便秘と高血圧の関係とは?いきむリスクと安全な解消法を医師が解説

便秘と高血圧の関係とは?いきむリスクと安全な解消法を医師が解説

「トイレでいきんだ後、なんだか頭が痛い」「高血圧の薬を飲み始めてから便秘になった気がする」

実は便秘と高血圧には深い関係があり、特にトイレで強くいきむことが血圧を急に上げてしまい、心臓や血管に大きな負担をかける可能性があるのです。

高血圧をお持ちの方にとって、便秘は「ちょっと不快なだけ」では済まされません。

いきむことで血圧が一気に跳ね上がり、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こすリスクが高まることが、最近の研究で分かってきました。

特に朝起きてすぐの時間帯や、冬の寒い日には、このリスクがさらに高まります。

また、高血圧の治療に使われるお薬の一部は、副作用として便秘を引き起こすことがあります。

便秘と高血圧の関係
  • 便秘自体は高血圧の直接原因ではないが、両方持つとリスク上昇
  • トイレでいきむと血圧が急上昇する(朝や冬場は特に危険性が高まる)
  • 共通する生活習慣要因がある(食物繊維不足・水分不足・運動不足・ストレスなど)
  • 自律神経の乱れや腸内細菌の変化も、両症状に影響するリスク要因
  • 一部の高血圧薬が便秘を引き起こす可能性(カルシウム拮抗薬など)

便秘と高血圧の両方を抱えている方が適切な対策を取らないと、それぞれの症状がお互いに悪い影響を及ぼし合う悪循環に陥ってしまう可能性があるのです。

しかし、正しい知識と対策があれば、高血圧の方でも安全に便秘を解消できます。

毎日の食事や生活習慣の工夫、正しい排便の姿勢、そして必要に応じた適切な便秘薬の選択によって、いきまずに楽にお通じができるようになります。

便秘と高血圧は、それぞれ一つだけでも健康リスクとなりますが、両方を抱えている場合はさらに注意が必要です。

本記事では医学的な証拠に基づいて、便秘と高血圧の関係を詳しく解説し、日常生活で実践できる安全な対策をお伝えします。

この記事でわかること
  • 便秘そのものと高血圧の直接的な関係性
  • トイレでいきむことが血圧に与える影響と危険性
  • 高血圧のお薬と便秘の関連
  • 高血圧の方でも安全にできる便秘解消法
  • 病院を受診すべきタイミング
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

便秘そのものは高血圧の直接的な原因にはならない

便秘と高血圧の関係については、多くの誤解があります。

「便秘があると必ず血圧が上がる」「便秘を治せば高血圧も治る」といった単純な話ではありません。

まず結論からお伝えすると、便秘があるからといって必ず高血圧になるわけではありませんし、便秘が高血圧を直接引き起こすわけでもありません。

しかし、両者には無視できない関連性があることが、大規模な調査によって分かっています。

オーストラリアで54万人以上の高齢の入院患者さんを対象に行われた調査では、便秘のある患者さんは高血圧になるリスクが約2倍高くなることが分かりました。

さらに、便秘と高血圧の両方を持つ患者さんでは心臓や脳の病気になるリスクが著しく高いことが報告されています。

本当に問題となるのは、便秘という状態そのものではなく、便秘によって引き起こされる「いきみ」という行為です。

硬い便を無理に出そうとして強くいきむことで、血圧が瞬間的に急上昇し、それが心臓や脳の血管に大きな負担をかけるのです。

また、便秘と高血圧は似たような生活習慣や体の状態によって同時に起こりやすいという側面もあります。

このセクションでは、便秘と高血圧の本当の関係について、医学的な証拠とともに詳しく解説していきます。

便秘があっても血圧が必ず上がるわけではない

便秘の状態そのものが血圧をずっと高い状態にしてしまう直接的な原因ではありません。

オーストラリアで54万人以上の高齢の入院患者さんを対象に行われた大規模な調査では、便秘のある患者さんは高血圧になるリスクが約2倍高いことが報告されています。

便秘患者は、多変量調整後の高血圧リスクが高かった(オッズ比[OR] 1.96、95%信頼区間[CI] 1.94~1.99、P  < 0.001)。

PubMed Central  Association of constipation with increased risk of hypertension and cardiovascular events in elderly Australian patients

しかし、これは便秘が高血圧を引き起こすというよりも、両方の症状に共通する背景要因が存在することを示しています。

便秘があっても普段から血圧が高い状態が続くわけではなく、問題となるのは主にトイレでいきむときの一時的な血圧上昇です。

つまり、便秘そのものよりも、便秘によって引き起こされる「いきみ」という行為が、血圧を急に変動させる主な要因となっているのです。

危険なのは「排便時のいきみ」による急激な血圧上昇

便秘と高血圧の関係で最も注意すべきなのは、トイレでいきむことによる血圧の急上昇です。

硬い便を出そうとして強くいきむと、息を止めてお腹に力を入れることになります。

この動作によって胸の中の圧力が高まり、心臓に戻ってくる血液の量が一時的に減ってしまいます。

その結果、体は血圧を急激に上げることで対応しようとします。

研究によると、いきんだ瞬間には血圧が最大70mmHgも上昇することが確認されています(研究・姿勢・個人差で変動があります)。

また別の論文では、排便時のいきみにより収縮期血圧が約 70 mmHg 大きく上昇すると報告されている。

引用:PubMed Central  Constipation‐induced pressor effects as triggers for cardiovascular events

