高血圧と診断された方や、健康診断で血圧が高めと指摘された方にとって、毎日の食事選びは重要な意味を持ちます。
日本では成人の約2人に1人が高血圧に該当するとされており、もし高血圧が完全に予防できれば年間10万人以上の死亡を防げると推計されています。
高血圧は自覚症状が少ないため「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、放置すると心臓病や脳卒中、腎臓病といった深刻な合併症につながる可能性があります。
食事内容は血圧に直接影響を与える要因のひとつです。
- インスタントラーメン・カップ麺(1食で塩分5〜6g含む)
- 加工肉類(ハム・ソーセージ・ベーコンは保存料で塩分多量)
- 漬物・佃煮・梅干しなどの塩蔵食品(少量でも塩分濃度が非常に高い)
- 揚げ物(フライドチキン・天ぷら等は油を大量に吸収する)
- 外食の中華料理(1食で1日の塩分目標量を超えることが多い)
特に塩分の過剰摂取は高血圧の主要な原因として知られていますが、塩分だけでなく、脂質や糖質の摂り方にも注意が必要です。
この記事では、高血圧の方が避けるべき食品について、科学的な根拠に基づいて詳しく解説します。
- 高血圧で控えるべき食品とその理由
- 塩分が多く含まれる意外な食品
- ラーメンなど麺類を食べる際の注意点
- 高血圧に悪影響を与える飲み物
- 血圧管理のための具体的な食生活改善法
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。
血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。
また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。
本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。
高血圧で食べてはいけないものとは
高血圧の食事療法において最も重要なのは塩分制限ですが、それだけではありません。
日本高血圧学会は高血圧患者の減塩目標を1日6g未満と定めていますが、「令和5年国民健康・栄養調査結果」による実際の日本人の平均食塩摂取量は男性で約10.7g、女性で約9.1gと、目標値を大きく上回っています。
塩分だけでなく、飽和脂肪酸を多く含む食品や糖質の摂りすぎも血圧上昇の要因となる可能性があります。
ここでは、高血圧の方が特に注意すべき食品について、カテゴリー別に説明していきます。
塩分が多い食品
塩分は高血圧の最大の原因因子のひとつです。
塩分を過剰に摂取すると、体内の水分バランスが崩れて血液量が増加し、血管に負担がかかって血圧が上昇します。
問題なのは、多くの食品に「見えない塩分」が含まれていることです。
加工食品には予想以上に多くの塩分が含まれています。
加工食品に含まれる塩分量(目安)
| 食品名 | 食塩相当量(100gあたり) | 注意点 |
|---|---|---|
| かまぼこ | 約2〜3g | お弁当やおでんなどで摂りすぎに注意 |
| ちくわ | 約2〜3g | 間食やおつまみでの常用に注意 |
| はんぺん | 約1.5g | 少なめだが量を食べると高塩分に |
| ハム・ソーセージ・ベーコン | 2〜3g前後 | 朝食やサンドイッチで摂取しやすい |
| 漬物・佃煮・梅干し | 3〜6g以上(種類により差) | 少量でも高塩分、毎日食べるのは控える |
練り製品であるかまぼこやちくわには、100gあたり2〜3g程度の食塩が含まれています。
はんぺんはやや少なめですが、それでも100gあたり約1.5gの食塩が含まれるため、食べ過ぎには注意が必要です。
ハムやソーセージ、ベーコンといった加工肉も同様に塩分が多く、これらを日常的に食べると知らず知らずのうちに塩分摂取量が増えてしまいます。
また、調味料にも注意が必要です。
調味料に含まれる塩分量(目安)
| 調味料 | 使用量の目安 | 食塩相当量 | 減塩の工夫 |
