防風通聖散は血圧に影響する?高血圧でも飲める?注意点を解説

防風通聖散は血圧に影響する?高血圧でも飲める?注意点を解説

防風通聖散は、お腹周りの脂肪が気になる方や便秘でお悩みの方に使われる漢方薬として広く知られています。

しかし、血圧が高めの方が使用する際には注意が必要です。

防風通聖散に含まれている「麻黄(マオウ)」という生薬には、血圧や心臓の動きに影響を与える可能性のある成分が入っているためです。

この記事では、防風通聖散が血圧にどのような影響を与えるのか、血圧の薬を飲んでいる場合はどんなことに気をつけるべきか、そして安全に使うために事前に確認しておきたいポイントについて、わかりやすく説明していきます。

防風通聖散が血圧に与える影響
  • 麻黄の成分が神経を刺激し、心臓を活発にして血圧を上げる可能性
  • 血圧の薬の効果を弱めたり、体内のミネラルバランスを崩すリスク
  • 血圧が高い人や心臓・腎臓に病気がある人は、使用前に医師へ相談
  • 体力がなく冷え性で下痢しやすい体質の人には、合わない場合がある
  • 医師の管理下では効果が出た例もあるが、自己判断での使用は避ける

「漢方薬は天然の植物から作られているから安全」と思われがちですが、実はそうとは限りません。

漢方薬にもしっかりとした作用があり、使い方を間違えると体調を崩してしまうこともあります。

特に心臓や血管に影響する成分が含まれている場合は、ご自身の健康状態をきちんと把握した上で、お医者さんと相談しながら使うことが大切です。

日本の臨床研究では、肥満で血圧が高い患者さんに対して、お医者さんの管理のもとで防風通聖散を血圧の薬と一緒に使ったところ、血圧の変動が改善されたという報告もあります。

ただし、これはあくまで病院で医師がしっかり管理しながら行った研究の結果です。

自分の判断だけで使うのとは全く違いますので、必ず医師に相談してください。

この記事でわかること
  • 防風通聖散に含まれる成分が血圧に与える影響
  • 血圧の薬を飲んでいる場合の注意点
  • 防風通聖散を使う前に確認すべき健康状態
  • 血圧が高い方が漢方薬を安全に使うための基本的な考え方
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

防風通聖散には血圧を上げる可能性がある成分が含まれている

防風通聖散は、植物や鉱物由来の18種類の生薬を組み合わせて作られた漢方薬です。

体力があってお腹周りに脂肪がつきやすく、便秘がちな方の症状改善に昔から使われてきました。

しかし、その中に含まれる「麻黄」という生薬には、血圧や心臓の動きに影響を与える可能性のある「エフェドリン」という成分が入っています。

エフェドリンは、体を活動的にする神経(交感神経)を刺激する働きがあります。

その結果、心臓の動きが活発になったり、血管が縮んだりして、血圧が上がる可能性があります。

麻黄は、気管支を広げて呼吸を楽にする作用があるため、昔から咳や喘息の症状を和らげる目的で使われてきました。

その一方で、心臓や血管への影響については注意が必要とされています。

実際に、病院で処方される防風通聖散の説明書にも「血圧が高い患者さんには注意深く使うこと」と書かれており、動悸(ドキドキする感じ)や脈が速くなる、血圧が上がるなどの副作用について注意が促されています。

