高血圧の治療で血圧を下げる薬を飲んでいる方、またはこれから飲み始める方の中には、副作用について不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
「薬を飲むと何か体に悪いことが起きるのではないか」「副作用が怖くて治療をためらっている」といった声をよく耳にします。
血圧を下げる薬は、脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気を予防するために欠かせないものです。
しかし、どのような薬にも副作用が起こる可能性があります。
血圧を下げる薬の副作用には、軽い足のむくみや体のだるさといった日常生活で気づきやすいものから、まれではあるものの緊急の対応が必要な重いものまで、さまざまな種類があります。
- 血圧低下による症状(全ての降圧薬でめまい・ふらつき・立ちくらみ)
- カルシウム拮抗薬(足のむくみ・顔のほてり・頭痛・動悸)
- ACE阻害薬(痰が出ない空咳、まれに唇・舌・喉の腫れ)
- 利尿薬(頻尿・カリウム低下・脱水・尿酸値上昇)
- β遮断薬(疲れやすさ・手足の冷え・脈が遅くなる)
- ARB(めまい・頭痛が主で、咳はACE阻害薬より少ない)
副作用の出方は、薬のタイプによって大きく違います。
ある薬では足がむくみやすく、別の薬では空咳が出やすいといった具合です。
また、ある薬ではトイレが近くなり、別の薬では疲れやすくなったり手足が冷えたりすることがあります。
このように、薬のタイプごとに注意すべき副作用が違うため、ご自身が飲んでいる薬の特徴を知っておくことが大切です。
大切なのは、どのような副作用が起こる可能性があるのかを知り、症状が出たときに適切に対処することです。
軽い副作用であれば様子を見ても問題ないことが多い一方で、胸の痛みや息苦しさといった症状は救急車を呼ぶ必要があります。
また、副作用が気になるからといって自分の判断で薬を急にやめてしまうと、血圧が再び高くなったり、薬の種類によっては急激に上がって危険な状態になったりすることがあります。
副作用への対処は、必ず医師と相談しながら進めることが重要です。
この記事では、医師の立場から、血圧を下げる薬で起こりやすい副作用の種類や症状、そして副作用が出たときの対処法について、わかりやすく解説していきます。
さらに、日常生活での工夫によって副作用を軽くする方法や、医師とのやり取りを通じて自分に合った薬を見つけていく方法についてもお伝えします。
副作用を正しく理解することで、安心して治療を続けていただけるはずです。
- 血圧を下げる薬で起こりやすい副作用の種類と具体的な症状
- 薬のタイプごとに違う副作用の特徴
- 副作用が出たときに取るべき適切な対処方法
- 日常生活で副作用を軽くするための工夫
- 医師と相談しながら安全に治療を続けるためのポイント
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
降圧薬の副作用は軽いものから重いものまでさまざま
血圧を下げる薬を飲むと、体質や薬の種類によってさまざまな副作用が出ることがあります。
多くの副作用は軽いもので日常生活に大きな影響はありませんが、中には病院での対応が必要な重いものもあります。
副作用の種類を理解しておくことで、症状が出たときに適切に判断し、対処することができます。
血圧を下げる薬による副作用は、大きく3つのグループに分けて考えることができます。
まず、血圧が下がることで起こる副作用として、めまいやふらつき、だるさなどがあります。
これらは薬が血圧を下げる働きが、少し強く出すぎたときに起こります。
次に、薬の種類ごとに特有の副作用があり、例えば空咳やむくみなどがこれに当たります。
薬の働き方に関連して出る症状なので、特定のタイプの薬で起こりやすい傾向があります。
そして最後に、まれではあるものの緊急性の高い副作用として、息苦しさや激しい腫れなどがあります。
副作用の重さも幅広く、ほとんど気にならない程度のものから、すぐに病院を受診すべきものまであります。
軽い副作用は体が薬に慣れることで自然に良くなっていくことも多い一方で、重い副作用は早く見つけて素早く対応することが重要です。
ここでは、副作用を症状の特徴ごとに分けて、それぞれについて詳しく解説していきます。
日常生活で気づきやすい副作用、特定の症状として出る副作用、そして緊急性が高い副作用の見分け方を知ることで、安心して血圧を下げる薬による治療を続けることができます。
むくみ・めまい・だるさなど日常生活で気づきやすい副作用
血圧を下げる薬を飲んでいる方が日常生活の中で最も気づきやすい副作用は、むくみ、めまい、だるさといった症状です。
これらは薬が体に働きかけることで出る症状で、多くの場合は軽いものから中くらいの程度にとどまります。
- むくみ:夕方に靴がきつくなる、靴下の跡が残る
- めまい・ふらつき:立ち上がったときや朝起きたときに感じやすい
- だるさ・疲れやすさ:体が重い、疲れやすくなった
むくみは特に足首や足の甲に出やすく、夕方になると靴がきつく感じたり、指で押すとへこんだりすることで気づかれます。
このむくみは、薬の作用で血管(動脈)が広がることにより、毛細血管の圧力が変化し、血管内の水分が周囲の組織へ染み出しやすくなることなどで起こります。
むくみの程度は人によって違い、ほとんど気にならない程度から、足が重く感じられるまでさまざまです。
めまいやふらつきは、血圧が下がることで脳への血の流れが一時的に減るときに起こります。
特に立ち上がったときや朝起きたときに感じやすく、場合によっては立ちくらみのような症状として出ることがあります。
この症状は薬を飲み始めた直後や、薬の量を増やした直後に起こりやすい傾向があります。
だるさや疲れやすさは、薬の働きによって全身の血の流れが変わることに体が慣れていく過程で感じることがあります。
普段の生活で「なんとなく体が重い」「疲れやすくなった」と感じる場合、薬の影響である可能性があります。
だるさやめまいなどは、数週間から1か月程度で体が慣れて軽くなることが多いですが、カルシウム拮抗薬による足のむくみやACE阻害薬による咳など、症状によっては自然には改善しにくい(慣れにくい)場合もあります。
この症状は必ずしも治療開始直後ではなく、数か月、あるいは1年後に現れる場合もあることを医師は認識しておく必要があります。
引用:PubMed ACE inhibitor-induced cough and bronchospasm. Incidence, mechanisms and management
咳・動悸・頭痛など特定の症状として現れる副作用
血圧を下げる薬の中には、特定の症状を引き起こしやすいものがあります。
これらの副作用は薬の種類によって出方が違い、症状の特徴を知っておくことで早く気づくことができます。
- 空咳:ACE阻害薬で特に多い、痰が出ない乾いた咳
- 動悸:心臓がドキドキする、脈が速く感じる
- 頭痛:ズキズキとした頭痛、頭全体が重く感じる
- 顔のほてり・赤み:血管を広げる薬で出やすい
空咳は特にACE阻害薬という種類の薬でよく見られる副作用です。
この咳は痰が出ない乾いた咳が続くのが特徴で、風邪のときの咳とは違います。
夜や横になったときに咳が出やすくなることもあり、眠りの質に影響することがあります。
この咳は薬の働き方に関連しており、体の中でブラジキニンという物質が増えることで気道が刺激されるために起こります。
動悸は心臓がドキドキする、脈が速く感じるといった症状です。
