40代の血圧の正常値はどれくらい?高血圧の基準と対策を解説

40代の血圧の正常値はどれくらい?高血圧の基準と対策を解説

40代になって健康診断で「血圧が少し高めですね」と言われ、不安に感じている方は少なくありません。

実は40代は、血圧が上がり始める重要な時期です。

厚生労働省の令和元年国民健康・栄養調査によれば、40代男性では約30.9%(およそ3人に1人)が高血圧(診察室血圧140/90mmHg以上または服薬中)に該当するとされています(女性では約9.0%)。

この記事では、医師の視点から40代の血圧について、わかりやすく解説します。

40代の血圧正常値と高血圧の基準
  • 正常血圧は病院で120/80mmHg未満、家庭で115/75mmHg未満
  • 高血圧の基準は病院で140/90mmHg以上、家庭で135/85mmHg以上
  • 40代の平均は男性120.7/76.9mmHg、女性113.7/71.0mmHg
  • 120〜139の正常高値・高値血圧は将来の高血圧リスクが約2倍になる

血圧は自覚症状がないまま高くなっていくため、「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」とも呼ばれています。

痛みやだるさといった症状がないため、自分では気づきにくいのです。

しかし放置すると、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気につながる可能性があります。

一方で、適切な知識を持ち、早めに対策を始めれば、将来のリスクを大きく減らすことが期待できます。

40代は、仕事では責任ある立場になり、家庭では子育てや親の介護など、多くの役割を担う時期です。

忙しい毎日の中でも実践できる血圧管理の方法を、ぜひこの記事で見つけてください。

この記事でわかること
  • 40代における血圧の正常値と高血圧の基準
  • なぜ40代から血圧が上がりやすくなるのか
  • 血圧120/60などの数値の意味
  • 今日から始められる具体的な血圧対策
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

40代の血圧正常値は120/80未満、30代より高くなりやすい

「血圧の正常値」と聞いても、具体的にどの数値を目指せばいいのか、よくわからない方も多いでしょう。

また、健康診断で「正常高値」と言われても、それが危ないのか安全なのか判断に迷うこともあります。

ここでは、40代の方が知っておくべき血圧の基準について、わかりやすく説明します。

さらに、なぜ40代になると30代よりも血圧が上がりやすくなるのか、その理由についても詳しく見ていきましょう。

血圧の数値を正しく理解することが、適切な健康管理の第一歩です。

40代の血圧の正常値について、まず基本的な数値を確認しておきましょう。

日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2019では、病院やクリニックで測定した血圧が120/80mmHg未満であれば正常血圧とされています。

測定場所による血圧の正常値の違い

測定場所正常血圧の基準高値血圧の基準
病院・クリニック120/80mmHg未満125/75mmHg以上
家庭115/75mmHg未満125/75mmHg以上

家庭で自分で測る場合は、緊張していない分だけ少し低めになるため、115/75mmHg未満が正常血圧とされています。

なお、家庭血圧で125/75mmHg以上は「高値血圧」に分類されます。

40代になると、30代と比べて血圧が上がりやすくなります。

これは誰にでも起こる自然な変化です。

厚生労働省の令和5年国民健康・栄養調査のデータを見ると、40代男性の血圧の平均は上が120.7mmHg、下が76.9mmHgです。

40代女性では上が113.7mmHg、下が71.0mmHgとなっています(服薬者含む)。

つまり、40代の男性では既に「正常よりやや高め」の範囲に入っている方が多いということです。

40代の血圧平均値(服薬者含む)

