高血圧でお悩みの方にとって、普段の食事選びは血圧管理の大切なポイントです。
健康的なイメージのあるナッツですが、「食べ過ぎると血圧に良くないのでは?」「塩分が多いから避けたほうがいいのでは?」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。
ナッツアレルギーがある方や、カリウム制限が必要な腎臓病の方でなければ、ナッツは選び方と食べる量に気をつければ、高血圧の方にも安心してお召し上がりいただける食品です。
むしろ、塩分を使っていないナッツを適量食べることで、血圧を下げる効果が期待できる可能性があります。
実際に、複数の医学研究を統合した分析では、塩なしのナッツを定期的に食べることで血圧が平均1〜2mmHg程度低下すると報告されています。
- 塩味付きナッツは塩分により血圧を上昇させる
- 無塩ナッツも食べ過ぎると肥満で血圧が上がるリスク
- 適量(1日30g程度)の無塩ナッツは血圧管理の補助として期待できる
- ナッツの不飽和脂肪酸やミネラルは血管を健康に保つ
ただし、注意すべき点もあります。
塩味がついたナッツに含まれる塩分は血圧を上げる原因となります。
また、塩なしであっても食べ過ぎればカロリーの摂りすぎで体重が増え、結果的に血圧に悪影響を及ぼす可能性があります。
つまり、「どんなナッツを」「どのくらい」食べるかが重要なのです。
ナッツには、血管を健康に保つ良い油や、体の中の余分な塩分を出すのを助けるミネラル、血糖値の急な上昇を防ぐ食物繊維など、血圧管理に役立つ栄養がたっぷり含まれています。
これらの成分が一緒に働くことで、血圧に良い影響をもたらす可能性があるのです。
この記事では、高血圧とナッツの関係について、医学的な根拠をもとにわかりやすく解説していきます。
ナッツを上手に取り入れることで、おいしく食べながら血圧管理に役立てていただければと思います。
- 塩味付きナッツと無塩ナッツの血圧への影響の違い
- 高血圧の方が安心して食べられるナッツの適量
- 血圧に配慮したナッツの選び方
- ナッツに含まれる血圧に良い成分
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
塩味付きナッツは避けて、無塩なら血圧に良い影響が期待できる
ナッツと高血圧の関係を理解する上で、最も重要なのは塩分が入っているかどうかです。
同じナッツでも、塩味付きと無塩では血圧への影響がまったく違います。
スーパーやコンビニで売られているナッツを見ると、塩味付きの商品が多く並んでいますが、高血圧の方はこれらを避ける必要があります。
塩味付きのナッツに含まれる塩分は、血圧を上げる大きな原因となります。
一方で、塩を使っていないナッツには、血管を健康に保つ成分がたくさん含まれており、むしろ血圧を下げる効果が期待できます。
この違いを理解することが、ナッツを上手に取り入れるための第一歩です。
また、塩なしであっても食べ過ぎには注意が必要です。
ナッツは栄養が豊富な一方で、カロリーも高い食品です。
適量を守らずに食べ過ぎると、カロリーの摂りすぎから体重が増えてしまい、結果的に血圧を上げてしまう可能性があります。
ここでは、塩味付きナッツと無塩ナッツの違い、そして適量を食べることの大切さについて詳しく見ていきましょう。
塩味付きナッツと無塩ナッツの比較
| 項目 | 塩味付きナッツ | 無塩ナッツ |
|---|---|---|
| 血圧への影響 | 塩分により血圧を上げる | 血圧を下げる効果が期待できる |
| 含まれる成分 | 塩分(ナトリウム)が添加 | 体に良い油、マグネシウム、カリウム、食物繊維 |
| 高血圧の方への推奨 | 避けるべき | 適量であれば推奨 |
| 1日の塩分目標(WHO) | – | 5g未満 |
塩味付きナッツの塩分が血圧を上げる原因に
塩味付きのナッツが血圧に悪い理由は、加えられている塩にあります。
塩に含まれるナトリウムという成分が、体の中の水分のバランスに影響を与え、血液の量を増やすことで血圧を上げてしまう可能性があります。
