などが代表的で、患者さんの年齢、体質、合併症の有無などに応じて最適な薬が選ばれます。

副作用は薬の種類によって異なりますが、多くは軽度で、薬の調整によって改善できる可能性があります。

副作用が気になる場合は、自己判断で薬を中止せず、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

薬の飲み忘れを防ぐ工夫や、食事・生活習慣との関係を理解することも大切です。

特にグレープフルーツとの飲み合わせや、減塩の継続などは重要なポイントです。

高血圧の薬は、心筋梗塞や脳卒中といった重大な合併症を予防するための大切な治療手段です。

薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせることで、より効果的に血圧をコントロールできる可能性があります。

不安や疑問があれば、遠慮せずに医療者に相談しましょう。

定期的な診察と検査を受けながら、医師と二人三脚で治療を進めていくことが、長期的な健康維持につながります。

参考文献・参考サイト

American Heart Association Types of Blood Pressure Medications

PubMed Treatment of Hypertension: A Review

PubMed Central First‐line drugs for hypertension

National Center for Biotechnology Information Calcium Channel Blockers

DailyMed AMLODIPINE BESYLATE tablet

National Center for Biotechnology Information Vasodilators

American Heart Association Journals 2025 AHA/ACC/AANP/AAPA/ABC/ACCP/ACPM/AGS/AMA/ASPC/NMA/PCNA/SGIM Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation and Management of High Blood Pressure in Adults

National Center for Biotechnology Information Thiazide Diuretics

National Center for Biotechnology Information Beta Blockers

National Center for Biotechnology Information Antihypertensive Medications

The Lance tSpironolactone versus placebo, bisoprolol, and doxazosin to determine the optimal treatment for drug-resistant hypertension (PATHWAY-2): a randomised, double-blind, crossover trial 

National Institute for Health and Care Excellence Hypertension in adults: diagnosis and management

Wiley Online Library Highlights of the 2019 Japanese Society of Hypertension Guidelines and perspectives on the management of Asian hypertensive patients – Hoshide – 2020

Diabetes Care 11. Chronic Kidney Disease and Risk Management: Standards of Care in Diabetes—2025

American Academy of Family Physicians Managing Hypertension Using Combination Therapy

The New England Journal of Medicine Telmisartan, Ramipril, or Both in Patients at High Risk for Vascular Events

PubMed Central A Critical Review of Medication Adherence in Hypertension: Barriers and Facilitators Clinicians Should Consider

PubMed Central Calcium Channel Blocker‐Related Peripheral Edema: Can It Be Resolved?

National Health Service How and when to take amlodipine

American Heart Association Journals Medication Adherence and Blood Pressure Control: A Scientific Statement From the American Heart Association

American Heart Association Journals β-Blockers in Chronic Heart Failure 

Cochrane Library Withdrawal of antihypertensive drugs in older people – Reeve, E – 2020 

U.S. Food and Drug Administration Grapefruit Juice and Some Drugs Don’t Mix

Liverpool Heart and Chest Hospital NHS Foundation Trust Diuretics (water tablets)

特定非営利活動法人 日本高血圧学会「一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子

National Health Service How and when to take ramipril

American Heart Association Limiting Alcohol to Manage High Blood Pressure

American Heart Association Getting Active to Control High Blood Pressure

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン

The Lancet Cardiovascular outcomes in adults with hypertension with evening versus morning dosing of usual antihypertensives in the UK (TIME study): a prospective, randomised, open-label, blinded-endpoint clinical trial 

日本赤十字社 よくあるご質問|献血について

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