よもぎは高血圧に効果がある?期待される効能と注意点を医師が解説

よもぎは高血圧に効果がある?期待される効能と注意点を医師が解説

よもぎは古くから日本の食文化や民間療法で親しまれてきた植物です。

春の野山で摘まれたよもぎは、よもぎ餅や草団子として食卓に上がり、またよもぎ茶として健康維持に利用されてきました。

最近では健康志向の高まりとともに、よもぎの持つ様々な健康効果が再び注目を集めています。

特に高血圧に悩む方の中には、血圧の薬に頼るだけでなく、自然の力も取り入れたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。

インターネット上では「よもぎが高血圧に良い」といった情報を目にすることもあり、実際のところどうなのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

よもぎの高血圧に対する効能
  • カリウムが余分な塩分を排出し血圧を下げる可能性がある
  • 食物繊維が血管の健康維持やコレステロール調整を支援
  • フラボノイドによる血管拡張作用と血流改善効果
  • 抗酸化成分が血管の老化や動脈硬化を予防する
  • 香り成分による血管拡張作用などでストレス緩和の可能性

しかし、よもぎと高血圧の関係については、正しい情報を知らないまま過度な期待を抱いてしまうと、かえって適切な治療の機会を逃してしまう危険性もあります。

また、よもぎにも注意すべき点があり、すべての方に適しているわけではありません。

特に血圧の薬を飲んでいる方や、特定のアレルギーをお持ちの方は、よもぎを摂取する前に知っておくべき情報があります。

この記事では、よもぎと高血圧の関係について、科学的な研究データをもとに医師の立場から詳しく解説します。

よもぎに含まれる栄養成分の実際の働き、期待できる健康効果とその根拠、摂取する際に必ず守るべき注意点、そして日常生活への具体的な取り入れ方まで、高血圧が気になる方に役立つ情報を包括的にお届けします。

結論から申し上げますと、よもぎには血圧に良い影響を与える可能性のある栄養成分が含まれていますが、よもぎだけで血圧が下がるという確実な証拠はまだ十分ではありません。

高血圧の治療には医師の指導のもとで適切な治療を受けることが最も重要であり、よもぎはあくまで補助的な健康習慣の一つとして考えていただくのが適切です。

この記事でわかること
  • よもぎに含まれる血圧に関わる成分と科学的根拠
  • よもぎが体に与える可能性のある良い影響
  • よもぎを摂る際に注意すべきポイント
  • 高血圧対策としてよもぎを取り入れる具体的な方法
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

