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高血圧の人が1日に摂っていい塩分量は?減塩のコツと注意点を解説

高血圧の人が1日に摂っていい塩分量は?減塩のコツと注意点を解説

高血圧と診断されて、医師から「塩分を控えてください」と言われたものの、具体的にどれくらい減らせばいいのか、どうやって減らせばいいのか分からないという声をよく耳にします。

塩分を控えることが大切だと分かっていても、何から始めればいいのか戸惑う方も多いでしょう。

日本人は世界的に見ても塩分の摂りすぎが問題となっています。

醤油や味噌、漬物といった毎日の食卓に並ぶ食品に塩分が多く含まれているためです。

実際、日本人は平均して1日約9.7gの塩分を摂っていますが、高血圧の方が目指すべき目標は6g未満です。

つまり、平均的な日本人は毎日約4g近く余分な塩分を摂ってしまっているのです。

高血圧の人が1日に摂っていい塩分量
  • 高血圧の人は1日6g未満が目標(日本高血圧学会推奨)​
  • 健康な成人は男性7.5g未満・女性6.5g未満が目標​
  • WHOは全成人に5g未満を推奨(国際基準はより厳格)​
  • 日本人の平均は9.7gで目標より約4g多い現状​
  • 腎臓病併発時や血圧コントロールが困難な場合は医師の判断で制限強化

高血圧を放っておくと、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気につながる危険性があります。

その予防や改善に欠かせないのが減塩です。

塩分を摂りすぎると体に水分が溜まり、血液の量が増えて血管に負担がかかります。

その結果、血圧が上がってしまうのです。

しかし、減塩というと「味気ない食事になる」「続けられない」といった不安を感じる方も少なくありません。

実は、ちょっとした工夫で美味しく減塩することは十分可能です。

この記事では、高血圧の方が目指すべき具体的な塩分量、塩分が血圧を上げる仕組み、そして毎日の食事で無理なく減塩を続けるための実践的なコツについて、わかりやすく解説します。

また、やりすぎにも注意が必要な理由についても触れ、安全で効果的な減塩の方法をお伝えします。

この記事でわかること
  • 高血圧の人が1日に摂っていい塩分の目標量
  • 塩分が血圧を上げる仕組み
  • 日本人の平均塩分摂取量と多く含まれる食品
  • 毎日の食事で無理なく減塩する具体的な方法
  • 減塩しすぎに注意が必要な理由
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

高血圧の人の1日の塩分量は6g未満が目標

高血圧の治療では、薬を飲むことと同じくらい、塩分を控えることが大切です。

では、具体的にどれくらいの塩分量を目指せばよいのでしょうか。

日本高血圧学会という専門家の団体は、高血圧の方に対して1日6g未満の食塩摂取を強く勧めています。

6gというのは、味噌汁約3杯分(1杯あたり1.5〜2gとみたした場合)に相当する塩分量です。

今の日本人の平均と比べると、かなり少ない量に感じられるかもしれません。

この6g未満という目標は、多くの研究によって「血圧を下げる効果がある」と確認されている数字です。

世界保健機関(WHO)という国際的な機関は、すべての大人に対して1日5g未満を勧めており、日本の基準よりもさらに厳しくなっています。

一方、日本の厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」では、健康な大人の目標を男性7.5g未満、女性6.5g未満としています。

しかし、すでに高血圧と診断されている方は1日6g未満、慢性腎臓病の方はさらに厳しく5g未満程度を目標とすることが勧められています。

この章では、健康な人と高血圧の人との目標値の違いや、海外の基準との比較、そして血圧の高さによって目標量が変わるのかといった疑問について詳しく説明します。

健康な人との違いと国際的な基準

健康な人の場合、日本では男性7.5g未満、女性6.5g未満という目標が設定されています。

しかし、すでに高血圧と診断されている方は、より厳しい基準である6g未満を目指す必要があります。

なぜ高血圧の人のほうが厳しいのかというと、すでに血圧が高い状態では、塩分による血管への負担がより大きな影響を与える可能性があるためです。

例えるなら、すでに傷んでいる家の柱に、さらに重いものを乗せるようなものです。

【1日の塩分摂取目標量の比較】

対象目標量参考
高血圧の方6g未満日本高血圧学会
一般成人男性7.5g未満厚生労働省
一般成人女性6.5g未満厚生労働省
すべての成人5g未満WHO(世界保健機関)
理想的な摂取量3.8g未満アメリカ心臓協会

海外の基準を見ると、アメリカ心臓協会は理想的なナトリウム摂取量として1日1,500mg未満(食塩換算で約3.8g)を勧めていますが、これはかなり厳しい基準です。

まずは現実的な目標として6g未満を目指し、慣れてきたら少しずつ減らしていくのが良いでしょう。

血圧の数値によって目標量は変わる?

