高血圧で病院に行く目安は?受診すべき血圧の数値と症状を解説

高血圧で病院に行く目安は?受診すべき血圧の数値と症状を解説

血圧計で測ったら「ちょっと高いかも」と感じたことはありませんか。

あるいは健康診断で「要観察」と書かれた結果を受け取ったものの、とくに体調が悪いわけでもないし、どうすればよいのか判断に迷ったという方も多いのではないでしょうか。

高血圧は、日本では20歳以上のおよそ2人に1人が該当するとされており、非常に身近な病気です。

ところが、高血圧のもっとも厄介な点は「ほとんどの場合、自覚症状がまったくない」ということです。

頭が痛いわけでも、体がだるいわけでも、息が苦しいわけでもない。

だからこそ、「数値が高くても、しばらく様子を見ていいか」という判断に迷ってしまいます。

高血圧で病院に行く目安
  • 家庭血圧で上135・下85以上が数日続いたら受診を検討
  • 病院での測定値が上140・下90以上なら受診の目安
  • 数値が基準以下でも、頭痛・めまい・耳鳴りが繰り返す場合も受診が必要
  • 糖尿病・腎臓病の持病や脳卒中の家族歴があれば早めに相談
  • 上180以上+胸痛・激しい頭痛・言語障害などを伴う場合は即119番

この記事では、「どの数値になったら病院へ行くべきか」という具体的な目安をわかりやすく示しながら、気をつけるべき体のサインや、今すぐ救急へ連絡すべき緊急の状態についても解説します。

また、「病院に行ったら何をされるのか」「何科に行けばいいのか」といった受診に関する疑問にもお答えします。

さらに、高血圧と診断された後の治療の進め方や、放置し続けるとどのような病気につながるリスクがあるかについても、できるだけ平易な言葉でまとめました。

「血圧が高いと言われたけれど、とくに症状がないから大丈夫だろう」と思っている方にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。

この記事でわかること
  • 病院へ行くべき血圧の具体的な数値
  • 数値が正常でも受診が必要なケース
  • 今すぐ救急に連絡すべき「緊急サイン」
  • 高血圧の治療の流れと生活改善のポイント
  • 何科を受診すればよいか、初診で行われる検査の内容
  • 放置した場合に起こりうる合併症
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

血圧がこの数値を超えたら病院へ、受診の目安を数字で確認

血圧の数値は、上(心臓が血液を送り出すときの圧力)と下(心臓が休んでいるときの圧力)の2つの数字で表されます。

たとえば「135/85」と書かれていれば、上が135、下が85を意味します。

血圧計で測ったときに表示されるあの2つの数字です。

日本高血圧学会が定める基準では、病院で測って上が140以上または下が90以上、家庭で測って上が135以上または下が85以上であれば、高血圧と診断される可能性があります。

この章では、「すぐに受診すべき数値」「早めに相談すべき数値」「迷わず救急を呼ぶべき状態」の3段階に分けて説明します。

ご自身の血圧の数値を思い浮かべながら、どの段階にあてはまるかを確認しながら読んでみてください。

なお、「2024年から高血圧の基準が変わった」という話をインターネットなどで見かけた方もいるかもしれませんが、これは誤解によって広まった情報です。

高血圧の診断基準はこれまでと変わっておらず、日本高血圧学会も公式にその旨を発表しています。

また、自宅で測った血圧は、病院で測るよりも日常の状態をより正確に反映するとされています。

朝と夜の2回、毎日記録しておくと、受診したときに医師へ伝えるとても役立つ情報になります。

血圧の分類と対応の目安

分類病院で測った値(上/下)家庭で測った値(上/下)対応の目安
正常血圧120未満 かつ 80未満115未満 かつ 75未満現状維持、定期的な測定を
正常高値血圧120〜129 かつ 80未満115〜124 かつ 75未満生活習慣の改善を意識する
高値血圧130〜139 または 80〜89125〜134 または 75〜84生活改善に取り組み、改善なければ受診を
高血圧 I 度140〜159 または 90〜99135〜144 または 85〜89医療機関への受診を検討
高血圧 II 度160〜179 または 100〜109145〜159 または 90〜99速やかに受診を
高血圧 III 度180以上 または 110以上160以上 または 100以上早急に受診を

