高血圧の薬(降圧薬)一覧をわかりやすく解説!種類別の特徴と選び方

高血圧の薬(降圧薬)一覧をわかりやすく解説!種類別の特徴と選び方

健康診断で「血圧が高いですね」と言われたとき、多くの方が不安を感じるのではないでしょうか。

「薬を飲まなければいけないのか」「どんな薬があるのか」「副作用は大丈夫なのか」「一生飲み続けなければならないのか」といった疑問が次々と浮かんでくるかもしれません。

高血圧の治療に使われる薬は「降圧薬(こうあつやく)」と呼ばれ、血圧を下げる仕組みや特徴が異なる複数の種類があります。

大きく分けると6つのタイプがあり、それぞれに得意な働きがあります。

降圧薬の種類一覧
  • カルシウム拮抗薬 – 血管を広げて血圧を下げる日本で最多の薬
  • ARB – 血管収縮物質をブロック、副作用少なく腎臓保護効果あり
  • ACE阻害薬 – 血圧上昇物質の生成抑制、糖尿病性腎症に有効
  • 利尿薬 – 体内の余分な水分と塩分を排出、他剤併用で効果増強
  • β遮断薬 – 心拍数を抑制、心筋梗塞後や心不全の治療に使用
  • α遮断薬 – 血管を広げる作用、前立腺肥大症を伴う男性に有用

お医者さんは、患者さんの年齢や血圧の高さ、他にかかっている病気があるかどうかなどを総合的に見て、その人に最も合った薬を選びます。

たとえば、若い人と高齢者では違う薬が選ばれることが多く、糖尿病や腎臓病がある人にはそれらの病気にも良い影響がある薬が選ばれます。

日本では、上の血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上の方の割合は、男性で約30%、女性で約25%にのぼり、およそ3450万人の方が当てはまると報告されています。

高血圧は自覚症状がほとんどないため「静かな殺し屋(サイレントキラー)」と呼ばれていますが、そのまま放っておくと脳卒中や心筋梗塞、心不全、腎臓病などの重大な病気を引き起こします。

しかし、きちんと治療すれば、脳卒中になるリスクを約40%、心臓の病気になるリスクを約20%減らすことができるという研究結果が出ています。

つまり、降圧薬はこうした怖い病気を防ぐための大切な薬なのです。

この記事では、降圧薬の主な種類とそれぞれの特徴、年齢や持病による選び方の違い、正しい飲み方、副作用が出たときの対処法など、降圧薬について知っておくべき情報を、できるだけわかりやすく説明します。

降圧薬について正しい知識を持つことで、治療への不安が軽くなり、より安心して薬を飲み続けることができるでしょう。

この記事でわかること
  • 降圧薬の主な6つのタイプとそれぞれの特徴
  • 年齢や持病によって合う薬が違う理由
  • 降圧薬を安全に飲むための注意点
  • よくある副作用とその対処法
はじめに(免責・注意事項)

本記事は、高血圧に関する一般的な医学情報の提供を目的として作成されたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。

血圧の状態や治療方針は、年齢・体質・基礎疾患・服薬状況などにより個人差があります。降圧薬を含む医薬品の使用や生活習慣の改善を検討される場合は、必ず医師などの医療専門職にご相談のうえ、十分な説明を受けてからご自身の判断で行ってください。

また、本記事で紹介する内容の一部は、一般診療のほか自由診療に該当する可能性があります。保険適用の有無や費用、効果、副作用などについては、必ず受診先の医療機関で最新の情報をご確認ください。

本記事の情報は公開時点の医学的知見やガイドラインをもとにしていますが、今後の研究や法令改正により内容が変更となる場合があります。正確かつ最新の情報を得るために、公的機関(厚生労働省、日本高血圧学会など)や各医療機関の公式情報をあわせてご確認ください。

目次

降圧薬は6つのタイプに分類される

降圧薬は、血圧を下げる仕組みによって大きく6つのタイプに分けられます。

血管を広げて血圧を下げるもの、体の中の余分な水分と塩分を外に出すもの、心臓の働きを調整するものなど、それぞれ違った方法で血圧をコントロールします。

日本の高血圧治療の専門家たちが作った「高血圧治療ガイドライン2019」では、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の4種類を「最初に使うべき薬」として推奨しています。

これらは高血圧の治療を始めるときに最初に選ばれることが多い薬で、たくさんの研究でその効果と安全性が確かめられています。

β遮断薬α遮断薬は、心臓の病気など特定の病気も一緒に持っている場合や、最初の薬では十分に血圧が下がらなかった場合に使われます。

降圧薬の6つのタイプ
  • カルシウム拮抗薬 – 血管を広げて血圧を下げる(日本で最も多く使われている)
  • ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬) – 血管を収縮させる物質をブロックして血圧を下げる
  • ACE阻害薬 – 血圧を上げる物質ができるのを防いで血圧を下げる
  • 利尿薬 – 体の余分な水分と塩分を尿として出して血圧を下げる
  • β遮断薬 – 心臓の拍動を抑えて血圧を下げる
  • α遮断薬 – 血管を広げて血圧を下げる

それぞれの薬には得意な働きがあって、患者さんの状態に合わせて使い分けられています。

たとえば、カルシウム拮抗薬は年齢や国籍に関係なく多くの人に効果が期待できるため日本で一番よく使われておりARBACE阻害薬は腎臓や心臓を守る効果があるため糖尿病や腎臓病のある方に向いています。

利尿薬は他の薬と一緒に使うことで血圧を下げる効果をぐっと高めることができます。

大切なのは、薬の効果は種類よりも「どれだけ血圧を下げられるか」で決まるということです。

つまり、自分に合った薬を見つけて、目標とする血圧の値までしっかりと下げることが何より重要なのです。

では、それぞれの降圧薬について詳しく見ていきましょう。

カルシウム拮抗薬は日本でもっとも多く処方されている降圧薬

カルシウム拮抗薬は、日本で一番よく使われている降圧薬です。

血管の壁を作っている細胞にカルシウムが入り込むのを防ぐことで、血管を広げて血圧を下げます

代表的な薬
  • アムロジピン(商品名:ノルバスク、アムロジン)
  • ニフェジピン(商品名:アダラートCR)
  • アゼルニジピン
  • ベニジピン

この薬の一番の特徴は、若い人でも高齢者でも、多くの人に効果が期待できることです。

人によって効きやすい・効きにくいという差が比較的少ないため、最初に選ばれる薬として広く使われています。

また、糖尿病や脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い病気)がある方でも、これらの病気の状態を悪くしにくいという良い点があります。

