高血圧の治療を受けている方や血圧が気になる方の中には、首の後ろに痛みを感じて「これは血圧が高いせいではないか」と不安になった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、首の痛みと血圧には関係がある場合とない場合があり、正しい知識を持つことが大切です。
多くの方が誤解されているのですが、少し高めの血圧程度では、首の痛みや頭痛といった症状は通常現れません。
高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれるほど、多くの場合は自覚症状がないまま進行することが特徴です。
しかし、血圧が急に上がった場合や、非常に高い値(上が180、下が120以上)になった場合には、首の後ろの痛みや頭痛が現れることがあります。
- 軽度から中程度の高血圧では通常自覚症状がない
- 血圧が180/120以上に急上昇すると首の痛みが現れる
- 血管への圧力増加で周辺筋肉が緊張し痛みが生じる
- 交感神経の過活動により筋肉緊張や血管収縮が起こる
- ストレスや猫背などの悪い姿勢が主な原因のことも多い
また、高血圧そのものではなく、ストレスや猫背などの悪い姿勢が首の痛みの主な原因となっているケースも少なくありません。
この記事では、高血圧と首の後ろの痛みの関係について、医学的な根拠に基づいて詳しく解説します。
痛みが生じる仕組み、一緒に現れやすい症状、すぐに病院へ行くべき危険なサイン、そして自宅でできる対処法まで、わかりやすくお伝えします。
首の痛みを正しく理解し、適切に対処することで、安心して日常生活を送ることができるようになります。
- 高血圧で首の後ろが痛くなる体の仕組み
- 首の痛みと一緒に現れやすい症状
- すぐに病院へ行くべき危険なサインの見分け方
- 自宅でできる対処法と予防のポイント
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
高血圧による首の後ろの痛みは血管への負担と筋肉の緊張が原因
首の後ろの痛みと高血圧の関係を理解するには、まず「どの程度の高血圧で痛みが出るのか」を知ることが重要です。
血圧には「上の血圧(収縮期血圧)」と「下の血圧(拡張期血圧)」がありますが、上が140〜179、下が90〜109という少し高めから中程度の高血圧では、多くの場合、首の痛みや頭痛といった症状は現れませんが、一部の方では朝方の頭痛などが関連することもあります。
これは、高血圧のある方の多くが「血圧が高いときは頭が重い」「首が痛いと血圧が上がっている」と感じていても、実際には明確な関係がないことを意味しています。
| 血圧の分類 | 上の血圧(mmHg) | 下の血圧(mmHg) | 首の痛みや頭痛 |
|---|---|---|---|
| ステージ1 | 130〜139 | 80〜99 | 通常は現れない |
| ステージ2 | 140以上 | 90以上 | 通常は現れない |
| 高血圧クライシス | 180以上 | 120以上 | 現れる可能性が高い |
一方で、血圧が急に上がった場合や、いつも非常に高い血圧が続いている場合には、首の後ろに痛みを感じることがあります。
これは、血管にかかる圧力の変化、筋肉の緊張、神経への刺激など、いくつかの仕組みが関わっています。
また、高血圧とは直接関係なく、ストレスや悪い姿勢が首の痛みの主な原因となっているケースも多く見られます。
つまり、「首が痛い=血圧が高い」とは限らないのです。
しかし、すでに高血圧と言われている方で新たに首の痛みが現れた場合や、他の症状を伴う場合は、念のため血圧を測定し、医師に相談することをお勧めします。
以下では、高血圧が首の痛みを引き起こす可能性のある具体的な仕組みについて、3つのポイントから詳しく解説していきます。
血圧上昇で首の血管が圧迫され筋肉が緊張する
血圧が上がると、全身の血管にかかる圧力が高まります。
首には脳へ血液を送る重要な血管が通っており、これらの血管を取り巻く組織や筋肉にも負担がかかることがあります。
血管の壁に強い圧力がかかると、血管が広がったり、周辺の組織が刺激されたりして、痛みや不快感として感じられる可能性があります。
特に首の後ろには、頭を支え、首の動きをコントロールする重要な筋肉がたくさんあります。
日常生活で常に働いているこれらの筋肉は、血圧の変化に伴って血管が広がったり縮んだりすると、緊張しやすくなり、凝りや痛みとして感じられることがあります。
ここで少し体の仕組みについて説明します。
私たちの体には「自律神経」という、自分の意思とは関係なく体の機能を調整する神経があります。
この自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、交感神経は緊張したときやストレスを感じたときに活発になり、心拍数を上げたり、血管を縮めたりする働きがあります。
交感神経の過活動は高血圧の重要なメカニズムの一つです。
高血圧の状態が続くと交感神経が刺激され、筋肉の緊張や血管の収縮が引き起こされると考えられています。
腎臓、心臓、骨格筋血管系への交感神経流出の活性化が実証され、典型的には全体的な交感神経活動が2倍または 3 倍になり、神経性高血圧症候群がすべての高血圧症例の 50% 未満を占めるという証拠がありました。
