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高血圧で頭痛が起きる?痛む場所や対処法をわかりやすく解説

高血圧で頭痛が起きる?痛む場所や対処法をわかりやすく解説

高血圧と診断されている方、または血圧が高めの方の中には、「頭痛がするのは血圧が高いせいでは?」と心配される方が少なくありません。

確かに、高血圧と頭痛には関連があるとされてきましたが、実際にはすべての高血圧が頭痛を引き起こすわけではないことが、近年の研究で明らかになっています。

この記事では、高血圧と頭痛の関係について、医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。

どのような場合に頭痛が起こるのか、痛みが出やすい場所、そして適切な対処法についてお伝えしていきます。

高血圧と頭痛の関係
  • 軽度から中等度の慢性高血圧は通常頭痛の原因にならない
  • 血圧が180/120以上か急激な上昇時に頭痛が起こりやすい
  • 高血圧を意識する心理的要因が頭痛を誘発することもある
  • 後頭部や前頭部に拍動性の痛みが生じることがある(位置や性質に個人差あり)
  • 朝方に頭痛が生じるケースも報告されている(特異的とは言えない)
  • 視力障害・意識障害・胸痛などを伴う場合は直ちに受診が必要

多くの研究によれば、軽度から中等度の慢性的な高血圧では頭痛は起こりにくいとされています。

一方で、急激に血圧が上昇したり、非常に高い値になったりした場合には、頭痛が生じる可能性があります。

つまり、血圧の「高さ」だけでなく、「急激な変化」も重要な要素となるのです。

この記事でわかること
  • 高血圧と頭痛の関係性
  • 高血圧による頭痛が起こるメカニズム
  • 頭痛が起こりやすい場所(後頭部、こめかみなど)
  • 危険なサインと受診すべき症状
  • 高血圧による頭痛の治し方と予防法
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

高血圧で頭痛が起こるのはなぜ?

高血圧と頭痛の関係については、医学界でも長年議論されてきました。

実は、軽度から中等度の慢性的な高血圧そのものが直接頭痛を引き起こすことは少ないという研究結果が多く報告されています。

むしろ問題となるのは、血圧が急激に上昇した場合や、非常に高い値に達した場合です。

ここでは、高血圧と頭痛がどのように関連しているのか、そして頭痛が起こる仕組みについて詳しく見ていきましょう。

高血圧と頭痛の関係

高血圧が頭痛を引き起こすかどうかについては、実は複雑な関係があります。

国際頭痛学会の分類によれば、軽度から中等度の慢性高血圧(収縮期血圧140〜179 mmHg、拡張期血圧90〜109 mmHg)は、通常頭痛の原因にはならないとされています。

実際、24時間にわたる血圧測定を行った研究では、軽度から中等度の高血圧患者において、血圧の変動と頭痛の発生には明確な関連性が認められませんでした。

つまり、多くの高血圧患者が感じている頭痛は、必ずしも高血圧そのものが原因ではない可能性があるということです。

一方で、血圧が非常に高い値に達した場合、特に収縮期血圧が180 mmHg以上、または拡張期血圧が120 mmHg以上になる高血圧クリーゼ(緊急事態)と呼ばれる状態では、頭痛が起こる可能性が高まります。

このような状態では、脳への血流や血管に直接的な影響が生じるため、頭痛が症状として現れることがあります。

興味深い研究結果として、1953年に発表された古典的な研究では、自分が高血圧であることを知っている患者の方が、知らない患者よりも頭痛を訴える頻度が高いことが示されました。

頭痛のある人のうち 71 人 (81%) が自分の血圧上昇を認識していたのに対し、頭痛のない人では高血圧を認識していたのはわずか 25 人 (22%) だった。

引用:PubMed Central Headaches and Hypertension: Primary or Secondary?

