「高血圧の薬を飲み始めたけれど、副作用が心配」「薬を飲んでからめまいがするようになった気がする」「足がむくむのは薬のせい?」
このような不安や疑問をお持ちではありませんか。
高血圧の薬は、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を防ぐために、とても大切な役割を果たしています。
ただ、どんな薬にも副作用の可能性はあり、高血圧の薬も同じです。
実際に、高血圧の薬を飲んでいる方の多くが、何かしらの体の変化を感じることがあります。
でも安心してください。
そのほとんどは軽いもので、飲み続けるうちに体が慣れて気にならなくなることも多いです。
ただし、まれに重いものもあるため、症状が出たら我慢せず医師に相談することが大切です。
- めまい・ふらつき:血圧低下で脳血流が一時的に減少することで起こる
- 空咳:ACE阻害薬で気道を刺激する物質が発生する
- 手足のむくみ:カルシウム拮抗薬で血管から水分がしみ出す
- 頭痛・動悸・ほてり:血管拡張で血流が増加することで発生する
- ミネラルバランスの乱れ:利尿薬でカリウムやナトリウムが減少し、筋力低下や疲労感が起こる
- 徐脈・倦怠感:β遮断薬で心拍数が下がり疲れやすくなる
また、もし副作用が気になる場合でも、薬の種類を変えたり、量を調整したりすることで解決できることがほとんどです。
高血圧の薬にはたくさんの種類があるので、ある薬が合わなくても、別の薬なら問題なく飲めることがよくあります。
ここで知っておいていただきたいのは、高血圧を放っておくことのほうが、副作用よりもずっと怖いということです。
高血圧を治療しないでいると、脳卒中になる危険性が3〜4倍、心筋梗塞になる危険性が2〜3倍に高まります(年齢や他の危険因子により変動します)。
一方、きちんと薬で血圧を下げることで、脳卒中のリスクを約35〜40%、心筋梗塞のリスクを約20〜25%減らすことができます(効果の程度は治療前の血圧レベルや心血管リスクによって異なります)。
つまり、副作用を心配して薬を飲まないことのほうが、ずっと大きな危険があるのです。
大切なのは、副作用について正しく知り、気になる症状があったら自分の判断で薬をやめずに、まず医師に相談することです。
副作用のほとんどは対処できるものですし、医師と一緒に自分に合った薬を探していけば、副作用を抑えながら血圧をうまくコントロールすることができます。
この記事では、高血圧の薬でどんな副作用が起きやすいのか、薬の種類ごとの特徴、副作用が出たときにどうすればいいのか、そして副作用を防ぐために知っておきたいポイントについて、できるだけわかりやすくお伝えします。
- 高血圧の薬で起こりやすい副作用の種類と、それぞれの原因
- カルシウム拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・利尿薬・β遮断薬の副作用の違い
- 副作用が出たときに自己判断で薬をやめてはいけない理由
- グレープフルーツなど、薬と相性の悪い食べ物
- 副作用を早めに見つけるための定期検査の重要性
高血圧の薬で起こりやすい5つの副作用
高血圧の薬は、血圧を下げることで心臓や血管にかかる負担を減らし、脳卒中や心筋梗塞などの重い病気を防いでくれます。
ただ、血圧を下げるという働きそのものが、体にいろいろな変化をもたらすことがあります。
たとえば、血圧が下がりすぎてめまいがしたり、血管が広がることで足がむくんだりすることがあります。
ここでは、高血圧の薬を飲んでいる方によく見られる5つの副作用について、なぜ起こるのか、どんな症状なのかをお伝えします。
副作用の多くは、薬を飲み始めたばかりの時期や、薬の量が増えたときに出やすいものです。
体が薬に慣れてくると、自然と症状が軽くなることも珍しくありませんが、症状が続く場合は医師に相談する必要があります。
こうした症状が出たからといって、必ずしも「この薬は自分に合っていない」というわけではありません。
症状がどのくらいつらいか、日常生活にどのくらい影響があるかを見ながら、医師と相談して対応を決めていくことが大切です。
あらかじめ副作用について知っておけば、何か症状が出たときにも慌てずに対処できます。
