高血圧の診断を受けて食事に気をつけているけれど、「朝食のパンは食べても大丈夫なのだろうか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
パンは手軽で美味しい主食ですが、実は思いのほか塩分が含まれていることをご存知でしたか。
一見すると塩味を感じないパンでも、作る過程で塩分が加えられており、毎日食べ続けることで知らず知らずのうちに塩分を多く摂ってしまいます。
高血圧の管理では、食事から摂る塩分の量をコントロールすることがとても大切です。
血圧が高い状態が続くと、心臓や血管に負担がかかります。
その結果、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病といった深刻な病気を引き起こす危険性が高まってしまいます。
しかし、だからといってパンを完全にやめる必要はありません。
正しい知識を持って、パンの種類や食べ方を工夫することで、血圧に気をつけながらパンを楽しむことは十分に可能です。
- パンには塩分が多く含まれ、毎日食べると摂取量が積み重なる
- 塩分を多く摂ると血液量が増え、血管にかかる圧力が高まる
- 精製された白いパンは血糖値を急上昇させやすい傾向
- ハムやチーズなど塩分の多い具材でさらに塩分摂取量が増える
- 全粒粉パンは食物繊維が豊富で、血糖値の急上昇を抑え血圧管理に役立つ
この記事では、高血圧の人がパンを食べるときに知っておくべきことを、わかりやすく解説します。
パンに含まれる塩分や糖質がどのように血圧に影響するのか、どんな種類のパンを選べばよいのか、そしてパンと一緒に何を食べれば血圧への悪影響を減らせるのか、といった実践的な情報をお伝えします。
結論から言うと、高血圧の人もパンを完全に避ける必要はありません。
ただし、塩分量や種類には注意が必要です。
特に全粒粉パンやライ麦パンといった食物繊維が豊富なパンを選び、塩分の多い具材を控え、野菜や果物と組み合わせることで、血圧への影響を最小限に抑えることができます。
正しい知識を身につけて、血圧管理をしながら食事を楽しみましょう。
- 高血圧の人がパンを食べてよいのか
- パンに含まれる塩分や糖質が血圧に与える影響
- 高血圧でも安心して食べられるパンの種類と選び方
- パンを食べる際に血圧を上げないための食べ方のコツ
- パン以外で検討したい主食の選択肢
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
高血圧の人もパンは食べられるが塩分と糖質に注意が必要
高血圧の人がパンを食べることは可能です。
ただし、パンに含まれる塩分と糖質には注意が必要です。
パンは食べたときに塩辛く感じないため、「塩分は少ないだろう」と思われがちですが、実は作る過程で塩分が加えられています。
毎日食べると、思った以上に多くの塩分を摂ることになります。
また、白いパンのように精製された小麦粉から作られるパンは、食べた後に血糖値が上がりやすい傾向があります。
血糖値が急に上がったり下がったりすることは、血管にストレスを与え、長期的には血圧上昇につながる可能性が指摘されています。
高血圧を管理するためには、食事から摂る塩分の量を減らすことがとても重要です。
米国心臓協会(AHA)では、大人は1日のナトリウム摂取量を2,300mg未満(食塩相当量として約6g未満)に抑えることを勧めています。
日本では、厚生労働省が男性7.5g未満、女性6.5g未満を目標値としています。
さらに、日本高血圧学会は高血圧の患者さんに対して1日6g未満という、より厳しい目標を示しています。
しかし実際には、多くの日本人がこの目標値を超える塩分を摂っているのが現状です。
各国・機関の1日のナトリウム(および食塩相当量)摂取目標値
| 対象 | 目標値 |
|---|---|
| アメリカ(一般成人) | 2,300mg未満(約6g未満 ) |
| 日本(男性・一般) | 7.5g未満 |
| 日本(女性・一般) | 6.5g未満 |
| 日本(高血圧患者) | 6g未満 |
パンは毎日のように食べる食品だからこそ、その塩分量や糖質の質が血圧に与える影響は無視できません。
たとえば、朝食と昼食の両方でパンを食べた場合、パンだけで1日の塩分摂取量のかなりの部分を占めることになります。
さらに、パンに何をのせるか、何と一緒に食べるかによって、塩分の量は大きく変わります。
このため、パンそのものの塩分量を知り、食べ方を工夫することが血圧管理において大切になります。