例えば、普段の血圧が140mmHgの方がいきむと、一時的に210mmHgにまで上がってしまう可能性があるということです。

特にご高齢の方では、いきみ始める前から血圧が上がり始め、トイレから出た後も1時間程度にわたって血圧が高い状態が続くケースもあることが観察されています。

このような急激な血圧の変動は、血管の壁に大きなストレスをかけ、心臓や血管に負担を与えます。

特にすでに高血圧がある方や動脈硬化(血管が硬くなること)が進んでいる方では、この一時的な血圧上昇が重大な心臓や脳の病気を引き起こすきっかけとなる可能性があるのです。

便秘と高血圧の両方を抱えやすいのは生活習慣が共通しているため

便秘と高血圧が同時に起こりやすい理由の一つは、両方の症状に共通する生活習慣の問題があるためです。

便秘と高血圧に共通する生活習慣の問題
  • 食物繊維の不足
  • 水分摂取量の少なさ
  • 運動不足
  • ストレス

また、自律神経(体の様々な機能を自動的に調節する神経)のバランスが崩れることも、両者に共通する背景要因です。

自律神経は心拍数や血管の収縮、腸の動きなど、体の多くの機能を調節しています。

自律神経のバランスが崩れると、血圧の変動が大きくなると同時に、腸の動きも鈍くなって便秘を引き起こしやすくなります。

さらに最近の研究では、腸内細菌(腸の中にいる細菌)の変化が高血圧と関連していることが示されています。

便秘によって腸内環境が悪化すると、腸内細菌のバランスが崩れ、それが血圧上昇に影響を与える可能性があることが分かってきました。

つまり、便秘と高血圧は単に偶然同時に起こるのではなく、共通のリスク要因や「いきみ」などを介して、深い関わりがあると考えられているのです。

トイレでいきむと血圧は40〜70mmHgも上昇する

トイレでいきむことが血圧に与える影響は、想像以上に大きなものです。

「ちょっといきんだだけ」と軽く考えがちですが、実際には血圧が瞬間的に危険なレベルまで跳ね上がることがあります。

医学研究によって、いきむことで血圧がどれくらい上がるのかが具体的な数値で明らかにされています。

健康な成人でも平均40mmHg以上、場合によっては70mmHg近くも上昇することが確認されています。

もともと血圧が高い方では、この上昇がさらに大きくなる可能性があります。

例えば、普段の上の血圧が150mmHgの方がいきんで50mmHg上昇すると、一時的に200mmHgを超えてしまうことになります。

このような急激な血圧の変動が特に危険なのは、朝の時間帯です。

多くの方が朝にトイレに行く習慣を持っていますが、朝はもともと血圧が自然に上がる時間帯であり、そこにいきみによる血圧上昇が重なると、心臓や脳の血管に大きな負担がかかります。

実際に、トイレでいきんでいる最中に脳卒中や心筋梗塞を発症した例が数多く報告されています。

また、血圧上昇の程度や続く時間には年齢による違いがあることも重要なポイントです。

若い方では血圧が上がってもすぐに元に戻りますが、ご高齢の方ではトイレから出た後も長い時間にわたって血圧が高い状態が続くことが分かっています。

このセクションでは、いきみと血圧上昇の仕組み、そしてそれが引き起こす危険性について、具体的なデータとともに詳しく解説していきます。

強くいきんだ瞬間に血圧は一時的に急上昇する

トイレで強くいきむと、血圧は驚くほど急激に上昇します。

複数の研究によると、いきみによる血圧上昇は平均で上の血圧が40〜70mmHg程度に達することが報告されています。

ある研究では、胸の中の圧力が30mmHgに達するようないきみをした場合、上の血圧が平均41mmHg上昇したという結果が示されています。

いきみによる血圧上昇の例

普段の血圧(上)いきみによる上昇いきんだ時の血圧
130mmHg+40mmHg170mmHg
140mmHg+50mmHg190mmHg
150mmHg+50mmHg200mmHg
160mmHg+70mmHg230mmHg

この血圧上昇は、いきみという行為(バルサルバ負荷)が呼吸を止めてお腹に力を入れることで、胸の中の圧力が高まり、心臓に戻ってくる血液の量が一時的に妨げられるために起こります。

体は血の流れを維持しようとして血圧を上げることで対応しますが、この急激な変動が血管に大きなストレスを与えるのです。

興味深いことに、この血圧上昇は若い健康な方ではトイレから出た後すぐに正常に戻りますが、ご高齢の方では違います。

平均年齢84歳の高齢者を対象とした研究では、トイレに入る前から血圧が上がり始め、排便中さらに上昇し、トイレから出た後も1時間にわたって血圧が高い状態が続く例が観察されています。