アメリカの研究によると、カルシウム拮抗薬は体の各臓器への血液の流れを保つ効果に優れているため、心臓や腎臓に病気がある高齢者にも使いやすいとされています。

ただし、一部のタイプ(ベラパミルやジルチアゼムなど)は脈を遅くする作用があるため、もともと脈が遅い方(徐脈)は使えない場合があります。

よくある副作用
  • 顔のほてり
  • 頭痛
  • 心臓のドキドキ(動悸)
  • 足首のむくみ
  • 便秘(特にベラパミル)

副作用としては、血管が広がることによって、顔がほてる、頭が痛くなる、心臓がドキドキするなどが起こることがあります。

また、足首がむくむことが比較的よくありますが、これは血管が広がることで血液の中の水分が血管の外に移動しやすくなるために起こるものです。

通常は重篤な問題にはなりにくいですが、症状が強い場合は医師に相談して薬の変更などを検討します。

便秘も、特にベラパミルという種類のカルシウム拮抗薬でよく起こります。

重要な注意点

この薬の一部(ジルチアゼムやベラパミル)は グレープフルーツやグレープフルーツジュースと一緒に摂ってはいけません

グレープフルーツに含まれる成分が薬を分解する働きを邪魔してしまい、薬の濃度が上がりすぎて、めまいや頭痛などの副作用が強く出る可能性があるためです。

ARBは副作用が少なく長期間安心して使える降圧薬

ARB(エーアールビー、正式名称:アンジオテンシンII受容体拮抗薬)は、副作用が少なく、長い間安全に使える降圧薬として知られています。

代表的な薬
  • オルメサルタン(商品名:オルメテック)
  • バルサルタン(商品名:ディオバン)
  • ロサルタン(商品名:ニューロタン)
  • テルミサルタン(商品名:ミカルディス)
  • カンデサルタン(商品名:ブロプレス)

この薬は、血管を縮めて血圧を上げる「アンジオテンシンII(ツー)」という体の中の物質の働きを直接ブロックします。

アンジオテンシンIIが細胞のスイッチ(受容体)に結合するのを防ぐことで、血管が広がって血圧が下がります。

また、体の中に塩分と水分がたまるのを防ぐ働きもあります。

アメリカの医学論文データベースに登録されている研究によると、ARBは軽い高血圧から重い高血圧まで幅広く効果があり、血圧を下げる力は他の主要な降圧薬と同じくらいです。

ARBの最大の良い点は副作用が少ないことで、特に後で説明するACE阻害薬で起こりやすい空咳がほとんど起こらないことが知られています。

ARBを服用している患者では、リシノプリルを服用している患者よりも咳嗽の頻度が有意に低いことが報告されている(5)。

引用:PubMed Central Angiotensin II receptor blockers
よくある副作用
  • めまい
  • ふらつき
  • 体のだるさ
  • まれに血液中のカリウムが増える

ARBでよく見られる副作用としては、めまい、ふらつき、体がだるいなどがあります。

これらは血圧が下がることで起こる症状で、特に薬を飲み始めたときや、利尿薬(尿の量を増やす薬)を一緒に使っている場合に現れやすくなります。

また、まれに血液の中のカリウムという成分が多くなりすぎることがあるため、定期的な血液検査でチェックする必要があります。

重要な注意点

大切な注意点は、 妊娠中の方や妊娠する可能性がある女性は使ってはいけない ということです。

ARBはお腹の赤ちゃんに重大な影響を及ぼす可能性があり、アメリカの薬を管理する機関でも原則避けるべきだと明記しています。

ACE阻害薬とARBは妊娠中、特に妊娠中期と後期には使用すべきではありません。胎児死亡を含む、胎児への悪影響のリスクを高める可能性があります。

引用:National Kidney Foundation ACE Inhibitors and ARBs

妊娠がわかった時点で、すぐにお医者さんに相談して薬を変える必要があります。

ACE阻害薬は心臓や腎臓の保護効果も期待できる降圧薬

ACE阻害薬(エースそがいやく、正式名称:アンジオテンシン変換酵素阻害薬)は、ARBと似た仕組みで血圧を下げる薬ですが、働きかける場所が違います。

代表的な薬
  • カプトプリル
  • エナラプリル
  • リシノプリル
  • イミダプリル
  • ペリンドプリル

この薬は、血圧を上げる物質である「アンジオテンシンII」が作られる過程で働きます。

体の中でアンジオテンシンIという物質からアンジオテンシンIIへ変わるときに必要な酵素(ACE)の働きを抑えることで、アンジオテンシンIIができるのを減らし、血管を広げて血圧を下げます。

特に効果が期待できる方
  • 糖尿病性腎症の方
  • タンパク尿がある慢性腎臓病の方
  • 心不全の方
  • 心筋梗塞後の方

ACE阻害薬は血圧を下げるだけでなく、心臓や腎臓を守る働きがあることがたくさんの研究でわかっています。

特に糖尿病で腎臓が悪くなっている方(糖尿病性腎症)や、尿にタンパクが出ている慢性腎臓病の方では、腎臓の働きが悪くなるのを遅らせる効果が期待できます。

また、心不全の経過を良くする働きもあり、心筋梗塞を起こした後の方にも使われます

よくある副作用
  • 空咳
  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 体のだるさ
  • まれに血管浮腫(顔や唇の腫れ)

