高血圧にトマトジュースは効果的?飲み方や選び方のポイントを医師が解説

高血圧にトマトジュースは効果的?飲み方や選び方のポイントを医師が解説

高血圧の改善を目指して、日々の食生活を見直している方は少なくありません。

減塩を心がけたり、野菜を多く摂るようにしたりと、さまざまな工夫をされていることでしょう。

その中で、トマトジュースが血圧に良いという話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

実際にスーパーやコンビニでトマトジュースを手に取りながら、本当に効果があるのか、どのように飲めば良いのか疑問に思われている方もいらっしゃるかもしれません。

トマトジュースには、リコピンという赤い色のもとになる成分と、カリウムというミネラルが豊富に含まれています。

リコピンは血管を健康に保つ働きがあり、カリウムは体内の余分な塩分を外に出す役割を担っています。

これらの成分を含むトマトジュースによる血圧低下効果が、日本国内や海外のさまざまな研究で報告されています。

トマトジュースが高血圧に効果が期待できる理由
  • リコピンが血管を広げる物質を増やし血圧上昇を抑える
  • リコピンの抗酸化作用が血管をしなやかに保つ
  • カリウムが余分な塩分を尿として排出し血圧を下げる
  • リコピンは熱処理加工により吸収が良くなると考えられている
  • リコピンは油分と一緒に摂ると吸収されやすい
  • 継続摂取により血管の状態改善が期待できる

日本で行われた大きな調査では、食塩が入っていないトマトジュースを1年間毎日飲み続けた人たちの血圧が、平均で3〜4mmHg下がったという結果が出ています。

また、海外の研究でも同様の効果が報告されており、トマトジュースが血圧を下げる可能性は複数の研究で示されています。

ただし、どんなトマトジュースでも良いわけではありません。

食塩が添加されているものを選んでしまうと、かえって血圧を上げてしまう可能性があります。

また、腎臓に病気がある方など、トマトジュースを飲まない方が良い方もいらっしゃいます。

この記事では、トマトジュースと高血圧の関係について、科学的な根拠に基づいて分かりやすく解説します。

効果的な飲み方や1日にどのくらい飲めば良いか、商品の選び方、気をつけるべき点まで、高血圧対策にトマトジュースを取り入れたい方に必要な情報を詳しくお伝えします。

この記事でわかること
  • トマトジュースが高血圧に効果がある理由
  • 効果的な飲み方と適切な量
  • トマトジュースを選ぶときのポイント
  • 飲む際の注意点と避けるべき人
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

トマトジュースには血圧を下げる効果が期待できる

トマトジュースが高血圧対策として注目されるのには、確かな科学的な理由があります。

トマトに含まれる主な成分である「リコピン」と「カリウム」が、それぞれ違う方法で血圧を改善する可能性が、日本国内や海外の多くの研究によって示されています。

日本で行われた研究では、481名の地域住民に1年間、塩分が入っていないトマトジュースを好きな量だけ飲んでもらいました。

その結果、もともと血圧が高めだった94名の方々に明らかな変化が見られました。

具体的には、上の血圧(収縮期血圧)が平均141から137へ約4mmHg下がり、下の血圧(拡張期血圧)も平均83から81へ約2mmHg下がりました

参加した方の多くが1日コップ1杯程度(約200ml)のトマトジュースを飲んでいました。

また、スペインで7,000名以上を対象に3年間調査した研究では、1日110g以上のトマトを食べる人は、ほとんど食べない人と比べて高血圧になるリスクが36%低いという関連が見られました。

ただし、これは観察研究であり、トマトが直接予防したという因果関係までは示されていません。

1日110gを超えるトマト摂取量では高血圧リスクが低下しました(最高摂取量群と最低摂取量群の比較;ハザード比0.64 [95%信頼区間0.51~0.89])。

引用:Oxford Academic (European Journal of Preventive Cardiology) Association between tomato consumption and blood pressure in an older population at high cardiovascular risk: observational analysis of PREDIMED trial

