「最近体重が増えてきたけれど、病院に行くほどのことなのだろうか」と迷っている方は少なくありません。
体重の増加はだれもが経験することですが、肥満(脂肪の過剰な蓄積)を放置していると、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心血管疾患といった生活習慣病のリスクが高まることが、多くの研究で示されています。
一方で、「肥満」と「肥満症」は医学的にまったく別の意味を持つ言葉であり、体重が多いからといって、すべての方がすぐに治療を必要とするわけではありません。
では、いったいどのタイミングで医師に相談すればよいのでしょうか。
- 健診で血圧・血糖・脂質の異常を指摘されたとき
- 膝・腰の痛みや疲れやすさが気になり始めたとき
- いびきや睡眠中の無呼吸を指摘されたとき
- 短期間で体重が急激に増えたと感じたとき
- 健診結果に「要観察」「要受診」と記載されていたとき
また、いざ受診しようとしても、「どの科に行けばいいのか」「何を話せばいいのか」がわからず、足が遠のいてしまう方も多いようです。
この記事では、まず「肥満」と「肥満症」の違いや、医師への相談が必要になるサインを解説します。
続いて、受診前に知っておくと役立つ診断の仕組みや、放置した場合のリスクをお伝えします。
さらに、診察をスムーズに進めるための伝え方のコツ、何科を受診すればよいかという素朴な疑問から、初診でどんな検査が行われるかまで、受診の流れを具体的に説明します。
医療の知識がまったくない方でも読み進められるよう、できるだけ平易な言葉でまとめましたので、肥満が気になりはじめた方の「最初の一歩」として、ぜひ参考にしてください。
- 「肥満」と「肥満症」の医学的な違い
- 医師への相談を考えるべきサインとなる症状
- 肥満症の診断基準と放置した場合のリスク
- 受診時に医師へ伝えるべき情報の整理方法
- 何科を受診すればよいか、初診の流れ
はじめに(免責・注意事項)
本記事は、あくまでも一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、医療上の助言や診断、治療を推奨するものではありません。
GLP-1受容体作動薬をはじめとする医薬品や施術は、個人の健康状態や体質によって効果・副作用が異なる可能性があります。投薬や治療を希望される方は、必ず医師をはじめとする医療従事者と相談のうえ、十分な説明を受けてから自己責任においてご判断ください。
また、本記事で紹介する治療法の一部には日本国内で未承認の用途や自由診療に該当するものがあります。その点を十分にご理解いただき、ご自身で最新の情報を確認しながら、適切な医療機関で受診されることをおすすめいたします。
本記事の内容は公開時点の情報に基づいていますが、法改正やガイドラインの変更、医学的知見の進歩等により情報が変わる可能性があります。最新情報につきましては、必ず公的機関や各医療機関の公式情報をご確認ください。
「体重が多い=肥満症」ではない、医師への相談が必要なケースとは
体重が増えてきたとき、多くの方は「太った」と感じながらも、病院を受診すべきかどうかの判断に迷います。
「このくらいなら大丈夫だろう」と思う一方で、「もしかしたら何か病気が隠れているのでは」と不安になることもあるでしょう。
こうした迷いが生じるひとつの理由として、「肥満」と「肥満症」という言葉が混同されがちであることが挙げられます。
実は、この二つは医学的にまったく異なる意味を持っており、体重が多いことと、治療が必要な状態であることは、必ずしも同じではありません。
まずはこの違いを正しく理解することが、受診の必要性を判断するうえでの第一歩になります。
このあとでは、肥満と肥満症それぞれの定義と、「そろそろ受診を考えたほうがいい」と判断するための症状のサインについて説明します。
肥満と肥満症の違いは「合併症または内臓脂肪蓄積などのリスクがあるか」で決まる
「肥満」とは、体に脂肪が必要以上に蓄積した状態を指します。
医療現場では、体格指数(BMI)という数値を使って肥満かどうかを判断します。
BMIとは体重と身長から計算できる指標で、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」という計算式で求められます。
たとえば、身長170cmで体重76kgの方であれば、「76÷1.7÷1.7=約26.3」となり、日本の基準ではBMIが25以上を「肥満」と定めているため、この方は肥満1度に該当します。
BMIの分類表
| BMI | 判定 |