区分収縮期血圧(上)拡張期血圧(下)
40代男性120.7 mmHg76.9 mmHg
40代女性113.7 mmHg71.0 mmHg

なぜ年齢とともに血圧が上がるのでしょうか。

これは血管の老化が関係しています。

若いころの血管は、ゴムホースのように柔らかく弾力があります。

しかし年を重ねると、血管は少しずつ硬くなっていきます。

硬くなった血管では、血液を体の隅々まで送るのに、より強い力が必要になります。

そのため、心臓がより強く血液を押し出す必要が生じ、血圧が上がってしまうのです。

アメリカ心臓協会の研究でも、この血管の変化が血圧上昇の主な原因の一つであることが確認されています。

血圧の数値「120/80」の見方を理解しよう

血圧を測ると、「120の80です」というように、二つの数字で表されます。

この二つの数字には、それぞれ違う意味があります。

最初の数字(例えば120)は「上の血圧」と呼ばれ、正式には収縮期血圧といいます。

これは、心臓がギュッと縮んで血液を全身に勢いよく送り出す瞬間の血圧です。

イメージとしては、ポンプを力いっぱい押したときのような状態です。

後の数字(例えば80)は「下の血圧」と呼ばれ、正式には拡張期血圧といいます。

これは、心臓が広がって次の収縮に備えているときの血圧です。

つまり、心臓が休んでいるときの、血管にかかる最低限の圧力を示しています。

血圧の数値が表す意味

数値呼び方正式名称意味
上の数値(例:120)上の血圧収縮期血圧心臓が縮んで血液を送り出す瞬間の血圧
下の数値(例:80)下の血圧拡張期血圧心臓が広がって休んでいるときの血圧

血圧の単位は「mmHg(ミリメートル・エイチ・ジー)」と読みます。

これは水銀柱ミリメートルの略で、血液が血管の壁を押す力の強さを表しています。

少し難しい単位ですが、「数値が大きいほど、血管への負担が大きい」と理解していただければ十分です。

40代で特に気をつけたいのは、上の血圧だけが高くなるケースです。

例えば「150/70」のように、上は高いのに下はそれほど高くないという状態です。

これは「孤立性収縮期高血圧」と呼ばれ、血管が硬くなっている可能性を示すサインの一つです。

もしこのような数値が続く場合は、早めに医療機関に相談することをお勧めします。

高血圧は140/90以上から、正常高値は120〜139の間

「自分の血圧は高いのか、それとも正常なのか」と不安に思っている方も多いでしょう。

血圧には明確な基準があり、その基準を知ることで、今の自分の状態を正しく把握できます。

また、高血圧と診断される手前の「グレーゾーン」にも注意が必要です。

この段階で適切な対策を始めることが、将来の健康を守る鍵となります。

ここでは、血圧の分類と、それぞれの段階で何に気をつけるべきかを詳しく解説します。

特に40代の方にとって重要な「正常高値血圧」や「高値血圧」についても、わかりやすく説明していきます。

では、どの数値から「高血圧」と判断されるのでしょうか。

日本高血圧学会のガイドラインと世界保健機関(WHO)のガイドラインによれば、病院やクリニックで測定した血圧が140/90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。

家庭で測る場合は135/85mmHg以上が高血圧の基準です。

大切なのは、正常な血圧と高血圧の間に、注意が必要な段階があることです。

血圧は次のように分類されています。

血圧の分類と対応

分類診察室血圧の基準状態対応
正常血圧120/80未満理想的な状態現状維持
正常高値血圧上が120〜129で下が80未満少し注意が必要生活習慣の見直し
高値血圧上が130〜139、または下が80〜89かなり注意が必要積極的な生活習慣改善
高血圧140/90以上治療が必要な段階医療機関受診

「正常高値血圧」や「高値血圧」と言われた場合、まだ高血圧とは診断されませんが、油断は禁物です。

この段階の方は、将来的に高血圧になる可能性が高いことが研究でわかっています。

実際、横浜市立大学の研究では、正常高値血圧の段階から脳・心血管疾患の発症リスクが正常血圧と比べて約2倍に上昇することが報告されています。

高血圧になると、その重さによってさらに細かく分類されます。

高血圧の重症度分類(日本高血圧学会)

分類診察室血圧の基準重症度対応の緊急性
Ⅰ度高血圧140〜159/90〜99mmHg軽度生活習慣改善を優先、経過観察
Ⅱ度高血圧160〜179/100〜109mmHg中等度早めの治療介入が必要
Ⅲ度高血圧180/110mmHg以上重度早急な対応が必要

病院で測った血圧が140〜159/90〜99mmHgを「Ⅰ度高血圧(軽度)」、160〜179/100〜109mmHgを「Ⅱ度高血圧(中等度)」、180/110mmHg以上を「Ⅲ度高血圧(重度)」と呼びます。

数値が高いほど、早急な対応が必要になります。

アメリカ心臓協会(AHA/ACC)の2025年版ガイドラインでも段階的な分類を行っていますが、米国ではStage 1高血圧の基準が130–139/80–89mmHgです。