アメリカ胸部疾患学会(ACCP)のデータによると、ACE阻害薬を飲んでいる方の5〜35%程度に空咳が現れるといわれています。

これは薬がブラジキニンなどの物質を分解するのを邪魔することで起こる副作用で、のどがイガイガする、カサカサする感じが続きます。

この咳は体に害はありませんが、気になる場合はARBに変えることを検討します。

その他の副作用として、めまい、立ちくらみ、体のだるさなどが起こることがあります。

また、まれですが、顔や唇、舌が腫れる血管浮腫という重い副作用が起こる可能性もあります。

ARBと同じで、 妊娠中の方や妊娠の可能性がある女性は使えません

ACE阻害薬もARBと同じで、血液の中のカリウムが増えることがあるため、カリウムを含む塩の代わりの調味料(減塩しおなど)を使うときはお医者さんに相談が必要です。

利尿薬は体の余分な水分と塩分を排出して血圧を下げる

利尿薬は、腎臓に働きかけて尿の量を増やし、体の中の余分な水分と塩分を外に出すことで血圧を下げる薬です。

単独で使われることもありますが、他の降圧薬と組み合わせて使われることが多く、一緒に使うことで血圧を下げる効果がぐっと高まります。

利尿薬の主なタイプ

タイプ代表的な薬特徴
サイアザイド系利尿薬ヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド腎臓の遠位尿細管で塩分の再吸収を抑える。最も一般的に使われる
ループ利尿薬フロセミドより強力な利尿作用。腎機能が低下している方にも使える
カリウム保持性利尿薬スピロノラクトンカリウムが減りにくい。MR拮抗薬として特殊な用途にも使われる

利尿薬には主に「サイアザイド系利尿薬」と「ループ利尿薬」があります。

サイアザイド系利尿薬(ヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジドなど)は、腎臓の特定の部分(遠位尿細管)で塩分が体に再吸収されるのを抑え、塩分と水分を尿として外に出します。

ループ利尿薬(フロセミドなど)は、より強力に尿を出させる働きを持ち、腎臓の働きが落ちている方にも効果が期待できます。

アメリカの国立心肺血液研究所が行った大きな臨床試験では、サイアザイド系利尿薬の一種であるクロルタリドンが、心臓や血管の病気を防ぐ効果が他の降圧薬と同じかそれ以上で、しかも値段も安いことがわかりました。

このため、日本の高血圧治療ガイドラインでも、最初に使うべき薬の一つとして推奨されています。

よくある副作用
  • 低カリウム血症(体がだるい、力が入らない、筋肉がつる)
  • 低ナトリウム血症
  • 尿酸値の上昇(痛風のリスク)
  • 血糖値の上昇
  • まれに光線過敏症や発疹

利尿薬の副作用で注意が必要なのは、体の中のミネラルのバランスが崩れることです。

特に低カリウム血症 (血液の中のカリウムが減る状態)や低ナトリウム血症が起こることがあります。

カリウムが足りなくなると、体に力が入らない、筋肉がつる、脈のリズムが乱れるなどが起こることがあるため、定期的な血液検査が必要です。

その他、尿酸値が上がって痛風の発作が起こりやすくなったり、血糖値が少し上がったりすることがあります。

これらの副作用のほとんどは利尿薬の投与量に直接関連しており、低カリウム血症と低ナトリウム血症が最も多くみられる代謝作用であり、次いで高尿酸血症、低マグネシウム血症、高脂血症、血糖値の上昇が続く。

引用:National Center for Biotechnology Information Antihypertensive Medications

また、まれに日光に当たると皮膚に発疹が出る(光線過敏症)ことや、発疹が出ることもあります。

利尿薬を飲むときは、脱水に注意が必要です。

特に以下のような状況では、一時的に薬を止めた方がいいかどうかお医者さんに相談しましょう。

注意が必要な状況
  • ひどい下痢や嘔吐があるとき
  • たくさん汗をかいたとき
  • 発熱が続いているとき

β遮断薬は心拍数を抑えて心臓の負担を減らす降圧薬

β遮断薬(ベータしゃだんやく)は、心臓の拍動を調整する交感神経系の働きを抑えることで、心臓の拍動回数を減らし、心臓の収縮する力を弱めて血圧を下げる薬です。

代表的な薬
  • アテノロール
  • メトプロロール
  • カルベジロール
  • ビソプロロール
  • ネビボロール

この薬は心臓の「β受容体」という部分をブロックすることで効果を発揮します。

交感神経が興奮すると、ノルアドレナリンという物質が心臓のβ受容体に結合して心臓の拍動を速くしたり強くしたりしますが、β遮断薬はこの結合を防ぎます。

その結果、心臓がゆっくりと、より弱い力で拍動するようになり、心臓の負担が軽くなって血圧が下がります。

β遮断薬が特に使われる場合
  • 心筋梗塞を起こした後
  • 心不全
  • 脈が速くなる不整脈
  • 狭心症
  • 若い方で脈が速い高血圧

β遮断薬は、高血圧以外にも心筋梗塞を起こした後の方、心不全の方、脈が速くなる不整脈がある方、狭心症の方などの治療にも使われます。

若い方の高血圧や、脈が速い方に特に効果的です。

ただし、日本の高血圧治療ガイドラインでは、β遮断薬は単独で最初に使う薬としては推奨されていません

これは、糖尿病になりやすくなるリスクがあることや、他の降圧薬と比べて脳卒中や心臓の病気を防ぐ効果がやや劣るという研究結果があるためです。

ベータ遮断薬は、新規発症DMのリスク増加と関連しており、死亡または心筋梗塞のエンドポイントには利点がなく、他の薬剤と比較して脳卒中のリスクを15%増加させます。

引用:PubMed A meta-analysis of 94,492 patients with hypertension treated with beta blockers to determine the risk of new-onset diabetes mellitus

心臓の病気がある場合を除いて、通常は他の降圧薬と組み合わせて使われます。

よくある副作用
  • 体のだるさ、疲れやすさ
  • 徐脈(脈が遅くなる)
  • 手足の冷え
  • 気管支収縮(喘息やCOPDの方は注意が必要)