研究によると、塩分の摂取量を大きく変えると、血圧の上の数値(収縮期血圧)が平均で約約4〜6mmHg、下の数値(拡張期血圧)が約2〜3mmHg変化することがわかっています。
ただし、この効果には個人差があり、もともと高血圧の方や塩分感受性が高い方では影響が大きくなる傾向があります。
世界保健機関(WHO)は、1日の塩分摂取量を5g未満に抑えることを推奨していますが、塩味付きナッツをたくさん食べると、この目標を達成するのが難しくなります。
- 血液中のナトリウムの量が増える
- 体がそれを薄めようとして水分を溜め込む
- 血液の量が増えて、血管の壁にかかる圧力が高まる
- ナトリウムが血管を縮める働きをして、血管が狭くなる
- 結果として血圧が上昇する
無塩ナッツには血圧を下げる成分が豊富
一方で、塩を使っていないナッツには、血圧を下げる効果が期待できる成分がたくさん含まれています。
いくつもの研究では、塩なしのナッツを定期的に食べることが血圧を下げる可能性があることが示されています。
アメリカで行われた大規模な研究では、ナッツをよく食べている人ほど高血圧になりにくいことがわかりました。
ナッツを摂取しなかった被験者と比較した高血圧症の多変量補正ハザード比(95%信頼区間)は、ナッツ摂取回数が月1~2回の場合0.97(0.91~1.03)、週1回、2~6回、7回以上の場合0.98(0.92~1.05)、0.96(0.89~1.03)、0.82(0.71~0.94)であった。
引用:PubMed Nut consumption and risk of hypertension in US male physicians
また、地中海食(野菜や魚、オリーブオイルを中心とした食事)にナッツを加えた食事では、普通の食事と比べて血圧がわずかに低下したことも報告されています。
ただし、この効果は食事全体の改善によるもので、ナッツ単独の効果とは限りません。
無塩ナッツが血圧に良い影響をもたらす理由は、その栄養にあります。
ナッツには体に良い油、マグネシウムやカリウムといったミネラル、食物繊維など、血圧管理に役立つ栄養素が含まれています。
特にマグネシウムとカリウムは、体の中の余分な塩分を外に出す手助けをしたり、血管を広げたりする働きがあります。
- くるみを1日30〜45g、2年間摂取:収縮期血圧が平均2〜3mmHg程度低下
- ピスタチオの摂取:収縮期血圧が平均約5mmHg低下
くるみを使った2年間の実験では、1日あたり30〜45g程度のくるみを食べたグループで、一部の血圧指標において2〜3mmHg程度の低下が見られたことが報告されています。
また、ピスタチオに関する複数の研究を統合した分析では、血圧の上の数値が平均1〜2mmHg程度低下すると報告されています。
食べ過ぎると肥満につながり血圧が上がるリスクも
塩なしのナッツは血圧に良い影響をもたらす可能性がありますが、食べ過ぎには注意が必要です。
ナッツは栄養が豊富な一方で、カロリーも高い食品です。
ナッツのカロリーは種類によって違いますが、一般的に100gあたり約550〜750キロカロリーあります。
適量を超えて食べると、全体のカロリー摂取量が増えて、体重が増える原因となる可能性があります。
肥満は高血圧の重要な原因の一つです。
体重が増えると、心臓が全身に血液を送り出すのにより強い力が必要になります。
また、増えた脂肪から出る物質が血管に悪い影響を与えることもわかっています。
フラミンガム心臓研究によるリスク推定では、男性の一次性(本態性)高血圧の78%、女性の65%が過剰な体重増加に起因すると示唆されています。
引用:American Heart Association Journals Obesity-Induced Hypertension: Interaction of Neurohumoral and Renal Mechanisms
そのため、いくら血圧に良い成分が含まれていても、食べ過ぎて体重が増えてしまっては意味がありません。
