高血圧でも胃カメラは受けられる?安全に検査を受けるための注意点

高血圧でも胃カメラは受けられる?安全に検査を受けるための注意点

胃カメラ(胃の内側をカメラで直接観察する検査)は、胃がんや胃潰瘍などを早期に見つけたり、逆流性食道炎の状態を確認したりするために重要な検査です。

健康診断で勧められたり、胃の不快感をきっかけに受診したりと、幅広い年代の方に身近な検査となっています。

しかし高血圧の治療を受けている方の中には、「血圧が高いままで受けても大丈夫なのか」「血圧の薬を飲んだまま検査できるのか」「検査の途中で血圧が急に上がったりしないか」といった不安を感じて、受診をためらってしまう方も少なくありません。

結論からお伝えすると、高血圧があっても血圧がある程度落ち着いていれば、胃カメラは安全に受けることができます

ただし、検査中に血圧が一時的に上下しやすいという特徴や、当日の薬の飲み方、前日からの過ごし方など、高血圧の方が事前に知っておきたいポイントがいくつかあります。

こうしたことをあらかじめ把握しておくことで、余計な心配をせずに、落ち着いた気持ちで検査に臨むことができます。

高血圧があっても胃カメラを受けられる条件
  • 上の血圧180mmHg未満、下の血圧110mmHg未満が目安
  • 血圧の薬を飲み続けて、血圧が普段から安定している
  • 高血圧の治療中であることと薬の名前を事前に医療機関へ伝えている
  • 前日の飲酒・睡眠不足を避け、当日の血圧を安定させている
  • 血圧がとても高い日は、医師の判断で検査を延期することがある

この記事では、高血圧のある方が胃カメラを受ける際に気になる疑問を、できるだけわかりやすく解説します。

「そもそも受けていいのか」という基本的なところから、当日の薬の飲み方、眠った状態で受ける検査の選択肢、前日の過ごし方まで、順を追って説明しています。

高血圧だからといって必要な検査を避けてしまうことは、むしろ病気の発見が遅れるリスクにつながることもあります。

正しい知識を持ったうえで、安心して受診していただければと思います。

この記事でわかること
  • 高血圧があっても胃カメラを受けられる条件
  • 検査当日の血圧の薬の飲み方
  • 胃カメラ中に血圧が上がりやすい理由と対策
  • 安全に検査を受けるための準備と心がけ
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

高血圧があっても、血圧が安定していれば胃カメラは受けられる

高血圧のある方にとって、「そもそも胃カメラを受けてもよいのか」という点が最初の疑問になるかと思います。

結論として、血圧がある程度落ち着いている状態であれば、多くの場合、胃カメラを受けることができます。

胃カメラは外科手術のように体を大きく傷つける検査ではなく、口から細いカメラを入れて胃の内側を観察するだけのものです。

心臓や血管への負担は外科手術と比べてはるかに小さく、多くの医療機関で日々当たり前のように行われています。

高血圧があるからといって、それだけで検査が受けられなくなるわけではありません。

ただし、血圧の状態によっては一時的に検査を延期する場合もあります。

また、高血圧のある方は検査中に血圧が変動しやすい傾向があるため、担当医や検査スタッフへ事前に自分の状態を伝えておくことがとても大切です。

このあとの項目では、「どんな場合に延期が必要になるのか」と「血圧の変動について知っておくべきこと」を順番に解説します。

ただし、血圧が非常に高い場合は検査を延期することがある

血圧がとても高い状態のときは、検査を一時的に延期することがあります。

目安として、上の血圧(収縮期血圧)が180mmHg以上、あるいは下の血圧(拡張期血圧)が110mmHg以上というほど急激に血圧が上がっている状態は、消化器内視鏡の安全管理の観点から注意が必要な水準とされています。