これはご高齢の方の血管が硬くなっているため、血圧の変動に柔軟に対応できないことが原因と考えられています。

脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる「朝のトイレ」

トイレでいきむことによる血圧上昇が特に危険なのは、朝の時間帯です。

多くの方は朝にトイレに行く習慣がありますが、これが心臓や脳の病気のリスクを高める要因となります。

朝は「モーニングサージ」と呼ばれる自然な血圧上昇が起こる時間帯です。

寝ている間に低くなっていた血圧が、目覚めとともに急激に上がる現象で、これ自体が脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めることが知られています。

この朝の血圧上昇に、トイレでいきむことによる血圧上昇が重なると、血圧はさらに大きく跳ね上がります。

加えて、冬の寒い朝に暖房のない冷たいトイレで用を足すと、寒さの刺激によっても血圧が上昇します。

研究によると、冬場に部屋の温度が下がるだけでも、血管が収縮して血圧が上昇しやすくなることが報告されています。

約2900名(1840世帯)を対象とした横断解析の結果、57歳(本調査における平均年齢)の参加者において、朝の収縮期血圧は室温変化に対して有意に高い感受性(10℃低下につき8.2 mmHg上昇)を示しました。

引用:PubMed  Cross-Sectional Analysis of the Relationship Between Home Blood Pressure and Indoor Temperature in Winter: A Nationwide Smart Wellness Housing Survey in Japan
冬の朝のトイレでの血圧上昇の要因
  • モーニングサージ(朝の自然な血圧上昇)
  • 寒冷刺激(冷たいトイレでの温度変化)
  • いきみによる血圧上昇

つまり、冬の朝、寒いトイレで便秘のためにいきむという状況では、朝の自然な血圧上昇、寒さの刺激、いきみという三つの要因が重なって、血圧が極端に高くなる可能性があるのです。

実際に、トイレでいきんでいる最中に心不全や心筋梗塞、大動脈解離(大きな血管が裂ける病気)を発症した例が報告されています。

特に高血圧や心臓病の既往がある方では、このような状況が命に関わる深刻な事態を招く可能性があるため、十分な注意が必要です。

すでに血圧が高い人・高齢者は特に注意が必要

トイレでいきむことによる血圧上昇の危険性は、すでに高血圧がある方やご高齢の方で特に高まります。

高血圧の患者さんでは、もともとの血圧が高い状態にいきみによる上昇が加わるため、血圧が危険な数値に達しやすくなります。

例えば、普段の血圧が150/90mmHgの方がいきみによって50mmHg上昇すると、一時的に200mmHgを超える可能性があります。

このような極端な血圧上昇は、脳の血管や心臓の血管に大きな負担をかけ、血管の壁が傷ついたり破れたりするリスクを高めます。

特に注意が必要な方
  • すでに高血圧と診断されている方
  • 高齢者(65歳以上)
  • 動脈硬化が進んでいる方
  • 心臓病の既往がある方
  • 脳血管疾患の既往がある方

日本で実施された大崎コホート研究では、お通じの回数が2〜3日に1回と少ない方は、1日1回以上の方と比べて心臓や脳の病気で亡くなるリスクが高いことが示されています。

2~3日に1回および4日に1回以下の場合の多変量HR(95%CI)はそれぞれ1.21(95%CI:1.08~1.35)、1.39(95%CI:1.06~1.81)でした。

引用:PubMed  Defecation frequency and cardiovascular disease mortality in Japan: The Ohsaki cohort study

また、オーストラリアの54万人以上を対象とした研究では、便秘と高血圧の両方がある方は、どちらもない方と比べて心筋梗塞や脳卒中になるリスクが著しく高いことが確認されています。

ご高齢の方では、動脈硬化(血管が硬くなること)が進行しているため血管の柔軟性が失われており、血圧の急激な変動に対応する能力が低下しています。

また、心臓のポンプ機能も低下していることが多く、いきみによる急激な血圧変動が心不全の悪化を招く可能性もあります。

さらに、自律神経の反射が鈍くなっているため、血圧が上がった後に正常に戻るまでの時間が長くかかることも、リスクを高める要因となっています。

カルシウム拮抗薬など一部の高血圧治療薬は便秘を起こしやすい

高血圧の治療を受けている方の中には、お薬を飲み始めてから便秘になったと感じる方が少なくありません。

「気のせいかな」と思われるかもしれませんが、実際、一部の高血圧のお薬には便秘を引き起こす副作用があることが医学的に確認されています。

特にカルシウム拮抗薬という種類の血圧を下げるお薬は、便秘の副作用が報告されることが多いお薬です。

このお薬は血管の筋肉を緩めて血圧を下げるのですが、同じ作用が腸の筋肉にも及んで、腸の動きを鈍らせてしまうことがあります。

また、利尿薬(おしっこを出しやすくする薬)も体の中の水分を減らすことで便が硬くなりやすく、β遮断薬も腸の動きに影響を与える可能性があります。

高血圧のお薬による便秘は、決して珍しいことではありません。

しかし、だからといってお薬を自分の判断でやめてしまうと、血圧が急上昇して脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気を引き起こす危険があります。