この研究では、生のトマトだけでなくトマトソースやトマトスープなども含めて調べており、さまざまな形でトマトを食べることの効果が確認されました。

これらの研究結果から、トマトジュースの血圧を下げる効果は一時的なものではなく、毎日続けて飲むことで持続的に得られることが分かります。

では、トマトジュースに含まれるどのような成分が、どのような仕組みで血圧を下げるのでしょうか。

以下、主な成分であるリコピンとカリウムの働きについて詳しく見ていきましょう。

トマトジュースの主な血圧降下成分

成分1日の摂取目安主な働き
リコピン15mg以上血管を健康に保ち、血圧を上げる物質の働きを抑える
カリウム500mg以上余分な塩分を尿として外に出し、血圧を下げる

※コップ1杯(200ml)のトマトジュースで、リコピン約20mg、カリウム約500mgが摂取できます

リコピンが血管をしなやかにして血圧上昇を抑える

リコピンは、トマトの赤い色を作り出している成分で、非常に強い力で体を守る働きがあります。

私たちの体の中では、「活性酸素」という体をサビさせる物質が増えすぎると、血管が傷ついて血圧が上がりやすくなります

リコピンは、この活性酸素を取り除く働きがあり、試験管内での測定ではビタミンEの約10倍もの力を持つと報告する研究もあります。

リコピンが血圧を下げる3つの仕組み
  • 血圧を上げる物質の生成を抑える : 血圧を上昇させる物質が体の中で作られるのを邪魔する
  • 血管を広げる物質を増やす : 一酸化窒素という血管を広げる物質の量を増やす
  • 血管をしなやかに保つ : 活性酸素から血管を守り、柔らかさを維持する

ある研究では、リコピンを1日15mg以上摂ることで血圧を下げる効果が報告されています(研究により結果にばらつきがあります)。

研究で使用された食塩無添加トマトジュースには、コップ1杯あたり約20mg前後のリコピンが含まれており、効率よくリコピンを摂れる食品といえます。

カリウムが塩分を排出して血圧を下げる

カリウムは、体の細胞が正常に働くために必要なミネラルの一つで、高血圧対策において大切な役割を果たします。

日本人は普段の食事で塩分を摂り過ぎる傾向があり、体に溜まった塩分(ナトリウム)が血圧を上げる原因となっています。

カリウムは、腎臓で余分な塩分を尿として外に出しやすくする働きがあります。

世界中で行われた大規模な調査では、カリウムを多く摂る人ほど血圧が低いという関係が見られています。

例えば、高血圧者を対象としたメタ解析では、カリウム摂取を増やすことで収縮期血圧が平均5.3mmHg下がったと報告されています(効果の大きさは摂取量や期間により異なります)。

カリウムと塩分のバランス

摂取バランス血圧への影響
カリウム多め + 塩分控えめ血圧が最も下がりやすい(効果的)
カリウム多め + 塩分多め効果は限定的
カリウム少なめ + 塩分多め血圧が上がりやすい

前述の研究で使用された食塩無添加トマトジュースには、コップ1杯あたり約500mg以上のカリウムが含まれています。

これは、大人が1日に必要とされるカリウムの量の約10%以上に当たります。

ただし、カリウムの血圧を下げる効果は、普段から塩分を摂り過ぎている人ほどはっきりと表れることも分かっています。

つまり、トマトジュースを飲むだけでなく、日頃から塩分を控える努力も一緒に行うことで、より効果的に血圧をコントロールできるのです。

研究では毎日飲むことで血圧が平均3〜4mmHg低下

トマトジュースの血圧を下げる効果は、いくつもの研究で確認されています。

先ほどご紹介した日本の研究では、塩分が入っていないトマトジュースを1年間毎日飲んだ結果、上の血圧が約4mmHg、下の血圧が約2mmHg下がりました。

この研究では、参加した方の多くが1日約200mlのトマトジュースを飲んでいました。

別の研究では、1日12〜15mg以上のリコピンを摂ることで効果が期待できるとされる中、トマト成分を8週間摂ったグループで、上の血圧がはっきりと下がることが確認されました。

また、高血圧の患者さんを対象とした研究では、トマトの抽出物を摂ることで、上の血圧が平均144から134へ、下の血圧が87から83へと下がったという結果も報告されています。

主な研究結果のまとめ

研究内容期間血圧の変化
日本の研究(481名)1年間上の血圧 -4mmHg、下の血圧 -2mmHg
トマト成分研究8週間上の血圧が有意に低下
高血圧患者の研究8週間上の血圧 144→134mmHg、下の血圧 87→83mmHg

