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高血圧の症状とは?初期症状から受診の目安まで詳しく解説

高血圧の症状とは?初期症状から受診の目安まで詳しく解説

健康診断で「血圧が高め」と指摘されたり、家族に高血圧の人がいたりすると、自分にも症状が出ているのではないかと心配になるものです。

頭痛やめまい、肩こりなど、日常的な不調が血圧の高さと関係しているのではないかと気になる方も多いでしょう。

しかし、実は高血圧の最も大きな特徴は「ほとんど症状が出ない」という点です。

このため、高血圧は「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれています。

高血圧の症状
  • 血圧140/90mmHg以上でも症状は出ず、多くの患者は気づいていない
  • 血圧180/120mmHg以上では激しい頭痛、視覚障害、胸痛が出現​
  • 心肥大が進むと軽い運動での息切れや胸の圧迫感が現れることがある
  • 目の血管損傷により視界のぼやけや視野欠損などの視覚異常が生じる
  • 腎機能低下でたんぱく尿、むくみ、疲労感、食欲不振などの症状が出現
  • 合併症として脳卒中の前兆や心不全、腎機能低下による多様な症状が現れる

症状がないまま、知らず知らずのうちに血管や臓器にダメージを与え続け、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気を引き起こす可能性があるのです。

この記事では、血圧が高いときに出る可能性のある症状、特に注意すべき危険なサイン、そして受診の目安について、わかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 血圧が高いときの症状の特徴
  • 初期段階から進行した場合の症状の違い
  • すぐに受診すべき危険な症状
  • 合併症による具体的な症状
  • 症状がなくても検査が必要な理由
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

高血圧にはどんな症状があるのか

血圧が高くなると、どのような症状が現れるのでしょうか。

実は、多くの方が想像するような明確な症状は、ほとんどの場合現れません。

日本の高血圧の診断基準である140/90mmHg以上の血圧であっても、多くの人は何の不調も感じないまま日常生活を送っています。

世界保健機関(WHO)の推計によると、高血圧患者の約44%は自分が高血圧であることに気づいていないとされています。

また、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)も、高血圧は通常、警告となるような症状がないと明言しています。

つまり、自覚症状だけで高血圧かどうかを判断することはできないのです。

症状が現れるのは、主に血圧が極端に高くなった場合(180/120mmHg以上)や、高血圧が長期間続いて臓器に障害が出始めた場合です。

以下では、高血圧に関連する可能性のある症状について、段階ごとに詳しく見ていきましょう。

そもそも高血圧は気づきにくい!理由を解説

高血圧が「サイレントキラー」と呼ばれる理由は、症状がないまま体を蝕んでいくからです。

血圧が高い状態が続くと、血管の壁は常に強い圧力にさらされ、次第に厚く硬くなっていきます

これが動脈硬化と呼ばれる状態です。

動脈硬化が進むと、血管は弾力性を失い、もろく破れやすくなったり、細く詰まりやすくなったりします。

この変化は痛みや不快感を伴わず、気づかないうちに進行します。

そして、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気として現れるのです。

日本循環器協会によれば、高血圧と診断されても、通常は体のどこかが痛んだり苦しくなったりするような自覚症状は現れないとされています。

また、症状がないまま全身の血管がダメージを受けることが高血圧の怖さだと指摘しています。

自覚症状がないまま、全身の血管をボロボロにするのが高血圧の怖いところです。これは、高血圧が続くことにより血管の壁が固くてもろい「動脈硬化」といわれる状態になることが原因です。

引用:一般社団法人 日本循環器協会 高血圧

注意すべき症状のサイン

通常は症状が出ない高血圧ですが、特定の状況下では症状が現れることがあります。

ただし、これらの症状は高血圧以外の原因でも起こりうるため、症状だけで高血圧と判断することはできません。

血圧が通常より高くなっているときに現れる可能性のある症状としては、頭痛、めまい、動悸、息切れなどが挙げられます。

しかし、これらは疲労やストレス、他の病気によっても引き起こされるため、注意が必要です。

特に注意が必要なのは、血圧が180/120mmHg以上に達した場合です。

この状態を「高血圧クリーゼ」と呼び、緊急的な医療対応が必要となります。

米国国立心肺血液研究所(NHLBI)によれば、この数値に達すると臓器にダメージを与える可能性があるため、症状を伴う場合は直ちに救急車を呼び、症状がない場合も数分後に再測定して高値が続けば速やかに医療機関に連絡する必要があります。