パンと血圧の関係について理解を深めるため、まずはパンに含まれる塩分と糖質がどのように血圧に影響を与えるのかを見ていきましょう。
パンの塩分が血圧を上げる原因になる
パンには、食べたときに塩辛さを感じないものの、意外と多くの塩分が含まれています。
アメリカ農務省のデータによれば、一般的な食パン1枚には約150mg前後のナトリウム(製品により幅があります)が含まれています。
ベーグルのような大きめのパンになると、1個で最大約600mgものナトリウムが含まれていることがあります。
たとえば、食パン2枚でサンドイッチを作った場合、パンだけで約300mgのナトリウム(食塩相当量約0.8g)を摂ることになります。
これにハムやチーズなどの具材を加えれば、塩分量はさらに増えていきます。
主なパンのナトリウム量(1食分あたり)
| パンの種類 | ナトリウム量 |
|---|---|
| 食パン(1枚) | 約150mg |
| ベーグル(1個) | 約600mg |
| 食パン2枚のサンドイッチ | 約300mg |
塩分を多く摂ると、なぜ血圧が上がるのでしょうか。
これは体の中の水分バランスに関係しています。
塩分を多く摂取すると、体は血液中の塩分濃度を調整しようとして、水分を保持し血液の中に水分を引き込みます。
その結果、血液の量が増えます。
血液の量が増えれば、血管にかかる圧力も高まり、血圧が上がってしまうのです。
さらに、塩分の濃度が高い状態が続くと、血管の壁が硬くなり、血管の柔軟性が失われる可能性があります。
臨床研究および実験研究は、塩分摂取量の増加が内皮機能を損ない、動脈構造を変化させることを一貫して実証している。
引用:PubMed Central The association between salt intake and arterial stiffness is influenced by a sex‐specific mediating effect through blood pressure in normotensive adults: The ELSA‐Brasil study
これも慢性的な高血圧につながる原因となります。
CDC(米国疾病予防管理センター)の報告書によると、アメリカ人が摂取する塩分のうち、パンやロール類、ピザなどを含む上位10品目だけで約40%以上を占めると報告されています。
パンは一度に食べる量が多くなくても、朝食、昼食と毎日繰り返し食べることで、知らず知らずのうちに塩分の摂取量が積み重なっていきます。
だからこそ、特に注意が必要なのです。
パンの糖質も摂りすぎると血圧上昇につながる
パンに含まれる糖質も、血圧に影響を与える可能性があります。
特に白いパンやロールパンのように、精製された小麦粉から作られるパンは、食べた後に血糖値が急激に上がりやすい特徴があります。
精製された穀物というのは、小麦の外側の皮や栄養豊富な部分が取り除かれたものです。
そのため食物繊維が少なく、体の中で素早く分解されて糖に変わります。
この結果、食事の後に血糖値が急上昇し、それに対応するために体からインスリンというホルモンが大量に出されるのです。
一部の研究では、精製された穀物や糖質を摂りすぎることが高血圧のリスクと関連する可能性が示されています。
中国で行われた大規模な研究では、白米や精製された麺類といった質の低い炭水化物を多く摂っている人は、高血圧になりやすいことがわかりました。
一方で、全粒穀物(精製されていない穀物)や豆類、果物といった質の高い炭水化物は、逆に高血圧のリスクを下げることが分かっています。
研究の結果、精製米や麺などの低品質の炭水化物の摂取は、高血圧のリスク上昇と関連していることが示されました。
引用:PubMed Central The association between hypertension and different types of dietary carbohydrates
血糖値が急に上がったり下がったりすることは、血管の内側の働きを悪くし、体の中に有害な物質を増やしたり、炎症を起こしたりします。
これらは血管の柔軟性を低下させ、動脈硬化を進める原因となります。
さらに、精製された炭水化物を多く摂る食生活は、肥満や代謝症候群(メタボリックシンドローム)のリスクも高めるため、これも間接的に血圧上昇につながります。
ただし、これはすべてのパンが血圧に悪いという意味ではありません。
パンの種類や食べ方を工夫することで、血圧に気をつけながらパンを楽しむことは十分に可能です。
高血圧でも安心して食べられるパンの選び方