よもぎには血圧に良い可能性のある栄養素が含まれている

よもぎは栄養価の高い植物として古くから利用されてきました。

ビタミン類、ミネラル、食物繊維、そして様々な植物由来の健康に良い成分を含んでいます。

その中でも特に高血圧と関連する可能性のある成分として注目されているのが、カリウムや食物繊維といった栄養素です。

これらの成分は、それぞれが血圧を整えることに関わる可能性のある働きを持っています。

カリウムは体内の塩分のバランスを調整し、食物繊維は血管の健康を保つ手助けをします。

ただし重要なのは、これらの成分が「よもぎに含まれている」ことと、「よもぎを食べることで血圧が下がる」ことは別の話だということです。

ここでは、よもぎに含まれる主な栄養素について、科学的な研究データを基に詳しく見ていきます。

それぞれの成分がどのような働きを持つのか、そして実際に人間の体にどの程度の効果が期待できるのかを、冷静に評価していきましょう。

カリウムや食物繊維など血圧に関わる成分が豊富

よもぎにはカリウムや食物繊維といった、血圧の管理に大切な栄養素が含まれています。

カリウムは、体の中の余分な塩分を外に出す手助けをしてくれるミネラルです。

私たちは普段の食事で塩分を摂りすぎてしまいがちですが、カリウムはその塩分を尿として体の外に出すことで、血圧を下げる働きが期待できます。

よもぎに含まれる主な栄養成分と期待される効果

栄養成分含有量の目安期待される効果
カリウム約890mg/100g体内の余分な塩分を排出し、血圧を下げる可能性
食物繊維乾燥重量の約40〜50%血管の健康維持、コレステロールや血糖値の調整
フラボノイド類(ケルセチン、ルテオリンなど)抗酸化作用、血管機能の改善の可能性
ビタミン類(ビタミンA、C、B群など)全身の健康維持、代謝のサポート
カリウム摂取による血圧低下効果(2017年のメタ解析報告
  • 高血圧の方の収縮期血圧(上の血圧): 平均4.48mmHg低下
  • 高血圧の方の拡張期血圧(下の血圧): 平均2.96mmHg低下
  • 特に塩分摂取量が多い方や、治療薬未服用の方でより効果が大きい傾向

また、よもぎには食物繊維も豊富に含まれています。

食物繊維は、野菜や果物、穀物などに含まれる、人間の体では消化できない成分です。

消化できないと聞くと役に立たないように思えるかもしれませんが、実は腸の働きを整えたり、コレステロールを下げたり、血糖値の急激な上昇を防いだりする大切な働きがあります。

よもぎ(乾燥葉)には、重量の約40〜50%の食物繊維が含まれるとも言われています(※日本の食品成分表に基づく換算例)。

食物繊維摂取による血圧低下効果(2022年の系統的レビュー
  • 高血圧の方の収縮期血圧: 平均4.3mmHg低下
  • 高血圧の方の拡張期血圧: 平均3.1mmHg低下
  • 摂取期間は少なくとも8週間以上で最大の効果に到達しやすい

このように、よもぎに含まれるカリウムや食物繊維は、理論的には血圧の管理に役立つ可能性があります。

ただし、これはよもぎそのものの特別な効果というよりも、よもぎに含まれる栄養成分による一般的な効果であることを理解しておく必要があります。

直接的な降圧効果を証明する研究はまだ少ない

よもぎと高血圧の関係について、動物を使った実験ではいくつかの興味深い結果が報告されています。

一部の動物実験では、よもぎの抽出物が、薬で人工的に上げた血圧を改善したという報告があります。

ただし、この実験では普通の血圧や心拍数には変化が見られませんでした。

また、よもぎを使ったお灸(もぐさ)に関する中国の研究では、特定のツボへの施術が、降圧薬と併用することで血圧改善に役立つ可能性が一部で示されていますが、これはよもぎそのものの効果というよりも、お灸という治療方法全体の効果と考えられます。

3件目のRCTでは、降圧薬単独療法と比較して、降圧薬療法の補助療法として灸を行うことで、血圧を低下させる有意な効果が示されました。

引用:PubMed Central Moxibustion for hypertension: a systematic review

さらに最近の研究では、モロッコ産のよもぎの一種(※日本の食用種とは異なる)が、マウスの実験レベルで血圧関連遺伝子の働きに関与する可能性が報告されています。

しかし、これらはあくまで動物実験や特定の地域で採れる品種に関する研究です。

人間が日常的によもぎ茶を飲んだり、よもぎ料理を食べたりすることで確実に血圧が下がるという証拠にはなりません。

現時点での研究状況まとめ
  • 動物実験レベル: 一部で血圧改善の可能性を示唆
  • 人間での臨床試験: よもぎ単独での降圧効果は十分に証明されていない
  • 個々の栄養成分: カリウムや食物繊維については効果が認められている
  • 今後の課題: よもぎ全体としての効果についてさらなる研究が必要

人間を対象とした臨床試験で、よもぎを摂取することが血圧を下げるという直接的な証拠は、現時点では十分に確立されていないのが実情です。

よもぎに含まれる個々の栄養成分(カリウムや食物繊維など)については血圧を下げる効果が認められていますが、よもぎという植物全体としての効果については、まだこれから研究が必要な段階といえます。