【高血圧の薬で起こりやすい5つの副作用一覧】
| 副作用 | 主な原因 | 出やすい薬の種類 |
|---|---|---|
| めまい・ふらつき | 血圧が下がりすぎる | すべての降圧薬 |
| 空咳(からぜき) | 気道を刺激する物質がたまる | ACE阻害薬 |
| 手足のむくみ | 血管から水分がしみ出す | カルシウム拮抗薬 |
| トイレが近くなる | 水分を体外に出す作用 | 利尿薬 |
| 頭痛・動悸・ほてり | 血管が広がり血流が増える | カルシウム拮抗薬 |
血圧が下がりすぎて起こる「めまい・ふらつき」
高血圧の薬でいちばんよく見られる副作用が、めまいやふらつきです。
これは、薬が効きすぎて血圧が下がりすぎてしまい、脳に届く血液の量が一時的に減ることで起こります。
特に多いのは、座っている状態から急に立ち上がったときに「クラッ」とする症状です。
これは「立ちくらみ」とも呼ばれ、立ち上がった瞬間に血圧が急に下がることで起こります。
この症状は、薬を飲み始めた直後や、薬の量が増えた直後に出やすく、しばらく飲み続けて体が慣れてくると自然に良くなることが多いです。
もしこの症状が出たら、急に動かないようにして、立ち上がるときはゆっくりと動くことを心がけてください。
症状がなかなか良くならなかったり、日常生活に支障が出るほどつらい場合は、医師に相談すれば薬の量を調整してもらえます。
- 急に立ち上がらず、ゆっくり動く
- 立ちくらみを感じたら、すぐに座るか何かにつかまる
- 症状が続く場合は医師に相談する
特定の薬で出やすい「空咳(からぜき)」
空咳(からぜき)とは、痰が出ない乾いた咳のことです。
この副作用は、「ACE阻害薬」という種類の高血圧の薬を飲んでいる方に特有のもので、この薬を飲んでいる方の5〜35%くらいに見られます。
なぜ咳が出るのかというと、ACE阻害薬には血圧を下げるために体の中のある酵素の働きを止める作用があります。
その結果、「ブラジキニン」という物質が体の中にたまりやすくなります。
このブラジキニンが気道(空気の通り道)を刺激して、咳が出やすくなるのです。
空咳は、薬を飲み始めてから数週間〜数か月たってから出ることもあります。
薬をやめれば、ふつうは1〜4週間くらいで咳は治まります。
治療中止後、通常は1~4週間以内に症状は治まりますが、咳嗽は最大3か月続くこともあります。
引用:PubMed Angiotensin-converting enzyme inhibitor-induced cough: ACCP evidence-based clinical practice guidelines
咳がつらくて困っている場合は、同じように血圧を下げる効果があって咳が出にくい「ARB」という種類の薬に変えてもらうことで解決できることが多いです。
風邪の咳と見分けがつきにくいこともあるので、薬を飲み始めてから咳が続くようなら、風邪だと決めつけずに医師に相談してみてください。
- 痰が出ない乾いた咳
- 薬を飲み始めてから数週間〜数か月後に出ることもある
- 女性やタバコを吸わない方に出やすい
- 日本人を含むアジア人は出やすい傾向がある
- 薬をやめると1〜4週間で治まることが多い
血管が広がることで起こる「手足のむくみ」
「カルシウム拮抗薬」という種類の高血圧の薬を飲んでいると、足首や足の甲がむくむことがあります。
この薬を飲んでいる方の約10〜24%くらいにこの症状が見られ、薬を長く飲み続けるほど出やすくなる傾向があります。
このむくみが起こる仕組みを簡単に説明すると、こうなります。
カルシウム拮抗薬は、心臓から血液を送り出す側の血管(動脈)を広げて血圧を下げます。
ところが、心臓に血液を戻す側の血管(静脈)はあまり広がりません。
すると、動脈と静脈をつなぐ細い血管のところで圧力が高くなり、血管の中から水分がしみ出して、周りの組織にたまってしまいます。
これがむくみの正体です。
このむくみは、心臓や腎臓の病気で起こるむくみとは違い、体の中の水分の総量が増えているわけではありません。
そのため、おしっこを出す薬(利尿薬)を飲んでもあまり効かないのが特徴です。