ただし、適量のナッツであれば体重が増える心配は少ないことが、多くの研究で示されています。
55件の研究をまとめて分析した結果では、ナッツを食べても体重やウエストのサイズに大きな影響はないことが報告されています。
これは、ナッツに含まれる食物繊維やタンパク質がお腹をいっぱいにして、他の食べ物からのカロリー摂取を減らす可能性があるためと推測されています。
高血圧の人は1日片手一握り(約30g)が適量
高血圧の方がナッツを安全に楽しむためには、適切な量を守ることが大切です。
多くの研究や栄養に関するガイドラインでは、1日あたり約30gのナッツが推奨されています。
この量は、片手で軽く一握りした程度の分量です。
なぜ30gという量が良いとされているのでしょうか。
これは、ナッツの健康効果を得るために必要な栄養を摂りつつ、カロリーの摂りすぎを避けるための、ちょうど良い量だからです。
実際の研究でも、1日28g程度のナッツを食べることで、心臓や血管の病気になるリスクが約19〜21%減り、あらゆる原因による死亡率が約15〜22%減ることが報告されています。
この適量を守ることで、血圧に良い影響をもたらす成分を十分に摂れる一方で、1日に必要なカロリーの8〜12%程度に抑えられます。
また、30gという量は、毎日の生活の中で無理なく続けられる現実的な分量でもあります。
ここでは、具体的な30gの目安と、適量を超えた場合のリスクについて詳しく見ていきましょう。
30gってどのくらい?ナッツの種類別の目安
ナッツ30gといっても、種類によって粒の大きさが違うため、数は変わってきます。
ここでは、代表的なナッツの30gあたりの個数の目安をご紹介します。
ナッツ約30gの目安量
| ナッツの種類 | 30gあたりの個数 | 備考 |
|---|---|---|
| アーモンド | 約23粒 | – |
| カシューナッツ | 約18粒 | 粒が大きめ |
| くるみ | 約14片(7個分) | 殻を取った状態 |
| ピスタチオ | 約49個 | 殻付きの場合/殻なしで約30g |
| マカダミアナッツ | 約15粒 | 油分が多く粒も大きい |
| ピーナッツ | 約40粒 | – |
| ミックスナッツ | 片手一握り | 合計で約30g程度 |
実際の研究では、「片手一握り」という表現がよく使われており、これは約30〜36gに相当します。
いろいろなナッツが混ざったミックスナッツを食べる場合も、合計で30g程度を目安にすると良いでしょう。
なお、アメリカの食品医薬品局(FDA)は「1日あたり約38g(1.5オンス)のほとんどのナッツを、飽和脂肪やコレステロールの少ない食事の一部として食べることは、心臓病のリスクを減らす可能性がある」という表示を認めています。
適量を超えるとカロリーや脂質の摂りすぎに
30gを超えてナッツを食べると、カロリーや油分の摂りすぎにつながる可能性があります。
ナッツ30gには、種類にもよりますが約160〜220キロカロリーが含まれています。
これは、ご飯茶碗約1杯分(150g、約240キロカロリー)に近い量です。
例えば、アーモンド30gには約170〜180キロカロリー、油分が約15g含まれています(その大部分が体に良い油です)。
くるみ30gには約195キロカロリー、油分が約20g含まれています。
もし1日100g(片手一握りの3倍以上)を食べてしまうと、それだけで約550〜700キロカロリーとなり、成人女性が1日に必要なカロリーの約30〜40%を占めることになります。
ただし、ナッツに含まれる油分の大部分は、健康に良いとされる種類の油です。
適量であれば、この油は心臓や血管の健康を守る働きがあります。
問題になるのは、1日に必要なカロリーを大きく超えて食べてしまった場合です。
無塩・素焼きタイプを選べば安心して食べられる
高血圧の方がナッツを選ぶときに最も大切なのは、塩分が加えられていない商品を選ぶことです。
お店で売られているナッツには色々な種類がありますが、血圧管理の観点からは、塩なし・素焼きのタイプが最適です。