高血圧の人がパンを選ぶときには、塩分量が少なく、食物繊維が豊富な種類を選ぶことが大切です。
お店で売られているパンのパッケージには栄養成分表示が書かれています。
これを確認する習慣をつけることで、血圧への影響を少なくしながらパンを楽しむことができます。
一般的な目安として、パン1枚あたりの塩分量が140mg以下のものが「塩分が少ない」とされており、これを参考に選ぶとよいでしょう。
パンの種類によって塩分量は大きく違います。
たとえば、全粒粉パンや発芽玄米パン、ライ麦パンの中には、塩分が85mg程度しか含まれていないものもあります。
一方で、ベーグルや味付けされたパンは塩分が多めになっていることがあるため注意が必要です。
同じように見えるパンでも、メーカーや製品によって塩分量に大きな差があることを知っておくことが大切です。
パン選びで大切なのは、塩分だけでなく、食物繊維の量にも注目することです。
食物繊維が豊富なパンは、食べた後の血糖値の急な上昇を抑え、満腹感を長く保ってくれます。
そのため、血圧管理だけでなく体重管理にも役立ちます。
全粒穀物から作られたパンは、精製された小麦粉のパンに比べて、ビタミン、ミネラル、体に良い成分も豊富に含まれており、心臓や血管の健康をサポートしてくれます。
研究によれば、全粒穀物を日常的に食べることで、高血圧になるリスクを大幅に減らすことができることがわかっています。
それでは、具体的にどのようなパンを選べばよいのか、また選ぶときにどのような点に注意すればよいのか、詳しく見ていきましょう。
成分表示で塩分量を確認して選ぶ
パンを買うときには、必ず栄養成分表示を確認する習慣をつけましょう。
日本では、法律により、加工食品には原則として栄養成分表示が義務付けられています。
パッケージに書かれている「食塩相当量」または「ナトリウム」の項目をチェックして、1枚または1個あたりの塩分量を確認してください。
塩分量を判断する目安として、 アメリカの食品医薬品局(FDA)が定めている基準 が参考になります。
ナトリウム量の目安(1食分あたり)
| 分類 | 基準(1食分あたり) |
|---|---|
| ナトリウムなし | 5mg未満 |
| 非常に低いナトリウム | 35mg以下 |
| 低ナトリウム | 140mg以下 |
高血圧の人は、できるだけ塩分が少ないパンを選ぶことが望ましいでしょう。
また、「ナトリウム」として表示されている場合は、食塩相当量への計算が必要です。
ナトリウム量(mg)に2.54をかけると、おおよその食塩相当量(mg)が分かります。
たとえば、ナトリウムが100mgと表示されていれば、食塩相当量は約254mgということになります。
注意したいのは、パン自体の塩分量が少なくても、のせる具材によって塩分量は大きく変わるということです。
ハムやチーズ、バターなどには塩分が多く含まれています。
これらを使う場合は量を控えめにするか、塩分が少ないものを選ぶようにしましょう。
毎日の朝食でパンを食べる習慣がある人は、1日の塩分摂取目標を意識しながらパンを選ぶことが大切です。
パン2枚でナトリウム約300mg(食塩相当量約0.8g)を摂るとすれば、これは高血圧の患者さんの1日の目標値6g(6,000mg)の約13%にあたります。
一見少なく感じられるかもしれませんが、他の食事や調味料からも塩分を摂ることを考えると、パンの塩分量を抑えることは決して無視できません。
全粒粉パンやライ麦パンは食物繊維が豊富
全粒粉パンやライ麦パンは、高血圧の人にとって白いパンよりも優れた選択肢です。
これらのパンは、穀物の外側の皮や栄養豊富な部分を含む全粒穀物から作られているため、食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
全粒穀物は、精製された穀物に比べて食べた後の血糖値の上がり方が緩やかで、血圧管理にも良いことが複数の研究で示されています。
アメリカの医学雑誌に発表された研究によると、1日に全粒穀物を3食分食べた人は、精製された穀物を食べた人に比べて、上の血圧(収縮期血圧)が低下したことが報告されています。
さらに、この研究では、血圧の幅(上の血圧と下の血圧の差)も約3mmHg小さくなったことが確認されており、全粒穀物が血管の健康に良い影響を与える可能性が示されています。
- 食物繊維が豊富 : 腸の環境を良くし、血糖値の急な上昇を防ぎ、体重管理をサポート
- ミネラルが豊富 : カリウム、マグネシウム、葉酸などが血管の働きを良くし、塩分を体の外に出すのを助ける