引用:American Heart Association Journals Sympathetic Pathophysiology in Hypertension Origins: The Path to Renal Denervation
その結果、首の痛みだけでなく、肩こりや頭痛といった症状にもつながることがあります。
また、高血圧の状態が長く続くと、血管の壁が硬くなってしまいます(これを動脈硬化と言います)。
血管が硬くなると血液の流れが悪くなります。
また、長時間同じ姿勢を続けたりストレスが多い生活を送ったりすると、筋肉への血流が低下し、痛みや凝りとして感じられることがあります。
高血圧性の頭痛が首の後ろの痛みとして現れることがある
血圧がかなり高くなった場合、頭痛が起こることがあり、その痛みが首の後ろまで広がることがあります。
ただし、繰り返しになりますが、少し高めの血圧程度では頭痛は起こりにくく、頭痛が現れるのは主に血圧が危険なレベルまで上がったときです。
具体的には、上の血圧が180以上、下の血圧が120以上になると、高血圧による頭痛が起こる可能性が高まります。
このような状態を「高血圧クライシス(高血圧の危機的状況)」と呼び、すぐに治療が必要な緊急事態とされています。
- 頭の両側に痛みが現れることが多い
- ドクドクと脈打つような拍動性の痛み
- 後頭部や首の後ろに現れることがある
- 体を動かしたり階段を上ったりすると悪化する
- 朝起きたときに痛みを感じる場合もある
なぜ血圧が高くなると頭痛が起こるのでしょうか。
これは、脳を保護する仕組みと関係しています。
私たちの脳は特殊なバリア(血液脳関門)で守られており、有害な物質が脳に入らないようになっています。
しかし、血圧が非常に高くなると、このバリアに過剰な圧力がかかり、脳の周辺に水分が漏れ出して腫れが生じることがあります。
頭の骨の中は限られた空間なので、少しでも腫れると脳に圧力がかかり、激しい頭痛や首の痛みとして感じられるのです。
ただし、重要なのは、「頭痛がある=血圧が高い」とは限らないという点です。
実際、頭痛の原因は、緊張型頭痛(ストレスや筋肉の緊張による頭痛)、片頭痛、副鼻腔炎(鼻の奥の炎症)、眼精疲労(目の疲れ)など、高血圧以外にも数多く存在します。
そのため、首の後ろに痛みを感じた場合は、高血圧だけでなく、他の原因も考慮する必要があります。
ストレスや姿勢の悪さが痛みを悪化させる
高血圧そのものだけでなく、日常生活の中のストレスや姿勢の問題も、首の痛みに大きく影響します。
実は、ストレスと高血圧、そして首の痛みは、互いに影響し合う関係にあるのです。
まず、ストレスが血圧に与える影響について説明します。
仕事のプレッシャーや人間関係の悩み、お金の心配などのストレスを感じると、体は「戦うか逃げるか」という反応を示します。
この反応では、先ほど説明した交感神経が活発になり、心臓がドキドキして、血管が縮んで血圧が一時的に上がります。
短時間のストレスであれば問題ありませんが、いつもストレスを抱えていると、血圧が高い状態が続きやすくなります。
高血圧の発症には、この系の反復的な活性化、ストレス要因の後に安静時の血圧レベルへの回復の失敗、同じ種類のストレス要因の反復に対する慣れの失敗、あるいはこれらの組み合わせが関与している可能性があります[ 48 ]。
引用:PubMed Central Chronic Psychosocial Stress and Hypertension
同時に、ストレスは筋肉にも影響を与えます。
緊張やストレスを感じると、無意識のうちに肩や首の筋肉に力が入り、筋肉が硬くこわばった状態が続きます。
特に首や肩の筋肉は、ストレスの影響を受けやすい部位です。
この筋肉の緊張が長時間続くと、血の巡りが悪くなり、疲労物質が溜まって痛みや凝りとして感じられるようになります。
さらに、姿勢の問題も見逃せません。
現代社会では、長時間のデスクワーク、スマートフォンやパソコンの使用などにより、前かがみの姿勢を続ける機会が増えています。
頭は約5キロもの重さがあり、前に傾けば傾くほど、首の後ろの筋肉に大きな負担がかかります。
例えば、スマートフォンを見るために頭を深く前に傾けると、首には普段の何倍もの負荷がかかります。
このような悪い姿勢を続けることで、首の後ろの筋肉が常に引っ張られ、過度な負担がかかり続けます。
ストレス → 血圧上昇 → 筋肉緊張 → 痛み → さらなるストレス
興味深いことに、慢性的な首の痛みと血圧上昇は互いに関連し合うことが研究で示されています。
痛みはそれ自体がストレスとなり、交感神経を刺激することで血圧に影響を与える可能性があります。
つまり、上記のような悪い循環が生じることがあります。
この悪い循環を断ち切るためには、ストレス管理と姿勢の改善、そして適切な血圧コントロールを総合的に行うことが重要です。
めまいや肩こりなど首の痛みに伴って現れやすい症状
首の後ろの痛みは、単独で現れることもありますが、他の症状を伴うこともあります。
これらの付随する症状は、体の状態や血圧の変化を知る重要な手がかりとなります。
特に、首の痛みとともに複数の症状が現れた場合は、血圧が急に上がっている可能性や、より深刻な健康問題が隠れている可能性があるため、注意が必要です。
