肩こりがひどくて悩んでいる方の中には、健康診断などで「血圧が高いですね」と言われたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
肩こりと血圧には関連があることが研究で示唆されています。
一見すると関係なさそうに思える肩こりと血圧ですが、体の中では密接に影響し合っているのです。
肩がこる原因というと、姿勢が悪いことやストレスを思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろんそれも原因の一つですが、血圧が高い状態が続くことも、肩こりに関わることがあります。
血圧が高い状態は、自律神経の乱れや無意識の体の緊張と関連していることがあり、それが肩こりにつながる可能性があります。
逆に、肩こりがひどいときに血圧を測ってみると、いつもより高い数値が出ることもあります。
これは、肩の痛みやこりが体にとってストレスになり、それが血圧を押し上げているためです。
つまり、肩こりと血圧は、お互いに悪影響を与え合う関係にあるといえます。
- 高血圧で交感神経が過剰に働き、首・肩の筋肉が無意識に緊張して固まる
- 高血圧による動脈硬化が全身の血行を悪くし、肩こりの回復を妨げて慢性化させる
- 自律神経の乱れが両方に共通し、お互いを悪化させる悪循環を生む
- 肩こりの痛みやストレスが体の緊張を招き、血管収縮で血圧が上昇する
- 首・肩の血管や神経への影響で、血圧コントロールが困難になる
特に気をつけていただきたいのは、肩こりと一緒に頭痛やめまい、吐き気といった症状が出てきたときです。
これらは血圧がかなり高くなっているサインかもしれません。
肩こりが長い間続いている、血圧が135/85mmHg以上の日が多い、肩こり以外の体の不調も感じるといった場合は、注意が必要です。
この記事では、肩こりと血圧がどのように関係しているのか、なぜ血圧が高いと肩がこりやすくなるのか、そして肩こりも血圧も改善するにはどうすればよいのかを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
また、どんなときに病院に行くべきかについても、具体的にご説明します。
肩こりや血圧のことで悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
- 肩こりと血圧がどう関係しているか
- 血圧が高いと肩がこる理由
- 特に注意が必要な症状
- 肩こりも血圧も良くする毎日の習慣
- 病院に行ったほうがよいタイミング
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
肩こりと血圧は深く関係している
肩こりと血圧には関連があることが研究で示唆されています。
痛みが強いときに血圧が上がることは医学的に支持されていますが、高血圧そのものが肩こりの主な原因であるとは言い切れません。
この2つは、お互いに影響を与え合う可能性があります。
血圧が高いというのは、血管の中を流れる血液の勢いがいつも強すぎる状態です。
この状態が長く続くと、血管への負担から動脈硬化が進み、血の巡りに影響が出ることがあります。
また、高血圧の背景には交感神経の緊張があることが多く、その影響で血管が収縮し、首や肩の筋肉も固まりやすくなるのです。
反対に、肩こりや首の痛みがあると、その不快な感じが体にとってストレスになります。
すると、体は緊張状態になり、交感神経が活発になって血圧が上がりやすくなります。
さらに、痛みをかばおうとして無意識に体に力が入ってしまい、それがまた血圧を上げてしまうという悪い流れができてしまいます。
つまり、肩こりと血圧の高さは、お互いをどんどん悪くしてしまう可能性があるのです。
ここからは、肩こりと血圧の関係について、3つの角度から詳しく見ていきましょう。
高血圧が肩こりの原因になる
血圧が高い状態は、交感神経が優位になっている(体が緊張している)ことが多く、その影響で首や肩まわりの筋肉も無意識に力が入って固くなりやすくなります。
研究によると、ずっと首や肩の痛みで悩んでいる方の中には、同時に血圧も高いという方が多いことがわかっています。
海外では、首の骨(頸椎)に問題があった2例の患者さんが手術を受けた後、血圧が正常域になったという症例報告があります。