基本的に、高血圧と診断された方は全員、1日6g未満を目標とします。

血圧の数値が少し高いか、かなり高いかによって目標量が細かく変わるわけではありません。

ただし、腎臓病も一緒に患っている場合や、血圧のコントロールがとても難しい場合には、医師の判断でもっと厳しい制限が必要になることもあります。

また、血圧が正常範囲でも、上が130-139、下が80-89という「高値血圧」に当てはまる方は要注意です。

このレベルの方は将来高血圧になりやすいため、予防のために今から減塩を心がけることが勧められています。

塩分を摂ると血圧が上がる理由は体内に水分が溜まるから

なぜ塩分を摂りすぎると血圧が上がるのでしょうか。

その仕組みを知ることで、減塩の大切さがより実感できるはずです。

私たちが食事から摂った塩分は、血液の中に入っていきます。

血液の中の塩分濃度が高くなると、体は「薄めなければ」と判断して、水分を血管の中に引き込みます。

すると、血管の中を流れる血液の量が増えて、血管の壁を押す力が強くなります。

これが血圧が上がる仕組みです。

水道のホースをイメージしてみてください。

ホースの中を流れる水の量が増えれば増えるほど、ホースの内側にかかる圧力は強くなりますよね。

血管も同じで、血液の量が増えると血管壁にかかる圧力が高まるのです。

さらに問題なのは、高い血圧が続くことで血管自体が傷んでしまうことです。

血管は常に強い圧力にさらされると、だんだん厚く硬くなっていきます。

これが「動脈硬化」と呼ばれる状態で、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる病気の原因となります。

この章では、塩分が血圧を上げる詳しい仕組みと、減塩によって期待できる効果について説明します。

塩分が血液量を増やして血管に負担をかける

食事で塩分を摂ると、血液の中の塩分濃度が高くなります。

すると体は、濃くなった血液を薄めようとして水分を血管の中に引き込みます。

この結果、血管の中を流れる血液の量が増えて、血管の壁にかかる圧力が高まり、血圧が上がるのです。

もう少し詳しく説明すると、こういう流れになります。

塩分が血圧を上げる仕組み
  1. 塩分を摂りすぎる
  2. 血液中の塩分濃度が上がる
  3. 脳が「喉が渇いた」という信号を出す
  4. 水分を摂取する
  5. 血管内の血液量が増える
  6. 血管壁にかかる圧力が高まる
  7. 血圧が上昇する

本来、腎臓が余分な塩分と水分を尿として体の外に出してくれるのですが、塩分を摂りすぎる状態が続くと、この調整が追いつかなくなってしまいます。

そして、慢性的に血圧が高い状態が続くことになります。

血圧が高い状態が長く続くと、血管はいつも強く押されている状態になり、だんだん厚く硬くなっていきます

これが動脈硬化です。

動脈硬化は、脳梗塞や心筋梗塞などの原因となります。

また、心臓に無理な負担がかかり続けることで、心臓が大きくなったり(心臓肥大)、最終的には心不全につながることもあります。

減塩すると血圧が下がる効果が期待できる

逆に言えば、塩分を減らすことで血圧を下げる効果が期待できます。

これは多くの研究で確かめられています。

例えば、アメリカで行われた大規模な研究では、塩分摂取を1日約9gから約3gに減らしたところ、上の血圧(収縮期血圧)が約6.7下がったという結果が出ています。

ナトリウム摂取量を高レベルから中レベルに減らすと、対照食では収縮期血圧が2.1 mmHg(P<0.001)、DASH食では1.3 mmHg(P=0.03)低下した。ナトリウム摂取量を中レベルから低レベルに減らすと、対照食でさらに4.6 mmHg(P<0.001)、DASH食で1.7 mmHg(P<0.01)低下した。