血圧を下げる薬の中には、血管を広げる際に体が反応して心拍数を上げるものがあり、この働きによって動悸を感じることがあります。
多くの場合は一時的なものですが、動悸が続いたり、胸の不快感を伴ったりする場合は医師に相談する必要があります。
頭痛も血圧を下げる薬の副作用として比較的よく報告される症状です。
血管が広がることで頭の血管にも影響が及び、ズキズキとした頭痛や、頭全体が重く感じる頭痛として出ることがあります。
顔のほてりや赤みを伴うこともあり、これらは血管を広げる働きが強い薬で特に起こりやすい傾向があります。
息切れや胸痛など緊急性が高い副作用の見分け方
血圧を下げる薬の副作用の中には、頻度は低いものの緊急の医療対応が必要なものがあります。
これらの症状を見分け、適切に対処することは、安全に治療を続ける上で非常に重要です。
- 血管浮腫:唇、舌、喉が腫れる
- 呼吸困難:安静時でも息苦しい、横になると息が苦しい
- 胸痛:締め付けられるような痛み、圧迫感
- 意識障害:意識がもうろうとする、気を失う
- 激しい動悸:不規則な脈、胸がドキドキして苦しい
血管浮腫は、唇や舌、喉が腫れる症状で、特にACE阻害薬で注意が必要な副作用です。
この腫れは普通のむくみとは違い、急速に進むことがあります。
喉が腫れると息ができなくなる可能性があり、命に関わることもあります。
この副作用は薬を飲み始めてから数週間以内に起こることが多いですが、長い間飲んでいてから突然出ることもあるため、継続的な注意が必要です。
発症は通常、治療開始後数週間から数ヶ月以内に起こりますが、治療開始から数年経ってから発生することもあります。
引用:Medsafe Reminder: ACE inhibitor-induced angioedema can be fatal
息苦しさや息切れが急に出た場合も、すぐに病院を受診すべき症状です。
階段を上がるときに以前よりも息が切れやすくなった程度であれば様子を見ることもできますが、安静にしていても息苦しさを感じる、横になると息が苦しくなるといった症状は、薬の副作用以外の問題も含めて早急な確認が必要です。
胸の痛みや胸の不快感も見逃してはいけない症状です。
特に運動したときや興奮したときに胸が締め付けられるような痛みを感じる場合、薬の副作用というよりも、心臓への血の流れに問題が起きている可能性があります。
このような症状が出たときは、自分で判断せずに病院を受診することが大切です。
重い副作用のサインとして、意識がもうろうとする、ひどいめまいで立っていられない、激しい動悸が続くといった症状も挙げられます。
これらは血圧が下がりすぎている可能性や、脈の乱れなどの別の問題を示している可能性があり、速やかな医療対応が必要です。
薬のタイプによって出やすい副作用が異なる
血圧を下げる薬には複数のタイプがあり、それぞれ血圧を下げる仕組みが違います。
そのため、副作用の出方も薬のタイプによって特徴的なパターンがあります。
ご自身が飲んでいる薬がどのタイプに属するかを知ることで、どのような副作用に注意すべきかが分かり、症状が出たときにも適切に対処できるようになります。
主な降圧薬のタイプと特徴的な副作用
| 薬のタイプ | 代表的な薬 | 主な副作用 |
|---|---|---|
| カルシウム拮抗薬 | アムロジピン、ニフェジピン | 足のむくみ、顔のほてり、頭痛 |
| ACE阻害薬 | エナラプリル、リシノプリル | 空咳、血管浮腫(まれ) |
| ARB | ロサルタン、バルサルタン | めまい、頭痛(咳は少ない) |
| 利尿薬 | ヒドロクロロチアジド | 頻尿、カリウム低下、脱水 |
| β遮断薬 | メトプロロール、アテノロール | 疲れやすさ、手足の冷え、脈が遅い |
主な血圧を下げる薬のタイプには、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬などがあります。
それぞれの薬は違う経路で血圧を下げるため、副作用の種類や強さも違います。
例えば、カルシウム拮抗薬は血管を直接広げる働きがあるため、むくみや顔のほてりが出やすい一方で、利尿薬は体の中の水分バランスに働きかけるため、トイレが近くなったり体の中の成分のバランスが崩れたりしやすいという特徴があります。
同じタイプの薬でも、個々の薬によって副作用の出やすさに違いがあることもあります。
また、同じ薬を飲んでいても、人によって副作用の出方は違います。
ただし、薬のタイプごとの典型的な副作用を知っておくことで、「これは薬の副作用かもしれない」と早く気づくことができ、医師に相談するタイミングを判断しやすくなります。
ここでは、主要な血圧を下げる薬のタイプごとに、どのような副作用が出やすいのか、その副作用がなぜ起こるのか、そしてどのくらいの割合で出るのかについて詳しく解説していきます。
この知識を持つことで、ご自身の症状が薬の副作用である可能性を判断し、適切に対処することができるようになります。
足のむくみや顔のほてりが出やすいカルシウム拮抗薬
カルシウム拮抗薬は、血管の壁にある筋肉を緩めることで血管を広げ、血圧を下げる薬です。
アムロジピン、ニフェジピン、ジルチアゼムといった薬がこのグループに含まれます。
カルシウム拮抗薬は血圧を下げる効果が高く、広く使われていますが、血管を広げることに伴う特有の副作用があります。
- 足のむくみ(最も多い)
- 顔のほてり・赤み
- 頭痛(ズキズキとした痛み)
- 動悸・脈が速くなる
- 便秘(ベラパミルで特に多い)
最も多く報告される副作用は、足のむくみです。
この薬は動脈を広げる一方で、静脈への影響は比較的小さいため、血管から組織への水分の移動と、組織から血管への水分の回収とのバランスが崩れ、特に重力の影響を受けやすい足にむくみが出やすくなります。
むくみの程度は人によって違いますが、夕方になると靴下の跡がくっきり残る、靴がきつく感じるといった形で出ることが多いです。
顔のほてりや赤みも、カルシウム拮抗薬に特有の副作用です。
血管が広がることで顔への血の流れが増え、顔が赤くなったり、熱く感じたりすることがあります。
この症状は特に薬を飲んだ直後や、薬の血中濃度が高くなる時間帯に出やすい傾向があります。
頭痛もカルシウム拮抗薬でよく見られる副作用の一つです。
頭の血管が広がることでズキズキとした頭痛が起こることがあります。
多くの場合、この頭痛は薬を飲み続けるうちに体が慣れて軽くなっていきますが、続く場合は医師と相談する必要があります。
動悸や脈が速くなることも報告される副作用です。
血管が急に広がると、体は血圧を保とうとして心拍数を上げる反応を示すことがあります。
この反応によって脈が速くなったり、心臓がドキドキする感じを覚えたりすることがあります。
カルシウム拮抗薬の中でも、ベラパミルという薬は便秘を引き起こしやすいことが知られています。
これは腸の筋肉の動きにも影響を与えるためで、便通が悪くなったり、お腹の張りを感じたりすることがあります。
空咳が特徴的なARBとACE阻害薬
ARBとACE阻害薬は、体の中の血圧を調節する仕組みに働きかける薬です。
これらの薬は心臓や腎臓を守る効果もあり、高血圧だけでなく心不全や腎臓病の治療にも使われます。
ARBにはロサルタン、バルサルタン、テルミサルタンなどがあり、ACE阻害薬にはエナラプリル、リシノプリル、ラミプリルなどがあります。
ACE阻害薬とARBの主な副作用の比較
| 副作用 | ACE阻害薬 | ARB |
|---|---|---|
| 空咳 | 10〜20%(多い) | まれ(少ない) |
| 血管浮腫 | 0.1〜0.7% | さらにまれ |