これは、高血圧の診断を受けたことによる心理的な影響も、頭痛の訴えに関係している可能性を示唆しています。

高血圧による頭痛が起こる仕組み

では、実際に高血圧が頭痛を引き起こす場合、体の中では何が起こっているのでしょうか。

血圧が急激に、そして著しく上昇すると、脳を保護するための血液脳関門と呼ばれる仕組みに影響が出る可能性があります。

通常、私たちの脳には、血圧の変動から脳を守る自己調節機能が備わっています。

しかし、血圧が極端に高くなると、この調節機能が追いつかなくなり、脳の血管が過度に拡張したり、血管から血液成分が漏れ出したりすることがあります。

この状態を血管性浮腫と呼びます。

脳は頭蓋骨という限られた空間の中にあるため、浮腫(むくみ)が生じると、脳への圧力が高まります。

この圧力の増加が、頭痛、めまい、吐き気、混乱、視力のぼやけといった症状を引き起こすのです。

特に重篤な場合には、高血圧性脳症や可逆性後頭葉白質脳症症候群といった状態に至ることもあります。

また、褐色細胞腫という特殊な腫瘍がある場合、血圧が突然上昇するのと同時に頭痛が起こることが知られています。

典型的には発作性高血圧、および頭痛、発汗、動悸の典型的な三徴により発見されてきた。

引用:PubMed Central Initial clinical presentation and spectrum of pheochromocytoma: a study of 94 cases from a single center

この場合の頭痛は、発作性で激しく、前頭部や後頭部に感じられることが多く、発汗、動悸、不安感などを伴うのが特徴です。

普通の頭痛との違い

高血圧による頭痛と、一般的な頭痛(緊張型頭痛や片頭痛など)を区別することは、適切な対処のために重要です。

普通の頭痛と高血圧による頭痛の違い

比較項目高血圧による頭痛緊張型頭痛片頭痛
痛みの特徴拍動性(ドクドクと脈打つような痛み)頭全体を締め付けられるような鈍い痛み片側に起こる拍動性の痛み
発生しやすい時間帯朝方に起こる報告があるが、他の要因の典型1日を通して続くことが多い数時間〜数日続く
主な原因・背景血圧が非常に高い状態(高血圧性)ストレスや筋肉の緊張複数の要因
伴う症状視力障害、意識の混乱、呼吸困難、胸痛などを伴うことがある特になし(筋肉のこりなど)光・音への過敏、吐き気など