|---|---|
| 18.5未満 | 低体重(やせ) |
| 18.5以上25未満 | 普通体重 |
| 25以上30未満 | 肥満1度 |
| 30以上35未満 | 肥満2度 |
| 35以上40未満 | 肥満3度(高度肥満) |
| 40以上 | 肥満4度(高度肥満) |
(出典:日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」をもとに作成)
一方、「肥満症」は、肥満に加えて何らかの健康上の問題が起きているか、このまま放置するとそのリスクが高いと医師が判断した状態を指します。
厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、肥満症とは「肥満に起因・関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、減量を必要とする疾患」と定義されており、単なる体重の多さとは異なる「病気」として扱われます。
肥満と肥満症の比較表
| 項目 | 肥満 | 肥満症 |
|---|---|---|
| 意味 | BMI25以上の状態 | 肥満に加え、健康障害がある・またはそのリスクが高い状態 |
| 医学的な位置づけ | 体の状態を表す言葉 | 治療が必要な「疾患(病気)」 |
| 治療の必要性 | 必ずしも必要ではない | 医学的な治療・管理が必要 |
| 健康保険の適用 | 原則なし(自由診療) | 条件を満たせば適用あり※ |
※肥満症と診断された場合でも、すべての治療が一律に保険適用となるわけではなく、治療内容・薬剤・医療機関・患者の条件によって異なります。
わかりやすくいえば、「肥満」は体の状態を表す言葉であり、「肥満症」はその状態が病気として治療の対象になった段階を指します。
BMIが25以上であっても、血圧や血糖値などに問題がなければ、今すぐ治療が必要とは限りません。
ただし、この状態が長く続くと将来的に生活習慣病のリスクが高まるため、注意が必要です。
しかし、健康診断で数値の異常を指摘されていたり、膝や腰に痛みがあったりする場合は、肥満症として医師の評価を受けることが大切になってきます。
こんな症状が出ていたら、受診を考えるタイミングかもしれない
では、具体的にどのような状態になったら受診を考えればよいのでしょうか。
慶應義塾大学病院の医療情報サイトKOMPASでは、次のような状態が、肥満症として対処が必要なサインとして紹介されています。
「階段を上がるのに以前より体が重いと感じるようになった」「膝や腰が痛むことが増えた」「夜中にいびきをかいたり、睡眠中に呼吸が止まると指摘されたりする」「健康診断で血圧や血糖値が高いと言われた」といった状態がそれにあたります。
- 健康診断で血圧・血糖値・コレステロール値の異常を指摘された
- 健康診断の結果票に「要観察」「要受診」と記載されていた
- 膝や腰などの関節が痛むようになった
- 階段の上り下りや少し歩くだけで疲れやすくなった
- いびきをかくようになった、または睡眠中に呼吸が止まると言われた
- 以前より疲れやすい、むくみやすいと感じる
- 体重が短期間で急激に増えた
※これらの症状は、肥満症以外の病気も含めて相談すべきサインです。
また、健康診断の結果票に「要観察」や「要受診」と記載されていた場合、いずれも結果を軽視せず、判定内容に応じて再検査や医師相談を行うことが大切です。
「少し数値が高いだけだから大丈夫だろう」と自己判断で放置せず、判定に従って生活改善や再検査、医師への相談を適切に行いましょう。
「病院に行くほどのことではないかも」と感じている方でも、気になる症状がひとつでもあれば、まずかかりつけ医に話してみることをおすすめします。
相談するだけでも、自分の状態を正確に知るきっかけになります。
肥満症と診断されると何が変わるのか、受診前に知っておきたいこと
受診を決めたとしても、「どんな基準で肥満症と診断されるのか」「診断されたら何が変わるのか」がわからないまま病院へ行くのは、不安を感じさせるものです。
医師への相談をためらう理由のひとつに、「よくわからないことへの漠然とした不安」があるといわれています。
あらかじめ診断の仕組みや、肥満症が引き起こしうるリスクの概要を知っておくことで、受診に対する心理的なハードルが下がり、医師との対話もスムーズになります。
ここでは、日本肥満学会のガイドラインをもとに診断の考え方をわかりやすく解説するとともに、肥満症を長く放置した場合に懸念されるリスクについて、国内外の信頼性の高い情報をもとにお伝えします。