補助的な健康習慣として期待できる

よもぎ単独で血圧を下げる確実な効果は証明されていませんが、バランスの取れた食生活の一部として取り入れることには意味があります。

よもぎにはカリウム、食物繊維、ビタミン類、体をサビから守る抗酸化物質など、体の健康を保つのに役立つ様々な成分が含まれているためです。

高血圧の管理において大切なのは、薬だけに頼るのではなく、生活習慣全体を見直すことです。

塩分を控える、適度に体を動かす、野菜や果物をたっぷり食べる、適正な体重を保つなどが推奨されています。

よもぎを取り入れることは、こうした健康的な食生活の選択肢の一つとして考えることができます。

ただし、よもぎを摂取すれば血圧の薬が要らなくなるとか、血圧が確実に下がるといった過度な期待は禁物です。

すでに高血圧と診断されている方や、血圧の薬を飲んでいる方は、医師の指示に従って治療を続けることが最も重要です。

よもぎはあくまで補助的な健康習慣の一つとして、医師に相談しながら取り入れるようにしてください。

よもぎは血流改善や血管の健康維持に役立つ可能性がある

よもぎには、直接血圧を下げる作用以外にも、血管の健康を保つことに関わる様々な成分が含まれています。

血管は全身に血液を送り届ける大切な器官であり、その健康状態は血圧に大きく影響します。

血管が硬くなったり、血管の内側の壁が傷ついたりすると、血液の流れが悪くなり、血圧が上がりやすくなります。

よもぎに含まれる植物由来の成分は、血管をしなやかに保ち、血液の流れをスムーズにする可能性が研究で示されています。

また、体をサビから守る働きを通じて、血管を老化から守る効果も期待されています。

これらの効果は、長い目で見た血管の健康維持という観点から、高血圧の予防や管理に間接的に役立つ可能性があります。

ここでは、よもぎが持つ可能性のある健康効果について、血の巡りを良くする働き、血管を老化から守る働き、その他の健康メリットという3つの視点から、科学的な研究をもとに詳しく解説していきます。

ただし、これらの効果についても、人間での確実な証拠はまだ限られていることを念頭に置いて読み進めてください。

血の巡りを良くする成分が含まれる

よもぎには、血液の流れをスムーズにする可能性のある成分がいくつか含まれています。

特に注目されているのが、フラボノイドと呼ばれる植物に含まれる健康成分です。

よもぎには、ケルセチンやルテオリンといったフラボノイドが含まれており、これらは血管の働きに良い影響を与える可能性があります。

研究によると、これらの成分は血管の内側を覆う細胞に働きかけて、血管を広げる物質の生産を促すことが示されています。

血管が適切に広がることで、血液の流れが改善され、その結果として血圧の調整にも役立つ可能性があります。

例えるなら、血管はホースのようなものです。

ホースが硬くなって細くなると、水が流れにくくなって圧力が高まります。

よもぎに含まれる成分は、このホースを柔らかく保ち、適度に広げることで、水(血液)がスムーズに流れるように手助けする可能性があるのです。

また、よもぎの独特な香りのもとになっている精油成分の中には、シネオール(1,8-シネオール)という物質が含まれています(※含有量は産地や部位で異なります)。

シネオールには血管を広げる作用があるという報告もあります。

同濃度(0.01~3000 μg/ml、0.0000647~19.5 mM相当)のCINは完全な血管弛緩作用(IC(50)=663.2±63.8 μg/ml)を示し、内皮を剥離した大動脈標本ではこの効果は有意に減少した(IC(50)=1620.6±35.7 μg/ml)。

引用:PubMed Endothelium-dependent vasorelaxant effects of the essential oil from aerial parts of Alpinia zerumbet and its main constituent 1,8-cineole in rats

