高血圧の治療を受けている方の中には、頻尿や夜間の排尿回数の多さ、手足の冷え、腰痛といった症状に悩まされている方も少なくありません。
こうした症状の改善に漢方薬の八味地黄丸が効果的だと聞いたものの、「高血圧があっても飲んで大丈夫なのだろうか」「血圧がさらに上がってしまうのではないか」と不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
八味地黄丸は長い歴史を持つ伝統的な漢方薬で、主に年齢を重ねることで起こる体の不調に対して使われてきました。
中国の古い医学書「金匱要略」に記載されているこの薬は、8種類の生薬から作られており、東洋医学でいう体のエネルギーや生命力の低下を改善することを目的としています。
現代では特に高齢者のトイレの悩み改善薬として使われており、病院での処方だけでなく、ドラッグストアなどでも購入できます。
高血圧の方が八味地黄丸を使えるかどうかは、血圧がきちんと管理できているか、他にどんな薬を飲んでいるか、全身の健康状態によって変わってきます。
- 高血圧の人でも医師の判断があれば使用可能
- 八味地黄丸は血圧を直接下げる薬ではない
- 血圧が非常に高い場合やのぼせがある方は避けるべき
- 降圧薬との併用には必ず医師・薬剤師への相談が必要
- 動悸・のぼせ・むくみなどの副作用に注意が必要
- あくまで補助的な選択肢で標準治療が最優先
結論から言えば、条件が整っていれば高血圧の方でも使用できますが、いくつかの大切な注意点があります。
八味地黄丸は血圧を下げる薬ではなく、あくまで年齢による様々な不調を改善するための漢方薬であることを理解した上で、医師や薬剤師に相談しながら使うことが大切です。
この記事では、八味地黄丸と高血圧の関係について、医学的な根拠に基づいて詳しく解説します。
八味地黄丸がどのような漢方薬なのか、高血圧の方が使う際にどのような点に注意すべきか、そして高血圧を改善するために必要な生活習慣の見直しについても併せてご紹介します。
- 八味地黄丸は高血圧の人でも使えるかどうか
- 八味地黄丸の成分と体への作用
- 高血圧の方が八味地黄丸を使う際の注意点
- 高血圧改善に必要な生活習慣の見直し方
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
八味地黄丸は高血圧の人でも飲める漢方薬
八味地黄丸は高血圧の方でも医師の判断があれば使える漢方薬です。
ただし、この薬は高血圧そのものを治すためのものではなく、年齢を重ねることで起こる様々な不調を改善することを目的としています。
高血圧がある方が八味地黄丸を検討する際には、いくつかの大切なポイントを理解しておく必要があります。
まず、八味地黄丸には血圧を直接下げる働きは期待できないこと、血圧の状態によっては使わない方が良い場合があること、そして使う場合は必ず医師や薬剤師に相談することが重要です。
ここでは八味地黄丸と高血圧の関係について、よくある勘違いも含めて詳しく説明します。
市販の八味地黄丸の説明書には「高血圧に伴う症状の改善」と書かれていますが、これは高血圧そのものを治すのではなく、高血圧があることで出てくる以下のような不快な症状を和らげる可能性があるという意味です。
- 肩こり
- 頭の重い感じ
- 耳鳴り
八味地黄丸は血圧を直接下げる薬ではない
八味地黄丸は血圧を下げることを目的とした薬ではありません。
この漢方薬は東洋医学で「腎虚」と呼ばれる、年齢とともに体のエネルギーや働きが衰えた状態を改善するために使われます。
八味地黄丸は昔から糖尿病、高血圧、腎臓の病気などの治療の補助として使われてきた歴史がありますが、これは高血圧そのものを治すというよりも、高血圧を持つ高齢者の体全体の調子を整える目的で用いられてきました。
動物を使った実験では、八味地黄丸に血管を広げる作用があることが分かっており、塩分の多い食事で血圧が上がったネズミで血圧が下がったという報告もあります。
この血圧低下は、心臓重量の減少および大動脈壁の肥厚と関連していた。
引用:PubMed Hachimi-jio-gan extract protects the kidney from hypertensive injury in Dahl salt-sensitive rat
しかしこれはあくまで動物実験での結果であり、人間の高血圧治療で確実に血圧を下げる効果があると証明されているわけではありません。