- 抗酸化物質を含む : 血管を広げる効果があり、血圧を下げる可能性
- 腸内環境を改善 : 有益な物質を作り出し、血管の健康を保つ
複数の大規模な研究をまとめた分析では、全粒穀物を多く食べている人ほど高血圧になりにくいことが確認されています。
具体的には、1日に90g(全粒粉パン約3枚、または全粒穀物シリアル1杯に相当)の全粒穀物を追加で食べることで、高血圧のリスクが約14%下がることが報告されています。
全粒穀物の摂取量が多い場合と少ない場合を比較し、高血圧リスクが26%低下し、1日90g(全粒粉パン3枚または全粒粉シリアル1杯に相当)あたりでは14%低下することが観察されました。
引用:PubMed Central Whole grain and refined grain consumption and the risk of hypertension: a systematic review and meta-analysis of prospective studies
一方で、精製された穀物を食べることと高血圧の間には明確な関係が見られなかったことから、穀物の質が血圧管理において大切であることが分かります。
パンを選ぶときには、パッケージの原材料名を確認し、最初に「全粒粉」「全粒小麦粉」「ライ麦」といった文字が書かれているものを選びましょう。
色が茶色いだけでは全粒穀物パンとは限りません。
着色料やカラメルで色をつけた製品もあるため、原材料名をしっかり確認することが大切です。
パンを食べるときに血圧を上げない食べ方のコツ
パンの種類を選ぶだけでなく、食べ方を工夫することでも血圧への影響を少なくすることができます。
特に、パンと一緒に食べる具材やのせるものには注意が必要です。
塩分の多い食材を避け、血圧を下げる効果のある栄養を含む食材と組み合わせることで、パンを食べながら血圧管理を行うことが可能になります。
また、パンだけを食べるのではなく、野菜や果物、低脂肪の乳製品などと一緒にバランスよく食べることが大切です。
アメリカの国立研究所が勧めるDASH食(高血圧を防ぐための食事法)では、全粒穀物、野菜、果物、低脂肪乳製品を中心とした食事パターンが提案されています。
この食事法は血圧を下げる効果があることが多くの研究で示されており、高血圧の人にとって非常に効果的な方法です。
DASH食を実践した研究では、高血圧の人において上の血圧が平均11mmHg程度下がったという報告もあります。
血圧低下と心血管疾患予防の関係を分析した研究では、上の血圧が10mmHg程度下がることで、心臓病のリスクを約17%、脳卒中のリスクを約27%減らすとされており、これと同等の効果に値します。
食事は単に栄養を摂るだけでなく、楽しみの一つでもあります。
あまりに厳しく制限しすぎるとストレスが溜まり、かえって血圧管理が難しくなることもあります。
正しい知識を持って、賢く食材を選び、組み合わせることで、美味しく健康的な食事を続けることができます。
それでは、具体的にどのような食べ方をすればよいのか見ていきましょう。
ハムやチーズなど塩分の多い具材は控えめにする
サンドイッチを作るときに使う具材には、塩分が非常に多く含まれているものがあります。
特に注意が必要なのは、ハムやベーコン、サラミなどの加工肉、そしてチーズです。
これらは味が良く、パンとの相性も抜群ですが、塩分量が多いため、高血圧の人は食べる量に気をつける必要があります。
塩分の多い具材の例
| 具材 | ナトリウム量の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| サラミ(60g) | 1日の目標値の約半分 | 特に塩分が多い |
| ハム(2枚) | 約400~600mg | 2枚使うと高塩分に |
| チーズ(1枚) | 約150~200mg | 厚さによって変わる |
| 食パン2枚+ハム+チーズ | 1日の目標値の約半分 | 朝食だけで半分消費 |
アメリカ農務省のデータによれば、サラミ約60g(ナトリウム約1,000mg以上)には、1日の摂取目標量(2,300mg)の約半分近くに相当する塩分が含まれる場合があります。
食パン2枚とハムまたはチーズを使ってサンドイッチを作ると、1日の摂取目標量によっては、それだけで1日の推奨量の半分前後、あるいはそれ以上を摂ってしまう計算になります。
朝食にこのようなサンドイッチを食べると、昼食や夕食で塩分を控えなければならなくなってしまいます。
加工肉が血圧に悪い影響を与える理由は、塩分だけではありません。