β遮断薬の副作用として、体がだるい、疲れやすい、手足が冷たいなどが現れることがあります。

また、脈が遅くなりすぎることもあります。

喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD、肺気腫など)がある方は、気管支が縮んで呼吸が苦しくなる可能性があるため、原則として使用を避けますが、病状により慎重に使われることもあります

非常に重要な注意点

大切な注意点として、 β遮断薬を急にやめると、血圧が急に上がったり、狭心症の発作が起こったりする危険があります 。

必ずお医者さんの指示に従って、少しずつ量を減らしながらやめる必要があります。

α遮断薬などその他の降圧薬の特徴

α遮断薬(アルファしゃだんやく)は、血管にある「α受容体」をブロックすることで血管を広げ、血圧を下げる薬です。

代表的な薬
  • ドキサゾシン
  • プラゾシン
  • テラゾシン

α遮断薬は、褐色細胞腫(副腎という臓器にできる腫瘍で、血圧を上げるホルモンをたくさん出す病気)による高血圧の治療に使われるほか、前立腺肥大症でおしっこが出にくい症状がある男性の方に処方されることがあります。

α遮断薬の主な副作用
  • 起立性低血圧(立ち上がったときに血圧が下がりすぎる)
  • めまい、ふらつき
  • 初回投与時の失神

α遮断薬の副作用で注意が必要なのは、起立性低血圧(立ち上がったときに血圧が下がりすぎる状態)です。

特に初めて飲むときや、量を増やしたときに、めまい、ふらつき、ときには気を失うことがあります。

このため、少ない量から始めて徐々に増やす必要があります。

その他の降圧薬

薬のタイプ主な用途特徴
中枢性交感神経抑制薬治療抵抗性高血圧脳の血圧調整中枢に作用。急な中止は危険
MR拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)治療抵抗性高血圧、原発性アルドステロン症塩分を体にためこむホルモンの働きを抑える

その他の降圧薬として、中枢性交感神経抑制薬やミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MR拮抗薬)もあります。

中枢性交感神経抑制薬は、脳の血圧を調整する部分に働いて交感神経の働きを抑え、血圧を下げます。

MR拮抗薬は、アルドステロンという塩分を体にためこむホルモンの働きを抑える薬で、いくつかの降圧薬を使っても血圧が十分に下がらない方(治療抵抗性高血圧)や、原発性アルドステロン症という病気の治療に使われます。

これらの薬は最初に選ばれる薬ではありませんが、特定の病気も一緒に持っている場合や、他の薬では十分に効果が得られなかった場合に大切な役割を果たします。

年齢や持病によって適した降圧薬は異なる

降圧薬を選ぶときは、ただ血圧を下げるだけでなく、患者さんの年齢、他にかかっている病気、その他の健康状態などを総合的に見て決められます。

同じ高血圧でも、若い方と高齢者では、また糖尿病や腎臓病がある方とない方では、最も合う薬が違うのです。

これは、高血圧になる仕組みが人によって違うことや、年齢や持病によって薬の効き方や副作用の出やすさが変わるためです。

たとえば、若い方の高血圧は体の中の血圧を調整するシステムが働きすぎていることが原因のことが多く、高齢者の高血圧は血管が硬くなっていることが主な原因のことが多いため、それぞれに合った薬が選ばれます。

また、糖尿病や腎臓病、心臓病なども一緒にかかっている場合には、血圧を下げるだけでなく、これらの臓器を守る効果も期待できる降圧薬が選ばれます。

このように、一人ひとりの状態に合わせて最適な薬を選ぶことが、高血圧治療をうまく進めるコツです。

さらに、1種類の薬だけでは目標の血圧まで下がらないことも多く、2種類以上の薬を組み合わせて使うことも一般的です。

日本の高血圧治療ガイドラインでも、効果的で安全な薬の組み合わせについて推奨が示されています。

では、年齢や持病による降圧薬の選び方の違いについて、具体的に見ていきましょう。

若い人と高齢者では推奨される降圧薬が違う

若い方(だいたい55歳未満)と高齢者では、高血圧になる仕組みが違うことが多いため、推奨される降圧薬も変わってきます。

年齢別の推奨降圧薬

年齢層推奨される薬理由
若い人(55歳未満)ARB、ACE阻害薬、β遮断薬(脈が速い場合など)レニン・アンジオテンシン系が過剰に働いていることが原因のことが多い
高齢者カルシウム拮抗薬、利尿薬血管の硬化や塩分感受性の上昇が主な原因

若い方の高血圧は、「レニン・アンジオテンシン系」という体の中の血圧を調整するシステムが働きすぎていることが原因のことが多いため、このシステムを抑えるARBやACE阻害薬が効果的です。

また、若い方では交感神経の活動が活発な場合も多く、脈が速い場合などにはβ遮断薬が選ばれることもあります。

一方、高齢者の高血圧は、年をとることで血管が硬くなったり、塩分に対して敏感になったりすることが主な原因です。

このため、血管を広げるカルシウム拮抗薬や、体の中の塩分と水分を外に出す利尿薬が効果的です。

高齢者での特別な注意点
  • 通常の半分の量から始める
  • 1〜3ヶ月の間隔でゆっくりと量を増やす
  • 立ちくらみやふらつきによる転倒に注意
  • 血圧を下げすぎないようにする

ただし、高齢者では薬による副作用が出やすいため、通常の半分の量から始めて、1〜3ヶ月の間隔でゆっくりと量を増やしていきます

特に立ちくらみやふらつきで転んでしまうリスクに注意が必要です。

糖尿病や腎臓病がある人に適した降圧薬

糖尿病や腎臓病など他の病気も持っている場合、血圧を下げるだけでなく、これらの病気が進むのを抑える効果も期待できる降圧薬が選ばれます。

合併症別の推奨降圧薬

合併症推奨される薬期待できる効果
糖尿病ARB、ACE阻害薬腎臓の保護、タンパク尿の減少
慢性腎臓病ARB、ACE阻害薬腎機能悪化の遅延
心不全ARB、ACE阻害薬、β遮断薬、MR拮抗薬心臓への負担軽減、予後改善
心筋梗塞後β遮断薬、ARB、ACE阻害薬再発予防、予後改善
前立腺肥大症(男性)α遮断薬排尿障害の改善も期待