ここでは、首の後ろの痛みと一緒に現れやすい3つの症状について、それぞれが何を意味するのか、どのように対処すべきかを詳しく解説します。
症状の組み合わせや程度によって、緊急性が変わってくることを理解しておくことが大切です。
また、これらの症状が必ずしも高血圧だけが原因とは限らないことも、念頭に置いておく必要があります。
日頃から自分の体調の変化に注意を払い、異変を感じたら早めに対処することが、重大な事態を防ぐことにつながります。
頭痛やめまいを伴うときは血圧の急上昇に注意
首の痛みに加えて頭痛やめまいが現れた場合は、血圧の変動が関係している可能性があります。
特に、朝起きたときに後頭部や首の後ろに痛みを感じる場合は注意が必要です。
このような症状の組み合わせは、夜中から朝にかけての血圧上昇と関係していることがあります。
ただし、めまいや立ちくらみは血圧低下が原因のこともあります。
血圧が急に上がると脳への血の流れに変化が生じ、めまいや見え方の異常を引き起こすことがあります。
脳は常に一定の血流を保つように調整されていますが、血圧が急に変動すると、この調整がうまく働かなくなることがあるのです。
また、高血圧による頭痛は、脳の血管に過剰な圧力がかかることで、脳を保護する仕組みに影響を与えることが原因と考えられています。
めまいの種類と特徴
| めまいの種類 | 感じ方 | 主な原因 | 高血圧との関連 |
|---|---|---|---|
| 回転性めまい | 自分や周囲がぐるぐる回る感覚 | 耳の奥の平衡感覚を司る器官の問題 | 関連性は低い |
| 浮動性めまい | ふわふわとした感じ、地に足がつかない感覚、立ちくらみ | 血圧の変動、脳への血流の変化 | 関連することがある |
頭痛の性質も重要です。
高血圧に伴う頭痛は、頭の両側に現れることが多く、締め付けられるような痛みや、ズキズキと拍動するような痛みを伴います。
一方、片頭痛は通常、頭の片側に強い痛みが現れ、光や音に敏感になることが特徴です。
緊張型頭痛は、頭全体が締め付けられるような痛みで、ストレスや筋肉の緊張が原因のことが多いです。
もし首の痛みとともに頭痛やめまいを感じたら、まずは血圧を測ってみることをお勧めします。
家に血圧計がない場合は、薬局などで測定できる場合もあります。
血圧が上180/下120以上の場合や、症状が強い場合は、すぐに病院を受診してください。
肩こりや背中の張りは血流悪化のサイン
首の痛みと同時に肩こりや背中の張りを感じる場合、血の巡りが悪くなっていたり、筋肉の緊張が広い範囲に及んでいる可能性があります。
首、肩、背中の筋肉は互いに連動しているため、一か所に問題が生じると、周辺の筋肉にも影響が広がりやすいのです。
筋肉が長時間緊張し続けると、筋肉への血液供給が不十分になることがあります。
筋肉は血液を通して酸素や栄養を受け取り、老廃物を排出しています。
筋肉の緊張により血の巡りが悪くなると、必要な酸素や栄養が届かず、また疲労物質である乳酸などの老廃物がたまりやすくなります。
骨格筋への血流減少により酸素供給が阻害され、組織の代謝要求に十分対応できなくなるという特徴は、患者が深部組織痛を訴える多くの臨床症状の特徴である
引用:PubMed Central Peripheral Mechanisms of Ischemic Myalgia
その結果、筋肉が硬くなり、痛みや凝りとして感じられるようになります。
首の骨の問題が高血圧と関係している場合、首だけでなく肩や上背部にも症状が広がることがあります。
これは、首の骨周辺の交感神経が刺激されることで、より広い範囲の筋肉や血管に影響が及ぶためと考えられています。
交感神経が過度に刺激されると、筋肉が緊張しやすくなり、血管が縮んで血の巡りが悪くなるという悪い循環が生じます。
慢性的な頸部痛は、交感神経興奮と正常な恒常性疼痛調節機構の破綻を介して、高血圧の発症に寄与する可能性がある。
引用:PubMed Central Cervical Spondylosis and Hypertension: A Clinical Study of 2 Cases
また、現代の生活習慣も肩こりや背中の張りに大きく関係しています。
長時間のデスクワーク、パソコン作業、スマートフォンの使用などにより、前かがみの姿勢を長時間続けることが増えています。
この姿勢では、頭が前に出て、肩が内側に巻き込まれ、背中が丸くなります。
その結果、首から肩、背中にかけての筋肉がずっと緊張し、血の巡りが悪くなることになります。
肩こりや背中の張りは、それ自体がストレスとなり、血圧をさらに上げる要因にもなります。
痛みや不快感が続くと、イライラしたり、睡眠の質が下がったりして、全身の健康状態に悪影響を及ぼすこともあります。
したがって、首の痛みだけでなく、肩こりや背中の張りも放置せず、適切に対処することが重要です。
吐き気や動悸は症状が重くなっている可能性がある
首の痛みに加えて吐き気や動悸、息切れなどの症状が現れた場合は、状態がより深刻である可能性があります。
これらの症状は、血圧が危険なレベルまで上がっているか、高血圧による合併症(他の病気)が起きている兆候かもしれません。
- 吐き気や嘔吐(特に朝方に強い場合)
- 動悸(心臓がドキドキと強く速く打つ)