引用:PubMed Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) diet. DASH-Sodium Collaborative Research Group

血圧計で測った時の「上の数字」が6.7下がるというのは、かなり大きな効果です。

また、世界中の85の研究をまとめて分析したところ、塩分摂取量と血圧の間には明確な関係があることが分かりました。

食事性ナトリウム曝露量の範囲全体にわたって、ナトリウム摂取量と収縮期血圧および拡張期血圧の低下との間にほぼ直線関係が認められました。

引用:PubMed Blood Pressure Effects of Sodium Reduction: Dose-Response Meta-Analysis of Experimental Studies

つまり、塩分を減らせば減らすほど、血圧が下がる効果が期待できるということです。

さらに、減塩には血圧を下げる以外の効果もある可能性が示唆されています。

一部の研究では、血圧が同じ高さでも、塩分を多く摂っている人のほうが脳卒中になりやすいというデータが出ています。

つまり、減塩は血圧の数値だけでなく、体全体の健康に良い影響をもたらす可能性があるのです。

日本人の平均は1日10g以上で摂りすぎている

では、実際に日本人はどれくらいの塩分を摂っているのでしょうか。

また、なぜ日本人の塩分摂取量は多いのでしょうか。

日本の食卓を思い浮かべてみてください。

醤油、味噌、漬物といった食品は、私たちの食生活に欠かせないものです。

しかし、これらには保存を良くするために多くの塩分が含まれています。

昔から受け継がれてきた日本の食文化が、実は塩分過多の原因の一つとなっているのです。

現代では、これらの伝統的な食品に加えて、スーパーやコンビニで買える加工食品や、外食の機会が増えたことで、知らず知らずのうちに塩分を摂りすぎてしまう傾向があります。

厚生労働省の調査データを見ると、日本人の平均塩分摂取量は少しずつ減ってはいますが、それでも高血圧の方が目指すべき目標をかなり上回っています。

この章では、日本人の今の塩分摂取状況と、塩分が多く含まれる食品について具体的に見ていきます。

どんな食品に塩分が多いのかを知ることで、効果的な減塩ができるようになります。

目標の6gと比べて4g以上も多い現状

厚生労働省が令和4年(2022年)に行った調査によると、日本人の1日の食塩摂取量は平均9.7gで、男性は10.5g、女性は9.0gでした。

高血圧の方の目標である6gと比べると、平均でも約4g近く多く摂っていることになります。

この4gというのは、醤油なら大さじ1杯半、梅干しなら2個分くらいに相当します。

毎日これだけ余分に摂っているということです。

【日本人の塩分摂取状況(令和4年)】

区分1日の塩分摂取量
日本人男性の平均10.5g
日本人女性の平均9.0g
日本人全体の平均9.7g
高血圧の方の目標6g未満
目標との差約4g多い

過去10年間で少しずつ減ってはいますが、世界的に見るとまだまだ多い状況です。

アメリカ人の平均摂取量は約8.6gですから、日本人のほうがやや多いレベルです。

高血圧と診断されている方の大半も、目標の6g未満を達成できていないのが現実です。

興味深いことに、人間の体が正常に働くために最低限必要なナトリウム量は、1日200〜500mg程度(食塩換算で約0.5〜1.3g)と言われています。

つまり、日本人の平均摂取量は、体が本当に必要とする量の数倍以上にもなっているのです。

醤油や味噌など和食に塩分が多い理由

日本人の塩分摂取量が多い理由の一つは、毎日使う調味料にあります。

醤油、味噌、漬物といった和食の基本的な食材には、昔から保存を良くするために多くの塩分が使われてきました。

身近な食品に含まれる塩分量(代表値)】

食品分量塩分量
濃口醤油大さじ1杯(15ml)約2.6g
味噌汁1杯約1.2〜2g
梅干し1個約2g
漬物(たくあん)3切れ約1〜2g
ラーメン(汁含む)1杯約5〜6g
カップラーメン1個約5〜7g
食パン6枚切り1枚約0.8g