|---|---|---|---|
| 醤油 | 大さじ1杯 | 約2.6g | 小皿に少量を取って「つける」使い方に変更 |
| 味噌 | 大さじ1杯 | 約2.3〜2.6g | 減塩味噌を選ぶ、具だくさんにして量を減らす |
醤油は大さじ1杯で約2.6gもの食塩を含んでおり、味噌も同様に塩分濃度が高い調味料です。
料理にそのままかけるのではなく、小皿に少量を取って「つける」ようにすることで、塩分摂取量を大幅に減らすことができます。
漬物や佃煮、梅干しなどの保存食品も塩分が非常に多い食品です。
特に漬物は1回の食事で何切れも食べてしまいがちですが、これらは少量でも塩分量が多いため、頻繁に食べることは避けたほうがよいでしょう。
缶詰やレトルト食品にも塩分が多く含まれています。
スープ類の塩分量は製品によって大きく異なり、1食分で食塩相当量が2g程度のものから、外食のスープでは6gを超えるものまであります。
便利な食品ではありますが、栄養成分表示を確認して、できるだけ減塩タイプを選ぶことをおすすめします。
脂質が多い食品
飽和脂肪酸を多く含む食品は、血管の健康に悪影響を与える可能性があります。
飽和脂肪酸は主に動物性の食品に含まれており、摂りすぎると血中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が増加し、動脈硬化を促進する要因となります。
動脈硬化が進むと血管が狭くなったり硬くなったりして、血圧が上昇しやすくなります。
飽和脂肪酸を多く含む主な食品
| 食品カテゴリ | 具体例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 肉類 | 霜降り肉、バラ肉、鶏皮つき肉 | 脂身部分に飽和脂肪酸が多い |
| 乳製品 | 全脂肪牛乳、バター、クリーム、チーズ | 日常的な摂取は控え、低脂肪製品に切り替え |
| 揚げ物 | フライドチキン、フライドポテト、天ぷら | 調理過程で油を吸収し脂質・カロリーが増加 |
| 加工食品 | スナック菓子、ケーキ、ドーナツ | トランス脂肪酸を含む場合もあり注意 |
揚げ物は特に注意が必要な食品です。
フライドチキンやフライドポテト、天ぷらといった揚げ物は、揚げる過程で油を大量に吸収するため、脂質とともにカロリーも高くなります。
複数の研究をまとめた報告では、揚げ物の摂取頻度が多い人ほど高血圧のリスクが高まることが示されています。
また、フィリピン女性を対象とした研究では、揚げ物摂取量が多い群で前高血圧・高血圧の有病率が高いことが示されています。
揚げ物摂取量の多い第3三分位群では、揚げ物摂取量の多い群では揚げ物摂取量の多い群と比較して、前高血圧症および高血圧症のオッズが高かった(オッズ比2.46、95%信頼区間1.24~4.87、傾向のP値0.004)。
引用:PubMed Central Association of fried food intake with prehypertension and hypertension: the Filipino women’s diet and health study
脂身の多い肉類も摂取を控えるべき食品です。
霜降り肉やバラ肉、鶏肉の皮などには飽和脂肪酸が多く含まれています。
肉類自体は良質なタンパク質源ですが、高血圧の方は脂身の少ない赤身肉や鶏のささみ、胸肉(皮なし)などを選ぶとよいでしょう。
乳製品では、全脂肪の牛乳やバター、クリーム、チーズなどに飽和脂肪酸が多く含まれています。
これらを日常的に多く摂取すると、血圧管理に悪影響を及ぼす可能性があります。
低脂肪や無脂肪の乳製品を選ぶことで、カルシウムなどの有益な栄養素を摂りながら、脂質の摂取を抑えることができます。
糖質の摂りすぎに注意が必要な食品
糖質そのものが直接血圧を上げるわけではありませんが、糖分の多い食品を頻繁に摂取すると体重増加につながり、それが高血圧の原因となる可能性があります。