これらの研究から、トマトジュースによる血圧を下げる効果は劇的なものではありませんが、毎日続けて飲むことでゆっくりと血圧を改善できる可能性があることが分かります。

特に、軽い高血圧から中くらいの高血圧の方において効果が期待できるとされています。

ただし、トマトジュースはあくまでも血圧対策を助ける手段の一つであり、医師から処方されたお薬の代わりになるものではありません。

1日200mlを食事と一緒に飲むのが効果的

トマトジュースの血圧を下げる効果を得るためには、適切な量を適切なタイミングで、そして毎日続けて飲むことが大切です。

いくら体に良い飲み物でも、飲み方を間違えると十分な効果が得られなかったり、逆に体調を崩したりする可能性があります。

多くの研究結果を見ると、1日200ml程度を目安に飲んでいることが分かります。

この量は、トマトジュースに含まれるリコピンやカリウムが効果的に働く適切な量であり、同時にカロリーや体への負担も考えた現実的な量といえます。

また、トマトジュースによる血圧への影響は、数日や数週間で表れるものではありません。

体の中でリコピンやカリウムが少しずつ溜まり、血管の状態が徐々に良くなることで、初めて血圧への効果が実感できるようになります。

そのため、短期間で諦めてしまうのではなく、少なくとも6〜8週間は続けて飲むことが必要です。

ここでは、効果的な飲み方について、量、タイミング、続ける期間の3つの観点から詳しく説明していきます。

毎日の生活に無理なく取り入れられる方法を見つけていただければと思います。

効果的なトマトジュースの飲み方のポイント

ポイント推奨内容理由
1日の量コップ1杯(200ml)程度リコピン約20mg、カリウム約500mgが摂取でき、カロリーも適切
飲むタイミング食事と一緒油分を含む食事と一緒に摂取すると吸収率が高まる
継続期間最低6〜8週間体内で成分が蓄積し、効果が表れるまでに時間がかかる

目安は1日コップ1杯(200ml)程度

いくつもの研究結果から、トマトジュースは1日200ml程度飲むのが適切とされています。

日本で行われた調査でも、参加した方の多くが1日約200mlを飲み、血圧が改善する効果が確認されました。

この量であれば、リコピンを約20mg、カリウムを約500mg摂ることができます。

コップ1杯程度であれば、毎日の生活に無理なく取り入れることができ、カロリーを摂り過ぎる心配もありません。

トマトジュース200mlのカロリーは約40〜50kcalと低めで、他のジュースと比べても糖分が少ないという良い点があります。

トマトジュース200mlの栄養価(目安)
  • カロリー: 約40〜50kcal
  • リコピン: 約20mg
  • カリウム: 約160〜830mg
  • 食塩相当量(食塩無添加の場合): 0〜0.2g程度

※数値は製品により大きく異なります。

ただし、200mlという量はあくまで目安です。

健康状態や体質によっては、もっと少ない量から始めることも考えてください。

特に普段あまりトマトを食べない方や、お腹が敏感な方は、少量から試して体調の変化を確認することをお勧めします。

油分を含む食事と一緒に摂ると吸収されやすい

トマトジュースを飲むタイミングについては、リコピンの吸収率を考えると油分を含む食事と一緒に摂ることが効果的です。

リコピンは油に溶けやすい性質があり、油分を含む食事と一緒に摂ることで体に吸収されやすくなることが分かっています。

食物脂肪は、ミセル形成と脂質、リコピン、その他の親油性成分の取り込みを促す胆汁分泌刺激を与えることで、リコピンのバイオアベイラビリティを高めます(29 , 30)。

引用:PubMed Central Whole Food versus Supplement: Comparing the Clinical Evidence of Tomato Intake and Lycopene Supplementation on Cardiovascular Risk Factors