- 息切れ(少しの活動で呼吸が苦しくなる)
- 不安感や恐怖感
- 胸の痛みや圧迫感
吐き気や嘔吐は、血圧が急に上がることで脳の圧力が高まり起こることがあります。
脳は頭の骨という硬い骨に囲まれた限られた空間の中にあるため、脳の圧力が上がると生命維持に重要な部分が圧迫され、吐き気や嘔吐といった症状が現れます。
特に、朝方に強い吐き気を感じる場合は注意が必要です。
動悸は、心臓がドキドキと強く速く打つ感覚です。
高血圧の状態では、心臓は高い圧力に対抗して血液を送り出さなければならないため、心臓に大きな負担がかかります。
その結果、心臓が強く拍動し、動悸として感じられることがあります。
臨床的には、患者は労作時呼吸困難、疲労、動悸、あるいは両足浮腫や肝腫大といった心不全の徴候を呈することがあります。
引用:National Center for Biotechnology Information Hypertensive Heart Disease
また、不安やストレスも動悸を引き起こす要因となります。
高血圧に伴う症状によって不安が高まると、さらに交感神経が刺激され、動悸が強くなるという悪い循環が生じることもあります。
息切れは、普段よりも少ない活動で呼吸が苦しくなる状態です。
高血圧が長く続くと、心臓の筋肉が厚くなり、心臓のポンプ機能が低下することがあります。
その結果、全身に十分な血液を送れなくなり、少し動いただけで息切れを感じるようになることがあります。
また、高血圧による心不全が進むと、肺に水分がたまり、呼吸が苦しくなることもあります。
これらの症状は、心臓、脳、腎臓、肺などの重要な臓器に障害が起きている可能性を示唆しています。
特に注意すべきなのは、これらの症状が突然現れた場合や、今までに経験したことのない強さで現れた場合です。
また、症状が時間とともに悪化している場合も、緊急性が高い状態です。
このような状況では、自宅で様子を見るのではなく、すぐに病院を受診するか、救急車を呼ぶことが重要です。
激しい頭痛や手足のしびれがあれば緊急受診が必要
首の痛みに伴って特定の症状が現れた場合は、生命に関わる重大な状態の可能性があるため、すぐに病院を受診する必要があります。
これらの症状は、脳卒中(脳梗塞や脳出血)、高血圧性脳症、心筋梗塞などの緊急事態を示している可能性があります。
ここで重要なのは、「少しでも疑わしい症状があれば、すぐに行動する」ということです。
脳卒中や心筋梗塞などでは、治療開始までの時間が予後を大きく左右します。
「様子を見ていたら手遅れになった」というケースは少なくありません。
特に高血圧の治療を受けている方、高齢の方、糖尿病や心臓病などの持病がある方は、リスクが高いため、より慎重な判断が求められます。
- 突然の激しい頭痛(今まで経験したことのない強さ)
- 手足のしびれや麻痺(特に体の片側)
- 顔の片側が下がる、ろれつが回らない
- 意識がもうろうとする、混乱する
- 激しい吐き気や嘔吐
- 視覚障害(見えなくなる、二重に見える)
- 突然の激しい胸の痛み
- 痙攣発作
以下に挙げる症状が一つでも当てはまる場合は、迷わず救急車を呼ぶか、すぐに病院を受診してください。
家族や周囲の方も、これらの症状を知っておくことで、いざというときに適切な対応ができます。
時間との勝負になることを忘れないでください。
突然の激痛や今までにない頭痛は脳の異常の可能性
突然起こった激しい頭痛や、今まで経験したことのないような強い頭痛が首の痛みと同時に現れた場合は、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞などの重大な病気の可能性があります。
このような頭痛を「雷鳴頭痛」と呼ぶことがあり、文字通り雷に打たれたような突然の激痛で、数秒から数分以内に最大の痛みに達することが特徴です。
くも膜下出血は、脳の表面を覆う薄い膜の下で出血が起こる病気で、「人生で最悪の頭痛」「バットで殴られたような痛み」「今まで経験したことのない頭痛」などと表現されることが多いです。
この頭痛は、後頭部から首の後ろにかけて強く現れることがあり、吐き気や嘔吐を伴うことも特徴です。
くも膜下出血は、治療が遅れると命に関わったり、重い後遺症が残ったりする可能性が高い病気です。
脳出血は、脳の中の血管が破れて出血する病気で、高血圧が最も重要な危険因子です。
血圧が上180/下120以上に上がると、脳の血管に過度な圧力がかかり、脳出血のリスクが急激に高まります。
脳出血では、突然の激しい頭痛のほか、吐き気や嘔吐、意識障害、手足の麻痺などが現れることがあります。
また、非常に高い血圧が続く状態では、脳の圧力が上がることで危険な状態を引き起こすこともあり、その際に首の痛みが初期症状として現れることがあります。
頭痛の判断で特に重要なのは、「いつもの頭痛とは明らかに違う」という点です。
普段から頭痛持ちの方でも、いつもとは違う強さ、場所、性質の痛みが現れた場合は、新たな問題が起きている可能性があります。
また、頭痛が時間とともに急速に悪化する場合、意識がもうろうとする場合、痙攣を起こした場合なども、すぐに救急車を呼ぶべき状況です。
吐き気や意識がもうろうとする症状は危険なサイン
激しい吐き気や嘔吐、意識がもうろうとする、混乱する、ぼんやりするなどの症状が首の痛みや頭痛とともに現れた場合は、高血圧性脳症の可能性があります。