一方で、外来で治療を続けている高血圧の方に対しては、血圧が多少高くても検査をそのまま進めることが多いのも事実です。

最終的な判断は、検査前に担当医が血圧を測ったうえで行います。

「数値が少し高いかもしれない」と感じていても、自分で判断して検査を中止したり、逆に無理に受けようとしたりするのではなく、まず医師に伝えることが大切です。

検査前の血圧と対応の目安

血圧の状態上の血圧(目安)下の血圧(目安)対応の目安
安定している180mmHg未満110mmHg未満通常通り検査可能
やや高め160〜179mmHg100〜109mmHg担当医に申告のうえ判断
著しく高い180mmHg以上110mmHg以上検査を延期する場合あり

※あくまでも目安です。最終的な判断は担当医が行います。

高血圧の人は、胃カメラ中に血圧が変動しやすい点に注意が必要

高血圧のある方が胃カメラを受ける際にもう一つ知っておいてほしいのが、検査中に血圧が上下しやすいという点です。

618人を対象にした胃カメラ中の血圧と心拍数の変化を調べた研究では、胃カメラは大腸カメラと異なり心拍数が上がりやすいことが示されました。

上部消化管内視鏡検査では心拍数(HR)が増加したが、大腸内視鏡検査では血圧(BP)とHRが低下した。

引用:PubMed Monitoring of blood pressure and heart rate during routine endoscopy: a prospective, randomized, controlled study

また、モニタリングを受けた患者の71%に何らかの血圧や心拍数の変動が見られたとも報告されています。

ただし、こうした変動は多くの場合その場限りの一時的なものです。

心疾患などのリスクがない方であれば、深刻なトラブルにつながることはまれです。

もともと血圧の管理が不安定な方では少しリスクが高まる可能性があるため、高血圧であることを事前に伝えておくことと、日ごろからの血圧管理が重要になります。

検査当日も血圧の薬はいつも通り飲むことが多い

胃カメラの前日や当日、「薬を飲んでいいのだろうか」と迷う方はとても多くいらっしゃいます。

特に検査前は食事を抜くよう指示されるため、「何も口に入れてはいけないのでは?」と思い込み、薬まで中断してしまうケースが見受けられます。

しかし血圧の薬については、検査当日もいつも通り飲むよう案内している医療機関が多く見られます。

食事を抜いていても、少量の水で薬を飲むことは問題ありません

ただし、薬の種類によっては飲むタイミングや飲み続けてよいかどうかについて、担当医に確認が必要な場合もあります。

特に「ARB」や「ACE阻害薬」と呼ばれる種類の薬は、眠った状態で検査を行う場合との兼ね合いから、服用について医師の判断が求められることがあります。

このあとの項目では、「なぜ薬を飲み続けるべきか」という理由と、「確認が必要な薬の種類」についてあわせて解説します。

薬を自己判断でやめると、血圧が急に上がる危険がある

「検査の前は薬を飲まない方が安全かもしれない」と考えて、自分の判断で服薬をやめてしまう方がいます。

しかしこれは非常に危険です。

血圧の薬は毎日飲み続けることで血圧を安定させています。

急に飲むのをやめると、それまで抑えられていた血圧が一気に跳ね上がることがあります。

これは特に、「β遮断薬(ベータ遮断薬)」と呼ばれる種類の薬で起こりやすく、急に中断すると血圧や心拍数が急上昇する「リバウンド」が起きることがあります。

手術前後の薬の管理に関する報告を参考にすると、β遮断薬やカルシウム拮抗薬(血管を広げて血圧を下げる薬)については、胃カメラなどの検査の前も継続することが支持されています。

飲んでよいか迷ったら必ず担当医に確認してください。

自己判断でやめることは絶対に避けましょう。

薬の種類によっては服用タイミングの確認が必要なため、事前に医師へ相談する

ほとんどの血圧の薬は検査当日も飲み続けてよいのですが、薬の種類によっては注意が必要な場合があります。

ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)」や「ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)」と呼ばれる薬は、血管を広げて血圧を下げるタイプの薬ですが、医療機関によって検査当日の服薬方針(継続か中止か)が異なることが多いため、飲むタイミングについて事前に医師へ確認する必要があります。

