高血圧の薬代は1ヶ月いくら?費用の目安と負担を減らす方法

高血圧の薬代は1ヶ月いくら?費用の目安と負担を減らす方法

高血圧と診断され、これから薬による治療を始める方にとって、毎月の薬代がどれくらいかかるのかは非常に気になるところです。

日本には推計で約4,300万人の高血圧患者がいるといわれており、多くの人にとって身近な問題です。

治療は長期にわたるケースもあるため、月々の費用が家計にどの程度の負担になるのか、無理なく続けられる金額なのか、治療を始める前に知っておきたいと考えるのは当然のことです。

特に複数の薬を併用する必要がある場合や、他の持病の治療も並行して行っている場合は、医療費全体が膨らむことへの不安もあるでしょう。

実際のところ、高血圧の薬代(薬剤料)は健康保険を使えば、1種類あたり月に1,000円から1,500円程度が目安となることが多いです(別途、薬局での管理料等がかかります)。

複数の薬を組み合わせる場合、薬剤料の目安は月2,000円から3,000円程度になることもありますが、後発品(ジェネリック医薬品)を選択すれば選択することで、薬代を大幅に抑えられる可能性があります。

高血圧の薬代1ヶ月の目安
  • 健康保険適用で1種類あたり月1,000~1,500円程度
  • 複数の薬を併用する場合は月2,000~3,000円程度
  • ジェネリック医薬品なら月1,000円以下になる場合もある
  • 薬代以外に診察料・検査費などで月1,000~2,000円かかる
  • 年間の総医療費は2~4万円程度が目安

薬代に加えて病院での診察料や検査費もかかりますが、これらを合わせても月々の自己負担は数千円程度に収まることがほとんどです。

また、薬代を抑えるための具体的な方法や、年間でかかる費用の総額を知っておくことで、長期的な見通しを持って治療に臨むことができます。

高血圧の治療は継続することで脳卒中や心筋梗塞などの重大な合併症を予防できる大切な治療です。

日本高血圧学会の治療指針でも、適切な血圧管理が健康寿命を延ばすために重要であることが示されています。

費用面での不安を解消し、安心して治療を続けられるよう、この記事では具体的な金額や負担を軽減する方法について詳しくご説明していきます。

この記事でわかること
  • 高血圧の薬代は1ヶ月でどれくらいかかるのか(薬の種類別・先発品と後発品の違い)
  • 薬代以外にどんな費用が必要になるのか(診察料・検査費・薬局での費用の内訳)
  • 薬代を安くする具体的な4つの方法(後発品の活用・長期処方など)
  • 高血圧治療を続けた場合の年間費用の目安
  • 医療費控除や高額療養費制度の活用方法
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

高血圧の薬代は1ヶ月1,000〜3,000円が一般的

高血圧の薬代は健康保険を使った場合、窓口で支払う金額は1種類の薬で月に1,000円から1,500円程度が目安となります。

日本の健康保険では医療費の7割から9割を保険が負担してくれるため、患者さんは原則として残りの1割から3割を支払うだけで済みます。

高血圧の治療では1種類の薬で効果が不十分な場合、複数の薬を組み合わせることもありますが、その場合でも月2,000円から3,000円程度で収まることが多いです。

使う薬が新しいタイプ(先発品)か、同じ成分の安価なタイプ(後発品)かによって金額は変わってきますので、ここでは具体的なケース別の費用について見ていきましょう。

高血圧を下げる薬にはいくつかの種類があります。

どの薬を選ぶかは患者さんの年齢や他の病気の有無、血圧の状態などによって医師が判断しますが、薬代の面では大きな差はありません。

重要なのは、先発品と後発品のどちらを選ぶか、そして何種類の薬を飲むかという点です。

主な高血圧治療薬の種類
  • カルシウム拮抗薬:血管を広げて血圧を下げる薬
  • ARB・ACE阻害薬:血圧を上げるホルモンの働きを抑える薬
  • 利尿薬:体内の余分な水分と塩分を排出する薬
  • β遮断薬:心臓の負担を減らして血圧を下げる薬

