産後の健康管理で、血圧の変化は見過ごせない大切なポイントです。
出産後も血圧が高い状態が続いて、不安を感じている方は少なくありません。
妊娠中は問題なかったのに産後に血圧が上がってしまった方、あるいは妊娠中に血圧が高くなり出産後もなかなか下がらないという方もいらっしゃるでしょう。
産後の高血圧は、「そのうち治るだろう」と軽く考えてしまいがちです。
しかし、そのまま放っておくと、脳卒中や心臓病、腎臓病といった重い病気につながる危険があります。
また、次に妊娠したときにも影響が出ることがあるため、早めに対処することが大切です。
ただ、ほとんどの場合、日々の生活を少し見直すだけで血圧をコントロールできます。
産後に血圧が高くなる理由は、妊娠・出産で体が大きく変わったこと、ホルモンのバランスが崩れたこと、育児で眠れないこと、ストレスが溜まることなど、いろいろな要因が重なっています。
- 妊娠中の血管負担が残る(血液量増加・血管の変化)
- ホルモン急変で血管収縮(エストロゲン減少・甲状腺炎)
- 睡眠不足と育児ストレス(夜間授乳・慢性疲労で交感神経緊張)
- 体重増加や運動不足(脂肪組織からの炎症物質で血圧上昇)
- 妊娠高血圧症候群が持続(産後6〜12週以上続く場合も)
これらの原因を知って、自分に合った対策をとることで、血圧を正常な範囲に戻して、元気な産後生活を送ることができます。
この記事では、産後に血圧が高くなる具体的な理由、いつまで続くのか、高いまま放っておくとどうなるのか、そして毎日の生活でできる対策について、医学的な根拠に基づいて詳しくお伝えします。
授乳中でも受けられる治療についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。
産後の血圧管理は、お母さん自身の健康を守るだけでなく、将来の病気を予防することにもつながります。
正しい知識を持って、早めに対処しましょう。
- 産後の血圧の正常値と高血圧の基準
- 産後に血圧が高くなる具体的な原因
- 産後の高血圧が続く期間の目安
- 血圧が高いまま放置した場合のリスク
- 産後の血圧を下げるための実践的な対策
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
産後の血圧が高いとは上の血圧140以上・下の血圧90以上の状態
産後の血圧が高いかどうかを知るには、まず血圧の数字が何を表しているのかを理解する必要があります。
血圧を測ると、「上の血圧」と「下の血圧」という2つの数字が出てきます。
上の血圧は、心臓がギュッと縮んで血液を送り出すときの圧力です。
下の血圧は、心臓が広がって血液を受け入れるときの圧力を示しています。
産後の高血圧とは、一般的に上の血圧が140以上、または下の血圧が90以上の状態を指します。
日本の基準では、妊娠していない大人の高血圧と同じ数値で判断します。
ただし、産後は体の状態が変わりやすい時期なので、何度も測って様子を見ることが大切です。
血圧は1回測っただけでは判断できません。
また、血圧は朝と夜で変わることもあるため、違う時間に測って傾向を確認することも重要です。
妊娠中に血圧が高かった方は特に、産後も気をつけて測るようにしましょう。
産後の正常な血圧の目安は上120・下80未満
正常な血圧は、上の血圧が120未満、下の血圧が80未満です。
この数字は、心臓や血管に負担がかからない、理想的な状態を表しています。
なお、血圧の分類は国やガイドラインによって多少異なります。
日本では140/90以上を高血圧としますが、米国では130/80以上を高血圧と定義するなど、基準に違いがあります。
血圧の分類
| 血圧の状態 | 上の血圧(mmHg) | 下の血圧(mmHg) |
|---|---|---|
| 正常血圧 | 120未満 | 80未満 |
| 正常高値血圧 | 120〜129 | 80未満 |
| 高値血圧 | 130〜139 | 80〜89 |
| 高血圧 | 140以上 | 90以上 |
産後の女性の場合、出産直後から数日間は、一時的に血圧が上がることがあります。
これは、出産で体に負担がかかったことや、体の中の水分バランスが変わったことが原因です。
妊娠中に血圧が正常だった方は、たいていは数日から1週間ほどで落ち着いてきます。
妊娠高血圧症候群があった場合は、6〜12週間ほど高い状態が続くこともあります。
ただし、上の血圧が120から139の間、下の血圧が80から89の間にある場合は、「高血圧の一歩手前」という状態です。
この段階でも注意が必要で、生活習慣を見直し始めることをおすすめします。
産後の血圧を測るときは、なるべく落ち着いた状態で測ることが大切です。
授乳した直後や、赤ちゃんが泣いていて焦っているときなどは、血圧が一時的に上がります。
朝起きた後や、座ってほっと一息ついているときに測ると、より正確な数字が出ます。
妊娠中の高血圧が産後も続いているケースもある
妊娠中に血圧が高くなった方の中には、出産後も高い状態が続く場合があります。
妊娠高血圧症候群という状態は、妊娠20週を過ぎてから初めて血圧が高くなるもので、妊婦さんの約5〜10%に起こるとされています。