利尿剤の投与による影響を受けないようであり、体液貯留ではなく体液の蓄積が原因である可能性があるという考えを裏付けています。
引用:National Health Service Managing peripheral oedema caused by calcium channel blockers
女性や高齢の方に出やすい傾向があります。
日中に着圧ソックスを履いたり、横になるときに足を高くしたりすると楽になることもあります。
むくみがひどい場合は、薬の量を減らしたり、別の薬に変えたりすることで改善できます。
- 日中は着圧ソックスを履く
- 休むときは足を高くする
- 長時間同じ姿勢を続けない
- 症状がひどい場合は医師に相談する
水分を体外に出す薬で起こる「トイレが近くなる」
「利尿薬」は、腎臓に働きかけて、体の中の余分な塩分と水分をおしっことして出すことで血圧を下げる薬です。
この薬の働きそのものによって、トイレに行く回数が増えます。
これは薬がちゃんと効いている証拠でもあるのですが、仕事中や外出中にトイレが気になって困るという方もいらっしゃいます。
対策としては、利尿薬を朝のうちに飲むようにすると、夜中にトイレで起きる回数を減らすことができます。
ただし、トイレが近いからといって水分を控えすぎると、脱水症状を起こす危険があります。
のどが渇いたら我慢せずに水分をとってください。
トイレの回数が多すぎて生活に支障が出ている場合は、医師に相談すれば、薬を飲む時間を調整したり、別の種類の薬に変えたりしてもらえます。
血流の変化で感じやすい「頭痛・動悸・ほてり」
高血圧の薬で血管が広がると、血液の流れが良くなることで、頭痛や顔のほてり、動悸(ドキドキする感じ)などの症状が出ることがあります。
特に「カルシウム拮抗薬」でこれらの症状が出やすいです。
血管が急に広がったことに体がびっくりして、その変化に対応しようとする反応として起こります。
多くの場合、これらの症状は薬を飲み始めてから最初の数日〜数週間に出て、体が薬に慣れてくると自然に軽くなっていきます。
症状がつらい場合は、医師に相談すれば薬の量を調整したり、血管を広げる作用がおだやかな別の薬に変えたりしてもらえます。
薬の種類によって注意すべき副作用が異なる
高血圧を治療する薬には、いくつかの種類があります。
働き方がそれぞれ違うので、副作用の出方も薬によって異なります。
大きく分けると、血管を広げて血圧を下げる薬、心臓の動きをゆっくりにして血圧を下げる薬、体の中の水分を減らして血圧を下げる薬、血圧を上げるホルモンの働きを抑える薬などがあります。
自分がどの薬を飲んでいるかを知っておくと、「この症状は薬の副作用かもしれない」と早めに気づくことができます。
日本でよく使われている高血圧の薬には、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬などがあります。
一種類だけ飲むこともあれば、いくつかの薬を組み合わせて飲むこともあります。
最近では、少ない量の薬を何種類か組み合わせることで、効果を高めながら副作用を抑える方法が主流になっています。
ここでは、それぞれの薬の特徴と、気をつけたい副作用について説明します。
自分がどの種類の薬を飲んでいるかわからない場合は、お薬手帳を見るか、医師や薬剤師に聞いてみてください。
【高血圧の薬の種類と特徴・副作用まとめ】
| 薬の種類 | 働き方 | 代表的な薬(商品名) | 主な副作用 |
|---|---|---|---|
| カルシウム拮抗薬 | 血管を広げる | アムロジピン(ノルバスク)、ニフェジピン(アダラート) | むくみ、ほてり、頭痛、動悸、便秘 |
| ARB | 血圧を上げるホルモンをブロック | オルメサルタン(オルメテック)、バルサルタン(ディオバン) | 副作用が少ない。まれにめまい |
| ACE阻害薬 | 血圧を上げる物質の生成を抑える | エナラプリル(レニベース)、ペリンドプリル(コバシル) | 空咳(5〜35%)、まれに顔や唇の腫れ |
| 利尿薬 | 体の水分・塩分を減らす | ヒドロクロロチアジド、フロセミド | トイレが近くなる、ミネラルバランスの乱れ |