また、「利尿薬(体の余分な水分を尿として出して血圧を下げる薬)」については、手術に準じた状況では当日の朝の服用を控えるよう勧める見解もあります。

いずれにしても、ご自身が飲んでいる薬について事前に担当医へひと言確認しておくのが最も安心です。

「血圧の薬を飲んでいますが、検査当日も飲んでよいですか?」と聞くだけで、当日の不安をひとつ減らすことができます。

血圧の薬の種類と検査当日の対応目安

薬の種類代表的な薬の例検査当日の対応目安
β遮断薬アテノロール、ビソプロロールなど基本的に継続。急な中断はリバウンドのリスクあり
カルシウム拮抗薬アムロジピン、ニフェジピンなど基本的に継続
ARBオルメサルタン、テルミサルタンなど医療機関によって方針が異なるため、事前に要相談
ACE阻害薬エナラプリル、リシノプリルなど医療機関によって方針が異なるため、事前に要相談
利尿薬フロセミド、ヒドロクロロチアジドなど当日の服用を控える場合あり。事前に要確認

※いずれも自己判断での中断は禁物です。必ず担当医に確認してください。

胃カメラ中に血圧が上がる主な原因は緊張と刺激で、対策できる

胃カメラを受けたことがない方が最も心配されるのが、「検査中に血圧が急に上がらないか」という点ではないでしょうか。

実際、胃カメラの最中に血圧が一時的に上がることは珍しくありません。

その主な原因は2つで、一つは検査前後の緊張や不安、もう一つはカメラが食道を通るときの体への刺激です。

どちらも体が「緊張」や「異物感」を感じたときに、自律神経の働きで心拍数や血圧が上がる自然な反応です。

ただし、こうした変化は検査が終わればほとんどの場合数分以内に落ち着く、一時的なものです。

「なぜ血圧が上がるのか」を事前に知っておくだけでも、必要以上に怖がらずに検査に臨めるようになります。

このあとでは、緊張を和らげる具体的な方法と、眠った状態で受けられる「鎮静内視鏡」という選択肢について紹介します。

胃カメラ中に血圧が上がる主な原因
  • 心理的な要因:「痛いのではないか」「うまくいくか」という不安や緊張
  • 物理的な要因:カメラが食道を通過する際の異物感・刺激
  • 環境的な要因:病院という場所自体が緊張感を高め、血圧を押し上げる(いわゆる白衣高血圧)

検査前にリラックスすることで、血圧の急上昇を抑えやすくなる

緊張や不安が血圧を上げる原因の一つであるなら、できるだけリラックスした状態で検査に臨むことが、具体的な対策になります。

肩や首の力を抜いたり、不安なことは検査スタッフに率直に伝えたりすることが、体の緊張をほぐすうえで役立つとされています。

ゆっくり深呼吸をすることも、リラックスにつながるかもしれません。

また、病院や検査室という環境に入るだけで血圧が上がってしまう「白衣高血圧」という現象もよく知られています。

これは普段は血圧が正常でも、医療機関の雰囲気に緊張して一時的に血圧が上がってしまうもので、高血圧の方だけでなく多くの人に見られます。

診察室での血圧が高い人の最大30~40%(超高齢者では50%以上)を占める可能性がある。

引用:European Society of Cardiology Definition of hypertension and pressure goals during treatment (ESC-ESH Guidelines 2018)

検査への不安が強い場合は、遠慮せず医師やスタッフに伝えてください。

不安を共有するだけでも、気持ちが楽になることがあります。

検査前にできるリラックスのポイント
  • 待合室では椅子にゆったりと座り、肩や首の力を意識して抜く
  • ゆっくりと深呼吸をするなどして、少しでもリラックスできるよう心がける
  • 「初めてで不安」「以前の検査がつらかった」など、気になることはスタッフに遠慮なく伝える
  • 検査の流れを事前に確認しておき、「何が起きるか」をあらかじめ把握しておく