ここでは、麻黄が血圧にどのような影響を与えるのか、そして血圧が高い方がなぜ特に注意が必要なのかについて、詳しく説明していきます。

麻黄(マオウ)が血圧や心拍数に影響を与える

麻黄は、咳を止めたり、汗を出しやすくしたりする作用があり、古くから風邪や喘息の治療に使われてきた生薬です。

しかし同時に、麻黄に含まれるエフェドリンという成分には、心臓や血管への作用があることが研究でわかっています。

エフェドリンは、体を活動的にする神経(交感神経)を刺激する物質です。

この刺激によって、心臓の動きが速くなったり、血管がキュッと縮んだりして、血圧が上がる可能性があります。

エフェドリンの働き方には二つのパターンがあります。

エフェドリンの働き方
  1. 間接的な働き : 神経の末端から「ノルアドレナリン」という物質を出させる
  2. 直接的な働き : 血管や心臓に直接働きかける

この二つの働きによって、心臓がドキドキしたり、血圧が上がったりすることがあります。

実際の研究データを見てみると、エフェドリンをカフェインと一緒に飲んだ場合に、血圧(上の血圧)が平均で約12 mm Hg上昇したという報告があります。

ただし、同じ研究ではエフェドリン単独では収縮期血圧への影響は認められませんでした。

エフェドリンの血圧や心拍数への影響は、個人差、使用量、併用する物質、測定時の姿勢などによって大きく変動する可能性があります。

また、体がエフェドリンの作用に慣れてくると、効果が弱まる「慣れ」という現象も見られます。

病院で処方される防風通聖散には、1日分に約1.2g(製剤により異なる場合があります)の麻黄が含まれています。

この量でも、体質や健康状態によっては血圧や心臓の動きに影響が出る可能性があるため、注意が必要です。

麻黄含有漢方薬で注意が必要な症状
  • 眠れなくなる
  • 汗をたくさんかく
  • 脈が速くなる
  • ドキドキする(動悸)
  • 血圧が上がる

日本の医薬品の説明書にも、麻黄を含む漢方薬については「心臓や血管の病気がある方、血圧が高い方には慎重に使うこと」と書かれています。

高血圧の人は使用前に必ず医師に相談が必要

血圧が高いと診断されている方や、血圧が正常値より高めの方が防風通聖散を使いたいと考える場合は、必ず事前にお医者さんに相談してください。

特に次のような方は注意が必要です。

特に注意が必要な方
  1. 既に血圧が高い方
  2. 心臓や血管の病気を持っている方
    • 狭心症(心臓の血管が狭くなる病気)の経験がある
    • 心筋梗塞(心臓の血管が詰まる病気)の経験がある
    • 不整脈(脈が乱れる)がある
    • 動脈硬化(血管が硬くなる)が進んでいる
  3. 腎臓の働きが弱くなっている方
    • 薬の成分が体の外に出にくくなる
    • 体の中に成分が溜まりやすくなる
    • 副作用が出やすくなる可能性が高い

防風通聖散は「体力があって、お腹周りに脂肪が多く、便秘がちな方」に向いている漢方薬とされています。

血圧が高い場合、この「体力がある」という条件に当てはまるかどうかも含めて、お医者さんによる総合的な判断が必要になります。

興味深いことに、日本の臨床研究では、肥満で血圧が高い患者さんに対して、お医者さんの管理のもとで防風通聖散を血圧の薬と一緒に使うと、体重が減るだけでなく血圧の変動も改善される可能性が報告されています。

しかし、これはあくまで病院でお医者さんがしっかり管理しながら行った研究の結果です。

自分の判断だけで使うのとは全く違いますので注意してください。

血圧の薬を飲んでいる場合は医師の確認が必要

すでに血圧が高くて治療を受けていて、血圧を下げる薬を飲んでいる方が防風通聖散を使う場合は、薬同士の相性(相互作用)に十分注意が必要です。

防風通聖散に含まれる麻黄のエフェドリンは血圧を上げる方向に働く可能性があり、血圧を下げる薬の効果を弱めたり、予想していなかった副作用を引き起こしたりする危険性があります。

また、防風通聖散には「甘草」という生薬も含まれています。

この成分は、体の中の「カリウム」という大切なミネラルを減らしてしまう作用があります。

利尿薬(おしっこを出す薬)を飲んでいる方の場合、利尿薬自体もカリウムを体の外に出してしまう作用があります。

そのため、両方を一緒に使うとカリウムが減りすぎて「低カリウム血症」という状態になる危険性があります。

さらに、血圧以外の病気がある方や、いくつもの薬を飲んでいる方は、より複雑な薬の相性の問題が起こる可能性があります。

例えば、糖尿病、甲状腺の病気、呼吸器の病気などの治療を受けている場合、それぞれの治療薬と防風通聖散の間で相性の問題が生じることがあり、場合によっては重い副作用につながることもあります。