高血圧があっても医師の判断で使用できる場合がある
市販の八味地黄丸の効能には「高血圧に伴う症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)」という記載があります。
これは八味地黄丸が高血圧そのものを治療するのではなく、高血圧があることで起こる様々な不快な症状を和らげる可能性があるということです。
高血圧の治療を受けている方でも、主治医に相談した上で八味地黄丸を一緒に使うことは可能です。
実際の医療現場では、血圧を下げる薬を飲んでいる患者さんが、トイレが近い、体が冷える、腰が痛いといった症状を改善するために八味地黄丸を併用することがあります。
ただし、自分の判断だけで飲み始めるのは避け、必ず医師や薬剤師に今の血圧の状態や飲んでいる薬を伝えてから使うことが大切です。
重度の高血圧や特定の症状がある場合は使用を避ける
八味地黄丸には体を温める働きを持つ桂皮(シナモン)や附子(ブシ)という生薬が入っています。
これらの成分のため、一部の方には使わない方が良い場合があります。
- のぼせがあり、顔が赤い方
- 体力が充実している方
- 血圧が非常に高く管理できていない方
- 重度の心臓病がある方
市販の八味地黄丸の注意書きには「のぼせがあり、顔が赤く、体力が充実している方」は使用前に医師や薬剤師に相談するように書かれています。
これは八味地黄丸がもともと、体力が落ちて体が冷えやすい方向けの処方だからです。
血圧がとても高い状態できちんと管理できていない場合や、すでにのぼせ感や顔が赤くなるといった症状がある場合には、八味地黄丸の温める作用でこれらの症状が悪化する可能性があります。
また、生の附子は少しの量でも動悸や不整脈を引き起こす可能性がある成分です。
今、心臓に病気がある方や、血圧のコントロールが十分でない方は、必ず医師に相談してから使うかどうか検討してください。
八味地黄丸は加齢による体の衰えに働きかける漢方薬
八味地黄丸は中国の古い医学書「金匱要略」に載っている伝統的な処方で、古くから使われてきた歴史ある漢方薬です。
その名の通り8種類の生薬でできており、主に中高年以降の様々な体の不調に対して使われてきました。
東洋医学では、年齢を重ねると体の大切な働きが衰えると考えられており、この状態がトイレが近い、腰が痛い、体が冷える、疲れやすいといった色々な症状を引き起こすとされています。
八味地黄丸はこの衰えを改善することで、様々な年齢による症状に対応します。
ここでは八味地黄丸の基本的な特徴と働きについて、現代の医学研究の結果も交えながら詳しく説明します。
体を温める作用と栄養を補う作用をバランスよく組み合わせたこの処方は、高齢者の生活の質を良くする可能性を持つ漢方薬として、今でも広く使われています。
8種類の生薬が体を温めて機能を高める
八味地黄丸は以下の8つの生薬でできています。
八味地黄丸を構成する8つの生薬
| 生薬名 | 主な働き |
|---|---|
| 地黄(ジオウ) | 体に栄養を与える主薬 |
| 山茱萸(サンシュユ) | 地黄の働きを補強 |
| 山薬(サンヤク) | 地黄の働きを補強 |
| 沢瀉(タクシャ) | 体内の余分な水分を調整 |
| 茯苓(ブクリョウ) | 体内の余分な水分を調整 |
| 牡丹皮(ボタンピ) | 血液の流れを改善 |
| 桂皮(ケイヒ) | 体を温め、代謝を高める |
| 附子(ブシ) | 体を温め、代謝を高める |
これら8つの生薬が一緒に作用することで、東洋医学でいう体の基本的な働きを高めます。
東洋医学で「腎」という言葉は、単に腎臓という臓器だけを指すのではなく、生殖に関わる機能、ホルモンのバランス、体の水分調整、骨や歯の健康など、年齢とともに衰えやすい体の基本的な働き全般を意味しています。
研究では、八味地黄丸に含まれる複数の生薬成分が一緒に働くことで、血管を広げる作用や体の酸化を防ぐ作用、神経を守る作用などがあることが報告されています。
頻尿・足腰の弱り・冷えなどの症状に使われる
八味地黄丸が最もよく使われるのは、年齢による排尿のトラブルです。
夜中に何度もトイレに起きる、尿が出にくい、排尿後もすっきりしない、くしゃみをした時などに少し尿が漏れるといった症状に効果が期待できます。
これは膀胱が固くなって尿を十分に溜められなくなったり、尿を出す力が弱まったりする年齢による変化を、八味地黄丸が改善する可能性があるためです。
- 頻尿(トイレが近い)
- 夜間頻尿(夜中に何度もトイレに起きる)
