足や顔がむくんでいる方の中には、「高血圧が原因ではないか」と心配される方も多いのではないでしょうか。
夕方になると靴がきつくなる、朝起きると顔が腫れぼったい、靴下の跡がなかなか消えないなど、むくみに悩む方は少なくありません。
実は、高血圧そのものが直接むくみを引き起こすことは多くないのです。
私たちの体には血管を自動的に調節する仕組みがあり、血圧が高くてもむくみが起こりにくいよう守られています。
ただし、高血圧の薬による副作用や、高血圧が何年も続いたことで起こる体の不調が、むくみの原因になることがあります。
- カルシウム拮抗薬で動静脈の拡張差により毛細血管圧上昇
- 高血圧長期化で腎臓血管が損傷し水分・塩分を溜め込む
- 心臓負担で心不全となり静脈圧上昇で水分が漏出
- 塩分過剰で体が水分を保持し血管内圧力が高まる
- 運動不足で筋肉ポンプ機能低下し血液が滞留
むくみは、体に余分な水分が溜まっている状態で、心臓や腎臓、血管、リンパ系の働き、あるいは薬剤による影響など、さまざまな原因で起こります。
特に、数日で急にむくみがひどくなったり、息苦しさを感じたりする場合は要注意です。
心不全や腎不全といった命に関わる病気が隠れている可能性があります。
そのまま放っておくと危険な状態になることもあるため、正しい知識を持って対応することが大切です。
一方で、食事の塩分を減らしたり、適度に体を動かしたりすることで、むくみを改善できることも多いのです。
この記事では、高血圧とむくみはどう関係しているのか、むくみが起こる主な4つの原因、すぐ病院に行くべき危険なむくみの見分け方、そして毎日の生活でできる改善方法について、わかりやすく解説します。
病院を受診するタイミングについてもお伝えします。
- 高血圧そのものは直接むくみの原因にならない理由
- 高血圧でむくみが起きる4つの主な原因
- すぐに病院を受診すべき危険なむくみのサイン
- 塩分制限と運動によるむくみの改善方法
- 病院を受診するタイミングと検査内容
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
高血圧そのものは直接むくみの原因にならない
多くの方が高血圧とむくみを結びつけて考えがちですが、実は高血圧だけではむくみは起こりにくいのです。
これは医学的にもはっきりしています。
血圧が高くても、私たちの体に備わった血管の調節機能が働くおかげで、普通はむくみが出ません。
ところが、高血圧の薬の影響や、高血圧が何年も続いたことで心臓や腎臓に問題が起きると、むくみが現れることがあります。
つまり、高血圧の方にむくみが出た場合、その裏には薬の副作用や臓器の不調といった別の理由が隠れていることが多いのです。
ここでは、なぜ高血圧だけではむくみが起きにくいのか、そしてむくみが出る場合の本当の原因について、わかりやすく説明していきます。
高血圧だけではむくみは起きにくい
高血圧だけではむくみは起こりにくいことが知られています。
血圧が高くても、通常むくみは出ません。
これは、私たちの体に血管を守る仕組みがあるためです。
血管の壁には筋肉があり、血圧が上がるとこの筋肉がキュッと縮んで、体の末端にある細い血管に強い圧力がかからないよう調整してくれます。
この働きのおかげで、高血圧でも足や手などにむくみが起こりにくくなっているのです。
未治療の高血圧患者では、毛細血管前括約筋の平滑筋成分による局所的な自己調節作用により、毛細血管床は全身動脈圧の上昇から保護されるため、末梢浮腫はまれな問題です。
引用:PubMed Central Calcium Channel Blocker‐Related Peripheral Edema: Can It Be Resolved?