また、砂糖を多く含む飲料は急激な血糖値の上昇を引き起こし、長期的には代謝に悪影響を与えることがあります。
清涼飲料水やエナジードリンクには大量の砂糖が含まれています。
500mlのペットボトル1本に角砂糖10個分以上の糖分が含まれていることもあり、これらを日常的に飲むことは血圧管理の観点から望ましくありません。
多数の観察研究では、砂糖入り飲料の摂取量が多い人ほど血圧が高くなる傾向が報告されています。
ただし、研究によって効果量や対象集団には違いがあります。
用量反応解析の結果、SSBを全く摂取しない群から1 SSB/日以上に増やすごとに、リスクが8.2%有意に増加することが確認された(β = 0.0027、P < 0.001)。
引用:PubMed Sugar-sweetened beverage consumption and incident hypertension: a systematic review and meta-analysis of prospective cohort
菓子パンやケーキ、クッキーなどの焼き菓子類も、砂糖と脂質の両方を多く含む食品です。
これらは食べやすく、つい食べ過ぎてしまいがちですが、頻繁に摂取すると肥満や高血圧のリスクを高める可能性があります。
特に市販の菓子類には塩分も含まれていることが多いため、二重の意味で注意が必要です。
高血圧に悪い食べ物ランキング
ここまで説明してきた内容を踏まえて、高血圧の方が特に注意すべき食品について、影響の大きさや摂取頻度の観点から整理します。
ランキング形式で紹介しますが、これらの食品を完全に排除する必要はありません。
大切なのは頻度と量を意識することです。
- インスタントラーメン・カップ麺
1食で塩分5〜6gを含み、スープまで飲むと1日の目標量を超える。 - 加工肉類(ハム・ソーセージ・ベーコン)
保存料として塩分が多く、摂取量増加で高血圧リスク上昇。 - 漬物・佃煮・梅干しなどの塩蔵食品
少量でも塩分濃度が高く、毎食摂取は避けたい。 - 揚げ物(フライドチキン・天ぷらなど)
油を多く吸収し、脂質・カロリー過多で血圧上昇につながる。 - 外食の中華料理
調味料使用量が多く、1食で塩分摂取目標を超えることが多い。
特に注意したい食品トップ5
第1位はインスタントラーメンやカップ麺です。
食分に含まれる塩分量は5〜6g程度と非常に多く、これだけで1日の目標量に達してしまいます。
特にスープまで全部飲んでしまうと、塩分摂取量がさらに増加します。
韓国成人を対象とした研究では、インスタント麺を週に2回以上食べることとメタボリックシンドロームに関連があり、心臓病や糖尿病、脳卒中などのリスクが上がることが報告されています。
この関連は特に女性で顕著でした。
インスタントラーメンの週2回以上の摂取は、女性ではメタボリックシンドロームの有病率上昇(オッズ比1.68、95%信頼区間1.10~2.55)と関連していたが、男性では関連していなかった(オッズ比0.93、95%信頼区間0.58~1.49、P-相互作用 = 0.04)。
引用:PubMed Instant noodle intake and dietary patterns are associated with distinct cardiometabolic risk factors in Korea
第2位は加工肉類です。
ハム、ソーセージ、ベーコンといった加工肉には保存料として多くの塩分が使われています。
系統的レビューでは、赤身肉全体で100g/日の摂取増加ごとに高血圧リスクが14%上昇、加工肉では50g/日の摂取増加ごとに高血圧リスクが12%上昇することが報告されています。
加工肉は未加工の赤肉よりも塩分が約4倍多く、高血圧への影響がより大きいとされています。
1日あたり全体の赤身の肉が100g増えるごとに高血圧のリスクが14%増加し(P -異質性<0.001、N = 7)、1日あたり加工済みの赤身の肉が50g増えるごとに高血圧のリスクが12%増加しました(P -異質性<0.001、N = 4)。