お薬による便秘を感じたら、まず医師に相談することが何よりも大切です。

このセクションでは、どのような高血圧のお薬が便秘を起こしやすいのか、その仕組みはどうなっているのか、そしてお薬による便秘を感じたときにどう対処すべきかについて、詳しく解説していきます。

適切な知識を持つことで、高血圧と便秘の両方を上手に管理していくことができます。

便秘の副作用が報告されている高血圧の薬

高血圧のお薬の中で便秘を引き起こしやすいとされるのは、主に以下のタイプのお薬です。

便秘を起こしやすい高血圧のお薬

お薬の種類代表的な薬剤名便秘の起こりやすさ
カルシウム拮抗薬(非ジヒドロピリジン系)ベラパミル、ジルチアゼム特に多い(使用者の約12%)
カルシウム拮抗薬(ジヒドロピリジン系)ニフェジピン、アムロジピンやや多い
利尿薬フロセミド、ヒドロクロロチアジドあり
β遮断薬アテノロール、メトプロロールあり

第一に、カルシウム拮抗薬(血管を広げるお薬)が挙げられます。

このお薬は高血圧治療で広く使用されている主要なお薬の一つで、血管の筋肉を緩めて血圧を下げる働きをします。

特にベラパミルやジルチアゼムといった種類のカルシウム拮抗薬で便秘の報告が多く、ベラパミルでは使用者の約12%が便秘になるとの報告があります。

つまり、10人に1人程度の割合で便秘が起こる可能性があるということです。

第二に、利尿薬(おしっこを出しやすくするお薬)も便秘を引き起こす可能性があります。

利尿薬は体の中の余分な水分と塩分をおしっことして出すことで血圧を下げますが、その過程で腸の中の水分も減ってしまい、便が硬くなりやすくなります

第三に、β遮断薬も腸の動きを抑える作用があり、便秘を引き起こすことがあります。

これらのお薬は心臓の働きを抑えて血圧を下げますが、同時に腸の動きにも影響を与える可能性があるのです。

カルシウム拮抗薬が腸の動きを鈍らせる仕組み

カルシウム拮抗薬がなぜ便秘を引き起こすのか、その仕組みを理解することは重要です。

カルシウム拮抗薬は、細胞の中へのカルシウム(体の中で重要な働きをするミネラル)の流入を抑えることで作用します。

血管の筋肉でカルシウムの流入が抑えられると、筋肉が収縮しにくくなり、血管が広がって血圧が下がります。

しかし、カルシウムは血管だけでなく、腸の筋肉の収縮にも必要な物質です。

研究によると、ニフェジピンやベラパミルといったカルシウム拮抗薬は、大腸の筋肉の活動を著しく抑えることが確認されています。

健康な男性を対象とした研究では、ニフェジピンが食後の大腸の動きを強く抑制し、ベラパミルもそれより軽度ながら同様の効果を示しました。

一部のカルシウムチャネル遮断薬による便秘は、ニフェジピン、そして程度は低いもののベラパミルによる結腸運動の抑制によって引き起こされる可能性があると結論付けられる。

引用:PubMed  Nifedipine and verapamil inhibit the sigmoid colon myoelectric response to eating in healthy volunteers

つまり、血圧を下げるために血管の筋肉を緩める作用が、同時に腸の筋肉も緩めてしまい、腸の動きを鈍らせて便秘を引き起こすのです。

さらに、一部のカルシウム拮抗薬は大腸での水分の吸収を増やすことも報告されており、これも便を硬くする要因となります。

薬で便秘になったと感じたら自己判断で中止せず医師に相談を

高血圧のお薬を飲み始めてから便秘がひどくなったと感じても、決して自分の判断でお薬をやめてはいけません。

高血圧治療を中断することは、脳卒中や心筋梗塞などの深刻な病気のリスクを高める危険な行為です。

お薬による便秘を感じたら、まず主治医に相談することが大切です。

医師は以下のような対応を検討します。

お薬による便秘への対処法
  • 便秘を起こしにくい別の高血圧のお薬への変更
  • 高血圧のお薬は継続しながら便秘に対する治療を追加
  • お薬の用量調整

第一の選択肢は、便秘を起こしにくい別の高血圧のお薬への変更です。

例えば、同じカルシウム拮抗薬でも種類によって便秘の程度は違いますし、ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)やACE阻害薬など、便秘を起こしにくい別の種類の血圧を下げるお薬に変更することも可能です。