| めまい・立ちくらみ | あり | あり |
| 血液中のカリウム上昇 | あり | あり |
ACE阻害薬で最も特徴的な副作用は空咳です。
この咳は痰が出ない乾いた咳で、風邪のときの咳とは違います。
薬を飲み始めてから数週間から数か月経ってから出ることもあり、一度始まると続く傾向があります。
夜や横になったときに咳が出やすくなることもあり、眠りの質に影響することがあります。
この咳が起こる理由は、ACE阻害薬がブラジキニンという物質の分解を抑えるためです。
ブラジキニンが体の中にたまると気道を刺激し、咳を引き起こします。
報告によって頻度に幅がありますが、約10〜20%にこの副作用が出るとされています(個人差あり)。
一方、ARBはACE阻害薬と同じ系統の薬ですが、働きかける場所が違うため、空咳の頻度はACE阻害薬よりもかなり低くなります。
そのため、ACE阻害薬で咳が出た患者さんは、ARBに変更されることがよくあります。
咳嗽発現リスクのある患者ではACEIの使用を避け、患者の併存疾患に応じてARBまたはCCBを代替薬として用いる必要があります。
引用:PubMed Angiotensin-converting enzyme inhibitor induced cough compared with placebo, and other antihypertensives: A systematic review, and network meta-analysis
ACE阻害薬のより重い副作用として、血管浮腫があります。
これは唇、舌、喉などが腫れる症状で、起こる頻度は0.1〜0.7%程度とまれですが、喉が腫れると息ができなくなる可能性があり、緊急の医療対応が必要です。
この副作用はアフリカ系の方や高齢者で起こりやすいことが知られています。
ARBでも血管浮腫は起こりえますが、ACE阻害薬よりも頻度は低いとされています。
どちらの薬でも起こりうる副作用として、めまいや立ちくらみがあります。
これは血圧が下がることによる症状で、特に薬を飲み始めたときや量を増やしたときに出やすくなります。
また、血液中のカリウムが高くなる状態も注意が必要です。
通常は症状がありませんが、重度になると脈の乱れのリスクが高まるため、定期的な血液検査で確認する必要があります。
ARBで報告される一般的な副作用には、頭痛、めまい、疲れやすさなどがあります。
これらの症状は一般的に軽いものから中くらいのもので、多くの場合、薬を飲み続けるうちに良くなっていきます。
トイレが近くなる・電解質バランスが崩れる利尿薬
利尿薬は腎臓での塩分と水分の再吸収を抑えることで、体の中の水分量を減らして血圧を下げる薬です。
サイアザイド系利尿薬(ヒドロクロロチアジドなど)やループ利尿薬(フロセミドなど)が代表的です。
利尿薬は血圧を下げる効果が確実で、他の血圧を下げる薬と組み合わせて使われることも多い薬ですが、その働き方から特有の副作用があります。
- 頻尿(最も明らか)
- 血液中のカリウム低下(7〜56%)
- 脱水
- 血液中の尿酸上昇(痛風のリスク)
- 血糖値の上昇
最も明らかな副作用は頻尿です。
利尿薬を飲むと尿の量が増えるため、トイレに行く回数が増えます。
薬の種類によりますが、目安として薬を飲んでから数時間は尿量が多くなる傾向があるため、外出前や寝る前の服用は避け、午前中に飲むことがすすめられます。
日常生活で不便を感じる場合は、薬を飲む時間を調整することで対処できることがあります。
利尿薬で注意が必要な副作用は、血液中のカリウムが低くなることです。
利尿薬は塩分と一緒にカリウムも尿の中に出してしまうため、血液中のカリウム濃度が下がることがあります。
軽い場合は症状が出ないことも多いですが、重度になると筋肉の力が弱くなったり、脱力感が出たり、脈の乱れを引き起こしたりする可能性があります。
サイアザイド系利尿薬を飲んでいる患者さんでは、研究条件や定義によって幅がありますが、7〜56%程度に血液中のカリウム低下が見られるという報告があります。
腎機能に問題がない場合などは、カリウムが低くなるのを防ぐために、医師の指示の範囲内でカリウムを多く含む食品を意識的に摂るよう指導されることがあります。
また、ACE阻害薬やARBと組み合わせて使うと、これらの薬がカリウムの排出を抑える働きがあるため、カリウムが低くなるリスクを減らせることがありますが、逆に血液中のカリウムが高くなりすぎる状態も注意が必要です。
ACEI の投与開始後または投与量の増加後には、血清クレアチニン値とカリウム値がいくらか上昇することが予想されます。
引用:National Health Service ACE inhibitors and angiotensin-II receptor blockers monitoring
利尿薬のその他の副作用として、脱水や血液中のナトリウムが低くなることがあります。
特に高齢者や暑い時期は脱水のリスクが高まるため、適度な水分補給が大切です。
ただし、過度な水分摂取は避け、医師の指示に従うことが重要です。
血液中の尿酸が高くなることも利尿薬でよく見られる副作用です。
利尿薬は尿酸の排出を減らすため、血中の尿酸値が上がり、痛風の発作を引き起こすことがあります。
痛風になったことがある方や尿酸値が高い方は、この副作用に特に注意が必要です。
また、サイアザイド系利尿薬は血糖値を上げる可能性があります。
これはカリウムの低下がインスリンの分泌を抑えるためと考えられています。
糖尿病の方や血糖値が高めの方は、定期的な血糖値のチェックが必要です。
疲れやすさや冷えを感じやすいβ遮断薬
β遮断薬は、交感神経の働きを抑えることで心拍数を下げ、心臓の収縮する力を弱めて血圧を下げる薬です。
メトプロロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロールなどがこのグループに含まれます。
β遮断薬は高血圧だけでなく、心不全や脈の乱れ、狭心症の治療にも使われ、心臓を守る重要な薬ですが、その働き方から特有の副作用があります。
- 疲れやすさ・だるさ(最も多い)
- 脈が遅くなる(1分間に50〜60回程度)
- 手足の冷え
- 運動時の息切れ
- めまい・立ちくらみ
- 睡眠障害(眠れない、悪夢)
最もよく報告される副作用は疲れやすさやだるさです。
β遮断薬は心臓の働きを抑えるため、運動したときなどに心臓が十分に反応できず、疲れやすくなることがあります。
階段を上がるときに息切れしやすくなったり、普段の活動で以前より疲れを感じたりすることがあります。
この症状は特に運動する習慣がある方や活動的な方で顕著に感じられることがあります。
脈が遅くなることもβ遮断薬の代表的な副作用です。
β遮断薬は心拍数を下げる働きがあるため、安静時の脈拍が1分間に50〜60回程度まで下がることがあります。
多くの場合、この程度の脈の遅さは問題ありませんが、心拍数が極端に低くなる(1分間に40回以下など)と、めまいや気を失うことを引き起こすことがあります。
特に高齢者や他の心拍数を下げる薬と一緒に使っている場合は注意が必要です。
手足の冷えもβ遮断薬でよく見られる副作用です。
β遮断薬は末端の血管を縮める働きがあるため、手足への血の流れが減り、冷たく感じることがあります。
冬場や冷房の効いた環境で特に症状を強く感じることがあり、指先が白くなったり紫色になったりする症状がある方では症状が悪くなることがあります。
運動できる能力の低下も報告される副作用です。
β遮断薬は運動したときに心拍数が上がるのを抑えるため、運動中に通常よりも早く疲れを感じたり、パフォーマンスが落ちたりすることがあります。