お医者さんに相談せずに一緒に使うと、思わぬ健康被害を受ける危険性があるため、必ず事前に医療の専門家に相談することが重要です。

薬の効き目が弱まったり副作用が出るリスクがある

防風通聖散に含まれる成分が、血圧を下げる薬の効果に影響を与える可能性があります。

特に注意が必要なのは、麻黄の作用と血圧の薬の作用が反対方向に働く場合です。

麻黄による血圧の薬への影響

麻黄に含まれるエフェドリンは血圧を上げる方向に働くため、血圧を下げる薬の効果を弱めてしまう可能性があります。

例えば、血管を広げたり心臓の働きを調整したりして血圧を下げる薬(ベータ遮断薬やカルシウム拮抗薬など)を飲んでいる場合、麻黄の作用がこれらの効果を打ち消してしまう可能性があります。

甘草によるカリウムへの影響

また、防風通聖散には「甘草」という生薬も含まれており、この成分にも注意が必要です。

甘草に含まれるグリチルリチン酸は、体の中の「カリウム」というミネラルを減らす作用があります。

カリウムは、筋肉を動かしたり心臓を正常に動かしたりするために必要な大切な成分です。

利尿薬(おしっこの量を増やして体の余分な水分を出す薬)を飲んでいる方の場合、利尿薬自体もカリウムを体の外に出してしまう作用があります。

そのため、防風通聖散と利尿薬を一緒に使うと、カリウムが減りすぎて「低カリウム血症」という状態になる危険性があります。

低カリウム血症の症状
  • 力が入らない
  • 体がだるい
  • 脈が乱れる(不整脈)
  • 重症の場合は入院治療が必要

低カリウム血症になると、血圧の薬の効果が安定しなくなったり、心臓に負担がかかったりする可能性もあります。

その他の注意点

さらに、防風通聖散に含まれる「無水芒硝(ボウショウ)」は硫酸ナトリウムであり、ナトリウムが含まれています。

塩分を控えることが必要な血圧が高い方が長い期間飲み続ける場合、このナトリウムの量も、食塩相当量として考慮する必要がある場合があります。

医薬品の説明書には、麻黄を含む薬やエフェドリンを含む薬を一緒に使うと「眠れなくなる、汗をたくさんかく、脈が速くなる、ドキドキする、体に力が入らない、気持ちが落ち着かないなどの症状が出やすくなる」と書かれており、量を減らすなど慎重に使うことが求められています。

持病がある人・複数の薬を飲んでいる人は特に注意

血圧以外にも病気がある方、あるいはいくつもの薬を飲んでいる方は、より注意深く対応する必要があります。

持病別の注意点

持病注意すべき理由
糖尿病エフェドリンが血糖値を上げる可能性がある。血圧が下がりすぎた時に立ちくらみや失神が起こりやすくなることがある(特に自律神経障害がある場合)
甲状腺疾患甲状腺ホルモンの薬と麻黄を一緒に使うと、心臓がドキドキしたり脈が乱れたりする副作用が出やすい
呼吸器疾患(喘息など)テオフィリンなどの薬と麻黄を一緒に使うと、両方の刺激作用が重なって副作用が出やすくなる
うつ病(MAO阻害剤服用中)麻黄含有製剤と併用注意(製剤によっては禁忌の場合も)。高血圧クリーゼ(急激で非常に危険な血圧上昇)を引き起こす可能性がある

いくつもの薬を飲んでいる場合、それぞれの薬と防風通聖散との相性の問題だけでなく、複数の相性の問題が重なることで予想していなかった影響が出る可能性もあります。

かかりつけのお医者さんや薬剤師さんに相談する際は、以下の情報を全て伝えることが大切です。

医師・薬剤師に伝えるべき情報
  • 病院で処方されている薬(全て)
  • ドラッグストアなどで買った市販の薬
  • 飲んでいるサプリメントや健康食品
  • 治療中の病気(全て)
  • 過去の薬によるアレルギーや副作用の経験