第二の選択肢は、高血圧のお薬は続けながら、便秘に対する治療を追加することです。

食事や生活習慣の改善指導に加えて、必要に応じて便秘薬を一緒に使うことを検討します。

第三に、お薬の量を調整することも選択肢の一つです。

血圧のコントロール状態によっては、お薬の量を減らすことで便秘が改善する可能性もあります。

重要なのは、高血圧と便秘の両方を適切に管理することです。

便秘を我慢してトイレで強くいきむことは、これまでお話ししたように血圧を急上昇させて心臓や脳の病気のリスクを高めます。

したがって、お薬による便秘であっても、医師と相談しながら適切に対処することが、全体的な健康管理において非常に重要なのです。

高血圧でも安全にできる便秘解消法

高血圧がある方でも、安全に実践できる便秘解消法があります。

むしろ、便秘を放置してトイレで強くいきむことの方が、血圧を急上昇させて危険です。

適切な方法で便秘を解消することは、血圧管理の観点からも非常に重要です。

便秘解消の基本は、お薬に頼る前にまず生活習慣を見直すことです。

食事内容の改善、十分な水分を摂ること、適度な運動といった日々の習慣が、便秘解消の土台となります。

特に食物繊維を摂ることは、便秘解消だけでなく血圧を下げる効果もあることが研究で示されており、高血圧の方には一石二鳥の対策となります。

また、どうしても便秘薬が必要な場合でも、高血圧の方に適したお薬の選び方があります。

すべての便秘薬が高血圧に悪影響を与えるわけではなく、安全に使用できるタイプのお薬もあります。

ただし、お薬の選択は個人の健康状態や他に飲んでいるお薬との関係を考える必要があるため、必ず医師や薬剤師に相談することが大切です。

さらに、トイレでの姿勢を工夫することで、いきまずに楽にお通じができるようになります。

ちょっとした工夫でお通じがスムーズになれば、血圧の急上昇を防ぐことができます。

このセクションでは、日々の食事や生活習慣の見直しから、適切な便秘薬の選択、トイレでの工夫まで、医学的な証拠に基づいた安全な便秘解消法を詳しく解説していきます。

食物繊維と発酵食品で腸内環境を整える

食物繊維を摂ることは、便秘解消だけでなく血圧管理にも効果的な方法です。

食物繊維には水に溶けるタイプ(水溶性)と溶けないタイプ(不溶性)の2種類があり、両方をバランスよく摂ることが大切です。

食物繊維の種類と効果

食物繊維の種類主な働き多く含まれる食品
水溶性食物繊維便を柔らかくする、血圧の調節を助ける可能性オートミール、大麦、豆類、果物、サツマイモ
不溶性食物繊維便のかさを増やす、腸の動きを活発にする全粒穀物(玄米、全粒粉パン)、野菜、豆類

水に溶けるタイプの食物繊維は、水に溶けてゼリー状になり、便を柔らかくする働きがあります。

また、腸の中の細菌によって発酵されて短鎖脂肪酸という物質を作り、これが血圧の調節に良い影響を与える可能性があることが研究で示されています。

オートミール、大麦、豆類、果物、サツマイモなどに多く含まれています。

水に溶けないタイプの食物繊維は、水分を吸収して便のかさを増やし、腸の動きを活発にします。

全粒穀物(玄米や全粒粉パンなど)、野菜、豆類などに豊富に含まれています。

研究によると、食物繊維を多く摂ることで、上の血圧が平均4.3mmHg、下の血圧が3.1mmHg低下することが確認されています。

高血圧の成人を対象とした試験から得られた確実性の高いエビデンスでは、食物繊維摂取量の増加により、収縮期血圧(MD 4.3 mmHg(95% CI 2.2 ~ 5.8))および拡張期血圧(MD 3.1 mmHg(95% CI 1.7 ~ 4.4))が減少することが示されています。

引用:PubMed Central  Dietary fibre in hypertension and cardiovascular disease management: systematic review and meta-analyses

食物繊維の摂取量は、1日あたり25〜30グラム程度が目安(性別や体格により異なります)とされていますが、今の摂取量が少ない場合は、急に増やすとお腹が張ったりガスが出やすくなることがあります。

週に5〜10グラムずつ少しずつ増やしていくのが良いでしょう。

おすすめの発酵食品
  • ヨーグルト
  • 納豆
  • キムチ
  • 味噌

発酵食品も腸内環境を整えるのに効果的です。

ヨーグルト、納豆、キムチ、味噌などの発酵食品は、体に良い菌を増やして腸の動きを活発にします。

腸内環境が良くなることは、便秘解消だけでなく、血圧の調節にも良い影響を与える可能性が最近の研究で示唆されています。

1日1.5〜2リットルの水分と適度な運動を習慣に

十分な水分を摂ることは、便秘解消の基本中の基本です。

水分が足りないと便が硬くなり、お通じが困難になります。

特に食物繊維を増やす場合は、同時に水分も増やさないと、便が硬くなりかえって便秘が悪化する可能性があります。

水分摂取は1日に1.5〜2リットル程度が推奨されることが多いです。

コップ1杯が約200mlですから、1日に7〜10杯程度になります。

ただし、心不全などで水分制限がある方は、主治医の指示に従ってください。

一度に大量に飲むのではなく、少量ずつこまめに飲むのが効果的です。

水分摂取のコツ
  • 1日に1.5〜2リットルを目安に(コップ7〜10杯)
  • 一度に大量ではなく、こまめに少量ずつ
  • 心不全などで水分制限がある方は医師の指示に従う