スーパーやコンビニの棚には、塩味、バター味、ハチミツ味、スパイス味など、様々な味付けのナッツが並んでいます。
これらは確かにおいしいのですが、高血圧の方にとっては塩分や糖分の摂りすぎにつながるリスクがあります。
一方、塩なし・素焼きのナッツは、ナッツ本来の風味を楽しめるだけでなく、血圧管理にも安心して取り入れられます。
ナッツの種類によっても、含まれる栄養の種類や量は違います。
アーモンドは食物繊維が多い、くるみはオメガ3という体に良い油が多い、ピスタチオはカリウムが豊富といった特徴があります。
塩なしであれば、どの種類のナッツも血圧管理に役立つ可能性がありますので、お好きなナッツを選んでいただいて構いません。
ここでは、商品を選ぶときの具体的なポイントと、ナッツの種類による違いについて詳しく見ていきましょう。
商品パッケージで「食塩不使用」を確認
ナッツを買うときは、商品のパッケージに書かれている表示を必ず確認しましょう。
「食塩不使用」「無塩」「ノンソルト」などの表示があるものを選ぶことが大切です。
- ✓ 「食塩不使用」「無塩」「ノンソルト」の表示を確認
- ✓ 栄養成分表示で食塩相当量が0g、またはほぼ0gであることを確認
- ✓ 原材料表示に「食塩」の記載がないことを確認
- ✗ 「減塩」「塩分控えめ」は完全な無塩ではない
- ✗ 「ローストナッツ」だけでは塩の有無がわからない
栄養成分表示も確認のポイントです。
食塩相当量やナトリウム量が0g、またはほぼ0gに近い商品を選びましょう。
ナトリウム量が書かれている場合は、食塩相当量に換算するときに、ナトリウム量(g)×2.54で計算できます。
注意が必要なのは、「減塩」「塩分控えめ」と表示されている商品です。
これらは普通の塩味付き商品よりは塩分が少ないですが、完全に塩なしというわけではありません(厳密な定義や閾値は国の表示基準により異なります)。
高血圧の方は、できる限り完全に塩を使っていない商品を選ぶことをおすすめします。
また、「ローストナッツ」という表示だけでは、塩が入っているかどうかはわかりません。
ローストは焼き方を示すもので、塩を加えずに焼いた商品もあれば、塩を加えて焼いた商品もあります。
必ず原材料の表示や栄養成分の表示で確認することが大切です。
- バター味(塩分+脂質)
- ハチミツ味(塩分+糖分)
- キャラメル味(塩分+糖分)
- スパイス味(塩分)
味付けについても注意しましょう。
バター味、ハチミツ味、キャラメル味、スパイス味などの商品には、塩分だけでなく砂糖もたくさん加えられている場合があります。
これらは避けて、シンプルな素焼きタイプを選びましょう。
アーモンドやくるみなど種類による違い
ナッツの種類によって、含まれる栄養の種類や量は違います。
ただし、塩なしであれば、どの種類のナッツも血圧管理に役立つ可能性があります。
主なナッツの特徴と栄養
| ナッツの種類 | 主な特徴 | 血圧に良い主な成分 |
|---|---|---|
| アーモンド | 食物繊維とビタミンEが豊富 | 食物繊維(100gあたり10〜12.5g)、マグネシウム、カルシウム |
| くるみ | オメガ3脂肪酸が最も豊富 | オメガ3脂肪酸(100gあたり約9g)、抗炎症作用 |
| カシューナッツ | 銅とマグネシウムが豊富 | マグネシウム、体に良い油(約80%) |
| ピスタチオ | カリウムが特に豊富 | カリウム(100gあたり1,000〜1,200mg)、血圧低下効果が強い |
| ピーナッツ | タンパク質が豊富 | タンパク質、ビタミンB3、マグネシウム、食物繊維 |
アーモンドは食物繊維とビタミンEが豊富で、100gあたり約10〜12.5gの食物繊維が含まれています。
体に良い油が多く、カルシウムやマグネシウムもたくさん含まれているのが特徴です。
くるみは、ナッツの中でもオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)という体に良い油がとても多いのが特徴です。