ただし、急に血圧がグンと上がったり、とても高い血圧の状態が長く続いたりすると、この調整機能が間に合わなくなることがあります。
そうなると、一部の臓器でむくみが出る可能性があります。
例えば、急激な血圧上昇で肺に水が溜まる「肺水腫」という状態は、すぐに治療が必要な危険な状態です。
むくみの原因は降圧薬や合併症にある
高血圧の方にむくみが出る場合、血圧を下げる薬の副作用や、高血圧によって起こる心臓や腎臓の不調が原因であることが多くあります。
高血圧の治療に使われる薬の中には、血管を広げる働きで足のむくみを引き起こすものがあります。
また、高血圧が何年も続くと、腎臓や心臓に負担がかかり続けます。
その結果、これらの臓器の働きが悪くなると、体の中の余分な水分や塩分をうまく外に出せなくなり、むくみとして現れます。
高血圧による臓器の不調は、少しずつ進んでいきます。
そのため、むくみに気づいた時には、すでに体のどこかに問題が起きている可能性があります。
だからこそ、むくみに気づいたら早めに病院を受診して、何が原因なのかを調べてもらうことが大切なのです。
高血圧でむくみが起きる4つの原因
高血圧の方にむくみが出る場合、主に4つの理由が考えられます。
一つ目は、高血圧の治療によく使われる「カルシウム拮抗薬」という薬の副作用です。
二つ目は、高血圧が長く続いたことで腎臓の血管が傷つき、腎臓の働きが悪くなることです。
三つ目は、心臓に負担がかかり続けて心不全という状態になり、むくみが出ることです。
そして四つ目は、塩分の取りすぎや運動不足といった生活習慣の問題です。
これらの理由は、一つだけのこともあれば、いくつかが重なって症状をひどくすることもあります。
自分のむくみがどの理由で起きているのかを知ることが、適切な対処の第一歩です。
それぞれの原因について、どうしてむくみが起こるのか、どんな特徴があるのかを詳しく見ていきましょう。
降圧薬の副作用でむくむことがある
高血圧の治療によく使われる「カルシウム拮抗薬」という種類の薬は、血管を広げて血圧を下げる働きがあります。
ところが副作用として、足のむくみを引き起こすことがあるのです。
この薬は動脈(心臓から体に血液を送る血管)を広げますが、静脈(体から心臓に血液を戻す血管)には同じように働きません。
そのため、血管の中の圧力のバランスが崩れます。
その結果、細い血管の圧力が上がり、血管から周りの組織に水分が漏れ出しやすくなって、むくみが起こります。
カルシウム拮抗薬によるむくみは比較的よく起こります。
特にアムロジピンなどの薬でよく見られます。
むくみは薬の量が多いほど出やすく、女性や高齢の方、立ち仕事の時間が長い方に多い傾向があります。
このむくみは多くの場合、両足に現れて、夕方になるとひどくなり、朝には楽になるという特徴があります。
カルシウム拮抗薬によるむくみの特徴
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 発生頻度 | 比較的高い(薬の種類・用量により異なる) |
| 現れ方 | 多くは両足に現れる |
| 時間帯 | 夕方に悪化、朝には軽減 |
| むくみ方 | 押すとへこみが残る |
| 起こりやすい人 | 女性、高齢者、立ち仕事が多い方 |
| 医学的危険性 | 良性(命に関わらない) |
カルシウム拮抗薬によるむくみは、医学的には心配のないものとされています。
ただ、患者さんにとっては不快な症状で、薬を続けにくくなる原因になることもあります。
幸い、他の種類の血圧の薬と一緒に使うことで、むくみを軽くできることが研究でわかっています。
腎臓の働きが悪くなるとむくみやすい
高血圧が何年も続くと、腎臓の血管が傷ついて、腎臓の働きが少しずつ悪くなります。
腎臓は体の中の余分な水分や塩分をおしっことして出す大切な役割を持っています。
ところが働きが悪くなると、この排出がうまくできなくなり、体の中に水分や塩分が溜まってむくみが現れます。
高血圧による腎臓の不調は、腎臓の細い血管が狭くなったり硬くなったりすることから始まります。