- 妊娠高血圧:妊娠中に血圧だけが高くなる。出産後12週間以内に正常に戻ることが多い
- 子癇前症(妊娠高血圧腎症):血圧が高いことに加えて、尿にタンパクが出たり、内臓に影響が出たりする。より注意が必要
妊娠中に血圧が高くなった方は、産後も高い状態が続きやすい傾向があります。
これは、妊娠中に変化した血管の状態が、出産後すぐには元に戻らないためです。
また、妊娠高血圧症候群を経験した方は、将来的に慢性的な高血圧や心臓の病気になるリスクが高くなることがわかっています。
産後の健診では必ず血圧を測りますが、自宅でも定期的に測ることで、異常な上がり方を早く見つけることができます。
妊娠中に血圧が高かった方は、特に産後6週間から12週間は、気をつけて血圧を測るようにしましょう。
産後に血圧が高くなるのはホルモン変化・睡眠不足・ストレスが主な原因
産後の血圧が上がる理由は、一つではありません。
いくつもの要因が複雑に絡み合っています。
妊娠・出産で体は大きく変わり、産後の育児環境も血圧に影響を与えます。
出産後の女性の体は、妊娠前の状態に戻ろうとする過程で、血液の量や血管の状態が変わり、ホルモンバランスも変動します。
体重や生活習慣、遺伝的要因なども血圧に影響するため、この期間は血圧が不安定になりやすい時期です。
さらに、産後ならではの生活の変化も見逃せません。
夜中に何度も起きて授乳すること、赤ちゃんの世話で体も心も疲れること、自分の時間がまったく取れないストレス、運動不足や食事が不規則になることなど、血圧を上げる原因が日常生活の中にたくさんあります。
これらの原因は一つだけで影響するのではなく、お互いに関係し合って血圧を上げてしまうため、いろいろな面から対策をとる必要があります。
- 妊娠中の血管への負担が残っている
- 出産後のホルモンバランスの乱れ
- 夜間授乳による睡眠不足
- 育児によるストレス
- 体重が戻らないこと
- 運動不足
- 塩分の多い食事
ここでは、産後に血圧が高くなる主な原因について、それぞれ詳しく見ていきます。
妊娠中の血管への負担が出産後も残っている
妊娠中、女性の体は赤ちゃんに栄養と酸素を送るため、血液の量が大幅に増えます。
通常、妊娠していないときと比べて、妊娠後期には血液量が約40〜50%も増えるとされています。
この増えた血液を全身に送るために、心臓はいつもより強く働き、血管にも大きな負担がかかります。
妊娠中は、血管を広げるホルモンの働きで、血圧が適度に保たれる仕組みが働いています。
しかし、出産後はこのバランスが急に変わります。
血液の量は少しずつ元に戻りますが、血管の状態はすぐには妊娠前に戻らないため、一時的に血圧が上がりやすくなります。
特に、妊娠中に血圧が高くなった方や、双子や三つ子などを妊娠していた方、高齢出産の方などは、妊娠高血圧症候群になるリスクが高く、産後も血圧が高い状態が続く場合があります。
妊娠中に胎盤から出ていた物質の影響で、血管の働きが変わっていることも、産後の血圧上昇に関係していると考えられています。
出産後のホルモンバランスの乱れが血圧を上げる
出産後、女性の体の中では大きなホルモンの変化が起こります。
妊娠中にたくさん出ていたエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが、出産とともに急激に減ります。
この急な変化が、血圧の調節にも影響します。
エストロゲンには血管を広げる働きがあり、血圧を下げる効果があります。
妊娠中は多くのエストロゲンが血管を守っていましたが、産後にこのホルモンが急に減ることで、血管が縮みやすくなり、血圧が上がる可能性があります。
さらに、産後は甲状腺ホルモンのバランスが崩れることもあります。
産後甲状腺炎という状態では、一時的に甲状腺の働きが活発になり、心臓の動きが速くなったり血圧が上がったりすることがあります。
これは産後数ヶ月の間に起こることが多く、多くの場合は自然に治りますが、血圧への影響には注意が必要です。
夜間授乳による睡眠不足と育児ストレスの影響
産後の生活は、血圧に大きく影響する要因であふれています。
特に、夜中の授乳で慢性的に睡眠不足になることは、血圧が上がる大きな原因の一つです。
睡眠不足は、自律神経のバランスを崩します。
自律神経とは、自分の意思とは関係なく体の働きを調整する神経のことです。
通常、眠っているときは「リラックスモード」の神経が優位になり、血圧が下がって体が休まります。
しかし、夜中に何度も起きて授乳することで、この自然なリズムが乱れ、「緊張モード」の神経が働き続けます。
緊張モードの神経が活発になると、心臓の動きが速くなり、血管が縮んで血圧が上がります。
睡眠時間が慢性的に足りないと、体はストレスホルモンであるコルチゾールやアドレナリンをたくさん出します。
これらのホルモンは、血管を縮めて、心臓の働きを活発にするため、血圧を上げる作用があります。
また、睡眠不足は食欲を調節するホルモンにも影響して、食べすぎや不健康な食事につながることもあり、間接的に血圧を上げる原因となります。
育児によるストレスも、血圧上昇に大きく関わっています。
初めての育児なら特に、赤ちゃんが泣いたらどうしよう、授乳のリズムがうまく作れない、体重が増えているか心配、など、いろいろなストレスがあります。