防風通聖散を安全に使うために確認すべき3つのポイント

防風通聖散を使う前に、ご自身の健康状態について確認しておくべき大切なポイントがあります。

血圧の数値、飲んでいる薬や治療中の病気、そしてご自身の体質という3つの観点から、事前にしっかり把握しておくことが安全に使うための第一歩です。

これらの情報を整理しておくことで、お医者さんや薬剤師さんに相談する際にも適切なアドバイスを受けやすくなり、より安全に漢方薬を活用することができます。

特に血圧が高い方にとっては、今の血圧がどのくらいなのかどんな薬を飲んでいるのか、そして防風通聖散が自分の体質に合っているのかという点は、使っても大丈夫かどうかを判断する上で非常に大切な情報です。

漢方薬は「自然の植物から作られているから安全」というイメージを持たれがちです。

しかし実際には、体質や健康状態によって合う・合わないがあります。

特に麻黄のように血圧に影響を与える可能性のある生薬が含まれている場合は、より慎重に判断する必要があります。

今の血圧の数値を把握しておく

防風通聖散を使おうと考える前に、まず今の血圧がどのくらいなのかを正確に把握しておくことが大切です。

健康診断で「血圧が少し高めですね」と言われた程度で、具体的な数字を覚えていないという方も少なくありません。

血圧は家庭用の血圧計でも測ることができます。

可能であれば、朝起きた時と夜寝る前の決まった時間に、数日間続けて測定してみてください。

そうすることで、普段の平均的な血圧がわかります。

血圧の基準値(家庭で測定した場合)

血圧の分類上の血圧(収縮期血圧)下の血圧(拡張期血圧)
正常血圧115mmHg未満かつ 75mmHg未満
正常高値血圧115〜124mmHgまたは 75mmHg未満
高値血圧125〜134mmHgまたは 75〜84mmHg
高血圧135mmHg以上または 85mmHg以上

日本高血圧学会のガイドラインによると、家庭で測った血圧は病院で測った血圧よりも、日常生活での本当の血圧状態をよく表しています。

そのため、血圧が高いかどうかの診断や、治療の効果を見るために重要な情報となります。

家庭で測った血圧が、上の血圧135mmHg以上、または下の血圧85mmHg以上の場合は「高血圧」とされます。

この基準を超えている場合、麻黄を含む防風通聖散を使うかどうかは慎重に判断する必要があります。

また、血圧は1日の中でも変わります。

次のようなパターンがある方は特に注意が必要です。

注意が必要な血圧のパターン

これらのパターンがある方は、心臓や血管の合併症(脳卒中や心筋梗塞など)のリスクが特に高いことがわかっています。

このような血圧の変動のパターンも、漢方薬を使うかどうかを判断する材料になります。

なお、横浜市立大学を中心とした多施設共同研究では、肥満で血圧が高い患者さんに対して、お医者さんの管理のもとで防風通聖散を血圧の薬と一緒に使ったところ、24時間の血圧の変動が改善される可能性が報告されています。

防風通聖散併用群において対照治療群に比較して,より良好な,1)体重減少効果,肥満改善効果,2)糖代謝改善効果,3)24時間・昼間血圧短期変動性改善効果,が認められた.

引用:厚生労働科学研究成果データベース 肥満を伴う高血圧症に対する防風通聖散の併用投与による,24時間自由行動下血圧及び糖脂質代謝・酸化ストレスの改善効果についての研究