- 残尿感(排尿後もすっきりしない)
- 軽い尿漏れ
- 排尿困難(尿が出にくい)
- 腰痛
- 下肢の痛み・しびれ
- 手足の冷え
- 高齢者の目のかすみ
- 皮膚の乾燥によるかゆみ
- 疲労感
また、腰痛や足の痛み、足のしびれ、手足の冷えといった症状にも使われます。
特に冷えを伴う症状に向いており、体を温めながら血の流れを良くし、エネルギーの代謝を高めることでこれらの症状を和らげることを目指します。
その他、高齢者の目のかすみ、肌の乾燥によるかゆみ、疲れやすさ、性機能の低下など、幅広い年齢に関連する症状に対して処方されることがあります。
ただし、すべての人に効くわけではなく、「体力があまりなく、疲れやすく、手足が冷える傾向がある方」に向いた処方です。
八味地黄丸には典型的な昇圧成分は含まれないが注意は必要
八味地黄丸に入っている附子という生薬については、心臓への影響が心配される方もいらっしゃるかもしれません。
生の附子には確かに毒性の強い成分が含まれていますが、薬として使われる附子は「修治」という特別な処理を経て毒性が大幅に減らされています。
適切に処理された附子は、むしろ心臓の働きを助け、体を温める作用を持つ大切な生薬として位置づけられています。
これまでの研究や実際に使われてきた経験から、八味地黄丸に血圧を大きく上げる成分が含まれているとは明言されていませんが、注意は必要です。
健康な成人を対象にした研究では、八味地黄丸を飲んだ後も血圧に目立った変化は見られなかったという報告があります。
また、八味地黄丸の投与により、血圧及び脈拍数の有意な変化は認められず、八味地黄丸は、血圧や脈拍数などの全身の循環動態には影響を与えずに、網膜中心動脈の血流速度を増加させたと考えられる。
引用:東京大学学術機関リポジトリ 八味地黄丸のヒト網膜中心動脈血流に及ぼす影響
ただし、人によって体質が違うため、まれに動悸やのぼせといった症状が出ることがあります。
こうした症状が出た場合は使うのをやめて、医師や薬剤師に相談してください。
高血圧の方が八味地黄丸を使う前に確認すべきこと
高血圧の方が八味地黄丸を使う際には、いくつかの大切な確認すべきことがあります。
漢方薬は自然のものから作られているため「安全」というイメージがあるかもしれませんが、正しく使わないと思わぬ健康被害につながる可能性もあります。
特に高血圧という病気がある場合には、より慎重な判断が必要です。
ここでは八味地黄丸を安全に使うための具体的なチェックポイントを説明します。
まず最も大切なのは、今の血圧の状態や飲んでいる薬について医師や薬剤師に正確に伝えることです。
また、他の薬との飲み合わせについても確認が必要です。
さらに、飲み始めた後に出る可能性のある副作用について知っておくことで、異常を早く見つけて適切に対処することができます。
これらのポイントを押さえることで、八味地黄丸をより安全に使うことができます。
必ず医師や薬剤師に血圧の状態を伝える
八味地黄丸を使い始める前に、今の血圧がどのくらいなのか、血圧の管理はうまくいっているか、高血圧以外にどんな病気があるかを、医師や薬剤師に詳しく伝えることが欠かせません。
- 現在の血圧の値(上と下の血圧)
- 血圧のコントロール状態
- 服用中の降圧薬の種類と量
- 高血圧以外の持病(心臓病、腎臓病、糖尿病など)
- 過去の心血管系の病気(心筋梗塞、脳卒中など)
特に大切なのは、血圧が安定してコントロールされているかどうかです。
血圧が180/110 mmHg以上といった非常に高い高血圧で、まだきちんとした治療が始まっていない場合や、血圧を下げる薬を飲んでいても血圧が十分に下がっていない場合には、八味地黄丸を使うかどうかは慎重に判断する必要があります。
また、高血圧に加えて心臓の病気、不整脈、腎臓の病気、糖尿病などがある場合には、それらの病状も含めて総合的に判断してもらうことが大切です。
自分の判断だけで市販の八味地黄丸を買って使うのではなく、まず主治医に相談することをお勧めします。
降圧薬との飲み合わせは医師への相談が必要
八味地黄丸は血圧を下げる薬と一緒に使われることもありますが、個別の判断が必要です。
実際の医療現場では、ACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬、利尿薬といった血圧を下げる薬を飲んでいる患者さんが、トイレが近いなどの症状を改善するために八味地黄丸を併用することは珍しくありません。