血管が狭くなると腎臓に流れる血液が減り、腎臓は「体の水分が足りない」と勘違いしてしまいます。
そうすると、体に水分を溜め込もうとするホルモンが働いて、さらに塩分と水分を体に取り込んでしまうという悪い流れができてしまいます。
腎臓の働きが悪くなることで起こるむくみは、最初は足首や足に現れます。
しかし進むと、顔や目の周り、手にも広がることがあります。
特に朝起きたときに顔や目の周りがむくんでいる場合は、腎臓の働きが落ちている可能性があります。
また、おしっこの量が減る、おしっこが泡立つ、体がだるいといった症状が一緒に出ることもあります。
心臓の機能が低下するとむくみが出る
高血圧が続くと心臓に大きな負担がかかります。
その結果、心臓の筋肉が厚くなったり、血液を送り出すポンプの働きが弱くなったりします。
心臓が十分な力で血液を送り出せなくなると、血液が体の中で滞ってしまい、静脈(心臓に血液を戻す血管)の圧力が上がります。
この圧力の上昇によって、血管から周りの組織に水分が押し出され、むくみが起こるのです。
心不全によるむくみは、重力の影響を受けやすいのが特徴です。
日中立っていることが多ければ足に、寝ている時間が長ければ腰や背中にむくみが現れます。
細胞外液量の増加による浮腫は、しばしば下垂性となります。例えば、歩行可能な患者では足と下腿に浮腫が生じますが、安静が必要な患者では臀部、性器、大腿後部に浮腫が生じます。
引用:Merck Manuals Edema – Cardiovascular Disorders
心不全が進むと、肺にも水が溜まる「肺水腫」という状態になり、息切れや息苦しさといった症状が出てきます。
心不全では、腎臓に流れる血液も減ってしまうため、腎臓からの塩分と水分の排出もさらに悪くなります。
また、体が水分を溜め込もうとする反応も強まります。
これらが重なることで、むくみは少しずつひどくなっていきます。
塩分の取りすぎや運動不足もむくみにつながる
高血圧の方が塩分を摂りすぎると、体内の水分量が増えて血液量も増え、血管にかかる圧力が高まり、むくみやすくなります。
日本人は昔から塩分を多く取る食生活をしてきたため、これが高血圧とむくみの両方を悪くする原因になっています。
また、運動不足も見逃せない原因です。
筋肉、特にふくらはぎの筋肉は、足に溜まった血液を心臓に送り返すポンプの役割をしています。
長い時間座っていたり、運動不足が続いたりすると、このポンプの働きが弱くなり、足に血液や水分が溜まりやすくなります。
デスクワークが多い方や、年齢を重ねて体を動かす機会が減った方は特に気をつける必要があります。
さらに、太りすぎも重要な原因です。
体重が重すぎると静脈に圧力がかかって、血液の流れが悪くなります。
また、肥満は体の中に炎症を起こし、血管の働きを悪くすることでも、むくみをひどくします。
危険なむくみのサインは息切れや尿の減少
むくみには、様子を見ていても大丈夫なものと、すぐに病院に行かなければいけない危険なものがあります。
特に気をつけなければいけないのは、数日で急にひどくなるむくみ、息苦しさや胸の苦しさを伴うむくみ、そしておしっこの量が減っているときのむくみです。
これらは心不全が急に悪くなった、肺に水が溜まっている、急に腎臓の働きが悪くなった、血管の中に血の塊ができたなど、命に関わる病気のサインかもしれません。
普通の軽いむくみと危険なむくみを見分けることは、時にはあなたやご家族の命を救うことにつながります。
むくみが危険かどうかを判断するには、むくみがどれくらいの速さで進んでいるか、他にどんな症状があるか、片足だけか両足か、痛みはあるかなどを総合的に見る必要があります。
ここでは、見逃してはいけない危険なむくみの3つの大切なサインについて、具体的な症状と対応方法を説明します。
- 数日で急にむくみがひどくなった
- むくみと一緒に息切れや胸の苦しさがある
- おしっこの量が明らかに減っている
- 片方の足だけが急に腫れて痛みがある
- むくみと一緒に数日で体重が急激に増えた(2〜3kg以上)
- 顔や目の周りが著しくむくんでいる