※上記は日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」をもとにした目安です。実際の診断・治療方針は医師が総合的に判断します。

家庭血圧135/85以上が続くなら受診を検討するサイン

自宅で測った血圧が上135・下85を超える状態が、数日にわたって続く場合は医療機関への受診を検討するサインです。

1回だけ高い数値が出たとしても、測定前に運動した・緊張していた・睡眠不足だったといった一時的な原因が考えられます。

ところが、毎朝・毎晩測っても繰り返し同じ水準の数値が出るようであれば、自然に下がるのを待つよりも、一度専門家に相談したほうが安心です。

厚生労働省の指針では、上が140以上・下が90以上の状態が生活習慣の改善後も続く場合は、医療機関への受診を勧めています。

もうひとつ知っておいていただきたいのが「仮面高血圧」という状態です。

自宅では血圧が高いのに、病院で測るとなぜか正常値になるケースがあります。

喫煙や仕事のストレス、身体活動、多量飲酒など、診察室外で血圧が上がる要因が影響していると考えられていますが、この場合も自宅での血圧が高ければ血管への負荷は日常的にかかっています。

「病院で測ったら正常だったから大丈夫」と判断せず、自宅での測定値が高い場合は必ず医師に伝えるようにしましょう。

自宅で正しく血圧を測るためのポイント
  • 測定前は静かに座って少し休む(AHAでは5分間を推奨
  • 毎日同じ時間帯(朝起床後・夜就寝前)に測る
  • トイレを済ませ、食事・運動・入浴・飲酒の直後は避ける
  • 上腕式の血圧計を使い、腕は心臓と同じ高さに保つ
  • 1回の測定で2回計測し、その平均値を記録する
  • 測定値はノートやスマホのメモに日付とともに残しておく

数値が基準以下でも頭痛・めまいがあれば受診が必要

血圧の数値が高血圧の基準に達していなくても、気になる症状がある場合は受診を検討する価値があります。

高血圧の多くは無症状ですが、非常に高い血圧では後頭部が重い・頭がズキズキする・立ちくらみや耳鳴りが続くといった症状が出ることもあります。

ただし、これらの症状は高血圧特有のものではなく他の原因で起こることも多いため、「血圧が原因」と自己判断せず、症状が繰り返し起きるようであれば医師に相談することをおすすめします。

また、血圧の数値が基準以下であっても、糖尿病や腎臓の病気がある方、あるいは家族に脳卒中や心筋梗塞にかかった方がいる方は、リスクが高まりやすい傾向があります。

これらのリスク因子には、糖尿病の罹病期間、肥満/過体重、高血圧、脂質異常症、喫煙、早期冠動脈疾患の家族歴、慢性腎臓病 (CKD)、およびアルブミン尿の存在が含まれます。

引用:PubMed Central 10. Cardiovascular Disease and Risk Management: Standards of Care in Diabetes—2024

高血圧は他の生活習慣病と重なることで、心臓や血管へのダメージがより大きくなることが知られているため、少し早めに相談しておくことが安心につながります。

なお、血圧は測る時間帯や環境によっても変わります。

朝起きてすぐや寒い場所では高くなりやすく、ゆっくりくつろいでいるときは低めに出ることもあります。

心配な場合は、1日の中で異なる時間帯に何度か測り、その平均の値を記録してから受診すると、医師により正確な状況を伝えることができます。

数値が基準以下でも受診を検討すべきケース
  • 後頭部の重さ・頭痛・めまい・耳鳴りが繰り返し起きる(※他の原因の可能性も考慮)
  • 糖尿病・腎臓病・脂質異常症などの持病がある
  • 家族に脳卒中・心筋梗塞・高血圧の方がいる
  • 健康診断で「要観察」「生活改善」と指摘された
  • 30代・40代など比較的若い世代で急に血圧が上がった

血圧180以上・激しい頭痛は今すぐ救急へ

家庭で測定した血圧が上180mmHg以上、または下120mmHg以上であり、急性の臓器障害による症状を伴う場合は、「高血圧緊急症(hypertensive emergency)」と呼ばれる危険な状態の可能性があります。