ただし、適切な量の調整と継続により、多くの患者さんでこの症状は良くなっていきます。
その他の副作用として、めまいや立ちくらみ、血圧が低くなることがあります。
急に立ち上がったときにふらつきを感じることがあり、転倒のリスクが高まることもあります。
また、一部の患者さんでは性機能の問題や眠りの問題(眠れない、悪夢を見る)が報告されています。
β遮断薬は気管支を縮める働きもあるため、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)がある方では息苦しさを引き起こす可能性があります。
そのため、喘息の方には通常は使用を避けられますが、COPDの方については、心臓の病状や薬の種類(心臓選択性など)によって使用が検討されることもあります。
心不全、冠動脈疾患、高血圧などの疾患に対する心臓選択性β遮断薬の有効性が示されていることを考慮すると、COPD患者への投与を日常的に控えるべきではない。
引用:PubMed Central Cardioselective beta‐blockers for chronic obstructive pulmonary disease
また、β遮断薬は低血糖の症状(動悸、震えなど)を隠してしまうことがあるため、糖尿病で血糖を下げる薬を使っている方は、低血糖の症状に気づきにくくなる可能性があります。
副作用が出たら自己判断で薬を止めずに医師に相談
血圧を下げる薬を飲んでいて副作用と思われる症状が出たとき、どのように対処すべきかを知っておくことは非常に重要です。
副作用の種類によって対応の緊急度が違い、すぐに病院を受診すべきものもあれば、次の定期受診まで様子を見てもよいものもあります。
しかし、最も避けるべきことは、自分の判断で薬を急にやめてしまうことです。
高血圧の治療は長い間続けることが基本であり、血圧を下げる薬を急にやめると血圧が急に上がって危険な状態になることがあります。
特にβ遮断薬のような一部の薬では、急にやめることで狭心症が悪化したり、心筋梗塞のリスクが高まったりすることがあります。
副作用が気になる場合でも、まずは医師に相談し、適切な対応を一緒に考えることが大切です。
ここでは、副作用の緊急度に応じた対処法について解説します。
どのような症状が出たときにすぐに病院を受診すべきか、どのような症状であれば次回の定期受診時に相談すればよいか、そして自分の判断で薬をやめることの危険性について、具体的に説明していきます。
副作用への適切な対処法を知ることで、安全に治療を続け、重大な合併症を防ぐことができます。
胸痛や呼吸困難は救急受診が必要な副作用
血圧を下げる薬の副作用の中には、すぐに救急外来を受診すべき症状があります。
これらは頻度は低いものの、放っておくと命に関わる可能性がある重い副作用です。
- 胸の痛み、圧迫感(冷や汗を伴う、左肩や顎に広がる)
- 呼吸困難(安静時でも息苦しい、横になると悪化)
- 血管浮腫(唇・舌・喉の腫れ、声のかすれ)
- 意識障害(意識がもうろうとする、気を失う)
- 激しい動悸(不規則な脈、胸の苦しさを伴う)
- アレルギー反応(全身の発疹、強いかゆみ、蕁麻疹)
胸の痛みは最も注意が必要な症状の一つです。
胸が締め付けられるような痛み、圧迫感、重苦しさを感じる場合、心筋梗塞や狭心症の可能性があります。
特に、安静にしていても痛みが続く、冷や汗をかく、左肩や顎に痛みが広がるといった場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
薬の副作用というよりも、心臓への血の流れに問題が起きている可能性があります。
息苦しさも緊急性の高い症状です。
息が苦しい、呼吸が浅くなる、横になると息苦しさが増すといった症状は、心不全や肺に水がたまっている兆候かもしれません。
また、喉の腫れによる息苦しさは、血管浮腫の可能性があり、急速に悪くなることがあるため、すぐに病院を受診する必要があります。
血管浮腫の初期症状にも注意が必要です。
唇、舌、顔が腫れる、喉に違和感や飲み込みにくさを感じる、声がかすれるといった症状が出たら、速やかに病院を受診してください。
この症状は特にACE阻害薬で起こりやすく、喉が腫れて空気の通り道が狭くなると息ができなくなり、生命に危険が及びます。
ひどいめまいや気を失うことも緊急対応が必要な症状です。
立っていられないほどのめまい、意識が遠のく感じがする、実際に気を失うといった症状は、血圧が極端に下がっているか、脈の乱れが起きている可能性があります。
激しい動悸や脈の乱れも注意が必要です。
心臓が異常に速く打つ、不規則に打つ、胸がドキドキして苦しいといった症状が続く場合、危険な脈の乱れの可能性があります。
アレルギー反応の兆候も見逃してはいけません。
全身に発疹が広がる、強いかゆみ、息苦しさを伴う蕁麻疹などが出たら、すぐに病院を受診してください。
これらの症状が出た場合は、夜間や休日であっても救急外来を受診することをためらわないでください。
「これくらいで救急車を呼んでもいいのだろうか」と迷うかもしれませんが、重い副作用の可能性がある場合は、早期の対応が命を救うことにつながります。
軽いむくみや疲労感は経過観察できる副作用
一方で、血圧を下げる薬の副作用の多くは軽いものから中くらいのもので、すぐに病院を受診しなくても、次の定期受診時に医師に相談すればよいものもあります。
ただし、症状の程度が日常生活に支障をきたすレベルであれば、定期受診を待たずに相談することも検討してください。
- 軽いむくみ(朝には引いている、痛みがない)
- 軽い疲れやすさ・だるさ(日常生活には支障がない)
- 軽い頭痛(市販薬で対処できる)
- 軽いめまい・立ちくらみ(ゆっくり動くことで対処できる)
- 便秘・軽い消化器症状
軽いむくみは、カルシウム拮抗薬を飲んでいる方によく見られる副作用ですが、多くの場合は様子を見ても大丈夫です。
夕方に足がむくむ程度で、朝起きたときには良くなっている、痛みを伴わない、皮膚の色が変わっていないといった場合は、生活に支障がなく、悪化していないようであれば次回の診察時に医師に報告・相談する形でもよいでしょう。
ただし、むくみが日に日に悪くなる、片足だけがむくむ、むくんだ部分が赤くなったり熱を持ったりする場合は、別の原因も考えられるため早めに受診してください。
軽い疲れやすさやだるさも、薬を飲み始めたときによく経験する症状です。
β遮断薬や他の血圧を下げる薬を始めたばかりの時期は、体が新しい血圧レベルに慣れる過程で疲れやすく感じることがあります。
日常生活に大きな支障がなく、数週間から1か月程度で良くなる傾向にある場合は、様子を見ても問題ありません。
ただし、疲れやすさが続く、悪くなる、仕事や家事ができないほど強い場合は、医師に相談してください。
軽い頭痛も様子を見ても大丈夫な副作用の一つです。
カルシウム拮抗薬などで血管が広がる際に、一時的に頭痛を感じることがありますが、多くの場合は薬を飲み続けるうちに体が慣れて良くなります。
市販の痛み止めで対処できる程度の頭痛であれば、次回の診察時に報告すれば十分です。
ただし、激しい頭痛、いつもと違う種類の頭痛、吐き気を伴う頭痛の場合は、早めに受診してください。
軽いめまいや立ちくらみも、注意しながら様子を見ることができます。
起き上がるときにゆっくり動く、立ち上がる前に少し座って待つといった対策で対処できるレベルのめまいであれば、次回の診察まで様子を見ても問題ありません。
転ぶリスクがあるため、めまいがする間は高い場所での作業や車の運転は避けてください。