ただし、他の漢方薬も飲んでいる場合には注意が必要です。
八味地黄丸と成分が重なる漢方薬を同時に飲むと、特定の生薬成分を摂りすぎてしまう可能性があります。
このような似た処方を重複して使うことは避けるべきです。
今飲んでいる全ての薬(病院でもらった薬、市販薬、サプリメントを含む)のリストを医師や薬剤師に見せて、一緒に飲んで問題がないか確認してもらいましょう。
むくみ・動悸・めまいなどの副作用に注意する
八味地黄丸は比較的副作用が少ない漢方薬とされていますが、まったく副作用がないわけではありません。
下部尿路症状に対する研究では、約8%の患者さんに副作用が見られましたが軽度であったと報告されています。
八味地黄丸で報告されている主な副作用
| 副作用の種類 | 具体的な症状 | 対処法 |
|---|---|---|
| 消化器症状 | 胃のむかつき、食欲不振、腹痛、下痢 | 食後に服用するなど時間を調整 |
| 心血管系症状 | 動悸、のぼせ、顔の紅潮 | すぐに使用中止し医師に相談 |
| 神経症状 | 口唇や舌のしびれ | すぐに使用中止し医師に相談 |
| アレルギー症状 | 発疹、かゆみ | すぐに使用中止し医師に相談 |
| その他 | むくみの悪化 | 医師に相談 |
最もよく報告される副作用は胃腸に関する症状です。
胃のむかつき、食欲がない、お腹が痛い、下痢などが起こることがあります。
これは配合されている生薬が体質に合わず、胃腸に負担をかけている可能性などが考えられます。
このような症状が出た場合は、食後に飲むなど飲む時間を調整することで良くなることがあります。
高血圧の方が特に注意すべき副作用として、動悸、のぼせ、顔が赤くなる、唇や舌のしびれなどがあります。
これらは附子や桂皮といった体を温める働きを持つ生薬によるものと考えられます。
このような症状が出た場合は、すぐに使うのをやめて医師に相談してください。
また、まれにむくみが悪化したり、発疹やかゆみといったアレルギー症状が出たりすることもあります。
体調におかしなところを感じたら、我慢せずに医療機関を受診することが大切です。
高血圧を改善するには生活習慣の見直しが基本
高血圧の管理において、漢方薬を含む薬での治療も大切ですが、それ以上に基本となるのが生活習慣の見直しです。
世界中の専門家の指針でも、生活習慣の見直しは高血圧治療の第一選択として位置づけられています。
世界保健機関や各国の高血圧の専門家が発表している指針は、すべて生活習慣の改善を強調しています。
適切な生活習慣の改善により、薬を使わずに血圧を下げることも可能ですし、すでに薬を飲んでいる方でも薬の効果を高めたり、将来的に薬の量を減らせる可能性があります。
ここでは高血圧改善に効果的な生活習慣の見直しポイントと、薬での治療との正しい関係について説明します。
また、八味地黄丸のような漢方薬を高血圧治療にどのように位置づけるべきかについても触れます。
生活習慣の改善は一時的な取り組みではなく、長く続けることで最大の効果を発揮します。
減塩・運動・体重管理で血圧は下がる
生活習慣の改善により、血圧を薬なしで下げることができます。
研究によると、適切な生活習慣の改善は1種類の血圧を下げる薬と同じくらいの効果があることが示されています。
下の血圧をわずか2 mmHg下げるだけでも、高血圧の人の割合を17%、心臓の病気のリスクを6%、脳卒中のリスクを15%減らすことができるという報告もあります。
高血圧改善に効果的な生活習慣の見直し
| 改善項目 | 具体的な目標 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 減塩 | 1日の塩分摂取量を5g未満に | 収縮期血圧を2〜8 mmHg低下 |
| 運動 | 週150〜300分の中強度の有酸素運動 | 収縮期血圧を4〜9 mmHg低下 |
| 体重管理 | 適正体重までの減量(肥満の場合) | 10kgの減量につき収縮期血圧5〜20 mmHg低下 |
| 節酒 | 男性:1日2杯以下、女性:1日1杯以下 | 収縮期血圧を2〜4 mmHg低下 |
| DASH食 | 野菜・果物・全粒穀物中心の食事 | 収縮期血圧を8〜14 mmHg低下 |
※降圧効果の目安はJNC 7要約カードを参照。
最も効果的な生活習慣の改善は塩分を減らすことです。
世界保健機関は1日の塩分摂取量を小さじ1杯弱(5g未満)に抑えることを推奨しています。