これらの食品には、保存や味付けのために添加物や多くの塩分が使われており、一部の研究ではこれらが複合的に血管の健康に悪い影響を与える可能性が指摘されています。
DASH食では、加工肉や塩漬け肉を避けることが勧められており、代わりに新鮮な鶏肉や魚、豆類などの植物性のタンパク質を摂ることが推奨されています。
もしハムやチーズを使いたい場合は、塩分が少ないタイプの製品を選ぶか、使う量を減らすようにしましょう。
たとえば、いつも2枚のハムを使うところを1枚にする、チーズを薄くスライスして使う、といった工夫が効果的です。
また、味付けにマヨネーズやケチャップを使う場合も、これらの調味料には塩分が含まれているため、使いすぎないように注意しましょう。
- アボカド
- トマト
- きゅうり
- レタス
- スプラウト
- 無塩のピーナッツバター
- 無塩のアーモンドバター
パンに何かをのせて食べたい場合は、アボカド、トマト、きゅうり、レタス、スプラウトなどの新鮮な野菜を多く使うことをおすすめします。
これらには塩分がほとんど含まれていないだけでなく、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で、血圧管理に役立ちます。
また、塩分が入っていないピーナッツバターやアーモンドバターも良い選択肢です。
ナッツ類には体に良い油やマグネシウムが含まれており、心臓や血管の健康をサポートします。
野菜やカリウムの多い食材と一緒に食べる
パンを食べるときには、カリウムが豊富な食材と組み合わせることで、塩分の影響を減らすことができます。
カリウムは、体の中の余分な塩分を尿として外に出すのを助け、血管の緊張をやわらげる働きがあります。
アメリカ心臓協会(AHA)などは、血圧が高めの大人は積極的にカリウムを摂ること(例:1日3,500~5,000mg)を推奨しています。
カリウムが豊富な食材とカリウム含有量
| 食材 | カリウム含有量 |
|---|---|
| バナナ(中サイズ1本) | 約450mg |
| さつまいも(半カップ) | 約286mg |
| ほうれん草(1カップ) | 約840mg |
| トマト(中サイズ1個) | 約290mg |
| アボカド(半個) | 約485mg |
| オレンジ(中サイズ1個) | 約240mg |
| プレーンヨーグルト(1カップ) | 約570mg |
| インゲン豆(半カップ) | 約500mg |
※実際の含有量は食材のサイズや量により異なります。
カリウムが豊富な食材には、バナナ、オレンジ、ほうれん草、さつまいも、トマト、アボカドなどがあります。
朝食にパンを食べるときには、バナナやベリー類などの果物を一緒に食べたり、トマトやアボカドをパンにのせたりすることで、カリウムの摂取量を増やすことができます。
中くらいのサイズのバナナ1本には約450mgのカリウムが含まれており、さつまいも半カップには約286mgのカリウムが含まれています。
DASH食では、1日に果物を4〜5食分、野菜を4〜5食分摂ることが勧められています。
これらの食品は、カリウム、マグネシウム、カルシウム、食物繊維、体に良い成分が豊富で、血圧を下げる効果があることが証明されています。
複数の研究により、DASH食を実践することで、上の血圧が平均5~11mmHg程度下がることが示されており、これは高血圧の管理において非常に効果的です。
低脂肪のプレーンヨーグルトもパンと組み合わせる良い選択肢です。
ヨーグルト1カップには約570mgのカリウムが含まれており、さらにカルシウムやタンパク質も豊富です。
カルシウムは血管の働きをサポートし、血管の収縮・拡張に関与すると考えられています。
朝食にパンとヨーグルトを組み合わせることで、栄養バランスが良く、血圧管理にも効果的な食事になります。
豆類も優れたカリウム源です。
インゲン豆や大豆などの豆類は、半カップあたり約500mgのカリウムを含んでおり、食物繊維やタンパク質も豊富です。
豆のペーストをパンに塗ったり、豆のサラダをパンと一緒に食べたりすることで、栄養価の高い食事になります。
ただし、腎臓に問題がある人は、カリウムの摂取量に注意が必要です。
腎臓の働きが悪くなっている場合、カリウムが体の中に溜まりやすくなり、高カリウム血症という状態になる危険性が高まります。
腎臓の病気がある人や特定の薬を飲んでいる人は、カリウムの摂取量を増やす前に、必ず医師に相談してください。
パン以外で血圧管理に適した主食の選択肢