ラーメンを食べて汁を全部飲んでしまうと、それだけで6g近い塩分を摂ってしまうこともあります。

これは1日分の目標量に相当します。

また、最近では加工食品や出来合いの惣菜が増えたことも、塩分過多の原因となっています。

アメリカのデータでは、摂取する塩分の約70%以上が加工食品や外食由来という報告があり、日本でも加工食品・外食の寄与が大きいと指摘されています。

意外なのは、パンや乳製品、ハムやソーセージなどの加工肉、スナック菓子など、あまり塩辛く感じない食品にも塩分が含まれていることです。

「塩辛くないから大丈夫」と思っていても、知らず知らずのうちに塩分摂取量が増えてしまうのです。

毎日の食事で無理なく減塩する5つの方法

減塩と聞くと「美味しくない食事になってしまう」と心配される方も多いでしょう。

しかし、工夫次第で美味しく減塩することは十分可能です。

実は、減塩を始めた最初の頃は「物足りない」と感じても、数週間続けると味覚が変わってきて、薄味でも十分美味しく感じられるようになります。

これは多くの人が経験していることで、研究でも確かめられています(ただし個人差があります)。

つまり、減塩は最初の一歩を踏み出すことが一番大切なのです。

この章では、毎日の食事で実践できる具体的な減塩のコツをご紹介します。

料理の工夫から外食するときの注意点、味覚を慣らすコツまで、無理なく続けられる方法を説明します。

全部を一度にやる必要はありません。

できそうなことから少しずつ始めて、自分に合った減塩のやり方を見つけていきましょう。

だしや香辛料で味にメリハリをつける

減塩の基本は、塩味だけに頼らないことです。

昆布やカツオ、煮干しなどでしっかり出汁を取ると、調味料を減らしても旨みのある美味しい料理ができます。

出汁を取ることで旨み成分が増えるので、塩分が少なくても満足できる味になります

「出汁を取るのは面倒」という方は、市販の出汁パックを使うのも良いでしょう。

ただし、顆粒だしの中には塩分が入っているものもあるので、「無塩」や「減塩」と書かれた商品を選ぶようにしてください。

塩分の代わりに使える調味料・食材
  • 香味野菜: 生姜、にんにく、ネギ、シソ、ミョウガ
  • 香辛料: 胡椒、唐辛子、カレー粉、山椒
  • 酸味: 酢、レモン、ゆず、すだち、ポン酢(減塩タイプ)
  • ハーブ類: バジル、パセリ、ローズマリー、タイム
  • 出汁: 昆布、カツオ、煮干し、干し椎茸

これらは塩分を含まず(または少なく)、料理に香りと風味を加えてくれます。

外食ではメニュー選びを工夫する

外食やテイクアウトの料理は、家で作る料理に比べて塩分が多い傾向があります。

外食の機会が多い方は、メニューの選び方や食べ方を工夫しましょう。

外食時の減塩ポイント
  • 注文時に「塩を少なめにしてください」とお願いする
  • ソースやドレッシングは別添えにしてもらい、少量だけ使う
  • 醤油は料理にかけず、小皿に取ってつけて食べる
  • 定食より単品を選ぶ(ただし単品でもラーメンなど塩分の多いメニューに注意)
  • ラーメンやうどんの汁は飲み干さず残す
  • 漬物は控えめにする
  • 量が多い場合は、友人や家族と分け合う

多くのお店では「塩控えめ」のお願いに対応してくれます。

遠慮せずに伝えてみましょう。

数週間続ければ薄味に慣れてくる

「薄味では満足できない」と思う方もいるかもしれませんが、実は味覚は慣れる能力を持っています。

研究によると、塩分を控え始めてから数週間で、少ない塩味でも十分に感じられるようになることが分かっています。

ある研究では、16週間の減塩プログラムに参加した高血圧の患者さんの塩分摂取量が平均で30%も減り、さらに「薄味の食事の満足度」が10点満点で4.8点から6.5点に上がったという結果が出ています。

つまり、最初は物足りなく感じても、続けているうちに薄味でも美味しく感じられるようになるということです。

【段階的な減塩の進め方(一例)】

ステップ塩分の量期間の目安
現在100%
第1段階75%に減らす1〜2週間
第2段階50%に減らすさらに1〜2週間
第3段階25%に減らすさらに1〜2週間
目標達成1日6g未満