- 横になると息苦しくなる
急にむくみがひどくなったら注意
今までなかったむくみが急に現れた場合や、もともとあったむくみが数日のうちに急にひどくなった場合は要注意です。
急なむくみは、心不全が急に悪くなった、腎臓の働きが急激に落ちた、血管の中に血の塊ができたなどの深刻な状態を示している可能性があります。
特に、片方の足だけが急に腫れて痛みがある場合は、「深部静脈血栓症」という病気の可能性があります。
これは血管の中に血の塊ができる病気で、そのままにしておくと血の塊が肺に飛んで「肺塞栓症」という命に関わる状態を引き起こす恐れがあります。
また、両足が急速にむくむ場合は、心不全や腎不全が急に悪くなった可能性があります。
むくみの程度を確認する簡単な方法があります。
すねの骨の上を指で5秒ほど押してみてください。
指を離した後にくぼみが残って、元に戻るまで時間がかかる場合は、体にかなりの水分が溜まっていることを示しています。
息苦しさや胸の痛みがある場合はすぐ受診
むくみに加えて息切れや胸の苦しさがある場合は、心不全や肺に水が溜まっている可能性があり、緊急性の高い状態です。
特に、横になると息苦しくなる、夜中に息苦しくて目が覚める、少し動いただけで息が切れるといった症状がある場合は、心臓のポンプの働きがかなり落ちている可能性があります。
心不全では、心臓が全身に十分な血液を送り出せないため、肺に血液が溜まります。
そして肺の血管から肺の中に水分が漏れ出します。
これが「肺水腫」という状態で、酸素を取り込めなくなるため息苦しくなるのです。
肺水腫は急速に悪くなることがあり、命に関わる危険があるため、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
また、胸の痛みや圧迫感は、心筋梗塞などの重い心臓の病気のサインである可能性もあります。
これらの症状がある場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
おしっこの量が減っているときも要注意
むくみとともにおしっこの量が減っている場合は、腎臓の働きがかなり悪くなっている可能性があります。
健康な大人の1日のおしっこの量は普通1000〜1500ml程度ですが、これが500ml以下に減ると、腎臓の働きが大きく落ちていることを示します。
さらにおしっこの量が100ml以下になると、すぐに治療が必要な危険な状態です。
おしっこの量が減るということは、腎臓が体の中の老廃物や余分な水分を十分に外に出せなくなっているということです。
この状態が続くと、体の中に老廃物が溜まって「尿毒症」という命に関わる状態になる恐れがあります。
尿毒症の症状には、吐き気、嘔吐、食欲がない、意識がもうろうとするなどがあります。
また、おしっこの色が濃い茶色や赤茶色になっている場合は、血が混じっていたり、腎臓に炎症が起きていたりする可能性があります。
おしっこに泡がたくさん立って、なかなか消えない場合は、タンパクが出ている可能性があり、これも腎臓の働きが落ちているサインです。
むくみは塩分制限と適度な運動で改善できる
むくみを良くしたり予防したりするには、毎日の生活で気をつけることがとても大切です。
特に効果があるのが、食事で塩分を控えることと、適度に体を動かす習慣を持つことです。
塩分を減らせば体の中に溜まる水分が減り、運動で血液の流れが良くなれば、むくみは大きく改善する可能性があります。
これらの生活習慣の改善は、むくみを軽くするだけでなく、高血圧そのものの管理にもとても効果的です。
また、薬の副作用でむくみが出ている場合は、医師と相談して薬の種類や量を変えてもらうこともできます。
大切なのは、これらの対策を一時的にやるのではなく、長く続けられる習慣にすることです。
急に大きく変えようとせず、無理なく続けられる範囲で少しずつ生活習慣を改善していくことが成功のコツです。
ここでは、具体的にどうやって塩分を減らすか、どんな運動をすれば効果があるか、そして薬が原因の場合はどうすればいいかについて、詳しく説明します。