これは血圧が急激に上がり、脳や心臓への重大なダメージが始まっている可能性がある状態です。

「少し休めば下がるかも」と様子を見るのではなく、速やかに行動する必要があります。

米国心臓協会(AHA)のガイドラインでは、このような数値が出た場合はまず1分待ってから再度測定し、それでも同じく高い場合は医療機関へ連絡するよう推奨しています。

さらに、次のような症状を伴っている場合は、直ちに119番へ連絡してください。

今すぐ119番に電話すべき症状
  • 胸が痛い・締め付けられる感じがある
  • 息が苦しい
  • 激しい頭痛が急に起きた
  • 視界がぼやける・見えにくい
  • 言葉が出にくい・呂律が回らない
  • 片側の手足に力が入らない・しびれる

これらの症状は脳出血や脳梗塞、心筋梗塞のサインである可能性があります。

「救急車を呼ぶほどでもないか」と迷う時間が、取り返しのつかない事態につながることもあります。

少しでも当てはまると感じたら、迷わず119番に電話してください。

高血圧の治療はいきなり薬ではなく、まず生活改善から始まる

「病院に行ったらすぐに薬を飲まされるのでは?」と不安を感じている方は少なくありません。

しかし実際には、重症や高リスクのケースを除き、初診でいきなり薬が処方されるよりも、軽症の場合、まずは「食事・運動・生活習慣の見直し」から治療を開始することが推奨されています(必要に応じて薬も使用されます)。

日本高血圧学会をはじめ、米国心臓協会・世界保健機関(WHO)など世界の主要な医療機関が、この方針を共通して推奨しています。

生活習慣の改善には、薬を使わずに血圧を下げられる可能性があるという大きなメリットがあります。

食事・運動・禁煙・お酒の量を減らすといった取り組みを組み合わせることで、降圧薬(血圧を下げる薬)を1種類飲むのと同じくらいの効果が得られることもあると研究で示されています。

この章では、具体的にどんな生活改善が効果的なのか、そしてそれでも血圧が下がらなかった場合にどんな薬の治療が始まるのかを説明します。

薬を飲むことへの過度な抵抗感を持つ必要もなく、かといって薬だけに頼ればよいというわけでもありません。

医師と相談しながら、自分に合ったやり方で血圧を管理していくことが大切です。

高血圧の治療の大まかな流れ

ステップ内容対象となる状態の目安
① 生活習慣の改善減塩・運動・禁煙・節酒など軽症例などでまず取り組む基本(必要に応じ薬も使用)
② 経過観察数週間〜数ヶ月、血圧を測りながら様子を見るI度高血圧(140〜159/90〜99)程度
③ 薬物治療の開始降圧薬の処方生活改善後も改善なし、またはII度高血圧以上
④ 継続的な管理通院・服薬・生活改善の継続治療開始後の全員

※治療方針は血圧の数値・合併症の有無・年齢などをもとに医師が総合的に判断します。

減塩・適度な運動・禁煙が治療の第一歩

高血圧の生活改善で、もっとも効果がはっきりしているのは塩分を減らすことです。

塩分(ナトリウム)をとりすぎると体の中に水分がたまりやすくなり、血管にかかる圧力が上がりやすくなります。

日本高血圧学会は、高血圧のある方の1日の塩分摂取量を6g未満にすることを強く推奨しており、厚生労働省の健康目標でも7g未満が掲げられています。

ただし、日本人の食生活は塩分が多くなりやすい傾向があります。

たとえばラーメンの汁を全部飲むと、それだけで1日の塩分目標量に近い量になってしまうこともあります。

いきなりすべてを変えるのは難しいので、まず味噌汁を1日1杯に減らす・醤油は「かける」から「つける」に変えるといった小さな工夫から始めるのが現実的です。

また、野菜・果物・豆類などに多く含まれるカリウムという成分は、体の中で塩分を外に出す手助けをしてくれることがわかっており、減塩と合わせて意識的にとることが効果的とされています。