慢性的なストレスは、ずっと緊張モードの神経を刺激し、血圧を高く保ちやすくなります。
さらに、産後うつや産後の不安といった心の問題も、血圧に影響することがあります。
出生前のストレスおよび抑うつ症状の認識が高いほど、産後1年の血圧が高くなる傾向があり、一方、近隣住民との良好な関係は産後1年の血圧が低い傾向があった。
引用:PubMed Prenatal Psychosocial Stressors and Blood Pressure Across 4 Years Postpartum
気持ちが落ち込んだり不安が強かったりすると、体は常に緊張した状態にあり、血圧が上がりやすくなります。
体重が戻らないことや運動不足も血圧上昇につながる
妊娠中に増えた体重が産後になかなか戻らないことは、多くの女性が経験する悩みです。
妊娠中にある程度体重が増えるのは必要なことですが、産後に余分な体重が残ると、血圧が上がるリスクが高くなります。
体重が増えると、心臓はより多くの血液を全身に送る必要があります。
体が大きくなった分、血液を流すための圧力が高くなり、血圧が上がります。
また、体重が増えてお腹まわりの脂肪が増えると、アディポサイトカインという物質が出て、これが血管に炎症を起こし、血圧を上げる原因となります。
肥満はより炎症誘発性の状態へと移行し、高血圧の存在下ではより重症化する可能性があり、その逆もまた同様であると結論付けています。
引用:Frontiers in Physiology Adipokine Profiling in Adult Women With Central Obesity and Hypertension
産後の運動不足も、血圧上昇に拍車をかけます。
妊娠中から産後にかけて、多くの女性は体を動かす機会が大幅に減ります。
出産直後は体の回復を優先する必要がありますが、長く運動不足が続くと、心臓や肺の機能が低下して、血管の柔らかさが失われます。
運動には、血管を広げる一酸化窒素という物質の生産を促す効果があります。
定期的に運動していないと、血管が硬くなり、血液が流れにくくなるため、心臓はより強い力で血液を送り出さなければならず、血圧が上がります。
また、産後は赤ちゃんの世話に追われて、自分の食事がおろそかになったり、手軽に食べられる加工食品やインスタント食品に頼ることが多くなりがちです。
これらの食品は塩分が多いことが多く、塩分を摂りすぎると体の中に水分が溜まり、血液の量が増えて血圧が上がります。
産後の高血圧は多くの場合3ヶ月以内に改善するが12週以上続く場合は医師に相談を
産後の血圧がいつまで高い状態が続くのかは、多くの女性が気になるポイントです。
回復にかかる時間は人によって違いますが、一般的な傾向を知っておくことで、自分の状態が正常な範囲なのか、それとも病院に相談したほうがいいのかを判断する目安になります。
産後の血圧の回復には、妊娠中の血圧の状態、お産のときの状況、産後の生活環境、生まれつきの体質など、いろいろな要素が影響します。
妊娠中に血圧が高くならなかった方と高くなった方では、回復のパターンが違うことがわかっています。
また、産後の育児環境やサポート体制、ストレスの程度によっても、血圧が下がるスピードは変わってきます。
自宅で定期的に血圧を測って、その変化を記録しておくことで、回復の様子がわかりやすくなります。
ここでは、産後の血圧がいつまで続くのか、そして長引く場合に考えられる理由について詳しく説明します。
産後6〜12週で正常に戻るケースが多い
産後の血圧の変化には、ある程度決まったパターンがあります。
出産直後から数日間は、お産で体に負担がかかったことや、体の中の水分バランスが変わったことで、血圧が一時的に上がることがあります。
この時期は、病院で様子を見てもらい、極端に血圧が上がっていないか確認してもらいます。
産後の血圧回復の目安
| 時期 | 血圧の状態 |
|---|---|
| 出産直後〜数日 | 一時的に上昇することがある |
| 産後1〜2週間 | 血液量が減り始め、血圧も少しずつ低下 |
| 産後6〜12週間(約3ヶ月) | 妊娠高血圧症候群だった方の多くが正常化 |
| 産後12週以上 | 続く場合は慢性高血圧の可能性 |
産後1週間から2週間が経つと、妊娠中に増えていた血液の量が少しずつ減り始めます。
体の中の余分な水分が尿として出ていき、血液量が妊娠前の状態に近づいていきます。
この過程で、血圧も少しずつ下がっていくのが普通のパターンです。
多くの研究によると、妊娠中に血圧が高くならなかった女性の場合、産後数週間から12週程度で血圧が正常範囲に戻ることが多いとされています。
妊娠高血圧症候群になった女性でも、多くは産後12週間以内、つまり約3ヶ月以内には血圧が正常になります。
ただし、これはあくまで目安で、回復のスピードは人それぞれの体質やお産のときの状況、産後の生活によって大きく違います。
産後1ヶ月健診や産後2ヶ月の時点での血圧測定は、回復の様子を確認する大切な機会です。
血圧が順調に下がっているかどうかを知るには、続けて測ることが大切です。
1回測って高い値が出たからといって、すぐに問題があるわけではありません。