このように、日本の「高値血圧」に相当する範囲から治療介入が推奨されるなど、診断・治療の閾値が日本とは異なります。

40代は生活習慣の見直しが特に重要な時期

40代は、高血圧の予防において極めて重要な時期です。

この年代で血圧が高めになっている場合、今すぐ生活習慣を見直すことで、将来の健康リスクを大きく減らせる可能性があります。

厚生労働省の標準的な健診・保健指導プログラムのフィードバック文例では、軽度の高血圧(140〜159/90〜99mmHg)の段階では、まず生活習慣の改善に取り組み、おおむね1か月後に再検査することが推奨されています。

この期間に塩分を控える、適度に運動する、禁煙するといった努力をして、血圧の変化を見ていきます。

実は、薬を使わずに生活習慣を変えるだけで血圧が下がる方も少なくありません。

ただし、糖尿病や腎臓の病気などを既に持っている場合や、過去に心臓病や脳卒中になったことがある場合は、すぐに薬による治療が必要になることもあります。

また、血圧が160/100mmHg以上の場合は、生活習慣の改善と同時に、すぐに病院を受診して薬を始めることが勧められています

40代の男性と女性では、血圧が上がるタイミングや理由に少し違いがあります。

40代の男女別・血圧上昇の特徴

性別血圧上昇の時期主な要因
男性40代前半から肥満の増加、メタボリックシンドローム
女性更年期以降女性ホルモン(エストロゲン)の減少

男性は40代前半から血圧が上昇し始める傾向があり、これには太りやすくなることや、メタボリックシンドロームの増加が関係していると考えられています。

一方、女性は閉経前であれば、女性ホルモン(エストロゲン)の働きで血圧が比較的安定していることが多いです。

しかし、更年期に入ると女性ホルモンが減少し、急激に血圧が上がることがあります。

国際的な研究でも、女性ホルモンが血管を柔らかく保ち、血圧を下げる働きをしていることが確認されています。

エストロゲンは、血管拡張、動脈損傷に対する治癒促進、動脈側副血行路の増殖、動脈硬化予防など、動脈疾患に対する多くの有益な効果を発揮します。

引用:Multidisciplinary Digital Publishing Institute The Impact of Estrogen Receptor in Arterial and Lymphatic Vascular Diseases