| β遮断薬 | 心臓の動きを穏やかにする | ビソプロロール(メインテート)、カルベジロール(アーチスト) | 脈が遅くなる、疲れやすい、手足の冷え |
カルシウム拮抗薬はむくみ・ほてりに注意
カルシウム拮抗薬は、血管の壁を緩めて広げることで血圧を下げる薬です。
日本でいちばんよく使われている高血圧の薬の一つで、「アムロジピン」(商品名:ノルバスク、アムロジンなど)や「ニフェジピン」(商品名:アダラートなど)といった名前の薬がこれにあたります。
よく見られる副作用としては、足のむくみ、顔のほてり、頭痛、動悸(ドキドキする感じ)、便秘、歯ぐきが腫れるなどがあります。
中でも足のむくみは比較的多く見られ、薬を長く飲み続けるほど出やすくなります。
むくみが出ても、薬の量を調整したり、別の種類の薬と組み合わせて使ったりすることで良くなることが多いです。
また、この薬の一部は、グレープフルーツやグレープフルーツジュースと一緒にとると薬の効き目が強くなりすぎることがあります(影響の程度は薬により異なります)。
詳しくは、後ほど「グレープフルーツなど相性の悪い食べ物を避ける」のところで説明します。
- 足のむくみ(特に足首や足の甲)
- 顔のほてり
- 頭痛
- 動悸(ドキドキする感じ)
- 便秘
- 歯ぐきの腫れ
ARBは副作用が比較的少なく使いやすい
ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)は、血圧を上げるホルモンの働きをブロックすることで血圧を下げる薬です。
名前が難しいですが、「オルメサルタン」(商品名:オルメテックなど)、「バルサルタン」(商品名:ディオバンなど)、「テルミサルタン」(商品名:ミカルディスなど)といった薬がこれにあたります。
ARBの大きな特徴は、他の高血圧の薬と比べて副作用が少ないことです。
研究では、偽の薬(プラセボ)を飲んだ場合と副作用の出方がほとんど変わらなかったという報告もあります。
全体として、ARB投与患者の咳嗽の頻度は、ACEIまたは利尿薬を服用している患者よりも有意に低く、プラセボ投与患者と同程度である。
引用:The American Journal of Managed Care Tolerability and Quality of Life in ARB-treated Patients
そのため、他の薬で副作用が出やすかった方にも使いやすい薬とされています。
ただし、血液の中のカリウムという成分が増えすぎる高カリウム血症や、腎機能への影響には注意が必要です。
まれにめまいやふらつきが出ることもあります。
また、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方は飲むことができません。
腎臓の働きが弱っている方は、定期的に血液検査を受けて腎臓の状態をチェックしながら使うことが大切です。
ACE阻害薬は空咳が出ることがある
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)は、血圧を上げる物質が体の中で作られるのを防ぐことで血圧を下げる薬です。
「エナラプリル」(商品名:レニベースなど)、「リシノプリル」、「ペリンドプリル」(商品名:コバシルなど)といった薬がこれにあたります。
ARBと同じように、心臓や腎臓を守る効果も期待できます。
ACE阻害薬でいちばん特徴的な副作用は、先ほど説明した「空咳」です。
この薬を飲んでいる方の5〜35%くらいに見られ、女性やタバコを吸わない方に出やすい傾向があります。
また、日本人を含むアジア人は、欧米人よりも空咳が出やすいという研究結果もあります。
ACE I/Dおよびブラジキニン B 2受容体多型は東アジア人の ACEI 関連咳嗽のリスクに寄与したが、白人ではACE I/D多型と ACEI 関連咳嗽の間に負の相関が観察された。
引用:PubMed Central Angiotensin-converting enzyme and bradykinin gene polymorphisms and cough: A meta-analysis
咳は風邪と間違えやすいので、薬を飲み始めてから続く咳は副作用かもしれないと思って、医師に相談してください。
