インターネット上で「血圧の薬は飲まないほうがいい」という情報を目にすることがあります。
副作用が心配だから薬を避けたい、一度飲み始めたら一生飲み続けなければいけないのではないか、といった不安から、高血圧と診断されても治療をためらう方もいらっしゃるかもしれません。
実際、日本高血圧学会の推計によれば、日本では約4,300万人が高血圧と推定されていますが、そのうち適切に血圧がコントロールされているのは約1,200万人程度とされています。
残りの約3,100万人の中には、高血圧であることを知らない方、知っていても治療を受けていない方、治療を受けていても目標の血圧に達していない方が含まれます。
治療をためらう理由の一つとして、薬に対する誤解や不安があることは否めません。
- 副作用(めまい、だるさ、空咳、足のむくみなど)への不安や心配
- 一度飲み始めたら一生やめられないという思い込み
- 「薬を飲むと腎臓が悪くなる」などのネット上の誤情報
- 薬への依存や長期服用に対する漠然とした抵抗感
- 高血圧の初期は無症状のため治療の必要性を実感しにくい
しかし、高血圧を放置すると脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気のリスクが大幅に高まります。
米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、高血圧は心臓病や脳卒中という米国における主要な死因の主要な危険因子とされています。
一方で、適切に血圧を下げる治療を受けることで、脳卒中リスクを約30〜40%、心筋梗塞などの心疾患リスクを約20%減らせることが、世界中の医学研究で示されています。
この記事では、血圧の薬に関する誤解を解き、科学的な根拠に基づいた正しい情報をお伝えします。
薬が本当に必要な人はどのような人なのか、副作用のリスクと放置した場合の危険性をどう比較すべきか、そして薬に頼らずに血圧を下げる方法はあるのか、といった疑問に医学的な観点からお答えします。
- 「血圧の薬は飲まないほうがいい」という意見の背景と医学的見解
- 薬が必要な人と生活習慣改善だけで対応できる人の違い
- 降圧薬を服用するメリットと副作用のリスクの実際
- 高血圧を放置した場合に起こる深刻な健康被害
- 薬に頼らず血圧を下げるために実践できる生活習慣の改善方法
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
血圧の薬は飲まないほうがいいというのは誤解
「血圧の薬は飲まないほうがいい」という考えは、医学的な根拠に基づかない誤解です。
この意見が広まった背景には、副作用への不安、薬への依存に対する心配、一度飲み始めたらやめられないという思い込みなどがあります。
確かに、どんな薬にも副作用のリスクは存在しますし、不安を感じることは自然なことです。
しかし、世界中の医学研究が一貫して示しているのは、高血圧を放置することの危険性が、薬による副作用のリスクをはるかに上回るということです。
世界保健機関(WHO)、米国心臓協会、日本高血圧学会など、世界中の権威ある医療機関が、適切な血圧治療の重要性を強調しています。
ここでは、なぜこのような誤解が生まれたのか、そして医学的に見た場合の正しい理解について解説します。
副作用を心配する声から広まった情報
「血圧の薬は飲まないほうがいい」という意見が広まった背景には、薬の副作用に対する心配があります。
確かに、どんな薬にも副作用のリスクは存在します。
血圧を下げる薬についても、めまい、体のだるさ、空咳、足のむくみなどが起こることがあります。
しかし、これらの副作用の多くは軽いもので、薬の変更や用量調整などで対処可能なケースが大半です。
研究によると、副作用が原因で血圧の薬をやめる患者さんの割合は数%程度と報告されており、思っているほど高くありません。
有害事象(DAE)による投与中止頻度が最も高かったのはカルシウムチャネル遮断薬(6.7%)とα遮断薬(6.0%)で、最も低かったのは利尿薬とアンジオテンシン受容体遮断薬(それぞれ3.1%)であった。
引用:PubMed Discontinuation of antihypertensive drugs due to adverse events: a systematic review and meta-analysis
副作用が気になる場合は、薬の種類を別のものに変えたり、飲む量を調整したりすることで改善できることも多いのです。
また、インターネット上では「薬を飲むと腎臓が悪くなる」「薬をやめられなくなる」といった情報も見られますが、これらは正しくありません。