症状が出やすい身体の部位

血圧が高い状態が続いたり、急激に上昇したりすると、特定の部位に症状が現れやすくなります。

主な部位と症状の例
  • 頭部:後頭部〜首筋の重だるい頭痛、突然の強い圧迫感(高血圧クリーゼの可能性)
  • :視界のぼやけ、視野欠損、網膜出血・網膜症などの視覚変化
  • 胸部:胸の圧迫感や締め付け、心臓への負担による狭心症様症状
  • その他(耳・鼻):耳鳴り、鼻血など(頻度は低く、他の原因でも起こりうる)

頭部では、後頭部から首筋にかけての重だるい頭痛が起こることがあります。

ただし、朝の頭痛は睡眠時無呼吸症候群など他の原因でも多くみられ、高血圧に特有の症状ではありません。

一方、強い圧迫感を伴う頭痛が突然現れた場合は、高血圧クリーゼの可能性を考慮する必要があります。

通常、高血圧危機と呼ばれる状態(血圧が180/120ミリメートル水銀柱(mmHg)以上の極めて高い状態)に陥った場合にのみ、頭痛などの症状が現れます。

引用:Harvard Health Publishing Does high blood pressure cause headaches or other symptoms?

目では、視界のぼやけや視野の変化が起こることがあります。

目の奥にある細い血管は血圧の影響を受けやすく、高血圧が続くと網膜出血や網膜症を引き起こすことがあります。

胸部では、胸の圧迫感を感じることがあります。

これは心臓が高い血圧に対抗して働き続けることで負担がかかり、狭心症などの虚血症状として現れる可能性があります。

なお、動悸は高血圧の典型的な症状ではなく、不整脈やストレスなど他の原因で起こることが多いです。

その他の部位としては、血圧が非常に高くなった場合に鼻血が出やすくなる、耳鳴りがする、といった症状が報告されることもあります。

ただし、これらの症状は高血圧の診断的なサインではなく、頻度や特異性も低いため、他の原因で起こることも多く、自己判断は避けるべきです。

血圧の数値と症状の関係

血圧の高さと症状の関係について理解することは重要です。

一般的に、血圧が高いほど症状が出やすいと思われがちですが、実際はそう単純ではありません。

アメリカ心臓協会(AHA)によると、血圧が180/120mmHg以上の場合、頭痛、視覚障害、胸痛などの症状が現れる可能性があるとされています。

しかし、180/120mmHg未満であれば、ほとんどの場合、症状は現れません。

なお、長年高血圧を患っている人でも症状を感じにくい傾向があります。

高血圧は基本的に無症状であることが多いためです。

一方、血圧が急激に変動すると、特に高い血圧から低い血圧への変化でめまいなどの症状を感じることがあります。

重要なのは、症状の有無で高血圧の有無や重症度を判断してはいけないということです。

症状がなくても定期的に血圧を測定し、適切に管理することが大切です。

高血圧の初期症状と進行した場合の症状

高血圧の経過は、初期段階、進行段階、そして合併症を伴う段階に分けて考えることができます。

それぞれの段階で現れる可能性のある症状について、詳しく見ていきましょう。

高血圧は段階的に進行する病気です。

初期には症状がほとんどありませんが、血圧が高い状態が長く続くと、徐々に体の各部位に影響が現れ始めます。

この変化は緩やかで気づきにくいため、定期的な血圧測定と健康診断が重要となります。

初期段階では自覚症状がほとんどない一方で、血管へのダメージは着実に進んでいます。

症状が現れるころには、すでに臓器への影響が始まっている可能性があるため、症状が出る前の段階で高血圧を発見し、適切に管理することが理想的です。

初期段階で見られる症状

頭痛やめまい

初期段階の高血圧で報告されることがある症状の一つが頭痛です。

ただし、頭痛と高血圧の関連は明確ではなく、一般的な緊張型頭痛や他の原因で起こることがほとんどです。

後頭部や首の付け根あたりに鈍い痛みを感じることがありますが、高血圧に特有の症状ではありません。