眠った状態で受ける鎮静内視鏡は、緊張や不快感を和らげる選択肢の一つ

近年、多くの医療機関で「鎮静内視鏡(無痛内視鏡)」が選べるようになっています。

これは、うとうとした状態になる薬(鎮静薬)を使いながら検査を行うもので、ほとんど眠っているような状態のまま検査が終わります。

緊張や不快感が大きく和らぐため、精神的な負担は軽減されますが、血圧変動は一律に小さくなるとは言えません。

胃カメラに関する研究でも、鎮静薬を使った内視鏡では患者さんの満足度が高まることが広く認められています。

有効薬にランダム化された患者のうち、処置の76%が「成功」し(プラセボ群46%)、79%が快適さに満足し(プラセボ群47%)、再検査を希望した患者は81%でした(プラセボ群65%)。

引用:PubMed Sedation versus no sedation in the performance of diagnostic upper gastrointestinal endoscopy: a Canadian randomized controlled cost-outcome study

一方で、鎮静薬には血圧を下げる作用もあるため、逆に血圧が下がりすぎてしまわないよう注意が必要な場面もあります。

そのため鎮静内視鏡を受ける際は、検査前・検査中・検査後を通じて、血圧を定期的に測り、心拍数や血中の酸素の量を継続的に監視しながら進めます。

鎮静内視鏡を希望する場合は、事前に医療機関へ相談してみてください。

通常の胃カメラと鎮静内視鏡の比較

項目通常の胃カメラ鎮静内視鏡(無痛内視鏡)
意識の状態起きたまま受けるうとうとした状態〜浅い眠りの状態
不快感・緊張感じやすい大幅に軽減される
緊張による血圧上昇起こりやすい精神的な緊張による上昇は抑えられやすいが、血圧変動が一律に小さくなるとは言えない
血圧が下がるリスク比較的低い鎮静薬の影響で注意が必要
検査後の注意特になし(通常は当日から日常生活可)当日の車・バイクの運転は不可
検査中のモニタリング実施より丁寧に実施

高血圧の人が胃カメラを安全に受けるには、事前申告と体調管理が大切

高血圧のある方が胃カメラを安全に受けるために、特に意識してほしいのが「事前の申告」と「当日までの体調管理」の2点です。

どれほど設備が整った医療機関でも、担当医がその方の血圧の状態や飲んでいる薬を把握していなければ、適切な準備や対応をとることができません。

自分の状態をきちんと伝えることは、安全な検査を受けるために患者さん自身ができる、最も大切なことの一つです。

また、検査当日の血圧は前日の過ごし方によっても変わります。

お酒を飲んだり、夜更かしをして睡眠不足になったりすると、翌朝の血圧が高くなりやすいことが研究でも示されています。

こうしたことを意識して前日を過ごすだけで、当日の血圧を落ち着いた状態に保ちやすくなります。

このあとの項目では、前日の具体的な注意点と、医療機関への申告がなぜ大切かについて解説します。

前日の飲酒や睡眠不足は血圧を上げるため、前日から注意が必要

胃カメラの前日は、お酒を控えて、しっかり眠ることが大切です。

アルコールには血圧を上げる作用があることは、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)のガイドラインにも明記されています。

さらに、夜に飲酒すると睡眠の質が落ちてしまうため、翌朝の血圧がより上がりやすくなることも研究で示されています。

睡眠不足もまた、血圧を上げる原因になります。

睡眠と血圧の関係を調べた研究では、眠れない夜が続くと体の緊張をつかさどる神経(交感神経)が過剰に働き、血圧が上がりやすくなることが示されています。

睡眠不足中のノルアドレナリンの増加は交感神経活動の増加を示唆しており、夜間の最初の部分の部分的睡眠不足であっても、BP の上昇に寄与している [ 23 ]。

引用:PubMed Central The association between sleep deprivation and arterial pressure variations: a systematic literature review