むしろ、医師の管理下で適切に使われる血圧の薬は、腎臓を守る効果が期待できることが分かっています。
高血圧を放置すると命に関わる病気につながる
高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれるほど、症状がないまま体中の血管や臓器にダメージを与え続ける恐ろしい病気です。
米国疾病予防管理センター(CDC)によると、高血圧は心臓病や脳卒中の主要なリスク因子であり、米国における主要な死因の一つとされています。
血圧が高い状態が続くと、血管の壁が硬く厚くなっていきます。
これは、水道管の内側に汚れがこびりついて水の流れが悪くなるのと似た状態です。
血液の流れが悪くなると、心臓、脳、腎臓などの大切な臓器に十分な酸素や栄養が届かなくなります。
その結果、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎不全など、命に関わる重大な病気を引き起こすリスクが高まります。
特に注目すべきは、血圧が高くなればなるほど、これらの病気にかかるリスクが段階的に上昇することです。
米国の高血圧に関する合同委員会の報告(JNC 7)では、血圧の上の数値(収縮期血圧)が20、または下の数値(拡張期血圧)が10上がるごとに、心血管疾患による死亡リスクが2倍になると報告されています。
リスク増加は40歳から89歳までの年齢層で認められます。収縮期血圧が20 mmHg上昇するごとに、または拡張期血圧が10 mmHg上昇するごとに、心筋梗塞と脳卒中の両方による死亡率は2倍になります。
引用:National Center for Biotechnology Information Blood Pressure and Cardiovascular Risk
薬が必要かどうかは血圧の数値と体の状態で決まる
「血圧の薬は飲まないほうがいい」という一律の考え方は適切ではありません。
薬が必要かどうかは、血圧の数値だけでなく、年齢、他にどんな病気を持っているか、心臓や血管の病気にかかるリスクがどれくらいあるかなど、その人の状態を総合的に見て判断されます。
高血圧の診断基準と治療方針(日本高血圧学会の分類に基づく)
| 血圧の分類 | 血圧の数値 | 治療の考え方 |
|---|---|---|
| 正常血圧 | 120/80未満 | 生活習慣の維持 |
| 正常高値血圧 | 120-129/80未満 | 生活習慣の改善 |
| 高値血圧 | 130-139/80-89 | 生活習慣の改善 |
| 第1度高血圧 | 140-159/90-99 | リスクが低ければ生活習慣改善から、リスクが高ければ薬も検討 |
| 第2度高血圧 | 160/100以上 | すぐに薬物治療を開始 |
※ガイドラインにより異なる場合があります
世界保健機関(WHO)のガイドラインによると、一般的に血圧が140/90 mmHg(ミリメートルエイチジー、血圧を表す単位)以上の場合は高血圧と診断され、治療の対象となります。
ただし、すべての人がすぐに薬を飲み始める必要があるわけではありません。
血圧が140〜159/90〜99程度の軽い高血圧で、他に特別な危険因子がない場合は、まず食事や運動などの生活習慣を改善することから始めることが勧められています。
一方、血圧が160/100以上とかなり高い場合や、糖尿病、腎臓病、心臓や血管の病気などを持っている場合は、すぐに薬を飲み始めることが強く推奨されます。
米国心臓協会のガイドライン2025では、今後10年間で心臓や血管の病気にかかる可能性が7.5%以上と高い方では、血圧が130/80以上の場合に薬を始めることが推奨されています。
薬が必要な人と生活習慣の改善だけでよい人がいる
高血圧の治療において、すべての患者さんが同じ治療を受けるわけではありません。
血圧がどれくらい高いか、年齢、他にどんな病気を持っているか、心臓や腎臓などの臓器がどれくらい傷んでいるかなどによって、最適な治療法は人それぞれ異なります。
血圧が少し高い程度で他にリスク因子がない方は、まず食事や運動などの生活習慣を改善することから始めることができます。
一方、血圧がかなり高く、他の危険因子を持っている方や、既に心臓や腎臓に負担がかかっている方は、すぐに薬を飲み始める必要があります。
日本高血圧学会のガイドラインでは、患者さんを低リスク、中等リスク、高リスクの3つのグループに分け、それぞれのリスクに応じた治療方針が示されています。
リスクが低い方では生活習慣改善を優先し、効果が不十分な場合に薬の使用を検討します。
リスクが中程度の方では生活習慣改善と併せて薬の早期開始を検討し、リスクが高い方ではすぐに薬を始めることが勧められています。