コツは、急に塩分を減らすのではなく、少しずつ減らしていくことです。

例えば、いつもの塩分量を100%とした場合、まずは75%に減らします。

それに慣れたら50%、さらに25%と段階的に減らしていくことで、味覚が無理なく変化していきます。

数週間続けると、外食で「しょっぱすぎる」と感じるようになる方も少なくありません。

これは味覚が変わってきた証拠です(ただし個人差があります)。

減塩しすぎにも注意が必要な理由

減塩は高血圧の治療に大切ですが、やりすぎにも注意が必要です。

塩分は体にとって必要なものであり、適切な量を摂ることが大切なのです。

塩分は体の中の水分バランスを整えたり、神経や筋肉が正常に働くために欠かせない栄養素です。

極端に不足すると、体調を崩してしまう可能性があります。

ただし、普通に食事をしている限り、極端な塩分不足になることはまれです。

問題となるのは、急に過度な減塩をした場合や、特定の病気を持っている場合です。

この章では、減塩しすぎのリスクと、特に注意が必要な方について説明します。

安全で効果的な減塩を行うためには、正しい知識を持ち、必要なときは医師に相談することが大切です。

減塩は「やればやるほど良い」というものではなく、適切なバランスを保つことが重要なのです。

極端な塩分制限で体調を崩すこともある

塩分は、体の中の水分バランスを調整したり、神経や筋肉が正常に働くために必要不可欠なものです。

極端に塩分が不足すると、「低ナトリウム血症」という、血液の中の塩分濃度が異常に低い状態になる可能性があります。

低ナトリウム血症の主な症状
  • だるさ、疲労感
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 頭が混乱する
  • 筋肉がけいれんする
  • 重症の場合:意識障害、けいれん発作

ただし、普通に食事をしている限り、極端な塩分不足になることはめったにありません。

体が正常に働くために最低限必要なナトリウム量は、1日200〜500mg程度(食塩換算で約0.5〜1.3g)と言われています。

しかし、通常の食事ではこれを大きく下回ることはありません。

日本人の食事摂取基準では、暑い場所での仕事や激しい運動をする場合以外では、普通に食事をしていれば極端な塩分不足になることはないと説明されています。

通常の食事では、最低限必要な量を大きく下回ることはほとんどありません。

それでも、急に極端な減塩をしたり、水分を飲みすぎたりすると、問題が起きる可能性があります。

減塩は少しずつ、無理のない範囲で行うことが大切です。

腎臓病や心臓病がある場合は医師に相談を

病気を持っている方は、減塩について自分だけで判断せず、必ず医師に相談してください。

腎臓病の方

塩分だけでなく、カリウムやタンパク質の制限も必要な場合があります。

腎臓の働きが悪いと、カリウムを十分に体の外に出せず、血液中のカリウムが多くなりすぎる危険性があります。

減塩のために勧められる野菜や果物にはカリウムがたくさん含まれているため、かえってカリウムの摂りすぎになる可能性があります。

心不全の方

塩分と水分のバランスを慎重に管理する必要があります。

心不全では体に水分が溜まりやすくなるため、塩分制限と同時に水分制限が必要な場合もあります。

糖尿病の方

高血圧を一緒に発症しやすく、腎臓病になるリスクも高いため、早めから減塩に取り組むことが勧められています

ただし、血糖値のコントロールと減塩の両立には専門的な栄養指導が役立ちます。

降圧薬(特に利尿剤)を服用中の方

薬の働きで塩分やカリウムのバランスが変わることがあります。

定期的な血液検査でバランスをチェックする必要があります。

これらの病気をお持ちの方は、医師や管理栄養士の指導を受けながら、適切な塩分摂取量を維持することが大切です。

よくある質問(FAQ)