適度な運動も便秘解消に役立ちます。

運動は腸の動きを促すだけでなく、血圧を下げる効果も期待されます。

激しい運動は必要ありません。

まずは1日30分程度のウォーキングや軽い体操から始めてみましょう。

ただし、高齢者施設入所者など、運動の効果が得られにくい場合もあります。

特にお腹周りを動かす運動は、腸に刺激を与えてお通じを促します。

腰をひねる動作や、仰向けに寝て膝を抱えるような動きが効果的です。

すでに血圧が高い方は、運動を始める前に主治医に相談し、適切な運動の強さを確認することをお勧めします。

高血圧の人が使える便秘薬と避けたい薬

便秘薬にはいくつかのタイプがあり、高血圧の方でも比較的安全に使用できるものと、注意が必要なものがあります。

高血圧の方のための便秘薬の選び方

便秘薬の種類代表的な成分高血圧の方への安全性使用上の注意
膨張性下剤サイリウム、メチルセルロース十分な水分摂取が必要,長期使用可能
浸透圧性下剤ポリエチレングリコール比較的安全
浸透圧性下剤(マグネシウム系)酸化マグネシウム腎機能低下や利尿薬使用中は注意
便軟化剤ドキュセート効果の実感が弱いという報告もあり
刺激性下剤センナ、ビサコジル医師や薬剤師と相談しながら使用

最も安全でおすすめされるのは、膨張性の便秘薬(お腹の中で膨らむタイプ)です。

サイリウム(オオバコ)やメチルセルロースなどが含まれ、腸の中で水分を吸収して便のかさを増やします。

これらは血圧に直接影響を与えず、長期間使っても大丈夫です。

ただし、十分な水分を摂ることが必要です。

浸透圧性の便秘薬も比較的安全です。

ポリエチレングリコール(マクロゴール)や酸化マグネシウムなどがこれに該当します。

腸の中に水分を引き込んで便を柔らかくする作用があります。

ただし、マグネシウム系のお薬は、腎臓の機能が低下している方やおしっこを出しやすくするお薬を飲んでいる方では、体の中のミネラルバランスを崩す可能性があるため注意が必要です。

刺激性の便秘薬(センナ、ビサコジルなど)は、効果が早く現れるのが特徴です。

以前は長期使用による習慣性が懸念されていましたが、最近のガイドラインでは有効な選択肢の一つとして位置づけられています。

ただし、漫然と使い続けるのではなく、医師や薬剤師と相談しながら、症状に合わせて適切に使用することが大切です。

便を柔らかくするお薬(ドキュセートなど)は、便の水分を保ち柔らかくする作用があります。

比較的安全なお薬ですが、他の便秘薬に比べると効果の実感が弱いという報告もあり、症状が軽い場合や補助的に使われることが多いです。

どの便秘薬を使う場合も、まず主治医や薬剤師に相談することが大切です。

他のお薬との飲み合わせや、個人の健康状態に応じた適切な選択が必要だからです。

和式スタイルの姿勢といきまない排便の工夫

トイレでの姿勢を工夫することで、いきまずに楽にお通じができるようになります。

いきまずに楽に排便するための工夫
  1. 足を高くして前かがみの姿勢をとる
    • 足元に15〜20cm程度の台を置く
    • 上体を少し前に傾け、肘を膝の上に置く
    • 和式トイレに似た角度で直腸と肛門がまっすぐに
    • 効果には個人差あり
  2. 便意を感じたらすぐにトイレへ
    • 便意を我慢すると便が硬くなる
    • 朝食後は腸の動きが活発なベストタイミング
    • 朝はゆとりを持ってトイレに行ける時間を確保
  3. トイレの環境を整える
    • 冬場は小型暖房器具を設置
    • 温かい便座にする
    • 寒冷刺激による血圧上昇を防ぐ
  4. 正しいいきみ方
    • 強く息を止めていきまない
    • ゆっくり息を吐きながら軽くお腹に力を入れる程度
    • 出ない場合は一度トイレから出て時間をおく