1日の塩分を6g未満に抑える
高血圧の方にとって、塩分を減らすことは治療の基本です。
日本高血圧学会は、高血圧の患者さんは1日の食塩摂取量を6g未満にすることを強くすすめています。
これは、腎臓病が悪くならないようにするためにも大切な目標です。
しかし、日本人の平均的な食塩摂取量は1日約10g程度で、目標値を大きく超えています。
塩分を減らすには、まず普段の食事でどこから塩分を取っているかを知ることが大切です。
日本人の場合、しょうゆ、味噌、漬物、加工食品などから多くの塩分を取っています。
- 調味料は「かける」のではなく小皿に入れて「つける」
- 酢やレモンなどの酸味を活用する
- しょうが、にんにく、ハーブなどの香りを利用する
- 加工食品やインスタント食品を避ける
- ラーメンやうどんの汁は残す
- 新鮮な食材を使った手作りの食事を心がける
- カリウムが多い野菜や果物を積極的に食べる
具体的な塩分を減らす工夫として、次のような方法があります。
調味料は料理に「かける」のではなく、小皿に入れて「つける」ようにすることで、使う量を減らせます。
例えば、しょうゆを料理にかけるのではなく、小皿に入れて食材をつけて食べれば、取る塩分の量を大きく減らせます。
また、酢やレモンなどの酸っぱい味、しょうが、にんにく、ハーブなどの香りを上手に使えば、塩分を減らしても美味しく食べられます。
加工食品やインスタント食品には大量の塩分が入っているため、できるだけ避けて、新鮮な食材を使った手作りの食事を心がけましょう。
ラーメンやうどんなどは1杯(汁を含む)で塩分が3〜8g程度あり、料理の種類や店によって異なりますが、塩分の多くが汁に含まれているため、汁は残すようにします。
一方で、カリウムが多く入っている野菜や果物は、腎臓から塩分を出しやすくする働きがあるため、積極的に食べることがすすめられます。
ただし、腎臓の働きが落ちている方は、カリウムを制限しなければいけない場合もあるので、主治医に相談してください。
ウォーキングなど軽い運動を続ける
適度な運動は、むくみを良くすることと高血圧を管理することの両方に効果があります。
運動で筋肉が動くと、特にふくらはぎの筋肉がポンプのように働いて、足に溜まった血液や水分を心臓に戻しやすくなります。
また、運動は血管の働きを良くし、血圧を下げる効果もあります。
高血圧の方におすすめの運動は、ウォーキング、軽いジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動です。
運動の強さは中くらいが適切で、運動中に会話ができる程度を目安にします。
運動時間は1回30〜60分程度、週に3〜5日行うことがすすめられます。
運動は続けることで最も効果が得られるため、無理のない範囲で習慣にすることが大切です。
推奨される運動の目安
| 項目 | 推奨内容 |
|---|---|
| 運動の種類 | ウォーキング、軽いジョギング、水泳、サイクリング |
| 運動の強さ | 中程度(会話ができる程度) |
| 1回の時間 | 30〜60分 |
| 頻度 | 週3〜5日 |
| 血圧低下効果 | 上の血圧4〜7mmHg、下の血圧3〜5mmHg |
研究によると、有酸素運動を続けることで、上の血圧が平均4〜7mmHg、下の血圧が3〜5mmHg下がることがわかっています。
この血圧を下げる効果は、軽い高血圧の方にとって意義のある改善であり、薬物療法と組み合わせることで治療効果を高めることができます。
運動を始める前には、必ず主治医に相談してください。
特に心臓に病気がある方や、血圧がとても高い方は、運動の種類や強さについて医師の指示を受けることが大切です。
運動中に胸の痛みやひどい息切れ、めまい、吐き気などが出た場合は、すぐに運動をやめて、病院を受診してください。
また、長い時間座りっぱなしや立ちっぱなしを避けることも大切です。
デスクワークの方は、1時間に1回くらいは立ち上がって歩いたり、足首を動かしたりするだけでも、むくみの予防に効果があります。