朝食や夕食など、油分を含む食事のタイミングで飲むことで、リコピンの吸収が高まります。

また、トマトジュースは加工により生トマトよりリコピンが吸収されやすい形になっているため、この点でも効率的です。

効果的な飲み方
  • 油分を含む食事と一緒 : リコピンの吸収率が高まる
  • 朝食や夕食など毎日決まった時間 : 習慣化しやすく、継続しやすい

大切なのは、油分を含む食事と一緒に摂ることと、毎日決まった時間に飲む習慣を作ることです。

朝食・昼食・夕食のいずれでも、ご自身の生活パターンに合わせて続けやすいタイミングを選んでください。

6〜8週間以上続けることで効果が期待できる

トマトジュースによる血圧を下げる効果は、すぐには表れません。

多くの研究では、6〜8週間以上毎日続けて飲むことで効果が確認されています。

日本の研究では1年間続けて飲んで効果が見られましたし、別の研究でも6週間以上飲み続けることで血圧がはっきりと下がることが報告されています。

血圧は、さまざまな原因によって毎日変わります。

数日だけ飲んでも、体の中のリコピンやカリウムのバランスが安定せず、血管や腎臓への持続的な良い影響は期待できません。

体の中で少しずつ成分が溜まり、血管の状態が良くなることで、初めて血圧への効果が現れるのです。

継続期間と期待できる効果

期間体内での変化血圧への効果
1週間〜1ヶ月リコピンやカリウムが体内に蓄積し始めるまだ効果は実感しにくい
6〜8週間成分が蓄積し、血管の状態が改善し始める血圧低下の効果が表れ始める
3ヶ月以上持続的な効果が期待できる安定した血圧改善が見られる可能性

そのため、トマトジュースを試す場合は、少なくとも6〜8週間以上は毎日飲み続けることをお勧めします。

もちろん、体調に変化を感じた場合はすぐに飲むのをやめて、お医者さんに相談してください。

また、定期的に血圧を測って、効果を確かめながら続けるかどうかを判断することも大切です。

「食塩無添加」で「リコピン高含有」を選ぶ

市販のトマトジュースにはいろいろな種類があり、パッケージのデザインや値段だけで選んでしまうと、期待する効果が得られないどころか、かえって健康に悪い影響を与える可能性もあります。

高血圧対策として飲む場合、商品選びはとても大切なポイントとなります。

スーパーやコンビニの棚に並ぶトマトジュースを見ると、「食塩入り」「食塩無添加」「濃縮還元」「ストレート」など、いろいろな表示があることに気づくでしょう。

これらの違いは、味わいだけでなく、血圧への影響にも大きく関わってきます。

特に塩分が入っているかどうかは、高血圧対策において最も重要な選ぶ基準です。

また、リコピンの含まれている量も商品によって違います。

同じ200mlでも、リコピンがたっぷり含まれている商品とそうでない商品では、期待できる効果に差が出てきます。

せっかく毎日飲み続けるのですから、より効果的な商品を選びたいものです。

ここでは、高血圧対策に適したトマトジュースを選ぶための2つの大切なポイントについて、詳しく説明していきます。

商品を選ぶときの参考にしていただければと思います。

トマトジュース選びのチェックポイント

チェック項目選ぶべき商品避けるべき商品
食塩の有「食塩無添加」「食塩不使用」表示あり「食塩入り」や表示なし
食塩相当量200mlあたり0〜0.2g程度200mlあたり0.3g以上
リコピン含有量200mlあたり15mg以上表示なし、または少量
添加物保存料・着色料なし複数の添加物あり
原材料トマトのみ、またはシンプル複雑な原材料

食塩入りは逆効果になるため避ける

高血圧対策でトマトジュースを飲む場合、最も大切なのは「食塩無添加」または「食塩不使用」と書かれた商品を選ぶことです。

普通のトマトジュースには飲みやすくするために食塩が加えられており、コップ1杯(200ml)で食塩相当量0.3~0.9g程度を含む商品もあります。

これは、1日に摂って良い食塩の目標量(6g未満)の多くを占めることになります。

高血圧の方にとって、食塩の摂り過ぎは血圧を上げる直接的な原因となります。

せっかくカリウムが余分なナトリウムを外に出す働きをしても、トマトジュース自体に食塩が添加されていては意味がありません。

トマトジュースを用いた研究で血圧を下げる効果が確認されたものの多くは、食塩無添加のトマトジュースを使った場合です。

食塩入りと食塩無添加の比較

種類食塩相当量(200mlあたり)1日の食塩目標量に占める割合高血圧対策への適性
食塩入り約0.5~0.9g程度約8~15%✗ 不適切(逆効果)
食塩無添加約0〜0.2g約0〜3%◯ 適切