ここでは、どのような場合に薬が必要で、どのような場合に生活習慣改善だけで対応できるのかを詳しく解説します。
血圧140/90以上で他にリスクがあれば薬が必要
血圧が140/90以上で、さらに他の危険な要素を持っている場合は、薬を飲む必要がある可能性が高くなります。
具体的な危険な要素としては以下が挙げられます。
- 65歳以上の高齢
- 糖尿病を持っている
- 腎臓病(慢性腎臓病)がある
- 以前に心臓発作や脳卒中を起こしたことがある
- タバコを吸っている
- コレステロールが高い(脂質異常症)
これらの危険な要素を持つ方は、そうでない方と比べて、高血圧が原因で脳卒中や心筋梗塞などの重い病気にかかるリスクが大幅に高くなります。
米国心臓協会のガイドラインでは、このようなリスクの高い患者さんに対しては、食事や運動などの生活改善と併せて、早めに薬を飲み始めることが推奨されています。
また、血圧が160/100以上とかなり高い場合は、他の危険な要素がなくても、診断後すぐに薬を飲み始めることが世界中のガイドラインで推奨されています。
この血圧の高さでは、食事や運動だけでは十分に血圧を下げることが難しく、また脳卒中などの病気にかかるリスクも高いためです。
軽度の高血圧なら食事と運動で改善できることも
血圧が140〜159/90〜99程度の軽い高血圧で、他に特別な危険な要素がない場合は、まず食事や運動などの生活習慣を改善することから始めることができます。
塩分を控えた食事、野菜や果物を多く摂る食生活、定期的な運動、適正な体重を保つことなどによって、薬を使わずに血圧を下げることが期待できます。
米国国立心肺血液研究所が推奨するDASH食(ダッシュ食、高血圧を止めるための食事療法)は、野菜、果物、全粒穀物、低脂肪の乳製品を中心とした食事パターンです。
この食事法を実践することで、高血圧の患者さんでは血圧の上の数値を平均11、下の数値を5.5程度下げることができることが、実際の研究で確認されています。
これは血圧の薬1種類分に相当する効果です。
また、ウォーキングやジョギングなどの運動を定期的に行うことで、血圧の上の数値を平均5、下の数値を4下げる効果があることが報告されています。
定期的な有酸素運動を行うと、収縮期血圧が平均 5 mmHg、拡張期血圧が平均 4 mmHg 低下します。
引用:PubMed Central Lifestyle Modifications to Lower or Control High Blood Pressure: Is Advice Associated With Action? The Behavioral Risk Factor Surveillance Survey
塩分摂取を1日6g未満に減らすことも、同じくらいの血圧を下げる効果が期待できます。
ただし、生活習慣を改善して様子を見る期間は通常1〜3か月程度とされており、この間に十分に血圧が下がらない場合は、薬を飲み始めることを検討することになります。
日本高血圧学会のガイドラインでも、リスクの高い患者さんでは生活習慣改善のみで様子を見る期間をおおむね1か月以上としています。
すでに臓器に負担がかかっている場合は必ず薬が必要
高血圧によって既に心臓、腎臓、血管などに傷がついている場合は、すぐに薬を飲み始める必要があります。
このような状態を医学的には「臓器障害」と呼びます。
- 心臓の筋肉が厚くなっている(左心室肥大)
- 心不全の兆候がある
- 尿にタンパクが出ている(蛋白尿)
- 腎臓の働きが低下している(腎機能低下)
- 目の奥の血管に異常がある(網膜血管の変化)
臓器に傷がついている場合、食事や運動だけでは進行を抑えることが難しく、薬を使って速やかに血圧をコントロールすることが重要です。
複数の研究では、適切に血圧を下げる治療を行うことで、これらの臓器の傷みが進むのを遅らせ、場合によっては改善させることができることが示されています。
特に、既に脳卒中や心筋梗塞を経験したことがある方の場合は、再発を防ぐために薬を飲むことが必須となります。
大規模臨床試験(PROGRESS試験)では、脳卒中を起こした後の患者さんに血圧を下げる薬を使うことで、脳卒中が再び起こるリスクを約28%減らせることが報告されています(※研究により22〜28%程度と幅があります)。
血圧の薬を飲むことで得られる効果と気になる副作用
血圧の薬を使うかどうか検討する際、多くの方が最も気になるのは「本当に効果があるのか」「副作用は大丈夫なのか」という2点ではないでしょうか。
医学的な観点から見ると、血圧の薬の効果は世界中の数多くの研究で実証されており、脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる病気を大幅に減らすことができます。
