熊本市東区の内科・循環器内科・糖尿病脂質代謝内科・禁煙治療・在宅診療のグレースメディカルクリニック
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痛風は、関節に激しい痛みを引き起こす疾患で「風が当たっただけでも痛い」と表現されるほどの激痛発作が特徴です。
主に足の親指付け根に生じることが多く、患者の多くは30~50代の男性で、女性の痛風発症はまれです。
この痛みの原因は、血液中の尿酸が過剰になる高尿酸血症によって関節に尿酸塩の結晶が沈着し炎症を起こすためです。
尿酸値の上昇には食生活など日々の生活習慣が大きく関与しており、痛風は生活習慣病の一つとも言われます。
そのため痛風の予防・改善には食事を中心とした生活習慣の見直しが欠かせません。
痛風で食べて良い食事と食べてはいけない食事まとめ
食べていい食事(推奨される食品) | 食べてはいけない(または控えたい)食事 |
---|---|
野菜全般 低プリン体かつビタミン、食物繊維、ミネラルが豊富。 (例:葉野菜、根菜、きのこ、海藻類など) | 動物の内臓(レバー、白子など) プリン体含有量が非常に高く、頻繁かつ大量の摂取はリスク増。 |
乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ) 低プリンかつカルシウムが豊富で、尿酸排泄を促す可能性がある。 ※できるだけ低脂肪タイプを選ぶと◎ | 干物・乾燥食品(煮干し、干しシイタケ等) 水分が抜けてプリン体濃度が高いため、多量摂取に注意。 |
豆類・大豆製品(豆腐、納豆など) プリン体はやや含まれるが比較的少なく、植物性たんぱく源として有用。 | 魚の加工品(カツオ節、魚卵、アンコウ肝など) プリン体が濃縮されている場合が多く、大量摂取は控えたい。 |
卵 プリン体が少なく、良質なたんぱく源。調理しやすくさまざまな料理に活用可能。 | アルコール飲料(特にビール) プリン体だけでなくアルコール自体が尿酸値を上げる要因となる。プリン体ゼロビールでも過度の飲酒はNG。 |
適度な量の肉・魚 部位を選び、1日80〜100g程度であれば過剰摂取になりにくい。 赤身なら比較的脂質も低く、栄養バランスを保ちやすい。 | 果糖の多い甘味飲料(ジュース、清涼飲料水) 果糖が尿酸の生成を促進し、痛風リスクを高める可能性。甘い炭酸飲料などは控える。 |
水・無糖のお茶、ブラックコーヒー 水分摂取で尿量を増やし、尿酸排泄を促す。コーヒーは適量なら痛風リスク低減の報告も。 | 過剰な果物や果糖を多く含む加工食品 果糖過多は尿酸値上昇の要因となるため、大量摂取は避ける。 |
本記事は、あくまでも一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、医療上の助言や診断をするものではありません。
痛風の治療薬をはじめとする医薬品や処方は、個人の健康状態や体質によって効果・副作用が異なる可能性があります。治療を希望される方は、必ず医師をはじめとする医療従事者と相談のうえ、十分な説明を受けてからご判断ください。
痛風は、血中の尿酸が結晶化して関節に蓄積し炎症を起こす病気です。
尿酸値が7.0mg/dLを超える高尿酸血症の状態が長く続くと、尿酸の結晶が関節に沈着して痛風発作(激しい関節の痛み)を引き起こします。
高尿酸血症・痛風は遺伝的要因もありますが、実は食生活など環境要因が大きく関与する生活習慣病です。
現代の食生活の変化に伴い痛風患者数は著しく増加しており、日本では現在約130万人もの人が痛風治療のため通院しているとのデータもあります(痛風予備軍と言われる高尿酸血症患者はその10倍近くと推計)。
こうした背景からも、痛風と診断されたらまず生活習慣、とりわけ食事内容の見直しが重要になります。
尿酸は体内でプリン体という物質が分解されてできる老廃物です。
プリン体は体内でも作られますが、食事由来のプリン体の過剰摂取は血清尿酸値を上昇させ痛風発症リスクを高めることが知られています。