高血圧に関連する頭痛は、拍動性(ドクドクと脈打つような痛み)として感じられることがあります。

血圧が非常に高い状態では朝方に起こることもありますが、朝方の頭痛は睡眠時無呼吸症候群など他の原因でより典型的に見られることが知られています。

一方、緊張型頭痛は、頭全体を締め付けられるような鈍い痛みが特徴で、ストレスや筋肉の緊張が原因となることが多く、1日を通して続くことがあります。

片頭痛は、頭の片側に起こる拍動性の痛みが特徴で、光や音に敏感になったり、吐き気を伴ったりすることがあります。

通常、数時間から数日間続き、日常生活に支障をきたすほどの痛みとなることもあります。

重要なのは、血圧が非常に高い状態で起こる頭痛は、通常の頭痛とは異なり、他の深刻な症状を伴うことが多いという点です。

激しい頭痛に加えて、視力障害、意識の混乱、呼吸困難、胸痛などが現れた場合は、高血圧性の緊急事態である可能性があり、直ちに医療機関を受診する必要があります。

頭のどのへんが痛む?高血圧の頭痛の場所

高血圧に関連する頭痛は、痛みが出る場所にある程度の特徴があります。

ただし、すべての人が同じ場所に痛みを感じるわけではなく、個人差があることも知っておく必要があります。

ここでは、高血圧による頭痛が起こりやすい場所について、医学的な知見に基づいて解説していきます。

頭痛の場所を知ることは、自分の症状が高血圧と関連しているかどうかを判断する一助となるでしょう。

後頭部が痛むケースが多い

血圧が極端に高い状態、特に高血圧性脳症や可逆性後頭葉白質脳症症候群といった特定の病態では、後頭部(頭の後ろ側)に痛みが生じることがあります。

ただし、軽度から中等度の慢性高血圧では、後頭部痛が特異的に多いというエビデンスはありません。

この後頭部の痛みは、鈍い痛みとして感じられることもあれば、拍動性の痛みとして感じられることもあります。

朝方に目が覚めた時に後頭部の重だるさや痛みを感じ、起床後数時間で徐々に軽減していくというパターンが典型的です。

後頭部に痛みが生じる理由としては、血圧が高い状態が続くことで、後頭部を通る血管や周辺の組織に影響が及ぶことが考えられています。

特に、血圧が急激に上昇した場合や、非常に高い値になった場合には、後頭部領域の脳組織に浮腫が生じることがあり、これが痛みの原因となる可能性があります。

ただし、後頭部の痛みがあるからといって、必ずしも高血圧が原因とは限りません。

後頭神経痛や頸椎の問題など、他の原因でも後頭部に痛みが生じることがあるため、医師による適切な診断が重要です。

こめかみの痛み

高血圧に関連する頭痛では、こめかみ(側頭部)の痛みも報告されています。

こめかみの痛みは、片側だけに感じられることもあれば、両側に感じられることもあります。

特に、褐色細胞腫という腫瘍がある場合の頭痛では、前頭部や後頭部だけでなく、こめかみにも痛みが広がることがあります。

この場合の痛みは発作性で激しく、血圧の急激な上昇と同時に起こるのが特徴です。

こめかみの痛みは、片頭痛でも非常によく見られる症状です。

片頭痛の場合は、拍動性の痛みが頭の片側に起こり、光や音に敏感になる、吐き気がするといった症状を伴うことが多いです。

高血圧に関連する頭痛との違いは、血圧測定や他の随伴症状の有無で判断することになります。

こめかみに痛みを感じた場合、まずは血圧を測定してみることをお勧めします。

血圧が非常に高い場合は、高血圧に関連している可能性がありますが、血圧が正常範囲内であれば、他の原因(片頭痛、緊張型頭痛など)を考える必要があります。

その他の痛みが出る場所

後頭部やこめかみ以外にも、高血圧に関連する頭痛はさまざまな場所に痛みが出ることがあります。

その他の痛みが出る場所
  • 前頭部(おでこのあたり)
  • 頭頂部(頭のてっぺん)
  • 後頭部や首の後ろ
  • 頭全体に広がるような痛み(特に血圧が非常に高い場合)
  • 高血圧性脳症では頭全体に強い痛み+神経症状を伴うこともある

前頭部(おでこのあたり)に痛みが生じることもあります。

特に、血圧が非常に高い状態では、頭全体に広がるような痛みとして感じられることもあります。

また、頭頂部(頭のてっぺん)に圧迫感や痛みを感じる方もいます。

高血圧性脳症のような深刻な状態では、頭痛の場所が特定しにくく、頭全体が痛むような広範囲の痛みとなることがあります。

この場合、頭痛に加えて、視力障害、意識レベルの低下、けいれん、吐き気や嘔吐といった他の神経症状が現れることが多いです。

また、首の後ろから後頭部にかけての痛みを訴える方もいます。

これは、高血圧によって首や肩の筋肉が緊張することで生じる場合もあれば、脳からの放散痛として感じられる場合もあります。

重要なのは、頭痛の場所だけで高血圧との関連を判断するのではなく、血圧の値、頭痛のパターン、他の症状の有無を総合的に評価することです。

特に、今まで経験したことのないような激しい頭痛や、急に始まった頭痛の場合は、場所にかかわらず医療機関を受診することが推奨されます。

こんな症状は要注意!危険なサインとは

高血圧による頭痛の中には、緊急の医療処置が必要な危険な状態を示すものがあります。

すべての頭痛が深刻というわけではありませんが、特定の症状が現れた場合には、迅速な対応が必要です。

ここでは、高血圧に関連して現れる可能性のある症状と、特に注意すべき危険なサインについて解説します。

自分や家族の健康を守るために、これらの情報を知っておくことは非常に重要です。

高血圧による頭痛でよくある症状

高血圧に関連する頭痛には、いくつかの症状が報告されています。​

ただし、これらの症状は他の疾患でもみられることが多く、高血圧による頭痛かどうかを自己判断するのは難しいとされています。

朝方に頭痛が生じることがあると報告もありますが、これは高血圧に特異的な症状とは限りません。

起床時やその直後に頭痛を感じ、起きてから数時間経つと軽減する場合もありますが、このパターンは睡眠時無呼吸症候群など他の病態でもみられます。

就寝中の血圧変動や起床時の血圧上昇との関連が指摘されることもありますが、エビデンスは一貫していません。

これらの女性は睡眠障害と日中の眠気に加えて、朝の頭痛も抱えていることがわかりました。7他の研究では、朝の頭痛と周期性四肢運動障害との関連が報告されています。8 , 9高血圧の患者にも朝の頭痛が見られました。

引用:JAMA Network Prevalence and Risk Factors of Morning Headaches in the General Population