減塩調味料は効果がありますか

減塩醤油や減塩味噌などは、普通の調味料に比べて塩分が25〜50%程度カットされています。

同じ量を使っても塩分摂取を減らせるので効果的です。

ただし「減塩」と書いてあるからといって、たくさん使いすぎないように注意してください。

また、塩分の一部をカリウムで置き換えた製品もありますが、腎臓病の方は医師に相談してから使うようにしてください。

夏場は汗をかくので塩分を多めに摂ったほうがいいですか

夏は汗で塩分も失われますが、日本人は普段から塩分を摂りすぎています。

高血圧の方は、大量に汗をかいた場合を除き、夏でも塩分制限を続けるべきです。

水分はしっかり摂って、熱中症に気をつけてください。

炎天下で長時間作業したり、激しい運動をする場合は塩分補給が必要ですが、普通の日常生活では特別な塩分補給は必要ありません。

カリウムを摂ると塩分の害を減らせると聞きましたが本当ですか

野菜や果物にたくさん含まれるカリウムには、腎臓から塩分を尿として出しやすくする働きがあります。

研究でも、カリウムを多く摂ることと血圧が下がることの関係が示されています。

ただし、腎臓の病気がある方はカリウムの制限が必要な場合があるため、主治医に相談してください。

また、カリウムを摂っているからといって塩分を多く摂って良いわけではありません。

減塩とカリウム摂取の両方を心がけることが大切です。

まとめ

高血圧の方は1日6g未満の食塩摂取を目標とすることが勧められています。

これは日本人の平均摂取量と比べてかなり少ない量ですが、出汁や香辛料で風味を補い、段階的に減らしていくことで、無理なく達成を目指せる目標です。

塩分を摂りすぎると体に水分が溜まり、血液の量が増えて血圧が上がります。

減塩することで血圧を下げる効果が期待でき、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを減らすことができます。

減塩のポイントは、料理の工夫、外食での注意、そして味覚が慣れるのを待つことです。

数週間続けることで薄味にも慣れてきます(個人差があります)。

ただし、極端な減塩や病気を持っている場合は、医師に相談しながら進めることが大切です。

高血圧をコントロールするには、減塩だけでなく適度な運動、体重管理、禁煙なども大切です。

生活習慣全体を見直し、できることから少しずつ始めていきましょう。

参考文献・参考サイト

厚生労働省 高血圧

World Health Organization Effect of longer-term modest salt reduction on blood pressure

特定非営利活動法人 日本高血圧学会 減塩・栄養委員会の取組、活動

厚生労働省「ナトリウム(食塩)とカリウムを測って健康に – ナトカリ手帳

PubMed Report of the Working Group for Dietary Salt Reduction of the Japanese Society of Hypertension: (1) Rationale for salt restriction and salt-restriction target level for the management of hypertension

National Center for Biotechnology Information Recommendations and remarks – Guideline: Sodium Intake for Adults and Children

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)

American Heart Association How Much Sodium Should I Eat Per Day?

ScienceDirect Executive summary of the KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease: known knowns and known unknowns

American Heart Association Journals Sodium Restriction in Patients With Heart Failure: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials

PubMed Central Sodium Intake and Hypertension

ScienceDirect Salt Reduction to Prevent Hypertension and Cardiovascular Disease: JACC State-of-the-Art Review

PubMed Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) diet. DASH-Sodium Collaborative Research Group

PubMed Blood Pressure Effects of Sodium Reduction: Dose-Response Meta-Analysis of Experimental Studies

国立循環器病研究センター 減塩食について

厚生労働省「令和4年 国民健康・栄養調査結果の概要

横浜市保土ケ谷区 日本人は塩分をとりすぎています!

Salt Market Info 20% less salt shall be consumed in the US

文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)

PubMed Dietary salt intake in Japan – past, present, and future

American Heart Association Shaking the Salt Habit to Lower High Blood Pressure

Centers for Disease Control and Prevention Tips for Reducing Sodium Intake

U.S. Food and Drug Administration Sodium in Your Diet

Oxford Academic gradual taste adaption intervention reduced dietary sodium intake among adults with hypertension

National Center for Biotechnology Information Hyponatremia

PubMed Central Nutritional management in patients with chronic kidney disease

Harvard T.H. Chan School of Public Health Salt and Sodium

National Center for Biotechnology Information Congestive Heart Failure and Pulmonary Edema

PubMed Central Dietary Sodium Intake in Type 2 Diabetes

National Center for Biotechnology Information Thiazide Diuretics

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