ここでは、実際の薬代がどれくらいになるのか、具体的な金額を示しながらご説明していきます。

3割負担なら1種類あたり月1,000〜1,500円程度

日本では健康保険に加入していれば、病院や薬局で支払う医療費は本来かかる費用の1割から3割(年齢・所得による)で済みます。

高血圧を下げる薬の本来の価格は、種類によって異なりますが、代表的な薬を1日1錠飲んだ場合、1ヶ月で3,000円から5,000円程度になります。

これを健康保険で7割引きにしてもらえるため、患者さんが実際に薬局の窓口で支払う薬代は月に1,000円から1,500円程度となります。

たとえば、本来4,500円かかる薬であれば、窓口での支払いは1,350円になります。

このように健康保険のおかげで、実際の負担は3分の1程度に抑えられるのです。

日本高血圧学会の治療指針でも、生活習慣の改善とともに薬による治療が推奨されています。

治療を続けることで脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気を予防できることが多くの研究で示されており、適切な血圧管理は健康で長生きするために重要です。

そのため、薬代の負担が治療の継続を妨げないよう、さまざまな費用を軽くする仕組みが用意されています。

複数の薬を飲む場合は月2,000〜3,000円になることも

高血圧の治療では、1種類の薬で十分に血圧が下がらない場合、働き方の異なる複数の薬を組み合わせることがあります。

たとえば、血管を広げる薬と体内の水分を調整する薬を一緒に飲む、といった方法です。

2種類の薬を飲む場合、薬代は単純に2倍近くになりますので、月に2,000円から3,000円程度の自己負担となります。

ただし、これは新しいタイプの薬(先発品)を使った場合の目安です。

後で詳しくご説明しますが、同じ成分の安価なタイプの薬(後発品)を選べば、複数の薬を飲む場合でも月々の負担をさらに抑えることができます。

また、2種類の成分が1つの錠剤にまとまった薬もあり、こちらを使うと飲む手間が減るだけでなく、薬代も若干安くなる場合があります。

ジェネリックなら月1,000円以下に抑えられる

ジェネリック医薬品(後発品)は、元々あった薬と同じ成分で作られた、より安価な薬のことです。

新しい薬を最初に開発した会社の独占期間が終わった後、他の会社も同じ成分の薬を作れるようになります。

成分や効果は元の薬と同じでありながら、開発費用がかからない分、価格が大幅に安くなっています。

厚生労働省も医療費を抑える観点から後発品の使用を推進しており、多くの高血圧の薬で後発品が選べるようになっています。

後発品を選ぶと、薬代は元の薬の半額以下になる可能性があります。

たとえば、月1,500円かかっていた薬代が、後発品に変えることで月600円から800円程度に下がる場合があります。

1種類の薬であれば月1,000円以下、複数の薬を飲む場合でも月1,500円から2,000円程度に抑えられる可能性があります。

1ヶ月の薬代比較(3割負担の場合)

薬の種類先発品後発品(ジェネリック)
1種類1,000〜1,500円600〜1,000円
2種類2,000〜3,000円1,200〜2,000円
3種類3,000〜4,500円1,800〜3,000円

後発品への変更は、医師や薬剤師に相談することで可能です。

効果や安全性については元の薬と同等であることが国によって確認されていますので、費用負担を減らしたい方は積極的に検討してみるとよいでしょう。

 審査機関である独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)において、提出された試験結果をもとに、先発医薬品とジェネリック医薬品とが同レベルの品質、有効性、安全性を有するかどうかについて厳格な審査を行い、それらについて先発医薬品と同等であると確認されたジェネリック医薬品だけが製造販売承認を得ることができます。

引用:厚生労働省 ジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用促進について

薬代以外に月1,000〜2,000円の通院費がかかる

高血圧の治療では、薬代だけでなく病院での診察料や検査費なども必要になります。

薬を処方してもらうためには定期的に病院を受診する必要があり、その際の診察料、処方箋を発行してもらう費用、薬局での各種費用などが発生します。

これらの費用は薬代に比べると1回あたりの金額は小さいものの、毎月または数ヶ月に一度継続して必要となるため、年間で考えると無視できない金額になります。

診察料は病院を受診するたびにかかり、血液検査などの定期検査は数ヶ月に一度の頻度で行われます。

薬局では薬代に加えて、薬を調合する基本的な費用や、薬剤師が服薬指導をする費用などが加算されます。

これらの費用を合計すると、薬代以外に月1,000円から2,000円程度、検査がある月はさらに1,000円から3,000円程度が追加でかかると考えておくとよいでしょう。