寝るときに足を心臓より高い位置に上げて寝ることも、むくみを軽くするのに役立ちます。
薬が原因なら医師に相談して変更も検討
カルシウム拮抗薬を飲んでいてむくみが出た場合は、自分の判断で薬を飲むのをやめないでください。
必ず主治医に相談してください。
血圧の薬を急にやめると、血圧が急に上がって危険な状態になる可能性があります。
医師は、むくみの原因を調べて、必要なら薬の種類や量を調整します。
例えば、ACE阻害薬やARBなどを追加することで、カルシウム拮抗薬によるむくみを軽くできることが研究でわかっています。
あるいは、カルシウム拮抗薬を他の種類の血圧の薬に変えることで、むくみが良くなる場合もあります。
高血圧患者において、カルシウムチャネル遮断薬とレニン・アンジオテンシン系遮断薬の併用は、カルシウムチャネル遮断薬単独療法と比較して、カルシウムチャネル遮断薬関連末梢浮腫のリスクを低減する。
引用:PubMed Effect of renin-angiotensin system blockade on calcium channel blocker-associated peripheral edema
薬によるむくみは、多くの場合、両足に現れて、押すとへこむのが特徴です。
また、立っているときにひどくなり、寝ている間には軽くなる傾向があります。
このようなパターンのむくみがある場合は、薬が原因の可能性が高いと考えられます。
医師と相談する際には、いつからむくみが始まったか、どのくらいのむくみか、他にどんな症状があるかなどを具体的に伝えることが大切です。
また、市販の利尿薬やサプリメントを自分の判断で使うことは避けてください。
これらは他の薬と悪い影響を及ぼし合ったり、体の中の電解質のバランスを崩したりする恐れがあります。
むくみが続く場合や急に悪化したら早めに受診を
むくみは、軽くて一時的なものなら心配いらない場合もありますが、病院に行く必要がある状況を見極めることはとても大切です。
長引くむくみや急にひどくなるむくみは、ただの一時的な症状ではなく、心臓や腎臓などの大切な臓器に問題が起きているサインかもしれません。
特に高血圧の治療中の方は、薬の副作用や合併症の可能性も考える必要があります。
早めに適切な診察を受けることで、重い合併症を防ぎ、効果的な治療を始めることができます。
反対に、受診するタイミングを逃すと、症状が進んで治療が難しくなることもあります。
ここでは、どんなときに病院を受診すべきか、具体的な判断の基準と、病院でどんな検査や治療が行われるのかについて説明します。
自分の判断で様子を見続けるのではなく、適切なタイミングで専門家の診察を受けることが、健康を守る上で最も大切です。
- むくみが数日続いても改善しない
- むくみが数日で急速に悪化している(体重が2〜3kg以上増加)
- 片側の足だけがむくんでいる(特に痛み、赤み、熱感を伴う場合)
- 高血圧の治療中で新たにむくみが出現した
- カルシウム拮抗薬を開始または増量した後にむくみが現れた
むくみが数日続いても改善しない場合は、何かの病気が隠れている可能性があります。
特に、生活習慣を改善してみてもむくみが良くならない場合は、早めに医学的な診察を受けることが大切です。
むくみが急にひどくなっている場合は、心不全や腎不全が急に悪くなったなどの緊急性の高い状態の可能性があります。
数日のうちに体重が2〜3kg以上増えた場合も、体の中に大量の水分が溜まっていることを示しており、すぐに病院を受診すべきです。
片方の足だけがむくんでいる場合は、血管の病気の可能性があります。
特に、痛みや赤み、熱っぽさを伴う場合は、早めの治療が必要です。
高血圧の治療中の方で新たにむくみが出た場合は、薬の副作用や合併症の可能性があるため、主治医に伝えてください。
特に、カルシウム拮抗薬を飲み始めたり増やしたりした後にむくみが出た場合は、薬が原因のむくみの可能性が高いと考えられます。
病院では、問診、体の診察、血液検査、尿検査、心電図、胸のレントゲン、心臓の超音波検査などを行って、むくみの原因を調べます。