引用:PubMed Central State-of-the-Art Review: Evidence on Red Meat Consumption and Hypertension Outcomes
第3位は漬物や佃煮などの塩蔵食品です。
少量でも塩分濃度が非常に高く、ご飯のお供として毎食食べる習慣がある人は特に注意が必要です。
梅干しは種類によって塩分量が異なり、塩漬けでは1個(可食部12g)で約2g、調味漬けでは約1g弱の塩分が含まれています。
第4位は揚げ物です。
特に外食やファストフードの揚げ物は、油の質や塩分量の管理が難しく、知らず知らずのうちに塩分と脂質を過剰に摂取してしまいます。
第5位は外食の中華料理です。
中華料理は調味料を多く使うため、1食で塩分が1日の目標量(6g未満)を超えることが多くあります。
特に麺類や炒め物、定食メニューを選ぶ際は注意が必要です。
意外と塩分が多い食品
パンも意外と塩分が多い食品です。
食パン6枚切り1枚には約0.8gの食塩が含まれており、朝食で2枚食べればそれだけで1.6gの塩分を摂取することになります。
パンにバターやジャムを塗ったり、ハムやチーズを挟んだりすると、さらに塩分量が増えます。
野菜ジュースも健康的なイメージがありますが、製品によって塩分量が大きく異なります。
食塩無添加の製品は200mlあたり0〜0.4g程度ですが、食塩添加の製品では0.9〜1.0g前後含まれるものもあります。
購入前に栄養成分表示を確認し、食塩無添加のものを選ぶことが大切です。
意外と塩分が多い食品と塩分量の目安
| 食品名 | 分量の目安 | 食塩相当量 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 食パン | 6枚切り1枚 | 約0.8g | 2枚で1.6g、バター・ハム等でさらに増加 |
| 野菜ジュース(食塩無添加) | 200ml | 0〜0.4g | 「食塩無添加」を選ぶのが望ましい |
| 野菜ジュース(食塩添加) | 200ml | 約0.9〜1.0g | 製品によって差が大きい |
| ふりかけ | 1袋(ミニパック) | 約0.2〜0.4g | 毎食使うと塩分が積み重なる |
| お茶漬けの素 | 1袋(6g) | 約2.2g | 習慣的な使用で塩分過多に |
| プロセスチーズ | 100g | 約2.8g | 少量でも塩分多め、低塩タイプを選択 |
ふりかけやお茶漬けの素も見落としがちな塩分源です。
ふりかけのミニパックは1袋で0.2〜0.4g程度ですが、お茶漬けの素は1袋(6g)で約2.2gもの塩分が含まれており、毎食使っていると塩分過多になる可能性があります。
チーズは栄養価の高い食品ですが、塩分も比較的多く含まれています。
特にプロセスチーズは100gあたり2.8g程度の食塩を含んでいます。
カルシウム摂取のためにチーズを食べる場合は、低塩タイプを選ぶか、量を控えめにするとよいでしょう。
高血圧の方がラーメンを控えるべき理由
ラーメンは日本で広く親しまれている料理ですが、高血圧の方にとっては注意が必要な食品です。
ラーメンには塩分が非常に多く含まれており、1杯で1日の塩分目標量に達してしまうことも珍しくありません。
ここでは、なぜラーメンが高血圧に良くないのか、そして食べる際にはどのような工夫ができるのかについて解説します。
ラーメンの塩分量とスープの問題
ラーメン1杯に含まれる塩分量は、味の種類や店によって異なりますが、一般的には5〜6g程度とされています。
これは日本高血圧学会が推奨する1日の塩分摂取目標である6g未満とほぼ同じか、それを超える量です。
つまり、ラーメンを1杯食べるだけで、1日分の塩分をほぼ摂取してしまうことになります。
特に問題なのはスープです。
ラーメンの塩分の約半分はスープに含まれています。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも、「麺類の汁を全部飲んでしまうと、それだけで6g近い食塩をとってしまいます」と注意喚起されています。