つまり、前日の夜にお酒を飲んで夜更かしをすると、翌朝の検査のときに血圧が高く不安定な状態になりやすくなるということです。

検査前日はなるべく早めに寝て、お酒は控えるようにしましょう。

検査前日のチェックリスト
  • 夕食後のアルコールは控える
  • なるべく早めに就寝し、十分な睡眠時間(7〜9時間程度)を確保する
  • 前日は無理をせず、一般的な体調管理を心がける
  • 翌朝の服薬について、事前に担当医から確認を取っておく
  • 検査当日の持ち物や流れを確認し、当日慌てないよう準備しておく

高血圧であることを医療機関に伝えると、より安全に検査を受けられる

胃カメラの予約時や問診の際に、「高血圧の治療を受けていること」と「飲んでいる薬の名前や種類」を必ず医療スタッフへ伝えてください。

これは、検査前に適切な準備を整えるための大切な情報です。

検査中は血圧を定期的に測り、心拍数や血液中の酸素の量を継続的に監視することが推奨されており、高血圧があると伝えておくことでより丁寧な管理体制のもとで検査を受けることができます

英国の消化器内視鏡学会(JAG)のガイドラインでも、すべての患者に対して検査前に血圧などの基本的な体の状態を確認することが推奨されており、血圧に心配がある場合には担当医へすぐに報告するよう定められています。

高血圧であることを伝えることは、けして恥ずかしいことでも遠慮すべきことでもありません。

事前に申告しておくことで、医療スタッフがより適切な準備をして検査に臨むことができます。

【医療機関に伝えておくべき情報】
  • 高血圧の治療中であること
  • 現在飲んでいる薬の名前と種類(お薬手帳を持参するとスムーズ)
  • いつごろから高血圧の治療を始めたか
  • 最近の血圧の状態(家庭で測っている場合はその記録)
  • 高血圧以外に治療中の病気がある場合はあわせて申告する

よくある質問

高血圧の薬を飲んでいますが、検査当日も飲んでよいですか?

多くの医療機関では、検査当日もいつも通り服用するよう案内しています。

血圧の薬を自己判断でやめると、血圧が急に上がる危険があります。

ただし薬の種類によっては服用タイミングの確認が必要な場合もあるため、事前に担当医へひと言確認しておくと安心です。

検査前に血圧が高かったら、そのまま受けられますか?

血圧が軽度に高い程度であれば、多くの場合そのまま検査を進めることができます。

ただし、上の血圧が180mmHg以上など著しく高い場合は、担当医の判断で検査を延期することがあります

検査前に測定した血圧が高いと感じた場合は、遠慮せずスタッフへ伝えてください。

眠った状態で受ける検査(鎮静内視鏡)は、高血圧の人でも大丈夫ですか?

受けることができます。

鎮静内視鏡は緊張や不快感を和らげるため、高血圧の方にとってメリットがある面もありますが、血圧変動は一律に小さくなるとは言えません。

ただし鎮静薬には血圧を下げる作用もあるため、検査中のモニタリングが適切に行われる環境での実施が前提となります。

希望する場合は事前に医療機関へ相談してみてください。

高血圧以外の持病がある場合はどうすればよいですか?

心臓病や腎臓病、糖尿病など他の病気をお持ちの場合は、それぞれの状態に応じて検査前の対応方針が変わることがあります。

複数の薬を飲んでいる場合も含め、すべての病歴と服用薬を検査前に申告することが大切です。

まとめ

高血圧があっても、血圧がある程度落ち着いていれば胃カメラは安全に受けることができます。

検査中に血圧が一時的に上下することはありますが、多くの場合、短時間で元に戻る一時的な変動であり、心臓病などのリスクがない方であれば、適切な管理のもとで深刻なトラブルに至ることはまれです。