めまいについては、実は高血圧そのものの症状というより、血圧の変動によって起こることが多いとされています。

クリーブランドクリニックの専門医によると、めまいは高血圧そのものよりも、血圧の急激な変化、特に高い血圧から低い血圧への変化によって引き起こされることが多いと説明されています。

肩こりや首の張り

肩や首の筋肉の張りや凝りを感じることもありますが、高血圧と肩こりの因果関係を支持するエビデンスは限定的です。

デスクワークやストレス、姿勢の悪さなど、他の原因による肩こりの方が一般的であるため、肩こりだけで高血圧を疑うことは適切ではありません。

耳鳴りや動悸

耳鳴りは、血液が血管を流れる音が聞こえる状態で、高血圧患者の一部に見られます。

研究では、高血圧患者の約4246%に耳鳴りが見られたという報告がありますが、耳鳴りは高血圧に特異的な症状ではありません。

動悸は心臓の鼓動を強く感じる状態ですが、高血圧の典型的な症状ではなく、不整脈やストレス、不安など他の原因で起こることが多いです。

高血圧は心房細動などのリスク因子となりますが、動悸があるからといって高血圧とは限りません。

これらの症状は、高血圧以外の多くの原因でも起こりうるため、症状だけで判断せず、血圧測定を行うことが重要です。

血圧が高い状態が続くと現れる症状

息切れや胸の圧迫感

血圧が高い状態が長期間続くと、心臓は常に強い力で血液を送り出さなければならず、徐々に心臓の筋肉が厚くなります(心肥大)

この状態になると、軽い運動や階段の上り下りでも息切れを感じやすくなります。

また、胸に圧迫感や重苦しさを感じることもあります。

これは心臓への血液供給が十分でなくなっている可能性を示すサインで、狭心症の前兆である場合もあるため、注意が必要です。

視覚の異常(目のかすみ、視野の変化)

目の奥には細かい血管が網目状に広がっており、高血圧の影響を受けやすい部位です。

血圧が高い状態が続くと、これらの血管が損傷を受け、視界がぼやける、物が二重に見える、視野の一部が欠けるといった症状が現れることがあります。

高血圧は血管を狭くしたり弱くしたりすることで、目を含む全身の血管にダメージを与える可能性があるとされています。

眼科検診では、網膜の血管を観察することで高血圧の兆候を見つけることもできます。

疲労感や倦怠感の増加

常に体がだるい、疲れやすいといった症状が現れることがあります。

これは、高血圧そのものが直接原因というより、心不全や腎機能低下などの合併症によって生じる可能性があります。

心臓が過度に働き続けることで心機能が低下すると、疲労感につながることがあります。

疲労感は睡眠不足、ストレス、貧血、甲状腺の問題など、さまざまな原因で起こるため、疲労感だけで高血圧と判断することはできません。

合併症による症状

心臓への影響(狭心症、心不全など)

高血圧が長期間続くと、心臓に重大な影響を及ぼします。

心臓は高い圧力に対抗して血液を送り出し続けなければならないため、次第に心筋が厚くなり(心肥大)、最終的には心臓の機能が低下していきます

狭心症では、胸の中央部に圧迫感や締め付けられるような痛みが生じます。

この痛みは左肩や左腕、顎に広がることもあります。

心不全が進行すると、横になると息苦しくなる、足のむくみが強くなる、夜間に呼吸困難で目が覚めるといった症状が現れます。

高血圧は心臓発作や心不全の主要なリスク要因の一つとされています。

脳への影響(脳卒中の前兆症状)

脳の血管が高血圧によってダメージを受けると、脳卒中のリスクが高まります。

脳卒中の前兆として現れる可能性のある症状には以下のようなものがあります。

一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれる「ミニ脳卒中」では、突然の顔面の歪み、片側の手足の脱力感やしびれ、ろれつが回らない、言葉が出てこないといった症状が一時的に現れます。