拍動性の痛み(ドクドクと脈打つような痛み)を伴うことがあるとの報告もありますが、高血圧に特異的な症状とは言えません。

血管の拡張や収縮に伴って、心拍に合わせたような痛みを感じる可能性が指摘されています。

また、頭が重い、頭全体が締め付けられるような感覚、あるいは後頭部や首の付け根に違和感を覚えることもあるとされますが、これらの症状の出現パターンには個人差があります。

これらの症状は、軽度から中等度の不快感として感じられることが多く、日常生活に大きな支障をきたさない程度のこともあります。

耳鳴りを伴うこともあります。

高血圧と耳鳴りの関連を示す研究はありますが、直接的な因果関係は明確ではなく、関連が認められても因果とは限らない点に注意が必要です。

血圧が高い状態では、耳の中の血流にも影響が及び、ブーンという音やキーンという音が聞こえることがあります。

これは一時的なものであることが多いですが、持続する場合は医師に相談することをお勧めします。

すぐに病院を受診すべき症状

一方で、以下のような症状が現れた場合は、高血圧性の緊急事態である可能性があり、直ちに医療機関を受診する、あるいは救急車を呼ぶ必要があります。

まず、突然始まった激しい頭痛です。

これまで経験したことがないような激痛が突然起こった場合、特に「人生で最悪の頭痛」と表現されるような痛みの場合は、くも膜下出血や高血圧性脳症などの重篤な状態の可能性があります。

視力の急激な変化や視野の欠損も危険なサインです。

以下のような症状は、脳や眼の血管に問題が生じている可能性を示唆します。

視覚に関する危険サインの例
  • ものが二重に見える
  • 視野の一部が見えなくなる
  • 視界がぼやける
  • 一時的に視力を失う

意識レベルの変化も重要な警告サインです。

混乱、見当識障害(今がいつで、ここがどこかわからなくなる)、異常な眠気、あるいは意識を失うといった症状が頭痛と一緒に現れた場合は、緊急の医療介入が必要です。

胸の痛みや圧迫感も見逃してはいけません。

頭痛に加えて胸痛がある場合、心臓への血流に問題が生じている可能性があります。

呼吸困難や息切れを伴う場合は特に注意が必要です。

けいれん発作が起こった場合も、直ちに救急医療が必要です。

神経・循環器に関する危険症状

症状想定される原因・状態対応の目安
意識がもうろうとする・眠気が強い脳卒中、高血圧性脳症緊急受診が必要
胸の痛み・圧迫感心臓の血流障害救急車を呼ぶ
呼吸困難・息切れ心不全・肺水腫など直ちに医療機関へ
けいれん発作脳への過度の圧力救急搬送が推奨される

高血圧性脳症では、脳への過度の圧力によってけいれんが起こることがあります。

顔面、腕、脚の突然の脱力やしびれ、特に体の片側だけに起こる場合は、脳卒中の可能性があります。

言葉がうまく話せなくなる、理解できなくなるといった症状も脳卒中のサインです。

激しい吐き気や嘔吐が頭痛と一緒に起こり、軽減しない場合も、脳内の圧力上昇を示している可能性があります。

脳卒中などを疑う症状
  • 顔:顔の片側が下がる
  • 腕:片方の腕が上がらない
  • 言葉:うまく話せない・理解できない

これらの症状のいずれかが現れた場合、自宅で様子を見るのではなく、すぐに医療機関を受診してください。

収縮期血圧が180 mmHg以上、または拡張期血圧が120 mmHg以上で、激しい頭痛・視覚障害・神経症状・胸痛・息切れなどの症状を伴う場合は、高血圧性緊急症と呼ばれる状態であり、直ちに救急受診が必要です。

高血圧による頭痛の治し方

高血圧に関連する頭痛への対処法は、血圧のコントロールが基本となります。

ただし、対処の方法は頭痛の原因や血圧の状態によって異なるため、適切な方法を選択することが重要です。

ここでは、医療機関での治療から自宅でできる対処法まで、幅広くご紹介します。

特に、自己判断での対処には注意が必要な点も多いため、医師の指導のもとで行うことが推奨されます。

医療機関での治療

高血圧による頭痛の根本的な治療は、血圧を適切な範囲にコントロールすることです。

医療機関では、まず血圧測定と問診を通じて、頭痛が高血圧に関連しているかどうかを判断します。

血圧が非常に高い状態(高血圧クリーゼ)で頭痛がある場合は、緊急の対応が必要です。

この場合、病院では静脈内投与の降圧薬を使用して、慎重に血圧を下げていきます。

血圧を急激に下げすぎると、脳・腎臓・心臓への血流が悪化し、かえって臓器障害を引き起こす危険があるため、医療専門家の監視のもとで段階的に血圧を下げることが重要です。