高血圧性脳症は、血圧が急に上がることで脳にむくみが生じ、脳の働きに障害が起きる状態です。
適切な治療を受けなければ、永続的な脳の損傷や死に至る可能性もある緊急事態です。
- 激しい頭痛
- 吐き気や嘔吐
- 意識障害(意識がもうろうとする、反応が鈍くなる)
- 混乱や見当識障害(今がいつか、ここがどこかわからなくなる)
- 痙攣発作
- 視覚障害(ぼやける、二重に見える、視野が欠ける)
重要なのは、高血圧性脳症は治療可能な病態であるという点です。
適切な病院で血圧を慎重に下げる治療を受けることで、多くの場合、症状は数時間以内に改善し始めます。
脳のむくみが引き、脳への血の流れの調整機能が回復することで、神経の症状も徐々に良くなっていきます。
しかし、治療が遅れると脳に元に戻らない損傷が残る可能性があるため、できるだけ早く治療を開始することが重要です。
また、めまいとともに激しい吐き気が続く場合、立っていられないほどの吐き気がある場合、何度も嘔吐を繰り返す場合なども、脳や心臓に重大な問題が起きている可能性があります。
さらに、普段は感じない強い不安感や恐怖感、パニック状態になる、落ち着きがなくなるなどの症状も、血圧の異常な上昇や心臓への負担が大きくなっている兆候かもしれません。
意識の変化は特に重要な警告サインです。
受け答えが遅い、質問に対して的外れな答えをする、呼びかけても反応が鈍い、ぼんやりとして焦点が合わない、眠たそうにしているなどの症状が見られたら、すぐに救急車を呼んでください。
家族や周囲の人が患者さんの普段と違う様子に気づくことも多いので、「いつもと違う」と感じたら、すぐに病院を受診することが大切です。
手足のしびれや麻痺は脳卒中を疑うべき症状
首の痛みや頭痛に加えて、手足のしびれや麻痺が現れた場合、特に体の片側だけに症状が現れた場合は、脳卒中の可能性が非常に高いため、直ちに救急車を呼ぶ必要があります。
脳卒中には、脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳の血管が破れる脳出血があり、いずれも緊急の治療が必要です。
脳卒中のFASTサイン(覚えておくべき警告サイン)
| 記号 | 項目 | 確認内容 |
|---|---|---|
| F | Face(顔) | 顔の片側が下がる、笑顔を作っても片側だけ動かない、口角が下がる |
| A | Arm(腕) | 両腕を上げても片方の腕が上がらない、力が入らない、しびれる |
| S | Speech(言葉) | ろれつが回らない、言葉が出にくい、簡単な文章が言えない |
| T | Time(時間) | これらの症状が一つでも現れたら、すぐに救急車を呼ぶ |
その他の脳卒中の症状として、以下のようなものがあります。
- 突然の視覚障害(片目または両目が見えなくなる、視野の一部が欠ける、物が二重に見える)
- 突然のバランス障害(立てない、歩けない、ふらつく)
- 突然の激しい頭痛(今まで経験したことのない強さ)
これらの症状が首の痛みとともに現れた場合は、すぐに行動してください。
脳卒中は、高血圧の最も重大な合併症の一つです。
長年の高血圧により、脳の血管が動脈硬化を起こして詰まりやすくなったり(脳梗塞)、血管の壁が弱くなって破れやすくなったり(脳出血)するのです。
脳卒中の治療では、「時間が脳を救う」と言われるほど、治療開始までの時間が予後を大きく左右します。
脳梗塞の場合、発症から4.5時間以内であれば、血の塊を溶かす薬による治療が可能な場合があります。
また、カテーテル(細い管)を使って血の塊を取り除く治療も、発症から数時間以内であれば効果が期待できます。
一分一秒でも早く治療を開始することで、脳へのダメージを最小限に抑え、後遺症を減らせる可能性が高まります。
「少し様子を見よう」「朝になったら病院に行こう」「休めば治るかもしれない」といった考えは非常に危険です。
脳卒中が疑われる症状が現れたら、迷わず救急車を呼んでください。
救急隊員に症状を詳しく伝え、いつ症状が始まったかを正確に伝えることも重要です。
安静にして血圧を管理することが首の痛み改善の基本
首の後ろの痛みを感じた場合、適切な対処法を知っておくことが大切です。
軽い痛みであれば自宅でのケアで良くなることも多いですが、症状の程度や経過を見ながら、必要に応じて病院を受診することが重要です。
また、首の痛みの背景に高血圧がある場合は、血圧を適切に管理することが根本的な解決につながります。
ここでは、自宅でできる応急処置、病院での治療、そして再発を防ぐための予防策について、具体的に解説します。
ただし、首の痛みの原因は人それぞれ異なるため、ここで紹介する方法が必ずしもすべての方に当てはまるわけではありません。
痛みが強い場合、長引く場合、他の症状を伴う場合は、自己判断せずに病院を受診してください。
また、高血圧の治療を受けている方は、痛みの対処だけでなく、血圧のコントロールが何よりも重要です。
医師の指示通りに薬を飲み、定期的に血圧を測定し、生活習慣を改善することが、首の痛みの予防と改善につながります。
温めて休むなど自宅でできる応急処置
急な首の痛みに対しては、まず無理な動きを避けることが基本です。