ただし、これらの効果は主に試験管の中での実験や動物実験で確認されたものです。

人間が実際によもぎを食べたり飲んだりした際に同じ効果が得られるかどうかは、さらなる研究が必要な段階です。

抗酸化成分が血管の老化予防に働く

よもぎには、体をサビから守る働き(抗酸化作用)を持つ成分が豊富に含まれています。

私たちの体は、呼吸をしたり食事をしたりする中で、活性酸素という物質を作り出します。

この活性酸素は、体の細胞を傷つけてしまう厄介な存在です。

活性酸素が増えすぎると、血管も傷つき、老化が早まってしまいます。

よもぎの抗酸化成分が血管を守る仕組み
  1. よもぎに含まれるフラボノイドなどが体内に取り込まれる
  2. 活性酸素を無害化し、細胞へのダメージを防ぐ
  3. 血管の内側を覆う細胞が酸化ストレスから守られる
  4. 血管が柔軟性を保ち、炎症が起きにくくなる
  5. 結果として高血圧や動脈硬化のリスクが下がる可能性

よもぎに含まれるフラボノイドなどの成分は、この活性酸素を無害化する働きを持つことが多くの研究で示されています。

これらの成分は、血管の内側を覆う細胞を活性酸素から守り、血管の健康を保つ手助けをすると考えられています。

血管の細胞が健康に保たれることは、高血圧の予防や管理において非常に大切です。

血管の細胞の働きが悪くなると、血管が硬くなったり、炎症が起きやすくなったりして、高血圧や動脈硬化のリスクが高まります。

複数の研究で、フラボノイドを多く含む食品を食べることで、血管の機能が改善し、心臓や血管の病気になるリスクが下がる可能性が示されています。

フラボノイド摂取が心血管疾患リスクに及ぼす有益な効果は、メカニズムと疫学の証拠によって裏付けられています。

引用:ScienceDirect Flavonoids, flavonoid-rich foods, and cardiovascular risk: a meta-analysis of randomized controlled trials

ただし、よもぎに含まれる体を守る成分が、人間の体の中でどの程度効果を発揮するかは、食べた後に体がどれだけ吸収できるかによって変わってきます。

食べたり飲んだりした成分がすべてそのまま体の中で働くわけではないため、過度な期待は避けるべきです。

消化促進や抗菌作用なども期待できる

よもぎには、血圧や血管の健康以外にも、様々な健康効果が期待されています。

よもぎに期待されるその他の健康効果
  • 消化器系への作用 : 胃腸の働きを活発にし、消化を助ける可能性
  • リラックス効果 : 香り成分による軽度の鎮静作用の可能性(ストレスは血圧上昇の原因の一つ)
  • 女性の体調管理 : 伝統的に月経関連の不調緩和に利用(ただし科学的根拠は限定的)
  • 抗菌作用 : 一部の研究で抗菌・抗炎症作用が報告されている

昔から、よもぎはお腹の調子が悪いときに使われてきました。

よもぎの苦味成分や香り成分が、胃腸の働きを活発にし、消化を助ける可能性があります。

また、よもぎの香りには心を落ち着かせる効果があると伝統的に言われています。

よもぎに含まれる香り成分による鎮静作用の可能性も研究されていますが、人での確実な根拠は限定的です。

ストレスは血圧を上げる原因の一つですので、リラックスすることは間接的に血圧の管理にも役立つかもしれません。

さらに、よもぎは伝統的に女性特有の体調管理に使われてきた歴史があります。

昔の医学では、生理に関連する不調を和らげるために用いられることがありました。

ただし、これらの効果については科学的な証明が十分とは言えず、特に妊娠中の方はよもぎの摂取を控えるべきとされています。

よもぎの持つこれらの様々な健康効果は魅力的ですが、あくまで昔からの使い方や初期段階の研究に基づくものが多く、確実性の高い科学的証拠が確立されているわけではありません。