降圧治療で注意すべきポイント
  • 血圧を急激に下げない(臓器血流が悪化する恐れ)
  • 医療スタッフの監視下で段階的に降圧する
  • 静脈内投与の降圧薬を使用して慎重に管理

慢性的な高血圧がある方で頭痛が続く場合は、降圧薬の処方や調整が行われます。

世界保健機関(WHO)や各国のガイドラインでは、高血圧の治療として複数のクラスの降圧薬が推奨されています。

主な降圧薬の種類と特徴

降圧薬の種類代表的な作用・特徴
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)血管を拡張して血圧を下げる
カルシウムチャネル遮断薬血管の収縮を抑える
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)血圧上昇に関わるホルモンの働きを抑える
利尿薬余分な水分・ナトリウムを排出し、血液量を減らす

医師は患者さんの年齢、他の健康状態、血圧の値などを総合的に判断して、最適な薬剤を選択します。

2021年のWHOガイドラインでは、多くの場合、初めから2種類の降圧薬を組み合わせた治療を開始することが推奨されています。

これにより、より効果的に血圧をコントロールでき、結果として頭痛の改善にもつながる可能性があります。

頭痛そのものに対しては、必要に応じて鎮痛薬が処方されることもあります。

ただし、一部の鎮痛薬は血圧に影響を与える可能性があるため、高血圧の方は医師の指示に従って使用することが大切です。

また、頭痛の原因が高血圧だけでなく、片頭痛や緊張型頭痛といった他の頭痛疾患を併発している場合もあります。

その場合は、それぞれの頭痛タイプに応じた治療が必要になることもあります。

自宅でできる対処法

軽度の頭痛で、血圧が危険な値でない場合は、自宅での対処も可能です。

ただし、これらは応急的な方法であり、根本的な血圧管理は医師の指導のもとで行う必要があります。

まず基本となるのは、静かな環境で休息をとることです。

明るい光や騒音を避け、暗く静かな部屋で横になることで、頭痛が軽減することがあります。

ストレスや疲労が血圧上昇の要因となることも多いため、十分な休息は重要です。

自宅でできる基本的な対処法
  • 静かな環境で休む(明るい光や騒音を避ける)
  • 暗く落ち着いた部屋で横になる
  • 十分な休息を取る(ストレスや疲労を軽減)

深呼吸やリラクゼーション法も効果的です。

ゆっくりと深く呼吸することで、交感神経の活動が抑えられ、血圧が下がることがあります。

1日に数回、5〜10分程度の深呼吸の時間を設けることをお勧めします。

水分補給も大切です。

脱水状態は血圧に影響を与えることがあるため、適度に水分を摂取することが推奨されます。

ただし、心臓や腎臓に問題がある方は、水分摂取量について医師の指示に従ってください。

軽い運動やストレッチも、頭痛の軽減に役立つことがあります。

首や肩の筋肉の緊張をほぐすことで、頭痛が和らぐこともあります。

ただし、頭痛が激しい場合や血圧が非常に高い場合は、運動を控えてください。

日常で取り入れやすい習慣
  • 深呼吸(1日数回・5〜10分)
  • 軽いストレッチ(首や肩の緊張をほぐす)
  • 適度な水分補給(脱水を防ぐ)
  • ストレス軽減(リラックスできる時間を設ける)

カフェインの摂取については注意が必要です。

少量のカフェインは頭痛を軽減することもありますが、過剰摂取は血圧を上昇させる可能性があります。

高血圧の方は、カフェイン摂取を控えめにすることが推奨されます。

重要なのは、これらの対処法を試しても頭痛が改善しない場合、あるいは悪化する場合は、医療機関を受診することです。

また、自宅で血圧を測定できる方は、頭痛時の血圧を記録しておくと、医師の診断に役立ちます。

冷やすのは効果的?