糖尿病がある方には、ARBやACE阻害薬が第一選択となります。

これらの薬は血圧を下げるだけでなく、腎臓の糸球体(血液をろ過するフィルターのような部分)を保護し、尿にタンパクが出るのを減らす働きがあります。

糖尿病で腎臓が悪くなるのを遅らせ、将来的に透析が必要になるリスクを下げる効果がたくさんの研究で示されています。

慢性腎臓病の方にも、ARBやACE阻害薬が推奨されます。

ただし、これらの薬を使い始めると、一時的に腎臓の働きを示す数値(血清クレアチニン値)が少し上がることがありますが、通常は問題ないことが多いものの、上昇の程度を医師が確認します。

お医者さんは血液検査で腎臓の働きとカリウムの値を定期的にチェックしながら治療を進めます。

心不全がある方には、ARB、ACE阻害薬、β遮断薬、MR拮抗薬が推奨されます。

これらの薬は心臓への負担を軽くし、心不全が悪くなるのを防ぐ効果があります。

妊娠中・妊娠の可能性がある女性への重要な注意

妊娠中の方や妊娠する可能性がある女性では、以下の薬は使ってはいけません。

妊娠中・妊娠の可能性がある女性が使用できない薬
  • ARB
  • ACE阻害薬
  • レニン阻害薬

これらはお腹の赤ちゃんに重大な影響を及ぼす可能性があるためです。

妊娠高血圧症候群の治療には、メチルドパやラベタロールなど、妊娠中でも比較的安全に使える薬が選ばれます。

複数の薬を組み合わせて血圧をコントロールすることも多い

1種類の降圧薬だけでは目標の血圧まで下がらない場合、2種類以上の薬を組み合わせて使うことが一般的です。

実際、高血圧の方の多くは、最終的に2〜3種類の降圧薬を一緒に飲むことになります

併用療法のメリット
  • 異なる仕組みで血圧を下げるため、単独使用より大きな効果
  • それぞれの薬の量を減らせるため、副作用のリスクが減る
  • 1錠に複数の成分が入った配合剤で服薬が簡単になる

複数の薬を組み合わせることには、いくつかの良い点があります。

まず、違う仕組みで血圧を下げる薬を一緒に使うことで、1種類だけで使うよりも大きく血圧を下げることができます。

研究によると、2種類の違うタイプの降圧薬を組み合わせたときの血圧を下げる効果は、1種類の薬の量を2倍にしたときの約5倍にもなります。

2つの異なるクラスの薬剤を併用することによる追加の血圧低下は、1つの薬剤の用量を2倍にした場合の約5倍です。

引用:PubMed Combination therapy versus monotherapy in reducing blood pressure: meta-analysis on 11,000 participants from 42 trials

また、一緒に使うことで、それぞれの薬の量を少なくできるため、副作用が出るリスクを減らすことができます。

たとえば、カルシウム拮抗薬で足がむくむのが問題になる場合、ARBを一緒に使うことで、カルシウム拮抗薬の量を減らしながらも十分に血圧を下げることができます。

推奨される薬の組み合わせ

組み合わせ特徴
カルシウム拮抗薬 + ARB(またはACE阻害薬)最も一般的。互いの副作用を軽減しあう
カルシウム拮抗薬 + 利尿薬血圧を下げる効果が高い
ARB(またはACE阻害薬) + 利尿薬腎臓や心臓を守る効果も期待できる
カルシウム拮抗薬 + β遮断薬心臓病がある方に適している

日本の高血圧治療ガイドラインでは、以下の組み合わせが推奨されています。

推奨される組み合わせ
  • カルシウム拮抗薬とARB(またはACE阻害薬)
  • カルシウム拮抗薬と利尿薬
  • ARB(またはACE阻害薬)と利尿薬

これらの組み合わせは相性がよく、血圧を下げる効果が高いことが研究で確かめられています。

実際、これらの組み合わせを1つの錠剤にした配合剤もたくさん売られていて、飲む手間が減るとともに、飲み忘れを防ぐ効果も期待できます。

一方、推奨されない組み合わせもあります。

避けるべき組み合わせ
  • ARB + ACE阻害薬(腎機能障害や高カリウム血症のリスクが高まる)

ARBとACE阻害薬を一緒に使うと、腎臓の働きが悪くなったり高カリウム血症になったりするリスクが高まるため、通常は避けるべきとされています。

降圧薬は毎日同じ時間に飲み続けることが大切

降圧薬の効果を最大限に引き出し、脳卒中や心筋梗塞などの怖い病気を防ぐためには、正しい飲み方を守ることがとても大切です。

降圧薬は「飲んだときだけ血圧を下げる」ものではなく、毎日続けて飲むことで、いつも血圧を安定した状態に保つための薬です。

きちんと飲まなかったり飲み忘れが続いたりすると、血圧が安定せず上がったり下がったりを繰り返すことになります。

この血圧の変動自体が血管にダメージを与えて、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めてしまいます。