40代で血圧が上がる3つの理由は血管の老化・ストレス・代謝の低下

「30代までは問題なかったのに、40代になって急に血圧が上がってきた」という方は少なくありません。

これは決して珍しいことではなく、40代特有の体の変化が関係しています。

血圧が上がる原因を理解することで、効果的な対策を立てることができます。

ここでは、40代で血圧が上昇する三つの主な理由について、わかりやすく解説します。

これらの要因は単独で働くのではなく、互いに影響し合いながら血圧を押し上げていきます。

自分の生活を振り返りながら、当てはまるものがないか確認してみてください。

40代になると血圧が上がりやすくなるのには、主に三つの理由があります。

これらは別々に働くのではなく、お互いに影響し合いながら血圧を上げていきます。

40代で血圧が上がる3つの理由
  1. 血管の老化
  2. 日常生活におけるストレスの増加
  3. 基礎代謝の低下

血管の老化

血管は年齢とともに硬くなっていきます。

20代や30代のころの血管は、ゴムホースのようにしなやかで、心臓から送られる血液の勢いを柔軟に受け止めることができます。

ところが40代になると、血管の壁が少しずつ硬くなっていきます

これは、血管を作っている成分が変化するためです。

硬くなった血管では、血液を体の隅々まで届けるのに、より強い力が必要になります。

例えば、柔らかいホースなら弱い力で水を送れますが、硬いパイプだと強い力で押し込まないといけないのと同じです。

そのため、心臓がより強く血液を押し出す必要が生じ、結果として血圧が上がってしまうのです。

日常生活におけるストレスの増加

40代は、仕事では管理職として責任が重くなり、家庭では子どもの教育費や親の介護など、お金や時間の面で負担が増える時期です。

このような状況では、知らず知らずのうちにストレスが溜まっていきます

ストレスを感じると、体は「戦う準備」をしようとして、コルチゾールやアドレナリンというホルモンを出します。

これらのホルモンは血管を縮める働きがあります。

血管が縮むと、同じ量の血液を送るのにより高い圧力が必要になるため、血圧が上がります

一時的なストレスなら問題ありませんが、毎日のようにストレスを感じていると、血管が縮んだ状態が続き、血圧が高い状態が維持されてしまいます。

例えば、毎朝の満員電車、上司との人間関係、夜遅くまでの残業といった小さなストレスの積み重ねが、じわじわと血圧を押し上げていくのです。

基礎代謝の低下

基礎代謝とは、何もしなくても体が消費するエネルギーのことです。

研究によれば、20代から60代では基礎代謝率そのものは比較的安定していますが、40代では筋肉の量が減少する傾向や、身体活動量が低下することにより、エネルギー消費が落ちやすくなります

ただし、個人差が大きく、運動習慣の維持によって代謝の低下を抑えることが可能です。

太ると血圧が上がりやすくなります。

これは、体が大きくなった分、より多くの血液を全身に送る必要があるためです。

また、お腹まわりの脂肪(内臓脂肪)が増えると、血圧を上げる物質が体の中で作られやすくなることもわかっています。

40代は生活習慣病の分かれ道

40代は、50代、60代以降の健康を左右する、人生の大きな分かれ道です。

この時期の血圧管理が、将来の健康を決めると言っても過言ではありません。

世界疾病負荷研究(GBD 2019)によれば、高血圧は心臓病、脳卒中、腎臓病などの大きな原因となっており、世界中で年間1,000万人以上の命を奪っています

これは非常に衝撃的な数字です。

しかし、40代のうちに適切な対策を始めれば、これらのリスクを大幅に減らすことができます。

アメリカで行われたSPRINT試験(収縮期血圧介入試験)では、収縮期血圧を120mmHg未満に厳格管理することで、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントのリスクを約25%減らせることが示されました。

4人のうち1人が助かるということです。

SPRINT試験の結果

項目強化治療群
(目標120mmHg未満)
標準治療群
(目標140mmHg未満)
ハザード比95%信頼区間リスク低減
主要転帰の発生率1.77%/年2.40%/年0.730.63~0.86約27%
全死因死亡率1.06%/年1.41%/年0.750.61~0.92約25%

これは決して小さくない数字です。

40代で血圧が高めになっても、まだ間に合います。

この年代では、血管や心臓がまだ完全には傷んでいないことが多く、生活習慣を改善することで状態を良くできる可能性が十分に残されています。

逆に、「まだ若いから大丈夫」と放置してしまうと、50代、60代になったときに、より深刻な高血圧や、それによる合併症のリスクが高まってしまいます。

今から対策すれば改善できる理由は、体にはまだ回復する力が残っているためです。

タバコをやめる、塩分を控える、適度に運動するといった生活習慣の改善は、傷んだ血管を修復し、血管の柔らかさを取り戻す助けとなります。

また、ストレスを減らしたり、しっかり眠ったりすることも、自律神経のバランスを整え、血圧を安定させる効果が期待できます。

40代からの血圧対策は減塩・適度な運動・ストレス管理が鍵

血圧が高めだと言われても、「何から始めればいいのかわからない」と悩む方は多いでしょう。

実は、血圧を下げるために特別なことをする必要はありません。

日常生活の中でできる工夫を、少しずつ取り入れていくだけで効果が期待できます。

ここでは、40代から始める血圧対策の三本柱である「減塩」「適度な運動」「ストレス管理」について、具体的な方法をわかりやすく解説します。

完璧を目指す必要はありません。

できることから一つずつ始めて、無理なく続けられる方法を見つけていきましょう。

忙しい40代でも実践できる、効果的な血圧管理の方法をご紹介します。

血圧を正常範囲に保つための対策は、決して難しいものではありません。

「今日から」「少しずつ」始められる工夫がたくさんあります。

血圧管理の三本柱
  1. 減塩
  2. 適度な運動
  3. ストレス管理

まず最も効果的なのが、塩分を減らすことです。

日本人の高血圧には、食塩の過剰摂取が主要な要因の一つとして知られています。

私たちは気づかないうちに、かなりの量の塩分を摂っているのです。

1日の食塩摂取量の目標値

推奨機関男性女性備考
厚生労働省7.5g未満6.5g未満一般的な目標
日本高血圧学会6g未満6g未満より厳格な目標
WHO5g未満5g未満国際基準(小さじ1杯弱)