加えてアルコール飲料の摂取や肥満なども尿酸値を上げる大きな要因です。
実際、痛風患者には肥満の方が多く、減量により尿酸値が改善するケースもあります。
つまり痛風発作を予防するには、プリン体やアルコールの摂取を抑え、適正体重を維持するといった食生活・習慣の改善が欠かせません。
それでは具体的に、痛風の人はどんな食品に注意し、どのような食事を心がければ良いのでしょうか。
では、痛風の原因となりやすい食事とは具体的にどのようなものでしょうか。
ポイントとなるのは、食品中のプリン体と、アルコール飲料や砂糖入り飲料の摂取です。
それぞれについて詳しく見てみましょう。
プリン体とは、体内で分解されると尿酸になる物質の総称です。
食品中のプリン体を過剰に摂取すると最終的に尿酸に代謝されて体内の尿酸量(プール)が増加し、結果的に痛風発作の原因となる尿酸塩結晶が蓄積しやすくなります。
そのため『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』でも1日400mgを目安にプリン体摂取を制限するよう推奨されています。
特に肉類や魚介類を大量に食べる食生活は痛風発症リスクを高めることが知られており、食事内容の中でもプリン体の多い食品を把握し、摂り過ぎないよう注意が必要です。
これらの食品はプリン体含有量が「多い~極めて多い」部類に分類され、頻繁かつ大量に摂ることは避けたほうが良い食材です。
とはいえ、プリン体は旨味成分でもあるため美味しい食品に多く含まれがちです。
プリン体だけを極端に恐れて食事の幅を狭める必要はありません。
実際、プリン体の過度な制限によって栄養失調になった例も報告されています。
大切なのはプリン体含有量の高い食品を「全く食べない」ことではなく、「量を控えめにする」ことです。
普段の食事量自体を適正範囲に抑えつつ、その中で上記のような高プリン体の食材を少なめに取り入れる工夫をすると良いでしょう。
要は「食べ過ぎ・飲み過ぎを避け、好きなものも適量にとどめる」バランスの良い食生活と適度な運動・ストレス管理が奨励されています。
痛風・高尿酸血症の方は、アルコール類の摂取を控えめにすることが非常に重要です。
ビールはプリン体含有量が多いことで知られますが、それ以前にアルコールそのものが尿酸代謝に大きく影響します。
アルコール飲料を摂取すると体内で尿酸の産生が増えると同時に、尿中への尿酸排泄が抑制されて血中尿酸値が上昇します。
さらにアルコールの利尿作用で脱水傾向になり、尿が濃縮されることで相対的に尿酸濃度が高まってしまいます。
特にビールはアルコールに加えプリン体も含むため、他の酒類以上に尿酸値への影響が大きいと考えられています。
実際に、「毎日ビールを1缶飲む習慣がある人は、6年で血清尿酸値が約0.5~1.0mg/dL上昇した」との報告もあります。
以上の理由から、できればアルコールは飲まないようにするのが理想です。
難しい場合でも量を減らし頻度を控えることが肝心で、飲むお酒の種類にも工夫ができます。
例えばプリン体をほとんど含まない蒸留酒(ウイスキー、焼酎など)やプリン体カットと謳われたビール・発泡酒を選ぶことで、プリン体摂取量を下げることができます。
ただしアルコールそのものの作用は種類に関わらず尿酸代謝に影響しますし、習慣的な過剰飲酒は肝臓でのプリン体生成を促進してしまうため油断は禁物です。
どの種類の酒でも適量を守って嗜む程度にとどめ、「休肝日」を設けるなど飲み過ぎないライフスタイルを心がけましょう。
また、お酒の席で一緒に食べるおつまみ類にもプリン体が多い食品(例:レバー料理や干物など)が多いため注意が必要です。
次に砂糖入りの清涼飲料にも注意が必要です。
近年の研究で、果糖(フルクトース)などの糖質の過剰摂取が尿酸代謝に与える影響が明らかになっています。
砂糖(ショ糖)に含まれる果糖は体内でプリン体の分解を促進し、結果的に血清尿酸値を上昇させます。
そのため果糖を多く含むジュースや清涼飲料水の摂取は痛風・高尿酸血症のリスク要因とされています。実際、糖砂糖で甘味を付けた飲料をよく飲む人は、痛風発作の発症率が高まるとの疫学データもあります。