一方、副作用については、確かに存在しますが、その多くは軽いもので対処することができます。
大切なのは、副作用のリスクと高血圧を放置した場合のリスクを正しく比較することです。
世界保健機関のガイドラインでは、血圧を下げる治療によって防げる重大な健康被害と、副作用として起こりうる軽い症状を比較すると、治療を受けることで得られる利益が明らかにリスクを上回ることが示されています。
ここでは、血圧の薬による具体的な効果と、起こりうる副作用について、科学的なデータに基づいて詳しく解説します。
また、副作用が心配な場合の対処法についてもお伝えします。
脳卒中や心筋梗塞のリスクを大幅に減らせる
血圧の薬の最も大切な効果は、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気にかかるリスクを大幅に減らせることです。
世界中の多くの研究結果をまとめて分析した結果によると、血圧の薬を使って血圧の下の数値を5下げることで、脳卒中にかかるリスクを約34%、心臓の血管が詰まる病気(虚血性心疾患)のリスクを約21%減らすことができることが分かっています。
血圧を下げる治療で防げる病気とリスク減少率
| 病気の種類 | リスク減少率 |
|---|---|
| 脳卒中 | 約34% |
| 心筋梗塞(虚血性心疾患) | 約21% |
| 心不全(全体) | 約28% |
| 心不全(新規発症) | 約42% |
別の大規模なメタアナリシスによると、上の血圧を10下げることで、心不全のリスクを約28%、新規発症の心不全を約42%減らすことができると報告されています。
これらの良い効果は、どの種類の薬を使うかに関わらず、血圧を下げること自体によって得られます。
特に注目すべきは、血圧を下げる治療の効果が、予想されていた以上に大きいことです。
過去の研究から予測された心臓や血管の病気の減少率と、実際の治療研究で確認された減少率がほぼ同じであり、血圧を下げることが直接的に心臓や血管の病気を防ぐことが科学的に証明されています。
副作用はあるが多くは軽度で対処できる
血圧の薬には副作用がありますが、その多くは軽いもので、適切に対処することができます。
2021年に発表された大規模な研究の分析によると、血圧の薬による主な副作用として、急に腎臓の働きが悪くなる(リスクが1.18倍)、血液中のカリウムが増える(同1.89倍)、血圧が下がりすぎる(同1.97倍)、立ちくらみや失神(同1.28倍)などが報告されています。
薬の種類別の主な副作用
| 薬の種類 | 主な副作用 | 対処法 |
|---|---|---|
| ACE阻害薬 | 空咳 | 薬の種類を変更する |
| カルシウム拮抗薬 | 足のむくみ、顔のほてり | 用量を調整する、または薬を変更する |
| 利尿薬 | トイレが近くなる、低カリウム血症 | 飲む時間を調整する、カリウムを補充する |
| ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬) | めまい、ふらつき | 用量を調整する |
| β遮断薬 | 体のだるさ、手足の冷え | 用量を調整する、または薬を変更する |
薬の種類によって起こりやすい副作用は異なります。
ACE阻害薬という種類の薬では空咳が特徴的で、カルシウム拮抗薬では足のむくみが、利尿薬ではトイレが近くなることがあります。
しかし、これらの副作用が起きた場合でも、薬の種類を別のものに変えたり、飲む量を減らしたりすることで改善できることが多いのです。
血圧の薬による副作用の報告率は、どのような症状を副作用とみなすかによって大きく異なります(例:疲労感やめまいは約48%、視覚障害は0.4%)。
重篤な副作用の頻度は低く、副作用が原因で薬をやめる患者さんの割合は思っているほど高くありません。
また、トイレが近くなりすぎることや性欲が低下することは、薬を続けて飲むかどうかに影響を与える可能性があるため、これらの症状が現れた場合は早めに医師に相談することが大切です。
副作用のリスクより放置する危険のほうがはるかに大きい
血圧の薬による副作用と、高血圧を放置した場合のリスクを比較すると、放置する方がはるかに危険であることが明らかです。
世界保健機関のガイドラインによると、血圧を下げる治療を受けることで、1000人あたり5〜10件の死亡や心臓・血管の重大な病気を防ぐことができます。
一方、副作用は1000人あたり20〜30件発生しますが、そのほとんどは軽いもので、重大な健康問題にはなりません。
血圧の薬による治療:リスクとベネフィットの比較
| 項目 | 1000人あたりの発生件数 | 重大度 |