麺だけでも2〜3g程度の塩分を含んでいますが、スープを飲み干すことでさらに塩分摂取量が増加してしまいます。
インスタントラーメンやカップ麺はさらに注意が必要です。
これらの製品には、麺を作る際に使われる塩分と、スープの素に含まれる塩分の両方が含まれています。
日本の市販インスタント麺の栄養成分表示を確認すると、多くの製品で食塩相当量が4〜6g/食(ナトリウム約1,600〜2,400mg)と記載されています。
どうしてもラーメンを食べたいときの工夫
完全にラーメンを諦める必要はありませんが、食べる際にはいくつかの工夫をすることで塩分摂取量を減らすことができます。
最も重要なのは、スープを残すことです。
スープを半分残すだけでも、塩分摂取量を2〜3g減らすことができます。
麺だけを楽しんで、スープは少し味わう程度にとどめるのが理想的です。
外食でラーメンを食べる際は、塩分量の少ない店を選ぶことも一案です。
最近では減塩ラーメンを提供する店も増えてきています。
また、野菜たっぷりのラーメンを選ぶと、カリウムの摂取量が増えて塩分の排出を助ける効果が期待できます。
自宅でインスタントラーメンを作る場合は、付属のスープの素を全部使わず、半分程度に減らすことができます。
その代わりに、鶏ガラや昆布でとった出汁を使ったり、生姜やニンニク、七味唐辛子などの香辛料を加えたりすることで、塩分を減らしても満足感のある味に仕上げることができます。
ラーメンを食べる頻度を減らすことも大切です。
週に何度もラーメンを食べる習慣がある人は、月に1〜2回程度に減らすだけでも、塩分摂取量を大きく減らすことができます。
高血圧に悪い飲み物とは
食べ物だけでなく、飲み物も血圧に影響を与えます。
特定の飲料は血圧を上昇させる要因となる可能性があるため、高血圧の方は飲み物の選び方にも注意が必要です。
避けたほうがよい飲み物
アルコールは血圧に大きな影響を与える飲料です。
適量のアルコールであれば問題ないとされていますが、過度な飲酒は血圧を上昇させます。
米国の医療機関によると、習慣的に多量の飲酒をする人は、飲酒量を減らすことで血圧を約4mmHg低下させることができると報告されています。
日本高血圧学会のガイドラインでは、男性はエタノール換算で1日20〜30mL以下、女性は10〜20mL以下に制限することが推奨されています。
これは日本酒なら1合程度、ビールなら中瓶1本程度に相当します。
高血圧の方が注意したい飲み物
| 飲み物 | 主な成分・特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| アルコール | エタノール(男20〜30mL/女10〜20mLまで) | 日本酒1合・ビール中瓶1本が目安 |
| カフェイン飲料(コーヒー・紅茶など) | カフェイン | 一時的に血圧上昇、運動前は控える |
| エナジードリンク | カフェイン+糖分 | 血圧上昇+糖分過多でリスク大 |
| 砂糖入り飲料(炭酸・ジュースなど) | 多量の糖分 | 1日1本以上で高血圧リスク上昇 |
カフェインを含む飲料も注意が必要です。
コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェインは、短期的に血圧を上昇させることが研究で示されています。
特にエナジードリンクは、カフェインと糖分の両方を多く含んでおり、血圧への悪影響が懸念されます。
ただし、カフェインの影響には個人差があり、習慣的にコーヒーを飲んでいる人では影響が少ないという報告もあります。
高血圧の方がカフェイン飲料を飲む場合は、カフェインが一時的に血圧を上昇させるため、個人差に留意し、運動前や身体活動の前は控えるのが無難です。
砂糖入りの清涼飲料水も避けるべき飲み物です。
炭酸飲料やスポーツドリンク、フルーツジュースなどには大量の糖分が含まれており、これらを日常的に飲むと体重増加につながり、間接的に血圧上昇の原因となります。