頭痛の対処法として、患部を冷やすという方法がありますが、高血圧による頭痛に対してはどうでしょうか。

冷やすことの効果については、主に片頭痛を対象とした研究が行われています。

片頭痛では、こめかみや額を冷やすことで血管の拡張を抑え、短期的な痛みの軽減が得られることが複数の研究で示されています。

冷却パックやタオルに包んだ氷嚢を使用して、痛む部分に10〜15分程度あてることで、30分後の痛みが軽減する可能性があります。

ただし、長期的な効果や吐き気などの症状への効果は限定的とされています。

冷却療法は片頭痛の痛みを即座に軽減する効果的な治療法である。冷却療法の片頭痛に対する長期的な効果は実証されていない。

引用:PubMed Cold intervention for relieving migraine symptoms: A systematic review and meta-analysis

高血圧に関連する頭痛の場合も、冷やすことで一時的な症状の軽減が得られる可能性があります。

特に、頭部の血管が拡張している場合には、冷却によって血管が収縮し、痛みが和らぐことがあります。

重要な点は、冷やすことは血圧そのものを下げる治療ではないということです。

冷やすことで得られるのは、あくまで症状の一時的な緩和であり、根本的な血圧管理にはなりません。

また、冷やしすぎると逆に不快感が増すこともあるため、適度な冷却を心がけてください。

冷やす・温める対処のポイント
  • 冷やすと良い場合
    ・頭部の血管拡張による痛みがあるとき(短時間の冷却で軽減)
    ・片頭痛のような拍動性の痛みのとき
  • 温めると良い場合
    ・首や肩の筋肉の緊張が原因の頭痛(緊張型頭痛)
    ・血行不良によるこりや重だるさがあるとき

一方、緊張型頭痛の場合は、温めることの方が効果的とされています。

首や肩の筋肉の緊張が原因の頭痛では、温めることで血行が良くなり、筋肉がほぐれて痛みが

軽減することがあります。

高血圧の方が頭痛に対処する際、冷やすことは片頭痛では一定の有効性が示されていますが、高血圧性頭痛の根本治療ではなく、あくまで一時的な症状緩和の補助手段であることを理解することが重要です。

冷やすにしても温めるにしても、並行して適切な血圧管理を行うことが最も重要です。

頭痛が頻繁に起こる場合や、冷やしても改善しない場合は、医師に相談して適切な治療を受けることをお勧めします。

頭痛を予防するためにできること

高血圧による頭痛を予防するには、日々の生活習慣を見直し、血圧を適切にコントロールすることが最も重要です。

予防は治療以上に大切であり、継続的な取り組みによって頭痛のリスクを大きく減らすことができます。

ここでは、医学的な根拠に基づいた予防法をご紹介します。

これらの方法は、高血圧そのものの改善にもつながるため、総合的な健康増進にも役立つでしょう。

血圧をしっかりコントロールする

頭痛を予防する上で最も基本となるのは、血圧を目標範囲内に保つことです。

世界保健機関やアメリカ心臓協会などの国際的なガイドラインでは、多くの成人において目標血圧を130/80 mmHg未満とすることが推奨されています。

定期的な血圧測定は、血圧管理の基本です。

医療機関での測定だけでなく、家庭での血圧測定も非常に有用です。

家庭での血圧測定のポイント
  • 測定タイミング:朝(起床後1時間以内、排尿後、朝食前)と夜(就寝前)
  • 測定方法:1〜2分間隔で2回測定し、平均値を記録
  • 記録の活用:受診時には記録または血圧計本体を持参

家庭血圧計を使用して、朝(起床後1時間以内、排尿後、朝食前)と夜(就寝前)の決まった時間に、1〜2分間隔で2回測定し、その平均値を記録することが推奨されます。

受診時にはこの記録または血圧計本体を持参すると、医師の診断に役立ちます。

処方された降圧薬がある場合は、医師の指示通りに服用することが極めて重要です。

薬を飲み忘れたり、自己判断で中止したりすると、血圧が急激に上昇し、頭痛や他の深刻な合併症のリスクが高まります。

服薬時の注意点
  • 指示された時間・量を守る
  • 飲み忘れた場合は自己判断せず医師に相談
  • 副作用や不安があるときも必ず報告する
  • 「症状が良くなった」と感じても自己中断しない