肥満症の診断基準はBMIと合併症の組み合わせで決まる
肥満症かどうかの診断は、日本肥満学会が定める「肥満症診療ガイドライン」に基づいて行われます。
簡単にいうと、BMIが25以上であることに加え、肥満と関係のある病気や体の異常がひとつ以上認められる場合に、「肥満症」と診断される可能性があります。
肥満症の診断に関係する健康上の問題として、血糖値の異常(糖尿病や予備軍)、血中脂質の異常(コレステロールや中性脂肪の高さ)、高血圧、尿酸値の高さ(痛風を含む)、心臓の血管の病気(狭心症・心筋梗塞)、脳梗塞、脂肪肝、女性の月経異常や不妊、睡眠時の無呼吸、膝や腰などの関節の病気、腎臓の病気の計11項目が挙げられています。
これらのうちひとつでも該当する場合、肥満症と診断される可能性があります。
肥満症の診断に関わる11の健康障害
| 分類 | 主な健康障害 |
|---|---|
| 代謝・血糖 | 2型糖尿病・耐糖能異常(血糖値の異常) |
| 脂質 | 脂質異常症(コレステロール・中性脂肪の異常) |
| 血圧 | 高血圧 |
| 尿酸 | 高尿酸血症・痛風 |
| 心臓・血管 | 冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症) |
| 脳・血管 | 脳梗塞・一過性脳虚血発作 |
| 肝臓 | 非アルコール性脂肪性肝疾患(脂肪肝) |
| 婦人科 | 月経異常・女性不妊 |
| 呼吸・睡眠 | 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群 |
| 関節・骨 | 変形性関節症(膝・股関節・脊椎など) |
| 腎臓 | 肥満関連腎臓病 |
(出典:日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」)
また、BMI25以上の肥満があり、内臓脂肪蓄積がある場合、見た目では太っているように見えなくても、お腹の内側(内臓のまわり)に脂肪がたまっている「内臓脂肪型肥満」の場合は、上記の問題がまだ出ていない段階でも肥満症と判断されることがあります。
これは将来的に健康上の問題が起きるリスクが高いと考えられるためです。
BMIが35以上の場合は「高度肥満」と呼ばれ、より積極的な治療が必要になるケースがあります。
なお、日本人は欧米人に比べてBMIが低い段階から糖尿病・脂質異常症・高血圧などの肥満関連疾患リスクが高まりやすいため、日本独自の基準(BMI25以上を肥満とする)が設けられています。
肥満症を放置すると、生活習慣病のリスクが上がりやすい
肥満症の状態を長期にわたって放置することで、さまざまな病気のリスクが高まる可能性があることが、多くの研究から示されています。
アメリカのCDC(疾病管理予防センター)によれば、肥満は2型糖尿病、高血圧、心臓病、脳卒中、特定のがん、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、膝や股関節の変形、うつ病などのリスク上昇と関係しているとされています。
これらは互いに影響し合うことも多く、たとえば、肥満に伴う血糖値や血圧、脂質の異常、血管の炎症などが相互に影響し合い、心臓病や脳卒中のリスクをさらに高めるという連鎖が起きやすいとされています。
国際的な専門団体による総説論文(欧州心臓病学会誌掲載)でも、肥満は心臓や血管の病気の大きな要因であり、意図的な減量がそのリスク改善に役立つことが示されています。
エビデンスによると、意図的な減量(特に大幅な減量)は、過体重/肥満者のCVDリスクを低下させます。
引用:Oxford Academic Obesity and cardiovascular disease: mechanistic insights and management strategies. A joint position paper by the World Heart Federation and World Obesity Federation
ただし、肥満の方が必ずこれらの病気になるわけではなく、体質や生活環境などによって個人差があります。
「肥満だから絶対に病気になる」と過度に怖がる必要はありませんが、自分の状態を早めに把握しておくことで、リスクを抑える手を打ちやすくなります。
気になる方は、まず医師に診てもらうことを検討してみてください。
受診当日に困らないための、医師への伝え方のポイント
肥満症の診察では、体重の数値や血液検査の結果だけでなく、患者さんの日常生活の様子や、いつ頃からどんな症状があるかといった経緯を総合的に把握しながら評価が行われます。