厚生労働省によれば、1日の食塩摂取の目標量は、男性で7.5g未満、女性で6.5g未満ですが、実際には多くの方がこれを超えています。

日本高血圧学会では、さらに厳しく1日6g未満を推奨しています。

世界保健機関(WHO)は、すべての成人に対して1日5g未満(小さじ1杯弱)を推奨しています。

今日から始められる減塩のコツ
  • 醤油やソースは「かける」より「つける」(塩分が半分以下に)
  • ラーメンやうどんのスープは全部飲まずに残す
  • 漬物は1回の食事で1品だけにする
  • 加工食品(ハム、ソーセージ、練り物など)を控えめにする
  • だしの旨味をしっかり効かせる
  • お酢やレモンの酸味を使う
  • ニンニク、生姜、コショウなどの香辛料で味にアクセントをつける

減塩のコツは、調味料の使い方を少し工夫することです。

例えば、醤油やソースを料理に直接かけるのではなく、小皿に少し取って「つけて食べる」だけで、塩分摂取量を半分以下に減らせます

ラーメンやうどんのスープは全部飲まずに残す、漬物は1回の食事で1品だけにする、加工食品(ハムやソーセージ、練り物など)を控えめにするといった工夫も効果的です。

また、だしの旨味をしっかり効かせる、お酢やレモンの酸味を使う、ニンニクや生姜、コショウなどの香辛料で味にアクセントをつけるといった方法を使えば、塩分を減らしても美味しく食べることができます。

最初は「味が薄い」と感じるかもしれませんが、2〜3週間続けると味覚が慣れてきて、素材の味を楽しめるようになります

次に大切なのが、適度な運動です。

アメリカ心臓協会のガイドラインでは、週に150分以上の適度な運動が推奨されています。

これは、1日30分のウォーキングを週5日行うことに相当します。

「1日30分」と聞くと大変に感じるかもしれませんが、朝10分、昼休みに10分、帰宅後10分と分けてもOKです。

運動には血圧を下げる効果があり、続けることで上の血圧を5〜8mmHg程度下げることが期待できます。

平均すると、高血圧の成人では5~8mmHg(安静時血圧の4~6%)と最も血圧が低下し、次いで前高血圧の成人では2~4mmHg(安静時血圧の2~4%)、正常血圧の成人では1~2mmHg(安静時血圧の1~2%)と続きます。

引用:American College of Sports Medicine What’s New in the ACSM Pronouncement on Exercise and Hypertension?

ジムに通わなくても、日常生活の中で体を動かす機会を増やすだけで十分です。

日常生活でできる運動の工夫
  • エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う
  • 一駅分歩く
  • テレビを見ながらストレッチをする
  • 通勤時に一駅手前で降りて歩く
  • 昼休みに10〜15分散歩する
  • 1時間に1回は立ち上がって軽く体を伸ばす

例えば、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う、一駅分歩く、テレビを見ながらストレッチをする、といった「ちょっとした運動」を積み重ねることが大切です。

そして、ストレス管理も忘れてはいけません。

ストレスを完全になくすことは不可能ですが、上手に付き合う方法はあります。

効果的なストレス管理法
  • 深呼吸をする
  • 瞑想やヨガをする
  • 好きな音楽を聴く
  • お風呂にゆっくり浸かる
  • 趣味の時間を持つ
  • 7〜9時間の睡眠をとる
  • 寝る前にカフェインを摂らない
  • スマートフォンを見ないで目を休める
  • 寝室を暗く静かに保つ

深呼吸をする、瞑想やヨガをする、好きな音楽を聴く、お風呂にゆっくり浸かる、趣味の時間を持つなど、自分に合ったリラックス法を見つけることが大切です。

また、十分な睡眠をとることも重要です。

睡眠不足は体にストレスをかけ、血圧を上げる原因になります。

理想は7〜9時間の睡眠ですが、難しい場合は睡眠の質を高める工夫をしましょう。

寝る前にカフェインを摂らない、スマートフォンを見ないで目を休める、寝室を暗く静かに保つなど、ぐっすり眠れる環境を整えることが大切です。

40代のライフスタイルに合わせた血圧管理

40代の忙しい生活の中でも、無理なく続けられる血圧管理の方法があります。

完璧を目指す必要はありません。

できることから少しずつ始めていきましょう。

外食が多い方へ

外食時の賢い選択
  • 丼ものより小鉢の多い和定食を選ぶ
  • 野菜の小鉢を追加する(カリウムを摂取)
  • 麺類は食べても汁は残す
  • コンビニでは栄養成分表示の「食塩相当量」をチェック
  • サラダやおひたしなどの野菜料理を一品追加する