これらの症状は数分から数時間で消失しますが、本格的な脳卒中の警告サインであるため、すぐに医療機関を受診する必要があります

また、血圧が非常に高くなると高血圧性脳症を引き起こすことがあり、強い頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状が現れます。

腎臓への影響(むくみ、尿の変化)

腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する重要な臓器ですが、高血圧によって腎臓の細い血管が損傷を受けると、腎機能が低下していきます。

初期には症状が現れにくいですが、進行すると以下のような症状が見られることがあります。

腎機能低下による変化
  • 尿に泡が立つ(たんぱく尿)
  • 尿の色が濃くなる
  • 尿量が減る
  • 足や顔にむくみが出る
  • 疲れやすくなる
  • 食欲不振など

アメリカ心臓協会によれば、高血圧が制御されないと腎臓の血管が損傷し、腎臓が適切に機能しなくなる可能性があるとされています。

腎機能の低下はさらに血圧を上げる悪循環を生み出すため、早期の発見と治療が重要です。

高血圧によって腎臓が損傷すると、これらの血管に必要な酸素と栄養素が届かなくなります。すると腎臓は血液をろ過できなくなります。

引用:American Heart Association High Blood Pressure and Your Kidneys

高血圧クリーゼ(緊急事態)の症状

高血圧クリーゼは、血圧が180/120mmHg以上に急激に上昇し、臓器にダメージを与える可能性がある緊急事態です。

この状態では以下のような症状が現れることがあります。

高血圧クリーゼ(緊急事態)の症状
  • 重度の頭痛:突然の激しい頭痛が最も一般的な症状の一つです。今までに経験したことのないような強い痛みを伴うことが多いです。
  • 視覚障害:視界がぼやける、物が二重に見える、一部の視野が欠ける、目の痛みなどが生じます。
  • 胸痛:胸の中央や左側に強い痛みや圧迫感を感じます。心筋梗塞の可能性もあるため、緊急の対応が必要です。
  • 呼吸困難:息苦しさや息切れが急激に悪化します。肺に水が溜まっている(肺水腫)可能性もあります。
  • 神経症状:強い吐き気や嘔吐、混乱、意識レベルの低下、体の一部の脱力感やしびれ、けいれんなどが現れることがあります。

研究報告によれば、高血圧クリーゼの症状として、頭痛(約74%)、胸痛と息切れ(約62%)、めまい(約49%)、吐き気と嘔吐(約41%)が報告されていますが、これらの頻度は患者集団や地域によって異なることがあります。

これらの症状が一つでも現れた場合は、速やかに救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください。

特に血圧が180/120mmHg以上で、これらの症状を伴う場合は、一刻を争う緊急事態です。

症状から考える受診の目安

血圧が高いときの症状について理解したところで、どのような場合に医療機関を受診すべきかを知っておくことが重要です。

症状の種類や程度によって、対応の緊急度が変わってきます。

高血圧は症状が出にくい病気ですが、症状が現れた場合はすでに進行している可能性があります。

また、症状がなくても定期的な血圧チェックは必要です。

ここでは、症状や状況に応じた受診のタイミングについて解説します。

適切なタイミングで受診することで、重大な合併症を予防できる可能性が高まります。

自己判断で様子を見すぎることなく、気になる症状があれば早めに医療機関に相談することが大切です。

すぐに医療機関を受診すべき症状

以下の症状がある場合は、直ちに救急車を呼ぶか、すぐに救急外来を受診してください。

すぐに医療機関を受診すべき症状

該当するケース特徴推奨される対応
血圧が180/120mmHg以上で症状を伴う場合・ 激しい頭痛 
・ 胸の痛み・圧迫感 
・息苦しさ・呼吸困難 
・ 背中の痛み 
・視覚の急変・視力低下 
・片側のしびれ・脱力 
・ ろれつが回らない・言葉が出にくい 
・意識の混乱・けいれんなど
直ちに救急車(119番)を呼ぶ。
自力での移動は避ける。
脳卒中の疑いがある症状・顔の片側が下がる
・片腕・片脚に力が入らない
・言葉がうまく話せない
・突然の激しい頭痛
・突然の視覚障害
ただちに救急車を要請。
発症時間を記録して医療機関へ。
心臓発作(心筋梗塞)の疑いがある症状・胸の中央や左側の圧迫感・締め付ける痛み
・痛みが左肩・左腕・顎・背中に放散
・冷や汗、吐き気、息苦しさを伴う
すぐに救急要請(119番)。
安静を保ち、横にならず半座位を維持。