便秘や軽い消化器の症状も、日常生活に大きな支障がなければ様子を見ても大丈夫です。
食物繊維の摂取を増やす、適度な運動をするといった生活の工夫で良くなることもあります。
これらの軽い副作用でも、症状を記録しておくことは役立ちます。
いつから始まったか、どのような状況で出るか、どの程度の強さかといった情報を医師に伝えることで、より適切な対処法を一緒に考えることができます。
急な服薬中止で血圧が跳ね上がるリスクがある
血圧を下げる薬の副作用が出たとき、最も避けるべきことは自分の判断で薬を急にやめてしまうことです。
「副作用が辛いから薬をやめよう」「少し調子が悪いから数日休もう」と考えるかもしれませんが、血圧を下げる薬を急にやめることには大きなリスクがあります。
- 血圧の急上昇(リバウンド現象)
- 脳卒中のリスク増加
- 心筋梗塞のリスク増加
- 急性心不全の可能性
- 動悸、頻脈、発汗、不安などの離脱症状
血圧を下げる薬を急にやめると、血圧の急上昇が起こることがあります。
特にβ遮断薬のような一部の薬では、急にやめることで狭心症が悪化したり、心筋梗塞のリスクが高まったりすることがあります。
また、急激な血圧上昇は脳卒中の引き金にもなりかねません。
さらに、長い間血圧を下げる薬を飲んでいると、体はその薬がある状態に慣れています。
薬を急にやめることで、体の血圧を調節する仕組みが乱れ、さまざまな症状が出ることがあります。
動悸、脈が速くなる、汗をかく、不安になるといった症状が出ることもあります。
血圧を下げる薬は、高血圧による臓器の障害(脳卒中、心筋梗塞、腎不全など)を防ぐために飲んでいます。
薬を中断することで、これらの重大な病気のリスクが高まります。
短い期間の中断でも血圧のコントロールが乱れ、長年の治療効果が損なわれる可能性があります。
副作用が気になる場合は、必ず医師に相談してください。
医師は以下のような対応を検討します。
薬の種類を変える、量を調整する、飲む時間を変える、他の薬と組み合わせるといった方法で、副作用を軽くしながら血圧をコントロールすることが可能な場合が多くあります。
例えば、ACE阻害薬で空咳が出た場合はARBに変える、カルシウム拮抗薬でむくみが出た場合は薬の量を減らす、ARBなど他の種類の薬を追加・変更する、β遮断薬で疲れやすさが強い場合は他のタイプの薬に変えるといった対策があります。
また、副作用と思っていた症状が実は別の原因による場合もあります。
例えば、疲れやすさは貧血や甲状腺の働きが悪いことでも起こりますし、むくみは心不全や腎臓病が原因のこともあります。
医師に相談することで、正確な診断と適切な治療を受けることができます。
「薬を減らしたい」「やめたい」という気持ちは理解できますが、その判断は必ず医師と一緒に行ってください。
生活習慣の改善により血圧が十分に下がれば、医師の判断で薬を減らしたりやめたりすることも可能です。
しかし、それは計画的に、医師の管理のもとで行うべきことであり、自分の判断で急にやめることとは全く違います。
飲み方や生活習慣の工夫で副作用を減らせる可能性がある
血圧を下げる薬の副作用は、薬の飲み方や日常生活の工夫によって軽くできることがあります。
医師の指示に従うことが大前提ですが、自分でできる対策を知っておくことで、より快適に治療を続けることができます。
副作用を完全になくすことは難しくても、症状を和らげたり、副作用が出にくい状況を作ったりすることは可能です。
これらの工夫は薬の効果を弱めるものではなく、むしろ治療を続けやすくするための方法です。
薬を飲む時間の調整、食事内容の見直し、運動習慣の確立、眠りの質の改善といった生活の工夫は、副作用を軽くするだけでなく、血圧そのものを下げる効果もあります。
つまり、これらの対策を実践することで、血圧を下げる薬の必要量を減らせる可能性もあるのです。
ただし、大きな変更を加える前には必ず医師に相談してください。
例えば、薬を飲む時間を変える、サプリメントを追加する、減塩の塩を使い始めるといった場合は、薬の効果や他の副作用に影響を与える可能性があるため、医師の確認が必要です。
ここでは、日常生活の中で実践できる副作用を軽くする工夫について、具体的に解説していきます。
薬を飲む時間の調整、食事や水分摂取の注意点、運動と睡眠の重要性など、すぐに始められる対策をご紹介します。
これらの工夫を取り入れることで、副作用に悩まされることなく、安心して血圧の治療を続けることができるようになります。
朝飲むか夜飲むかで副作用の感じ方が変わる
血圧を下げる薬を飲む時間帯を調整することで、副作用の影響を最小限に抑えられることがあります。
薬の種類や副作用の種類によって、最適な飲む時間は違います。
薬のタイプ別の推奨服薬時間
| 薬のタイプ | 推奨時間 | 理由 |
|---|---|---|
| 利尿薬 | 午前中 | 夜間頻尿を避けるため |
| めまいが出やすい薬 | 就寝前 | 日中の活動時のめまいを軽減 |
| 頭痛・ほてりが出る薬 | 就寝前 | 日中の不快感を軽減 |
利尿薬は午前中に飲むことがすすめられます。
利尿薬を飲むと、その後数時間ほど尿の量が増える傾向があるため、夜に飲むと夜中にトイレで目が覚めて眠りが妨げられることがあります。
朝食後や午前中に飲むことで、日中にトイレに行く回数が増えるものの、夜間の眠りへの影響を最小限に抑えることができます。
外出の予定がある日は、外出の数時間前に飲めば、移動中のトイレの心配も減らせます。
めまいや立ちくらみが起こりやすい方は、寝る前に血圧を下げる薬を飲む方法もあります。
夜に薬を飲むことで、血圧が最も低くなる時間帯が眠っている間になり、日中の活動時のめまいを軽くできることがあります。
降圧薬を夕方に服用すると、朝に服用するよりも日内リズムを正常化し、24時間血圧を下げ、高血圧の長期的な心血管系後遺症を予防する効果が高い可能性があることが示唆されています。
引用:PubMed Central Cardiovascular outcomes in adults with hypertension with evening versus morning dosing of usual antihypertensives in the UK (TIME study): a prospective, randomised, open-label, blinded-endpoint clinical trial
ただし、夜間のトイレなどで起きた際の転倒リスクや、夜間の過度な血圧低下には注意が必要です。
カルシウム拮抗薬による頭痛やほてりが気になる方は、飲む時間を調整することで症状を軽くできる場合があります。
これらの症状は薬の血中濃度が高くなる時間帯に出やすいため、活動が少ない時間帯(寝る前など)に飲むことで、日中の不快感を減らせることがあります。
一部の血圧を下げる薬は1日1回の服用で24時間効果が続くため、飲む時間の自由度が高い薬もあります。
自分の生活リズムに合わせて、最も副作用の影響が少ない時間帯を医師と相談して決めることができます。
ただし、飲む時間を変える場合は、必ず医師に相談してください。
薬の種類によっては特定の時間に飲むことがすすめられているものもありますし、他の薬との飲み合わせを考える必要がある場合もあります。
また、一度決めた飲む時間は毎日同じ時間に守ることが、安定した血圧のコントロールのために重要です。
塩分・水分・カリウムの摂取量に注意が必要な薬もある
血圧を下げる薬の種類によっては、食事の内容や水分摂取に注意が必要な場合があります。