|---|---|---|
| 防げる死亡や重大な病気 | 5〜10件 | 非常に重大(命に関わる) |
| 起こりうる副作用 | 20〜30件 | 多くは軽度(対処可能) |
つまり、血圧を下げる治療の良い面は、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる重大な病気を防ぐことであり、一方の副作用は主に軽いもので対処できるものです。
この良い面と悪い面のバランスを考えると、血圧を下げる治療を受けることで得られる利益が副作用のリスクを明らかに上回ることが分かります。
さらに、高血圧を放置した場合のリスクは時間が経つにつれて積み重なっていきます。
高血圧の状態が続けば続くほど、血管や臓器への傷みが進行し、最終的には元に戻らない障害をもたらす可能性があります。
一方、副作用の多くは薬をやめれば改善しますし、別の種類の薬に変更することも可能です。
薬を飲まずに放置すると起こる深刻な健康被害
高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれるように、自覚症状がほとんどないまま、体中の血管や臓器に深刻なダメージを与え続けます。
多くの方は血圧が少し高い程度では何も感じないため、治療の必要性を実感しにくいかもしれません。
しかし、この何も感じない期間にこそ、目に見えない形で血管が硬くなり、心臓、脳、腎臓などの大切な臓器が徐々に傷ついているのです。
米国疾病予防管理センター(CDC)によると、高血圧は米国における心臓病と脳卒中の主要なリスク因子であり、これらは米国の主要な死因となっています。
日本においても状況は同じで、脳の病気と心臓の病気は日本人の死因の上位を占めています。
これらの病気の多くは、適切に血圧を管理することで予防できるものです。
ここでは、高血圧を放置した場合に起こりうる具体的な健康被害について、医学的な根拠に基づいて解説します。
これらの情報を知ることで、高血圧治療の大切さをより深く理解していただけるでしょう。
脳卒中で半身麻痺や言語障害が残る可能性
高血圧を放置した場合の最も深刻な病気の一つが脳卒中です。
米国疾病予防管理センター(CDC)によると、高血圧によって脳への血液の流れが遮断されたり、脳の中で出血が起こったりすることで脳卒中が起き、その結果、脳の細胞が酸素不足で死んでしまいます。
- 体の半分が動かなくなる(半身麻痺)
- うまく話せなくなる、言葉が理解できなくなる(言語障害)
- 物が見えにくくなる、視野が欠ける(視覚障害)
- 記憶力や判断力が落ちる(認知機能の低下)
- 顔や手足がしびれる(感覚障害)
- 家族の介護が必要になる
- 重症の場合は命を落とす
脳卒中が起きると、体の半分が動かなくなる半身麻痺、うまく話せなくなる言語障害、物が見えにくくなる視覚障害、記憶力や判断力が落ちる認知機能の低下など、重い後遺症が残る可能性があります。
これらの障害は日常生活に大きな影響を及ぼし、家族の介護が必要になることも少なくありません。
さらに重症の場合は、命を落とすこともあります。
高血圧は脳卒中の主要なリスク因子であり、適切に血圧を管理することで脳卒中にかかるリスクを大幅に減らすことができます。
心筋梗塞で突然死のリスクが高まる
高血圧は心臓にも深刻な影響を与えます。
血圧が高い状態が続くと、心臓は通常よりも強い力で血液を送り出さなければならず、心臓の筋肉に大きな負担がかかります。
その結果、心臓の左側の部屋(左心室)の壁が厚くなり、心不全のリスクが高まります。
さらに、高血圧は血管が硬くなることを早め、心臓に血液を送る血管(冠動脈)が狭くなったり詰まったりすることで心筋梗塞のリスクを高めます。
心筋梗塞は、心臓の筋肉に血液を送る血管が詰まることで、心臓の筋肉が酸素不足になり、壊死してしまう病気です。
複数の研究を統合した大規模なメタアナリシス(系統的レビュー)によると、高血圧の診断を受けている方や血圧が高い方では、突然心臓死のリスクが大幅に上がることが報告されています。
要約相対リスクは、既往高血圧では2.10(95%信頼区間1.71-2.58、I 2 = 56.7%、p異質性= 0.018、n = 10)、収縮期血圧(SBP)20mmHg上昇ごとに1.28(95%信頼区間1.19-1.38、I 2 = 45.5%、p異質性= 0.07、n = 10)、拡張期血圧(DBP)10mmHg上昇ごとに1.09(95%信頼区間0.83-1.44、I 2 = 83.4%、p異質性= 0.002、n = 3)であった。