よもぎを健康維持のために利用することは良いですが、病気の治療目的で使用する場合は必ず医師に相談してください。

よもぎは適量を守り薬との飲み合わせに注意が必要

よもぎは一般的に安全な植物とされていますが、摂取する際にはいくつか注意すべき点があります。

どんなに体に良いとされる食品でも、摂りすぎれば害になる可能性がありますし、体質によっては合わない方もいらっしゃいます。

特に高血圧で治療を受けている方や、特定の体質の方は、よもぎを利用する前に必ず知っておくべき情報があります。

よもぎに含まれるツヨンという成分は、適量であれば問題ありませんが、あまりに多く摂りすぎると神経に影響を与える可能性があります。

また、よもぎはカリウムを豊富に含むため、血圧の薬を飲んでいる方や腎臓の働きが弱っている方は、体の中のカリウムが多くなりすぎるリスクに注意が必要です。

さらに、キク科の植物にアレルギーのある方や、妊娠中・授乳中の方にも注意が必要です。

ここでは、よもぎを安全に楽しむために知っておくべき注意点を、適切な量、薬との飲み合わせ、避けるべき方という3つの観点から詳しく解説します。

これらの情報を理解した上で、自分に合った形でよもぎを取り入れていただければと思います。

1日1〜2杯程度のよもぎ茶が目安

よもぎ茶として楽しむ場合、明確な公的基準はありませんが、過剰摂取を避けるため1日1〜2杯程度を目安とすると良いでしょう。

よもぎに含まれるツヨンという成分は、大量に摂取すると神経に影響を与える可能性があるため、飲みすぎには注意が必要です。

ツヨンの含まれる量は、よもぎの種類や産地、製品(濃縮エキスなど)によって大きく異なります。

よもぎ茶の適切な作り方と摂取量
  • 茶葉の量 : 乾燥よもぎ小さじ1杯(約1〜2g)
  • お湯の量 : コップ1杯分(約200ml)
  • 抽出時間 : 5分程度蒸らす
  • 1日の目安 : 1〜2杯程度
  • 注意点 : 濃く煮出しすぎない、飲みすぎない

よもぎ茶を作る際は、乾燥したよもぎの葉を小さじ1杯程度(約1〜2g)に対して、コップ1杯分(約200ml)の熱湯を注ぎ、5分程度蒸らすのが一般的です。

濃く煮出しすぎたり、1日に何杯も飲み続けたりすることは避けましょう

料理によもぎを使う場合も、香りや風味付けとして程よく取り入れる程度であれば問題ありません。

よもぎ餅やよもぎ団子など、昔からある和菓子として楽しむのも良い方法です。

ただし、よもぎだけを大量に食べたり、サプリメントとして高い濃度で摂取したりすることはおすすめできません。

降圧薬を服用中の方は医師に相談してから

すでに高血圧の治療を受けていて血圧の薬を飲んでいる方は、よもぎを日常的に摂る前に必ず主治医に相談してください。

よもぎにはカリウムが豊富に含まれているため、特定の血圧の薬(カリウムを体に溜め込みやすくする薬など)を飲んでいる場合、体の中のカリウムが多くなりすぎる可能性があります。

降圧薬を服用している方の注意点

注意が必要な薬の種類リスク対処法
カリウム保持性利尿薬高カリウム血症医師に相談し、カリウム摂取量を調整
ACE阻害薬カリウム濃度上昇の可能性定期的な血液検査でモニタリング
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)カリウム濃度上昇の可能性血圧測定と血液検査の継続
特に注意が必要な方
  • 腎機能が低下している方(慢性腎臓病ステージ3〜5)
  • 糖尿病を合併している方
  • 複数の降圧薬を服用している方