測るときの状況(授乳の直後、緊張している、疲れているなど)によって、一時的に高い値が出ることもあります。
同じ時間帯、同じ条件で何回か測って、傾向を見ることが大切です。
産後12週以上続く場合は慢性高血圧の可能性がある
産後12週(約3ヶ月)を過ぎても血圧が140/90以上の状態が続く場合、これは妊娠とは直接関係のない慢性的な高血圧である可能性が高くなります。
慢性高血圧とは、妊娠前から持っていたか、産後も続いている高血圧のことを指します。
妊娠前から血圧が高かったけれど、妊娠中は気づかなかったというケースもあります。
妊娠の初期から中期にかけては、ホルモンの影響で血管が広がり、血圧が一時的に下がることがあるため、もともと持っていた高血圧が隠れてしまうことがあるのです。
産後、このホルモンの影響がなくなると、本来の高血圧が表に出てきます。
また、妊娠高血圧症候群がきっかけで、血管の働きが長期的に変わってしまい、慢性的な高血圧になるケースもあります。
妊娠中の高血圧で血管の内側の細胞が傷つくと、その影響が長く残り、血圧をコントロールするのが難しくなることがあります。
- 家族に高血圧の人がいる(遺伝的要因)
- 肥満や体重増加
- 運動不足
- 塩分の多い食生活
- 慢性的なストレス
- 腎臓の病気
- 甲状腺の病気
- 副腎ホルモンの異常
産後12週を過ぎても血圧が高い状態が続く場合は、内科や循環器科を受診して、詳しい検査を受けることをおすすめします。
血液検査や尿検査、心電図、場合によっては心臓の超音波検査や腎臓の超音波検査などを行い、高血圧の原因を特定することが大切です。
産後の血圧が高いまま放置すると脳卒中や心臓病のリスクが高まる
産後の高血圧を「そのうち治るだろう」と軽く考えて放っておくと、将来的に深刻な健康問題につながる危険があります。
高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、自覚症状がないまま体に大きなダメージを与えていきます。
血圧が高い状態が続くと、血管や心臓、脳、腎臓など、体の大切な臓器に持続的に負担がかかります。
特に産後の女性は、育児に追われて自分の体調管理が後回しになりがちです。
「少し血圧が高いくらい大丈夫」「授乳が終わればきっと良くなる」と考えて放置してしまうことも少なくありません。
しかし、高血圧による血管へのダメージは、毎日少しずつ積み重なっていきます。
若い世代であっても、長い期間血圧が高い状態が続けば、脳卒中や心臓の病気といった命に関わる病気のリスクが高くなります。
妊娠高血圧症候群を経験した方は、特にこれらのリスクが高いことが研究で明らかになっています。
- 脳出血や脳梗塞
- 心肥大や心不全
- 狭心症や心筋梗塞
- 腎機能の低下
- 次回妊娠時の合併症
ここでは、産後の高血圧を放置した場合の具体的なリスクについて説明します。
脳出血や脳梗塞を起こす危険性
血圧が高い状態が続くと、脳の血管に大きな負担がかかります。
血圧が高いということは、血管の壁に常に強い圧力がかかり続けているということです。
そのため、血管が傷つきやすくなります。
脳の血管は特に細くて繊細なため、高血圧の影響を受けやすい部分です。
長い期間にわたって強い圧力がかかると、脳の血管の壁が徐々に弱くなり、動脈瘤という血管のコブができることがあります。
この動脈瘤が破れると、脳出血を引き起こします。
脳出血は突然起こり、重い後遺症が残ったり、命に関わることもある重大な病気です。
また、高血圧は脳梗塞のリスクも高めます。
高血圧で血管の内側が傷つくと、そこにコレステロールなどが溜まって動脈硬化が進みます。
動脈硬化が進むと、血管が狭くなったり、血の塊(血栓)ができやすくなったりします。
この血栓が脳の血管を詰まらせると、脳梗塞が起こります。
産後の女性は、まだ若いので脳卒中とは無縁だと思いがちです。
しかし、妊娠高血圧症候群を経験した女性は、将来的に脳卒中になるリスクが約2倍高まるという研究結果があります。
脳卒中については、妊娠高血圧症候群によるイベントのリスクが 2 倍増加しました (RR、1.71、95% 信頼区間、1.38~2.11、I 2 =69%、参加者 4,906,182 人)。
引用:American Heart Association Journals Preeclampsia and Future Cardiovascular Health: A Systematic Review and Meta-Analysis
特に、産後の高血圧を適切に管理しないまま放っておくと、このリスクはさらに高くなります。
- 一時的に手足がしびれる
- うまく話せない、ろれつが回らない
- 視野の一部が見えなくなる
- 激しい頭痛
- 顔の片側がゆがむ
- 片側の手足に力が入らない
これらの症状が少しでも現れたら、すぐに病院を受診することが大切です。
心臓に負担がかかり心疾患のリスクが上がる
高血圧は、心臓にも大きな負担をかけます。
血圧が高いということは、心臓がいつもより強い力で血液を送り出さなければならないということです。
この状態が長く続くと、心臓の筋肉が徐々に厚く硬くなっていきます。
これを心肥大といいます。
心肥大が進むと、心臓のポンプ機能が低下して、心不全という状態になります。