100gあたり約9gのオメガ3脂肪酸が含まれており、植物性の食品の中では最も多い部類に入ります。
オメガ3脂肪酸は血管を健康に保ち、体の炎症を抑える働きがあることがわかっています。
カシューナッツは、銅とマグネシウムが豊富です。
他のナッツと比べると飽和脂肪酸(あまり体に良くない油)がやや多めですが、それでも全体の油の約80%は体に良い油で構成されています。
ピスタチオは、カリウムがとても多く含まれているのが特徴です。
100gあたり約1,000〜1,200mgものカリウムが含まれています。
カリウムは体の中の余分な塩分を外に出す手助けをする働きがあるため、高血圧の方に特に良い可能性があります。
研究では、ピスタチオを食べることが血圧を下げる効果が最も強いことが示されています。
ピーナッツは、厳密には豆の仲間ですが、栄養的にはナッツとして扱われることが多い食品です。
他のナッツと比べてタンパク質が多く、ビタミンB3、マグネシウム、食物繊維が豊富です。
ミックスナッツは味付けなしを選ぶのがコツ
いろいろなナッツが一度に楽しめるミックスナッツは便利ですが、選ぶときには注意が必要です。
お店で売られているミックスナッツには、塩が加えられているものと塩なしのものが混ざって売られています。
パッケージの前面に大きく「ミックスナッツ」とだけ書かれていても、裏面の原材料の表示を見ると「食塩」が含まれている場合があります。
必ず原材料の表示と栄養成分の表示の両方を確認しましょう。
また、ミックスナッツの中には、油で揚げて作られているものもあります。
油で揚げたナッツは、素焼きのものと比べてカロリーが高くなります。
作り方については「素焼き」「ロースト」などの表示を確認するか、わからない場合は原材料の表示に「植物油」などの記載がないかチェックしましょう。
ミックスナッツの組み合わせについては、特にどれが最も良いというルールはありません。
アーモンド、くるみ、カシューナッツ、ピスタチオなど、お好きなナッツが混ざったものを選ぶと良いでしょう。
違う種類のナッツを組み合わせることで、色々な栄養をバランス良く摂れる可能性があります。
- 密閉できる容器に入れる
- 涼しくて湿気の少ない場所で保管
- 日光が当たらない場所を選ぶ
- 開封後はできるだけ早めに食べきる
保存の仕方にも注意が必要です。
ナッツは油分を多く含むため、暑くて湿気の多い場所や日光が当たる場所では、古くなって風味が悪くなったり、まれに体に良くない成分ができたりする可能性があります。
開けた後は密閉できる容器に入れて涼しい場所で保存し、できるだけ早めに食べきるようにしましょう。
ナッツの良い脂肪とミネラルが血圧を整える
塩なしのナッツが血圧に良い影響をもたらす理由は、その豊富な栄養にあります。
ナッツには、体に良い油、マグネシウムやカリウムといったミネラル、食物繊維など、血圧を整えるのに役立つ成分が含まれています。
これらの成分は、それぞれ違う方法で血圧に働きかけます。
体に良い油は血管を柔らかく保ち、マグネシウムとカリウムは血管が縮むのを抑えて余分な塩分を外に出す手助けをし、食物繊維は血糖値の急な上昇を防いで血管を健康に保ちます。
これらの成分が一緒に作用することで、ナッツは血圧管理に役立つ可能性があるのです。
大切なのは、これらの成分は一つだけで働くのではなく、お互いに助け合って効果を発揮するということです。
例えば、マグネシウムは血管を広げる物質の生産を促し、カリウムは塩分を外に出す手助けをし、体に良い油は血管の内側の細胞の働きを良くします。
このような複合的な作用によって、ナッツは血圧に対して色々な面から良い影響をもたらす可能性があります。
ここでは、ナッツに含まれる主な栄養成分とそれぞれの働きについて詳しく見ていきましょう。
ナッツに含まれる血圧に良い主な成分
| 成分 | 主な働き | 多く含まれるナッツ |
|---|---|---|
| 体に良い油(不飽和脂肪酸) | 血管を柔らかく保つ、悪玉コレステロールを減らす | アーモンド、ヘーゼルナッツ、くるみ |