安全に検査を受けるためのポイントは3つです。

一つ目は、血圧の薬を自己判断でやめず、事前に確認したうえで検査当日も指示通り飲むこと(種類によっては事前確認が必要な場合あり)。

二つ目は、検査前日はお酒を控えてしっかり眠り、血圧を安定した状態で当日を迎えること

三つ目は、高血圧であることと飲んでいる薬の情報を、必ず事前に医療機関へ伝えること

この3点を守ることで、より安心して検査に臨むことができます。

胃カメラは胃がんをはじめとするさまざまな病気を早期に見つけるための大切な検査です。

「高血圧があるから」と躊躇せず、体の状態をきちんと伝えたうえで、定期的に受けるようにしましょう。

不安なことがあれば、検査前に遠慮なく担当医へ相談してください。

この記事のポイントまとめ
  • 血圧が安定していれば、高血圧があっても胃カメラは受けられる
  • 血圧の薬は自己判断でやめず、事前に確認したうえで検査当日も指示通りに飲む
  • 検査中は緊張やスコープの刺激で血圧が一時的に上がることがあるが、通常は短時間で落ち着く
  • 眠った状態で受ける鎮静内視鏡は、緊張や不快感を和らげる効果があるが、血圧変動が一律に小さくなるとは言えない
  • 前日の飲酒・睡眠不足は血圧を上げるため避ける
  • 高血圧であることと服用薬を必ず事前に医療機関へ伝える
参考文献・参考サイト

National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases Upper GI Endoscopy

PubMed Central Sedation-related complications in gastrointestinal endoscopy

PubMed Monitoring of blood pressure and heart rate during routine endoscopy: a prospective, randomized, controlled study

Massachusetts General Hospital Preparing for your Endoscopy Procedure

Cardiovascular Prevention and Pharmacotherapy Perioperative Management of Hypertensive Patients

PubMed Central Anti-Hypertensive Therapy and Risk Factors Associated with Hypotension during Colonoscopy under Conscious Sedation

PubMed Pharmacologic and Perioperative Considerations for Antihypertensive Medications

European Society of Cardiology Definition of hypertension and pressure goals during treatment (ESC-ESH Guidelines 2018)

PubMed Sedation versus no sedation in the performance of diagnostic upper gastrointestinal endoscopy: a Canadian randomized controlled cost-outcome study

PubMed Central Endoscopic Sedation: Risk Assessment and Monitoring

Centers for Disease Control and Prevention Preventing High Blood Pressure

PubMed Central Impact of evening alcohol consumption on nocturnal autonomic and cardiovascular function in adult men and women: a dose–response laboratory investigation

PubMed Central The association between sleep deprivation and arterial pressure variations: a systematic literature review

National Heart, Lung, and Blood Institute How Much Sleep Is Enough?

Joint Advisory Group on GI Endoscopy Is it a requirement for blood pressure to be checked before an endoscopy procedure?

PubMed Central Preparation and Patient Evaluation for Safe Gastrointestinal Endoscopy

この記事を書いた人

伊藤 信久のアバター 伊藤 信久 医師・グレースメディカルクリニック院長

福岡県出身。鹿児島大学医学部卒業後、大学病院の心臓外科に勤務。冠動脈バイパス術・弁置換術などの高度な心臓手術を多数担当。
その後、恩師が開業したクリニックで一次診療に従事。地域医療の最前線で多くの患者と向き合う中で「患者さんに最も近い距離で診療すること」の重要性を再認識し、開業医として地域医療に貢献することを決意。2014年に熊本市でグレースメディカルクリニックを開設した。現在は院長として、高血圧をはじめとする循環器・生活習慣病の診療に注力。心臓外科で培った循環器の知見を活かし、「血圧から全身を守る医療」をモットーに地域の健康づくりと啓発活動を続けている。

主な資格・所属学会
・日本外科学会
・日本循環器学会
・点滴療法研究会

地域の“かかりつけ医”として、高血圧を中心とした生活習慣病の早期発見と予防、継続的な血圧管理に力を注ぎ、患者一人ひとりの「より良い血圧コントロールと健康」の実現を目指している。

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