ただし、腎臓の病気がある場合はカリウムの制限が必要なことがあるため、医師に相談してください。

運動については、毎日30分のウォーキングや軽いサイクリングなど、少し息が上がる程度の有酸素運動を習慣にすることが、血圧を下げる助けになると考えられています。

米国国立心肺血液研究所(NHLBI)が支援した研究では、座ったまま過ごす時間を1日30分でも中〜高強度の活動に変えることで、血圧の低下につながる可能性が示されています。

30分の座位時間を睡眠、LIPA、MVPAに置き換えると、CVHスコアが有意に上昇した(それぞれβ(95%信頼区間)=0.077(0.056)、0.039(0.033)、0.485(0.127))。

引用:PubMed Sleep, Sedentary Behavior, Physical Activity, and Cardiovascular Health: MESA

喫煙は血圧を一時的に大きく上昇させるだけでなく、血管の壁そのものを傷つけるため、たばこを吸っている方は禁煙が血圧管理に大きく役立ちます。

お酒についても、飲みすぎは血圧を上げる原因になるため、男性は1日2杯、女性は1杯程度を上限の目安とすることが米国心臓協会から推奨されています。

生活習慣改善の主なポイントまとめ

項目目標・取り組みの目安手軽に始められる工夫の例
減塩1日6g未満(高血圧の方)味噌汁は1日1杯・醤油は「かける」から「つける」へ
カリウムの摂取野菜・果物・豆類を意識的にとる(※腎疾患がある場合は医師に相談)毎食に野菜1品・バナナや納豆を日常的に取り入れる
運動週150分程度の有酸素運動1日30分のウォーキング・エレベーターを階段に変える
禁煙完全に禁煙する禁煙外来・ニコチンパッチなどの活用を検討
節酒男性は1日2杯・女性は1日1杯まで週2日は休肝日を設ける
体重管理標準体重(BMI25未満)を目指す食事の量を少し減らし、間食を見直す

生活改善だけでは下がらないときに薬が処方される

生活習慣を改善しても血圧が十分に下がらない場合や、最初から血圧がかなり高い場合・糖尿病や腎臓病などの合併症がある場合は、血圧を下げる薬(降圧薬)による治療が検討されます。

国際的な基準や一般的なガイドラインでは、上が160以上・下が100以上の状態では、生活習慣の改善と並行して早期に薬の治療を始めることが推奨されています。

降圧薬にはいくつかの種類があり、血圧を下げる仕組みがそれぞれ異なります。

どの薬が合うかは、患者さんの年齢・他の病気の有無・生活状況などを考慮して医師が判断します。

「薬を飲み始めたら一生やめられない」と心配される方もいますが、生活習慣の改善を続けることで血圧が安定すれば、医師の判断で薬の量を減らしたり、服用を終了できることもあります。

ただし、自分の判断で飲むのをやめると血圧が急激に上がることがあるため、変更は必ず医師に相談してください。

薬を飲み始めることは「負けた」ことではなく、血圧をコントロールしながら生活の質を守るための手段のひとつです。

薬と生活改善の両方を続けることが、長期的な健康につながります。

迷ったらまずは内科かかかりつけ医でOK、受診の流れを事前に把握しよう

初めて血圧の高さを指摘された方の多くが、「どこの病院に行けばいいのか」「何を準備すればいいのか」と戸惑います。

答えはシンプルで、まずは近くの内科やかかりつけ医への受診で問題ありません。

「循環器科(心臓の専門科)に行かないといけないのでは?」と思う必要はなく、高血圧の最初の診断や基本的な管理は、一般の内科で十分に対応できます。

この章では、受診先の選び方に加え、初めて診察を受けたときにどのような検査が行われるか、その後に専門科への紹介が行われる場合の流れについても説明します。

「行ったら何をされるかわからなくて怖い」という不安を事前に解消しておくことで、受診のハードルが少し下がれば幸いです。

体の調子が悪くないように感じていても、血圧が高い状態が続く間、血管へのダメージは少しずつ積み重なっています。

「もう少し様子を見てから」と先延ばしにせず、気になる数値が出たときは早めに動くことが、長い目で見て自分の体を守ることになります。

受診先の選び方の目安

状況おすすめの受診先
初めて血圧が高いと指摘された内科・かかりつけ医(どこでもOK)
以前から通っている医院があるまずかかりつけ医に相談
血圧が非常に高い・症状がある内科を受診したうえで専門科を紹介してもらう
胸の痛み・呂律が回らないなど緊急症状がある直ちに119番または救急外来へ