ここでは、通院にかかる費用の内訳を具体的に見ていきます。

診察料は1回500〜1,000円程度

病院を受診した際にかかる診察料は、2回目以降の受診(再診)の場合、1回あたり数百円から1,000円程度です。

2024年度の改定で国が定めた医療費の基準では、診療所での再診料は75点となっており、1点が10円なので750円です。

患者さんはこの3割を負担しますので約230円となります。

ただし、これに医療機関によってさまざまな追加料金がつく場合があり、医師が診察の際に丁寧な説明を行った場合の加算や、電子カルテを導入している医療機関の加算などが加わると、実際の窓口での支払額は1,400円前後(3割負担)、またはそれ以上になることもあります。

高血圧の治療では、血圧が安定していれば1ヶ月から3ヶ月に一度の受診で済むことも多いです。

ただし、治療を始めたばかりの時期や血圧のコントロールがうまくいっていない場合は、より頻繁に受診する必要があります。

どのくらいの間隔で通院するかは患者さんの状態によって異なりますので、主治医と相談しながら決めていくことになります。

血液検査があると1,000〜3,000円追加

高血圧の治療では、定期的に血液検査を行って腎臓の働きや血液中の塩分バランス、血糖値、コレステロール値などをチェックします。

これは薬の副作用が出ていないか確認するとともに、高血圧によって腎臓などの臓器に負担がかかっていないか、糖尿病などの他の生活習慣病を併発していないかを評価するために重要な検査です。

血液検査の頻度は患者さんの状態や使用する薬によりますが、3ヶ月から6ヶ月に一度の頻度で行われるケースなどがあります。

血液検査の費用は調べる項目の数によって異なりますが、基本的な項目であれば窓口での支払いは1,000円から2,000円程度、より詳しい検査を行う場合は3,000円程度かかることもあります。

検査は受診するたびに行うわけではありませんので、血液検査のある月は通院費が普段より高くなると考えておくとよいでしょう。

調剤基本料や服薬管理指導料で数百円かかる

病院でもらった処方箋を持って薬局で薬を受け取る際には、薬の代金以外にもいくつかの費用がかかります。

調剤基本料は薬局が薬を調合する基本的な費用で、薬局の規模や地域によって異なりますが、窓口での支払いは100円から200円程度です。

服薬管理指導料は薬剤師が患者さんの飲んでいる薬の記録を管理し、適切な飲み方の説明を行うための費用で、こちらも窓口での支払いは100円から200円程度となります。

さらに、病院で処方箋を発行してもらう際にも費用がかかります。

これは病院で支払う費用に含まれており、窓口での支払いは通常180円程度(3割負担・60点の場合)ですが、長期投薬などの条件により数十円から100円程度になる場合もあります。

これらの費用を合計すると、薬局での支払いは薬代に加えて数百円〜千円程度が上乗せされることになります。

1回の通院でかかる費用の内訳(3割負担の場合)

項目費用の目安備考
診察料(再診)500〜1,000円受診のたびに必要
処方箋料100〜180円病院での支払いに含まれる
調剤基本料100〜200円薬局での支払い
服薬管理指導料100〜200円薬局での支払い
薬代(1種類)1,000〜1,500円先発品の場合
血液検査(定期)1,000〜3,000円3〜6ヶ月に1回程度
合計(検査なし)約2,000〜3,000円通常の受診時
合計(検査あり)約3,000〜6,000円検査がある月

高血圧の薬代を安くする4つの方法

高血圧の治療は長期にわたるため、少しでも薬代を抑えられれば年間では大きな節約になります。

月々数百円の違いでも、10年、20年と治療を続ければ数万円から十数万円の差になることもあります。

ここでは、治療の質を落とすことなく無理なく薬代を減らすための具体的な方法をご紹介します。

いずれも法律や制度で認められている正当な方法であり、病院や薬局でも積極的に案内されているものです。

後発品への変更、長期処方の活用、お薬手帳の提示、医療費控除の申請など、知っているかどうかで費用負担が大きく変わってきます。

これらの方法を組み合わせることで、年間の医療費を大幅に削減できる可能性がありますので、ぜひ参考にしてください。

薬代を安くする4つの方法
  • ジェネリック医薬品に変更する → 薬代が半額以下に
  • 長期処方を受ける → 通院回数が減って診察料を節約
  • お薬手帳を提示する → 薬局での費用が数十円安くなる
  • 医療費控除を申請する → 所得税・住民税が軽減