心不全では、体に十分な血液を送ることができなくなり、息切れ、疲れやすさ、足のむくみなどの症状が現れます。
産後は育児で体力を使うため、これらの症状を「疲れているだけ」と見過ごしてしまうことがあり、注意が必要です。
また、高血圧は心臓に栄養を送る血管(冠動脈)にも影響を与えます。
冠動脈に動脈硬化が起こると、心臓の筋肉に十分な血液が届かなくなり、狭心症や心筋梗塞を引き起こします。
心筋梗塞は、突然胸の痛みや圧迫感が現れる、緊急の治療が必要な命に関わる病気です。
妊娠高血圧症候群を経験した女性は、将来的に心臓の病気になるリスクが約2〜3倍高まるとされています。
このリスクは、産後の血圧管理をしっかり行うことで、ある程度減らすことができることがわかっています。
- 動悸(ドキドキする感じ)
- 胸の違和感や圧迫感
- 息切れ
- 疲労感が続く
- 足や足首のむくみ
これらの症状が日常生活の中でよく現れる場合は、早めに医師に相談することが大切です。
腎臓の機能が低下する可能性
腎臓は、血圧を調節する大切な役割を果たすと同時に、高血圧の影響を受けやすい臓器でもあります。
腎臓には細かい血管がたくさんあり、これらの血管を通して血液をこして、老廃物を尿として出しています。
血圧が高い状態が続くと、腎臓の細かい血管が傷つき、こす機能が徐々に低下していきます。
腎臓の働きが低下すると、体の中に老廃物が溜まりやすくなり、さらに血圧が上がるという悪循環に陥ります。
これを高血圧性腎症といいます。
腎臓の働きが低下しても、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。
気づいたときには、かなり進行していることも少なくありません。
血液検査でクレアチニンや尿素窒素といった数値を確認したり、尿検査で尿にタンパクが出ていないか調べることで、腎臓の状態を把握できます。
妊娠高血圧腎症を経験した女性は、特に腎臓の働きに注意が必要です。
妊娠高血圧症候群は、その後のESKDの重要な危険因子として考慮すべきである。
引用:PubMed Central Preeclampsia and risk of end stage kidney disease: A Swedish nationwide cohort study
妊娠中に尿にタンパクが出ていた場合、腎臓にダメージが残っている可能性があります。
産後も定期的に腎臓の働きをチェックして、異常があれば早く対処することが大切です。
腎臓の働きがひどく低下すると、最終的には透析治療が必要になることもあります。
透析は生活の質に大きく影響するため、若いうちから血圧管理をしっかり行い、腎臓を守ることが大切です。
次の妊娠時にも高血圧になりやすくなる
産後の高血圧を適切に管理せず、慢性的な高血圧の状態で次の妊娠をすると、いろいろなリスクが生じます。
慢性的な高血圧を持っている女性が妊娠すると、妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなります。
慢性的な高血圧がある状態で妊娠すると、すでに血管にダメージがあるため、妊娠による負担がさらに加わると、血圧をコントロールするのが難しくなります。
重症化すると、胎盤の働きが低下して、赤ちゃんの成長に影響が出たり、早産のリスクが高まったりします。
また、高血圧が重症化すると、HELLP症候群という危険な合併症を引き起こすことがあります。
HELLP症候群は、血液中の赤血球が壊れたり、肝臓の数値が上がったり、血小板が減ったりする状態で、お母さんと赤ちゃんの両方に命の危険が及ぶ重大な病気です。
妊娠を希望する場合は、まず今の血圧をしっかりコントロールすることが大切です。
産後の高血圧が続いている場合は、医師に相談して、必要に応じて血圧を下げる薬を調整したり、生活習慣を改善したりしてから妊娠を計画することをおすすめします。
妊娠前から血圧が正常範囲にコントロールされていれば、妊娠中のリスクを大きく減らすことができます。
また、一度妊娠高血圧症候群を経験した方は、次の妊娠でも発症するリスクが15〜20%あるとされているため、より注意深い管理が必要です。
初回妊娠で妊娠高血圧腎症を発症した女性では2回目の妊娠でのリスクは14.7%、過去2回の妊娠で妊娠高血圧腎症を発症した女性では31.9%でした。
引用:British Medical Journal Risk of pre-eclampsia in first and subsequent pregnancies: prospective cohort study
産後の血圧を下げるには減塩・適度な運動・休息・場合によっては薬が必要
産後の高血圧に対しては、生活習慣の見直しが基本になります。
ただし、血圧の数値や症状によっては、薬での治療が必要になることもあります。
生活習慣の改善は、薬を使わずに血圧をコントロールできる可能性があり、副作用の心配もないため、まず取り組むべき方法です。
具体的には、食事の内容を見直すこと、適度に体を動かす習慣をつけること、十分に休むこと、ストレスを管理することなどが挙げられます。
これらは一つ一つは小さな変化でも、続けることで血圧に大きな効果をもたらします。