初診では血液検査・尿検査・心電図が基本セット

初めて高血圧で医療機関を受診すると、まず医師から問診(口頭での確認)が行われます。

「いつ頃から血圧が高いと言われましたか」「ご家族に高血圧や脳卒中・心臓病の方はいますか」「現在飲んでいる薬はありますか」「たばこやお酒の習慣はありますか」といった内容です。

自宅での血圧記録(日付・時間・数値)があればぜひ持参してください。

スマートフォンのメモでも十分です。

問診の後に行われるのが、主に血液検査・尿検査・心電図です。

それぞれの目的を簡単に説明すると、血液検査では腎臓や肝臓の働き、コレステロール値、血糖値などを調べ、高血圧が原因で他の臓器に影響が出ていないかを確認します

尿検査では腎臓がダメージを受けると現れるたんぱく質などが尿に混じっていないかを調べます。

心電図は、長期間の高血圧によって心臓の筋肉が厚くなっていないか(心肥大)を確認するために行います。

いずれも痛みを伴わない検査で、多くの場合は初診当日に一通り終わります。

事前に身構える必要はありません。

初診で行われる主な検査の内容

検査の種類調べること何がわかるか
血液検査腎機能・肝機能・コレステロール・血糖値など高血圧による臓器への影響・合併症の有無
尿検査たんぱく尿・血尿の有無腎臓がダメージを受けていないか
心電図心臓の電気的な活動のリズム心肥大・不整脈の有無
血圧測定(両腕)左右の血圧の差血管の詰まりや狭窄(細くなること)の疑い
受診前に準備しておくと役立つもの
  • 自宅での血圧記録(日付・時間・数値)
  • 現在服用中の薬の名前・量がわかるもの(お薬手帳など)
  • 家族の病歴(高血圧・脳卒中・心臓病など)のメモ
  • 最近の健康診断の結果

症状が重い・合併症が疑われる場合は循環器科へ

内科での診察の結果、血圧がとくに高い・心臓や腎臓への影響が考えられる・他の病気との関連が疑われるといった場合には、循環器科や腎臓内科など、より専門的な診療科への紹介が行われることがあります。

とくに血圧180/120mmHg以上で重い症状を伴う場合は、同日中の専門評価が推奨されます。

これは「内科では手に負えない」ということではなく、より詳しく調べて安全に管理するための連携です。

紹介されても、あわてる必要はありません。

また、高血圧には「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2種類があります。

本態性高血圧は原因がはっきり特定できないタイプで、高血圧全体の90〜95%を占めます。

一方、二次性高血圧は腎臓の病気やホルモン分泌の異常など、別の病気が原因で血圧が上がっているタイプです。

若い方で急に血圧が上がった場合や、薬を飲んでも血圧がなかなか下がらない場合には、二次性高血圧の可能性を調べるために専門科での精密検査が行われることもあります。

高血圧を放置すると脳卒中・心筋梗塞につながる可能性がある

高血圧は「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれることがあります。

症状がないまま、じわじわと体の内側にダメージを与え続け、ある日突然重篤な病気として現れる——そのような性質を持っているためです。

頭痛も胸の痛みも息切れもなく、日常生活を普通に送れている間にも、血管や臓器には確実に負荷がかかり続けています。

CDCは、高血圧が心臓病と脳卒中という2大死因の主要なリスク要因であることを明示しています。

この章では、高血圧を放置したときに体の中で何が起きているのか、さらにどのような深刻な病気につながる可能性があるのかをわかりやすく説明します。

「怖い話をされるのは気が重い」と感じる方もいるかもしれませんが、リスクを正しく理解することが早期の行動につながります。

厚生労働省の推計では、高血圧が完全に予防できれば年間10万人以上の死亡を防げるとされており、裏を返せば、それだけ多くの人が適切な管理によって助かる可能性があるということでもあります。