ジェネリックに変えると薬代が半額以下になる

最も効果的な方法は、ジェネリック医薬品(後発品)への変更です。

後発品は元の薬と同じ成分を含み、同じ効果が期待できる薬でありながら、開発費用がかからない分、価格が安く設定されています。

厚生労働省は医療費を抑える観点から後発品の使用を推進しており、多くの高血圧の薬で後発品が選べるようになっています。

後発品への変更を希望する場合は、医師や薬剤師に相談してみてください。

処方箋に後発品への変更が可能と書かれていれば、薬局で薬剤師に伝えるだけで変更できます。

薬代が半額以下になることも珍しくなく、たとえば月1,500円かかっていた薬代が600円から800円程度に下がるケースもあります。

年間で考えれば1万円近い節約になる可能性があります。

3ヶ月分まとめて処方すれば通院回数が減る

高血圧の治療では、病状が安定している場合、一度の受診で長期間分の薬をまとめて処方してもらうことができます。

通常は1ヶ月分ずつの処方が多いですが、血圧が安定しており医師が可能と判断した場合は、2ヶ月分や3ヶ月分をまとめて処方してもらうことも可能です。

長期間分の処方を受けることで、病院に通う回数が減り、その分の診察料や交通費を節約できます。

ただし、長期間分の処方には医師の判断が必要です。

治療を始めたばかりの時期や血圧のコントロールがうまくいっていない場合は、こまめに受診して状態を確認する必要があるため、長期間分の処方は適さないことがあります。

また、医療機関によっては長期間分の処方に対応していない場合もありますので、主治医に相談してみるとよいでしょう。

医師が処方する際、患者の症状が安定している場合には、処方日数の長期の処方を行うことができます。

引用:厚生労働省 長期処方・リフィル処方の活用について

近年では、リフィル処方箋という仕組みも導入されています。

これは一度の処方箋で最大3回まで薬局で薬を受け取れる制度です。

たとえば、1回目の受診で処方箋をもらい、その処方箋で1ヶ月後と2ヶ月後にも病院を受診せずに薬局だけで薬を受け取れるという仕組みです。

厚生労働省の調査では、リフィル処方箋を発行した経験のある病院は約4割に上っており、徐々に普及しつつあります。

この場合も通院回数を減らすことができます。

長期間分の処方やリフィル処方箋を活用すれば、薬代そのものは変わりませんが、通院にかかる時間と費用を大幅に削減できます。

お薬手帳の提示で調剤費が安くなる

お薬手帳を薬局に持参することで、薬局でかかる費用が安くなる場合があります。

お薬手帳は患者さんが飲んでいる薬の記録を一冊にまとめて管理するための冊子で、薬剤師が薬の飲み合わせに問題がないかチェックする際に役立ちます。

原則として3ヶ月以内に同じ薬局を利用し、お薬手帳を提示した場合、薬剤師の管理料が数十円安くなります。

金額としては一回あたりの割引額は小さいですが、継続的に治療を受ける高血圧患者さんにとっては、積み重なれば無視できない金額になります。

また、お薬手帳は複数の医療機関を受診している場合の情報共有や、災害時に自分が飲んでいる薬を伝える手段としても重要な役割を果たしますので、常に携帯し、薬局では必ず提示するようにしましょう。

年間10万円(または所得の5%)超えたら医療費控除の対象に

1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告をすることで医療費控除を受けられ、所得税や住民税が安くなります。

医療費控除の対象となるのは、自分自身だけでなく、生計を一にする配偶者や家族のために支払った医療費も含まれます。

控除額は年間の医療費から10万円(総所得200万円未満の人は所得の5%)を引いた金額で、最大200万円まで控除を受けることができます。

医療費控除の対象になるもの
  • 病院・診療所での診察料、治療費
  • 処方された薬の代金
  • 通院のための交通費(電車・バス代)
  • 治療のための医療器具の購入費
  • 介護保険サービスの一部