多くの専門機関で推奨されている方法の一つに、足を高くして前かがみの姿勢をとることがあります。

洋式トイレに座った状態で、足元に15〜20センチ程度の高さの台や踏み台を置き、足を乗せます。

この姿勢は和式トイレでしゃがんだ時に近い角度となり、直腸(便が溜まる場所)と肛門の角度がまっすぐになって、便が自然に出やすくなると考えられています。

市販の「トイレ用踏み台」もありますし、お風呂用の椅子や雑誌を重ねたものでも代用できます。

すべての方に効果があるわけではありませんが、試してみる価値はあるでしょう。

上体を少し前に傾け、肘を膝の上に置くような姿勢も効果的です。

この姿勢により、お腹の圧力が自然に高まり、無理にいきまなくてもお通じが出やすくなります。

お通じのタイミングも重要です。

便意を感じたらすぐにトイレに行く習慣をつけましょう。

便意を我慢すると便が硬くなり、後でいきむ必要が出てきます。

特に朝食後は腸の動きが活発になるため、お通じが出やすいタイミングです。

朝、ゆとりを持ってトイレに行ける時間を確保しましょう。

トイレの環境も大切です。

冬場は暖房のない寒い環境が血圧上昇の要因となるため、できればトイレに小型の暖房器具を置いたり、温かい便座にするなどの工夫をしましょう。

トイレで強く息を止めていきむのではなく、ゆっくりと息を吐きながら軽くお腹に力を入れる程度にとどめることが重要です。

数分(目安として10分以内)で出ない場合は一度トイレから出て、時間をおいてから再度試みるようにしましょう。

便秘も高血圧も放置せず両方同時に対策することが大切

便秘と高血圧は、それぞれ別々の問題として扱われがちですが、実際にはお互いに影響し合う関係にあります。

「便秘くらい我慢できる」「血圧のお薬を飲んでいるから大丈夫」と、どちらか一方だけに注目していては、十分な健康管理とは言えません。

医学研究では、便秘と高血圧の両方を持っている方は、どちらか一方だけの方と比べて、心筋梗塞や脳卒中になるリスクが高くなることが示されています。

高血圧をお薬でコントロールしていても、便秘で毎日強くいきんでいれば、その度に血圧が急上昇して血管にダメージを与え続けます。

逆に、便秘を改善することが、血圧管理によい影響を与える可能性も示されています。

日本で行われた研究では、毎日お通じがない方は血圧の日々の変動が大きいことが確認されており、便秘を改善することが血圧管理にもプラスに働く可能性があります。

このセクションでは、なぜ両方を同時に管理することが重要なのか、そして病院を受診すべき警告となる症状について詳しく解説します。

便秘も高血圧も、早めに適切な対処をすることで、深刻な病気を予防することができるのです。

どちらか一方だけの治療では十分な効果が得られない

便秘だけを治療して高血圧を放置したり、逆に高血圧だけをコントロールして便秘を我慢したりすることは、健康管理として不十分です。

高血圧をお薬でコントロールしていても、便秘で強くいきむことを繰り返していれば、その度に血圧が急上昇して血管にダメージを与え続けます。

研究によると、便秘と高血圧の両方がある方は、どちらか一方だけの方と比べて、心筋梗塞や脳卒中になるリスクが高くなることが示されています。

つまり、便秘のリスクと高血圧のリスクが積み重なることで、より危険性が高まるのです。

また、便秘を改善することで、日々の血圧管理によい影響を与える可能性も示されています。

日本で行われた研究では、毎日お通じがない方は、血圧の日々の変動が大きくなることと関連があることが確認されました。

排便の有無は1年後の変動係数の上昇と独立して関連していた(オッズ比:3.81、95%信頼区間:1.64-8.87、P = 0.0019)。

引用:PubMed  Relationship between defecation status and blood pressure level or blood pressure variability

血圧の変動が大きいこと自体が、心臓や脳の病気のリスク要因であることが知られているため、便秘を改善することは血圧の安定化にもつながると考えられます。

便秘と高血圧の両方に効果的な生活習慣
  • 食物繊維の豊富な食事
  • 十分な水分摂取
  • 適度な運動
  • ストレスを減らす

便秘と高血圧の両方に共通する生活習慣の改善、つまり食物繊維の豊富な食事、十分な水分を摂ること、適度な運動、ストレスを減らすことなどは、両方の症状を同時に改善する効果が期待できます。

したがって、どちらか一方だけでなく、両方を視野に入れた総合的な対策が必要なのです。

こんな症状があったらすぐに医療機関を受診すべき

以下のような症状がある場合は、市販薬で様子を見ずに、消化器内科などの医療機関を受診してください。

便秘に関する警告症状(早めに受診)
  • いつもと排便のパターンが変わった
  • 便に血が混じっている
  • 体重が急激に減っている
  • 便が鉛筆のように細くなっている状態が続く

便秘に関する警告となる症状としては、いつもと排便のパターンが変わった(回数が急に減った、または増えたなど)、便に血が混じっている、体重が急激に減っている、便が鉛筆のように細くなっている状態が長く続くといった症状が挙げられます。

これらの症状は、単なる便秘ではなく、大腸がんなどの隠れた病気が原因となっている可能性があります。

特に「激しい腹痛」や「血便」が見られる場合は緊急性が高いため、迷わず急いで受診してください。

高血圧に関する緊急症状(すぐに救急車を呼ぶ)
  • 突然の激しい頭痛
  • 視界がぼやける
  • 胸の痛みや圧迫感
  • 息切れ
  • 動悸(ドキドキする)
  • 手足のしびれやまひ
  • 言葉が出にくい

高血圧に関しては、突然の激しい頭痛、視界がぼやける、胸の痛みや圧迫感、息切れ、動悸(ドキドキする)、手足のしびれやまひ、言葉が出にくいといった症状が現れた場合は、緊急事態(高血圧緊急症)の可能性があります。

すぐに救急車を呼ぶか、最寄りの病院を受診してください。

特に注意が必要なのは、トイレでいきんでいる時や、トイレから出た直後にこれらの症状が現れた場合です。

これはトイレでいきんだことによる血圧上昇が、脳卒中や心筋梗塞などの心臓や脳の病気を引き起こした可能性を示します。

医師への相談が必要な症状
  • 高血圧のお薬を飲み始めてから便秘がひどくなった
  • 便秘薬を使っても全く良くならない
  • トイレで必ず強くいきまないと出ない