日本人の平均的な塩分摂取量は1日約10gと言われていますので、今の量から半分程度に減らすことが目標となります。
加工食品や外食には思った以上に多くの塩分が含まれていることが多いため、栄養成分の表示を確認する習慣をつけることが有効です。
運動も血圧を下げる効果的な方法です。
世界保健機関の指針では、大人は週に150〜300分のやや息が上がる程度の運動、または週に75〜150分の激しい運動、あるいはこれらの組み合わせを推奨しています。
ウォーキング、ジョギング、水泳、自転車こぎなどの有酸素運動に加え、週2〜3回の筋力トレーニングを組み合わせることで、より効果が高まります。
体重管理も大切です。
太りすぎは高血圧の主な危険因子の一つであり、体重を5kg減らすだけでも血圧がはっきりと下がることが知られています。
血圧の薬は医師の指示通りに続けることが大切
生活習慣の改善に取り組むことはとても大切ですが、すでに血圧を下げる薬を処方されている方は、決して自分の判断だけで薬をやめてはいけません。
血圧が下がってきたように感じても、それは薬の効果によるものかもしれません。
薬を突然やめると、薬の種類によっては反動で血圧が急上昇(リバウンド)するなど、重大な病気を引き起こす危険性があります。
世界的な高血圧の指針では、軽度の高血圧(上の血圧が140〜159 mmHgまたは下の血圧が90〜99 mmHg)で他の危険因子がない場合には、まず3〜6ヶ月間生活習慣の改善を試して、それでも血圧が目標値に届かない場合に薬での治療を始めることが推奨されています。
しかし、すでに薬での治療が始まっている場合や、血圧がより高い場合、心臓や腎臓に病気がある場合には、生活習慣の改善と並行して薬での治療を続けることが必要です。
血圧を下げる薬の種類や量の調整は、必ず医師と相談しながら行ってください。
生活習慣の改善で血圧が安定してくれば、医師の判断で薬の量を減らしたり、薬の種類を変えたりできる場合もあります。
漢方薬は補助的な選択肢として医師と相談して使う
八味地黄丸のような漢方薬は、高血圧の主な治療手段ではなく、あくまで補助的な選択肢として位置づけられます。
高血圧そのものの治療には、効果がきちんと証明された血圧を下げる薬を使うことが標準です。
高血圧治療における八味地黄丸の位置づけ
| 治療の優先順位 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 第1優先 | 生活習慣の改善(減塩、運動、体重管理) | 血圧を下げる基本 |
| 第2優先 | 降圧薬の使用 | 高血圧そのものの治療 |
| 補助的選択肢 | 漢方薬(八味地黄丸など) | 随伴症状の改善、QOL向上 |
漢方薬が役立つのは、高血圧に伴う様々な症状を改善したり、患者さんの生活の質を良くしたりする場面です。
例えば、高血圧の治療を受けている高齢者が、同時にトイレが近い、体が冷える、腰が痛いなどの症状に悩まされている場合、八味地黄丸がこれらの症状の改善に役立つ可能性があります。
漢方薬を使う際には、「西洋医学の標準的な治療をきちんと受けた上での補完的な選択肢である」という位置づけを理解しておくことが大切です。
血圧を定期的に測って管理すること、必要に応じて血圧を下げる薬を使うこと、そして生活習慣を改善するという基本を守りながら、医師と相談した上で漢方薬を取り入れるという順序を忘れないようにしましょう。
よくある質問(FAQ)
- 八味地黄丸を飲むと血圧は下がりますか
-
八味地黄丸には血圧を直接下げる働きは期待できません。
動物実験では血管を広げる作用が報告されていますが、人間の高血圧治療で確実に血圧を下げる効果があるとは証明されていません。
高血圧そのものを治療するには、医師が処方する血圧を下げる薬が必要です。
- 血圧の薬と八味地黄丸は一緒に飲んでも大丈夫ですか
-
血圧の薬と一緒に飲む際は、必ず医師や薬剤師に相談してから使ってください。
他の漢方薬も飲んでいる場合は生薬成分が重複していないか注意が必要です。
今飲んでいる全ての薬を伝えた上で判断してもらうことが安全です。
- 八味地黄丸はどのくらいの期間飲み続ければ効果が出ますか
-
効果が出るまでの期間は人によって違います。
市販薬の添付文書などでは、1ヶ月程度服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医師や薬剤師に相談するよう記載されています。