症例1と同様に、血圧も手術後、降圧薬を服用することなく回復しました。
引用:PubMed Central Cervical Spondylosis and Hypertension: A Clinical Study of 2 Cases
ただし、これは少数の症例報告であり、すべての人に当てはまるものではありません。
肩こりがあると血圧が上がりやすくなる
肩こりや首の痛みがあるとき、私たちの体は常にストレスを感じています。
痛みやこりは、体にとって「何か問題が起きている」という警告のようなものです。
この警告に反応して、体は緊張状態になります。
体が緊張すると血管がキュッと縮み、血圧が上がりやすくなるのです。
特に、痛みが何週間も何ヶ月も続いているような場合は、慢性的なストレスが血圧上昇と関わる可能性が研究で示唆されています。
実際に、慢性的な痛みを持つ患者さんの約39%が高血圧と診断されているのに対し、痛みのない患者さんでは21%にとどまることが報告されています。
疼痛群では39%が臨床的高血圧と診断されたのに対し、内科群では21%でした(P < 0.001)。
引用:PubMed Prevalence of clinical hypertension in patients with chronic pain compared to nonpain general medical patients
ただし、生活習慣や基礎疾患など他の要因も影響するため、痛みだけが原因とは断定できません。
どちらも血の巡りの問題が関わっている
肩こりと血圧の高さに共通しているのは、血の巡りの悪さです。
血圧が高い状態は、血管が収縮していたり、血管の壁に常に負担がかかったりしている状態です。
これに自律神経の乱れなどが重なると、肩こりの症状を強く感じやすくなることがあります。
一方、肩こりでは筋肉がカチカチに固まって、そこを通る血液の流れが悪くなります。
この2つが同時に起こると、症状がさらに悪化しやすくなってしまいます。
特に首には、脳に血液を送る大切な血管や、血圧を調整する神経が通っています。
首や肩の筋肉がガチガチに固まると、これらの血管や神経にも影響が出て、血圧のコントロールがうまくいかなくなることがあります。
血圧が高いと肩こりになる3つの理由
血圧が高い方が肩こりを感じやすくなるのには、いくつかの理由があります。
血圧が高いというのは、血管の壁にずっと強い力がかかり続けているということです。
この状態が続くと、血管そのものの状態に変化が起きたり、体の緊張をコントロールする仕組みに影響が出たりすることがあります。
血圧が高い状態では、血管自体が変わってきたり、血管にダメージを与えたりします。
また、血圧を調整している体の仕組みにも負担がかかり、体全体のバランスが崩れやすくなります。
血圧の高さが肩こりにつながる仕組みを知ることで、どんな対策をすればよいのかも見えてきます。
ここでは、血圧の高さが肩こりを引き起こす主な3つの理由について、できるだけわかりやすく説明していきます。
これらの仕組みを理解すれば、ご自身の症状についてもより深く知ることができるはずです。
- 血管の老化が肩こりの回復を妨げる
- 体のバランスを保つ神経が乱れる
- 血管が硬くなって肩まわりに影響が出る
血管の老化が肩こりの回復を妨げる
血圧が高い状態が続くと、血管の壁がダメージを受け、厚く硬くなる「動脈硬化」のリスクが高まります。
動脈硬化が進むと、血管の弾力性が失われ、全身へのスムーズな血液循環が妨げられやすくなります。
肩こり自体の主なきっかけは、デスクワークや姿勢の悪さによる筋肉の緊張です。
しかし、そこから筋肉の疲労物質を流し、新しい酸素を届けて回復させるには、良好な血行が欠かせません。
高血圧によって血管の状態が悪化していると、こうした「筋肉のリカバリーに必要な血流」が十分に確保できず、結果として肩こりが慢性化したり、治りにくくなったりする可能性があります。
高血圧が直接肩こりを引き起こすわけではありませんが、肩こりを悪化させる「土壌」を作ってしまうといえるでしょう。
体のバランスを保つ神経が乱れる
私たちの体には、自分では意識しなくても自動的に働いてくれる神経があります。
この神経は、心臓の動きや血圧、体温などを勝手に調整してくれています。
この神経には2つの種類があって、一つは活動的なときに働くもの、もう一つはリラックスしているときに働くものです。