適切な食生活を心がけることで、副作用を軽くし、薬の効果を最大限に引き出すことができます。
- 果物:バナナ、オレンジ、アボカド
- 野菜:ほうれん草、トマト、サツマイモ
- その他:大豆製品
※ただし、ACE阻害薬やARBを飲んでいる場合は、過度なカリウム摂取に注意が必要です。
利尿薬を飲んでいる方は、塩分とカリウムの摂取に特に注意が必要です。
利尿薬は塩分と一緒にカリウムも尿の中に出してしまうため、血液中のカリウムが低くなるリスクがあります。
カリウムを多く含む食品を積極的に食べることで、このリスクを軽くできます。
バナナ、オレンジ、グレープフルーツ(ただしカルシウム拮抗薬との飲み合わせに注意)、トマト、ほうれん草、アボカド、サツマイモ、大豆製品などがカリウムを多く含む食品です。
ただし、ACE阻害薬やARBを一緒に飲んでいる場合は、逆に血液中のカリウムが高くなるリスクがあるため、過度なカリウム摂取は避ける必要があります。
また、腎臓の働きが悪くなっている方もカリウムの排出が悪くなっているため、カリウムの摂り過ぎは危険です。
カリウムのサプリメントや塩分の代わりに使う減塩の塩(カリウムを多く含むことが多い)を使う場合は、必ず医師に相談してください。
- 避けるべき:グレープフルーツ、グレープフルーツジュース、セビリアオレンジ、文旦、ライム
- 問題ない:みかん、一般的なオレンジ(ネーブルやバレンシアなど)、レモン、カボス
水分摂取も重要です。
利尿薬を飲んでいると脱水になりやすいため、特に暑い時期や運動したときは適度な水分補給が必要です。
ただし、心不全などで水分を制限する必要がある場合もあるため、1日にどのくらい水分を摂ればよいかは医師に確認してください。
一般的には、のどが渇いたら水分を摂る、尿の色が濃い黄色になっていないかチェックするといった方法で、脱水を防ぐことができます。
カルシウム拮抗薬(特にニフェジピンなど一部の薬剤)を飲んでいる方は、グレープフルーツとグレープフルーツジュースの摂取に注意が必要です。
グレープフルーツに含まれる成分が薬の分解を妨げ、血中濃度が予想以上に高くなり、副作用が強く出る可能性があります。
この影響は1回食べただけでも数日〜1週間程度続くことがありますが、影響が少ない薬もあるため、ご自身の薬については医師・薬剤師に確認してください。
ただし、みかん、一般的なオレンジ(ネーブルやバレンシアなど)、レモン、カボスなどは通常問題ありません。
セビリアオレンジ(マーマレードに使われることが多い)や文旦(ぶんたん)、ライムなど、一部注意が必要な種類もあるため確認してください。
- 目標:1日6g未満
- 避けるべき:加工食品、インスタント食品
- 推奨:新鮮な食材を使った料理
全ての血圧を下げる薬に共通して、減塩は重要です。
塩分の摂り過ぎは薬の効果を弱めるだけでなく、むくみを悪くすることもあります。
日本高血圧学会のガイドラインでは、1日の塩分摂取量を6g未満に制限することをすすめています。
加工食品やインスタント食品には塩分が多く含まれていることが多いため、できるだけ避け、新鮮な食材を使った料理を心がけましょう。
お酒の摂取にも注意が必要です。
お酒は血圧を一時的に下げる働きがあるため、血圧を下げる薬と一緒になると血圧が下がりすぎてめまいや立ちくらみを引き起こすことがあります。
ただし、習慣的な飲酒は長期的には血圧を上げる原因となるため、飲み過ぎには注意が必要です。
また、お酒は一部の血圧を下げる薬の分解に影響を与えることもあります。
お酒を飲む場合は適量を守り、男性で1日あたり日本酒1合(ビール500ml程度)、女性でその半分程度に制限することがすすめられています。
適度な運動と十分な睡眠が副作用の軽減につながる
健康的な生活習慣を保つことは、血圧を下げる薬の副作用を軽くし、治療効果を高めるために非常に重要です。
特に運動と睡眠は、血圧のコントロールと副作用の管理の両面で大きな役割を果たします。
- 種類:ウォーキング、軽いジョギング、水泳、サイクリング
- 時間:1日30分程度
- 頻度:週に5日以上
- 注意:β遮断薬を飲んでいる方は疲労感を目安に
適度な運動は血圧を下げる効果があり、血圧を下げる薬の必要量を減らせる可能性があります。
薬の量が減れば、副作用のリスクも下がります。
すすめられる運動は、ウォーキング、軽いジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動で、1日30分程度、週に5日以上行うことが理想的です。
ただし、血圧を下げる薬を飲んでいる方が運動を始める際は、いくつかの注意点があります。
β遮断薬を飲んでいる方は、運動中の心拍数が上がりにくいため、通常の運動強度の目安(心拍数など)が当てはまらないことがあります。
疲れやすさを目安に、無理のない範囲で運動することが大切です。
また、運動によって一時的に血圧が下がるため、運動した直後にめまいや立ちくらみを感じることがあります。
運動後は急に立ち止まらず、徐々にペースを落としてクールダウンする時間を設けましょう。
水分補給も忘れずに行ってください。
- 足首を回す
- つま先立ちをする
- 定期的に足を動かす(座りっぱなし・立ちっぱなしを避ける)
むくみの改善にも運動は効果的です。
特に足のむくみは、ふくらはぎの筋肉を動かすことで静脈の血の流れが良くなり、軽くなることがあります。
座りっぱなし、立ちっぱなしの姿勢を避け、定期的に足を動かすことを心がけましょう。
足首を回す、つま先立ちをするといった簡単な運動でも効果があります。
- 睡眠時間:1日7〜8時間
- 寝る前の習慣:カフェイン摂取を避ける、寝室の環境を整える
- リラックスできる習慣を作る
十分な睡眠も重要です。
睡眠不足は血圧を上げ、副作用を感じやすくすることがあります。
1日7〜8時間の睡眠を確保し、規則正しい生活リズムを保つことが大切です。
β遮断薬や一部の血圧を下げる薬は睡眠の質に影響を与えることがあります。
眠れなかったり悪夢に悩まされたりする場合は、寝る前のカフェイン摂取を避ける、寝室の環境を整える、リラックスできる習慣を作るといった工夫が有効です。
それでも良くならない場合は、医師に相談して薬を飲む時間を変えたり、薬の種類を変えたりすることも検討できます。
- 体重管理:無理のない範囲での減量を目標に
- ストレス管理:深呼吸、瞑想、趣味の時間を持つ
- 禁煙:最も重要な生活習慣の改善
体重管理も重要な要素です。
肥満は高血圧の重要な危険因子であり、体重を減らすことで血圧が下がり、血圧を下げる薬の必要量を減らせることがあります。
適度な運動とバランスの取れた食事によって、無理のない範囲で適正体重を目指しましょう。
ストレスの管理も見過ごせません。
ストレスは血圧を上げ、副作用を感じやすくすることがあります。
深呼吸、瞑想、趣味の時間を持つなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
禁煙も極めて重要です。
タバコは血圧を上げ、血圧を下げる薬の効果を弱めるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中のリスクを大幅に高めます。
禁煙は血圧の治療の効果を高め、全体的な健康状態を良くする最も重要な生活習慣の一つです。
医師と相談しながら自分に合う薬を見つけていく
血圧を下げる薬の治療は、一人ひとりの体質や生活状況に合わせて調整していく必要があります。
最初に処方された薬が必ずしも最適とは限らず、副作用の程度や血圧のコントロール状況を見ながら、医師と一緒に最適な治療法を見つけていく過程が大切です。