しかし、これはあくまで病院でお医者さんがしっかり管理しながら行ったものです。

自分の判断だけで行うべきではありません。

飲んでいる薬や治療中の病気を整理する

防風通聖散を使う前に、今飲んでいる薬や治療中の病気について整理しておくことが大切です。

お医者さんや薬剤師さんに相談する際に、この情報を正確に伝えることで、適切なアドバイスを受けることができます。

整理すべき情報のチェックリスト

病院で処方されている薬

  • 血圧の薬
  • 糖尿病の薬
  • コレステロールの薬
  • 血液をサラサラにする薬
  • その他すべての処方薬

市販の薬

  • 風邪薬
  • 痛み止め
  • 胃腸薬
  • 他の漢方薬

サプリメントや健康食品

  • 高麗人参を含むもの
  • 甘草を含むもの
  • その他血圧に影響する可能性のあるもの

治療中の病気

  • 心臓の病気
  • 腎臓の病気
  • 肝臓の病気
  • 糖尿病
  • 甲状腺の病気
  • 前立腺肥大症
  • その他

過去のアレルギーや副作用の経験

  • 特に大黄(ダイオウ)を含む漢方薬での経験

薬の名前がわからない場合は、お薬手帳を持っていくことをお勧めします。

お薬手帳には、これまで処方されたすべての薬の記録が残っているため、お医者さんや薬剤師さんが正確に判断するための重要な情報源となります。

むくみやすい・冷えやすいなど体質をチェックする

防風通聖散は、漢方医学において「実証」つまり体力がしっかりしている方に向いている薬とされています。

ご自身の体質が防風通聖散に合っているかどうかを確認することも、安全に使うための大切なポイントです。

防風通聖散に向いている体質と向いていない体質

項目向いている体質(実証)向いていない体質(虚証)
体力体力がある体力がなく疲れやすい
体格しっかりしている華奢である
お腹周り脂肪がつきやすい脂肪がつきにくい
便通便秘がち下痢しやすい
暑さ・寒さ暑がり、汗をかきやすい冷え性である
その他の特徴のぼせやすい、肩こりがあるむくみやすい、食欲がない

防風通聖散が適している体質は「体力があって、お腹周りに脂肪が多く、便秘がちな方」とされています。

具体的には、体格がしっかりしていて、お腹周りに脂肪がつきやすく、便秘の傾向がある方です。

また、暑がりで汗をかきやすい、のぼせやすい、肩がこるといった特徴も、防風通聖散が向いている体質の目安とされています。

一方、表の右側のような体質の方は防風通聖散が合わない可能性があります。

これらは漢方医学で「虚証」と呼ばれる体質で、防風通聖散のような強い作用を持つ漢方薬は体に負担をかける可能性があります。

特に注意が必要な方
  • ご高齢の方 : 体力が低下していることが多い
  • 病気の後で体力が落ちている方 : 回復途中は体力が不十分
  • 妊娠中の方 : 大黄と芒硝が子宮を収縮させ、流産・早産のリスクがある(使用しないことが望ましい、または医師に相談)