この2つがバランスよく働くことで、私たちの体は健康を保っています。
体のバランスを保つ2つの神経
| 神経の種類 | 働くとき | 体への影響 |
|---|---|---|
| 活動的なときの神経(交感神経) | 緊張している・ストレスを感じている | 血管が縮む・筋肉に力が入る・血圧が上がる |
| リラックスしているときの神経(副交感神経) | 休んでいる・リラックスしている | 血管が広がる・筋肉がゆるむ・血圧が下がる |
血圧が高い状態では、活動的なときに働く神経が過剰に働きやすくなります。
この神経が働きすぎると、血管が縮むだけでなく、筋肉にも余計な力が入りやすくなります。
特に首や肩の筋肉は、ストレスや緊張の影響を受けやすい場所なので、体のバランスを保つ神経の働きが乱れると、すぐにこりや痛みとして現れやすいのです。
研究によると、ずっと首の痛みがある方では、活動的なときに働く神経が過剰に刺激されることで血圧が上がりやすくなることがわかっています。
ただし、この自律神経の乱れが肩こりの主要な原因であるとは一般化できず、肩こりには姿勢や筋骨格系の要因など、さまざまな原因があります。
血管が硬くなって肩まわりに影響が出る
血圧が高い状態が何年も続くと、血管の壁が少しずつ硬くなっていきます(動脈硬化)。
血管が硬くなると、血液を送り出すときにより強い力が必要になることがあります。
これにより血圧が上がる場合もあります(個人差があります)。
血管が硬くなる現象は全身の血管で起こりますが、首や肩まわりの血管も同じです。
これらの場所の血管が硬くなると、筋肉への血液の供給がさらに悪くなり、肩こりがずっと続きやすくなります。
また、血管が硬くなると、血圧の上がり下がりも激しくなりやすく、体への負担も増えていきます。
血圧の高さは血管にダメージを与え、血管を硬くしてしまう大きな原因の一つです。
血管が硬くなると、心臓の病気や脳卒中になる危険性も高まるため、「ただの肩こり」と軽く考えず、きちんと対策を取ることが大切です。
硬化した動脈は血圧の変化に苦しみ、収縮期血圧と脈圧を上昇させます。結果として生じる収縮期血圧の上昇は動脈をさらに硬化させ、炎症と石灰化の有害な悪循環を作り出します。
引用:PubMed Central Arterial stiffness and hypertension
肩こりに加えてこんな症状があったら要注意
肩こりだけであれば、生活習慣を見直したりストレッチをしたりすることで、よくなることも多いです。
しかし、肩こりと一緒に他の症状が出てきた場合は、血圧がかなり高くなっていたり、体の他の部分にも影響が出始めているサインかもしれません。
高血圧は「サイレントキラー(音もなく忍び寄る危険)」と呼ばれていて、普段は何も症状を感じないことがほとんどです。
しかし、血圧がとても高くなったり、血圧の高さが体の他の部分に影響を与え始めたりすると、いろいろな症状として現れることがあります。
これらの症状は、体が出している大切な警告サインです。
特に、いくつかの症状が同時に出てきた場合や、症状が急に始まった場合、日に日にひどくなっている場合は、すぐに病院を受診する必要があります。
早めに適切な治療を受けることで、重い病気になるのを防ぐことができます。
ここでは、肩こりと一緒に出てきたら特に注意が必要な症状についてお伝えします。
これらの症状がある方は、自分で判断せず、必ずお医者さんに相談してください。
- 肩こり + 頭痛やめまい
- 肩こり + 吐き気や胸の違和感
- 肩こり + 手や足のしびれ
- 肩こり + 息苦しさや動悸
- 肩こり + 目がかすむ、言葉が出にくい
頭痛やめまいがする
肩こりに加えて頭痛がある場合は、血圧が急激に上昇している(例:180/120mmHg以上)サインかもしれません。
軽症から中等症の慢性高血圧では頭痛を起こしにくい一方、血圧が急に上がったり、とても高い状態がずっと続いたりすると、頭痛として現れることがあります。
また、立ち上がったときにふらついたり、目の前がグルグル回るような感じがしたりする場合も、血圧の上がり下がりが激しくなっているサインかもしれません。
このような症状がある場合は、早めに病院を受診することが大切です。
吐き気や胸の違和感がある
肩こりと一緒に吐き気や胸の違和感を感じる場合は、さらに注意が必要です。