また、高血圧のお薬を飲み始めてから便秘がひどくなった、便秘薬を使っても全く良くならない、トイレで必ず強くいきまないと出ないといった場合も、医師に相談すべきです。

お薬の調整や、より詳しい検査が必要かもしれません。

便秘と高血圧の両方がある方は、定期的に主治医に両方の症状について報告し、適切な管理を受けることが大切です。

便秘は恥ずかしくて言いにくいと感じる方もいるかもしれませんが、心臓や脳の病気のリスク管理という観点から、医師に正直に伝えることが重要です。

よくある質問(FAQ)

便秘だと必ず血圧は上がりますか

便秘があるだけで血圧がずっと高い状態になるわけではありません。

問題となるのはトイレでいきむことによる一時的な血圧の急上昇です。

普段の血圧は正常でも、いきんだ瞬間には40〜70mmHgも上昇する可能性があります。

便秘薬は高血圧に悪影響ですか

便秘薬の種類によります。

膨張性の便秘薬(お腹の中で膨らむタイプ)や浸透圧性の便秘薬は一般的に安全ですが、刺激性の便秘薬を長く使い続けることは避けるべきです。

また、マグネシウム系のお薬は腎臓の機能が低下している方では注意が必要です。

使う前に必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

毎日排便がないと高血圧のリスクは高まりますか

直接的な因果関係ははっきりしていませんが、お通じの回数が少ない方は心臓や脳の病気になるリスクが高いことが研究で示されています。

また、毎日お通じがない方は血圧の日々の変動が大きい傾向があり、これ自体がリスク要因となります。

いきまずに排便するコツはありますか

足元に台を置いて前かがみの姿勢をとる、朝食後の便意を逃さない、十分な水分と食物繊維を摂る、適度な運動をするといった方法が効果的です。

強く息を止めていきむのではなく、ゆっくり息を吐きながら軽くお腹に力を入れる程度にしましょう。

便秘と高血圧、どちらの病院に行けばいいですか

すでに高血圧で通院している場合は、まず主治医に便秘のことも相談してください。

両方を総合的に管理することが重要です。

便秘が主な悩みで内科を受診していない場合は、消化器内科または一般内科を受診し、高血圧についても併せて相談するとよいでしょう。

まとめ

便秘と高血圧には深い関連があり、特にトイレでいきむことによる血圧の急上昇は、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気のリスクを高めます。

便秘そのものが高血圧を直接引き起こすわけではありませんが、いきんだときには血圧が40〜70mmHgも上昇することがあり、特に朝の時間帯や寒い環境では危険性が増します。

高血圧のお薬の中には、特にカルシウム拮抗薬のように便秘を副作用として引き起こすものがあります。

お薬を飲み始めてから便秘がひどくなったと感じても、決して自分の判断でやめず、必ず医師に相談してください。

便秘の解消には、食物繊維と発酵食品を摂ること、1日1.5〜2リットルの水分補給、適度な運動が基本となります。

便秘薬を使う場合は、膨張性の便秘薬や浸透圧性の便秘薬が比較的安全ですが、使う前に医師や薬剤師に相談することが大切です。

また、トイレでの姿勢を工夫し、足元に台を置いて前かがみの姿勢をとることで、いきまずに楽にお通じができるようになります。

便秘と高血圧はどちらか一方だけを治療するのではなく、両方を同時に適切に管理することが重要です。

トイレでいきんでいる時やトイレから出た後に頭痛や胸の痛みなどの症状が現れた場合は、速やかに病院を受診してください。

日々の生活習慣の改善と適切な医療管理により、便秘と高血圧の両方をコントロールし、健康的な生活を送りましょう。

参考文献・参考サイト

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PubMed Central  Effect of Yogurt Intake Frequency on Blood Pressure: A Cross-Sectional Study

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PubMed Central  American Gastroenterological Association-American College of Gastroenterology Clinical Practice Guideline: Pharmacological Management of Chronic Idiopathic Constipation

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National Health Service  Improving bowel function in constipation

PubMed Central  Cardiovascular diseases, cold exposure and exercise

Nature  Constipation and high blood pressure variability

PubMed  Relationship between defecation status and blood pressure level or blood pressure variability

American Academy of Family Physicians  Chronic Constipation in Adults

National Center for Biotechnology Information  Hypertensive Emergency

この記事を書いた人

伊藤 信久のアバター 伊藤 信久 医師・グレースメディカルクリニック院長

福岡県出身。鹿児島大学医学部卒業後、大学病院の心臓外科に勤務。冠動脈バイパス術・弁置換術などの高度な心臓手術を多数担当。
その後、恩師が開業したクリニックで一次診療に従事。地域医療の最前線で多くの患者と向き合う中で「患者さんに最も近い距離で診療すること」の重要性を再認識し、開業医として地域医療に貢献することを決意。2014年に熊本市でグレースメディカルクリニックを開設した。現在は院長として、高血圧をはじめとする循環器・生活習慣病の診療に注力。心臓外科で培った循環器の知見を活かし、「血圧から全身を守る医療」をモットーに地域の健康づくりと啓発活動を続けている。

主な資格・所属学会
・日本外科学会
・日本循環器学会
・点滴療法研究会

地域の“かかりつけ医”として、高血圧を中心とした生活習慣病の早期発見と予防、継続的な血圧管理に力を注ぎ、患者一人ひとりの「より良い血圧コントロールと健康」の実現を目指している。

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