高血圧の治療費だけでは年間10万円に達しない場合でも、他の病気の医療費や家族の医療費を合算すると10万円を超えることがあります

病院への交通費(公共交通機関を利用した場合)も対象になりますので、領収書はきちんと保管しておきましょう。

確定申告は毎年2月から3月に行いますが、医療費控除は5年前まで遡って申告できますので、過去に医療費が高額だった年がある方は確認してみるとよいでしょう。

高血圧治療を続けると年間2〜4万円が目安

高血圧の治療を1年間続けた場合、薬代や診察料、検査費などを合わせた総額はどれくらいになるのでしょうか。

月々の費用だけでなく、年間の総額を把握しておくことで、長期的な家計の見通しを立てやすくなります。

ここでは、一般的なケースでの年間費用の目安をご説明します。

実際の費用は、使う薬の種類や数、病院に通う頻度、検査の回数などによって個人差がありますが、年間2万円から4万円程度が一般的な目安となるケースがあります。

後発品を選んだり、通院回数を調整したりすることで、さらに費用を抑えることも可能です。

また、高額療養費制度など、医療費が高額になった場合に利用できる制度についても知っておくと安心です。

薬代だけなら年間1.2〜3.6万円

薬代だけを計算すると、1種類の薬を1年間飲み続けた場合の薬剤料は、先発品で年間1万2,000円から1万8,000円程度(調剤料等は別途必要)、後発品であれば6,000円から1万円程度が目安となります。

2種類の薬を併用する場合は、その約2倍の年間2万4,000円から3万6,000円程度と考えておくとよいでしょう。

後発品を選べば、2種類の薬でも年間1万2,000円から2万円程度に抑えられる可能性があります。

年間の薬代比較(3割負担の場合)

薬の種類先発品(年間)後発品(年間)
1種類12,000〜18,000円6,000〜10,000円
2種類24,000〜36,000円12,000〜20,000円
3種類36,000〜54,000円18,000〜30,000円

高血圧の治療は基本的に長期にわたって続ける必要がありますので、こうした年間の費用を把握しておくことは大切です。

ただし、薬の種類や量は患者さんの血圧の状態によって変わりますので、実際の費用については主治医や薬剤師に確認することをお勧めします。

定期検査を含めると年間2〜4万円程度

薬代に加えて、診察料や検査費を含めた年間の総医療費を計算してみましょう。

月に一度通院し、年に数回血液検査を受ける場合を想定すると、診察料だけで年間6,000円から1万2,000円程度かかります。

血液検査は患者さんの状態により異なりますが、年に2回から4回程度行われる場合、検査費として年間4,000円から1万円程度が必要です。

これらを合計すると、高血圧の治療にかかる年間の総医療費は、後発品を使い、1種類の薬で治療している場合で年間2万円程度複数の薬を使い、先発品を選んでいる場合は年間4万円程度が目安となります。

もちろん、血圧のコントロール状況や他の病気の有無によって費用は変わります。

年間の総医療費の目安(3割負担の場合)

治療パターン年間総額
後発品1種類+月1回通院+年2回検査約2万円
後発品2種類+月1回通院+年3回検査約3万円
先発品1種類+月1回通院+年3回検査約3万円
先発品2種類+月1回通院+年4回検査約4万円

高額療養費制度は医療費が高額になった場合に使える

医療費が高額になった場合には、高額療養費制度を利用できます。

この制度は、1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合、超えた分が後で払い戻される仕組みです。

70歳未満で年収が約370万円から約770万円の方の場合、月の自己負担の上限額は8万円強(所得区分により異なる)程度となっており、それを超えた分は後日お金が戻ってきます