これらの症状は、血圧がとても高くなっている状態や、心臓に負担がかかっているサインの可能性があります。
アメリカ心臓協会によると、血圧が180/120mmHg以上に上がって、胸の痛みや息苦しさ、吐き気などの症状がある場合は、とても危険な状態だそうです。
このような場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
- 血圧が180/120mmHg以上
- 激しい胸の痛みや圧迫感
- 息苦しさ、呼吸困難
- 強い吐き気や嘔吐
- 激しい頭痛
- 視界がぼやける、見えにくい
- 言葉が出にくい、ろれつが回らない
- 体の片側がしびれる、動かしにくい
また、肩から胸にかけての痛みや、胸を押さえつけられるような感じは、心臓の病気の可能性もあります。
血圧の高さが長く続くと、心臓に大きな負担がかかり、狭心症や心筋梗塞になる危険性が高まります。
このような症状がある場合は、自己判断せずにすぐに医療機関を受診してください。
手や足がしびれる
肩こりと一緒に手や足のしびれを感じる場合も、注意が必要です。
しびれは、首の骨(頸椎)の問題で神経が圧迫されている可能性があります。
また、血圧が非常に高い緊急状態では、脳血管障害の兆候としてしびれが現れることもあります。
血圧がとても高いときに、しびれや力が入らない、目が見えにくくなる、言葉がうまく出てこないなどの症状がある場合は、すぐに救急医療を受けるべきです。
これらは血圧の高さが脳に影響を与えている可能性があるからです。
肩こりも血圧も良くする4つの習慣
血圧の高さは、毎日の生活習慣を見直すことで改善できる可能性があります。
肩こりについても、原因によっては生活習慣の改善が役立つことがありますが、原因は多様であり、すべてのケースで改善するわけではありません。
お薬による治療も大切ですが、日々の暮らしの中での工夫が、症状をよくしたり予防したりするのに大きな役割を果たします。
生活習慣を改善すると聞くと、「難しそう」「大変そう」と感じるかもしれません。
でも大丈夫です。
できることから少しずつ始めることが大切なのです。
完璧にやろうと思わなくても構いません。
小さな変化を積み重ねていくことが、やがて大きな効果を生み出します。
また、これらの習慣は肩こりと血圧だけでなく、体全体の健康にもよい影響を与えます。
ここでは、毎日の生活の中で取り入れやすい4つの習慣をご紹介します。
これらは研究でも効果が確認されているものばかりです。
全部を一度に始める必要はありません。
ご自身のペースで、できそうなものから試してみてください。
大切なのは続けることです。
無理なく長く続けられる方法を見つけていきましょう。
- 塩分を減らして野菜を多く食べる
- 無理のない運動を続ける
- ぐっすり眠れる環境を整える
- ストレスをためない工夫をする
塩分を減らして野菜を多く食べる
日本人の血圧が高くなる一番の原因は、塩分の取りすぎだと言われています。
厚生労働省によると、健康な成人男性は1日に小さじ1杯ちょっと(7.5g)未満、女性は小さじ1杯強(6.5g)未満の塩分摂取が目標とされていますが、実際には多くの方がこれよりも多く取ってしまっています。
塩分を取りすぎると、体の中に水分が溜まって血液の量が増え、血圧が上がります。
また、血管の反応性や体液調節などの複数の仕組みを通じて血圧に影響を与えます。
まずは、醤油やソースを少なめにする、加工食品(ハムやソーセージなど)を控える、外食するときは塩分控えめのメニューを選ぶといった工夫から始めてみましょう。
- 醤油は「かける」より「つける」
- だしの旨みを効かせて塩分控えめに
- レモンや酢などの酸味を活用
- 香辛料やハーブで風味をつける
- 加工食品(ハム、ソーセージ、漬物など)を控える
- ラーメンやうどんの汁は残す
- 外食では「塩分控えめ」メニューを選ぶ
反対に、野菜や果物に含まれるカリウムという成分は、体の中の余分な塩分を外に出す働きがあります。
アメリカ国立心肺血液研究所(NHLBI)が推奨するDASH食事法では、野菜、果物、玄米などの穀物、豆類をたくさん食べて、脂肪分の少ない乳製品や魚、鶏肉を取り入れることが推奨されています。
このような食事を心がけることで、血圧を下げる効果が期待できます。