体の中のカリウムが多くなりすぎると、心臓のリズムが乱れるなど、重大な健康問題を引き起こす可能性があります。

また、腎臓の働きが弱っている方は、カリウムを尿として十分に外に出すことができないため、カリウムを多く含む食品を食べる際には特に注意が必要です。

腎臓病が進んでいる方、特に糖尿病も一緒に患っている方は、カリウムをどのくらい摂って良いかについて医師の指導を受けることが重要です。

さらに、よもぎに含まれる成分が、血圧の薬の効果を強めたり弱めたりする可能性も完全には否定できません。

薬との相互作用に関する研究はまだ十分ではありませんが、安全を期すために、定期的に血圧を測り、体調に変化があれば速やかに医師に報告することが大切です。

キク科アレルギーや妊娠中の方は控える

よもぎはキク科の植物であるため、キク科の植物にアレルギーのある方は注意が必要です。

ブタクサ、マリーゴールド、カモミール、菊などでアレルギー反応が出たことがある方は、よもぎでも同じような反応が出る可能性があります。

よもぎアレルギーの主な症状
  • 軽度: 皮膚のかゆみ、発疹、じんましん
  • 中等度: 口の中のピリピリ感やかゆみ、鼻水、くしゃみ
  • 重度: 呼吸困難、アナフィラキシー症状

よもぎアレルギーの症状としては、皮膚のかゆみ、ブツブツした発疹、じんましん、口の中のピリピリ感やかゆみ、鼻水、くしゃみなどがあります。

ひどい場合は呼吸が苦しくなるなどの深刻な症状が出ることもあります。

初めてよもぎを摂る際は、少量から試して体調に変化がないか確認しましょう。

よもぎの摂取を控えるべき方とその理由

対象者理由注意点
キク科アレルギーの方交差反応によるアレルギー症状の可能性初回は少量から試す
妊娠中の方子宮刺激作用により流産・早産のリスク摂取を控える
授乳中の方安全性データが不十分摂取を控える

妊娠中や授乳中の方も、よもぎを摂ることは控えることが勧められています。

よもぎには子宮を刺激する可能性のある成分が含まれているとされ、昔から生理を促す働きがあるとされてきました。

そのため、妊娠中に大量に摂ると、流産や早産のリスクを高める可能性が心配されています。

授乳中の安全性についても十分なデータがないため、避けるのが無難です。

よもぎ茶や食事で無理なく毎日続けられる

よもぎを日常生活に取り入れる方法はいくつかあります。

大切なのは、無理なく続けられる方法を見つけることです。

よもぎは季節によっては新鮮なものが手に入りますし、乾燥したものや粉末状のものは一年中利用できます。

よもぎを取り入れる際の基本的な考え方は、特別な健康食品として無理に摂るのではなく、普段の食生活の中に自然に溶け込ませることです。

よもぎ茶として飲む、料理に少し加える、時々和菓子として楽しむなど、自分の生活スタイルに合った方法を選びましょう。

また、よもぎを取り入れることは良い習慣ですが、それだけでは高血圧の管理には不十分です。

ここでは、よもぎの具体的な取り入れ方と、高血圧を管理するために必要な総合的な生活習慣の改善について解説します。

よもぎを上手に活用しながら、バランスの取れた健康的な生活を送るためのヒントをお伝えします。

よもぎ茶や和菓子など手軽な取り入れ方

最も手軽なよもぎの摂り方は、よもぎ茶です。

市販の乾燥よもぎや、ティーバッグタイプのよもぎ茶を買えば、簡単に毎日楽しむことができます。

よもぎ茶は独特の香りと苦味がありますが、慣れると心地よい風味として感じられる方も多いです。

苦味が気になる場合は、ハチミツを少し加えたり、他のハーブティーと混ぜたりするのも良いでしょう。

よもぎの手軽な取り入れ方

方法具体例ポイント
飲み物としてよもぎ茶、よもぎ入りスムージー1日1〜2杯が目安、苦味が気になる場合はハチミツで調整
料理としてよもぎの天ぷら、おひたし、よもぎパスタ春の新鮮なよもぎを使用、香り付け程度に
和菓子としてよもぎ餅、よもぎ団子、よもぎ大福手作りまたは市販品、砂糖の摂りすぎに注意
お菓子やパンによもぎパウダー入りクッキー、パンケーキ市販のパウダーを使用、少量から試す