例えばアメリカの調査では、日常的に砂糖入り飲料を頻繁に飲む人はそうでない人に比べ肥満や糖尿病になりやすいだけでなく痛風の発症率も有意に高いことが報告されています。
若年層でも炭酸飲料やエナジードリンクを習慣的に大量に飲み続ければ将来的に痛風リスクを高める可能性があるため要注意です。
こうした糖分の多い飲み物はできるだけ避け、水や無糖のお茶でこまめに水分補給をする習慣をつけましょう。
十分な水分摂取は尿量を増やし尿酸の排泄を促進するのに役立ちます。
目安としては1日に約2リットル程度の水分を、喉が渇く前に分散して補給するのが望ましいとされています。
特に汗をかいた時や運動後、入浴後などは意識的に水を飲み、尿をしっかり出すことで尿酸の結晶化(尿路結石)の予防にもつながります。
また清涼飲料だけでなく菓子類など糖分の多い食品の過剰摂取も肥満を介して尿酸値を悪化させる恐れがあるため、甘い物は適量に控えることが大切です。
痛風の原因である高尿酸血症を改善するには、日々の食事内容を見直すことが重要です。
プリン体の多い食品(肉の内臓や魚介類など)は控えめにし、アルコールはできるだけ減らすこと、甘味飲料を避け水分を十分にとることが基本的な対策となります。
痛風に関する飲み物のまとめ
飲み物 | 主な特徴・リスク | 控え方・工夫 |
---|---|---|
ビール | プリン体が多く、アルコール自体も尿酸生成を促す | できれば控える。プリン体ゼロでもアルコールは影響するので過信禁物 |
ワイン、発泡酒、チューハイ等 | 種類に関わらず、アルコールは尿酸値を上げる可能性 | 飲むなら適量(ビール中瓶1本相当/日目安)で休肝日を設ける |
蒸留酒(焼酎、ウイスキーなど) | プリン体はほぼゼロだが、アルコールの影響は変わらない | 過剰摂取NG。少量なら比較的影響少なめだが、水割りなど薄める工夫が必要 |
果糖入り清涼飲料(ジュース、スポーツ飲料) | 果糖が尿酸値上昇を助長し、痛風リスクが高まる可能性 | 水やお茶に置き換えを推奨。甘味飲料は量・頻度ともに減らす |
エナジードリンク | 高い糖分やカフェインを含む場合が多く、習慣的多飲は危険 | 疲労回復目的などでの常飲を避け、カロリー・糖分量をチェック |
痛風や高尿酸血症の予防には、日頃の食生活の見直しが重要です。特に食品に含まれるプリン体(※体内で尿酸に代謝される成分)を抑える「低プリン食」を心がけることが基本となります。
ここでは、低プリン食のポイントや乳製品・水分補給の役割、さらにコーヒーやビタミンCの有用性について解説します。
痛風予防の食事法としてまず挙げられるのが「低プリン食」です。
プリン体は体内で尿酸に変わるため、食品中のプリン体摂取量を減らすことで血中尿酸値の上昇を抑える狙いがあります。
日本のガイドラインでは1日あたりプリン体400mg以内を目安に摂取を制限することが示されています。
プリン体を多く含む食品の代表はレバーなどの動物の臓器類、白子(魚の精巣)、エビ・カニ・イワシ・カツオなど一部の魚介類です。
例えば鶏レバーや白子は100g中300mg以上ものプリン体を含み極めて高プリンです。
こうした食品は痛風発作の引き金になりやすいため、食べ過ぎないことが大切です。
特にこれら「極めて多い」食品はできるだけ頻度を減らし、食べる場合も少量に留めましょう。
適度な肉・魚とバランスの良い食事:肉類や魚介類にもプリン体は含まれますが、栄養バランスのため全く食べない必要はありません。
100g中100~200mg程度の「中程度」のプリン体を含む食材(多くの肉や魚)もありますが、これらは適量を守って摂取しましょう。
極端に高プリンな部位(例えば肉の内臓や干物)を避ければ、肉や魚も1日80~100g程度であれば問題ありません。
むしろタンパク質源として必要な食品なので、量を控えつつバランスよく取り入れることが重要です。
野菜や穀類、豆類、きのこ類、海藻類、卵、そして乳製品などはプリン体含有量がごくわずか(100g中50mg以下)で「極めて少ない」食品に分類されます。