ただし、産後の忙しい時期に全てを完璧に実践するのは難しいため、できることから少しずつ始めることが大切です。
産後の血圧を下げる4つの柱
- 減塩(1日6g未満):塩分を控えることで体内の水分量を調整
- 適度な運動:血管を柔らかくし、血流を改善
- 十分な休息:自律神経を整え、血圧を安定させる
- 必要に応じて薬物療法:授乳中でも使える降圧薬がある
また、生活習慣の改善だけでは十分な効果が出ない場合や、血圧がかなり高い場合は、医師の判断で血圧を下げる薬が処方されることもあります。
授乳中でも使える薬があるため、過度に心配する必要はありません。
ここでは、産後の血圧を下げるための具体的な対策について、実践しやすい方法を紹介します。
塩分を1日6g未満に抑える食事の工夫
塩分を摂りすぎることは、高血圧の大きな原因の一つです。
塩分を摂りすぎると、体の中に水分が溜まり、血液の量が増えて血圧が上がります。
世界保健機関(WHO)は、大人の1日の塩分摂取量を5g未満にすることを推奨していますが、日本人の平均的な塩分摂取量は約10gと言われており、大幅に超えています。
高血圧の管理では、1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることが目標とされています。
これを実践するには、まず今の食生活でどのくらいの塩分を摂っているかを把握することが大切です。
主な調味料・食品に含まれる塩分量
| 食品・調味料 | 量 | 塩分量 |
|---|---|---|
| 醤油 | 大さじ1杯 | 約2.6g |
| 味噌汁 | 1杯 | 約1.5〜2g |
| 梅干し | 1個 | 約2g |
| インスタント麺 | 1食 | 約5〜6g |
| 食パン | 6枚切り1枚 | 約0.8g |
| ハム | 2枚 | 約0.5g |
日本の食事は、醤油、味噌、漬物、梅干しなど、塩分の多い食品がよく使われます。
例えば、醤油を大さじ1杯使うと約2.6gの塩分が含まれています。
味噌汁1杯でも約1.5〜2gの塩分があります。
これらを意識して減らすことが大切です。
- 調味料を減塩タイプに変える(減塩醤油、減塩味噌など)
- 昆布、かつお節、煮干しから天然のだしをしっかりとる
- レモン、お酢、柚子などの酸味を活用する
- 生姜、にんにく、唐辛子、胡椒などの香辛料を使う
- 新鮮なハーブ類で風味をつける
- 外食や加工食品を控える
- 栄養成分表示で塩分量を確認する習慣をつける
授乳中は水分摂取も大切ですが、塩分を減らすことで、体が余分な水分を溜め込みにくくなり、血圧の改善につながります。
最初は味が物足りなく感じるかもしれませんが、2〜3週間続けると、薄味に慣れてきて、素材本来の味がわかるようになります。
軽いウォーキングやストレッチから始める
運動は、血圧を下げる効果的な方法の一つです。
定期的に体を動かすと、血管が柔らかくなり、血の流れが良くなり、ストレスも軽くなります。
ただし、産後の体はまだ回復途中なので、無理のない範囲で少しずつ始めることが大切です。
産後の運動の始め方(段階的に)
| 時期 | おすすめの運動 |
|---|---|
| 産後1ヶ月 | 軽いストレッチ、深呼吸(ベッドの上でOK) |
| 産後1ヶ月健診後 | 赤ちゃんとの散歩(10〜15分) |
| 産後2〜3ヶ月 | ウォーキング(20〜30分)、骨盤底筋体操 |
| 産後3ヶ月以降 | ウォーキング(30分×週5日)、軽い筋トレ |
産後1ヶ月くらいは、体の回復を最優先にします。
この時期は、軽いストレッチや深呼吸など、ベッドの上でできる程度の軽い運動にとどめます。
会陰切開や帝王切開の傷がある場合は、特に気をつけて行います。
産後1ヶ月健診で医師から問題ないと言われたら、少しずつ運動量を増やしていきます。
まずは、赤ちゃんを抱っこしながらの散歩から始めるといいでしょう。
1日10分から15分くらいの散歩を、無理のないペースで行います。
赤ちゃんの散歩は、赤ちゃんにとってもいい刺激になるので、一石二鳥です。
ウォーキングは、高血圧に対して特に効果的な運動です。
一般的に、1回30分程度のウォーキングを週に5日程度行うと、血圧を5〜7mmHg程度下げる効果があるとされています。
メタ分析を用いたこれまでのレビュー研究では、高血圧患者における有酸素トレーニングへの反応として、収縮期血圧(SBP)が平均6.0~12.3 mmHg、拡張期血圧(DBP)が平均3.4~6.1 mmHg有意に低下したことが示されている
引用:Frontiers in Sports and Active Living Effects of Aerobic Training Progression on Blood Pressure in Individuals With Hypertension: A Systematic Review With Meta-Analysis and Meta-Regression
ただし、産後すぐにこの量を目指す必要はありません。
医師の許可を得たうえで、体調を見ながら少しずつ時間と回数を増やしていきます。
産後の骨盤底筋のトレーニングも大切です。