塩分が入っていないトマトジュースは、最初は味が物足りなく感じるかもしれません。

しかし、トマト本来の旨味や甘みに慣れてくれば、むしろ自然な味わいを楽しめるようになります。

買うときには成分表示を確認し、「食塩無添加」または「食塩不使用」と表示された商品を選ぶことをお勧めします。

リコピン含有量15mg以上が目安

トマトジュースに含まれるリコピンの量は、商品によって違いがあります。

血圧を下げる効果を期待するのであれば、リコピンの含まれている量が書いてある商品を選ぶと良いでしょう。

研究では、1日12〜15mg以上のリコピンを摂ることで効果が期待できるとされていますので、コップ1杯で15mg以上含まれている商品が一つの目安となります。

リコピンは熱を加えることで体に吸収されやすくなることが分かっています。

そのため、熱を加えることで濃縮されたトマトジュースは、生のトマトをそのまま絞ったものよりもリコピンが体に吸収されやすい可能性があります。

商品のパッケージに「濃縮」や「リコピンリッチ」などの表示がある場合、リコピンの量が多い傾向にあります。

リコピン含有量の見方
  • 望ましい : 200mlあたり15mg以上と明記されている
  • 良い : 「リコピン高含有」「リコピンリッチ」などの表示がある
  • 要確認 : リコピン量の表示がない(問い合わせるか、他の商品を検討)

また、トマトジュースを選ぶときは、保存料や着色料などの余計なものが少ないシンプルな商品を選ぶことも大切です。

原材料の欄を見て、トマトと必要最小限の成分だけで作られているものが、より自然で体に優しい選択といえます。

腎臓病の方や飲み過ぎには注意が必要

トマトジュースは多くの健康への良い効果が期待できる飲み物ですが、すべての人に適しているわけではありません。

特に腎臓の働きが悪くなっている方や特定の病気をお持ちの方にとっては、トマトジュースに含まれるカリウムが健康上のリスクとなる可能性があります。

また、健康な方であっても、「体に良いから」といってたくさん飲み過ぎると、思わぬ副作用が起きることがあります。

トマトジュースの酸味が胃腸に負担をかけたり、カリウムを摂り過ぎたりする可能性があるのです。

さらに大切なのは、トマトジュースはあくまでも高血圧対策の一つの方法であり、これだけに頼るべきではないということです。

根本的な生活習慣を改善しなければ、長く続く血圧のコントロールは難しいのです。

ここでは、トマトジュースを飲むときに特に注意が必要な方々と、健康な方でも気をつけるべき点について説明します。

ご自身の健康状態と照らし合わせながら、安全にトマトジュースを活用していただくための情報をお届けします。

トマトジュースを避けるべき、または注意が必要な方

該当する方リスク対応方法
腎臓病の方高カリウム血症(不整脈、心停止のリスク)飲む前に必ず医師に相談
人工透析中の方カリウム制限が必要基本的に避ける
トマトアレルギーの方アレルギー症状(かゆみ、じんましん、呼吸困難など)絶対に避ける
胃酸過多・逆流性食道炎の方胃の不快感、症状の悪化(個人差あり)空腹時を避け、食事と一緒に飲む
降圧薬(特にACE阻害薬・ARB)を服用中の方高カリウム血症、血圧の下がり過ぎ医師に相談してから飲む

腎臓病や人工透析中の方はカリウム制限が必要

腎臓の働きが悪くなっている方、特に慢性腎臓病が進んでいる方や人工透析を受けている方は、トマトジュースを飲む際に注意が必要です。

健康な腎臓であれば余分なカリウムは尿として外に出されますが、腎臓の働きが落ちると体の中にカリウムが溜まりやすくなります。

血液中のカリウムの濃度が異常に高くなる「高カリウム血症」は、不整脈や心臓が止まるといった重い状態を引き起こす可能性があります。

腎臓病が進んだ段階では、血液中のカリウムの値が一定以上になると命に関わるリスクが高まることが報告されています。

そのため、腎臓病のステージや透析の有無により、1日のカリウムの摂取量を1,500〜3,000mg以下に制限する食事の指導が行われます。

腎臓病の方のカリウム制限

腎臓の状態1日のカリウム制限トマトジュース200mlに含まれるカリウム
健康な腎臓制限なし約500mg(問題なし)
慢性腎臓病G3b2,000mg以下約500〜630mg(制限量の約4分の1〜3分の1)
慢性腎臓病G4〜G51,500mg以下約500〜630mg(制限量の約3分の1〜4割)
人工透析中2,000〜3,000mg以下約500mg(医師に要相談)