「何をどう話せばいいかわからない」という理由で受診をためらっている方もいるかもしれませんが、事前にある程度の情報を整理しておくだけで、医師とのやり取りはぐっとスムーズになります。
また、体重が増えた原因は食べすぎや運動不足だけとは限らず、飲んでいる薬や体の別の病気が影響しているケースもあるため、できる範囲でいろいろな情報を医師に伝えることが、正確な診断につながります。
ここでは、受診前に準備しておくと役立つ情報の種類と、医師への伝え方のポイントをまとめます。
症状・食生活・運動習慣を具体的に話せると診察がスムーズになる
医師が肥満症の診察で確認したい情報は、思っている以上に幅広いものです。
アメリカ国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)が公開している情報によれば、体重に影響を与える要因として、食事や運動といった生活習慣だけでなく、日常のストレス、睡眠の質、精神的な健康状態なども関係している場合があるとされています。
受診時に伝えておくと診察に役立つ情報の例として、次のようなものが挙げられます。
- 体重の変化(いつ頃から増え始めたか、どのくらいの期間で増えたか)
- 1日の食事のおおまかな傾向(食事の回数や時間帯、食べる量の感覚、間食の頻度)
- 運動の習慣(週に何回くらい、どのくらいの強さで動いているか)
- 睡眠の状況(何時間くらい眠れているか、眠りの浅さやいびきの有無)
- 最近のストレスや生活環境の変化(仕事が忙しくなった、引っ越しをしたなど)
これらをすべて正確に把握していなくても大丈夫です。
「だいたいこのくらい」という感覚で話すだけでも、医師にとっては大きな手がかりになります。
受診前に少し振り返っておくだけで、診察の中身がぐっと濃くなります。
アメリカの医学データベースNCBIに掲載された肥満医療の評価に関する情報では、「何を食べているか」だけでなく「どのように食べているか」、たとえばストレスを感じたときについ食べてしまう、食べるのが非常に速いといった食べ方のクセも、診察上の重要な情報として位置づけられています。
「こんなことを話してもいいのか」と遠慮せず、気になることはぜひ伝えてみてください。
服用中の薬や過去の病歴も必ず伝えよう
体重の増加は、日々の食事や運動不足だけが原因とは限りません。
実は、飲んでいる薬の副作用として体重が増えることがあります。
たとえば、一部の精神科・心療内科で処方される薬、アレルギーや炎症を抑えるために使われるステロイド剤、糖尿病の治療に使われるインスリン製剤などは、体重が増えやすくなることが知られています。
一部の医薬品には、空腹感を感じさせたり、体のカロリー消費を少なくしたりして、エネルギーバランスに影響を与える可能性のあるものもあります。
引用:厚生労働省eJIM 肥満(体重管理)
また、甲状腺の働きが低下する「甲状腺機能低下症」や、女性に多い「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」といった内分泌の病気が、体重増加の背景にある場合もあります。
このように、別の病気や薬が原因で体重が増えているケース(医学的には「二次性肥満」と呼ばれます)では、まずその原因への対処が優先されます。
そのため、医師に正確な情報を伝えることが、診断の精度を大きく左右します。
受診時に事前にまとめておくと便利な情報として、現在飲んでいる薬(市販薬やサプリメントも含む)、これまでにかかった病気や手術の経歴、家族に肥満や糖尿病・高血圧などの方がいるかどうか、女性の場合は月経の状況(不規則、止まっているなど)が挙げられます。
薬の名前がわからない場合は、お薬手帳を持参すると医師がすぐに確認できるので便利です。
- お薬手帳(現在服用中の薬・サプリメントがわかるもの)
- 直近の健康診断の結果票
- 体重の変化がわかるメモや記録(アプリのデータなども可)
- これまでにかかった病気・手術のメモ
- 家族の病歴(糖尿病・高血圧・肥満など)のメモ
- 女性の場合:月経の状況(直近の月経日、不規則な場合はその旨)
肥満症の相談は何科に行けばいい?初診の流れもあわせて確認
「病院に行こうとは思っているけれど、何科を受診すればいいのかわからない」という声はよく聞かれます。
内科なのか、それとも別の科なのかと迷ううちに、受診のタイミングを逃してしまう方も少なくないようです。
肥満症はさまざまな診療科が関わる病気ですが、最初の相談先としてはある程度の目安があります。