例えば野菜類全般や米、豆腐、きのこなどは低プリン食品の代表で、日常的に安心して食べられる食材です。
これらの食品はビタミンや食物繊維も豊富なため、痛風予防のみならず健康維持に役立ちます。
プリン体がやや含まれるほうれん草やカリフラワーなども、通常の量であれば過度に心配する必要はありません。
野菜由来のプリン体は、肉類ほど尿酸値に影響を与えにくいと報告されています(※野菜は痛風リスクを上げないとの観察研究もあります)。
そのため、野菜はしっかり食べてOKです。プリン体を恐れて野菜まで避けてしまうと栄養バランスを崩すので注意しましょう。
高尿酸血症の方は肥満傾向にある場合が多く、適正体重の維持も尿酸値改善の第一歩です。
過剰な摂取カロリーは体重増加を招き、肥満は尿酸産生や再吸収に悪影響を及ぼします。
実際、体重を減らすと尿酸値も下がることが知られています。
したがって、過食を避け適切なエネルギー量で栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
例えば油っこい揚げ物や菓子類の摂りすぎに注意し、主食・主菜・副菜をバランス良く組み合わせることが大切です。
太り過ぎを解消することで痛風だけでなく生活習慣病全般の予防にもつながります。
プリン体だけでなく、甘い清涼飲料や果糖の多い食品も痛風リスクを高めることが分かっています。
果糖(フルクトース)は代謝の過程で尿酸産生を促進し、過剰に摂取すると尿酸値を上昇させます。
そのため、砂糖を多く含むお菓子やジュース、スポーツドリンクのがぶ飲みは控えるのが賢明です。
実際、果糖を多く含む清涼飲料や果汁100%ジュースの過剰摂取は痛風発症リスクを高めると報告されています。
甘い果物(果糖を多く含むもの)も適量であれば問題ありませんが、極端な食べ過ぎには気をつけましょう。
以上のように、「低プリン食」の基本は高プリン食品を減らし、低プリン食品を中心に据えたバランスの良い食事をとることです。
具体的には「野菜たっぷり・適度に肉魚・主食は穀類・乳製品や大豆製品も活用」といった食事内容が理想です。
これは高血圧予防のDASH食や地中海食にも通じる健康的な食スタイルであり、尿酸値の改善にも有効とされています。
決して「プリン体ゼロ」に固執しすぎず、栄養バランスを保ちながら無理のない範囲で継続することがポイントです。
乳製品(牛乳やヨーグルトなど)は痛風予防に役立つ食品として注目されています。
乳製品はプリン体含有量がごくわずかなうえ、低脂肪の牛乳やヨーグルトを日常的に摂取する人ほど痛風発症リスクが低いとの報告があります。
牛乳に含まれるたんぱく質の一種「カゼイン」には尿酸の排泄を促す作用があることが分かっており、牛乳やチーズといった乳製品の摂取は尿酸値改善に有用と考えられています。
実際、日本の大規模調査でも乳製品摂取量が多い人ほど痛風になりにくいというデータが得られています(低脂肪乳製品が特に有効)。
ただし乳製品もカロリーや脂質を含むため、低脂肪タイプを選び適量を守ることが大切です。
例えばコップ1杯の牛乳を毎日飲む、ヨーグルトを1日1個食べるといった習慣を取り入れると良いでしょう。乳製品はカルシウムなど他の栄養補給にもなりますので、上手に活用してください。
一方、水分補給も痛風予防には欠かせません。
尿酸はその約70%が尿中に排泄されるため、水分摂取が少ないと尿量が減って尿酸が体内に蓄積しやすくなります。
十分な水分をとって尿量を確保することで、尿酸の排出を促し尿酸値のコントロールに役立ちます。
具体的には、1日あたり1.5~2リットル程度の水分補給を目標にしましょう。
日本のガイドラインでも「1日の尿量が2,000mL以上」になるよう水分をとることが推奨されています。
これはコップ約8杯分に相当します。
こまめな水分補給が理想なので、朝起きた時や食事中、入浴後など生活シーンに合わせて定期的に水を飲む習慣をつけると良いでしょう。
水分補給の内容は、カロリーのない水やお茶が基本です。