防風通聖散には便通を良くする作用のある「大黄」や「芒硝」が含まれています。

体力が落ちている状態で飲むと、激しい下痢によって脱水症状になったり、体の中のミネラルバランスが崩れたりする危険性があります。

体質の判断は専門的な知識が必要なため、漢方に詳しいお医者さんや薬剤師さんに相談することをお勧めします。

一般的な健康状態だけでなく、舌の状態や脈の様子なども見て総合的に判断することで、より自分に合った漢方薬を選ぶことができます。

高血圧でも安全に漢方薬を使うための基本ルール

血圧が高い方が漢方薬を使う際には、いくつかの基本的なルールを守ることが大切です。

漢方薬は長い歴史の中で使われてきた伝統的な薬ですが、天然由来だからといって必ずしも安全とは限りません。

特に麻黄のように心臓や血管に影響を与える可能性のある生薬が含まれている場合は、より注意深く使う必要があります。

漢方薬の生薬にもしっかりとした作用があり、体質や健康状態によっては副作用が出る可能性があります。

特に血圧が高いという問題を抱えている方は、血圧への影響を常に意識しながら使うことが大切です。

また、血圧の薬との相性の問題や、他の病気との関係も考える必要があります。

医療の専門家の指導のもとで適切に使うことで、漢方薬の持つ良い効果を安全に活用することができます。

ここでは、血圧が高い方が漢方薬を使う際に守るべき基本的なルールについて説明します。

血圧が高い方が漢方薬を使う際の7つの基本ルール
  1. 必ず医師・薬剤師に相談してから使い始める
    • 特に麻黄を含む漢方薬は要注意
    • 血圧の程度、併用薬、合併症を総合的に判断してもらう
    • 自己判断での使用は避ける
  2. 決められた用量を守る
    • 「早く効果を出したい」と思って量を増やさない
    • 麻黄や甘草を含む漢方薬は特に注意
    • 用量が増えると副作用のリスクも高まる
  3. 体調の変化に注意を払う
    • すぐに服用を中止して医師に相談すべき症状:
      • 心臓がドキドキする(動悸)
      • 息切れがする
      • めまいがする
      • 頭が痛い
      • 眠れない
      • 汗をたくさんかく
      • 血圧が上がる
      • 下痢やお腹の痛みが続く
  4. 定期的に血圧を測る
    • 家庭での血圧測定を継続する
    • 数値の変化を記録しておく
    • 普段より高い/低いときは医師に相談
  5. 漢方薬の重複使用に注意する
    • 市販の漢方薬や風邪薬にも麻黄・甘草が含まれることがある
    • 新しく薬を追加する際は必ず相談
    • 知らないうちに同じ生薬を重複摂取する危険性
  6. 生活習慣の改善も並行して行う
    • 塩分を控える
    • 適度な運動をする
    • ストレスをためない
    • しっかり睡眠をとる
    • 漢方薬だけに頼らない総合的なアプローチ
  7. 医療専門家の指導を継続的に受ける
    • 定期的な診察を受ける
    • 血圧の変化や体調について報告する
    • 疑問や不安があればすぐに相談する

海外の研究でも、漢方薬を含む天然由来の薬については、その安全性と効果を科学的に評価することの大切さが指摘されています。

植物療法剤の研究は、個々の成分とその作用機序を精査するだけでは不十分であり、課題に直面しています。全体的な効果を得るには、複雑な成分が同時に存在することが必要です[ 74 ]。

引用:PubMed Central Cardiovascular Effects of Herbal Products and Their Interaction with Antihypertensive Drugs—Comprehensive Review

特に血圧が高いような長く付き合っていく病気の管理においては、西洋医学の治療と組み合わせて使う場合でも、医療の専門家の監督のもとで使うことが勧められています。

漢方薬は長い歴史の中で使われてきた伝統的な薬ですが、現代医学の知識と組み合わせて適切に使うことで、より安全で効果的に健康を管理することができます。

血圧が高い方は特に、自分の判断だけで使うことは避けて、必ず医療の専門家と相談しながら使うことを心がけてください。

よくある質問(FAQ)