トマトジュースはコップ1杯で約500〜630mg程度のカリウムを含む(製品により幅があります)ため、腎臓病の方にとっては大きな負担となる可能性があります。

もし腎臓について診断を受けたことがある方、または定期的に腎臓の検査を受けている方は、トマトジュースを飲む前に必ずかかりつけの医師や栄養士に相談してください。

トマトジュースだけでなく減塩・運動も並行する

トマトジュースには血圧を下げる効果が期待できますが、それだけに頼るのではなく、生活習慣全体を見直すことが欠かせません。

高血圧の主な原因は、塩分の摂り過ぎ、運動不足、太り過ぎ、ストレス、タバコ、お酒の飲み過ぎなど、いろいろあります。

まず、毎日の食事で塩分を減らすことが最も大切です。

日本人は平均して1日約10g前後の食塩を摂っているとされていますが(年次により変動あり)、高血圧の方は1日6g未満を目標とすることがすすめられています。

加工食品や外食を控え、薄味の料理に慣れることが大切です。

トマトジュースのカリウムが余分な塩分を外に出す働きをしても、毎日たくさんの塩分を摂っていては効果が限られてしまいます。

高血圧対策に必要な生活習慣の改善

改善項目具体的な目標期待できる効果
減塩1日6g未満血圧を下げる最も基本的な方法
運動週150分程度の有酸素運動血圧低下、体重管理
体重管理適正体重の維持肥満解消で血圧改善
禁煙タバコをやめる血管の健康維持
節酒適度な飲酒(男性2ドリンク、女性1ドリンク以下/日)※血圧上昇を防ぐ
ストレス管理リラックスする時間を作る血圧の安定
トマトジュース1日200ml(食塩無添加)補助的な血圧低下効果

※1ドリンク=ビール355ml、ワイン148ml、蒸留酒44ml相当

また、適度な運動も血圧のコントロールに効果的です。

ウォーキングや軽いジョギングなどを、週に合計150分程度行うことがすすめられています。

運動は体重管理にもつながり、肥満を解消することで血圧の改善が期待できます。

さらに、ストレスをうまく発散すること、タバコをやめること、お酒を飲み過ぎないことも大切な要素です。

トマトジュースは、これらの生活習慣の改善を助ける一つの手段として考え、いろいろな方法を組み合わせて高血圧に取り組むことをお勧めします。

トマトアレルギーがある方は避ける

トマトアレルギーをお持ちの方は、当然ながらトマトジュースを飲むことはできません。

トマトアレルギーは他の主なアレルギーと比べると少ないですが、一定の割合の方に見られます

トマトアレルギーの症状としては、口や喉のかゆみ、腫れ、じんましん、お腹の痛み、下痢などがあります。

重い場合には、息苦しさや命に関わるショック状態を起こす可能性もあります。

また、トマトアレルギーは花粉症(特にシラカバやイネ科の花粉)ゴム製品のアレルギーと関係があることが知られており、これらのアレルギーをお持ちの方はトマトにも反応する可能性があります。

トマトアレルギーの主な症状
  • 軽度〜中程度の症状
    • 口や喉のかゆみ、ピリピリ感
    • 唇や舌の腫れ
    • じんましん
    • お腹の痛み、下痢
  • 重度の症状(すぐに医療機関へ)
    • 息苦しさ、呼吸困難
    • 血圧の急激な低下
    • 意識障害
    • アナフィラキシーショック

過去にトマトや生のトマトジュースで何か不快な症状を経験したことがある方は、医療機関でアレルギーの検査を受けることをお勧めします。

また、初めてトマトジュースを飲む場合は、少しの量から試して体の反応を確かめると良いでしょう。

その他、胃酸が多い方や逆流性食道炎の方は、トマトジュースの酸性が症状を悪化させることがありますので、注意が必要です。

個人差が大きいため、症状がある場合は空腹時を避け、食事と一緒に少量から試すなどの工夫をしてください。

よくある質問(FAQ)