定食屋では、丼ものより小鉢の多い和定食を選びましょう。

野菜の小鉢が多いと、塩分を体の外に出す働きのあるカリウムを摂ることができます。

ラーメンやうどんを食べるときは、麺は食べても汁は残すようにしましょう。

実は麺類の塩分の多くは汁に含まれています

コンビニで食事を買うときは、パッケージの裏にある栄養成分表示で「食塩相当量」をチェックする習慣をつけると良いでしょう。

サラダやおひたしなどの野菜料理を一品追加するだけでも、栄養バランスが改善されます。

デスクワーク中心の方へ

デスクワーク中心の方向けの運動習慣
  • 昼休みに10〜15分歩く
  • 通勤時に一駅分歩く
  • エレベーターではなく階段を使う
  • 1時間に1回は立ち上がって軽く体を伸ばす
  • 会議の合間にストレッチをする

一日中座りっぱなしでは、運動不足になってしまいます。

昼休みに10〜15分歩く、通勤時に一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使うなど、日常の中に運動を組み込む工夫をしましょう。

また、1時間に1回は立ち上がって軽く体を伸ばすだけでも、血流が良くなり効果があります

ジムに通う時間がなくても、こうした「生活の中の運動(生活活動)」を増やすだけで、十分に効果が期待できます。

特別な運動着も、高価な器具も必要ありません。

睡眠時間の確保が難しい方へ

厚生労働省の調査では、40代は最も睡眠時間が短い年代の一つとされています。

仕事や家事で忙しく、つい夜更かしをしてしまう方も多いでしょう。

睡眠不足は、体を緊張状態にして血圧を上げる原因になります。

睡眠の質を高める工夫
  • 寝る1時間前にはスマートフォンやパソコンの画面を見ない
  • 寝室の照明を暗くする
  • 寝る前にカフェインやアルコールを控える
  • 寝室の温度を快適に保つ
  • 就寝時刻をできるだけ一定にする

理想は7〜9時間の睡眠ですが、難しい場合でも睡眠の「質」を高める工夫をしてみましょう。

寝る1時間前にはスマートフォンやパソコンの画面を見ないようにする、寝室の照明を暗くする、寝る前にカフェインやアルコールを控えるといった工夫で、短い時間でも深く眠れるようになります。

よくある質問(FAQ)

40代で血圧120/60は問題ありませんか?

血圧120/60mmHgは、日本高血圧学会の分類では「正常高値血圧」(上120–129かつ下<80)に該当します。

上の血圧が120は正常血圧の上限(120mmHg未満)に達していますが、下の血圧が60と低く、自覚症状がなければ多くの場合問題ありません。

健康診断でこの数値が出たら、今の生活習慣を維持しつつ、定期的に血圧を測定していきましょう。

ただし、正常高値血圧は将来的に高血圧へ移行しやすい段階ですので、定期的な測定と生活習慣の維持が大切です。

立ちくらみなどの症状がある場合は、医療機関への相談をお勧めします。

30代は正常だったのに40代で急に高くなるのはなぜですか?

これは誰にでも起こりうる自然な変化です。

主な理由は三つあります。

40代で血圧が上がる主な理由
  1. 血管の老化:40代になると血管の弾力が失われ始め、血液を送るのにより強い力が必要になる
  2. 基礎代謝の低下:30代のころと同じ量を食べていても体重が増えやすくなり、血圧も上がりやすくなる
  3. 仕事や家庭でのストレスの増加:責任が重くなり、人間関係も複雑になる40代では、知らず知らずのうちにストレスが溜まり、それが血圧上昇につながる

女性の場合は、更年期に向けて女性ホルモンが減り始めることも影響します。

女性ホルモンには血圧を下げる働きがあるため、それが減ると血圧が上がりやすくなるのです。

40代から高血圧になった場合、薬は一生飲み続けるのでしょうか?