研究では、砂糖入りの飲料を1日1本以上飲む人は、飲まない人に比べて血圧が高くなる傾向が報告されています。
SSBの下位カテゴリーの参加者と比較して、上位カテゴリーの参加者は高血圧のリスクが12%高かった(RR: 1.12、95%CI:1.08~1.17、P異質性 =0.05、I2 = 50.3%、n = 8、図2、補足図4)。
引用:PubMed Central Consumption of sugar sweetened beverages, artificially sweetened beverages and fruit juices and risk of type 2 diabetes, hypertension, cardiovascular disease, and mortality: A meta-analysis
エナジードリンクは特に問題です。
これらの飲料はカフェインと糖分の両方を高濃度で含んでおり、血圧への悪影響が大きい可能性があります。
米国疾病予防管理センター(CDC)も、エナジードリンクの過剰摂取が血圧を上昇させる可能性があると注意を促しています。
飲み方の工夫で気をつけられること
飲み物を完全に制限する必要はありませんが、飲み方を工夫することで血圧への影響を最小限に抑えることができます。
アルコールを飲む場合は、適量を守り、週に1日以上の休肝日を設けることが推奨されます(可能であれば週2日が望ましいとされています)。
また、飲酒時には水も一緒に飲むことで、体内の水分バランスを保ちやすくなります。
コーヒーや紅茶を飲む習慣がある人は、カフェインレスやデカフェのものに切り替えることを検討してもよいでしょう。
また、1日のカフェイン摂取量を400mg以下(コーヒー4杯程度)に抑えることが一般的に推奨されています。
清涼飲料水の代わりに、水やお茶、炭酸水(無糖)を選ぶことをおすすめします。
どうしても甘い飲み物が欲しい場合は、人工甘味料を使った低カロリーの飲料を選ぶか、果物を少量加えた水を飲むとよいでしょう。
野菜ジュースやトマトジュースを飲む場合は、食塩無添加のものを選ぶことが大切です。
市販の野菜ジュースには塩分が添加されているものが多いため、購入前に栄養成分表示を確認しましょう。
高血圧改善のための食生活のポイント
ここまで避けるべき食品について説明してきましたが、高血圧の改善には「何を避けるか」だけでなく「何を食べるか」も重要です。
バランスの取れた食事を心がけることで、血圧を自然に下げることができる可能性があります。
積極的に摂りたい食品
野菜と果物は高血圧の食事療法において中心的な役割を果たします。
これらにはカリウムが豊富に含まれており、カリウムは体内の余分なナトリウムを排出する働きがあります。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも、野菜や果物に含まれるカリウムが腎臓から食塩を排泄しやすくすると説明されています。
特にほうれん草、かぼちゃ、バナナ、キウイフルーツなどがカリウムを多く含む食品です。
ただし、腎臓に病気がある方はカリウムの制限が必要な場合があるため、主治医に相談することが必要です。
高血圧予防に役立つ食品と主な栄養成分
| 食品分類 | 具体的な食品例 | 主な栄養素 | 期待される効果 |
|---|---|---|---|
| 野菜・果物 | ほうれん草、かぼちゃ、バナナ、キウイフルーツ | カリウム | 体内のナトリウム排出を促し、血圧を下げる |
| 低脂肪乳製品 | 低脂肪・無脂肪牛乳、ヨーグルト | カルシウム、マグネシウム | 血圧を安定させる |
| 青魚 | サバ、イワシ、サンマ | オメガ3脂肪酸 | 血管をしなやかに保ち、血流を改善 |
| 全粒穀物 | 玄米、オートミール、全粒粉パン | 食物繊維 | 血圧の安定と体重管理に役立つ |
低脂肪の乳製品も推奨される食品です。