この過程で、患者さん自身が積極的に情報を伝え、医師とやり取りすることが、より良い治療につながります。
高血圧の治療は長い間続くことが多いため、副作用を最小限に抑えながら効果的に血圧をコントロールできる薬を見つけることが、治療を続けていく上で非常に重要です。
血圧を下げる薬には多くの種類があり、同じ効果を持つ薬でも副作用の出方が違うことがあります。
また、複数の薬を組み合わせることで、それぞれの薬の量を減らしながら効果的に血圧を下げることも可能です。
医師との良いやり取りは、最適な治療法を見つける鍵となります。
副作用について具体的に伝える、症状を記録して共有する、治療に対する希望や不安を率直に話すといったことが大切です。
医師も患者さんからの情報をもとに、薬の調整や生活の指導を行います。
ここでは、医師とのやり取りを効果的にする方法、副作用の記録の仕方、そして薬の調整の可能性について解説していきます。
医師と協力しながら自分に合った治療法を見つけることで、副作用に悩まされることなく、安心して長い間血圧の管理を続けることができます。
副作用の種類や強さを具体的に伝えることが大切
医師に副作用を伝える際は、できるだけ具体的に症状を説明することが重要です。
「なんとなく調子が悪い」というあいまいな訴えよりも、具体的な情報を提供することで、医師はより適切な対応を考えることができます。
- どのような症状か(むくみ、咳、疲れやすさなど)
- 症状の強さ(日常生活への影響度)
- いつから始まったか(服薬開始後の期間)
- 症状が出る状況・タイミング(朝、食後、夕方など)
- 症状の変化(良くなっているか、悪くなっているか)
- 自分で試した対処法
まず、どのような症状が出ているかを明確に伝えましょう。
「足がむくむ」「咳が出る」「疲れやすい」といった具体的な症状を説明してください。
複数の症状がある場合は、それぞれについて報告することが大切です。
症状の強さも重要な情報です。
日常生活にどの程度影響しているかを伝えることで、医師は対応の緊急度を判断できます。
例えば、「足のむくみがあるが、朝には引いている」「咳が出るが、仕事には支障がない」「疲れやすいが、普段の家事はできる」といった情報が役立ちます。
逆に、「むくみがひどくて靴が履けない」「咳で夜眠れない」「疲れて仕事ができない」といった場合は、より緊急の対応が必要です。
- ほとんど気にならない
- 気になるが日常生活に支障はない
- 日常生活に少し支障がある
- 日常生活に大きな支障がある
- 耐えられないほど辛い
症状がいつから始まったかも重要な情報です。
薬を飲み始めてすぐに出た症状なのか、しばらく経ってから出てきた症状なのかによって、副作用かどうかの判断や対処法が変わることがあります。
「薬を飲み始めて3日後から咳が出るようになった」「飲んで2週間くらいは問題なかったが、最近むくみが気になる」といった時系列の情報を伝えましょう。
症状が出る状況やタイミングも伝えてください。
「朝起きたときにめまいがする」「食後に顔がほてる」「夕方になると足がむくむ」といった情報は、副作用の原因を特定し、対処法を考える上で役立ちます。
症状の変化も重要です。
時間とともに症状が良くなっているのか、悪くなっているのか、変わらないのかを伝えることで、様子を見続けるべきか、すぐに対応が必要かを判断できます。
自分で試した対処法があれば、それも報告しましょう。
「足を高くして寝たらむくみが少し良くなった」「水分を多めに摂るようにしている」といった情報は、今後の指導に役立ちます。
ただし、自分の判断で薬の量を変えたり、飲むのをやめたりした場合は、必ずそれを正直に伝えてください。
副作用と思われる症状以外にも、気になることがあれば遠慮せずに相談しましょう。
例えば、「最近血圧が高めの日が多い」「体重が増えた」「他の病院で新しい薬が出された」といった情報も、治療方針を考える上で重要です。
いつ・どんな症状が出たかの記録が薬の調整に役立つ
副作用の症状を記録しておくことは、医師とのやり取りを円滑にし、より適切な治療につなげるために非常に有効です。
記憶だけに頼ると、症状の詳細や変化を正確に伝えることが難しくなります。
- 日付
- 症状の種類
- 症状の強さ(5段階評価など)
- 症状が出た時間帯・状況
- その日の血圧の値(家で測っている場合)
- 薬を飲んだ時間
- その他気になったこと(食事、運動、ストレスなど)
記録する内容としては、日付、症状の種類、症状の強さ、症状が出た時間帯や状況、その日の血圧の値(家で血圧を測っている場合)、薬を飲んだ時間、その他気になったこと(食事、運動、ストレスなど)といった項目が役立ちます。
- ノートに手書き
- スマートフォンのメモアプリ
- 血圧手帳に一緒に記入
記録の方法は、ノートに手書きする、スマートフォンのメモアプリを使う、血圧手帳に一緒に書き込むなど、自分が続けやすい方法で構いません。
毎日詳しく記録する必要はなく、副作用と思われる症状が出たときに記録すれば十分です。
症状の強さを記録する際は、自分なりの尺度を決めておくと便利です。
例えば、「1:ほとんど気にならない、2:気になるが日常生活に支障はない、3:日常生活に少し支障がある、4:日常生活に大きな支障がある、5:耐えられないほど辛い」といった5段階評価にすると、症状の変化を客観的に把握しやすくなります。
血圧の値も一緒に記録しておくと、副作用が血圧の変動と関連しているかどうかを判断する材料になります。
家庭用の血圧計をお持ちの方は、朝と夜の決まった時間に血圧を測り、記録することをお勧めします。
特に副作用が強く出る時間帯の血圧を測ると、血圧が下がりすぎていないかを確認できます。
診察前には、記録を見直して、医師に伝えたいポイントを整理しておきましょう。
全ての記録を一つ一つ説明する必要はありませんが、症状の傾向(例:「むくみは夕方に強くなる傾向がある」「咳は夜間に多い」など)や、特に気になった日の記録などを簡潔に伝えることが大切です。
記録を医師に見せることで、口で説明するよりも正確に情報を伝えることができます。
医師も記録を見ることで、副作用のパターンや血圧のコントロール状況を把握しやすくなり、より的確なアドバイスや治療方針の調整が可能になります。
副作用が続く場合は薬の種類や量の変更を検討できる
副作用が続いたり、日常生活に支障をきたしたりする場合、医師は薬の種類や量を調整することを検討します。
血圧を下げる薬にはさまざまな種類があり、一つの薬が合わなくても、他の薬であれば副作用が少ない可能性があります。
- 薬の種類を変更する
- 薬の量を調整する
- 複数の薬を組み合わせる
- 服薬時間を調整する
- 徐放製剤に変更する
薬の種類を変えることは、よく行われる対応です。
例えば、ACE阻害薬で空咳が出た場合、同じような効果があるARBに変えることで、咳が良くなることが多くあります。
カルシウム拮抗薬でむくみが出た場合、他のタイプの血圧を下げる薬に変えたり、少量のカルシウム拮抗薬と他の薬を組み合わせたりすることで、副作用を軽くしながら血圧をコントロールできることがあります。
副作用別の対応例
| 現在の薬 | 副作用 | 対応例 |
|---|---|---|
| ACE阻害薬 | 空咳 | ARBに変更 |
| カルシウム拮抗薬 | むくみ | 量を減らす、他のタイプの薬に変更、ARBやACE阻害薬との併用 |
| β遮断薬 | 疲れやすさ | 他のタイプの薬に変更 |
薬の量を調整することも有効な対策です。
副作用の多くは量が多いほど出やすくなります。