※これは高血圧が寄与する死亡の推計であり、単一の原因としてすべてを防げるという意味ではありません。

自覚症状がないまま血管がダメージを受け続ける

血圧が高い状態が続くと、血管の内側には毎日少しずつ負担がかかり続けます。

水道のホースに高い水圧をかけ続けるとホースが傷んでいくように、血管も圧力がかかり続けることで少しずつ硬くなったり、壁が傷ついたりしていきます。

この変化は「動脈硬化」と呼ばれ、何年・何十年という時間をかけて進むため、体が痛みや違和感として訴えてくることはほとんどありません。

なかには、病院では正常な血圧が出るのに自宅では高い値が続く「仮面高血圧」というタイプもあります。

自覚症状がなく病院での数値も正常に見えるため見落とされやすいですが、このタイプは心血管イベントのリスクが概ね2〜3倍脳卒中のリスクが約2倍以上と報告されています。

「ずっと血圧が高いと言われていたけれど、何年も何ともなかった」という方でも、気づかないうちにリスクは高まっています。

ある日突然、脳卒中や心筋梗塞として現れる可能性が、時間とともに静かに積み重なっているのです。

早期受診で重大な合併症を防げる可能性が高まる

高血圧を適切に管理せずに放置すると、脳卒中・心筋梗塞・心不全・慢性腎臓病・視力低下・認知症など、生活に大きな影響を及ぼす病気につながる可能性があります。

これらは「高血圧の合併症」と呼ばれ、いずれも命や生活の質に深く関わる深刻なものです。

米国CDCのデータによれば、2023年に高血圧が直接または間接的な死亡原因に関わった件数は、アメリカだけで664,470件にのぼっています。

一方で、早めに治療を始めることの効果は明確です。

上の血圧を10mmHg下げることで、心臓発作や脳卒中が起きるリスクが約20%低くなる可能性を示した研究もあります。

生活習慣の改善と、必要であれば薬の治療を組み合わせることで、こうした大きなリスクを下げられる可能性があります。

「まだ症状がないから大丈夫」と後回しにするよりも、早い段階で医師に相談して対策を始めることが、将来の自分を守ることに直結しています。

高血圧を放置したときに起こりうる主な合併症

影響を受ける臓器起こりうる病気・状態
脳梗塞・脳出血・脳卒中・認知症
心臓心筋梗塞・心不全・不整脈・狭心症
腎臓慢性腎臓病・腎不全(透析が必要になることも)
網膜出血・視力低下・重症例など稀なケースでは失明
血管全体動脈硬化・大動脈瘤・末梢動脈疾患

よくある質問(FAQ)

血圧が少し高いだけで、本当に病院に行く必要がありますか?

高血圧は自覚症状がないまま進行することが多く、「少し高い」状態が続くだけでも血管への負荷は少しずつ積み重なっていきます

家庭での測定で上が135・下が85を超える状態が複数日続く場合は、一度医療機関に相談することをおすすめします。

受診したからといって必ずすぐに薬が処方されるわけではなく、まず食事や運動などの生活改善から始めることが多いです。

健康診断で「要観察」と書かれました。すぐ受診した方がよいですか?

「要観察」は経過を見ながら改善に取り組む段階ですが、放置してよいという意味ではありません。

測定値が上140・下90以上であれば医療機関への受診が推奨されています。

それ以下の数値であっても、生活習慣の改善に取り組んで数値が改善しない場合には受診を検討することが勧められています。

血圧の薬は一度飲み始めたらずっと飲み続けなければいけないのですか?