また、初めての受診となると「何をされるのか」「どんなことを聞かれるのか」といった不安もあるものです。
受診の流れをあらかじめ把握しておくことで、当日の緊張や戸惑いを和らげることができます。
ここでは、受診先の選び方と、初診でよく行われる検査や問診の流れを、できるだけ具体的に説明します。
まずは内科・肥満外来・生活習慣病外来が相談の窓口になる
肥満症の初診としては、一般内科、糖尿病内科、内分泌内科、肥満外来、または生活習慣病外来が受け皿となることが多いです。
国立循環器病研究センターのウェブサイトによれば、同センターでは「BMI25以上で、肥満に関連した健康障害のある方」を診療の対象としており、このような専門的な対応は各地の内科・内分泌科・糖尿病内科などでも受けられます。
もっとも入りやすいのは、これまでも通ったことのある「かかりつけ医(家庭医)」への相談です。
かかりつけ医はふだんの健康状態を把握していることも多く、必要に応じて専門外来や病院への紹介状を書いてもらえます。
「どこに行けばいいかわからない」という場合は、まずかかりつけ医への相談が出発点として有効です。
肥満外来とは、肥満症に特化した診療を行う専門の外来のことです。
食事・運動・薬による治療を組み合わせた総合的なサポートが受けられることが多く、管理栄養士(食事の専門家)や運動指導士がチームとして関わるケースもあります。
地域や医療機関によって診療体制は異なりますが、内科のなかでも「糖尿病内科」や「内分泌内科」は、肥満と関連した病気に詳しい医師が多い傾向があります。
なお、過食症など食べることをコントロールしにくい状態がある場合や、強いストレスや気持ちの落ち込みが体重増加に大きく関係していると感じる場合は、心療内科や精神科への相談が適しているケースもあります。
受診先に迷ったときは、まずかかりつけ医に状況を話してみてください。
症状・状況別の受診先の目安
| 状況 | おすすめの受診先 |
|---|---|
| どこに行けばいいか迷っている | かかりつけ医(一般内科)に相談し、必要に応じて紹介してもらう |
| 血糖値・血圧・脂質などの異常がある | 内科・糖尿病内科・生活習慣病外来 |
| 肥満症の専門的な治療を受けたい | 肥満外来・内分泌内科 |
| ホルモン系の病気が疑われる | 内分泌内科 |
| 過食や食べることのコントロールが難しい | 心療内科・精神科 |
初診では問診・身体測定・血液検査などが行われることが多い
初めて肥満症の診察を受ける際には、おおむね次のような順番で進むことが多いです。
- 問診(医師からの質問):症状が出た時期、日頃の食事・運動・睡眠の状況、既往歴、服用中の薬などを聞かれます。
- 身体測定・血圧測定:身長・体重・腹囲(ウエスト周囲径)・血圧を測定し、BMIなどを確認します。
- 血液検査:血糖値、コレステロール・中性脂肪、肝臓・腎臓の機能などを調べます(必要に応じて甲状腺ホルモンを調べることもあります)。
- 追加検査(必要に応じて):腹部超音波(脂肪肝の確認)や、内臓脂肪を評価するCT検査が行われる場合があります。
- 結果説明・今後の方針確認:検査結果をもとに医師から説明があり、治療や生活改善の方向性について話し合います。
まず、問診として医師からいくつか質問されます。
「いつ頃から体重が増えましたか」「日頃の食事や運動はどうですか」「これまでにかかった病気や手術はありますか」といった内容が中心です。
前の章で紹介した情報を事前に整理しておくと、この問診がスムーズに進みます。
次に、身長・体重の測定とBMIの計算、お腹まわり(ウエスト周囲径)の測定、血圧測定などが行われます。
これらの数値が、肥満や肥満症の評価に使われます。
血液検査では、血糖値(糖尿病の有無)、コレステロールや中性脂肪(脂質の状態)、肝臓や腎臓の働きなどが調べられることが多く、症状や医師の判断で甲状腺ホルモンの量を確認することもあります。
体重が増えた背景に別の病気が隠れていないか、すでに合併症が起きていないかを確認するために行われます。
場合によっては、お腹の超音波検査(脂肪肝の確認など)や、内臓脂肪の量を詳しく調べるCT検査が追加されることもあります。
多くの場合、初診は現状をしっかり把握するための評価から始まり、血圧や血糖値の異常など状態によってはその日から治療が始まることもありますが、過度に緊張する必要はありません。
「これは聞いておきたい」「これが不安」ということがあれば、診察の中で遠慮なく医師に伝えてみてください。
よくある質問(FAQ)
- 肥満症の治療は健康保険が使えますか?