食事にもよもぎを取り入れることができます。

春先には新鮮なよもぎを摘んで、よもぎ餅やよもぎ団子を作るのも楽しい方法です。

よもぎを茹でてペースト状にしたものを、白玉粉や上新粉と混ぜるだけで簡単に作れます。

また、天ぷらやおひたしとして食べることもできます。

市販のよもぎパウダー(粉末)を使えば、ホットケーキやクッキーの生地に混ぜたり、スムージーに加えたりすることも可能です。

ただし、よもぎの風味は比較的強いため、最初は少量から始めて、好みに応じて量を調整すると良いでしょう。

よもぎを使った和菓子も、手軽によもぎを楽しむ方法の一つです。

よもぎ大福やよもぎ饅頭などは、和菓子店で買うことができます。

ただし、和菓子には砂糖がたくさん含まれていることが多いので、血糖値や体重にも気を配る必要がある高血圧の方は、食べ過ぎに注意しましょう。

減塩や運動など生活習慣の改善と組み合わせる

よもぎを取り入れることは良い習慣ですが、それだけでは高血圧の管理には不十分です。

高血圧を改善するには、生活習慣全体を見直すことが必要です。

高血圧管理のための生活習慣改善ポイント
  1. 減塩(最重要)
    • 目標: 1日5〜6g以下(小さじ1杯程度)
    • 実践方法: 加工食品を控える、自炊を増やす、よもぎ茶など無塩の飲み物を選ぶ
  2. 野菜と果物の摂取
    • 野菜: 1日350g以上(両手に3杯分)
    • 果物: 1日200g程度(こぶし1個分)
    • 注意: 糖尿病の方は果物の量を医師に相談
  3. 適度な運動
    • 目標: 週150分の中等度の運動(早歩きなど)
    • 具体例: 散歩、ジョギング、水泳、自転車こぎ
    • ポイント: 無理なく楽しめる運動を継続
  4. その他の重要な習慣
    • 適正体重の維持(BMI 18.5〜25)
    • 禁煙(喫煙は血圧を上げる)
    • 節酒または禁酒
    • 十分な睡眠(7〜8時間)
    • ストレス管理