必ずしも一生飲み続ける必要はありません。

軽度の高血圧であれば、生活習慣の改善(塩分を減らす、運動する、体重を減らすなど)によって血圧が正常範囲に戻り、薬を減らしたり、やめたりできる可能性があります。

実際に、食事や運動に気をつけて体重を5kg減らしたら、薬が必要なくなったという方もいらっしゃいます。

ただし、薬をやめるかどうかは、必ず医師と相談してから決めてください

自分の判断で勝手に薬をやめると、血圧が急激に上がって危険な場合があります。

まずは医師に「将来的に薬を減らすことはできますか?」と相談してみましょう。

そのうえで、生活習慣の改善に取り組んでいくことが大切です。

40代のうちに血圧を下げておくべき理由は何ですか?

高血圧の期間が長ければ長いほど、血管や心臓、腎臓などの臓器が傷んでいきます。

例えば、40代から60代まで20年間高血圧を放置した場合と、40代で対策して血圧を下げた場合では、60代での健康状態に大きな差が出ます。

具体的には、適切に血圧を管理することで、50代、60代以降の脳卒中(脳梗塞や脳出血)、心筋梗塞、心不全、腎不全などのリスクを大幅に減らすことができます。

これらの病気は、命に関わったり、重い後遺症が残ったりする可能性があります。

また、40代はまだ血管に回復する力が残っている時期です。

50代、60代になってから対策を始めるよりも、40代で始めたほうが効果が出やすいという利点もあります。

「今ならまだ間に合う」のが40代なのです。

家族に高血圧の人がいる40代は特に注意が必要ですか?

はい、特に注意が必要です。

高血圧には遺伝的な要素もあり、両親や兄弟姉妹に高血圧の方がいる場合、自分も高血圧になるリスクが高くなります。

親や兄弟が高血圧だと、そうでない人に比べて約2倍高血圧になりやすいというデータもあります。

ただし、「家族に高血圧がいる=自分も必ず高血圧になる」というわけではありません。

生活習慣に気をつけることで、発症を予防したり、発症する時期を遅らせたりすることができます。

家族歴がある方は、より早めに、より積極的に血圧測定を行い、早期発見・早期対策を心がけることが大切です。

20代、30代のうちから定期的に血圧を測る習慣をつけておくと良いでしょう。

また、生活習慣(塩分、運動、体重管理など)にも、他の人以上に気を配ることをお勧めします。

まとめ

40代は血圧管理の重要な分岐点です。

この時期に血圧が高めになっていても、適切な対策を始めることで、将来の健康リスクを大きく減らすことができます。

血圧の正常値は、病院で測って120/80mmHg未満、家庭で測って115/75mmHg未満です。

高血圧の診断基準は、病院で測って140/90mmHg以上、家庭で測って135/85mmHg以上となっています。

40代の平均血圧は既に「正常よりやや高め」に入る方が多く、この年代から血圧を意識することが極めて重要です。

今日から始められる対策として、以下のことに取り組みましょう。

今日から始められる血圧対策
  • 減塩:1日の食塩摂取を6g未満に抑える。醤油は「かける」より「つける」、麺類の汁は残す、加工食品を控えめにする
  • 適度な運動:1日30分程度のウォーキングを週5日。階段を使う、一駅分歩くなど、日常の中で体を動かす
  • ストレス管理:深呼吸、趣味の時間、十分な睡眠など、自分に合ったリラックス法を見つける
  • 体重管理:太りやすい40代だからこそ、体重の変化に気をつける

これらは決して難しいことではなく、日常生活の中で少しずつ取り入れていくことができます。

完璧を目指す必要はありません。

できることから、少しずつ始めていきましょう。

そして、定期的な血圧測定も忘れずに行いましょう

できれば家庭用の血圧計を用意し、朝と夜の1日2回測定する習慣をつけることをお勧めします。

朝は起きてから1時間以内にトイレを済ませた後、朝食前に測ります。

夜は寝る前に測ります。

測った血圧は記録しておくと、医師に相談する際に役立ちます。

血圧が気になる場合や、生活習慣を改善しても十分に下がらない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