薬の量を減らすことで副作用が軽くなることがありますが、血圧のコントロールが十分かどうかを確認しながら慎重に調整する必要があります。
複数の薬を組み合わせる方法もあります。
1種類の薬を多めに使うよりも、2〜3種類の薬を少量ずつ組み合わせて使う方が、副作用を抑えながら効果的に血圧を下げられることがあります。
違う働き方の薬を組み合わせることで、相乗効果が得られ、それぞれの薬の量を減らせるため、副作用のリスクも下げられます。
薬を飲む時間の調整も検討されることがあります。
前に述べたように、副作用の種類によって、朝に飲むか夜に飲むかで症状の感じ方が変わることがあります。
医師と相談して、最適な飲む時間を見つけることができます。
徐放製剤への変更も選択肢の一つです。
同じ薬でも、ゆっくりと体の中に吸収される徐放製剤を使うことで、血中濃度の急な上昇を避け、副作用を軽くできることがあります。
ただし、薬の変更には注意点もあります。
新しい薬でも別の副作用が出る可能性がありますし、薬の効果が出るまでに時間がかかることもあります。
薬を変えた後は、血圧の変動や新たな症状の有無を注意深く見る必要があります。
また、生活習慣の改善によって血圧が十分に下がれば、医師の判断で薬を減らしたりやめたりできる可能性もあります。
減塩、適正体重の維持、適度な運動、禁煙、節酒といった生活習慣の改善は、血圧を下げる薬の必要量を減らし、副作用のリスクを下げる上で非常に重要です。
薬の調整は医師との対話を通じて行われます。
自分の希望や心配を率直に伝え、医師の提案をよく理解した上で、一緒に最適な治療法を見つけていくことが大切です。
副作用が辛いからといって自分の判断で薬をやめず、必ず医師に相談して適切な対応を取りましょう。
よくある質問(FAQ)
- 降圧薬の副作用はいつ頃から現れますか
-
血圧を下げる薬の副作用が出る時期は、副作用の種類や薬のタイプによって違います。
多くの副作用は薬を飲み始めてから数日から数週間以内に出ることが多く、めまいやふらつきは飲み始めた直後から出やすい傾向があります。
一方、ACE阻害薬による空咳は薬を飲み始めてから数週間から数か月経ってから出ることもあります。
血管浮腫のようなまれな副作用は、飲み始めた直後に起こることもあれば、長い間飲んでいてから突然出ることもあります。
そのため、血圧を下げる薬を飲んでいる間は、新しい症状が出たら副作用の可能性を考えて医師に相談することが大切です。
- 副作用が出やすい人の特徴はありますか
-
副作用の出やすさには個人差がありますが、いくつかの傾向が知られています。
高齢者は一般的に副作用が出やすく、特にめまいや立ちくらみ、体の中の成分のバランスが崩れることなどのリスクが高まります。
腎臓や肝臓の働きが悪くなっている方も、薬の分解や排出が遅れるため副作用が出やすくなります。
また、ACE阻害薬による血管浮腫はアフリカ系の方や女性で起こりやすいことが報告されています。
複数の薬を飲んでいる方は薬同士の影響のリスクがあり、副作用が増える可能性があります。
体質的に薬に敏感な方もいます。
ただし、これらに当てはまらなくても副作用が出ることはありますし、リスクが高い方でも副作用が出ないこともあります。
- 副作用が怖くて薬を飲みたくないのですが、服薬は必須ですか
-
副作用への不安は理解できますが、血圧を下げる薬を飲む必要があるかどうかは、血圧の値や他の危険因子によって違います。
高血圧を放っておくと、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎不全などの重大な病気を引き起こすリスクが高まります。
血圧を下げる薬はこれらの病気を防ぐための重要な治療です。
まずは生活習慣の改善(減塩、適正体重の維持、運動、禁煙、節酒)を試みることがすすめられますが、それでも血圧が十分に下がらない場合や、すでに臓器に障害がある場合は薬による治療が必要です。
副作用が心配な場合は、医師にその不安を伝えてください。
副作用の少ない薬から始める、少ない量から開始して徐々に増やす、定期的に副作用をチェックするといった対策を取ることができます。
- ジェネリック医薬品と先発医薬品で副作用に違いはありますか
-
ジェネリック医薬品(後発医薬品)と先発医薬品は、有効成分の種類と量は同じです。
そのため、主な副作用の特徴は基本的に同じと考えられます。
ただし、添加物(錠剤の形を保つ成分や色素など)は違うことがあり、まれに添加物に対するアレルギー反応が出ることがあります。
また、薬の吸収される速さが若干違うことがあり、それによって副作用の感じ方が変わる可能性があります。
多くの場合、ジェネリック医薬品でも問題なく使えますが、先発医薬品からジェネリックに変えた後や、ジェネリック医薬品のメーカーを変えた後に、何か気になる症状が出た場合は医師に相談してください。
- 複数の降圧薬を併用している場合、副作用は増えますか
-
複数の血圧を下げる薬を一緒に使うこと自体は一般的な治療法であり、適切に組み合わせることで、それぞれの薬の量を減らしながら効果的に血圧を下げることが期待されます。
ただし、薬の数が増えれば副作用のリスクも増える可能性があります。
例えば、複数の薬が血圧を下げる働きを持つため、血圧が低くなりすぎたりめまいが出たりするリスクが高まることがあります。
また、薬同士の影響によって予期しない副作用が出ることもあります。
一方、薬を適切に組み合わせることで、副作用を軽くできることもあります。
例えば、カルシウム拮抗薬でむくみが出た場合、他の仕組みで働く薬(ACE阻害薬やARBなど)を組み合わせることでむくみが良くなることがあります。
複数の薬を飲む場合は、定期的に医師の診察を受け、副作用の有無や血圧のコントロール状況を確認することが大切です。
まとめ
血圧を下げる薬の副作用について、その種類、症状、対処法を中心に解説してきました。
血圧を下げる薬にはさまざまな種類があり、それぞれ特有の副作用がありますが、多くの副作用は軽いものから中くらいのもので、適切に対処することで管理できるものです。
副作用が出たときに最も大切なことは、自分の判断で薬をやめずに医師に相談することです。
血圧を下げる薬を急にやめると血圧が治療前の高い状態に戻ったり、薬によっては反動で急激に上がったりして、脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気を引き起こすリスクがあります。
副作用が気になる場合は、医師と相談して薬の種類や量の調整、飲む時間の変更といった対策を検討しましょう。
また、日常生活の工夫によって副作用を軽くできることもあります。
適切な薬を飲む時間の選択、塩分やカリウムの摂取調整、適度な運動、十分な睡眠といった生活習慣の改善は、副作用を減らしながら血圧をコントロールする上で重要です。
副作用の症状を記録し、医師に具体的に伝えることで、より適切な治療につながります。
高血圧の治療は長い間続くため、副作用を最小限に抑えながら効果的に血圧をコントロールできる薬を見つけることが、安心して治療を続けていくための鍵となります。
血圧を下げる薬による治療の目的は、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎不全といった高血圧による病気を防ぎ、健康な生活を長く続けることです。
副作用について正しく理解し、医師と協力しながら治療を進めていくことで、安全で効果的な血圧の管理が可能になります。
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