重い物を持ち上げたり、首を急に回したりすることは避けてください。
ただし、完全に動かさないよりも、痛みが許す範囲で軽く動かすことが回復を助けます。
首の痛みには温めるのと冷やすのどちらも効果があるとされていますが、状況によって使い分けることが推奨されています。
それぞれの特徴を理解して、ご自身の症状に合った方法を選ぶことが大切です。
温める方法と冷やす方法の比較
| 項目 | 温める方法(温熱療法) | 冷やす方法(寒冷療法) |
|---|---|---|
| 適している症状 | 慢性的な筋肉の緊張や凝り | 急な痛み、腫れや赤みがある場合 |
| 効果 | 血管が広がり血の巡りが良くなる、筋肉がリラックスする | 血管が縮み腫れを抑える、痛みの感覚を鈍らせる |
| 方法 | 温湿布、ホットパック、温めたタオル、入浴(40度前後) | アイスパック、冷却ジェルパック、氷を袋に入れる |
| 時間 | 15〜20分程度 | 10〜20分程度 |
| 注意点 | 腫れや赤みがある場合は避ける、熱すぎないように | 直接肌に当てない(凍傷のリスク)、1時間以上空けて再使用 |
温める方法
温めることは、慢性的な筋肉の緊張や凝りに対して特に効果的です。
温めることで血管が広がり、血の巡りが良くなって酸素や栄養が筋肉に届きやすくなります。
また、筋肉がリラックスして柔らかくなり、痛みが軽くなる可能性があります。
温める方法としては、以下のようなものがあります。
- 温湿布やホットパックを首の後ろに当てる
- 温めたタオル(蒸しタオル)を使う
- 入浴やシャワーで温める(40度前後のぬるめのお湯がおすすめ)
温める時間は15〜20分程度を目安にし、熱すぎると皮膚をやけどする恐れがあるため、心地よいと感じる温度で行ってください。
ただし、腫れや赤みがある場合、皮膚に傷や発疹がある場合、糖尿病などで感覚が鈍くなっている部位には、温める方法は避けてください。
また、高血圧の方は熱すぎるお湯での長時間入浴を避け、ぬるめのお湯に短時間浸かるようにしましょう。
冷やす方法
腫れや赤みがある場合、急なケガや痛みの場合は、冷やす方法が適していることがあります。
冷やすことで血管が縮み、腫れを抑える効果が期待できます。
また、冷たい刺激が痛みの感覚を一時的に鈍らせる効果もあります。
冷やす方法としては、以下のようなものがあります。
- アイスパック(氷嚢)や冷却ジェルパックを使う
- ビニール袋に氷を入れて使う
- 冷やしたタオルを使う
ただし、直接肌に当てると凍傷のリスクがあるため、必ずタオルなどで包んで使用してください。
冷やす時間は10〜20分程度とし、少なくとも1時間は間隔を空けてから再度使用します。
冷やしすぎると逆効果になることもあるため、肌の色が変わったり、感覚がなくなったりした場合は、すぐに中止してください。
温めると冷やすの使い分け
急な首や背中の痛みに対して、温めるのと冷やすのを併用した場合でも、どちらか一方を使用した場合でも、同じくらいの痛みの軽減効果が得られたという研究報告があります。
温熱療法群と冷却療法群の間で、治療前(75 mm [95% CI = 66 ~ 83] vs. 72 mm [95% CI = 65 ~ 78]; p = 0.56)および治療後(66 mm [95% CI = 57 ~ 75] vs. 64 mm [95% CI = 56 ~ 73]; p = 0.75)の疼痛重症度に差は認められなかった。
引用:PubMed Heat or cold packs for neck and back strain: a randomized controlled trial of efficacy
そのため、ご自身が心地よく感じる方法を選ぶことも一つの判断基準となります。
一般的には、ケガの直後や腫れがある場合は冷やし、慢性的な凝りや緊張には温めることが推奨されますが、迷った場合は両方を試してみて、効果を感じる方を選ぶとよいでしょう。
血圧の確認も忘れずに
高血圧がある場合や血圧が気になる場合は、安静時に血圧を測ることをお勧めします。
かなり高い場合(上180/下120以上)や、普段よりも明らかに高い場合は、自宅での対処にとどまらず、病院を受診することが重要です。
血圧が高い状態で無理に動いたり、ストレスの多い環境にいたりすると、症状が悪化したり、合併症を引き起こしたりする可能性があります。
また、自宅での対処を行っても2〜3日経っても良くならない場合、徐々に悪化している場合、日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合は、病院を受診してください。
痛みが続く場合は内科や脳神経外科を受診する
首の痛みが数日以上続く場合、日常生活に支障をきたすほどの痛みがある場合、自宅でのケアでは良くならない場合は、病院を受診することをお勧めします。
また、痛みが徐々に悪化している場合、朝起きたときに特に痛みが強い場合、夜間に痛みで目が覚める場合なども、受診の目安となります。
どの診療科を受診すべきか
高血圧の治療を受けている方は、まずかかりつけの内科を受診し、血圧の状態を確認してもらうことが適切です。
首の痛みが血圧の変動と関係している可能性があるため、血圧の測定や、必要に応じて血圧の薬の調整などが行われます。