薬を飲み始めたからといって、必ずしも一生飲み続けなければならないわけではありません。

食事・運動などの生活習慣の改善を続けることで血圧が安定すれば、医師の判断で薬の量を減らしたり、場合によっては服用を終了できることもあります。

ただし、自分の判断で急に服用をやめると血圧が急上昇するリスクがあるため、変更は必ず医師に相談してから行ってください。

まとめ

高血圧で病院へ行くべき目安は、自宅での測定で上が135・下が85を超える状態が数日続く場合です。

上が180以上の数値が出た場合や、激しい頭痛・胸の痛み・言葉が出にくいといった症状を伴う場合は、すぐに医療機関に連絡してください。

受診先は最初から専門病院でなくてよく、近くの内科やかかりつけ医で構いません。

治療の基本は生活習慣の改善です。

塩分を減らし、適度に体を動かし、たばこをやめ、お酒の量を控えることが第一歩です。

それでも血圧が下がらない場合や、数値がかなり高い場合には、医師から降圧薬が処方されます。

薬を飲み始めた後も生活改善を続けることで、将来的に薬を減らせる可能性もあります。

高血圧は自覚症状がないまま血管を傷め続け、放置すると脳卒中・心筋梗塞・腎不全など深刻な病気につながる可能性があります。

「体の調子は悪くないから」と様子を見続けることが、気づかないうちにリスクを高めます。

血圧が気になっているなら、まずは一度医師に相談してみてください。

この記事のポイントまとめ

確認項目目安・行動
家庭血圧の受診目安上135・下85以上が数日続いたら受診を検討
緊急受診・119番の目安上180以上+胸痛・頭痛・言語障害などがあれば即連絡
最初の受診先内科・かかりつけ医でOK
治療の第一歩減塩・運動・禁煙・節酒などの生活改善
薬について生活改善で効果不十分な場合に医師が処方。自己判断でやめない
放置のリスク脳卒中・心筋梗塞・腎不全・認知症などにつながる可能性がある
参考文献・参考サイト

厚生労働省 e-ヘルスネット 高血圧

特定非営利活動法人 日本高血圧学会「一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子

特定非営利活動法人 日本高血圧学会「特定健診における受診勧奨判定値についての正しいご理解を

厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)第2編別紙5・別添資料フィードバック文例集等

American Heart Association Home Blood Pressure Monitoring

PubMed Central 10. Cardiovascular Disease and Risk Management: Standards of Care in Diabetes—2024

American Heart Association Understanding Blood Pressure Readings

World Health Organization Hypertension

PubMed Central Lifestyle Interventions Reduce the Need for Guideline-Directed Antihypertensive Medication

厚生労働省「健康日本 21(第三次)推進のための説明資料

World Health Organization Increasing potassium intake to reduce blood pressure and risk of cardiovascular diseases in adults

PubMed Sleep, Sedentary Behavior, Physical Activity, and Cardiovascular Health: MESA

American Heart Association Smoking and High Blood Pressure

American Heart Association Limiting or Avoiding Alcohol to Manage High Blood Pressure

東京大学保健センター 血圧

National Institute for Health and Care Excellence Hypertension in adults: diagnosis and management

PubMed Central Hypertension Clinical Practice Guidelines (ISH, 2020): What Is New?

National Center for Biotechnology Information Hypertension

一般社団法人 日本内分泌学会 二次性高血圧症(腎血管性高血圧を含む)

Centers for Disease Control and Prevention About High Blood Pressure

PubMed Central Masked Hypertension and Cardiovascular Outcomes: An Updated Systematic Review and Meta-Analysis

PubMed Central Masked Hypertension

National Center for Biotechnology Information Hypertensive Retinopathy

PubMed Central Hypertension highlights during 2016

Centers for Disease Control and Prevention High Blood Pressure Facts

この記事を書いた人

伊藤 信久のアバター 伊藤 信久 医師・グレースメディカルクリニック院長

福岡県出身。鹿児島大学医学部卒業後、大学病院の心臓外科に勤務。冠動脈バイパス術・弁置換術などの高度な心臓手術を多数担当。
その後、恩師が開業したクリニックで一次診療に従事。地域医療の最前線で多くの患者と向き合う中で「患者さんに最も近い距離で診療すること」の重要性を再認識し、開業医として地域医療に貢献することを決意。2014年に熊本市でグレースメディカルクリニックを開設した。現在は院長として、高血圧をはじめとする循環器・生活習慣病の診療に注力。心臓外科で培った循環器の知見を活かし、「血圧から全身を守る医療」をモットーに地域の健康づくりと啓発活動を続けている。

主な資格・所属学会
・日本外科学会
・日本循環器学会
・点滴療法研究会

地域の“かかりつけ医”として、高血圧を中心とした生活習慣病の早期発見と予防、継続的な血圧管理に力を注ぎ、患者一人ひとりの「より良い血圧コントロールと健康」の実現を目指している。

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