引用:PubMed Blood pressure, hypertension and the risk of sudden cardiac death: a systematic review and meta-analysis of cohort studies
さらに、高血圧によって心臓の壁が厚くなると、不整脈、特に心房細動という心臓の動きが乱れる病気のリスクが高まり、これが脳梗塞の原因となることもあります。
自覚症状がないまま血管や臓器がダメージを受ける
高血圧が「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれる理由は、多くの場合、何も症状を感じないまま体中の血管や臓器にダメージが積み重なっていくからです。
血圧が高い状態が長く続くと、血管の壁が厚く硬くなり、ゴムのような弾力性を失っていきます。
この血管が硬くなる変化は、多くの場合、痛みや不快感を伴わないため、本人が気づかないうちに進行してしまいます。
- 腎臓 :腎臓の血管が傷つき、腎機能が低下し、最終的には腎不全に至る可能性
- 目 :網膜の血管が傷つき、視力低下や失明のリスク
- 脳 :記憶力や判断力が低下し、将来的な認知症のリスクが高まる
- 血管 :全身の血管が硬くなり、動脈硬化が進行する
腎臓も高血圧の影響を強く受ける臓器の一つです。
高血圧によって腎臓の血管が傷つくと、腎臓の働きが徐々に悪くなり、最終的には慢性腎臓病や腎不全という状態に至ることがあります。
米国疾病予防管理センターによると、糖尿病や高血圧を持つ大人は、そうでない人と比べて腎臓の病気を発症するリスクが高いことが報告されています。
また、高血圧は目の血管にも影響を与え、網膜症という目の病気を引き起こすことがあります。
さらに、記憶力や判断力などの脳の働きにも悪影響を与え、特に40〜50代の高血圧は、将来的な認知症や血管性認知症のリスクを高める可能性があることが多くの研究で示されています。
これらの変化は、ゆっくりと、しかし確実に進行するため、定期的な健康診断と適切な血圧管理が非常に大切です。
薬に頼らず血圧を下げるために今日からできること
薬が必要な場合でも、生活習慣を改善することは高血圧治療の基本です。
また、血圧が少し高い程度で他のリスク因子がない方の場合は、生活習慣を改善するだけで血圧をコントロールできる可能性があります。
生活習慣を改善することで血圧が下がる効果は科学的に証明されており、適切に実践すれば、薬1種類分に相当する血圧を下げる効果が得られることもあります。
大規模な臨床試験(DASH-Sodium試験)によると、DASH食という特別な食事法と塩分を控えることを組み合わせると、1種類の血圧の薬と同じくらいの血圧を下げる効果が得られる可能性が示されています(効果には個人差があります)。
さらに、運動習慣をつける、適正な体重を保つ、お酒を控える、タバコをやめるなどを総合的に実践することで、より大きな効果が期待できます。
ここでは、科学的根拠に基づいた生活習慣改善の具体的な方法と、その効果について解説します。
これらの方法は、既に薬を飲んでいる方にとっても、薬の効果を高め、将来的に薬の量を減らすことにつながる可能性があります。
ただし、既に薬を飲んでいる方は、自己判断で薬をやめず、必ず医師と相談しながら進めてください。
減塩と野菜中心の食事で血圧は確実に下がる
食事を改善することは、薬を使わずに血圧を下げる最も効果的な方法の一つです。
特に大切なのが塩分を控えることです。
米国国立心肺血液研究所の研究によると、1日の塩分摂取量を小さじ1杯(6g)未満に抑えることで、血圧を有意に下げることができます。
さらに塩分を1日4g程度(ナトリウム1,500mg相当、小さじ約3分の2)まで減らすと、より大きな血圧を下げる効果が得られることが示されています。
生活習慣改善による血圧低下効果
| 改善方法 | 血圧低下効果 | 実践のポイント |
|---|---|---|
| 塩分制限(1日6g未満) | 上4〜6/下2〜3 | 加工食品を避け、薄味に慣れる |
| DASH食の実践 | 上11/下5.5 | (高血圧患者の場合),野菜・果物・全粒穀物を増やす |
| 体重減少 | 上3/下3 | 1kg減量で上が約1下がる |
| 有酸素運動(週150分) | 上5/下4 | 週3〜5回、1回30分のウォーキング |
| お酒を控える | 上4/下2.5 | 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで,※飲酒量による |
塩分の多くは、インスタント食品や加工食品、外食から摂取されます。
そのため、家で料理する際は塩を控えめにし、加工食品の摂取を減らすことが大切です。