安定した血圧をキープすることが、降圧薬治療の一番大事な目的なのです。

また、降圧薬の中には、急に飲むのをやめると危険な状態になるものもあります。

特にβ遮断薬や中枢性交感神経抑制薬は、急にやめると血圧が急激に上がったり、狭心症の発作が起こったりする可能性があります。

さらに、一部の降圧薬は特定の食べ物や飲み物と一緒に摂ると良くない反応が起きることがあります。

これらの注意点を理解して、正しく飲むことが、安全で効果的な高血圧治療につながります。

では、降圧薬を飲むときの大切なポイントについて詳しく見ていきましょう。

降圧薬の効果を最大限に引き出すには規則正しい服用が必要

降圧薬の多くは、1日1回飲めば24時間血圧をコントロールできるように作られています(薬の種類によっては1日2回以上の服用が必要な場合もあります)。

しかし、それは毎日だいたい同じ時間に飲んだ場合の話です。

飲む時間がバラバラだったり、飲み忘れが何度もあったりすると、血液の中の薬の濃度が安定せず、血圧が変動してしまいます。

服用時間の決め方
  • 朝食後に飲む → 早朝の血圧が高くなりやすい方
  • 就寝前に飲む → 夜間から朝にかけて血圧が上がりやすい方

朝ごはんの後に飲むのか、寝る前に飲むのかは、薬の種類や患者さんの血圧のパターンによってお医者さんが決めます。

たとえば、朝早くに血圧が高くなりやすい方は朝に飲み、夜から朝にかけて血圧が上がりやすい方は寝る前に飲むといった具合です。

飲み忘れたときの対処法

状況対処法
次の服用時間まで十分な時間がある気づいた時点で1回分を服用
次の服用時間まで近い飲み忘れた分は飛ばして、次回から通常通り服用
絶対にやってはいけないこと2回分をまとめて飲む(血圧が下がりすぎて危険)

もし飲み忘れに気づいたときは、次に飲む時間が近い場合を除いて、気づいた時点で飲みます。

ただし、次に飲む時間が近い場合は1回分を飛ばし、絶対に2回分をまとめて飲んではいけません

2回分をまとめて飲むと、血圧が下がりすぎて危険です。

具体的な判断基準は薬によって異なるため、事前に医師や薬剤師に確認しておきましょう。

自己判断で薬をやめると血圧が急上昇する危険性がある

「血圧が正常になったから、もう薬は必要ない」と考えて、自分の判断で飲むのをやめてしまう方がいますが、これはとても危険です。

降圧薬で血圧が下がっているのは、薬が効いているからであって、高血圧が治ったわけではありません。

薬をやめれば、ほとんどの場合、血圧はまた上がります。

自己判断で中止すると起こりうる危険
  • 血圧の急激な上昇(リバウンド現象)
  • 狭心症の発作
  • 脳卒中のリスク増加
  • 心筋梗塞のリスク増加

特にβ遮断薬や中枢性交感神経抑制薬を急にやめると、血圧が急激に上がったり(リバウンド現象)、狭心症の発作が起こったりする危険があります。

降圧薬をやめたり量を減らしたりするのは、必ずお医者さんの指示のもとで行う必要があります。

生活習慣の改善で血圧が安定して、長い間いい状態が続いている場合には、お医者さんの判断で薬を減らしたり、最終的にやめたりできる可能性もあります。

しかし、その場合でも、食事療法や運動療法は続ける必要があります。

グレープフルーツなど特定の食べ物と一緒に飲めない薬もある

一部のカルシウム拮抗薬(ジルチアゼム、ベラパミル、フェロジピンなど)は、グレープフルーツやグレープフルーツジュースと一緒に摂ると、薬の血液中の濃度が上がって、副作用が強く出る可能性があります。

食べ物・飲み物との相互作用

降圧薬のタイプ避けるべきもの理由
カルシウム拮抗薬(一部)グレープフルーツ、グレープフルーツジュース薬の血中濃度が上がりすぎて副作用が強く出る
ARB、ACE阻害薬カリウムを多く含む食品の過剰摂取、減塩しお高カリウム血症のリスク
利尿薬アルコール脱水のリスクが高まる

これは、グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン類」という成分が、肝臓で薬を分解する酵素の働きを邪魔するために起こります。

その結果、薬が体の中に長く留まり、通常より強い効果が出てしまうのです。

症状としては、血圧が下がりすぎることによる立ちくらみ、めまい、頭痛などが現れます。

グレープフルーツの影響
  • 影響の持続時間:数時間から場合によっては数日間
  • 対応:カルシウム拮抗薬を飲んでいる間は完全に避ける

グレープフルーツの影響は、食べたり飲んだりしてから数時間、場合によっては数日間続くことがあります。

このため、カルシウム拮抗薬を飲んでいる間は、グレープフルーツとグレープフルーツジュースは完全に避けることが勧められています。

また、ARBやACE阻害薬を飲んでいる方は、カリウムを多く含む食品や減塩しお(カリウムを含む塩の代わりの調味料)をたくさん摂ると、血液の中のカリウムの濃度が高くなりすぎる可能性があります。

高カリウム血症は脈のリズムが乱れる原因となるため注意が必要です。

利尿薬を飲んでいる場合は、お酒との組み合わせにも注意が必要です。

お酒にも尿を出させる作用があるほか、血管が広がって血圧が下がりすぎたり、副作用が強まったりする可能性があるため注意が必要です。

降圧薬の副作用は薬のタイプによって異なる

降圧薬は全体的に安全性が高い薬ですが、それでも副作用が全くないわけではありません。

副作用の種類や出やすさは、薬のタイプによって違います。

大切なのは、どんな副作用が起こりうるかを前もって知っておくことと、副作用が現れたときに適切に対応することです。

副作用には、薬の働きから予想できるもの(血管を広げることで顔がほてるなど)と、まれに起こる予想しにくいもの(アレルギー反応など)があります。

多くの副作用は軽いもので、体が薬に慣れるにつれて良くなることもありますが、中には注意が必要な症状もあります。

また、副作用の出やすさには人によって差があり、同じ薬を飲んでも副作用が出る人と出ない人がいます。

高齢者、腎臓の働きが落ちている方、たくさんの薬を飲んでいる方などは、副作用が出やすい傾向があります。

ありがたいことに、今ではたくさんのタイプの降圧薬があるため、ある薬で副作用が問題になっても、別のタイプの薬に変えることで、副作用を避けながら十分に血圧を下げられることがほとんどです。

では、各タイプの降圧薬でよく見られる副作用と、その対処法について詳しく説明します。

それぞれの降圧薬でよくみられる副作用

降圧薬タイプ別の主な副作用一覧

薬のタイプよくある副作用頻度
カルシウム拮抗薬足首のむくみ、顔のほてり、頭痛、動悸、便秘比較的多い
ARBめまい、ふらつき、だるさ少ない
ACE阻害薬空咳、めまい、立ちくらみ、だるさ空咳は5〜35%程度
利尿薬低カリウム血症、低ナトリウム血症、尿酸値上昇比較的多い
β遮断薬だるさ、疲れやすさ、徐脈、手足の冷え比較的多い
α遮断薬起立性低血圧、めまい、ふらつき初回投与時に多い