防風通聖散を飲むと必ず血圧が上がりますか

必ずしも全員の血圧が上がるわけではありませんが、麻黄に含まれるエフェドリンという成分の作用で血圧が上がる可能性があります。

影響の程度は人によって違い、体質や健康状態、一緒に飲んでいる薬などによって変わります。

血圧が正常な人でも防風通聖散で血圧は上がりますか

血圧が正常な方でも、体質によっては血圧が上がったり、心臓がドキドキしたり頭が痛くなったりする症状が出る可能性があります。

飲んだ後に体調の変化を感じた場合は、お医者さんに相談することをお勧めします。

防風通聖散は高血圧を治す薬ですか

防風通聖散は血圧を治療する薬ではありません。

肥満や便秘を改善するための漢方薬です。

ただし、研究では肥満で血圧が高い患者さんにおいて、お医者さんの管理のもとで血圧の薬と一緒に使うと血圧の変動が改善されたという報告もあります。

防風通聖散を飲み始めてから血圧が上がった気がします。すぐにやめるべきですか

血圧が上がったと感じた場合は、まず実際に血圧を測って数字を確認してください。

明らかに血圧が上がっている場合や、心臓がドキドキする・息切れがする・頭が痛いなどの症状がある場合は、飲むのをやめてすぐにお医者さんに相談してください。

血圧の薬と防風通聖散は絶対に一緒に飲めませんか

絶対に一緒に飲めないわけではありませんが、お医者さんの判断と管理が必要です。

血圧の薬の種類、血圧の状態、他の健康状態などを総合的に判断して、一緒に飲んで良いかどうかを決めます。

自分の判断だけで一緒に飲むことは避けてください。

高血圧の人でも使える漢方薬はありますか

血圧が高い方でも使える漢方薬は複数ありますが、体質や症状によって適切な漢方薬は違います。

麻黄を含まない漢方薬であれば麻黄によるリスクは避けられますが、甘草など他の成分による副作用のリスクがないわけではありません。

個人の状態に合わせて選ぶことが大切です。

漢方に詳しいお医者さんに相談することをお勧めします。

まとめ

防風通聖散は肥満や便秘の改善に使われる漢方薬ですが、含まれている麻黄という成分には血圧や心臓の動きに影響を与える可能性があります。

特に血圧が高い方や血圧の薬を飲んでいる方は、使う前に必ずお医者さんに相談することが大切です。

漢方薬は天然由来ですが、しっかりとした作用があり副作用が出る可能性もあります。

自分の判断だけで使うことは避けて、今の血圧の状態、飲んでいる薬、持っている病気などをお医者さんや薬剤師さんに正確に伝えた上で、適切なアドバイスを受けてください。

また、漢方薬を使う際は、決められた量を守り、体調の変化に注意を払い、定期的に血圧を測ることが大切です。

生活習慣の改善と合わせて、医療の専門家の指導のもとで安全に活用していくことをお勧めします。

参考文献・参考サイト

厚生労働科学研究成果データベース 肥満を伴う高血圧症に対する防風通聖散の併用投与による,24時間自由行動下血圧及び糖脂質代謝・酸化ストレスの改善効果についての研究

株式会社ツムラ「ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)添付文書

PubMed Central Modelling the cardiovascular effects of ephedrine

National Center for Biotechnology Information Ephedrine

PubMed Enhanced stimulant and metabolic effects of combined ephedrine and caffeine

特定非営利活動法人 日本高血圧学会「一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子

PubMed Central Pseudohyperaldosteronism Due to Licorice: A Practice-Based Learning from a Case Series

PubMed Effects of low-dose liquorice alone or in combination with hydrochlorothiazide on the plasma potassium in healthy volunteers

日本薬局方名称データベース 無水ボウショウ

PubMed Comparison of the acute pharmacodynamic responses after single doses of ephedrine or sibutramine in healthy, overweight volunteers

National Center for Biotechnology Information Ephedrine

PubMed Central The HOPE Asia network 2022 up‐date consensus statement on morning hypertension management

PubMed Central Management of nocturnal hypertension: An expert consensus document from Chinese Hypertension League

厚生労働省「お薬手帳について

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「本草防風通聖散エキス錠-H

一般社団法人 日本東洋医学会 漢方の診察、1-3・基本概念・虚実

PubMed Central Cardiovascular Effects of Herbal Products and Their Interaction with Antihypertensive Drugs—Comprehensive Review

この記事を書いた人

伊藤 信久のアバター 伊藤 信久 医師・グレースメディカルクリニック院長

福岡県出身。鹿児島大学医学部卒業後、大学病院の心臓外科に勤務。冠動脈バイパス術・弁置換術などの高度な心臓手術を多数担当。
その後、恩師が開業したクリニックで一次診療に従事。地域医療の最前線で多くの患者と向き合う中で「患者さんに最も近い距離で診療すること」の重要性を再認識し、開業医として地域医療に貢献することを決意。2014年に熊本市でグレースメディカルクリニックを開設した。現在は院長として、高血圧をはじめとする循環器・生活習慣病の診療に注力。心臓外科で培った循環器の知見を活かし、「血圧から全身を守る医療」をモットーに地域の健康づくりと啓発活動を続けている。

主な資格・所属学会
・日本外科学会
・日本循環器学会
・点滴療法研究会

地域の“かかりつけ医”として、高血圧を中心とした生活習慣病の早期発見と予防、継続的な血圧管理に力を注ぎ、患者一人ひとりの「より良い血圧コントロールと健康」の実現を目指している。

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