1ヶ月飲んでも症状の改善が感じられない場合は、医師に相談してください。
- 八味地黄丸は市販でも購入できますか
-
はい、八味地黄丸は処方箋なしで薬局やドラッグストアで買える市販薬として売られています。
ただし、高血圧がある方は自分の判断だけで買わず、まず医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
- 高血圧以外にどんな症状に八味地黄丸は使われますか
-
トイレが近い、夜中に何度もトイレに起きる、排尿後もすっきりしない、軽い尿漏れといった排尿のトラブルが主な使い道です。
その他、手足の冷え、腰痛、足の痛みやしびれ、高齢者の目のかすみ、皮膚のかゆみなど、年齢による様々な症状に使われます。
まとめ
八味地黄丸は高血圧の方でも使える漢方薬ですが、血圧を直接下げる薬ではないことを理解しておく必要があります。
高血圧の治療は、適切な血圧を下げる薬の使用と生活習慣の改善が基本です。
八味地黄丸は年齢による様々な症状、特にトイレが近い、体が冷える、腰が痛いなどの改善に役立つ可能性がありますが、あくまで補助的な選択肢として位置づけられます。
高血圧がある方が使う際には、必ず医師や薬剤師に血圧の状態や飲んでいる薬を伝え、安全性を確認してから使ってください。
血圧の管理においては、塩分を減らす、適度な運動をする、体重を管理するといった生活習慣の改善が最も大切です。
処方された血圧を下げる薬は自分の判断でやめず、医師の指示通りに続けましょう。
八味地黄丸のような漢方薬は、これらの標準的な治療に加えて、医師と相談しながら取り入れることで、より良い健康状態を目指すことができます。
株式会社ツムラ ツムラ漢方八味地黄丸料エキス顆粒A(はちみじおうがん)
PubMed Central Two Cases of Successful Treatment With Hachimijiogan for Irregular Menstruation
株式会社ツムラ ツムラ八味地黄丸エキス顆粒(医療用)製品情報概要
PubMed Hachimi-jio-gan extract protects the kidney from hypertensive injury in Dahl salt-sensitive rat
日本漢方生薬製剤協会 八味地黄丸の確認票
厚生労働省 高等植物:トリカブト – 自然毒のリスクプロファイル
ラジオNIKKEI 漢方頻用処方解説「八味地黄丸」①
Journal of Integrative Medicine & Therapy Age-Dependent Change of Rokumigan, Hachimijiogan and Goshajinkigan-Induced Vasodilatations in Rat Aorta
phil漢方 八味地黄丸 2
公益社団法人 日本薬剤師会 ハナトリカブト – 生薬の花
東京大学学術機関リポジトリ 八味地黄丸のヒト網膜中心動脈血流に及ぼす影響
PubMed Central Pharmacological effectiveness of the active phytochemicals contained in foods and herbs
株式会社ツムラ ツムラ八味地黄丸エキス顆粒(医療用)添付文書
PubMed Implications of small reductions in diastolic blood pressure for primary prevention
National Heart, Lung, and Blood Institute JNC 7 Physician Reference Card – Seventh Report of the Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure
World Health Organization Sodium reduction
厚生労働省 日本人の最も重要な栄養課題である「食塩の過剰摂取」について考える。
World Health Organization Physical activity
European Society of Cardiology 2018 ESC/ESH Guidelines for the management of arterial hypertension
株式会社ジェーピーエス製薬 JPS八味地黄丸料エキス錠N


コメント