「まだ大丈夫」と思っているうちに、気づいたら手遅れになっていたというケースも少なくありません。

医師による適切な評価と指導を受けることで、より効果的な血圧管理が可能になります。

40代のうちから血圧をしっかり管理することが、50代、60代以降の健康で充実した人生を送るための鍵となります。

今日からできることを、一つずつ始めていきましょう。

参考文献・参考サイト

e-Stat(政府統計の総合窓口) 国民健康・栄養調査22-1 血圧の状況 – 年齢階級,日本高血圧学会による血圧の分類別,人数,割合 – 総数・男性・女性,20歳以上〔血圧を下げる薬の使用者含む・含まない〕

特定非営利活動法人 日本高血圧学会「一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子

e-Stat(政府統計の総合窓口) 国民健康・栄養調査 / 令和5年国民健康・栄養調査

American Heart Association Journals Aging, Arterial Stiffness, and Hypertension

The American Journal of Medicine Isolated Systolic Hypertension: An Update After SPRINT

World Health Organization Hypertension

YCU Research Portal 少し高い血圧でも脳・心血管疾患のリスクは2倍に —就労世代8万人の大規模調査から報告

American Heart Association Journals 2025 AHA/ACC/AANP/AAPA/ABC/ACCP/ACPM/AGS/AMA/ASPC/NMA/PCNA/SGIM Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation and Management of High Blood Pressure in Adults: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Joint Committee on Clinical Practice Guidelines

厚生労働省「標準的な健診・保健指導 プログラム

特定非営利活動法人 日本高血圧学会「特定健診における受診勧奨判定値についての正しいご理解を

Multidisciplinary Digital Publishing Institute The Impact of Estrogen Receptor in Arterial and Lymphatic Vascular Diseases

Science Daily energy expenditure through the human life course

The Lancet Global burden of 87 risk factors in 204 countries and territories, 1990–2019: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019

New England Journal of Medicine 強化血圧コントロールと標準血圧コントロールの比較試験の最終報告

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント

特定非営利活動法人 日本高血圧学会 さあ、減塩!(減塩・栄養委員会から一般のみなさまへ)

World Health Organization Sodium reduction

特定非営利活動法人 日本高血圧学会「ナトリウム(食塩)の減らし方

厚生労働省「ナトリウム(食塩)と カリウムを測って健康に – ナトカリ 手帳

American Heart Association American Heart Association Recommendations for Physical Activity in Adults and Kids

American College of Sports Medicine What’s New in the ACSM Pronouncement on Exercise and Hypertension?

American Heart Association Journals Effect and Acceptability of Mindfulness-Based Stress Reduction Program on Patients With Elevated Blood Pressure or Hypertension

American Heart Association Life’s Essential 8

American Heart Association Understanding Blood Pressure Readings

JAMA Sodium Reduction and Weight Loss in the Treatment of Hypertension in Older Persons: A Randomized Controlled Trial of Nonpharmacologic Interventions in the Elderly (TONE) 

American Heart Association Journals Impact of Hypertension Duration on the Cardiovascular Benefit of Intensive Blood Pressure Control

PubMed Family history of hypertension and blood pressure in a screened cohort

この記事を書いた人

伊藤 信久のアバター 伊藤 信久 医師・グレースメディカルクリニック院長

福岡県出身。鹿児島大学医学部卒業後、大学病院の心臓外科に勤務。冠動脈バイパス術・弁置換術などの高度な心臓手術を多数担当。
その後、恩師が開業したクリニックで一次診療に従事。地域医療の最前線で多くの患者と向き合う中で「患者さんに最も近い距離で診療すること」の重要性を再認識し、開業医として地域医療に貢献することを決意。2014年に熊本市でグレースメディカルクリニックを開設した。現在は院長として、高血圧をはじめとする循環器・生活習慣病の診療に注力。心臓外科で培った循環器の知見を活かし、「血圧から全身を守る医療」をモットーに地域の健康づくりと啓発活動を続けている。

主な資格・所属学会
・日本外科学会
・日本循環器学会
・点滴療法研究会

地域の“かかりつけ医”として、高血圧を中心とした生活習慣病の早期発見と予防、継続的な血圧管理に力を注ぎ、患者一人ひとりの「より良い血圧コントロールと健康」の実現を目指している。

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