-
肥満症として医学的な減量治療の対象と診断された場合、健康保険が適用される可能性がありますが、治療内容(薬物療法や外科手術など)ごとに細かな適用条件が異なります。
ただし、BMI25以上で合併症があるからといってすべての治療に保険が使えるわけではなく、診療内容や薬剤の種類、医療機関の体制、患者さんの条件によって厳密に定められています。
肥満は病気そのものではないため、美容目的の減量や健康障害を伴わない肥満の診療は、自由診療(全額自己負担)となることが多いため、受診前に医療機関に確認しておくとよいでしょう。
- 自己流のダイエットと肥満症の治療は何が違うのですか?
-
自己流のダイエットは食事制限や運動を個人の判断で行うものですが、肥満症の治療は医師が合併症の有無や全身の状態を評価したうえで、その方に合ったアプローチを計画するものです。
2001年の医学誌に掲載された研究では、医師からカウンセリングや体重管理のサポートを受けた患者は、そうでない患者と比較して体重管理プログラムへの参加率が有意に高かったことが示されています。
適切な専門家の関与が、継続的な改善につながりやすいといえます。
- 健康診断の数値は正常ですが、体重が気になります。相談してもよいですか?
-
はい、相談することは可能です。
健康診断の数値が現時点で正常範囲であっても、内臓脂肪が蓄積している場合は将来的な健康リスクが高まる可能性があるとされています。
また、体重管理や生活習慣の見直しに取り組みたいというお気持ちがある場合も、医師に相談することで個別に合ったアドバイスを得られることがあります。
「病気ではないから相談してはいけない」ということはありません。
まとめ
この記事では、肥満症について医師に相談する際に知っておきたい基本的な知識から、受診の具体的な流れまでをお伝えしました。
「肥満」と「肥満症」は異なる概念であり、肥満症は、脂肪が過剰に蓄積した状態(肥満)に起因して、健康上の問題が起きている、またはその合併が予測されるため減量を必要とする病気です。
BMIと合併症の有無を組み合わせて診断され、医療的な治療の対象として位置づけられています。
「体重は多いけれど大丈夫だろう」と自己判断で放置しているうちに、気づかないうちに生活習慣病が進んでいる場合もあります。
健康診断で気になる数値があった方や、膝の痛み・いびきなど心当たりのある症状がある方は、まずかかりつけ医や内科に相談してみることをおすすめします。
受診の際には、いつ頃から体重が増えたか、日頃の食生活や運動の習慣、飲んでいる薬や過去の病歴を簡単に整理しておくと、医師との会話がスムーズになります。
心配なことや疑問に感じていることは、遠慮なく医師に伝えていただければと思います。
肥満症は、食事療法と運動療法を基本とし、それらで十分な効果がみられないなど条件を満たす場合に薬の治療を組み合わせながら、医師とともに取り組んでいく病気です。
一人で悩まず、まず専門家に相談することが健康への第一歩になるかもしれません。
厚生労働省 健康づくりサポートネット BMI
一般社団法人 日本肥満学会 肥満症診療ガイドライン2022
厚生労働省 健康づくりサポートネット 肥満と肥満症
厚生労働省 東海北陸厚生局 肥満症の効能又は効果を有するセマグルチド(遺伝子組換え)製剤に係る 最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項について
慶應義塾大学病院 KOMPAS 肥満症
Cleveland Clinic Unexplained Weight Gain & Causes of Rapid Weight Gain
全国健康保険協会 京都支部 健診で「要精密検査」「要治療」となった方は、医療機関を受診してください。
厚生労働省 健康づくりサポートネット 肥満と健康
Centers for Disease Control and Prevention Consequences of Obesity
National Center for Biotechnology Information Counseling Patients With Obesity
National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases Talking with Your Patients About Weight
National Center for Biotechnology Information History Taking in Obesity Medicine: A Comprehensive Guide
厚生労働省eJIM 肥満(体重管理)
The Endocrine Society Polycystic Ovary Syndrome
一般社団法人 日本動脈硬化学会 二次性肥満
公益社団法人 日本薬剤師会 eお薬手帳とは
国立循環器病研究センター 肥満症
国立循環器病研究センター 糖尿病・脂質代謝内科
American Association of Clinical Endocrinology Patient Journey Obesity – Initial Assessment
National Center for Biotechnology Information Endocrine Changes in Obesity
公益社団法人 日本超音波医学会 エコーで脂肪肝を指摘されたら
National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases Diagnosis of NAFLD & NASH
PubMed Physician involvement in the management of obesity as a primary medical condition