パンが好きな人にとって、完全にパンをやめることは難しいかもしれませんが、時にはパン以外の主食を選ぶことも血圧管理に役立ちます。
主食の選択肢を広げることで、栄養バランスが良くなり、塩分を摂るパターンも変化するため、血圧への影響を少なくできます。
また、食事のバリエーションが増えることで、食べる楽しみも広がり、長期的に健康的な食生活を続けやすくなります。
米やオーツ麦、キヌアなどの穀物は、調理方法によって塩分の量を調整しやすく、全粒穀物として選べば食物繊維やミネラルも豊富に摂れます。
特に玄米や発芽玄米、押し麦などは、白米に比べて食べた後の血糖値の上がり方が緩やかで、血圧管理にも適しています。
これらの穀物には、パンと同じように炭水化物が含まれていますが、精製の度合いが低く、栄養価が高いという特徴があります。
主食を変えることで、塩分の摂取量を大きく減らすことができる場合もあります。
たとえば、朝食をパンから無塩のオートミールに変えるだけで、1日の塩分摂取量を数百ミリグラム程度減らせる可能性があります。
このような小さな変化の積み重ねが、長期的には血圧管理に大きな効果をもたらします。
それでは、具体的にどのような主食の選択肢があるのか見ていきましょう。
- 玄米・発芽玄米 : カリウムやマグネシウムが豊富で血圧を下げるのに役立つ
- オートミール(オーツ麦) : ベータグルカンという食物繊維が血圧を下げる効果がある
- そば : ルチンというポリフェノールが血管を強くし、血圧を下げる
- さつまいも・じゃがいも : カリウムと食物繊維が豊富(調理方法に注意)
- 雑穀米 : 押し麦、もち麦などを混ぜることで食物繊維とミネラルを摂取
玄米には、カリウムやマグネシウムといったミネラルが白米よりも多く含まれており、これらは血圧を下げるのに役立ちます。
日本での研究では、玄米を含む全粒穀物を日常的に食べている人は、高血圧になるリスクが低い傾向にあることが報告されていますが、結果は一貫していないという指摘もあります。
玄米は炊くのに時間がかかりますが、最近では無洗米の玄米や、炊きやすく加工された発芽玄米なども売られており、取り入れやすくなっています。
オーツ麦も血圧管理に適した穀物です。
オートミールとして朝食に食べることで、パンの代わりとして満足感のある食事になります。
オーツ麦にはベータグルカンという水に溶ける食物繊維が豊富に含まれており、この成分は血圧を下げる効果が期待できることが一部の研究で示されています。
オートミールは調理が簡単で、果物やナッツをトッピングすることで、栄養価の高い朝食になります。
そば粉を使った蕎麦も良い選択肢です。
そばにはルチンというポリフェノールが含まれており、血管の健康維持に役立つ可能性が研究されています。
心血管系に対するこのような効果は、部分的には、タンパク質中のバランスのとれたアミノ酸組成、種子中の食物繊維含有量、および/またはルチンやケルセチン-3-グルコシド(以下、「ケルセチン」と略す)などのポリフェノールの存在に起因するとされており、これらは心血管疾患(CVD)に対する保護特性を付与する可能性がある[ 5、7 ] 。
引用:PubMed Central Buckwheat and Cardiometabolic Health: A Systematic Review and Meta-Analysis
ただし、お店で売っている蕎麦には塩分が加えられていることが多いです。
茹でた後に水洗いしても麺内部に塩分が残る場合があるため、つゆを飲み干さないなど塩分摂取には十分注意することが大切です。
さつまいもやじゃがいもなどのイモ類も主食として使えます。
これらはカリウムが豊富で、食物繊維も多く含まれています。
ただし、調理方法には注意が必要です。
揚げたり、塩分の多い調味料で味付けしたりすると、かえって血圧に悪い影響を与えるため、蒸したり焼いたりするシンプルな調理法がおすすめです。
また、雑穀米も良い選択肢です。
白米に押し麦、もち麦、キヌア、アマランサスなどの雑穀を混ぜて炊くことで、食物繊維やミネラルを効率よく摂ることができます。
これらの雑穀は血糖値の上がり方を緩やかにし、満腹感を長く保つ効果があります。
大切なのは、どの主食を選ぶ場合でも、塩分を加えすぎないことと、野菜や果物、低脂肪のタンパク質源とバランスよく組み合わせることです。
主食は食事の基本となる部分ですが、それだけで栄養が完結するわけではありません。
DASH食のように、いろいろな種類の食品から栄養を摂ることが、血圧管理において最も効果的な方法です。
よくある質問