血圧を測定して180/120mmHg以上あり、かつ激しい頭痛、胸の痛みや圧迫感、息苦しさや呼吸困難、背中の痛み、視覚の急激な変化や視力低下などいずれかの症状がある場合は緊急事態です。

アメリカ心臓協会とCDCは、これらの症状がある場合は高血圧性緊急症の可能性があり、すぐに911(日本では119番)に電話すべきだと明言しています。

顔の片側が下がる、片方の腕や脚に力が入らない、言葉がうまく話せない、突然の激しい頭痛、突然の視覚障害などの症状は、脳卒中の可能性があります。

これらの症状は血圧の高さに関わらず、すぐに救急車を呼ぶべき緊急事態です。

胸の中央や左側に圧迫感、締め付けられるような痛みがある、痛みが左肩・左腕・顎・背中に広がる、冷や汗が出る、吐き気がある、息苦しいなどの症状は心筋梗塞の可能性があります。

早めの受診が推奨される症状

緊急ではないものの、以下の症状がある場合は数日以内に医療機関を受診することをおすすめします。

これらの症状は高血圧以外の原因で起こることも多いですが、重篤な疾患の可能性もあるため注意が必要です。

早めの受診が推奨される症状

症状の種類主な特徴受診の目安・背景
繰り返す頭痛朝方に強い・後頭部や首筋が重い・いつもと違う痛み早めに受診
持続的なめまい・ふらつき立ちくらみが頻繁・数日続く・歩行時のふらつき血圧以外の要因も
視覚の変化かすみ・視野欠損・まぶしさ眼科または内科を受診
むくみ顔や足の腫れ・朝夕で変化・改善しない腎臓や心臓の問題を示唆
息切れ・動悸軽い動作で息切れ・安静時の動悸・横になると苦しい心臓や肺の問題を示唆

特に朝起きたときに感じる頭痛が続く、後頭部や首筋の重だるい痛みが頻繁にある、今までとは違うタイプの頭痛が続くといった場合は、早めの受診が望ましいです。

立ちくらみが頻繁に起こる、めまいが数日間続く、ふらつきで日常生活に支障が出るような場合は、血圧の問題以外の可能性も含めて医師に相談すべきです。

目のかすみが続く、視野の一部が見えにくい、光がまぶしく感じるようになったなど、視覚に関する変化がある場合は眼科や内科の受診を検討してください。

特に朝起きたときに顔がむくむ、夕方になると足がパンパンに腫れる、むくみが改善しないといった症状は、腎臓や心臓の問題を示唆している可能性があります。

軽い動作でも息切れする、安静時にも動悸を感じる、横になると息苦しいといった症状がある場合は、心臓や肺の問題の可能性があるため、早めの受診が必要です。

定期的な血圧測定が必要なケース

症状がなくても、以下に該当する方は定期的な血圧測定と医師への相談が推奨されます。

定期的な血圧測定が必要なケース

該当するケース主な特徴推奨される対応・測定頻度
家族歴がある場合・両親や兄弟姉妹に高血圧の人がいる
・若くして心筋梗塞や脳卒中を発症した家族がいる
定期的に医療機関での血圧測定を行い、生活習慣の見直しを。
生活習慣にリスク要因がある場合・塩分の多い食事を好む
・運動不足または肥満傾向がある
・喫煙・過度の飲酒習慣がある
・ストレスの多い生活をしている
家庭血圧の記録月1回以上の測定を推奨。生活習慣の改善も並行して実施。
年齢・他の健康状態に該当する場合・40歳以上の方
・糖尿病、脂質異常症、腎疾患、睡眠時無呼吸症候群の既往がある
・妊娠中・出産後の女性
年齢・疾患に応じて定期測定を行い、変化があれば早めに医師へ相談。
すでに高血圧と診断された場合・自宅測定の継続で血圧コントロールが安定
・診察時だけの測定では変動を把握しにくい
朝・晩の家庭血圧を毎日測定し、記録を持参して医師と共有。