カルシウム拮抗薬でよく見られる副作用は、血管が広がることによるもので、顔がほてる、頭が痛くなる、心臓がドキドキする、足首がむくむなどです。

特に足のむくみは比較的よくありますが、通常は健康上大きな問題にはなりません。

また、ベラパミルでは便秘が起こりやすく、逆にニフェジピンでは下痢が起こることがあります。

ARBとACE阻害薬は副作用が比較的少ない薬として知られていますが、ARBではごく一部の方に、ACE阻害薬では5〜35%程度の方に空咳が現れます。

ACE阻害薬の空咳は、のどがイガイガする、カサカサするといった症状で、咳止めでは良くなりません。

この場合、ARBに変えることで症状が治まります。

ACE阻害薬療法の中止後、代替療法としてアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を開始することができます。ARBはACE阻害薬療法の再開よりも咳の再発率が低いです。

引用:National Center for Biotechnology Information ACE Inhibitors

どちらの薬も、めまい、立ちくらみ、体がだるいなどが起こることがあり、まれに血管浮腫(顔や唇が腫れる)という重い副作用が起こる可能性もあります。

利尿薬の主な副作用は、体の中のミネラルのバランスが崩れることです。

低カリウム血症、低ナトリウム血症が起こると、体がだるい、力が入らない、筋肉がつるなどの症状が現れます。

また、尿酸値が上がって痛風の発作が起こりやすくなったり、血糖値が少し上がったりすることもあります。

β遮断薬では、体がだるい、疲れやすい、脈が遅くなる、手足が冷たいなどが起こることがあります。

また、喘息やCOPDの方では、気管支が縮んで呼吸が苦しくなる可能性があるため、原則として使用を避けますが、病状により慎重に使われることもあります。

α遮断薬で最も注意すべき副作用は、起立性低血圧です。

特に初めて飲むときや量を増やしたときに、立ち上がったときのめまい、ふらつき、場合によっては気を失うことがあります。

副作用が出たら我慢せずに医師に相談する

副作用が出たからといって、必ずしも薬をやめなければならないわけではありません。

症状が軽い場合は、体が薬に慣れるにつれて数日から数週間で良くなることもあります。

しかし、次のような症状が現れた場合は、すぐにお医者さんに相談する必要があります。

すぐに医師に相談すべき症状
  • 強いめまいやふらつきで立っていられない
  • 息が切れたり呼吸が苦しい
  • 顔や唇、舌が腫れる
  • 激しい頭痛
  • 胸が痛い
  • 心臓がドキドキするのが激しくなる、または脈がとても遅くなる
  • 手足に力が入らなかったり筋肉がつる

副作用かどうかわからない症状でも、気になることがあればお医者さんや薬剤師に相談しましょう。

自分の判断で飲むのをやめたり、量を減らしたりすることは避けてください。

副作用を軽減するために薬の種類や量を調整できる

副作用が問題になる場合、お医者さんはいくつかの対応を考えます。

副作用への対応方法
  1. 薬の量を減らす
    • 血圧を下げる効果を保ちながら副作用を軽減できないか検討
  2. 薬の種類を変更する
    • 同じタイプの別の薬に変更
    • 全く違うタイプの薬に変更
    • 例:ACE阻害薬で空咳 → ARBに変更で症状改善
  3. 複数の薬を少量ずつ併用する
    • それぞれの薬の量を減らせる
    • 副作用のリスクを下げながら十分な降圧効果を得られる

まず、薬の量を減らすことで副作用が軽くならないか検討します。

血圧を下げる効果を保ちながら副作用を減らせる場合があります。

量を減らしても副作用が良くならない場合や、量を減らすと血圧が十分に下がらなくなる場合は、同じタイプの別の薬に変えたり、全く違うタイプの薬に変えたりします。

たとえば、ACE阻害薬で空咳が出た場合、ARBに変えることで咳が治まり、同じくらいの血圧を下げる効果を保てます。

また、複数の薬を少しずつ一緒に使うことで、それぞれの薬の量を減らし、副作用が出るリスクを下げながら十分に血圧を下げられる場合もあります。

副作用への対応は人によって大きく違うため、お医者さんと相談しながら、自分に最も合った薬と量を見つけていくことが大切です。

よくある質問

降圧薬は一生飲み続けないといけないのですか?

必ずしも一生飲み続けなければならないわけではありません。

ただし、多くの方では長い間飲み続ける必要があります。

降圧薬で血圧が下がっているのは、薬が効いているからであって、高血圧が治ったわけではありません。

薬をやめると、ほとんどの場合、血圧はまた上がります。

しかし、生活習慣の改善(塩分を減らす、適正な体重を保つ、運動する習慣をつける、お酒を控えるなど)を徹底的に行って、薬なしでも血圧が目標の値の中で安定して保たれるようになれば、お医者さんの判断で薬を減らしたり、最終的にやめたりできる可能性もあります。

ただし、その場合でも、食事療法や運動療法は一生続ける必要があります。

また、薬をやめた後も定期的に血圧を測って、また上がっていないか確認することが大切です。

薬を減らしたりやめたりするのは、必ずお医者さんの指示のもとで行ってください。

降圧薬を飲むと副作用で太りやすくなると聞きましたが本当ですか?

降圧薬の多くは体重が増えることに直接つながるわけではありません。

ただし、一部のβ遮断薬では、体の代謝が少し落ちることで体重が増えやすくなる可能性が指摘されています。

また、利尿薬をやめると、体の中の水分が増えて一時的に体重が増えることがあります。

もし降圧薬を飲み始めてから明らかに体重が増えた場合は、お医者さんに相談してください。

薬の種類を変えることで良くなる可能性があります。

一方で、高血圧そのものが体重が増えることと関係していることも忘れてはいけません。

肥満は高血圧の大切な原因の一つです。

薬だけに頼るのではなく、適切な食事と運動で体重を管理し続けることが、高血圧治療の基本です。

ジェネリック医薬品(後発品)でも効果は同じですか?