清涼飲料水や甘いジュースは前述の通り果糖過多になりがちなので避け、アルコール飲料も水分補給にはなりません。
緑茶や麦茶、炭酸水など糖分を含まない飲み物であれば適宜飲んで構いません。
また、十分な水分とともに尿をアルカリ化する食品を摂ることも腎臓での尿酸結晶の沈着予防に有効です。
野菜や果物、海藻類は体内でアルカリ性に傾く成分(クエン酸などの有機酸)を含み、尿を中和してくれます。
逆に肉や魚は酸性に傾きやすい食品ですが、野菜などと一緒に食べれば問題ありません。
特に海藻類(ワカメや昆布等)や野菜は尿をアルカリに保つ作用が高く、低カロリーでビタミンも豊富なためぜひ取り入れたい食材です。
まとめると、「水をしっかり飲み、乳製品や野菜も上手に利用する」ことが痛風予防の食生活では重要です。
十分な水分と低プリンの食品で尿酸を体外に出しやすい環境を整えてあげましょう。
ただし、腎臓の機能に不安がある方(慢性腎臓病を合併している場合など)は医師と相談の上で適切な水分量を調整してください。
近年、「コーヒーを飲むと痛風になりにくい」「ビタミンCを摂ると尿酸値が下がる」といった話題が取り上げられることがあります。
これらは本当なのでしょうか?結論から言えば、一定の有用性が示唆されていますが、過信は禁物です。
コーヒーに関しては、海外の大規模研究で「コーヒーをよく飲む人ほど痛風発症リスクが低い」との結果が報告されています。
また日本の疫学データでも、乳製品と並んでコーヒー習慣は痛風発作の頻度を抑制する可能性があることが示唆されました。
こうした背景から、日本の治療ガイドラインでも「コーヒー摂取は痛風のリスクを低減する」と報告されていると記載されています。
コーヒーには抗酸化物質やポリフェノールが含まれ、尿酸排泄や抗炎症に関与する可能性が指摘されています。
ただし、これらはいずれも観察研究による関連報告であり、因果関係を直接証明したものではありません。
つまり、「コーヒーを飲めば絶対痛風にならない」という保証があるわけではない点に注意が必要です。
適量のコーヒー(1日数杯程度)であれば嗜好品として楽しんでも問題なく、むしろ痛風予防においてプラスに働く可能性があります。
一方で砂糖やクリームたっぷりのコーヒーはカロリー過多になるため、できればブラックまたは砂糖控えめで飲むことをおすすめします。
ビタミンCも痛風予防に有用とされる栄養素の一つです。ビタミンCには尿酸の尿中排泄を促進する作用があり、ビタミンC摂取量が多い人ほど血清尿酸値が低い傾向があるとの研究結果があります。
例えばある長期追跡研究では、ビタミンCを積極的に摂取している男性は痛風発症リスクが有意に低下したと報告されています。
また、日本のガイドラインでもビタミンCの摂取は尿酸値を低下させるエビデンスがあるとして食事指導に取り入れることが推奨されています。
これらを受け、市販のビタミンCサプリメント(1日500mg程度)を飲む方もいます。確かに1日500mg程度のビタミンC補給で尿酸値がわずかに下がったとの報告もあり、害の少ない対策ではあります。
ただし、こちらもコーヒー同様にサポート的な位置づけです。
ビタミンCだけで劇的に尿酸値が下がるわけではないため、あくまで「補助的な予防策」と考えましょう。
基本は食事全体のバランスですので、ビタミンCもサプリに頼りすぎず野菜や果物(柑橘類、キウイ、イチゴ等)から自然に摂取することを心がけてください。
以上のように、コーヒーやビタミンCは痛風予防において「ある程度有用だが決定打ではない」という立ち位置です。
適度に取り入れる分にはメリットが期待できますが、これだけで万全と考えず、先述の低プリン食や水分補給など総合的な対策の一環として活用すると良いでしょう。
特定の食品を完全に禁止する必要はありませんが、極端にプリン体の多い食品はできるだけ避けるほうが良いでしょう。
例えばレバー類や白子、干物、一部の甲殻類(エビ・カニ)などはプリン体含有量が非常に高いので要注意です。
これらを毎日大量に食べることは控え、食べるとしても少量にとどめましょう。