両親や兄弟姉妹に高血圧の人がいる、家族に若くして心筋梗塞や脳卒中を発症した人がいる場合は、遺伝的に高血圧のリスクが高い可能性があります。

厚生労働省の資料によれば、高血圧には遺伝的要因が関与しており、家族歴がある場合は特に注意が必要とされています。

塩分の多い食事を好む、運動不足である、肥満傾向がある、喫煙している、過度の飲酒習慣がある、ストレスが多い生活をしているといった方は、高血圧のリスクが高くなります。

本態性高血圧は、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレスや、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられています。

引用:厚生労働省e-ヘルスネット 高血圧

40歳以上の方、糖尿病や脂質異常症がある、腎臓病の既往がある、睡眠時無呼吸症候群がある、妊娠中または出産後などの場合も、定期的な血圧チェックが重要です。

米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、40歳以上または高リスクの成人には年1回、18〜39歳の低リスクの成人には3〜5年に1回の血圧測定を推奨しています。

また、高血圧と診断された方は、自宅での血圧測定を習慣にすることで、より適切な血圧管理が可能になります。

症状がなくても検査が必要な理由

ここまで様々な症状について説明してきましたが、最も重要なポイントは「症状がないことが多い」という事実です。

高血圧が「サイレントキラー」と呼ばれる所以は、まさにこの症状のなさにあります。

世界保健機関によると、高血圧患者の約44%は自分の状態に気づいていないと報告しています。

症状がないまま、動脈硬化は着実に進行し、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞として命を脅かす事態となるのです。

症状が出る前に高血圧を発見し、適切に管理することで、深刻な合併症を予防できる可能性が高まります。

日本高血圧学会によれば、高血圧が適切にコントロールされれば、脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気のリスクを大幅に減らすことができるとされています。

職場や地域の健康診断を積極的に受ける、家庭用血圧計を用いて自宅で定期的に測定する、かかりつけ医を持ち、定期的に相談するといった習慣が、健康を守る上で非常に重要です。

国立循環器病研究センターによれば、血圧測定は高血圧を発見する唯一の方法であり、症状の有無にかかわらず定期的な測定が推奨されています。

よくある質問(FAQ)

血圧が高いとどんな症状が出ますか?

多くの場合、血圧が高くても症状は現れません。

これが高血圧が「サイレントキラー」と呼ばれる理由です。

ただし、血圧が極端に高くなった場合(180/120mmHg以上)には、頭痛、視覚障害、胸痛、息切れなどの症状が現れる可能性があります。

症状の有無で高血圧を判断することはできないため、定期的な血圧測定が重要です。

高血圧に初期症状はありますか?

高血圧の初期段階では、ほとんどの方に症状は現れません。

頭痛やめまい、肩こりなどを感じる方もいますが、これらは高血圧以外の原因でも起こりうる一般的な症状です。

WHOによると、高血圧患者の約44%は自分が高血圧であることに気づいていないとされています。

症状に頼らず、定期的な血圧チェックで早期発見することが大切です。

血圧が高くても症状がない場合は放置してもいいですか?

いいえ、症状がなくても放置すべきではありません。

症状がないまま血管や臓器へのダメージは進行し、やがて脳卒中、心筋梗塞、腎不全などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。

高血圧は通常、警告となる症状がないとされており、だからこそ定期的な測定と適切な管理が必要です。

症状が出るころには、すでに臓器障害が始まっている可能性があります。

血圧が急に上がったときの症状は?