頭痛やめまい、手足のしびれなどの神経の症状を伴う場合、突然起こった激しい痛みの場合、進行性に悪化している場合は、脳神経外科や神経内科の受診が必要になることがあります。
これらの症状は、脳の血管の異常や首の骨の重大な問題を示している可能性があるためです。
首の動きが著しく制限される場合、腕や手に痛みやしびれが広がる場合、首を特定の方向に動かすと激痛が走る場合などは、整形外科での診察が適切なこともあります。
首の骨の椎間板ヘルニアや変形性頸椎症などの可能性があります。
受診時に伝えるべき情報
医師に症状を正確に伝えることで、適切な診断と治療につながります。
以下の情報を整理しておくとよいでしょう。
- 痛みの場所(首の後ろのどのあたりか、片側か両側か)
- 痛みが始まった時期(いつから、突然か徐々にか)
- 痛みの性質(鈍い痛み、鋭い痛み、ズキズキする、締め付けられる感じなど)
- 痛みを悪化させる動作や時間帯(朝が特に痛い、首を動かすと痛むなど)
- 一緒に現れる症状(頭痛、めまい、吐き気、しびれ、見え方の変化など)
- 血圧の測定値(もし記録があれば)
- 現在飲んでいる薬(血圧の薬、痛み止めなど)
病院で行われる検査と治療
医師は、問診と身体診察を行い、首の動きの範囲、筋肉の緊張の程度、神経の状態などを確認します。
血圧測定は必ず行われ、必要に応じて以下のような検査が追加されることがあります。
血液検査では、炎症の有無、腎臓の機能、血糖値などを調べます。
画像検査として、レントゲン検査で骨の異常を確認したり、CT検査やMRI検査で詳細な構造や脳の状態を調べたりすることがあります。
特に、神経の症状を伴う場合や、重大な病気が疑われる場合は、MRI検査が推奨されます。
治療は、原因に応じて選択されます。
高血圧が関与している場合は、血圧の管理が優先されます。
血圧の薬の追加や変更、生活習慣の指導などが行われます。
筋肉の緊張が主な原因の場合は、筋肉を緩める薬や痛み止めが処方されることがあります。
また、理学療法(リハビリテーション)として、ストレッチ、筋力強化、姿勢指導などが行われることもあります。
重要なのは、医師の指示に従って治療を続けることです。
症状が良くなったからといって自己判断で薬をやめたり、受診を中断したりすると、再発したり、悪化したりする可能性があります。
血圧コントロールとストレス管理で再発を予防
首の痛みの再発を防ぐためには、根本的な原因に対処することが不可欠です。
高血圧がある場合は、適切な血圧管理が何よりも重要になります。
生活習慣の改善と適切な薬による治療で血圧を良好にコントロールすることで、高血圧に関連する合併症のリスクを大幅に減らすことができます。
血圧の薬を正しく飲む
血圧管理の基本は、医師の指示通りに血圧の薬を飲むことです。
薬は毎日決まった時間に飲むことが推奨されます。
飲み忘れを防ぐための工夫として、以下のようなものがあります。
- 薬をよく見える場所に置く
- スマートフォンのアラームを設定する
- お薬カレンダー(曜日ごとに薬を入れる容器)を使う
- 朝の歯磨きなど日常の習慣とセットにする
自己判断で薬をやめたり、飲む量を変えたりすることは非常に危険です。
実際、血圧が急激に上がる高血圧クライシスの一般的な原因の一つが、血圧の薬を飲むのをやめてしまったことだという報告があります。
薬を飲み忘れた場合や、副作用が気になる場合は、自己判断せずに医師や薬剤師に相談してください。
生活習慣の改善
国際的な医療のガイドラインでは、以下のような生活習慣の改善が推奨されています。
これらは血圧を下げるだけでなく、全身の健康状態を良くし、首の痛みの予防にもつながります。
血圧を下げる生活習慣改善のポイント
| 改善項目 | 具体的な目標 | 効果 |
|---|---|---|
| 適正体重の維持 | BMI 25未満を目標 | 体重減少により血圧が下がる |
| 塩分制限 | 1日6g未満(WHOは5g未満を推奨) | 血圧を直接下げる効果 |
| DASH食 | 野菜・果物・全粒穀物を多く、赤身肉・糖分を控える | 血圧低下に効果的 |
| 定期的な運動 | 週150〜300分の普通の強さの運動 | 血圧を下げ、心臓を強くする |
| アルコール制限 | できるだけ控える(従来の目安:男性1日2杯以下、女性1日1杯以下) | 飲みすぎによる血圧上昇を防ぐ |
| 禁煙 | 完全禁煙 | 血管の健康を保つ |
ストレス管理
ストレス管理も首の痛みの予防に重要な役割を果たします。
いつもストレスを抱えていると、交感神経が活発になり、血圧が上がるとともに、首や肩の筋肉が緊張します。
ストレスを軽くする方法として、以下のようなものがあります。
これらは補助的な手段として血圧管理に役立つことが研究で示されています。
- 深呼吸やリラックス法(お腹で呼吸する腹式呼吸を1日数回行う)
- 瞑想やマインドフルネス(1日10〜15分程度、静かに座って呼吸に意識を向ける)
- ヨガや太極拳(呼吸と運動を組み合わせる)
- 趣味や楽しい活動の時間を作る
- 十分な睡眠を取る(1日7〜8時間)
姿勢の改善
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用時は、以下のような点に注意しましょう。
- 椅子に深く座り、背筋を伸ばす