ただし、腎臓に疾患がある方は、カリウムの摂取制限が必要な場合がありますので、医師に相談してください。
- 野菜(特に緑黄色野菜)
- 果物(バナナ、りんご、柑橘類など)
- 海藻類
- きのコ類
- 豆類
- 玄米や雑穀
- 低脂肪の乳製品
- 魚(特に青魚)
無理のない運動を続ける
運動は血圧を下げる効果があることが、たくさんの研究で示されています。
厚生労働省は、血圧の高さを改善するために、週のほとんどの日に30分以上、ややきついと感じるくらいの運動は血圧を下げる効果があることを踏まえた運動をすることが勧められています。
「ややきつい」というのは、会話をしながらでもできる程度の運動です。
散歩、軽いジョギング、水泳、自転車こぎなどが当てはまります。
これらの運動は、血圧を下げるだけでなく、全身の血の巡りを良くして肩こりの改善にも役立ちます。
おすすめの運動
| 運動の種類 | 具体例 | ポイント |
|---|---|---|
| ウォーキング | 散歩、早歩き | 1日30分以上、週に5日以上 |
| 水中運動 | 水泳、水中ウォーキング | 関節への負担が少ない |
| 自転車 | サイクリング、エアロバイク | 膝への負担が少ない |
| 軽いジョギング | ゆっくりしたペース | 会話ができる程度の速さで |
| ストレッチ | 首・肩のストレッチ | 毎日少しずつ継続 |
運動をすると、筋肉に血液が流れ込んで、固まっていた肩や首の筋肉もほぐれやすくなります。
また、運動によってストレスも軽くなり、体の緊張をコントロールする仕組みも整いやすくなります。
ただし、血圧がとても高い方や、心臓に問題がある方は、運動を始める前に必ずお医者さんに相談してください。
ぐっすり眠れる環境を整える
睡眠不足と高血圧には関連があることが研究で示されています。
2024年のメタ分析によると、1日の睡眠時間が5時間未満の人は、7〜8時間眠る人に比べて、高血圧の発症リスクが高いことが報告されています。
また、睡眠不足と肩こり(首・肩の痛み)には関連があることが研究で報告されています。
眠っている間は、普通は血圧が下がります。
これは、体がリラックスした状態になるためです。
しかし、睡眠が足りないと、この血圧の低下が十分に起こらず、1日中血圧が高い状態が続いてしまいます。
- 毎日同じ時間に寝起きする
- 寝る1時間前からスマホ・パソコンを見ない
- 寝室を暗く静かに保つ
- 寝室を暑すぎず寒すぎない温度に調整
- 夕方以降はコーヒーや緑茶を控える
- 寝る前のお酒を避ける
- 寝る2〜3時間前には食事を済ませる
- 自分に合った枕やマットレスを使う
質のよい睡眠を取るためには、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控える、寝室を暗く静かにする、毎日決まった時間に寝起きする、夕方以降はコーヒーやお酒を控えるなどの工夫が効果的です。
また、寝具が体に合っていないことも肩こりの原因になるため、枕やマットレスを見直してみるのもよいでしょう。
ストレスをためない工夫をする
ストレスは、血圧と肩こりの両方に大きな影響を与えます。
ストレスを感じると、体は「戦うか逃げるか」という反応を起こし、ストレスホルモンという物質を出します。
これによって心臓の動きが速くなり、血管が縮んで血圧が上がります。
また、筋肉にも力が入り、特に首や肩に余計な力が入りやすくなります。
研究によると、ストレスがずっと続くと、体の緊張をコントロールする仕組みが過剰に働いて、長い目で見ると血圧が上がりやすくなることがわかっています。
また、ストレスによる筋肉の緊張は、肩こりを悪化させるだけでなく、さらに血圧を上げるという悪い流れを作り出します。
ストレスを減らす方法
| 方法 | 具体例 | 効果 |
|---|---|---|
| リラクゼーション | 深呼吸、瞑想、ヨガ | 体の緊張をほぐす |
| 趣味の時間 | 読書、音楽鑑賞、ガーデニング | 気分転換になる |
| 人とのつながり | 友人や家族との会話 | 心の支えになる |
| 自然に触れる | 散歩、森林浴、公園でのんびり | リフレッシュできる |
| 笑う | お笑い番組、面白い本 | ストレスホルモンが減る |
ストレスを完全になくすことは難しいですが、うまく付き合う方法はあります。