また、非常にまれですが、顔や唇、舌が腫れる「血管性浮腫」という重い副作用が起こることがあります。
こうした症状が出たら、すぐに病院を受診してください。
空咳がつらくて続く場合は、咳が出にくいARBという薬に変えてもらうことを医師に相談するとよいでしょう。
利尿薬はミネラルバランスの乱れに注意
利尿薬は、腎臓で塩分と水分を体の外に出す働きを強めることで、血液の量を減らして血圧を下げる薬です。
「ヒドロクロロチアジド」「トリクロルメチアジド」「フロセミド」といった名前の薬がこれにあたります。
昔から使われている薬で、他の高血圧の薬と組み合わせて使うことも多いです。
利尿薬でいちばん多い副作用は、トイレが近くなることです。
それ以外に気をつけたいのが、体の中のミネラル(電解質)のバランスが乱れることです。
特に、血液の中の「カリウム」や「ナトリウム」という成分が減りすぎることがあります。
カリウムが減ると、筋肉に力が入りにくくなったり、足がつったり、疲れやすくなったりします。
また、「尿酸」という物質が増えて痛風を起こしやすくなったり、血糖値に影響が出たりすることもあります。
これらの副作用は、薬の量を少なくすることで起こりにくくなります。
利尿薬を飲んでいる方は、定期的に血液検査を受けて、体の中のミネラルのバランスをチェックすることが大切です。
- 筋肉に力が入りにくい
- 足がつりやすい
- 疲れやすい、だるい
- 吐き気、食欲不振
- 動悸、不整脈
β遮断薬は脈が遅くなることがある
β遮断薬(ベータ遮断薬)は、心臓の動きをゆっくり穏やかにすることで、脈拍を下げ、血圧を下げる薬です。
「ビソプロロール」(商品名:メインテートなど)、「アテノロール」(商品名:テノーミンなど)、「メトプロロール」、「カルベジロール」(商品名:アーチストなど)といった薬がこれにあたります。
高血圧だけでなく、狭心症や心不全、不整脈の治療にも使われます。
よく見られる副作用としては、脈が遅くなる、疲れやすい、手足が冷える、めまい、便秘などがあります。
また、気管支(空気の通り道)を狭くする作用があるため、喘息がある方は使うときに注意が必要です。
眠りにくくなったり、気分が落ち込んだりすることもあります。
この薬を飲んでいて、脈がとても遅くなったり(じっとしているときに1分間に50回以下など)、息切れや強い疲労感を感じたりした場合は、医師に相談してください。
また、β遮断薬は急にやめると血圧が急上昇したり、狭心症の症状がひどくなったりすることがあるので、自分の判断でやめないことがとても大切です。
- 脈が遅くなる(徐脈)
- 疲れやすい
- 手足が冷える
- めまい
- 便秘
- 眠りにくい、悪夢を見る
- 気分の落ち込み
副作用が出ても自己判断で薬をやめてはいけない
副作用が気になると、「薬を飲むのをやめてしまおうか」と思うことがあるかもしれません。
でも、高血圧の薬を自分の判断でやめることは、副作用よりもずっと深刻な問題を引き起こす可能性があります。
実際に、高血圧の薬を処方された方の約半分が、1年以内に飲むのをやめてしまうと言われています。
しかし、薬をやめると血圧のコントロールが悪くなり、脳卒中や心筋梗塞などの危険が高まってしまいます。
高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれています。
自覚症状がほとんどないまま、じわじわと血管や内臓にダメージを与え続けるからです。
薬を飲んで血圧が正常になると、「もう治った」と思って薬をやめてしまう方がいます。
でも、それは薬が効いているから血圧が下がっているのであって、高血圧そのものが治ったわけではありません。
ここでは、なぜ薬を勝手にやめてはいけないのか、その理由を詳しく説明します。
【自己判断で薬をやめることの危険性】
| やめ方 | 起こりうる問題 |
|---|---|
| 急にやめる | 血圧が急上昇する「リバウンド高血圧」が起こる可能性 |
| 飲んだり飲まなかったりする | 血圧が不安定になり、血管へのダメージが増える |
| 症状がないからやめる | 高血圧は症状がなくても血管を傷つけ続けている |
急にやめると血圧が急上昇するリスクがある