- パソコンの画面は目の高さに合わせる
- スマートフォンは目の高さまで持ち上げて見る
- 30分に1回は立ち上がって体を動かす
- 首や肩のストレッチを定期的に行う
寝るときの姿勢も重要です。
適切な高さの枕を使用し(高すぎず低すぎず、首のカーブに合ったもの)、横向きで寝る場合は、首と背骨が一直線になるようにします。
定期的な血圧測定
家で血圧を測ることを習慣にすることをお勧めします。
- 測定タイミング: 朝(起きてから1時間以内、朝食前、薬を飲む前)と夜(寝る前)の1日2回
- 測定方法: 座って1〜2分間(できれば5分間)安静にしてから測定
- 記録: 測定値は必ず記録し、定期的に医師に見せる
- 注意点: 毎日同じ時間、同じ条件で測定する
これらの予防策を総合的に実践することで、首の痛みの再発を防ぎ、高血圧による合併症のリスクを減らし、より健康的な生活を送ることができます。
一度にすべてを完璧に行う必要はありません。
できることから少しずつ始め、続けることが大切です。
よくある質問
- 首の後ろの痛みは高血圧の前兆ですか
-
首の後ろの痛みだけでは高血圧の前兆とは言えません。
高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれ、少し高めから中程度の高血圧では通常、自覚症状がほとんどありません。
首の痛みは、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による悪い姿勢、筋肉の緊張、ストレス、寝違え、年齢による首の骨の変化など、高血圧以外のさまざまな原因で起こる可能性の方が高いです。
ただし、すでに高血圧と言われている方で首の痛みが新たに現れた場合や、血圧がかなり高い場合(上180/下120以上)は、両者の関係を確認するために病院で相談することをお勧めします。
- 痛みが出たらすぐに病院に行くべきですか
-
痛みの程度と一緒に現れる症状によって判断が変わります。
突然の激しい痛み、今までにない強さの頭痛、吐き気や嘔吐、意識がもうろうとする、手足のしびれや麻痺、顔の片側が下がる、ろれつが回らない、見え方の異常、胸の痛みなどを伴う場合は、脳卒中や高血圧性脳症などの緊急事態の可能性があるため、直ちに救急車を呼ぶか病院を受診してください。
一方、軽い痛みで他の症状がなく、日常生活に大きな支障がない場合は、自宅でのケア(安静、温めるまたは冷やす)を試みて、2〜3日様子を見るという判断も可能です。
ただし、良くならない場合や悪化する場合は受診が必要です。
不安がある場合は、早めに医師に相談することをお勧めします。
- 市販の痛み止めを飲んでも大丈夫ですか
-
高血圧の方が市販の痛み止めを使うときは注意が必要です。
イブプロフェン(商品名:イブ、リングルアイビーなど)やナプロキセン(商品名:ナイキサンなど)などの痛み止めは、血圧を上げる可能性があることが研究で示されています。
これらの薬は痛みを和らげる効果がある一方で、腎臓の働きに影響を与え、体内の塩分と水分の排出を妨げることで血圧を上げることがあります。
首の痛みに対して市販薬を使う場合は、事前にかかりつけの医師や薬剤師に相談し、高血圧への影響が少ない薬を選ぶことが重要です。
アセトアミノフェン(商品名:タイレノール、ノーシンなど)は、他の痛み止めよりも血圧への影響が比較的少ないとされていますが、高用量や長期使用では血圧に影響することもあるため、使う前に確認することをお勧めします。
自己判断で長い間使い続けることは避け、痛みが数日続く場合は病院を受診してください。
まとめ
高血圧で首の後ろが痛くなる主な原因は、血管への負担や筋肉の緊張です。
ただし、少し高めから中程度の高血圧では通常は首の痛みを伴わないため、痛みがある場合は血圧が急に上がっているか、ストレスや悪い姿勢など他の原因が隠れている可能性があります。
首の痛みにめまいや頭痛、吐き気などが伴う場合は、血圧の状態を確認することが大切です。
特に注意が必要なのは、突然の激しい頭痛、手足のしびれや麻痺、意識障害などの症状が現れた場合です。
これらは脳卒中や高血圧クライシスなどの緊急事態の可能性があるため、直ちに病院を受診してください。
一分一秒が予後を左右することもあるため、「様子を見よう」とせずに、すぐに行動することが重要です。
軽い痛みに対しては、安静にして温めたり冷やしたりすることができますが、数日経っても良くならない場合や日常生活に支障がある場合は、内科や脳神経外科を受診することをお勧めします。
受診時には、痛みの場所、始まった時期、性質、一緒に現れる症状、血圧の記録などを医師に伝えることで、適切な診断と治療につながります。
首の痛みの再発を防ぐためには、医師の指示通りに血圧の薬を飲み、生活習慣を改善して血圧を適切にコントロールすることが最も重要です。
適正体重の維持、塩分を控える、健康的な食事、定期的な運動、ストレス管理、姿勢の改善などを心がけることで、高血圧による合併症のリスクを減らし、より健康的な生活を送ることができます。
これらの予防策は一度にすべて完璧に行う必要はありません。
できることから少しずつ始め、続けることが何よりも大切です。
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