降圧薬の効果や副作用について不安がある場合は、自己判断せず医師に相談してください。

定期的な医療機関の受診も欠かせません。

血圧の状態を医師に確認してもらい、必要に応じて治療内容を調整することで、より良い血圧管理が可能になります。

一般的には、3ヶ月に1回程度の定期受診が推奨されますが、血圧の状態によって頻度は異なります。

血圧手帳をつけることもお勧めします。

毎日の血圧の値、頭痛の有無やその程度、服薬状況、生活の変化などを記録することで、血圧と頭痛の関連性が見えてくることがあります。

この記録は、医師の診察時にも非常に有用な情報となります。

日常生活で気をつけたいポイント

血圧をコントロールし、頭痛を予防するためには、日常生活での様々な点に注意を払うことが大切です。

食生活の改善は、血圧管理の基本中の基本です。

米国国立衛生研究所が推奨するDASH食(高血圧を防ぐ食事法)は、科学的に血圧低下効果が証明されています。

DASH食は、野菜、果物、全粒穀物、魚、鶏肉、低脂肪乳製品を多く摂り、赤身肉、砂糖、精製された炭水化物を減らすという内容です。

特に重要なのが減塩です。

米国疾病予防管理センター(CDC)は、1日のナトリウム摂取量を2,300 mg未満(食塩約6g未満)に抑えることを推奨しており、理想的には1,500 mg/日(食塩約4g)を目標とすることが望ましいとされています。

加工食品やファストフード、外食には多くの塩分が含まれているため、これらを控え、自宅で調理した食事を中心にすることが効果的です。

カリウムを多く含む食品を積極的に摂ることも推奨されます。

カリウムを多く含む代表的な食品

食品特徴
バナナ取り入れやすく、朝食・間食にも便利
オレンジビタミンCも豊富
ほうれん草調理しやすく、鉄分も摂れる
さつまいも食物繊維とカリウムを同時に摂取できる

カリウムは、体内のナトリウムの排出を助け、血圧を下げる効果があります。

ただし、腎臓に問題がある方はカリウム制限が必要な場合もあるため、医師に確認してください。

適度な運動も血圧管理に非常に効果的です。

CDCの身体活動ガイドラインでは、成人は週に150分以上の中強度の有酸素運動、または週に75分以上の高強度の有酸素運動に加えて、週2日以上の筋力トレーニングを行うことが推奨されています。

運動と体重管理のポイント
  • 推奨運動量:週150分(1日約30分・週5日)
  • 運動の種類:速歩き、自転車、筋トレなど
  • 期待される効果:血圧低下、ストレス軽減、頭痛予防

運動は血圧を下げるだけでなく、ストレス軽減にも役立ち、結果として頭痛の予防にもつながります。

適正体重の維持も重要です。

肥満や過体重は高血圧の主要なリスク要因の一つです。

体重を減らすことで、血圧が有意に低下することが多くの研究で示されています。

無理なダイエットではなく、健康的な食事と運動を組み合わせた持続可能な方法で体重管理を行うことが推奨されます。

体重の 5%~10% を減らすと、収縮期血圧と拡張期血圧がそれぞれ 5 mm Hg 以上と 4 mm Hg 低下し、体重が 10 kg 減ると収縮期血圧が 5 ~ 20 mm Hg 低下することがあります。

引用:American Heart Association Journals Weight-Loss Strategies for Prevention and Treatment of Hypertension: A Scientific Statement From the American Heart Association

禁煙は高血圧管理において極めて重要です。

喫煙は血圧を一時的に上昇させるだけでなく、血管にダメージを与え、心血管疾患のリスクを大幅に高めます。

禁煙により、血圧が下がり、全体的な心血管系の健康が改善されます。

アルコールの摂取も控えめにする必要があります。

過度の飲酒は血圧を上昇させます。

適度な量であれば問題ありませんが、男性では1日2杯以下、女性では1日1杯以下が推奨されています。

喫煙・飲酒・睡眠・ストレス管理のポイント

項目推奨・注意点主な効果
禁煙できるだけ早く禁煙を実践血管のダメージを防ぎ、血圧を安定化
飲酒男性1日2杯以下、女性1日1杯以下過度の飲酒による血圧上昇を防ぐ
ストレス管理瞑想、ヨガ、深呼吸、趣味の時間自律神経を整え、血圧上昇を抑制
睡眠7〜9時間の質の良い睡眠を確保血圧上昇を予防し、疲労を軽減