| マグネシウム | 血管を広げる、余分な塩分の排出を促す | カシューナッツ、アーモンド、ピーナッツ |
| カリウム | 塩分の排出を助ける、血管を緩める | ピスタチオ、アーモンド、ヘーゼルナッツ |
| 食物繊維 | 血糖値の急上昇を防ぐ、腸内環境を整える | アーモンド(特に豊富) |
体に良い脂肪が血管をしなやかに保つ
ナッツに含まれる油分の大部分は、体に良いとされる種類の油です。
これらは、動物性の脂肪とは違って、血管を健康に保つ働きがあります。
体に良い油は、アーモンド、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ピーナッツなどに多く含まれています。
これらのナッツでは、油分全体の50〜80%程度が体に良い油で構成されています。
この中で代表的なのがオレイン酸という油で、血液中の悪玉コレステロール(体に良くないコレステロール)を減らし、善玉コレステロール(体に良いコレステロール)を維持する働きがあることがわかっています。
くるみは特にオメガ3脂肪酸という油が豊富で、100gあたり約9gのオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)が含まれています。
オメガ3脂肪酸は、血管の炎症を抑え、血管の壁を柔らかく保つ働きがあります。
また、血小板の凝集を抑えることで、血液の流れを良くする効果も期待できます。
- 血管の内側の細胞の働きを良くする
- 血管を広げる物質(一酸化窒素)の生産を促す
- 血管の壁を柔らかくして血液が流れやすくする
- 血圧の上昇を抑える
これらの体に良い油が血圧に良い影響を与えるしくみは研究途上ですが、血管の内側の細胞の働きを良くして、血管を広げる物質の生産を促す可能性が示唆されています。
また、血管の壁を柔らかくすることで、血液が流れやすくなり、血圧の上昇を抑える効果が期待できます。
ただし、これらの効果による血圧低下は一般に数mmHg程度と小さいものです。
マグネシウムとカリウムが塩分の排出を助ける
ナッツにたくさん含まれるマグネシウムとカリウムは、血圧を整えるのにとても大切なミネラルです。
マグネシウムは、ナッツ全般に豊富に含まれており、特にカシューナッツ、アーモンド、ピーナッツに多く含まれています。
100gあたり約200〜500mgのマグネシウムが含まれており、成人が1日に必要な量(男性で約340〜370mg、女性で約270〜290mg)のかなりの部分を補うことができます。
- 血管が縮みすぎるのを抑える
- 血管を広げる作用がある
- 血管の内側の細胞で血管を広げる物質の生産を促す
- 血糖値や脂質の代謝に関わる
- メタボリックシンドロームの予防に役立つ可能性
マグネシウムは、血管が縮んだり広がったりするのを調整する働きがあります。
血管が縮みすぎるのを抑えて、血管を広げる作用があります。
また、血管の内側の細胞で血管を広げる物質の生産を促す働きも持っています。
さらに、マグネシウムは血糖値や脂質の代謝にも関わっており、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧、脂質異常のうち2つ以上を合併した状態)の予防にも役立つ可能性があります。
本メタアナリシスの結果は、食事性マグネシウム摂取量とメタボリックシンドロームの有病率との間に逆相関関係があることを示唆している。
引用:PubMed Central Dietary magnesium intake and risk of metabolic syndrome: a meta-analysis
カリウムは、ピスタチオ、アーモンド、ヘーゼルナッツなどに特に多く含まれています。
100gあたり約700〜1,000mgのカリウムが含まれており、これは成人が1日に必要な量(約2,500〜3,000mg)の約25〜40%に相当します。
ただし、推奨される1日30g程度では約7〜10%程度になります。