深呼吸やヨガ、瞑想といったリラックス方法は、血圧を下げる効果が期待できることが研究で示されています。
ただし、効果には個人差があり、手法によって結果が異なる場合もあります。
アメリカ心臓協会も、1日に15〜20分程度、リラックスできる時間を作ることを勧めています。
また、趣味を楽しんだり、友人や家族と話したり、自然の中で過ごしたりすることも、ストレスを軽くするのに効果的です。
自分に合ったストレス解消法を見つけて、日常的に取り入れることが大切です。
こんな時は早めに病院へ相談を
肩こりも血圧も、生活習慣を見直すことである程度は対処できますが、病院での治療が必要な場合もあります。
特に、血圧の高さを放っておくと、心臓や脳、腎臓などに深刻なダメージを与える可能性があります。
「いつ病院に行けばいいのかな」と迷う方は多いかもしれません。
でも、早めに受診することで、重い病気になるのを防ぐことができます。
また、お医者さんの診察を受けることで、肩こりや血圧の本当の原因がわかり、適切な治療を受けられます。
自分で判断して様子を見続けるよりも、専門家に相談して安心することが大切です。
特に、いくつかの症状がある場合や、症状が長く続いている場合は、背景に重大な病気が隠れていることもあります。
ここでは、病院を受診したほうがよいタイミングについて説明します。
これらに当てはまる場合は、早めにお医者さんに相談することをお勧めします。
遠慮せず、気になることがあれば何でもお医者さんに伝えましょう。
- □ 肩こりがずっと続いている
- □ 家で測る血圧が135/85mmHg以上の日が多い
- □ マッサージやストレッチをしても改善しない
- □ 日に日に症状がひどくなっている
- □ 頭痛やめまいも感じる
- □ 吐き気や胸の違和感がある
- □ 手や足がしびれる
- □ 痛くて夜眠れない
肩こりがずっと続いている
肩こりがずっと続いている場合は、単なる疲れや姿勢の問題ではなく、何か別の原因があるかもしれません。
血圧の高さによる血の巡りの問題、首の骨や神経の問題、あるいは内臓の病気が原因で肩こりが起こっていることもあります。
特に、マッサージやストレッチをしてもよくならない、日に日にひどくなっている、痛くて夜眠れないなどの場合は、早めに病院を受診してください。
お医者さんは、お話を聞いたり検査をしたりして原因を見つけ出し、適切な治療を提案してくれます。
血圧が135/85mmHg以上の日が多い
家で血圧を測ったときに、135/85mmHg以上の数値が何度も出る場合は、血圧が高い可能性があります。
血圧の高さは「サイレントキラー(音もなく忍び寄る危険)」と呼ばれるほど、何も症状を感じないまま進んでいき、心臓や血管、腎臓などにダメージを与えていきます。
血圧の分類(アメリカ心臓協会による)
| 分類 | 上の血圧(収縮期) | 下の血圧(拡張期) | 対応 |
|---|---|---|---|
| 正常 | 120未満 | かつ 80未満 | 健康的な生活習慣を続ける |
| 高値 | 120〜129 | かつ 80未満 | 生活習慣の改善を始める |
| 高血圧ステージ1 | 130〜139 | または 80〜89 | 生活習慣の改善+医師に相談 |
| 高血圧ステージ2 | 140以上 | または 90以上 | 医師の診察+治療が必要 |
| 高血圧緊急症 | 180以上 | または 120以上 | すぐに救急車を呼ぶ |
アメリカの心臓の専門家によると、上の血圧が130〜139mmHgまたは下の血圧が80〜89mmHgの場合は「高血圧ステージ1」、140/90mmHg以上の場合は「高血圧ステージ2」に分類されます。
これらの範囲に入る場合は、お医者さんに相談して、生活習慣の見直しやお薬による治療について話し合う必要があります。
血圧は1回測っただけでは判断できません。
毎日同じ時間帯に、5分程度安静にしてから測定し、2回測って記録することが推奨されます。
数日から数週間の記録をお医者さんに見せると、より正確な診断ができます。
肩こり以外の体の不調も感じる
肩こりに加えて、頭痛、めまい、動悸、息苦しさ、胸の痛み、手足のしびれなど、他の症状も感じる場合は、すぐに病院を受診してください。
これらは、血圧の高さが進んでいる、あるいは血圧の高さによって体の他の部分にも影響が出ているサインかもしれません。