ただし、高血圧の治療だけでこの制度を使うことは通常ありません。

高血圧の治療費は月に数千円程度ですので、月8万円を超えることはほとんどないためです。

しかし、高血圧に加えて他の病気で入院したり、高額な治療を受けたりした場合には、この制度が役立つことがあります。

同じ月内で、かつ自己負担額が2万1千円以上の受診が複数ある場合などは、それらを合算して計算できますので(70歳未満の場合)、覚えておくとよいでしょう。

よくある質問

ジェネリックに変えても効果は同じですか

ジェネリック医薬品(後発品)は、元の薬と同じ成分を含み、同じ効果が期待できます

厚生労働省の厳しい審査を通過し、効果や安全性が確認されたもののみが承認されていますので、安心して使用できます。

もし効果に不安がある場合は、医師や薬剤師に相談してみてください。

薬代は医療費控除の対象になりますか

高血圧の薬代は医療費控除の対象になります。

年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすることで所得税や住民税が安くなります。

薬局で受け取った領収書は大切に保管しておきましょう。

通院回数を減らすと治療に影響はありませんか

血圧が安定している場合は、医師が許可した範囲であれば、長期間分の処方やリフィル処方箋を利用して通院回数を減らしても問題ない場合が多いです。

ただし、自己判断せず、必ず主治医に相談してから決めるようにしてください。

治療を始めたばかりの時期や血圧が不安定な場合は、こまめな受診が必要です。

保険が使えないケースはありますか

高血圧の治療は基本的に健康保険の適用対象です。

ただし、保険証を忘れた場合は一時的に10割全額を負担することになりますので、必ず保険証を持参しましょう。

また、特定の高額な検査や治療を希望する場合は、一部自費負担になることがあります。

薬代を滞納するとどうなりますか

医療費の支払いが困難な場合は、医療機関や薬局に相談してみてください。

医療機関によりますが分割払いの相談や、公的な制度(無料低額診療事業など)を紹介してもらえる場合があります。

また、経済的に困窮している場合は、自治体の医療費助成制度や生活保護制度を利用できる可能性がありますので、市区町村の窓口に相談することをお勧めします。

市販の降圧薬は使えますか

現在、日本では病院で処方されるような医療用医薬品の降圧薬は市販されていません(高血圧に伴う症状に対する漢方薬などは存在します)。

高血圧の治療には必ず医師の診断と処方が必要です。

市販のサプリメントなどで血圧に影響を与えると謳われているものもありますが、医薬品とは異なり、効果や安全性が十分に確認されていないことが多いです。

必ず医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。

家庭血圧計の購入費用は医療費控除の対象ですか

医師の指示により治療上不可欠と認められた場合など、稀に医療費控除の対象になる可能性があります(税務署の判断によります)。

ただし、予防目的や自己判断で購入した場合は対象外となることが多いです。

購入の際は医師に相談し、必要に応じて診療記録に記載してもらうとよいでしょう。

まとめ

高血圧の薬代は、健康保険を使えば1種類の薬で月に1,000円から1,500円程度複数の薬を併用する場合でも月2,000円から3,000円程度が一般的です。

後発品(ジェネリック医薬品)を選択すれば、さらに費用を抑えることができ、1種類の薬であれば月1,000円以下に抑えられることもあります。

薬代に加えて、診察料や検査費なども必要になりますが、これらを含めた年間の総医療費は2万円から4万円程度が目安です。

長期間分の処方リフィル処方箋の活用お薬手帳の提示医療費控除の申請など、さまざまな方法で費用負担を軽くできます。

高血圧の治療は継続することで、脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気を予防できる大切な治療です。

費用面での不安があれば、遠慮せず主治医や薬剤師、医療機関の窓口に相談してみてください。

適切な治療を無理なく続けられるよう、利用できる制度を活用しながら、血圧管理に取り組んでいきましょう。

参考文献・参考サイト

特定非営利活動法人 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019(一般向け)解説冊子

厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について

厚生労働省「ジェネリック医薬品への疑問に答えます~ジェネリック医薬品Q&A~

厚生労働省 ジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用促進について

厚生労働省「別表第一 医科診療報酬点数表

厚生労働省「 調剤について(その3)

厚生労働省「保険調剤の理解のために (令和7年度)

厚生労働省 長期処方・リフィル処方の活用について

政府広報オンライン 「リフィル処方箋」を知っていますか?1度の診察で最大3回まで薬の処方を受けられます!

厚生労働省「長期処方及びリフィル処方箋の 実施状況調査報告書(案) <概要>

国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ

全国健康保険協会(協会けんぽ) 高額な医療費を支払ったとき

全国健康保険協会(協会けんぽ) 医療費の全額を負担したとき

神奈川県医療福祉施設協同組合 無料低額診療事業

厚生労働省 生活保護・福祉一般

KEGG MEDICUS 一般用医薬品 : クラシエ七物降下湯エキス錠

この記事を書いた人

伊藤 信久のアバター 伊藤 信久 医師・グレースメディカルクリニック院長

福岡県出身。鹿児島大学医学部卒業後、大学病院の心臓外科に勤務。冠動脈バイパス術・弁置換術などの高度な心臓手術を多数担当。
その後、恩師が開業したクリニックで一次診療に従事。地域医療の最前線で多くの患者と向き合う中で「患者さんに最も近い距離で診療すること」の重要性を再認識し、開業医として地域医療に貢献することを決意。2014年に熊本市でグレースメディカルクリニックを開設した。現在は院長として、高血圧をはじめとする循環器・生活習慣病の診療に注力。心臓外科で培った循環器の知見を活かし、「血圧から全身を守る医療」をモットーに地域の健康づくりと啓発活動を続けている。

主な資格・所属学会
・日本外科学会
・日本循環器学会
・点滴療法研究会

地域の“かかりつけ医”として、高血圧を中心とした生活習慣病の早期発見と予防、継続的な血圧管理に力を注ぎ、患者一人ひとりの「より良い血圧コントロールと健康」の実現を目指している。

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