骨盤底筋は、出産でダメージを受けやすい部分です。
骨盤底筋体操(ケーゲル体操)は、寝た状態でも座った状態でもでき、尿漏れの予防にもなります。
骨盤底筋を鍛えることで、体の軸が安定して、他の運動もしやすくなります。
自宅でできるストレッチも効果的です。
特に、育児中は抱っこや授乳で同じ姿勢が続くため、肩や腰が凝りやすくなります。
肩を回す、首を伸ばす、腰をひねるなど、簡単なストレッチを1日に何回か行うだけでも、血の流れが良くなり、リラックス効果が得られます。
- 息が切れる
- ドキドキする(動悸)
- 胸が痛くなる
- めまいがする
- ふらつく
無理をせず、自分のペースで続けることが大切です。
また、血圧がとても高い状態(上の血圧が180以上など)では、激しい運動は危険なため、まず医師に相談してから運動を始めるようにします。
家族の協力を得て休息時間を確保する
産後の休息不足は、血圧が上がる大きな原因です。
しかし、赤ちゃんの世話で休む時間を取るのが難しいというのが現実です。
ここでは、限られた時間の中で、できるだけ質の良い休息を取るための工夫を紹介します。
- 「赤ちゃんが寝ているときは自分も寝る」を徹底
- 夜間授乳をパートナーと分担(ミルクの活用)
- 家事の優先順位を見直す(完璧を目指さない)
- 産後ヘルパーや家事代行サービスの利用を検討
- 地域の子育て支援センターを活用
- パートナーや家族に悩みを相談する
まず、「赤ちゃんが寝ているときは自分も寝る」という原則を意識しましょう。
赤ちゃんが昼寝をしている間に家事をしたくなりますが、血圧が高い状態では、自分の体の回復を優先することが大切です。
家事は最低限にして、休めるときは休むようにします。
パートナーや家族の協力を得ることも大切です。
夜中の授乳を全てお母さんが担うのではなく、ミルクを使える場合は、パートナーに夜の授乳を代わってもらい、まとまった睡眠時間を確保する方法もあります。
完全母乳を希望している場合でも、週に1〜2回はミルクを使って、お母さんがしっかり休む日を作ることも検討できます。
家事の分担も見直しましょう。
掃除や洗濯、料理などを全てお母さんが担う必要はありません。
パートナーや、できれば両親や義両親にも協力をお願いします。
産後ヘルパーや家事代行サービスを利用することも、一つの選択肢です。
ストレス管理も、血圧コントロールには欠かせません。
育児の悩みや不安を一人で抱え込まず、パートナーや友人、家族に話を聞いてもらうことで、気持ちが楽になることがあります。
地域の子育て支援センターや、産後ケアの施設を利用するのもいい方法です。
リラックスできる時間を意識的に作ることも大切です。
深呼吸やマインドフルネス、軽いヨガなど、短時間でできるリラックス方法を取り入れます。
好きな音楽を聴く、温かいお茶を飲む、アロマを焚くなど、自分がリラックスできる方法を見つけて、1日の中で少しでもそういう時間を持つようにします。
睡眠の質を上げる工夫も大切です。
寝室の環境を整え、暗く静かで快適な温度を保ちます。
寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は、ブルーライトの影響で睡眠の質が下がるため、控えめにします。
授乳で起きるのは避けられませんが、その間の睡眠をできるだけ深く、質の良いものにすることを心がけます。
授乳中でも使える降圧薬があるので医師に相談
生活習慣を改善しても血圧が十分に下がらない場合や、血圧がかなり高い場合(上の血圧が160以上、または下の血圧が100以上)は、薬での治療が必要になることがあります。
授乳中でも使える血圧を下げる薬はいくつかあるため、血圧が高い状態が続く場合は、医師に相談することが大切です。
授乳中に使用できる主な降圧薬
| 薬の種類 | 一般名 | 特徴 |
|---|---|---|
| α・β遮断薬 | ラベタロール | 心拍数や血管の状態を調節して血圧を下げる |
| カルシウム拮抗薬 | ニフェジピン | 血管を広げて血圧を下げる |
| 中枢性降圧薬 | メチルドパ | 妊娠中によく使用される。産後の長期使用は医師と相談 |
授乳中に比較的安全に使える血圧の薬として、ラベタロール、ニフェジピン、メチルドパなどがあります。
これらの薬は、母乳への移行が少ないか、移行しても赤ちゃんへの影響が最小限であることがわかっています。
ラベタロールは、α・β遮断薬と呼ばれるタイプで、心臓の動きや血管の状態を調節して血圧を下げます。
ニフェジピンは、カルシウム拮抗薬という種類で、血管を広げて血圧を下げる働きがあります。
メチルドパは、妊娠中から使われることが多い中枢性の降圧薬ですが、産後の長期使用については医師とよく相談することが大切です。
一方で、ACE阻害薬やARBと呼ばれる種類の血圧の薬については、薬剤ごとに扱いが異なります。
エナラプリルなど一部のACE阻害薬は授乳中でも使用できるとされていますが、ARBは授乳中のデータが少ないため慎重に扱われます。
血圧の薬を使い始めるときは、授乳を続けたいかどうかも含めて、医師とよく相談することが大切です。
母乳育児を強く希望する場合は、授乳に影響の少ない薬を選びます。
ミルクへの切り替えを検討できる場合は、より効果的な血圧の薬の選択肢が広がります。