特に、血圧が180/120mmHgを超えている場合は、とても危険な状態です。
このような高い血圧に加えて、激しい頭痛、目がかすむ、胸の痛み、息苦しさ、しびれなどがある場合は、命に関わる危険な状態の可能性があり、すぐに救急車を呼ぶべきです。
また、症状が急に始まった場合や、いつもと違う感じがする場合も、念のため病院に相談することをお勧めします。
早く見つけて早く治療することが、重い病気を防ぐカギとなります。
よくある質問
- 肩こりがあると必ず血圧が高いのですか
-
肩がこっているからといって、必ずしも血圧が高いわけではありません。
肩こりの原因はいろいろあって、姿勢が悪いこと、長時間のデスクワーク、ストレス、筋肉の疲れなどが主な原因です。
ただし、肩こりと血圧の高さには関係があることもあるので、肩こりが長く続く場合は一度血圧を測ってみることをお勧めします。
- 肩こりを治せば血圧は下がりますか
-
肩こりがよくなることで、血圧が下がる可能性はあります。
肩こりによる痛みやストレスが減ると、体の緊張をコントロールする仕組みが落ち着いて、血圧が安定しやすくなることが研究で示されています。
ただし、血圧が高くなる原因はいくつもあるので、肩こりを治しただけで血圧が正常になるとは限りません。
生活習慣全体を見直したり、必要に応じてお薬を使ったりすることも大切です。
- 肩こりと血圧の両方に効く薬はありますか
-
肩こりと血圧の両方に直接効くお薬というものは、一般的にはありません。
血圧を下げるためのお薬と、肩こりのための痛み止めや筋肉をほぐすお薬は別々のものです。
ただし、血圧を適切に管理することで血の巡りがよくなり、結果として肩こりが軽くなることはあります。
お薬については、必ずお医者さんに相談して、自己判断で飲まないようにしてください。
- 肩こりがひどい時に血圧を測ると高くなるのはなぜ
-
肩こりによる痛みや不快な感じは、体にとってストレスです。
ストレスを感じると、体が緊張状態になり、血管が縮んで一時的に血圧が上がることがあります。
また、痛みを我慢しているときは、無意識に体に力が入って筋肉が緊張し、血圧が上がりやすくなります。
このため、肩こりがひどいときに血圧を測ると、普段より高い数値が出ることがあります。
- マッサージは肩こりにも血圧にも良いですか
-
マッサージは、肩こりを和らげるのに効果が期待できます。
筋肉がほぐれることで痛みやこりが軽くなることがあります。
また、リラックス効果によって血圧が一時的に下がる可能性が研究で示されていますが、効果は限定的という報告もあります。
ただし、血圧が非常に高い状態(180/120mmHg以上など)のときは、マッサージよりも医療機関の受診が優先されます。
また、深部静脈血栓症(足などの血栓)がある場合は、マッサージによって血栓が飛んで肺塞栓を起こす危険性があるため禁忌です。
持病がある方は、マッサージを受ける前にお医者さんに相談することをお勧めします。
まとめ
肩こりと血圧には深いつながりがあります。
血圧が高い状態は、体の緊張(交感神経の働き)と深く関係しており、それが筋肉の張りや血管の収縮につながって肩こりを引き起こす可能性があります。
逆に、肩こりによる痛みやストレスが血圧を上げることもあります。
肩こりに加えて頭痛、めまい、吐き気、胸の違和感、手足のしびれなどがある場合は、血圧がかなり高くなっているサインかもしれないので、早めに病院を受診することが大切です。
日々の生活では、塩分を控えて野菜を多く食べる、無理のない運動を続ける、質のよい睡眠を取る、ストレスをためない工夫をするといった習慣が、肩こりと血圧の両方を改善するのに役立ちます。
- 食事:塩分控えめ+野菜たっぷり
- 運動:週に30分以上×5日
- 睡眠:毎日7〜8時間
- ストレス:リラックスする時間を作る
肩こりが長い間続いている、血圧が135/85mmHg以上の日が多い、肩こり以外の体の不調も感じるといった場合は、自分で判断せずにお医者さんに相談してください。
適切な診断と治療を受けることで、より健康な毎日を送ることができます。
肩こりも血圧も、放っておくと深刻な健康問題につながる可能性があります。
気になる症状があれば、ぜひお近くの病院で相談してみてください。
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