食品のパッケージに書かれている栄養成分表示を確認して、ナトリウム(塩分)の量が少ない製品を選ぶことも効果的です。
DASH食(ダッシュ食)と呼ばれる食事パターンも、血圧を下げる効果が実証されています。
これは、野菜、果物、玄米などの全粒穀物、低脂肪の牛乳やヨーグルトを豊富に含み、赤身肉、砂糖、脂っこい食事を控えた食事法です。
実際の研究では、DASH食を実践することで、血圧の上の数値を平均11、下の数値を5.5下げることが確認されています。
- 野菜:4〜5皿分
- 果物:4〜5皿分
- 全粒穀物:6〜8皿分(玄米、全粒粉パン、オートミールなど)
- 低脂肪の乳製品:2〜3皿分
- 赤身肉や魚:6皿分以下(1皿は手のひらサイズ)
- ナッツ・豆類:週に4〜5回
- 油脂・甘いもの:控えめに
また、カリウムを豊富に含む食品(バナナ、アボカド、ほうれん草など)を積極的に食べることも、塩分の悪い作用を和らげ、血圧を下げる効果が期待できます。
米国心臓協会は、1日あたり3,500〜5,000 mgのカリウム摂取を推奨していますが、腎臓に問題がある方は医師に相談する必要があります。
週3回30分のウォーキングで効果が出始める
定期的に運動する習慣も、血圧を下げる効果的な方法です。
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を継続的に行うことで、血圧の上の数値を平均5、下の数値を4下げることが多くの研究で示されています。
運動の種類としては、ウォーキング、ジョギング、自転車こぎ、水泳などの有酸素運動が推奨されます。
米国心臓協会のガイドラインでは、週に150分以上の中くらいの強さの有酸素運動、または週に75分以上のきつめの有酸素運動を推奨しています。
これは、例えば週に3〜5回、1回あたり30〜40分のウォーキングに相当します。
効果的な運動の例
| 運動の種類 | 強度 | 時間の目安 | 頻度 |
|---|---|---|---|
| ウォーキング | 中くらい | 30〜40分 | 週3〜5回 |
| ジョギング | やや強い | 20〜30分 | 週3回 |
| 水泳 | 中くらい | 30分 | 週3〜4回 |
| 自転車こぎ | 中くらい | 30〜40分 | 週3〜5回 |
運動によって血圧が下がるメカニズムはいくつかあります。
運動は自律神経の緊張を和らげ、血管を柔らかくし、糖を処理する体の能力を向上させることが知られています。
また、運動は体重を管理するのにも役立ち、肥満が改善されることを通じても血圧の低下に貢献します。
ただし、これまで運動習慣がなかった方や、他の病気を持っている方は、運動を始める前に医師に相談することが大切です。
特に血圧がかなり高い方の場合は、急に激しい運動をすると危険を伴う可能性があるため、医師の指導のもとで少しずつ運動量を増やしていくことが推奨されます。
生活習慣を変えて効果が出るまで3〜6か月程度かかる
生活習慣を改善することによる血圧を下げる効果は、すぐに現れるものではありません。
一般的に、食事を改善したり運動習慣をつけたりすることで血圧の低下を実感できるまでには、3〜6か月程度の時間が必要とされています(期間は患者のリスク・血圧レベルにより変更します)。
この期間中、継続して生活習慣の改善に取り組むことが大切です。
日本高血圧学会のガイドラインでは、リスクが低い方から中程度の方では、生活習慣の改善を一定期間続けた後、十分に血圧が下がらない場合に薬を飲み始めることを検討することが推奨されています。
生活習慣の改善を成功させるためには、小さな目標から始めることが効果的です。
例えば、いきなり塩分を大幅に減らそうとするのではなく、まず毎日の食事を記録して今どれくらい食べているかを把握し、次に調味料を減らす、インスタント食品を避けるといった段階的な方法が推奨されます。
また、体重が標準よりも重い場合、体重を1kg減らすごとに、血圧の上の数値を約1 mmHg下げる効果があることが報告されています。
体重減少1kgあたりで血圧低下は、収縮期血圧で-1.05 mmHg(95% CI、-1.43~-0.66)、拡張期血圧で-0.92 mmHg(95% CI、-1.28~-0.55)でした。
引用:PubMed Influence of weight reduction on blood pressure: a meta-analysis of randomized controlled trials
ただし、生活習慣を改善することによる効果には個人差があり、血圧が十分に下がらない場合は、医師と相談して薬も併せて使うことを検討することが大切です。
よくある質問(FAQ)
- 一度飲み始めたら一生飲み続けなければいけないのか