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を使っていて、国(厚生労働省)の厳しい審査を経て承認されています。

品質、効き目、安全性が先発医薬品と同じであることが確認されているため、基本的には同じ効果が期待できます。

ただし、有効成分以外の添加物(錠剤の色や形を作る成分など)は違う場合があります。

このため、まれに添加物によるアレルギー反応が出たり、薬の溶け方がわずかに違うことで効き目に個人差が出たりする可能性があります。

ジェネリック医薬品は先発医薬品より値段が安いため、医療費の負担を軽くできるという良い点があります。

もしジェネリック医薬品に変えて何か気になることがあれば、お医者さんや薬剤師に相談してください。

降圧薬を飲み忘れたときはどうすればいいですか?

飲み忘れに気づいたタイミングによって対応が違います。

次に飲む時間まで十分な時間がある場合は、気づいた時点で1回分を飲んでください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、飲み忘れた分は飛ばして、次回から普通通り飲みます。

絶対にやってはいけないのは、2回分をまとめて飲むことです。

血圧が下がりすぎて、めまい、ふらつき、気を失うなどの危険な症状が出る可能性があります。

飲み忘れを防ぐ工夫
  • スマートフォンのアラーム機能を使う
  • お薬カレンダーを利用する
  • 食事と一緒に飲む習慣をつける
  • 配合剤に変更して飲む錠数を減らす

飲み忘れが何度もある場合は、飲み忘れにくくする工夫が必要です。

スマートフォンのアラーム機能を使う、お薬カレンダーを使う、食事と一緒に飲む習慣をつけるなど、自分に合った方法を見つけましょう。

どうしても飲み忘れが多い場合は、お医者さんに相談してください。

配合剤(複数の成分が1つの錠剤に入ったもの)に変えることで、飲む錠数を減らせる場合があります。

薬を飲んでいれば食事制限や運動は必要ないですか?

降圧薬を飲んでいても、食事療法と運動療法は必要です。

むしろ、これらの生活習慣の改善が高血圧治療の基本で、薬はそれを助けるものという位置づけです。

日本の高血圧治療ガイドラインでは、生活習慣の改善として、以下が勧められています:

推奨される生活習慣の改善
  • 塩分を1日6g未満に減らす
  • 野菜や果物を積極的に食べて、動物性脂肪やコレステロールを控える
  • 適正な体重を保つ(BMI25未満)
  • 運動や体を動かす量を増やす(できれば毎日30分以上の有酸素運動)
  • お酒を控える
  • タバコをやめる
生活習慣改善の効果
  • 血圧を数mmHg低下
  • 薬の効果を高める
  • 必要な薬の量を減らせる可能性

これらの生活習慣の改善(減塩、減量、運動など)を行うことで、それぞれ数mmHg以上の血圧を下げる効果があることが研究でわかっています。

項目を組み合わせることで、さらに大きな効果が期待できます。

薬の効果を高めて、必要な薬の量を減らせる可能性もあります。

また、生活習慣の改善は、高血圧だけでなく、糖尿病や脂質異常症、メタボリックシンドロームの予防や改善にもつながります。

薬に頼りすぎず、できることから生活習慣を見直していきましょう。

まとめ

降圧薬には、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬、α遮断薬など、働き方が違う複数のタイプがあります。

日本で一番よく使われているのはカルシウム拮抗薬とARBで、多くの方に効果が期待でき、副作用も比較的少ないことから最初に選ばれる薬として広く使われています。

お医者さんは、患者さんの年齢、他にかかっている病気の有無、その他の健康状態などを総合的に見て、最も合った薬を選びます。

若い方にはARBやACE阻害薬が、高齢者にはカルシウム拮抗薬や利尿薬が選ばれやすい傾向があります。

糖尿病や腎臓病がある場合は、これらの臓器を守る効果も期待できるARBやACE阻害薬が推奨されます。

降圧薬の効果を最大限に引き出すためには、毎日決まった時間にきちんと飲み続けることが大切です。

自分の判断で飲むのをやめると、血圧が急に上がったり、場合によっては重い症状が出たりする危険があります。

薬をやめたり量を減らしたりするのは、必ずお医者さんの指示に従って行ってください。

副作用が出た場合は、我慢せずにお医者さんに相談しましょう。

薬の種類や量を調整することで、副作用を軽くしながら十分に血圧を下げることができる場合があります。

また、生活習慣の改善も忘れずに続けることが、高血圧治療をうまく進めるコツです。

降圧薬は、脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気を防ぐための大切な治療手段です。

わからないことや不安なことがあれば、遠慮なく医療機関に相談して、納得したうえで治療を続けていきましょう。

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この記事を書いた人

伊藤 信久のアバター 伊藤 信久 医師・グレースメディカルクリニック院長

福岡県出身。鹿児島大学医学部卒業後、大学病院の心臓外科に勤務。冠動脈バイパス術・弁置換術などの高度な心臓手術を多数担当。
その後、恩師が開業したクリニックで一次診療に従事。地域医療の最前線で多くの患者と向き合う中で「患者さんに最も近い距離で診療すること」の重要性を再認識し、開業医として地域医療に貢献することを決意。2014年に熊本市でグレースメディカルクリニックを開設した。現在は院長として、高血圧をはじめとする循環器・生活習慣病の診療に注力。心臓外科で培った循環器の知見を活かし、「血圧から全身を守る医療」をモットーに地域の健康づくりと啓発活動を続けている。

主な資格・所属学会
・日本外科学会
・日本循環器学会
・点滴療法研究会

地域の“かかりつけ医”として、高血圧を中心とした生活習慣病の早期発見と予防、継続的な血圧管理に力を注ぎ、患者一人ひとりの「より良い血圧コントロールと健康」の実現を目指している。

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