DASH食(高血圧予防のための食事法)では、低脂肪または無脂肪の牛乳やヨーグルトを1日2〜3回摂取することが推奨されています。
これらにはカルシウムとマグネシウムが含まれており、血圧を安定させる効果が期待できます。
青魚は積極的に摂りたい食品のひとつです。
サバ、イワシ、サンマなどの青魚にはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、血管の弾力性を高め、血流を改善する効果が報告されています。
週に2〜3回、青魚を食事に取り入れることをおすすめします。
全粒穀物も血圧管理に有益な食品です。
玄米、オートミール、全粒粉のパンなどは食物繊維が豊富で、血圧の安定に役立つ可能性があります。
白米や白いパンの一部を全粒穀物に置き換えることから始めるとよいでしょう。
外食時の注意点
外食では、家庭で作る食事に比べて塩分や脂質が多くなりがちです。
しかし、工夫次第で塩分摂取量を抑えることができます。
メニューを選ぶ際は、蒸し料理や焼き料理を選び、揚げ物や炒め物は避けるようにします。
また、「塩分控えめ」や「減塩」と表示されているメニューがあれば、それを選ぶとよいでしょう。
調味料は別添えにしてもらい、自分で量を調整することが大切です。
ドレッシングやソースは小皿に少量を取り、料理につけて食べるようにすると、塩分摂取量を大幅に減らすことができます。
丼ものや麺類を注文する場合は、スープや汁を残すことを心がけましょう。
また、単品メニューよりも定食スタイルを選び、野菜を多く食べるようにすると、栄養バランスが良くなります。
ファストフードはできるだけ避けるべきですが、どうしても利用する場合は、サラダを追加したり、ソーダではなく水やお茶を選んだりするなど、少しでも健康的な選択を心がけましょう。
調理方法の工夫
家庭での調理方法を工夫することで、塩分を減らしながらもおいしい食事を楽しむことができます。
酢や柑橘類の酸味を活用すると、塩分が少なくても味に深みが出ます。
レモン汁、すだち、ポン酢(減塩タイプ)などを料理に加えることで、塩味が少なくても満足感が得られます。
香辛料や香味野菜を使うことも効果的です。
生姜、にんにく、ネギ、大葉、山椒、七味唐辛子などを上手に使うと、塩分控えめでも風味豊かな料理になります。
出汁をしっかりとることも重要なポイントです。
昆布や鰹節、干し椎茸などから丁寧に出汁を取ると、うま味が増して塩分を減らしても物足りなさを感じにくくなります。
最近では減塩タイプの顆粒だしも販売されているので、それらを活用するのもよいでしょう。
調理の際は、食材そのものの味を活かすことを心がけましょう。
新鮮な食材を使い、素材の味を楽しむことで、自然と塩分を減らすことができます。
よくある質問(FAQ)
- 高血圧でも卵は食べてもいいですか?
-
卵は栄養価の高い食品で、高血圧だからといって避ける必要はありません。
かつてはコレステロール含有量が懸念されていましたが、現在では食事中のコレステロールが血中コレステロール値に与える影響は限定的とされています。
ただし、調理法には注意が必要で、バターをたっぷり使った卵料理や、塩分の多い調味料と合わせることは避けましょう。
- 高血圧の人は1日にどれくらいの塩分量が適切ですか?
-
日本高血圧学会は、高血圧患者の減塩目標を1日6g未満と定めています。
これは世界保健機関(WHO)の目標値5g未満よりやや多めですが、日本人の食文化を考慮した現実的な目標値です。
まずは現在の摂取量から少しずつ減らしていくことから始め、最終的に6g未満を目指すとよいでしょう。
- 高血圧に良い食べ物はありますか?
-
カリウムを多く含む野菜や果物、低脂肪の乳製品、青魚、全粒穀物などが血圧管理に有益とされています。
特にDASH食と呼ばれる食事パターンは、多くの研究で血圧低下効果が確認されています。
ただし、特定の食品だけに頼るのではなく、バランスの取れた食事全体を心がけることが大切です。
- 外食が多い場合はどうすればよいですか?