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必ずしもそうとは限りません。
高血圧の原因が太りすぎや塩分の摂りすぎなどの生活習慣にある場合、生活習慣を改善して血圧が安定して正常な範囲に下がれば、医師の判断のもとで薬を減らしたりやめたりできることがあります。
ただし、自分で勝手に薬をやめることは危険ですので、必ず医師に相談してください。
- 血圧が下がったら自己判断で薬をやめてもいいか
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いいえ、絶対にやめないでください。
薬によって血圧が下がっているのであれば、それは薬がしっかり効いている証拠です。
自分で勝手に薬をやめると血圧が再び上がり、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。
薬をやめたい場合は、必ず医師に相談して、少しずつ減らすなど適切な対応を受けることが大切です。
- 薬の副作用が心配な場合はどうすればいいか
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まず、医師に副作用の心配について正直に伝えてください。
血圧を下げる薬には何種類もあり、それぞれ副作用の出方が異なります。
ある薬で副作用が出ても、別の種類の薬に変更することで改善できることが多くあります。
また、薬の量を調整することで副作用を軽くできる場合もあります。
医師と相談しながら、自分に合った薬を見つけることが大切です。
- 漢方薬やサプリメントで血圧の薬の代わりになるか
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漢方薬やサプリメントには、血圧を下げる効果が期待できるものもありますが、科学的に効果が証明された血圧の薬の代わりにはなりません。
血圧がかなり高い場合や、心臓や血管の病気にかかるリスクが高い場合は、実際に効果が確認されている血圧の薬による治療が必要です。
漢方薬やサプリメントを使いたい場合は、医師に相談し、処方された薬と一緒に使っても安全かどうか確認してください。
- 薬をやめたいと医師に相談してもいいのか
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はい、もちろん相談してください。
薬をやめたい理由や不安に思っていることを医師に伝えることは、良い関係を築くうえでも大切です。
医師は、あなたの血圧の状態、他にどんなリスクがあるか、生活習慣の改善がどれくらいできているかなどを総合的に判断して、薬を減らしたりやめたりできるかどうかを検討してくれます。
ただし、最終的な判断は医学的な根拠に基づいて行われるべきです。
まとめ
「血圧の薬は飲まないほうがいい」という情報は、科学的な根拠に基づかない誤解です。
確かに血圧の薬には副作用がありますが、その多くは軽いもので対処できるものであり、高血圧を放置した場合のリスクと比較すると、薬で治療することによる利益が明らかに上回ります。
高血圧を放置すると、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎不全など、命に関わる重大な病気を引き起こすリスクが大幅に高まります。
一方、適切に血圧を下げる治療を受けることで、これらのリスクを大幅に減らすことができることが、世界中の多くの研究で実証されています。
薬が必要かどうかは、血圧の数値だけでなく、年齢、他にどんなリスクがあるか、心臓や腎臓などの臓器に傷みがあるかどうかなどを総合的に判断して決定されます。
血圧が少し高い程度で他のリスク因子がない場合は、まず生活習慣を改善することから始めることができますが、十分な効果が得られない場合や、リスクが高い場合は薬も併せて使うことが必要となります。
生活習慣を改善することは、薬を飲んでいるかどうかに関わらず、すべての高血圧の患者さんにとって大切です。
塩分を控える、野菜や果物を多く食べる、定期的に運動する、適正な体重を保つなどにより、血圧を下げる効果が期待できます。
最も大切なのは、自分で勝手に治療をやめたり避けたりせず、医師と相談しながら適切な治療を受けることです。
血圧が高いと指摘されたら、まずは病院やクリニックを受診し、自分の状態に合った治療計画を立ててください。
特定非営利活動法人 日本高血圧学会「一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子」
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