薬を飲み始めたら、定期的に血圧を測って、効果を確認します。
また、めまい、ふらつき、ドキドキするなどの副作用が現れた場合は、すぐに医師に伝えます。
薬の量や種類の調整が必要になることもあるため、自分の判断で薬をやめたり、量を変えたりしないことが大切です。
血圧が十分に下がって、安定した状態が続いた場合は、医師の判断で少しずつ薬を減らしたり、やめたりすることもあります。
ただし、これも自分の判断では行わず、必ず医師の指示に従います。
血圧の薬を飲んでいる間も、生活習慣の改善は続けます。
薬だけに頼るのではなく、減塩、運動、ストレス管理などを並行して行うことで、より良い血圧コントロールができます。
よくある質問(FAQ)
- 産後の血圧はいつ測るのが良いですか
-
血圧は、1日の中で変わるため、できるだけ同じ時間に測ることをおすすめします。
朝起きてトイレに行った後、朝ごはんを食べる前に測るのが理想的です。
この時間は、1日の中で最も安定した状態で測れるためです。
また、夕方や寝る前にも測ると、1日の血圧の変化がわかります。
測るときは、5分くらい安静にしてから、リラックスした状態で行いましょう。
- 授乳中に降圧薬を飲んでも赤ちゃんに影響はありませんか
-
授乳中でも使える血圧の薬はいくつかあり、適切に選べば赤ちゃんへの影響は最小限に抑えられます。
ラベタロール、ニフェジピン、エナラプリルなどは、授乳中でも比較的安全に使用できるとされています。
ただし、人それぞれの状況によって最適な薬は違うため、必ず医師に相談して、授乳中であることを伝えた上で処方してもらうことが大切です。
- 血圧が高いとき、すぐに病院に行くべき症状はありますか
-
激しい頭痛、視界がぼやける、吐き気や嘔吐、胸の痛みや圧迫感、息が苦しい、手足がしびれる・力が入らないなどの症状がある場合は、すぐに病院を受診してください。
これらは、血圧がかなり高くなっているか、重い合併症が起きている可能性があります。
また、上の血圧が180以上、または下の血圧が120以上の場合も、速やかに受診が必要です。
- 妊娠中は血圧が正常だったのに、産後に高くなるのはなぜですか
-
妊娠中は、血管を広げるホルモンの影響で、血圧が一時的に変化することがあります。
妊娠前から軽度の高血圧傾向があっても、妊娠初期〜中期には気づかないことがあります。
産後、妊娠中のホルモンの影響がなくなると、血圧が上がりやすくなります。
また、産後の睡眠不足やストレス、ホルモンバランスの変化なども、血圧を上げる原因となります。
- 血圧を下げるサプリメントは効果がありますか
-
サプリメントの中には、血圧に対してある程度の効果が示されているものもありますが、薬のような確実な効果は期待できません。
また、授乳中は赤ちゃんへの影響を考える必要があるため、サプリメントの使用も慎重に判断すべきです。
血圧が高い場合は、まず生活習慣を改善して、必要に応じて医師に相談して適切な治療を受けることが最も確実な方法です。
- 産後の血圧が高いと、次の妊娠に影響しますか
-
産後の高血圧が慢性化している状態で次の妊娠をすると、妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなります。
次の妊娠を考えている場合は、まず今の血圧をしっかりコントロールすることが大切です。
妊娠前に血圧が正常範囲に安定していれば、妊娠中のリスクを大きく減らすことができます。
妊娠を希望するときは、事前に医師に相談して、血圧の状態を確認してもらうことをおすすめします。
まとめ
産後の血圧が高い状態は、一時的なものから慢性的なものまで、いろいろなケースがあります。
多くの場合、産後12週(約3ヶ月)以内に正常範囲に戻りますが、それを過ぎても続く場合は慢性的な高血圧の可能性があり、詳しい検査を受ける必要があります。
産後に血圧が高くなる主な原因は、妊娠中の血管への負担、ホルモンバランスの変化、睡眠不足、育児ストレス、体重増加、運動不足などが挙げられます。
これらの原因が重なり合って、血圧が上がりやすくなります。
高血圧を放置すると、脳卒中、心臓の病気、腎臓の働きの低下などの深刻な合併症を引き起こすリスクが高まります。
また、次の妊娠のときにも影響する可能性があるため、早めに対処することが大切です。
産後の血圧を下げるためには、減塩、適度な運動、十分な休息といった生活習慣の改善が基本になります。
1日の塩分摂取量を6g未満に抑え、軽いウォーキングやストレッチから少しずつ運動を始め、家族の協力を得て休息時間を確保することが大切です。
生活習慣の改善だけで十分な効果が得られない場合や、血圧がかなり高い場合は、医師に相談して薬での治療を検討します。
授乳中でも使える血圧の薬があるため、授乳を続けながら治療を受けることもできます。
産後の血圧管理は、自分自身の健康を守るだけでなく、赤ちゃんを育てていく上でも大切です。
定期的に血圧を測って、異常があれば早めに病院を受診しましょう。
気になる症状がある場合は、遠慮せずに医師に相談することをおすすめします。
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