まず最も重要なのは塩分を控えることです。

日本人は世界的に見ても塩分を多く摂る傾向があり、これが高血圧の大きな原因となっています。

1日の塩分摂取量を小さじ1杯程度(5〜6g)以下に抑えることが勧められています。

加工食品や外食を控え、自分で料理をすることで塩分の量をコントロールしやすくなります。

よもぎ茶など塩分を含まない飲み物を選ぶことも、減塩の助けとなります。

次に大切なのは、野菜や果物をたっぷり食べることです。

よもぎ以外にも、様々な野菜や果物からカリウムや食物繊維を摂ることができます。

色とりどりの野菜を1日に両手に3杯分くらい、果物をこぶし1個分くらい食べることが目標です。

ただし、果物には糖分も含まれているため、糖尿病のある方は医師や栄養士の指導に従ってください。

適度な運動も血圧の管理に効果的です。

週に合計2時間半程度、少し息が上がる程度の運動(早歩きなど)が勧められています。

無理のない範囲で、散歩やジョギング、水泳、自転車こぎなど、楽しめる運動を見つけて続けることが大切です。

また、適正な体重を保つこと、タバコをやめること、お酒を飲みすぎないこと(またはやめること)、十分な睡眠を取ること、ストレスを上手に発散することなども重要です。

よもぎを取り入れることは、こうした健康的な生活習慣の一部として位置づけ、全体として健康管理に取り組むことが大切です。

よくある質問

よもぎを食べれば血圧は下がりますか

よもぎだけで血圧が確実に下がるという科学的な証拠は、今のところ十分にありません。

よもぎに含まれるカリウムや食物繊維などの成分は血圧の管理に役立つ可能性がありますが、よもぎを食べることで血圧の薬の代わりになるわけではありません。

高血圧の治療には医師の指導のもとでの適切な治療が最も重要で、よもぎは補助的な健康習慣の一つとして考えてください。

よもぎ茶は1日どのくらい飲んでもいいですか

一般的には1日に1〜2杯程度が目安とされています。

よもぎに含まれるツヨンという成分を摂りすぎると、神経に影響を与える可能性があるため、たくさん飲むことは避けましょう。

適度な量を楽しむことが大切です。

降圧薬と一緒によもぎを摂っても大丈夫ですか

血圧の薬を飲んでいる方は、よもぎを日常的に摂る前に必ず主治医に相談してください。

よもぎにはカリウムが豊富に含まれているため、特定の血圧の薬と組み合わせると、体の中のカリウムが多くなりすぎるリスクが高まる可能性があります。

また、腎臓の働きが弱っている方は特に注意が必要です。

よもぎの効果が出るまでどのくらいかかりますか

よもぎの健康効果については人によって違いが大きく、はっきりとした期間を示すことは難しいです。

また、よもぎ単独で血圧を下げる効果が科学的に証明されているわけではありません。

健康的な食生活の一部としてよもぎを取り入れ、長い目で見て健康管理に取り組むことが重要です。

よもぎアレルギーの症状は

よもぎアレルギーの症状としては、皮膚のかゆみ、ブツブツした発疹、じんましん、口の中のピリピリ感、鼻水、くしゃみなどがあります。

ひどい場合は呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることもあります。

キク科の植物にアレルギーのある方は特に注意が必要です。

初めてよもぎを摂る際は少量から試し、異常を感じたらすぐに摂るのをやめて、必要に応じて病院を受診してください。

まとめ

よもぎには血圧の管理に役立つ可能性のあるカリウムや食物繊維、体をサビから守る成分が含まれています。

血の巡りを良くしたり、血管の健康を保ったりすることに役立つ可能性も研究で示されています。

しかし、よもぎだけで血圧を下げる確実な効果は科学的に十分証明されていないため、過度な期待は禁物です。

よもぎを摂る際は、1日1〜2杯程度のよもぎ茶が目安となります。

血圧の薬を飲んでいる方や腎臓の働きが弱っている方は、カリウムの摂りすぎに注意が必要ですので、必ず医師に相談してから始めてください。

また、キク科の植物にアレルギーのある方や妊娠中の方は摂取を控えることが勧められます。

高血圧の管理には、塩分を控える、適度に運動する、野菜や果物をたっぷり食べる、適正な体重を保つなど、総合的な生活習慣の改善が欠かせません。

よもぎはこうした健康的な生活習慣の一部として無理なく取り入れ、医師の指導のもとで適切な治療を続けることが最も重要です。

よもぎ茶や料理を楽しみながら、バランスの取れた食生活と健康的な生活習慣を心がけることで、長期的な健康維持につなげていきましょう。

参考文献・参考サイト

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厚生労働省 e-ヘルスネット 野菜1日350gで健康増進

厚生労働省  e-ヘルスネット 果物1日200gのすすめ

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この記事を書いた人

伊藤 信久のアバター 伊藤 信久 医師・グレースメディカルクリニック院長

福岡県出身。鹿児島大学医学部卒業後、大学病院の心臓外科に勤務。冠動脈バイパス術・弁置換術などの高度な心臓手術を多数担当。
その後、恩師が開業したクリニックで一次診療に従事。地域医療の最前線で多くの患者と向き合う中で「患者さんに最も近い距離で診療すること」の重要性を再認識し、開業医として地域医療に貢献することを決意。2014年に熊本市でグレースメディカルクリニックを開設した。現在は院長として、高血圧をはじめとする循環器・生活習慣病の診療に注力。心臓外科で培った循環器の知見を活かし、「血圧から全身を守る医療」をモットーに地域の健康づくりと啓発活動を続けている。

主な資格・所属学会
・日本外科学会
・日本循環器学会
・点滴療法研究会

地域の“かかりつけ医”として、高血圧を中心とした生活習慣病の早期発見と予防、継続的な血圧管理に力を注ぎ、患者一人ひとりの「より良い血圧コントロールと健康」の実現を目指している。

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