高血圧の薬を急にやめると、「リバウンド高血圧」と呼ばれる血圧の急上昇が起こることがあります。
これは、単に薬を飲む前の血圧に戻るだけでなく、薬を飲み始める前よりも血圧が高くなってしまうことがあるのです。
特に、心臓や神経に作用する「β遮断薬」や「クロニジン」という薬では、急にやめたときに危険な血圧上昇が起こりやすいことがわかっています。
塩酸クロニジンおよび酒石酸メトプロロールの急激な離脱後に高血圧クリーゼを起こした患者において、塩酸ラベタロールの静脈内投与は、血圧と心拍数をクリーゼ前のレベルまで急速に低下させた。
引用:JAMA Network Rebound Hypertension Following Abrupt Cessation of Clonidine and Metoprolol: Treatment With Labetalol
血圧が急に上がると、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こす危険があります。
薬を飲んでいる間、体はその薬がある状態に慣れています。
薬を急にやめると、体がその変化についていけず、血圧が跳ね上がってしまうのです。
副作用が気になる場合でも、まずは医師に相談してください。
薬を減らす必要がある場合も、医師の指導のもとで少しずつ減らしていけば、安全に行うことができます。
薬の変更や量の調整で改善できる場合が多い
高血圧の薬にはたくさんの種類があり、副作用の出方は薬によって違います。
ある薬で副作用が出ても、別の種類の薬に変えれば、副作用なく血圧をコントロールできることはよくあります。
また、同じ薬でも量を減らすことで副作用が軽くなることがあります。
最近では、いくつかの薬を少しずつ組み合わせて使う方法がすすめられています。
一種類の薬をたくさん使うよりも、少量の薬を何種類か組み合わせたほうが、副作用が出にくいことがわかっているからです。
たとえば、ACE阻害薬で空咳が出る場合はARBに変える、カルシウム拮抗薬でむくみが出る場合は量を減らしてARBを追加する、といった対応ができます。
大切なのは、副作用があっても治療をあきらめないことです。
医師と相談しながら、自分に合った薬を見つけていきましょう。
<副作用が出たときの対処例>
| 副作用 | 対処法の例 |
|---|---|
| ACE阻害薬で空咳が出る | ARBに変更する |
| カルシウム拮抗薬でむくみが出る | 量を減らす、またはARBを追加する |
| β遮断薬で疲れやすい | 量を減らす、または別の薬に変更する |
| 利尿薬でカリウムが下がる | カリウム保持性利尿薬を追加、またはARBと併用する |
副作用を防ぐために知っておきたい3つのポイント
副作用は予想できないこともありますが、いくつかのことに気をつけることで、副作用が起こる可能性を減らしたり、早めに見つけたりすることができます。
高血圧の薬は長い間飲み続ける薬なので、毎日の生活の中でのちょっとした注意が、安全に治療を続ける上でとても大切になってきます。
特に、食べ物や他の薬との「相性」は見落としがちですが、場合によっては深刻な問題につながることもあります。
また、副作用の中には自分では気づきにくいものもあるので、定期的な検査で体の状態をチェックすることも重要です。
ここでは、高血圧の薬を安全に飲み続けるために知っておきたい3つのポイントをお伝えします。
これらのポイントを押さえておくことで、副作用のリスクをできるだけ抑えながら、効果的な高血圧の治療を続けることができます。
- グレープフルーツなど相性の悪い食べ物を避ける
- 他の薬やサプリメントとの飲み合わせを確認する
- 定期的な血液検査で体の変化を早めにチェックする
グレープフルーツなど相性の悪い食べ物を避ける
カルシウム拮抗薬の一部は、グレープフルーツやグレープフルーツジュースと一緒にとると、薬の効き目が強くなりすぎてしまいます。
影響の程度は薬によって異なり、血液中の濃度が2〜3倍程度になるものもあれば、ほとんど影響を受けないものもあります。
なぜこんなことが起こるかというと、グレープフルーツに含まれる成分が、腸の中で薬を分解する働きを邪魔してしまうからです。