- 体の中の余分な塩分(ナトリウム)を外に出す手助けをする
- 塩分とカリウムのバランスを調整
- 腎臓から塩分の排出を促進
- 血液の量を減らして血圧を下げる
- 血管の壁を緩める直接的な働き
カリウムの最も大切な働きは、体の中の余分な塩分を外に出す手助けをすることです。
塩分(ナトリウム)とカリウムは体の中でバランスを取り合っており、カリウムをたくさん摂ると、腎臓から塩分がより多く出ていきます。
その結果、血液の量が減って、血圧が下がる可能性があります。
また、カリウムには血管の壁を緩める直接的な働きもあることが研究で示されています。
食物繊維が血糖値の急上昇を防ぐ
ナッツに含まれる食物繊維も、間接的に血圧管理に役立つ成分です。
アーモンドは特に食物繊維が豊富で、100gあたり約12.5gの食物繊維が含まれています。
他のナッツでも、100gあたり5〜10g程度の食物繊維が含まれています。
- 血糖値の急上昇を抑える
- 消化管の中で水分を吸収してゼリー状になる
- 食後の血糖値の急な上昇を防ぐ
- インスリンの過剰分泌を抑える
- 血管へのダメージを防ぐ
- 血管を広げる物質を作る
- 腸の中の細菌によって分解される
- 短鎖脂肪酸(プロピオン酸と酪酸)を産生
- 血管を広げる作用がある
- 血圧調整システムの働きを整える
- 腸内環境を改善する
- 腸内細菌のバランスを良くする
- 腸内細菌の乱れと高血圧の関係を改善
- 血圧管理に役立つ
食物繊維が血圧に良い影響を与えるしくみは、主に次のように考えられています。
まず、食物繊維は消化管の中で水分を吸収してゼリー状になり、食後の血糖値の急な上昇を抑える働きがあります。
血糖値が急に上がると、インスリンというホルモンが過剰に出て、長期的には血管にダメージを与える可能性があります。
食物繊維による血糖コントロールの改善は、結果として血管を健康に保ち、血圧を安定させることに役立つと考えられています。
また、食物繊維は腸の中の細菌によって分解されて、短鎖脂肪酸という物質を作ります。
近年の研究では、この物質が血管を広げる作用や、体の中の血圧を調整するシステム(レニン-アンジオテンシン系)の働きを整える可能性が示唆されています。
SCFAは、血管壁の弛緩やレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)の調節を介して血管拡張作用を発揮する可能性がある[ 12 ]。
引用:PubMed Central The Relationship Between Dietary Fiber Intake and Blood Pressure Worldwide: A Systematic Review
ただし、ヒトでの証拠はまだ発展途上です。
食物繊維を摂ることは、腸内の細菌のバランスを良くする効果もあります。
最近の研究では、腸内細菌のバランスが乱れることと高血圧に関係があることが示されており、食物繊維による腸内環境の改善が血圧管理に役立つ可能性があります。
高血圧の患者さんを対象とした研究をまとめた分析では、食物繊維の摂取量を増やすことで、血圧の上の数値が平均で約4mmHg、下の数値が約3mmHg下がることが示されています。
高血圧の成人を対象とした試験から得られた確実性の高いエビデンスでは、食物繊維摂取量の増加により、収縮期血圧(MD 4.3 mmHg(95% CI 2.2 ~ 5.8))および拡張期血圧(MD 3.1 mmHg(95% CI 1.7 ~ 4.4))が減少することが示されています。
引用:PubMed Central Dietary fibre in hypertension and cardiovascular disease management: systematic review and meta-analyses
また、食物繊維の摂取量を1日5〜10g増やすごとに、上の血圧が約1〜2mmHg程度下がると推定されています。
よくある質問(FAQ)
- 高血圧でもピーナッツバターは食べていい?