とはいえ、「食べてはいけない食品」を過度に気にしすぎるとストレスになります。
プリン体の多い食品だけを極端に避ける必要はなく、バランスの良い食事の中で頻度と量を調整することが大切です。
要は、「これさえ食べなければ大丈夫」というものより、日々のトータルの食生活が痛風予防には影響します。
高プリン食品よりも総カロリーや飲酒量の管理にも目を向け、無理のない範囲で続けやすい食習慣を目指しましょう。
ビール以外のアルコールでも、飲み過ぎれば痛風に良くありません。
確かにビールはプリン体を多く含むため痛風には良くないイメージがありますが、実はアルコールそのものが尿酸値を上げる作用を持っています。
ビール以外の蒸留酒(焼酎やウイスキーなど)はプリン体含有量が少なく一見安全そうですが、アルコールは肝臓で分解される際に尿酸の産生を促し、腎臓からの尿酸排泄も妨げてしまいます。
そのため種類に関わらずお酒全般を控えめにすることが重要です。
ガイドラインではアルコール摂取の目安として「日本酒1合またはビール中瓶1本程度まで、週に2日は休肝日を」とされています。
どうしても飲みたい場合は、ビールならプリン体オフの製品を選ぶことでプリン体摂取量自体は減らせます。
しかしプリン体ゼロでもアルコール分は残っているので油断は禁物です。
プリン体カットビールであっても「だからといって沢山飲んでよい」わけではありません。
痛風予防の観点ではノンアルコール飲料に代えるのがベターですが、適量の範囲であれば嗜好品としてお酒を楽しむことも可能です。
つまり、どの種類のお酒でも飲み過ぎないことが肝心です。
飲むときは水も一緒に摂る、週に数日は休肝日を作るなどして、上手に付き合いましょう。
基本的に野菜は気にせずしっかり食べて大丈夫です。野菜類はプリン体含有量が少ないものがほとんどで、100g中のプリン体量は多くても数十mg程度です。
例えばほうれん草やきのこ類はプリン体を含むものの、「極めて少ない~少ない」食品に分類されています。
野菜に含まれるプリン体は、肉や魚のプリン体と比べて痛風発作に与える影響が小さいことが分かっています。
実際、野菜をたくさん食べても痛風のリスクは上がらないとの研究報告もあります。
一部の野菜では乾燥品(干しシイタケ等)にすると相対的にプリン体値が高くなりますが、通常の料理で用いる量であれば問題ありません。
むしろ野菜や海藻、きのこ類にはビタミン・ミネラルや食物繊維が豊富に含まれ、尿をアルカリ性に保つ作用もあるため痛風予防には積極的に取り入れたい食材です。
したがって、「この野菜は食べない方が良い」と神経質になる必要はありません。
毎日の食事で十分な野菜を摂ることは、痛風予防のみならず健康全般に有益ですので、安心して召し上がってください。
痛風予防に効果的な食事法として、プリン体の摂取を抑えたバランスの良い食生活が最も重要です。
高プリン食品(肉の臓物や一部の魚介類、アルコールなど)の過剰摂取を控える一方で、野菜や海藻、きのこ類、乳製品、大豆製品などプリン体の少ない食品を上手に活用しましょう。
特に乳製品は尿酸値を下げる効果が期待でき、水分を十分にとることで尿酸を体外に排出しやすくできます。
コーヒーやビタミンCといった嗜好品・栄養素も補助的に取り入れれば、より万全です。
総じて、「食べないこと」より「何をどう食べるか」に注目して、日々の食習慣を整えていくことが痛風の予防につながります。
急に完璧を目指すよりも、できる範囲でプリン体を減らし、生活全体のバランスを意識した食事を続けましょう。
適度な運動や規則正しい生活リズムとあわせて取り組むことで、尿酸コントロールと健康増進の両方に良い効果が期待できます。
もし血液検査で尿酸値が高めと言われた場合は、早めに生活習慣を見直し、それでも高止まりするようなら医師に相談してみてください。
不安を煽る必要はありませんが、日頃から予防的な食生活を心がけることが将来の痛風発作を遠ざけることにつながります。
無理のない範囲で、おいしく楽しく続けられる痛風予防食を実践していきましょう。