本来なら腸で分解されるはずの薬がそのまま吸収されてしまうため、体の中に入る薬の量が増えてしまいます。
薬の量が多くなりすぎると、血圧が下がりすぎたり、副作用が強く出たりする危険があります。
この影響は、グレープフルーツを食べてから24〜72時間も続くことがあるので、「薬を飲む時間とずらせば大丈夫」というわけにはいきません。
カルシウム拮抗薬を飲んでいる方は、自分の薬がグレープフルーツの影響を受けるかどうか医師や薬剤師に確認し、該当する場合は避けるようにしてください。
なお、同じ柑橘類でも、オレンジ、レモン、みかんなどは問題ありません。
ただし、スウィーティーや文旦など一部の柑橘類は注意が必要とされていますが、詳しい情報はまだ十分整理されていないため、心配な場合は医師や薬剤師に確認してください。
【柑橘類と高血圧の薬の相性】
| 食べてよいもの | 避けたほうがよいもの |
|---|---|
| オレンジ | グレープフルーツ |
| みかん | グレープフルーツジュース |
| レモン | スウィーティー(要確認) |
| いよかん | 文旦(要確認) |
| ゆず | ハッサク(要確認) |
他の薬やサプリメントとの飲み合わせを確認する
高血圧の薬は、他の薬やサプリメントと一緒に飲むと、効き目が強くなりすぎたり、逆に弱くなったりすることがあります。
特に注意したいものをいくつかご紹介します。
まず、市販の痛み止めや風邪薬に含まれていることが多い「解熱鎮痛薬(NSAIDs)」は、高血圧の薬の効き目を弱めることがあります。
また、カリウムを含むサプリメントは、ARBやACE阻害薬と一緒に飲むと、血液中のカリウムが増えすぎることがあります。
「甘草(かんぞう)」という成分を含む漢方薬は、血圧を上げる作用があるので注意が必要です。
他の病院でもらった薬や、市販の薬、サプリメントを使うときは、必ず医師や薬剤師に「高血圧の薬を飲んでいます」と伝えてください。
お薬手帳を活用すると、飲み合わせのチェックがスムーズにできます。
<高血圧の薬と注意が必要な薬・サプリメント>
| 注意が必要なもの | 影響 | 特に注意する降圧薬 |
|---|---|---|
| 解熱鎮痛薬(NSAIDs):ロキソニン、イブプロフェンなど | 降圧薬の効果を弱める | すべての降圧薬 |
| カリウムを含むサプリメント | 血液中のカリウムが増えすぎる | ARB、ACE阻害薬 |
| 甘草(かんぞう)を含む漢方薬 | 血圧を上げる | すべての降圧薬 |
| 風邪薬(血管収縮成分を含むもの) | 血圧を上げる | すべての降圧薬 |
定期的な血液検査で体の変化を早めにチェックする
高血圧の薬の副作用の中には、自分では気づかないうちに進んでしまうものがあります。
たとえば、利尿薬を飲んでいると血液中のミネラル(カリウムやナトリウム)のバランスが乱れることがありますが、これは自覚症状がないことが多いです。
ARBやACE阻害薬が腎臓に影響を与えることもありますが、これも検査をしないとわかりません。
そのため、高血圧の薬を飲んでいる方は、医師に言われた通りに定期的に血液検査を受けることが大切です。
特に、薬を飲み始めたばかりの時期や、薬の量を変えた後は、1〜4週間程度で検査を受けることがすすめられています。
検査では、腎臓の働き、ミネラルのバランス、肝臓の働きなどをチェックします。
定期的な検査を受けていれば、副作用を早い段階で見つけることができ、大きな問題になる前に対処することができます。
検査をどのくらいの頻度で受ければいいかは、飲んでいる薬の種類や持病によって変わりますので、医師と相談してください。
- 腎臓の働き(クレアチニン、eGFRなど)
- 電解質(カリウム、ナトリウムなど)
- 肝臓の働き(AST、ALTなど)
- 尿酸値(利尿薬を飲んでいる場合)
- 血糖値(利尿薬、β遮断薬を飲んでいる場合)
よくある質問
高血圧の薬の副作用について、患者様からよくいただく質問にお答えします。
- 高血圧の薬は一生飲み続ける必要がありますか
-
必ずしも一生飲み続けなければならないわけではありません。
高血圧の薬は、高血圧の原因を治すものではなく、血圧を下げてコントロールするための薬です。