血圧が180/120mmHg以上に急上昇すると、激しい頭痛、視界のぼやけ、胸痛、息苦しさ、強い吐き気などの症状が現れることがあります。

これは「高血圧クリーゼ」と呼ばれる緊急事態です。

このような症状がある場合は、すぐに救急車を呼ぶか医療機関を受診してください。

これらの症状を伴う高血圧は臓器損傷のリスクがあるため、直ちに医療的介入が必要とされています。

どんな症状が出たら病院に行くべきですか?

以下の症状がある場合は直ちに受診してください。

血圧180/120mmHg以上で頭痛・胸痛・息切れなどを伴う場合、突然の激しい頭痛、顔や手足の片側の脱力・しびれ、言葉が出にくい、視覚の急激な変化、胸の強い痛みや圧迫感などです。

また、軽度でも持続する頭痛、繰り返すめまい、視覚の変化、むくみが続く場合は早めの受診が望ましいです。

症状がなくても、家族歴がある方や生活習慣にリスクがある方は定期的な血圧測定が推奨されます。

頭痛があれば血圧が高いということですか?

いいえ、頭痛があるからといって必ずしも血圧が高いわけではありません。

ハーバード大学の医学部によれば、頭痛の原因のほとんどは高血圧以外のものであり、高血圧による頭痛は血圧が180/120mmHg以上の高血圧クリーゼの状態でのみ起こるとされています。

一般的な緊張型頭痛、片頭痛、ストレス、睡眠不足などが頭痛の主な原因です。

頭痛がある場合は、まず血圧を測定し、数値が正常であれば他の原因を考える必要があります。

まとめ

血圧が高いときの症状について、重要なポイントをまとめます。

高血圧は基本的に症状が出ない病気です。

ほとんどの場合、血圧が高くても自覚症状はありません。

これが「サイレントキラー」と呼ばれる理由であり、症状がないまま血管や臓器へのダメージが進行していきます。

症状が現れるのは特殊な状況です。

血圧が180/120mmHg以上に達した場合や、長期間の高血圧で臓器障害が起きている場合に、頭痛、視覚障害、胸痛、息切れなどの症状が現れることがあります。

しかし、これらの症状が出るころには、すでに重大な状況である可能性があります。

緊急性の高い症状を見逃さないこと。

激しい頭痛、胸痛、呼吸困難、視覚の急激な変化、体の片側の脱力感などがある場合は、直ちに救急車を呼ぶか医療機関を受診してください。

特に血圧が180/120mmHg以上でこれらの症状がある場合は、高血圧クリーゼという緊急事態です。

症状に頼らず、定期的な血圧測定が最も重要です。

今日からできること
  • 年に1回以上は健康診断を受けましょう
  • 家庭用血圧計を用意し、定期的に測定する習慣をつけましょう
  • 家族に高血圧の人がいる方は、より積極的に血圧チェックを行いましょう
  • 気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関に相談しましょう
  • 血圧が高いと指摘された場合は、症状がなくても医師の指示に従って治療を継続しましょう

世界保健機関によると、高血圧患者の約半数は自分が高血圧であることに気づいていません。

定期的な健康診断の受診、家庭での血圧測定の習慣化、かかりつけ医との定期的な相談が、健康を守る上で欠かせません。

高血圧は症状が出にくい病気だからこそ、予防と早期発見が何より重要です。定期的な血圧測定と適切な生活習慣で、あなたの健康を守りましょう。

参考文献・参考サイト

特定非営利活動法人 日本高血圧学会「  一般向け『高血圧治療ガイドライン』解説冊子 「高血圧の話」

World Health Organization Hypertension

Centers for Disease Control and Prevention About High Blood Pressure

国立循環器病研究センター 高血圧

一般社団法人 日本循環器協会 高血圧

National Heart, Lung, and Blood Institute High Blood Pressure Symptoms

Harvard Health Publishing Does high blood pressure cause headaches or other symptoms?

Mayo Clinic Left ventricular hypertrophy

Cleveland Clinic Hypertensive Crisis

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Mayo Clinic High blood pressure (hypertension)

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公益財団法人 日本心臓財団 頭痛や肩こりの原因は高血圧か

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厚生労働省e-ヘルスネット 高血圧

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