-
外食が多い方は、メニュー選びと食べ方の工夫が重要です。
揚げ物や濃い味付けの料理は避け、蒸し物や焼き物を選びましょう。
調味料は別添えにしてもらい、自分で量を調整します。
また、麺類の汁は残す、漬物は食べないなど、小さな工夫の積み重ねが効果的です。
- 高血圧の薬を飲んでいれば食事制限は不要ですか?
-
薬物療法を受けていても、食事療法は重要です。
薬は血圧を下げる助けにはなりますが、根本的な生活習慣を改善しなければ、長期的な健康維持は難しくなります。
むしろ、食事療法と薬物療法を組み合わせることで、より効果的に血圧をコントロールし、合併症のリスクを減らすことができます。
まとめ
高血圧の食事療法において最も重要なのは減塩です。
日本人の多くは推奨量の2倍近い塩分を摂取しており、これが高血圧の主要な原因となっています。
加工食品、外食、調味料に含まれる「見えない塩分」に特に注意が必要です。
ラーメンなどの麺類、加工肉、漬物、揚げ物といった食品は塩分や脂質が多く、高血圧の方は摂取頻度と量に注意する必要があります。
完全に排除する必要はありませんが、食べる回数を減らしたり、食べ方を工夫したりすることが大切です。
飲み物についても、アルコールやカフェイン飲料、砂糖入りの清涼飲料水は血圧に悪影響を与える可能性があるため、適量を守るか、より健康的な選択肢に切り替えることをおすすめします。
一方で、野菜や果物、低脂肪の乳製品、青魚、全粒穀物といった食品を積極的に摂ることで、血圧を自然に下げることが期待できます。
DASH食のような科学的根拠のある食事パターンを参考にするとよいでしょう。
食生活の改善は一朝一夕にはできませんが、小さな変化を積み重ねることで、確実に血圧管理につながります。
まずは自分の食生活を振り返り、できることから始めてみましょう。
そして、定期的に医師の診察を受け、自分に適した治療法について相談することも忘れないでください。
高血圧は適切な管理により、健康的な生活を送ることが十分に可能な疾患です。
e-ヘルスネット(厚生労働省) 高血圧
厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」
文部科学省 食品成分データベース
消費者庁「栄養成分表示を使って、あなたも食塩摂取量を減らせる」
American Heart Association Journals Dietary Cholesterol and Cardiovascular Risk: A Science Advisory From the American Heart Association
PubMed Central Fried Food Consumption and Cardiovascular Health: A Review of Current Evidence
PubMed Central Association of fried food intake with prehypertension and hypertension: the Filipino women’s diet and health study
American Heart Association Picking Healthy Proteins
American Heart Association Saturated Fat
PubMed Central State-of-the-Art Review: Evidence on Red Meat Consumption and Hypertension Outcomes
厚生労働省「ナトリウム(食塩)とカリウムを測って健康に – ナトカリ 手帳」
PubMed Sodium content of restaurant dishes in China: a cross-sectional survey
カゴメ株式会社 野菜一日これ一本
株式会社ヤクルト本社 きになる野菜100 贅沢野菜1日分
株式会社丸美屋食品工業 ふりかけ袋入り
永谷園 お茶づけ海苔 8袋入
American Heart Association Limiting Alcohol to Manage High Blood Pressure
Mayo Clinic 10 ways to control high blood pressure without medication
特定非営利活動法人 日本高血圧学会「一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子」
Mayo Clinic Caffeine: How does it affect blood pressure?
Centers for Disease Control and Prevention The Buzz on Energy Drinks
e-ヘルスネット(厚生労働省) 栄養・食生活と高血圧
U.S. Food and Drug Administration Spilling the Beans: How Much Caffeine is Too Much?
Centers for Disease Control and Prevention Rethink Your Drink
National Heart, Lung, and Blood Institute DASH Eating Plan
American Heart Association Fish and Omega-3 Fatty Acids
e-ヘルスネット(厚生労働省) 脂質異常症
World Health Organization Sodium reduction
American Heart Association How to Manage High Blood Pressure


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