そのため、薬をやめると血圧がまた上がってしまうことが多いのは事実です。
ただし、食事に気をつけたり、運動を続けたりして生活習慣を改善することで、薬の量を減らせたり、場合によっては薬をやめられたりすることもあります。
ただし、血圧が再び上がることも多いため、薬を減らしたりやめたりするときは、必ず医師と相談した上で行ってください。
- 副作用が心配で薬を飲み始めるのが不安です
-
副作用への不安はよくわかります。
でも、高血圧を放っておくことで起こりうる脳卒中や心筋梗塞などの危険は、副作用の心配よりもずっと大きいのです。
きちんと薬で血圧を下げることで、脳卒中のリスクを約35〜40%、心筋梗塞のリスクを約20〜25%減らすことができます(効果の大きさは治療前の血圧や心血管リスクによって変わります)。
もし副作用が出ても、薬を変えたり量を調整したりすることで対処できることがほとんどです。
不安なことがあれば、遠慮なく医師に相談してください。
- 副作用かもしれない症状が出たらどうすればいいですか
-
「これは副作用かも」と思う症状が出たら、自分の判断で薬をやめずに、できるだけ早く医師に相談してください。
多くの副作用は軽いもので、薬の量を調整したり、別の薬に変えたりすることで良くなります。
ただし、顔や唇、舌が腫れる、息が苦しい、激しいめまいがして意識がぼんやりする、といった症状が出た場合は、すぐに病院を受診してください。
すぐに病院を受診すべき症状- 顔、唇、舌が腫れる
- 息が苦しい、呼吸がしにくい
- 激しいめまい、意識がもうろうとする
- 胸の痛み
- 脈が非常に遅い、または非常に速い
まとめ
高血圧の薬には、めまい・ふらつき、空咳、むくみ、トイレが近くなる、頭痛・動悸・ほてりなど、いろいろな副作用が起こる可能性があります。
多くは軽度ですが、まれに重篤なものもあるため、症状が出たら我慢せず医師に相談することが大切です。
これらの副作用は薬の種類によって違い、カルシウム拮抗薬ではむくみやほてり、ACE阻害薬では空咳、利尿薬ではミネラルバランスの乱れやトイレが近くなること、β遮断薬では脈が遅くなることや疲れやすさなどが出やすい傾向があります。
- 副作用の多くは軽度で、体が慣れると軽減することが多いが、重篤なものもある
- 副作用が出ても、薬の変更や量の調整で対処できることがほとんど
- 自己判断で薬をやめると、血圧急上昇の危険がある
- グレープフルーツや一部の薬・サプリメントとの相性に注意
- 定期的な血液検査で、自覚症状のない副作用も早期発見できる
- 気になる症状があれば、まず医師に相談することが大切
副作用が気になっても、自分の判断で薬をやめることは危険です。
急に薬をやめると血圧が急上昇し、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まってしまいます。
副作用が出たときは必ず医師に相談して、薬の種類や量の調整を検討してもらいましょう。
今はたくさんの種類の高血圧の薬があるので、自分に合った薬を見つけることは十分に可能です。
また、グレープフルーツなど相性の悪い食べ物を避けること、他の薬との飲み合わせに注意すること、定期的な検査で体の変化をチェックすることも大切です。
高血圧の治療は長く続きますが、正しい知識を持って、医師と協力しながら治療を続けることで、副作用を抑えながら脳卒中や心臓病などの重い病気を防ぐことができます。
気になる症状があれば、遠慮なく担当医にご相談ください。
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National Center for Biotechnology Information Beta Blockers
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American Heart Association What are the Signs and Symptoms of High Blood Pressure?
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