ストレス管理も見逃せません。慢性的なストレスは血圧上昇の要因となります。

瞑想、ヨガ、深呼吸、趣味の時間を持つなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。

十分な睡眠も血圧管理に重要です。

睡眠不足は血圧上昇と関連していることが研究で示されています。

毎晩7〜9時間の質の良い睡眠を確保することが推奨されます。

これらの生活習慣の改善は、一度に全てを完璧に行う必要はありません。

できることから少しずつ始め、継続することが大切です。

生活習慣の改善により血圧が下がれば、頭痛の頻度や程度も軽減される可能性が高まります。

よくある質問(FAQ)

高血圧と頭痛に関してよく寄せられる質問にお答えします。

軽い高血圧でも頭痛は起こりますか?

軽度から中等度の慢性的な高血圧では、通常頭痛は起こりにくいとされています。

多くの研究で、血圧が140〜179/90〜109 mmHg程度の範囲では、血圧と頭痛の間に明確な関連性は認められていません。

ただし、血圧が急激に上昇した場合や、個人差により頭痛を感じる方もいますので、気になる症状がある場合は医師に相談してください。

頭痛があるときは血圧を測るべきですか?

はい、頭痛があるときに血圧を測定することは有用です。

頭痛と血圧の関連性を把握するためにも、頭痛時の血圧を記録しておくことをお勧めします。

ただし、血圧が高いからといって自己判断で降圧薬を増やしたりせず、必ず医師の指示に従ってください。

頭痛薬を飲んでも大丈夫ですか?

市販の頭痛薬の中には、血圧に影響を与える可能性があるものもあります。

特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は血圧を上昇させることがあり、アセトアミノフェンも高用量または定期的な内服により収縮期血圧が上昇するという研究報告があります。

高血圧の方が頭痛薬を使用する場合は、事前に医師や薬剤師に相談することをお勧めします。

高血圧の頭痛は治りますか?

高血圧を適切にコントロールできれば、それに関連する頭痛も改善または消失する可能性が高いです。

降圧薬による治療と生活習慣の改善により、血圧が安定すれば、頭痛の頻度や強度が減少することが期待できます。

毎日頭痛があるのですが、高血圧が原因でしょうか?

毎日続く頭痛は、高血圧だけでなく、緊張型頭痛や慢性片頭痛など、他の原因による可能性もあります。

血圧測定とともに、医師による詳しい診察を受けることをお勧めします。

頭痛の原因を正確に特定することで、適切な治療を受けることができます。

まとめ

高血圧と頭痛の関係について、科学的根拠に基づいて解説してきました。

重要なポイントをまとめます。

高血圧による頭痛の重要ポイント
  • 軽度〜中等度の高血圧では、頭痛の直接的な原因になりにくい
  • 血圧が180/120mmHg以上や急激に血圧が上昇した場合、頭痛が起こる可能性がある
  • 後頭部の朝方の痛み拍動性の痛みを感じることがある(高血圧以外の典型でもある)
  • 視力障害・意識の混乱・胸痛・けいれんなどを伴う場合は、高血圧性緊急症の可能性あり
  • 根本治療は血圧コントロール(降圧薬+生活習慣の改善)
  • 生活改善の柱:減塩・DASH食・適度な運動・禁煙・節酒・ストレス管理・十分な睡眠
  • 定期的な血圧測定が最も効果的な予防策

特に注意が必要なのは、激しい頭痛に加えて、視力障害、意識の混乱、胸痛、呼吸困難、けいれんなどの症状が現れた場合です。

これらは高血圧性の緊急事態を示す可能性があり、直ちに医療機関を受診する必要があります。

高血圧による頭痛の根本的な対処法は、血圧を適切にコントロールすることです。

医師の指導のもとで降圧薬を服用し、定期的に血圧を測定して記録をつけることが重要です。

高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、多くの場合は症状が現れません。

だからこそ、定期的な血圧測定と健康管理が重要です。

頭痛が気になる方は、まず血圧を測定し、必要に応じて医療機関を受診してください。

適切な血圧管理により、頭痛だけでなく、心臓病、脳卒中、腎臓病などの深刻な合併症も予防することができます。

今日から、ご自身の血圧と向き合い、健康的な生活習慣を実践していきましょう。

参考文献・参考サイト

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