原因に応じて、適切な治療法が選ばれます。
早めに適切な治療を始めることで、重い合併症を防ぎ、むくみの症状を良くすることができます。
よくある質問
- 高血圧の薬を飲み始めてから足がむくむようになりましたが、薬のせいでしょうか
-
「カルシウム拮抗薬」という種類の血圧の薬を飲んでいる場合、その可能性があります。
カルシウム拮抗薬は効果的な血圧の薬ですが、副作用として足のむくみを引き起こすことがあります。
自分の判断で薬を飲むのをやめないで、必ず主治医に相談してください。
薬の種類を変えたり、他の薬と一緒に使ったりすることで、むくみを軽くできる可能性があります。
- むくみがあるときは水分を控えたほうがいいですか
-
必ずしもそうではありません。
むくみの原因によって対応が違います。
心不全や腎不全が原因の場合は水分を制限することもありますが、自己判断で水分を控えるのは危険です。
必要な水分まで不足すると、かえって腎臓の働きが悪くなる恐れがあります。
むくみがある場合は、まず医師の診察を受けて、原因を調べた上で適切な対応を決めることが大切です。
- 高血圧でむくみがある場合、利尿薬を飲めば改善しますか
-
利尿薬は余分な水分をおしっことして出す薬で、むくみを良くするのに効果がある場合があります。
しかし、利尿薬を使うには注意が必要です。
おしっこを出しすぎると、水分が足りなくなったり、体の中の電解質のバランスが崩れたりして、腎臓の働きを悪くする恐れがあります。
また、むくみの原因によっては利尿薬が適切でない場合もあります。
利尿薬は必ず医師の処方で使い、定期的に血液検査で電解質や腎臓の働きをチェックすることが大切です。
- 足のむくみを予防するために日常生活で気をつけることはありますか
-
毎日の生活でできる予防策として、長い時間同じ姿勢を続けないこと、適度な運動を習慣にすること、塩分を控えめにすることが挙げられます。
デスクワークの方は、1時間に1回くらい立ち上がって歩いたり、足首を動かしたりすることが効果的です。
寝るときに足を少し高くして寝ることも、むくみの予防に役立ちます。
また、締め付けの強い靴下や服は血液の流れを妨げるため避けましょう。
- むくみと肥満の違いはどうやって見分けられますか
-
むくみは水分が溜まったもので、すねの骨の上を指で押すとへこみが残り、元に戻るまで時間がかかるという特徴があります。
一方、肥満は脂肪が溜まったもので、押してもへこみは残りません。
また、むくみは夕方にひどくなり朝には軽くなることが多いですが、肥満は時間帯による変化が少ないという違いもあります。
ただし、肥満とむくみが同時にある場合もあるため、判断が難しいときは病院を受診してください。
まとめ
高血圧そのものは普通、直接むくみの原因にはなりませんが、血圧を下げる薬の副作用や、高血圧によって起こる体の不調によって、むくみが現れることがあります。
むくみの主な原因には、カルシウム拮抗薬などの血圧の薬の副作用、腎臓の働きが落ちること、心不全、そして塩分の取りすぎや運動不足などがあります。
特に気をつけなければいけないむくみのサインは、数日で急にひどくなる、息苦しさや胸の苦しさを伴う、おしっこの量が減っているといったものです。
これらの症状がある場合は、重い病気の可能性があるため、すぐに病院を受診してください。
むくみを良くするには、1日の塩分摂取量を6g未満にすること、ウォーキングなどの適度な有酸素運動を続けることが効果的です。
血圧の薬が原因でむくみが出た場合は、自分の判断で薬を飲むのをやめず、必ず主治医に相談して、薬の調整を検討してもらいましょう。
むくみが数日続いても改善しない場合や、急にひどくなる場合は、必ず病院を受診してください。
早めに適切な診察と治療を受けることで、重い合併症を防ぎ、むくみの症状を良くすることができます。
高血圧とむくみの両方を適切に管理することが、心臓や腎臓などの大切な臓器を守り、健康で長生きすることにつながります。
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