生のトマトとトマトジュースではどちらが効果的ですか

どちらも血圧を下げる効果が期待できますが、トマトジュースの方が効率的です。

リコピンは熱を加えることで体に吸収されやすくなるため、熱を加えて濃縮されたトマトジュースの方が、同じ量のトマトを生で食べるよりも効果的である可能性があります。

また、トマトジュースなら毎日続けやすいという良い点もあります。

温めて飲んでも効果はありますか

温めて飲んでも問題ありません。

むしろ、リコピンは熱を加えることで吸収率が良くなるため、温かいトマトジュースも効果が期待できます

ただし、長時間の加熱や沸騰させるとビタミンCなどの熱に弱い栄養素が減る可能性がありますので、過度な加熱は避けましょう(ビタミンCは熱に弱いため)。

毎日飲み続けても大丈夫ですか

塩分が入っていないトマトジュースを適量(1日200ml程度)飲む分には、健康な方であれば問題ありません。

ただし、腎臓病の方、人工透析を受けている方、トマトアレルギーの方は避けてください。

また、毎日飲む場合でも定期的に血圧を測り、体調の変化を確かめることが大切です。

降圧薬を飲んでいても併用できますか

基本的には一緒に飲んでも問題ありませんが、必ずかかりつけの医師に相談してください

特にACE阻害薬やARBなど一部の降圧薬を服用している方は、カリウムを多く含むトマトジュースを飲むことで、血液中のカリウムが高くなり過ぎるリスクが高まる可能性があります。

また、血圧が下がり過ぎる可能性も考えられます。

すぐに血圧が下がりますか

トマトジュースによる血圧を下げる効果はゆっくりしたもので、すぐには現れません

研究では、少なくとも6〜8週間から数ヶ月間、毎日続けて飲むことで効果が確認されています。

急いで血圧を下げる必要がある場合は、お医者さんの指示に従って適切な治療を受けてください。

まとめ

トマトジュースは、リコピンとカリウムという2つの大切な成分によって、血圧を下げる効果が期待できる飲み物です。

いくつもの研究で、塩分が入っていないトマトジュースを毎日続けて飲むことで、上の血圧が平均3〜4mmHg程度下がることが示されています。

効果を得るためには、1日200ml程度を目安に、朝ごはんの時や寝る前など決まった時間に飲む習慣を作ることが大切です。

少なくとも6〜8週間は続けて、体に吸収されやすくなることが分かっていますので、体の変化を観察してください。

商品を選ぶときは、「食塩無添加」でリコピンの量が多いものを選びましょう。

ただし、腎臓病や人工透析中の方、トマトアレルギーの方は飲むことはできません。

また、血圧のお薬を飲んでいる方は、必ずお医者さんに相談してから始めてください。

トマトジュースはあくまでも高血圧対策を助ける手段であり、塩分を減らすことや運動などの生活習慣の改善と一緒に取り組むことで、より効果的に血圧をコントロールできるようになります。

参考文献・参考サイト

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この記事を書いた人

伊藤 信久のアバター 伊藤 信久 医師・グレースメディカルクリニック院長

福岡県出身。鹿児島大学医学部卒業後、大学病院の心臓外科に勤務。冠動脈バイパス術・弁置換術などの高度な心臓手術を多数担当。
その後、恩師が開業したクリニックで一次診療に従事。地域医療の最前線で多くの患者と向き合う中で「患者さんに最も近い距離で診療すること」の重要性を再認識し、開業医として地域医療に貢献することを決意。2014年に熊本市でグレースメディカルクリニックを開設した。現在は院長として、高血圧をはじめとする循環器・生活習慣病の診療に注力。心臓外科で培った循環器の知見を活かし、「血圧から全身を守る医療」をモットーに地域の健康づくりと啓発活動を続けている。

主な資格・所属学会
・日本外科学会
・日本循環器学会
・点滴療法研究会

地域の“かかりつけ医”として、高血圧を中心とした生活習慣病の早期発見と予防、継続的な血圧管理に力を注ぎ、患者一人ひとりの「より良い血圧コントロールと健康」の実現を目指している。

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