ここでは、高血圧とパンに関して患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。
- 食パンと菓子パン、どちらが血圧に影響しやすいですか
-
一般的に、菓子パンの方が血圧や血糖値に影響しやすい傾向があります。
菓子パンには塩分に加えて、砂糖や脂肪分が多く含まれており、カロリーも高めです。
食べた後に血糖値が急に上がりやすく、体重が増えるリスクも高いため、高血圧の人は控えめにすることをおすすめします。
食パンを選ぶ場合は、全粒粉パンや塩分が少ないものを選びましょう。
- 1日にどれくらいの量のパンなら食べても大丈夫ですか
-
人それぞれの1日の総カロリーや塩分目標によって違います。
他の食事からも塩分を摂ることを考えて、1日の塩分摂取目標を超えないように注意してください。
パン以外の食事内容とのバランスを考えることが大切です。
- パンを食べるなら朝食と夕食、どちらがよいですか
-
特に決まりはありませんが、朝食にパンを食べることで、日中の活動でエネルギーを消費しやすくなります。
夕食に炭水化物を多く摂ると、消費されないエネルギーが脂肪として蓄積されやすいとの説もあるため、朝食または昼食にパンを取り入れるのが望ましいでしょう。
- 市販のパンで塩分が少ないものはありますか
-
はい、最近では「減塩パン」や「低塩分パン」として売られている製品もあります。
また、全粒粉パンやライ麦パンは食物繊維が豊富ですが、塩分量は製品によって異なるため確認が必要です。
買うときには、栄養成分表示で食塩相当量を確認し、1枚あたり140mg以下のものを選ぶことをおすすめします。
まとめ
高血圧の人もパンを食べることは可能ですが、塩分量と糖質に注意することが大切です。
一般的なパンには思った以上に塩分が含まれており、毎日食べると塩分の摂取量が積み重なっていきます。
また、精製された小麦粉から作られる白いパンは、食べた後に血糖値が急に上がりやすく、長期的には血圧を上げるリスクを高める可能性があります。
パンを選ぶときには、栄養成分表示を確認し、塩分量の少ないものを選びましょう。
全粒粉パンやライ麦パンは、食物繊維が豊富なため高血圧の人にとって優れた選択肢です。
また、ハムやチーズなど塩分の多い具材は控えめにし、野菜やカリウムの多い食材と一緒に食べることで、塩分の影響を減らすことができます。
パン以外にも、玄米、オートミール、そば、雑穀米など、血圧管理に適した主食の選択肢は多くあります。
主食の種類を変えることで、栄養バランスが良くなり、食事の楽しみも広がります。
高血圧の管理は、毎日の食事の積み重ねが大切です。
パンを完全にやめる必要はありませんが、適切な選択と食べ方の工夫によって、血圧をコントロールしながら食事を楽しむことができます。
もし血圧のコントロールがうまくいかない場合や、食事療法について詳しく知りたい場合は、医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。
American Heart Association Get the Scoop on Sodium and Salt
特定非営利活動法人 日本高血圧学会 減塩・栄養委員会
厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」
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ScienceDirect Effect of Oat Consumption on Blood Pressure: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
PubMed Central Buckwheat and Cardiometabolic Health: A Systematic Review and Meta-Analysis
ScienceDirect Cooking parameters affect the sodium content of prepared pasta
PubMed Central Chrononutrition and Energy Balance: How Meal Timing and Circadian Rhythms Shape Weight Regulation and Metabolic Health


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