-
砂糖・塩なしのピーナッツバターであれば、適量(1日大さじ1杯程度)は一般的には許容範囲と考えられます。
ただし、お店で売られているピーナッツバターには砂糖や塩が加えられているものが多いため、買うときに原材料の表示を必ず確認しましょう。
ピーナッツだけ、または植物油とピーナッツだけで作られた商品を選ぶことをおすすめします。
- ナッツアレルギーがある場合の代替食品は?
-
ナッツアレルギーがある方は、種実類(かぼちゃの種、ひまわりの種、ごまなど)で代わりにできる可能性があります。
これらも体に良い油やミネラルが豊富ですが、ナッツと種実類の間に交差反応が起こる場合もあるため、必ずアレルギー専門医に相談してから食べてください。
また、血圧管理には他の食品(青魚、豆類、緑黄色野菜など)でも役に立つ栄養を摂ることができます。
- すでに塩分の多い食事をしている場合、ナッツは控えるべき?
-
普段の食事で塩分を多く摂っている方こそ、塩なしのナッツがおすすめです。
ナッツに含まれるカリウムが、体の中の余分な塩分を外に出す手助けをする可能性があります。
ただし、根本的には食事全体の塩分量を減らす努力が最も大切です。
減塩に取り組みながら、同時に塩なしのナッツを適量取り入れることを検討してください。
- ナッツを食べるタイミングはいつがいい?
-
特に決まった時間はありませんが、おやつとして食べるのがおすすめです。
食事と食事の間に適量のナッツを食べることで、空腹感を和らげて、次の食事で食べ過ぎるのを防ぐ効果が期待できます。
ただし、寝る直前は避けて、夕方までに食べるようにしましょう。
- ナッツ以外で高血圧に良い間食は?
-
砂糖なしのヨーグルト、果物(りんご、バナナ、みかんなど)、野菜スティック、枝豆、小魚、塩なしの煮干しなどがおすすめです。
これらもカリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維などが含まれており、血圧管理に役立つ可能性があります。
まとめ
高血圧の方にとって、ナッツは選び方と食べ方に気をつければ、血圧管理に役立つ可能性のある食品です。
最も大切なポイントは、塩味付きではなく塩なし・素焼きのナッツを選ぶことです。
塩味付きナッツの塩分は血圧を上げる原因となりますが、塩なしのナッツには血管を健康に保つ体に良い油、マグネシウム、カリウム、食物繊維などがたくさん含まれています。
- 塩なし・素焼きタイプを選ぶ
- 1日片手一握り(約30g)を守る
- パッケージの表示を必ず確認する
- 開封後は密閉容器で保存し、早めに食べきる
- 腎臓に問題がある方は医師に相談してから始める
適量は1日片手一握り(約30g)です。
これはアーモンドなら約23粒、くるみなら約14片(7個分)に相当します。
この量を守れば、体重が増える心配は少なく、血圧に良い影響をもたらす栄養を摂ることができる可能性があります。
ナッツの種類によって栄養の構成は違いますが、塩なしであればどの種類も血圧管理に役立つと考えられます。
くるみはオメガ3脂肪酸が豊富、ピスタチオはカリウムが多い、アーモンドは食物繊維が豊富といった特徴があります。
ミックスナッツを選ぶ場合も、必ず塩なし・素焼きタイプを選びましょう。
ナッツだけで血圧を大きく下げることはできませんが、バランスの取れた食事の一部として適量を続けて食べることで、血圧管理の助けになる可能性があります。
ただし、すでに血圧のお薬を飲んでいる方や、腎臓に問題がある方は、カリウムの摂取制限が必要な場合もありますので、ナッツを毎日食べる前に必ず主治医にご相談ください。
PubMed Effect of reduced dietary sodium on blood pressure: a meta-analysis of randomized controlled trials
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